ご利用について
このPDQがん情報要約では、小児急性リンパ芽球性白血病の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- 小児急性リンパ芽球性白血病についての一般的な情報
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小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、骨髄で成熟していないリンパ球(白血球の一種)が過剰に多く作られるようになるがんです。
小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、血液と骨髄のがんの一種で、急性リンパ性白血病とも呼ばれます。通常この種のがんは、治療が行われなければ急速に悪化します。
小児に最も多くみられるがんがALLです。
白血病は、赤血球、白血球、血小板に影響を及ぼす可能性があります。
健康な小児では、骨髄で血液幹細胞(未熟な細胞)が作られており、いずれは成熟した血液細胞になります。この血液幹細胞はまず骨髄系の幹細胞か、リンパ系幹細胞になります。
骨髄系幹細胞は以下の3種類の成熟血液細胞のいずれかになります:
リンパ系幹細胞はまずリンパ芽球という細胞になった後、さらに以下の3種類のリンパ球(白血球の一種)のいずれかになります:
ALLの小児の場合、リンパ芽球、Bリンパ球、またはTリンパ球になる幹細胞が過剰に多くなります。これらの細胞は白血病細胞とも呼ばれます。こうした白血病細胞は、正常なリンパ球のような働きをせず、感染に対して十分に戦うことができません。また、血液や骨髄の中に白血病細胞の数が増えるため、正常な白血球、赤血球、血小板が存在するスペースが少なくなります。このことにより、感染症や貧血が起こったり、出血が起きやすくなったりします。
本要約は、小児や青年、若年成人にみられる急性リンパ芽球性白血病について書かれたものです。他の種類の白血病に関する情報については、以下のPDQの要約をご覧ください:
がんの治療歴と特定の遺伝的状態は、小児ALLの発生リスクに影響を及ぼすことがあります。
疾患が発生する危険性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。
ALLのリスク因子としては、以下のものが考えられます:
小児ALLの徴候には、発熱やあざなどがあります。
これらに加え、別の徴候や症状が小児ALLにより引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:
小児ALLの診断には、血液と骨髄を調べる検査法が用いられます。
以下のような検査法や手技を用いて、小児ALLの診断を行い、脳や精巣、またはその他の部位へ白血病細胞が拡がっていないかどうかを調べることがあります:
- 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。
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全血球算定(CBC)と白血球分画:血液を採取して以下の項目について調べる検査法:
- 血液生化学検査:採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。
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骨髄穿刺と骨髄生検:腰骨または胸骨に中空の針を挿入して骨髄や骨の小片などを採取する手技。採取された骨髄や骨は、病理医によって顕微鏡で観察され、がんの徴候がないかどうかが調べられます。
採取された血液または骨髄組織に対して、以下の検査が行われます:
- 細胞遺伝学的分析:血液または骨髄のサンプルに含まれる細胞を検査し、染色体の損傷や欠失、再構成、過剰などの変異を計測して調べる臨床検査。特定の染色体に認められる変化は、がんの徴候を示している可能性があります。例えば、フィラデルフィア染色体陽性のALLでは、ある染色体の一部が別の染色体に移動しています。この移動した部分が、フィラデルフィア染色体と呼ばれています。細胞遺伝学的分析はがんの診断、治療計画、治療効果の判定に利用されます。
- 免疫表現型検査:抗体を使用し、細胞表面の抗原またはマーカーの種類に基づいてがん細胞を特定する臨床検査。この検査は特定の白血病の診断に役立ちます。例えば、がん細胞を検査して、それらがBリンパ球かTリンパ球かを調べます。
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腰椎穿刺:脊柱内から脳脊髄液(CSF)のサンプルを採取する際に用いられる手技。脊椎内の2本の骨の間から脊柱内に針を刺し、脊髄周囲を流れるCSFに到達させ、CSFを採取します。CSFのサンプルを採取して、白血病細胞が脳や脊髄に転移している徴候がないか顕微鏡で確認します。この手技はLPまたは脊椎穿刺とも呼ばれます。
この手技は、白血病と診断された後に実施され、白血病細胞が脳や脊髄へ拡がっていないかどうかが調べられます。髄腔内化学療法は、髄液のサンプルを採取した後に、脳や脊髄への拡がっている可能性のある白血病細胞を治療するために行われます。
- 胸部X線検査:胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。白血病細胞が胸の中央に腫瘤を形成していないかどうかを調べるために、胸部X線検査が行われます。
- 小児急性リンパ芽球性白血病のリスク群
- 治療選択肢の概要
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小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の患者さんには様々な治療法が存在します。
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。
小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討すべきです。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療では、小児白血病の治療に精通した医師で構成されるチームによって治療計画が作成されるべきです。
この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児白血病の治療に精通し、特定の医療分野を専門とする他の小児医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。具体的には以下のような専門家が挙げられます:
通常、小児ALLの治療には3つの段階があります。
小児ALLの治療は以下の段階に分けられます:
- 寛解導入療法:治療の第1段階。寛解導入療法の目的は、血液中および骨髄中の白血病細胞を死滅させることにあります。これにより白血病は寛解状態に入ります。
- 地固め/強化療法:治療の第2段階。白血病が寛解期に入ると、この治療が開始されます。地固め/強化療法の目的は、体内に残存し、再発を引き起こす可能性のある白血病細胞を死滅させることにあります。
- 維持療法:治療の第3段階。維持療法の目的は、再び増殖を開始して再燃する可能性のある残存した白血病細胞を死滅させることにあります。この段階でのがん治療は多くの場合、寛解導入療法や地固め/強化療法の場合よりも少ない用量の薬が使用されます。維持療法で医師の指示通りに薬を服用しないと、がん再発の可能性が高くなります。これは寛解維持療法期とも呼ばれます。
標準治療としては、以下の4種類が用いられています:
化学療法
化学療法は、薬物を用いてがん細胞を殺傷したり分裂を阻害したりすることで、がん細胞の増殖を阻止するがん治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内(髄腔内化学療法)、臓器内、あるいは腹部などの体腔内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。併用化学療法は複数の抗がん剤を使用する治療法です。
化学療法の実施方法は、小児のリスク群によって異なります。高リスクALLの小児では、抗がん剤の種類や用量が標準リスクALLの小児よりも多くなります。脳や脊髄への拡がりが確認または推測される小児ALLの治療には髄腔内化学療法が用いられます。
詳しい情報については、急性リンパ芽球性白血病に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんのある領域に放射線を照射する方法です。
脳や脊髄、精巣への拡がりが確認または推測される小児ALLの治療には外照射療法が用いられることがあります。幹細胞移植の前処置として、骨髄に放射線が照射されることもあります。
幹細胞移植を伴う化学療法
がん細胞を殺傷するために化学療法が行なわれます。3歳以上の小児では、化学療法とともに全身照射を行います。このがん治療は造血細胞などの健康な細胞も破壊します。幹細胞移植は造血細胞を置き換える治療法です。まずドナーの血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、それを凍結保存しておきます。その後、患者さんの化学療法と放射線療法が終了したら、保存していた幹細胞を解凍し、点滴で患者さんの体内に戻します。これらの幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復します。
ALLの小児と青年では、まれに初回治療として幹細胞移植が使用されることがあります。ALLが再発した(治療後に再び現れた)場合は、治療の一環として幹細胞移植がより多く使用されています。
詳しい情報については、急性リンパ芽球性白血病に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。
標的療法
標的療法とは、特定のがん細胞を認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。標的療法には様々な種類があります:
- チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)療法:この治療法は、幹細胞を必要以上に多量の白血球へと成長させるチロシンキナーゼという酵素を阻害します。メシル酸イマチニブとダサチニブは、フィラデルフィア染色体陽性の小児ALLに対する治療に用いられるTKIです。ルキソリチニブは、新たに診断された高リスクALLの治療薬として研究されているTKIです。
- モノクローナル抗体療法:モノクローナル抗体は製造ラボで作られ、がんなどの様々な疾患に対する治療に用いられる免疫系蛋白です。がん治療薬として、これらの抗体は、がん細胞や他の細胞上に存在してがん細胞の増殖に関与する特定の標的に結合する性質をもちます。これにより、抗体はがん細胞の死滅、増殖の阻止、転移の抑止などの効果を発揮できるようになります。モノクローナル抗体は点滴によって投与されます。モノクローナル抗体は単独で使用することもあれば、薬や毒素、あるいは放射性物質をがん細胞に直接送り届けるために使用することもあります。ブリナツモマブとイノツズマブは難治性小児ALLの治療薬として研究されているモノクローナル抗体です。ブリナツモマブは標準リスクALLの治療薬としても研究されています。ニボルマブは再発小児ALLの治療薬として研究されているモノクローナル抗体です。
- プロテアソーム阻害薬療法:がん細胞内でプロテアソームの作用を阻害する標的療法の一種です。プロテアソームは細胞にとって不要となった蛋白を除去します。プロテアソームの働きが阻害されると、不要な蛋白が細胞内に蓄積し、それによりがん細胞を殺傷できる可能性があります。ボルテゾミブは再燃した小児ALLの治療に用いられるプロテアソーム阻害薬の一種です。ボルテゾミブは標準リスクまたは高リスクの患者さん用の治療薬としても研究されています。
小児ALLの治療では、新しい種類の標的療法も研究されています。
詳しい情報については、急性リンパ芽球性白血病に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。
脳、脊髄、または精巣への拡がりが確認されたか疑われる白血病細胞を死滅させるために、治療を実施します。
白血病細胞を死滅させたり、脳や脊髄(中枢神経系:CNS)への白血病細胞の転移を予防したりする治療をCNS向け治療と呼びます。脳や脊髄への拡がりが確認されたか疑われる白血病細胞を治療するために、化学療法が用いられることがあります。標準用量の化学療法では、薬物が血液脳関門に阻まれて脳や脊髄を取り囲む液体に入らないことがあり、その場合はCNSの白血病細胞に薬物の効果が及ばないので、CNSが白血病細胞の隠れ場所になります。高用量で実施する全身化学療法または髄腔内化学療法(脳脊髄液中に投与)により、CNS内の白血病細胞に効果を及ぼすことができます。ときには脳に対する外照射療法が実施されることもあります。
これらの治療は、体内の別の場所に存在する白血病細胞を殺傷するために使用する治療に加えて実施します。ALLの小児は全て、導入療法や地固め/強化療法の一部として、また、場合によっては維持療法中にもCNS向け療法を受けます。
白血病細胞が精巣に拡がった場合の治療には高用量の全身化学療法があり、場合によっては放射線療法を行います。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。
本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。
小児急性リンパ芽球性白血病の治療は副作用を引き起こすことがあります。
がんの治療中に発生する副作用に関する詳しい情報については、副作用(英語)のページをご覧ください。
定期的なフォローアップ検査が非常に重要です。がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。
がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:
一部の晩期合併症(晩期障害)は治療したり、抑制したりすることができます。治療によってお子さんに生じうる晩期合併症(晩期障害)について担当の医師とよく相談することが重要です。小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関するPDQの要約をご覧ください。
患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。
患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。
今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。
患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。
患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。
ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。
臨床試験は米国各地で行われています。NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
- 小児急性リンパ芽球性白血病(標準リスク)の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
新たに診断された標準リスクの小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療では、寛解導入療法、地固め療法/強化療法、維持療法の各段階で併用化学療法が行われます。治療にあまり反応しない小児が寛解導入療法後に寛解に達した場合は、ドナーの幹細胞を用いた幹細胞移植を実施することがあります。治療にあまり反応しない小児が寛解導入療法後も寛解に至らない場合は、通常はさらに、高リスクALLの小児に対する治療と同じ治療が施行されます。
髄腔内化学療法を行い、白血病細胞が脳や脊髄へ拡がらないように予防します。
標準リスクのALLに関する臨床試験では、併用化学療法と場合によりモノクローナル抗体(ブリナツモマブ)による標的療法を行う治療法が研究されています。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 小児急性リンパ芽球性白血病(高リスク)の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
新たに診断された高リスクの小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療では、寛解導入療法、地固め療法/強化療法、維持療法の各段階で併用化学療法が行われます。高リスク群ALLの小児では、特に地固め/強化療法の段階で投与される抗がん剤の種類や用量が標準リスク群の小児よりも多くなります。
髄腔内化学療法と全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。
高リスクALLに関する臨床試験では、新しい化学療法レジメンと、場合によって標的療法や幹細胞移植を行う治療法などが研究されています。キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法も研究されています。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 小児急性リンパ芽球性白血病(超高リスク)の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
新たに診断された超高リスクの小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療では、寛解導入療法、地固め療法/強化療法、維持療法の各段階で併用化学療法が行われます。超高リスクALL群の小児には、高リスク群の小児より多くの抗がん剤が投与されます。第一寛解期の幹細胞移植で生存期間が延長するかどうかは、明らかではありません。
髄腔内化学療法と全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。
超高リスクALLに関する臨床試験で、新しい化学療法レジメンと場合により標的療法を行う治療法が研究されています。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 小児急性リンパ芽球性白血病(特殊な病型)の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
T細胞小児急性リンパ芽球性白血病
新たに診断されたT細胞小児急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)の治療では、寛解導入療法、地固め療法/強化療法、維持療法の各段階で併用化学療法が行われます。T-ALLの小児には、新たに診断された標準リスク群の小児より多くの抗がん剤が高用量で投与されます。
髄腔内化学療法と全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。
ALLの乳児
新たに診断されたALLの乳児の治療では、寛解導入療法、地固め療法/強化療法、維持療法の各段階で併用化学療法が行われます。ALLの乳児では、抗がん剤の種類や用量が標準リスク群の1歳以上の小児よりも多くなります。第一寛解期の幹細胞移植で生存期間が延長するかどうかは、明らかではありません。
ALLを患っている10歳以上の小児と青年
小児と青年(10歳以上)の新たに診断されたALLの治療では、寛解導入療法、地固め療法/強化療法、維持療法の各段階で併用化学療法が行われます。ALLを患う10歳以上の小児と青年では、抗がん剤の種類や用量が標準リスク群の小児よりも多くなります。
髄腔内化学療法と全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。
10歳以上のALLの小児と青年を対象とする臨床試験では、新しい抗がん剤が検討されているほか、場合により標的療法を伴う化学療法レジメンなどの治療法が研究されています。キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法も研究されています。
フィラデルフィア染色体陽性ALL
新たに診断されたフィラデルフィア染色体陽性の小児ALLの治療では、寛解導入療法、地固め療法/強化療法、および維持療法の段階で、以下の治療が行われる場合があります:
髄腔内化学療法と全身化学療法を実施して、白血病細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。
臨床試験でフィラデルフィア染色体陽性の小児ALLを対象に研究されている治療法としては、新しい標的療法レジメン(メシル酸イマチニブ)と併用化学療法を施行し、場合により幹細胞移植を行う療法などがあります。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 難治性または再発小児急性リンパ芽球性白血病の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
再発小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)で、骨髄に再発した場合の標準治療としては、以下のようなものがあります:
難治性小児ALLには標準治療はありません。
難治性または再発小児ALLの他の治療法には以下のようなものがあります。
骨髄以外に再発した小児ALLの標準治療には以下のようなものがあります:
臨床試験で再発小児ALLを対象に研究されている治療法としては、以下のものがあります:
- 小児急性リンパ芽球性白血病についてさらに学ぶために
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米国国立がん研究所が提供している小児急性リンパ芽球性白血病に関する詳しい情報については、以下をご覧ください:
小児がんに関する情報と一般的ながんに関するその他の資源については、以下をご覧ください:
- 本PDQ要約について
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PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、小児急性リンパ芽球性白血病の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。
本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Acute Lymphoblastic Leukemia Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/leukemia/patient/child-all-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389385]
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免責事項
PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。
お問い合わせ
Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。