患者さん向け 小児急性リンパ芽球性白血病(PDQ®)

ご利用について

このPDQがん情報要約では、小児急性リンパ芽球性白血病の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

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小児急性リンパ芽球性白血病とは

小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、血液と骨髄のがんの一種で、急性リンパ性白血病とも呼ばれます。これは、小児に最も多くみられるがんです。米国では小児がん全体の約25%を占め、1~4歳の小児に最も多く発生します。

骨の解剖図:海面骨、赤色骨髄、黄色骨髄を示す図。骨の断面図は、緻密骨と骨髄中の血管を示している。また、赤血球、白血球、血小板、および造血幹細胞も示している。

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骨の解剖図。骨は、緻密骨、海面骨、骨髄で構成されています。緻密骨は、骨の外層を形成しています。海面骨は、ほとんどが骨の末端にみられ、赤色骨髄を含んでいます。骨髄は、ほとんどの骨の中心に存在し、多くの血管が走っています。骨髄には、赤色骨髄と黄色骨髄の2種類があります。赤色骨髄には、白血球、赤血球、血小板になることができる造血幹細胞が含まれています。黄色骨髄は、大部分が脂肪でできています。

骨髄では、造血幹細胞(未熟な細胞)が作られていて、それらが時間とともに成熟して血液細胞(血球)に成長します。造血幹細胞は骨髄幹細胞リンパ系幹細胞のどちらかに成長します。

骨髄系幹細胞は以下の3種類の血液細胞のいずれかになります:

リンパ系幹細胞はまずリンパ芽球という細胞になった後、さらに以下の3種類のリンパ球(白血球の一種)のいずれかになります:

血液細胞の成長:この図は、造血幹細胞が段階を経て赤血球、血小板、または白血球に成長していく様子を示している。骨髄系幹細胞は赤血球、血小板、または骨髄芽球になり、骨髄芽球はさらに顆粒球(好酸球、好塩基球、好中球という種類がある)になる。リンパ系幹細胞はまずリンパ芽球になり、それからBリンパ球、Tリンパ球、またはナチュラルキラー細胞になる。

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血液細胞の成長。造血幹細胞はいくつかの段階を経て赤血球、血小板、または白血球になります。

ALLは、過剰に増えた幹細胞がリンパ芽球になり、Bリンパ球やTリンパ球には成熟しないために発生します。それらの細胞は白血病細胞とも呼ばれます。白血病細胞では十分な感染防御を果たすことができません。また、血液や骨髄の中の白血病細胞が増加することによって、正常な赤血球、血小板、白血球のためのスペースが少なくなってしまいます。このことにより、貧血、出血しやすい状態、感染が生じることがあります。

ALLは通常、治療しなければ急速に悪化します。

小児急性リンパ芽球性白血病の原因とリスク因子

小児ALLは、造血幹細胞の挙動、特に成長して新しい細胞に分裂する過程での挙動に特定の変化が生じることで発生します。そうした細胞の変化が生じる正確な原因は多くの場合、不明です。がんの発生の詳細については、がんとは何か(英語)をご覧ください。

リスク因子とは、疾患が発生する可能性を増大させるあらゆる要因のことです。リスク因子をもっている全ての小児がALLを発症するわけではありません。また、リスク因子が認められない小児が発症することもあります。リスク因子は遺伝性の場合もあれば、その他の原因による場合もあります。

ALLの遺伝性のリスク因子としては以下のものが考えられます:

ALLのその他のリスク因子としては以下のものが考えられます:

お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。

急性リンパ芽球性白血病の小児に対する遺伝カウンセリング

ALLの小児にその発生リスクを高める遺伝性疾患があるかどうかは、家族歴から必ず判明するとは限りません。遺伝カウンセリングでは、お子さんのがんが子孫に遺伝する可能性と遺伝子検査が必要かどうかを評価することができます。遺伝カウンセラーを始めとする特別な訓練を受けた医療専門職がお子さんの診断と家族歴について議論することで、以下のことを明らかにする手がかりが得られます:

遺伝カウンセラーはまた、結果についてご家族と話し合う方法を含めて、あなたがお子さんの遺伝子検査の結果に対処する手助けをすることもできます。他のご家族も遺伝子検査を受けるべきかどうかについて助言することもできます。

遺伝子検査の詳細については、遺伝性のがんリスクに対する遺伝子検査(英語)をご覧ください。

小児急性リンパ芽球性白血病の症状

小児ALLの症状は、赤血球と血小板が十分に存在しないことと、きちんと機能しない白血球が多すぎることによって引き起こされます。以下の症状がみられる場合は、お子さんの担当医に相談するべきです:

これらの症状は、ALL以外の病態によって引き起こされることもあります。状況を把握する唯一の方法は、お子さんが医師の診察を受けることです。

小児急性リンパ芽球性白血病の診断に用いられる検査

小児にALLを示唆する症状がみられる場合、それらの原因ががんなのか、それとも別の問題なのかを医師が確認する必要があります。医師は症状がいつから始まり、どのくらいの頻度で起きているかを質問します。医師はまた、保護者に小児の病歴家族歴をたずね、身体診察を行います。それらの結果に応じて、ほかの診断検査を勧めることもあります。それらの検査の結果は、ALLと診断された場合に治療計画を立てるのに役立ちます。

小児急性リンパ芽球性白血病の診断に用いられることがある検査として、以下のものがあります:

血算(全血球算定)

血算では、以下の項目について血液のサンプルを調べます:

血算(全血球算定):左側の図には、注射器とそれに接続したチューブを用いて肘の内側の静脈から血液が採取されている様子が示されている。右側の図には、試験管内の血液が血漿、白血球、血小板、赤血球の各層に分離された様子が示されている。

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血算(全血球算定)。静脈内に針を挿入して注射器の中に血液を吸い込むことによって、血液を採取します。採取された血液は検査室に送られ、そこで赤血球と白血球と血小板の数が調べられます。血算は数多くの病態の検査、診断、モニタリングに用いられています。

血液生化学検査

血液生化学検査は、採取した血液を用いて、臓器や組織から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法です。ある物質の量が異常であることは、何らかの疾患の徴候である可能性があります。

骨髄穿刺と骨髄生検

腰骨または胸骨に中空の針を挿入して骨髄や骨の小片などを採取します。採取された骨髄や骨は、病理医によって顕微鏡で観察され、がんの徴候がないか調べられます。

骨髄穿刺と骨髄生検:この図は、台の上にうつ伏せになった患者さんの右側の寛骨(腰骨)に骨髄穿刺針が挿入されている様子を示している。拡大図には、皮膚の上から寛骨(腰骨)の骨髄に挿入されている骨髄穿刺針が示されている。

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骨髄穿刺と骨髄生検。皮膚の小さな領域に麻酔を施してから、骨髄穿刺針を患者さんの寛骨(腰骨)に挿入します。そして顕微鏡での検査用に血液、骨、骨髄のサンプルを採取します。

採取された血液または骨髄組織に対して行われる検査には以下のようなものがあります:

腰椎穿刺

腰椎穿刺は、白血病細胞の有無を調べるために脊柱(脊椎とも呼ばれます)から髄液を採取する際に用いられる手技です。脊椎の2つの骨の間に針を刺し、脊髄を覆っている膜の中まで針先を進めて、髄液のサンプルを採取します。髄液のサンプルは顕微鏡で観察して、白血病細胞が脳や脊髄に拡がった徴候がないか調べます。この手技はLPまたは脊椎穿刺とも呼ばれます。

腰椎穿刺:この図は、背中を曲げた姿勢で台の上に横たわっている患者さんと、腰の部分に挿入されている脊椎穿刺針(細長い針)を示している。右側の拡大図には、脊柱下部の髄液の中に脊椎穿刺針が挿入されている様子が示されている。

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腰椎穿刺。まず患者さんに背中を曲げた姿勢で台の上に横たわってもらいます。腰の小さな領域に麻酔を施してから、腰椎穿刺針(長くて細い針)を脊柱の下部に挿入して、髄液(青色で示されている)を採取します。採取された液体は、検査のために検査室に送られることもあります。

この手技は、白血病と診断された後に実施され、白血病細胞が脳や脊髄へ拡がっていないかどうかが調べられます。髄液のサンプルを採取した後には、脳や脊髄に白血病細胞が拡がっている可能性がある場合、それに対する治療として髄腔内化学療法が行われます。

胸部X線検査

胸部X線検査は、放射線の一種であるX線で胸部の臓器や骨の写真を撮影する検査法です。白血病細胞が胸の中央にしこりを形成していないかどうかを調べるために、胸部X線検査が行われます。

セカンドオピニオンを受ける

子どものがんの診断を確定して治療計画を立てるにあたって、保護者はセカンドオピニオンを求めることができます。セカンドオピニオンを求めるときは、最初の担当医に医学的検査の結果と報告書を提供してもらい、それらを別の医師と共有する必要があります。2人目の医師は、遺伝子検査の結果、病理報告書、スライド、検査画像を確認します。そして、最初の医師の見解に同意するか、治療計画の変更を提案したり、患者さんの腫瘍について新たな情報を提供したりします。

医師を選んでセカンドオピニオンを受けるプロセスの詳細については、がん治療の医療機関を探す(英語)をご覧ください。セカンドオピニオンを提供できる医師や病院の情報については、NCIのCancer Information Serviceまで、チャット、電子メール、電話(英語とスペイン語に対応)でお問い合わせください。受診時に聞いておくとよい質問については、がんについて主治医に尋ねるべき質問(英語)をご覧ください。

小児急性リンパ芽球性白血病のリスク群

小児ALLでは、治療計画を立てるためにリスク群が用いられます。小児ALLには、以下の3つのリスク群があります:

リスク群に影響を及ぼす因子として、他に以下のものがあります:

治療計画を立てるためにはリスク群を把握しておくことが重要です。高リスクまたは超高リスクALLの小児では一般に、抗がん剤の種類や用量が標準リスクALLの小児よりも多くなります。

小児急性リンパ芽球性白血病に対する治療法

急性リンパ芽球性白血病の小児の治療を担う医療従事者

小児ALLの治療は、小児がんの治療を専門とする小児腫瘍医が監督します。小児腫瘍医は、小児白血病の治療に精通しつつ、同時に特定の医療分野を専門とする他の小児科医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。ほかにも以下の専門家が関与することがあります:

小児急性リンパ芽球性白血病の治療の段階

小児ALLの治療は以下の3つの段階に分けられます:

維持療法で医師の指示通りに薬を服用すると、がん再発の可能性が低くなります。

治療選択肢は、以下の因子に左右されます:

以下のような治療法があります:

化学療法

化学療法は、薬剤を使用してがん細胞の増殖を阻止する治療法です。化学療法では、がん細胞を死滅させるか、がん細胞の分裂を停止させます。化学療法は単独で行われることもあれば、他の治療法と併用されることもあります。

ALLに対する化学療法にはいくつかの投与方法があります。化学療法が経口投与や静脈内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入り、全身のがん細胞に到達します。髄液内に直接注入する化学療法(髄腔内化学療法)は、主にその領域にあるがん細胞に作用します。

化学療法の実施方法は、お子さんのリスク群によって異なります。高リスクALLの小児では、抗がん剤の種類や用量が標準リスクALLの小児よりも多くなります。脳や脊髄への拡がりが確認または推測される小児ALLの治療には髄腔内化学療法が用いられます。

小児ALLの治療には、以下の化学療法薬が単独または併用で用いられます:

ここに挙げていない薬剤も使用されることがあります。

化学療法の効果、投与方法、よく発生する副作用などの詳細については、化学療法によるがん治療(英語)をご覧ください。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。小児ALLの治療には外照射療法が用いられます。この種の治療では、体外に設置された装置を用いて、がんがある部分に放射線を照射します。放射線療法は単独で行われることもあれば、他の治療と併用されることもあります。

脳や脊髄、精巣への拡がりが確認または推測される小児ALLの治療には外照射療法が用いられることがあります。造血幹細胞移植の前処置として、骨髄に放射線が照射されることもあります。

詳細については、がんに対する外照射療法(英語)放射線療法の副作用(英語)をご覧ください。

造血幹細胞移植

まず、がん細胞を死滅させる目的で大量化学療法を行います。全身照射が通常、化学療法とともに行われますが、乳児や非常に幼い小児には行われないことがあります。すると、これらの治療によって、造血幹細胞を含めた正常な細胞が破壊されてしまいます。そこで造血幹細胞移植を行って、造血幹細胞を新たに補充します。まずドナーの血液または骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、それを凍結保存しておきます。化学療法と放射線療法の終了後に、保存していた造血幹細胞を解凍し、それを点滴で患者さんの体内に戻します。すると、それらの幹細胞が増殖して成長することで、血液の機能が回復します。また、ドナーの幹細胞を使用することで、体内に残っているがん細胞を見つけ出して死滅させる効果も期待できます。

ALLの小児と青年では、まれに初回治療として造血幹細胞移植が用いられることがあります。ALLが再発した場合は、治療の一環として造血幹細胞移植がより多く用いられます。

ドナー造血幹細胞移植(1枚目):この図は、アフェレーシス装置を用いてドナーの血流から幹細胞を採取している様子を示している。ドナーの腕の静脈から血液を採取して、幹細胞を取り出す装置の中を通過させる。残った血液は反対側の腕の静脈からドナーの体内に戻される。(2枚目):この図は、患者の胸部に入れられたカテーテルから化学療法薬が投与されている様子を示している。化学療法は、がん細胞を殺傷する効果があり、患者の体がドナーの幹細胞を受け入れる環境を作るために行われる。(3枚目):この図は、患者が胸部のカテーテルからドナー幹細胞の投与を受けている様子を示している。

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造血幹細胞移植。(ステップ1):ドナーの腕の静脈から血液を採取します。血液は幹細胞を採取する装置内を流れます。その後、血液は反対側の腕の静脈からドナーの体内に戻されます。(ステップ2):患者さんは造血幹細胞を殺傷する化学療法を受けています。放射線療法が実施される場合もあります(図には示されていません)。(ステップ3):患者さんは胸部の血管に留置されたカテーテルから幹細胞の注入を受けています。

免疫療法

免疫療法は、患者さんの免疫系を利用して、がんと戦う治療法です。体内で生産された物質や人工的に作られた物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。小児ALLの治療に用いられる免疫療法の例としては、ブリナツモマブ、リツキシマブ、CAR T細胞療法などがあります。

詳細については、免疫療法によるがん治療(英語)をご覧ください。

分子標的療法

分子標的療法は、薬剤またはその他の物質を使用して、がん細胞の増殖や進展に関わる特定の酵素、蛋白、その他の分子の作用を阻害する治療法です。分子標的療法は多くの場合、その薬剤が標的とする物質が認められる特定の種類のALLにだけ用いられます。小児ALLの治療に使用または研究されている分子標的療法としては以下のものがあります:

詳細については、分子標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。

臨床試験

患者さんによっては、臨床試験への参加が選択肢の1つになる場合もあります。小児がんを対象とする臨床試験にはいくつかの種類があります。例えば、治療の臨床試験では、新しい治療法や既存の治療法の新しい利用方法が検証されます。支持療法や緩和ケアの臨床試験では、生活の質を改善する方法が検討され、特にがんの影響やその治療による副作用がみられる人が対象になります。

NCIの臨床試験検索から、参加を受け付けているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。この検索では、がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて試験を絞り込むことができます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

探し方や参加方法など、臨床試験の詳細については、患者さんと介護者のための臨床試験情報(英語)をご覧ください。

小児急性リンパ芽球性白血病の治療選択肢

小児と青年の急性リンパ芽球性白血病(ALL)に対する治療法には様々なものがあります。保護者と担当の治療チームが協力して、治療法を決定します。小児の年齢や全体的な健康状態、腫瘍が新たに診断されたものかそれとも再発したものかなど、数多くの要因が検討されます。

小児の治療計画では、がんについての情報、治療の目標、治療選択肢、起こりうる副作用などが検討対象に含まれます。治療に先立って担当の治療チームと今後の見通しについて話し合うことが助けになります。実際の進め方については、NCIの小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)をご覧ください。

標準リスクの小児急性リンパ芽球性白血病の治療

新たに診断された標準リスクの小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療では、寛解導入療法地固め/強化療法維持療法の各段階で多剤併用化学療法が行われます。髄腔内化学療法を行い、白血病細胞が脳や脊髄へ拡がらないように予防します。

治療に対する反応が不良で、寛解導入療法後に寛解状態にある小児に対しては、ドナーの幹細胞を用いた造血幹細胞移植を行うことがあります。

治療に対する反応が不良で、寛解導入療法後も寛解に至らない場合は、通常はさらに、高リスクALLの小児に対する治療と同じ治療が行われます。

治療期間を通して、医師が指示した薬を全て服用することが重要です。指示通りに薬を服用しないと、がん再発の可能性が高くなります。

高リスクの小児急性リンパ芽球性白血病の治療

新たに診断された高リスクの小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療では、寛解導入療法地固め/強化療法維持療法の各段階で多剤併用化学療法が行われます。高リスク群ALLの小児では、特に地固め/強化療法の段階で投与される抗がん剤の種類や用量が標準リスク群の小児よりも多くなります。

髄腔内化学療法全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。

治療期間を通して、医師が指示した薬を全て服用することが重要です。指示通りに薬を服用しないと、がん再発の可能性が高くなります。

超高リスクの小児急性リンパ芽球性白血病の治療

新たに診断された超高リスクの小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療では、寛解導入療法地固め/強化療法維持療法の各段階で多剤併用化学療法が行われます。超高リスクALL群の小児には、高リスク群の小児より多くの抗がん剤が投与されます。第一寛解期の造血幹細胞移植で生存期間が延長するかどうかは、明らかではありません。

髄腔内化学療法全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。

治療期間を通して、医師が指示した薬を全て服用することが重要です。指示通りに薬を服用しないと、がん再発の可能性が高くなります。

脳、脊髄または精巣の小児急性リンパ芽球性白血病の治療

脳や脊髄(中枢神経系)の白血病細胞を死滅させたり、中枢神経系への白血病細胞の転移を予防したりすることを目的とする化学療法を、中枢神経系治療と呼びます。標準用量の化学療法では、薬が血液脳関門を通過することができず、脳と脊髄の周囲を満たしている液体の中に入り込むことができません。そのため、中枢神経系は白血病細胞の隠れ場所になります。高用量で実施する全身化学療法または髄腔内化学療法(髄液中に投与)により、中枢神経系内の白血病細胞に効果を及ぼすことができます。ときには脳に対する外照射療法が実施されることもあります。

髄腔内化学療法:この図は、脳と脊髄の中の髄液とオンマイヤーレザバー(手術中に頭皮の下に設置されるドーム状の容器で、これにより細い管を通して脳内に薬剤を流し込むことができる)を示している。図の上の方には、注射器と針を用いてオンマイヤーレザバーに抗がん剤を注入している様子が示されている。図の下の方には、注射器と針を用いて脊柱の下部から髄液中に直接抗がん剤を注入している様子が示されている。

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髄腔内化学療法。髄液(青色で示されている)で満たされた空洞である脊髄腔の中に抗がん剤が注入されます。2種類の方法があります。1つめはこの図の上の方に示されているもので、オンマイヤーレザバー(手術によって頭皮の下に設置されるドーム状の容器で、細い管を通して脳内へと薬剤を投与することができる)に薬剤を注入するという方法です。もう1つは図の下の方に示されているもので、腰の小さな領域に麻酔を施してから、脊柱の下部より直接髄液内に薬剤を注入するという方法です。

これらの治療は、体内の別の場所に存在する白血病細胞を殺傷するために使用する治療に加えて実施します。ALLの小児は全員、導入療法や地固め/強化療法の一部として、またときには維持療法の過程でも、中枢神経系治療を受けることになります。

白血病細胞が精巣に拡がった場合の治療には高用量の全身化学療法があり、場合によっては放射線療法を行います。

治療期間を通して、医師が指示した薬を全て服用することが重要です。指示通りに薬を服用しないと、がん再発の可能性が高くなります。

T細胞小児急性リンパ芽球性白血病の治療

新たに診断されたT細胞小児急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)の治療では、寛解導入療法地固め/強化療法維持療法の各段階で多剤併用化学療法が行われます。T-ALLの小児には、新たに診断された標準リスク群の小児より多くの抗がん剤が高用量で投与されます。

髄腔内化学療法全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。

治療期間を通して、医師が指示した薬を全て服用することが重要です。指示通りに薬を服用しないと、がん再発の可能性が高くなります。

急性リンパ芽球性白血病の乳児の治療

乳児期に急性リンパ芽球性白血病(ALL)が診断されることはまれです。ALLと診断された乳児では通常、より多くの症状がみられるため、より多くの医学的支援が必要になります。より年長の小児よりも再発リスクが高いです。

新たに診断されたALLの乳児の治療では、寛解導入療法地固め/強化療法維持療法の各段階で多剤併用化学療法が行われます。ALLの乳児では、抗がん剤の種類や用量が標準リスク群の1歳以上の小児よりも多くなります。第一寛解期の造血幹細胞移植で生存期間が延長するかどうかは、明らかではありません。

髄腔内化学療法全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。

治療期間を通して、医師が指示した薬を全てお子さんに飲ませることが重要です。指示通りに薬を飲ませないと、がん再発の可能性が高くなります。

急性リンパ芽球性白血病の青年と若年成人の治療

青年と若年成人では通常、高リスクの急性リンパ芽球性白血病(ALL)とみなされます。

青年と若年成人の新たに診断されたALLの治療では、寛解導入療法地固め/強化療法維持療法の各段階で多剤併用化学療法が行われます。ALLを患う青年と若年成人では、抗がん剤の種類や用量が標準リスク群の小児よりも多くなります。

髄腔内化学療法全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。

治療期間を通して、医師が指示した薬を全て服用することが重要です。指示通りに薬を服用しないと、がん再発の可能性が高くなります。

ダウン症候群と急性リンパ芽球性白血病を併発している小児の治療

ダウン症候群の小児、青年、および若年成人で新たに診断された急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療では、寛解導入療法地固め/強化療法維持療法の各段階で多剤併用化学療法が行われます。ダウン症候群とALLを併発している小児には、リスク群に応じた治療を行います。ダウン症候群とALLを併発している小児では、他の小児と比べて治療による副作用が多くなる可能性があります。ダウン症候群の小児には、ときに、治療による副作用のリスクを低下させるために抗がん剤の用量を減らすことがあります。

髄腔内化学療法と全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。

治療期間を通して、医師が指示した薬を全て服用することが重要です。指示通りに薬を服用しないと、がん再発の可能性が高くなります。

フィラデルフィア染色体陽性小児急性リンパ芽球性白血病の治療

フィラデルフィア染色体陽性の急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、幼児ではまれです。青年期に多くみられ、年齢とともに増加します。

新たに診断されたフィラデルフィア染色体陽性の小児ALLの治療では、寛解導入療法地固め/強化療法維持療法の各段階で多剤併用化学療法が行われます。治療法としては、場合によりドナー幹細胞による造血幹細胞移植を併用する分子標的療法(メシル酸イマチニブまたはダサチニブ)などもあります。

髄腔内化学療法全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。

治療期間を通して、医師が指示した薬を全て服用することが重要です。指示通りに薬を服用しないと、がん再発の可能性が高くなります。

再発または難治性小児急性リンパ芽球性白血病の治療

難治性小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)とは、初回治療に反応しないがんのことです。

再発小児ALLとは、治療後に再発したがんのことをいいます。この場合の白血病は、血液、骨髄、脳、脊髄、精巣など、体の様々な部位で再発することがあります。

再発小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)が骨髄に再発した場合の治療法には、以下のようなものがあります:

難治性または再発小児ALLの他の治療法には以下のようなものがあります:

骨髄以外に再発した小児ALLの治療法には以下のようなものがあります:

小児急性リンパ芽球性白血病の予後因子

子どもがALLと診断されると、多くの保護者は、そのがんの深刻度や生存期間について知りたくなるでしょう。疾患がどのような経過をたどるかの見通しを予後といいます。

予後は以下の要因に左右されます:

治療後に再発した白血病では、お子さんの予後は以下の因子にある程度左右されます:

治療に対する反応には個人差があり、大きな差がみられる場合もあります。保護者が子どもの予後について知りたい場合は、担当のがん治療チームと話をするのが最善です。

治療の副作用および晩期合併症(晩期障害)

がん治療は副作用を引き起こす可能性があります。起こりうる副作用は、受けている治療の種類、用量、および体の反応によって異なる場合があります。注意すべき副作用とその対処法について、担当の治療チームとよく話をしてください。

がんの治療中に発生する副作用の詳細については、副作用(英語)のページをご覧ください。

がん治療による問題のうち、治療後6カ月以降に始まって月単位または年単位で続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。

がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:

晩期合併症(晩期障害)には治療やコントロールが可能なものもあります。治療により生じうる晩期合併症(晩期障害)について担当医とよく話をすることが重要です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。

フォローアップケア

治療を進める中で、定期的に検査や診察が行われます。がんの診断のために行われた検査の一部が、治療効果を確認する目的で再び行われることもあります。治療の継続、変更、中止などの決定がそれらの検査結果に基づいて判断されることもあります。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。それらの検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんが再発したかどうかを知ることができます。

治療がどの程度効いているかを確認するため、治療の初期段階で骨髄穿刺骨髄生検が実施されます。典型的には、白血病の再発が懸念されない限り、治療終了後に骨髄穿刺と骨髄生検は行われません。

フォローアップ検査の詳細については、小児急性リンパ芽球性白血病の診断に用いられる検査をご覧ください。

子どものがんへの対処

小児ががんを発症すると、そのご家族全員に対してサポートが必要になります。この困難な時期には、保護者が自分自身のことに気を配ることが重要になります。担当の治療チームやご家族や地域の人々に助けを求めましょう。詳細については、小児がん患者さんのご家族のためにという記事と、小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)という冊子をご覧ください。

関連資料

小児がんに関するさらなる情報や、がん全般に関するその他の資料については、以下をご覧ください:

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所(NCI)が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、小児急性リンパ芽球性白血病の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Acute Lymphoblastic Leukemia.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/leukemia/patient/child-all-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389385]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、3,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。