ご利用について
このPDQがん情報要約では、小児の腎がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- 小児の腎がんとは
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腎がんは、片側または両側の腎臓の細胞が無秩序に増殖するようになって腫瘍を形成することで発生します。小児や青年期に発生することがある腎腫瘍には多くの種類があります。良性の(がんではない)ものもあれば、がんもあります。小児に発生する腎腫瘍の大半はがんです。良性腫瘍はがんのように拡がることはありませんが、健康状態や腎機能に影響を及ぼす可能性があります。通常は、良性の場合も悪性の場合も治療が必要です。
腎臓は、ちょうど腰の高さで脊椎の両側に位置する、豆のような形をした左右一対の臓器です。その主な役割は、体内の老廃物や過剰な水分を除去して尿を生成することです:
左右の腎臓、尿管、膀胱、尿道を示した泌尿器系の解剖図。左の腎臓の内部には腎盂が示されています。拡大図には尿細管と尿が示されています。脊椎と副腎も示されています。尿は尿細管の中で作られ、それぞれの腎臓の腎盂に集められます。尿は腎臓から尿管を通って膀胱に流れます。尿は膀胱に溜められた後、尿道を通って体外に排出されます。 - 小児における腎がんの症状
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場合によっては、小児腎がんは症状を引き起こします。しかし、ときに親が偶然、腹部に腫瘤を見つけることもあります。あるいは、小児健診で医師が腫瘍を発見する場合があります。以下の症状がみられる場合は、お子さんの担当医に相談するべきです:
これらの症状は他の原因によって引き起こされることもあります。状況を把握する唯一の方法は、お子さんが医師の診察を受けることです。
- 小児の腎がんの診断に用いられる検査
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小児に腎がんを示唆する症状がみられる場合、それらの原因ががんなのか、それとも別の問題なのかを医師が確認する必要があります。医師は症状がいつから始まり、どのくらいの頻度で起きているかを質問します。医師はまた、保護者に小児の病歴と家族歴をたずね、身体診察を行います。それらの結果に応じて、ほかの検査を勧めることもあります。それらの検査の結果は、腎がんと診断された場合に治療計画を立てるのに役立ちます。
このほかに腎がんの診断に用いられることがある検査として、以下のものがあります:
血算(全血球算定)
血算では、以下の項目について血液のサンプルを調べます:
血液生化学検査
血液生化学検査は、採取した血液を用いて、臓器や組織から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法です。ある物質で異常な値が出るということは、肝臓や腎臓が正常に機能していないことの徴候である可能性があります。
腎機能検査
腎機能検査では、採取した血液または尿を用いて、腎臓から血中または尿中に放出される特定の物質の濃度を測定します。ある物質で異常な値が出るということは、腎臓が正常に機能していないことの徴候である可能性があります。
尿検査
尿検査では、尿の色と尿に含まれる成分(糖、蛋白、血液、細菌など)を調べます。
超音波検査
超音波検査は、周波数の高い音波を体内の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法です。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。
腹部超音波検査。コンピュータに接続された超音波プローブを腹部の皮膚に押しあてます。プローブから出た音波は体内の臓器や組織で反射してエコーを生じさせ、そのエコーからソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。 CTスキャン
CTスキャンは、X線装置に接続したコンピュータを用いて胸部、腹部、骨盤など体内領域の精細な連続画像を作成する検査法です。様々な角度から画像が撮影され、それらを用いて組織と臓器の3次元画像が作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに飲んでもらったりします。この検査法はコンピュータ断層撮影とも呼ばれます。詳細については、CTスキャンとがん(英語)をご覧ください。
コンピュータ断層撮影(CTスキャン)。患者さんが台の上に横たわり、その台がCT装置の中を水平に移動する間に、体内の精細なX線画像が連続で撮影されます。 ガドリニウムを使用するMRI(磁気共鳴画像)検査
MRI検査は、磁気、電波、コンピュータを用いて腹部や骨盤など体内領域の精細な連続画像を作成する検査法です。まずガドリニウムと呼ばれる物質を静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。
MRIスキャン。小児の患者さんは台の上に横たわり、この台がMRI装置内を水平に移動するうちに体内の詳細な連続した画像が撮影されます。台の上で小児がとる姿勢は、撮影する体の部位によって異なります。 X線検査
X線は体を通過できる放射線の一種で、体内の領域の写真を撮影することができます。
PET-CTスキャン
PET-CTスキャンは、PET(陽電子放射断層撮影)スキャンとCT(コンピュータ断層撮影)スキャンから得られた画像を組み合わせたものです。PETスキャンとCTスキャンが同じ装置で同時に行われます。これらのスキャンを組み合わせることで、それぞれを単独で行った場合よりも詳細な情報をもつ画像が得られます。
生検
生検とは、腫瘍から細胞や組織のサンプルを採取する手技のことで、採取されたサンプルは病理医が顕微鏡で観察して、がんがないか調べます。お子さんに対して生検を行うかどうかは、以下に基づいて決定します:
生検は状況に応じて、治療の前に行う場合、腫瘍を小さくする化学療法の後に行う場合、腫瘍を切除する手術の中で行う場合があります。
- セカンドオピニオンを受ける
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子どもの診断を確定して治療計画を立てるにあたって、保護者はセカンドオピニオンを求めることができます。セカンドオピニオンを求めるときは、最初の担当医に医学的検査の結果と報告書を提供してもらい、それらを別の医師と共有する必要があります。2人目の医師は、病理報告書、スライド、検査画像を確認します。そして、最初の医師の見解に同意するか、治療計画の変更を提案したり、患者さんの腫瘍について新たな情報を提供したりします。
医師を選んでセカンドオピニオンを受けるプロセスの詳細については、がん治療の医療機関を探す(英語)をご覧ください。セカンドオピニオンを提供できる医師や病院の情報については、NCIのCancer Information Serviceまで、チャット、電子メール、電話(英語とスペイン語に対応)でお問い合わせください。受診時に聞いておくとよい質問については、がんについて主治医に尋ねるべき質問(英語)をご覧ください。
- 腎がんの小児に対する遺伝カウンセリング
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お子さんが腎がんと診断された場合、腎がんの発生リスクを高める遺伝性疾患が原因であったかどうかは、家族歴だけでは明確にならない場合があります。遺伝カウンセリングでは、お子さんのがんが遺伝性である可能性と遺伝子検査が必要かどうかを評価することができます。遺伝カウンセラーを始めとする特別な訓練を受けた医療専門職がお子さんの診断と家族歴について議論することで、以下のことを明らかにする手がかりが得られます:
遺伝カウンセラーはまた、あなたがお子さんの遺伝子検査の結果に対処する手助けをすることもできます。具体的なポイントとしては、結果についてご家族とどのように話し合うかなどが挙げられます。他のご家族も遺伝子検査を受けるべきかどうかについて助言することもできます。
遺伝子検査の詳細については、遺伝性がんリスクに対する遺伝子検査(英語)をご覧ください。
- 小児の腎がんの病期
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小児が腎がんと診断されると、小児腫瘍専門医に紹介されます。小児腫瘍専門医は小児のがんの病期診断と治療を専門とする医師です。
病期診断とは、体内でのがんの拡がりの程度を調べるプロセスのことを指します。がんが腎臓の内部にとどまっている場合もあります。あるいは、他の部位に拡がっている場合もあります。医師は、がんが拡がっているかどうか、拡がっている場合はどの程度拡がっているかを調べる検査を勧めます。
腎細胞がんの成人および小児に適用されるTNM病期分類システムについては、腎細胞がんの病期をご覧ください。
腎ラブドイド腫瘍、腎明細胞肉腫、または腎未熟型肉腫に適用される小児腫瘍学グループの病期分類の詳細については、ウィルムス腫瘍の病期をご覧ください。
治療後に再発した腎がんは再発腎がんと呼ばれます。がんが再発したことを示す徴候がお子さんに認められた場合、お子様の体内のどこにがんが存在するのか、また転移しているかどうかを調べるための検査が行われます。治療法は、腎がんの種類と再発が起きた部位によって異なります。
- 小児の腎がんの種類
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小児に発生する腎がんには多くの種類があります。腎がんの種類は多くの場合、がん細胞を顕微鏡で観察したときの外観、腫瘍にみられることのある特定の遺伝学的変化、その他の検査結果に基づいて決定されます。
ウィルムス腫瘍
ウィルムス腫瘍(辞書用語)は、15歳未満の小児で最もよくみられる腎がんです。片側または両側の腎臓に発生します。このがんは、肺、肝臓、骨、脳、付近のリンパ節などに転移することがあります。詳細については、ウィルムス腫瘍(サマリー)をご覧ください。
腎細胞がん(RCC)
腎細胞がんは、15~19歳の青年と成人で最もよくみられる種類の腎がんです。このがんは15歳未満の小児ではまれです。RCCは、小児および青年では診断時にすでに進行している場合が多いです。がんが発見された時点で、すでに肺、肝臓、骨、脳、またはリンパ節に転移していることがあります。
急速に増殖して拡がりやすい、まれな亜型の腎細胞がんとして、腎髄質がんがあります。
RCCの原因とリスク因子
小児RCCは、腎細胞の機能、特に細胞の成長や分裂方法において特定の変化が生じることによって発生します。そうした変化が生じる正確な原因は多くの場合、不明です。がんの発生の詳細について、がんとは何か(英語)をご覧ください。
リスク因子とは、疾患発症リスクを高めるあらゆる要因を指します。リスク因子をもっている全ての小児がRCCを発症するわけではありません。また、既知のリスク因子を持たない小児に発症することもあります。
RCCは、特定の遺伝性疾患や、神経芽腫、軟部組織肉腫、白血病、ウィルムス腫瘍などの小児がんに対する化学療法や放射線療法といった過去のがん治療と関連している可能性があります。
RCCに関係がある遺伝性疾患としては以下のものがあります:
お子さんにリスクがあるかもしれないと思われる場合は、お子さんの主治医に相談してください。
腎細胞がん(RCC)リスクのある小児の経過観察
お子さんがVHL病である場合、RCCを発症するリスクが高くなります。腎腫瘍がないか調べるために、腹部超音波検査やMRI検査などの定期検査を8~11歳から開始して毎年行い、経過観察することがあります。
腎細胞がん(RCC)の治療
腎細胞がんの治療法には以下のようなものがあります:
これらの治療法については、治療法のセクションをご覧ください。
治療後にがんが再発した場合は、予想される経過と次の対応について主治医から説明があります。治療の選択肢としては、がんを縮小させるものや、増殖をコントロールするものが考えられます。治療選択肢がない場合は、がんの症状をコントロールするためのケアを受けることができ、それによりできるだけ快適に過ごすことができます。
腎ラブドイド腫瘍
腎ラブドイド腫瘍は、大半が乳児と幼児に発生するがんの一種です。診断時点で進行している場合が多く、急速に増殖して拡がり、肺や脳に転移することがよくあります。
SMARCB1またはSMARCA4遺伝子に特定の変化がみられる小児では、腎臓、脳、軟部組織でがんが増殖することがあります。SMARCB1遺伝子に変化が認められる小児には、ラブドイド腫瘍が腎臓や脳に発生していないかどうかを確認するための検査が定期的に行われます。
腎ラブドイド腫瘍の原因とリスク因子
腎ラブドイド腫瘍は、腎臓細胞の機能、特に細胞の成長や分裂の方法に特定の変化が生じることで引き起こされます。そうした変化が生じる正確な原因は多くの場合、不明です。がんの発生の詳細について、がんとは何か(英語)をご覧ください。
リスク因子とは、疾患発症リスクを高めるあらゆる要因を指します。SMARCB1またはSMARCA4遺伝子に特定の変化がみられる小児では、腎臓、脳、軟部組織でがんが発生するリスクが高まっている可能性があります。これらのリスク因子をもっている全ての小児が腎ラブドイド腫瘍を発症するわけではありません。また、既知のリスク因子を持たない小児に発症することもあります。
お子さんにリスクがあるかもしれないと思われる場合は、お子さんの主治医に相談してください。
腎ラブドイド腫瘍のリスクがある小児のモニタリング
お子さんのSMARCB1遺伝子に遺伝性の変化が認められる場合、腎ラブドイド腫瘍やその他の種類のがんを発症するリスクが高い可能性があります。出生から5歳まで、がんがないか調べるために、3カ月ごとの脳MRI検査および腹部超音波検査を含む定期検査が行われる場合があります。
腎明細胞肉腫
腎明細胞肉腫は、3歳未満に最も多く発生する稀ながんです。骨、肺、脳、肝臓、軟部組織に転移することがあります。大半の再発が治療後3年以内にみられます。しかし、まれですが、最長で治療の14年後に再発することもあります。腎明細胞肉腫は脳や肺に再発することがよくあります。
I期の腎明細胞肉腫の治療法には以下のようなものがあります:
II期、III期、IV期の腎明細胞肉腫の治療法には以下のようなものがあります:
再発腎明細胞肉腫の治療法としては、化学療法、外科的切除(可能な場合)、放射線療法などがあります。
これらの治療法については、治療法のセクションをご覧ください。
先天性中胚葉性腎腫
先天性中胚葉性腎腫は、生後1年以内または出生前に診断されることが多い腎臓の腫瘍です。生後6カ月未満の乳児に最もよく発生する腎腫瘍で、女児より男児に多くみられます。
この種の腫瘍の一部には、転座と呼ばれる特定の遺伝学的変化を伴う細胞がみられます。転座とは、ある染色体の一部が別の染色体の一部と入れ替わった状態のことです。先天性中胚葉性腎腫では、12番染色体上のETV6遺伝子が別の染色体上のNTRK3遺伝子と入れ替わることで、異常な遺伝子が形成されます。
先天性中胚葉性腎腫のI期およびII期の小児とIII期の一部の小児に対する治療法としては、手術があります。
III期の先天性中胚葉性腎腫の一部の小児に対する治療法としては、手術後に化学療法を行う場合があります。
再発先天性中胚葉性腎腫の治療法には以下のようなものがあります:
これらの治療法については、治療法のセクションをご覧ください。
腎臓のユーイング肉腫
腎臓のユーイング肉腫は、通常は若年成人に発生するまれながんです。若年成人では通常、急速に増殖して他の部位に転移する大きな腫瘍として診断されます。このがんは肺、肝臓、骨に転移することがあります。
腎臓のユーイング肉腫に対する標準的な治療法は確立されていません。治療法には、手術、化学療法、放射線療法の併用があります。
この腫瘍にはユーイング肉腫の治療と同じ治療法も用いられます。詳細については、ユーイング肉腫の治療をご覧ください。
原発性腎筋上皮がん
原発性腎筋上皮がんは、急速に増殖して拡がる、まれながんです。通常は軟部組織に発生しますが、ときに腎臓などの内臓にみられることもあります。
原発性腎筋上皮がんに対する標準的な治療法は確立されていません。治療法には、手術、化学療法、放射線療法の併用があります。
これらの治療法については、治療法のセクションをご覧ください。
治療後にがんが再発した場合は、予想される経過と次に取ることができる対応について主治医から説明があります。治療の選択肢としては、がんを縮小させるものや、増殖をコントロールするものが考えられます。治療法がない場合は、がんの症状をコントロールするためのケアを受けることができ、それによりできるだけ快適に過ごすことができます。
多房性嚢胞性腎腫
多房性嚢胞性腎腫は、嚢胞で構成される良性腫瘍です。主に乳児、幼児、成人女性にみられます。この種の腫瘍は片側または両側の腎臓に発生します。
多房性嚢胞性腎腫は、腎臓細胞の機能、特に細胞の成長や分裂の方法に特定の変化が生じることで引き起こされます。そうした変化が生じる正確な原因は多くの場合、不明です。がんの発生の詳細について、がんとは何か(英語)をご覧ください。
リスク因子とは、疾患が発生する可能性を増大させるあらゆる要因のことです。多房性嚢胞性腎腫は、DICER1遺伝子の変化によって引き起こされる遺伝性疾患の場合があります。このリスク因子をもっている全ての小児が多房性嚢胞性腎腫を発症するわけではありません。また、リスク因子が認められない小児が発症することもあります。お子さんにリスクがあるかもしれないと思われる場合は、お子さんの主治医に相談してください。
DICER1遺伝子に変化が認められる小児には、肺の嚢胞や胸膜肺芽腫と呼ばれる充実性腫瘍がないか調べるための画像検査が行われることがあります。詳細については、胸膜肺芽腫をご覧ください。
多房性嚢胞性腎腫の治療には手術があります。この治療法については、治療法のセクションをご覧ください。
治療後にがんが再発した場合は、予想される経過と次に取ることができる対応について主治医から説明があります。治療の選択肢としては、がんを縮小させるものや、増殖をコントロールするものが考えられます。治療法がない場合は、がんの症状をコントロールするためのケアを受けることができ、それによりできるだけ快適に過ごすことができます。
腎未熟型肉腫
腎未熟型肉腫はまれながんで、15歳未満の小児または青年に最もよくみられます。腎未熟型肉腫は頻繁に肺、肝臓、骨に転移します。
腎未熟型肉腫は、腎臓細胞の機能、特に細胞の成長や分裂の方法に特定の変化が生じることで引き起こされます。そうした変化が生じる正確な原因は多くの場合、不明です。がんの発生の詳細について、がんとは何か(英語)をご覧ください。
リスク因子とは、疾患が発生する可能性を増大させるあらゆる要因のことです。腎未熟型肉腫は、DICER1遺伝子の変化によって引き起こされる遺伝性疾患の場合があります。このリスク因子をもっている全ての小児が腎未熟型肉腫を発症するわけではありません。また、リスク因子が認められない小児が発症することもあります。お子さんにリスクがあるかもしれないと思われる場合は、お子さんの主治医に相談してください。
DICER1遺伝子に変化が認められる小児には、嚢胞や胸膜肺芽腫と呼ばれる充実性腫瘍がないか肺を調べるための画像検査が行われることがあります。詳細については、胸膜肺芽腫をご覧ください。
腎未熟型肉腫に対する標準的な治療法は確立されていません。治療は通常、退形成型ウィルムス腫瘍またはユーイング肉腫の場合と同じです。詳細については、ウィルムス腫瘍(サマリー)またはユーイング肉腫の治療をご覧ください。
原発性腎滑膜肉腫
原発性腎滑膜肉腫は、若年成人の右の腎臓に発生することが多い、嚢胞様の形態をとるがんです。この種の腫瘍は急速に増殖して拡がります。
一部の腫瘍には、転座と呼ばれる特定の遺伝学的変化を伴う細胞がみられます。転座とは、ある染色体の一部が別の染色体の一部と入れ替わった状態のことです。原発性腎滑膜肉腫では、18番染色体上のSS18遺伝子が別の染色体上のSSX遺伝子と入れ替わることで、異常な遺伝子が形成されます。原発性腎滑膜肉腫の診断を下すために、この遺伝学的変化がないか、腫瘍細胞を調べる場合があります。
原発性腎滑膜肉腫の治療としては、通常は手術が行われ、場合により化学療法も行われます。これらの治療法については、治療法のセクションをご覧ください。
治療後にがんが再発した場合は、予想される経過と次に取ることができる対応について主治医から説明があります。治療の選択肢としては、がんを縮小させるものや、増殖をコントロールするものが考えられます。治療法がない場合は、がんの症状をコントロールするためのケアを受けることができ、それによりできるだけ快適に過ごすことができます。
腎芽腫症
腎芽腫症(びまん性過形成辺葉腎芽腫症とも呼ばれます)は、がんではありません。しかし、治療しないでおくと、がんの一種であるウィルムス腫瘍に変化する可能性があります。
ときに、胎児期に腎臓が形成された後に、腎臓の異常な細胞の集団が残存することがあります。それらの異常な細胞群が腎臓内のあちこちで増殖したり、腎臓の周囲に厚い層を形成したりすることがあります。これらは両側の腎臓に発生することが多いです。片側の腎臓においてウィルムス腫瘍の手術後にこれらの細胞がみられる場合は、もう一方の腎臓にもウィルムス腫瘍が発生するリスクが高いと考えられます。
腎芽腫症の治療法には、化学療法とその後の腎摘出術などがあります。ときに、腎機能をできるだけ多く温存させるために、腎部分切除術が行われることもあります。これらの治療法については、治療法のセクションをご覧ください。
- 小児の腎がんの治療法
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腎がんの小児の治療を担う医療従事者
小児腎がんの治療は、小児がんの治療を専門とする小児腫瘍医が監督します。小児腫瘍医は、小児腎腫瘍患者の治療に精通し、同時に特定の医療分野を専門とする他の医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。ほかにも以下の専門家が関与することがあります:
治療選択肢
小児と青年の腎がんに対する治療法には様々なものがあります。保護者と担当のがん治療チームが協力して、治療法を決定します。治療法は、小児の全体的な健康状態や、がんが新たに診断されたものかそれとも再発したものかなどの要因によって異なります。
小児の治療計画では、がんについての情報、治療の目標、治療選択肢、起こりうる副作用などが検討対象に含まれます。治療に先立って担当のがん治療チームと今後の見通しについて話し合うことが助けになります。実際の進め方については、NCIの小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)をご覧ください。
以下のような治療法があります:
手術
腎がんの小児には、生検サンプルを採取したり、がんを切除したりする手術が行われることがあります。腎がんの治療に用いられる手術には2つの種類があります:
手術時に視認できるがんを全て切除した場合も、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法、放射線療法、またはその両方が行われることがあります。ときに化学療法または放射線療法の実施後に、がんが残っていないか確認するためにセカンドルック手術が行われることがあります。
以下のいずれかの理由で、腎がんを切除できない場合もあります:
こうした場合は、最初に生検が行われます。その後、手術の前に腫瘍を小さくするために化学療法が行われます。このアプローチの目標は、健康な組織をできるだけ多く残して、手術後の問題を少なくすることです。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。外照射療法と呼ばれる放射線療法の一種が小児腎腫瘍の治療に用いられます。これは、体外に設置された装置を用いて、がんのある領域に放射線を照射する方法です。放射線療法は単独で行われることもあれば、化学療法など他の治療と併用されることもあります。
詳細については、がんの外照射療法(英語)と放射線療法の副作用(英語)をご覧ください。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりする治療法です。化学療法は単独で行われることもあれば、放射線療法など他の治療法と併用されることもあります。
腎がんの小児では、化学療法の薬剤を口から投与するか、静脈に注射します。この方法で投与すると、化学療法の薬剤を血流に入れて、全身のがん細胞に到達させることができます。腎がんの治療には、以下の化学療法の薬剤が単独または併用で用いられます:
ここに挙げていない化学療法薬も使用されることがあります。
ときに腫瘍を小さくするために、手術前に化学療法が行われることがあります。手術前に腫瘍を縮小させることは、健康な組織をできるだけ多く残して、手術後の問題を少なくするのに役立ちます。これを術前補助化学療法といいます。
化学療法の効果、投与方法、よく発生する副作用などの詳細については、化学療法によるがん治療(英語)をご覧ください。
免疫療法
免疫療法は、お子さんの免疫系を利用して、がんと戦う治療法です。小児の腎がんの治療に用いられることがある免疫療法には、インターロイキン-2(IL-2)があります。
免疫療法の詳細については、免疫療法によるがん治療(英語)をご覧ください。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植は、がん細胞を死滅させるための大量化学療法で破壊された造血幹細胞を新しく補充する治療です。大量化学療法を行う前に、お子さん自身から血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を採取して、それを凍結保存しておきます。化学療法の終了後に、凍結させておいた造血幹細胞を解凍し、それを点滴でお子さんの体内に戻します。すると、それらの幹細胞が増殖して成長することで、血液の機能が回復します。
分子標的療法
分子標的療法は、特定のがん細胞を認識して攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。小児腎がんの治療に用いられているか、研究されている分子標的療法には以下のものがあります:
詳細については、分子標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。
臨床試験
患者さんによっては、臨床試験への参加が選択肢の1つになる場合もあります。小児がんを対象とする臨床試験にはいくつかの種類があります。例えば、治療の臨床試験では、新しい治療法や既存の治療法の新しい利用方法が検証されます。支持療法や緩和ケアの臨床試験では、生活の質を改善する方法が検討され、特にがんの影響やその治療による副作用がみられる人が対象になります。
NCIの臨床試験検索から、参加を受け付けているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。この検索では、がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて試験を絞り込むことができます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
探し方や参加方法など、臨床試験の詳細については、患者さんと介護者のための臨床試験情報(英語)をご覧ください。
- 小児の腎がんの予後因子
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子どもが腎がんと診断されると、多くの保護者は、そのがんの重症度や生存の可能性を知りたくなるでしょう。疾患がどのような経過をたどるかの見通しを予後といいます。
腎細胞がんの予後は以下の要因に左右されます:
腎ラブドイド腫瘍の予後は以下の要因に左右されます:
腎明細胞肉腫の予後は以下の要因に左右されます:
治療に対する反応には個人差があり、大きな差がみられる場合もあります。保護者が子どもの予後について知りたい場合は、担当のがん治療チームと話をするのが最善です。
- 治療の副作用および晩期合併症(晩期障害)
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がん治療は副作用を引き起こす可能性があります。お子さんに起こる副作用は、受けている治療の種類、用量、および体の反応によって異なります。注意すべき副作用とその対処法について、担当の治療チームとよく話をしてください。
がんの治療中に発生する副作用の詳細については、副作用(英語)のページをご覧ください。
がん治療による問題のうち、治療後6カ月以降に始まって月単位または年単位で続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:
晩期合併症(晩期障害)には治療やコントロールが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに生じうる影響について担当医とよく話をすることが重要です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。
- フォローアップケア
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治療を進める中で、定期的に検査や診察が行われます。がんの診断のために実施された検査の中には、繰り返し行われるものもあります。治療効果を確認するために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定がそれらの検査結果に基づいて判断されることもあります。
治療が終了した後も、引き続き一部の検査が度々行われます。それらの検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんが再発したかどうかを知ることができます。
フォローアップ検査の詳細については、小児の腎がんの診断に用いられる検査をご覧ください。
- 子どもの腎腫瘍への対処
小児が腎腫瘍を発症すると、そのご家族全員に対してサポートが必要になります。この困難な時期には、保護者が自分自身のことに気を配ることが重要になります。担当の治療チームやご家族や地域の人々に助けを求めましょう。詳細については、小児がん患者さんのご家族のためにという記事と、小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)という冊子をご覧ください。
- 関連資料
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小児がんに関するさらなる情報や、がん全般に関するその他の資料については、以下をご覧ください:
- 本PDQ要約について
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PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所(NCI)が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、小児の腎がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。
本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Kidney Cancer in Children.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/kidney/patient/childhood-kidney-cancer.Accessed <MM/DD/YYYY>.
本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、3,000以上の科学関連の画像が収載されています。
免責事項
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