ご利用について
このPDQがん情報要約では、ウィルムス腫瘍とその他の小児腎腫瘍の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- ウィルムス腫瘍とは
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ウィルムス腫瘍(腎芽腫とも呼ばれます)は、15歳未満の小児で最もよくみられる種類の腎がんです。米国では、毎年約650人の小児がこの診断を受けており、その大半が2歳から5歳です。ウィルムス腫瘍は年長の青年と成人にも発生する可能性がありますが、これはまれです。
腎臓は、腰の高さで脊椎の両側に位置する、豆のような形をした臓器です。主な役割は、体内の老廃物や過剰な水分を除去して尿を生成することです:
左右の腎臓、尿管、膀胱、尿道を示した泌尿器系の解剖図。左の腎臓の内部には腎盂が示されています。拡大図には尿細管と尿が示されています。脊椎と副腎も示されています。尿は尿細管で作られ、それぞれの腎臓の腎盂に集められます。尿は腎臓から尿管を通って膀胱に流れます。尿は膀胱に溜められた後、尿道を通って体外へ排出されます。 ウィルムス腫瘍は片側または両側の腎臓に影響を及ぼす可能性があります。肺、肝臓、骨、脳、リンパ節など、体の他の部位に転移することがあります。
嚢胞性部分的分化型腎芽腫と呼ばれる、まれな種類のウィルムス腫瘍は、嚢胞で構成され、通常は幼児に発生します。
胎児の発育中に、一部の腎細胞が正常に発達しない場合があります。これらの異常な腎細胞群は出生後も片側または両側の腎臓に残存することがあり、一部の症例では、腎芽腫症(びまん性過形成辺葉腎芽腫症とも呼ばれます)やウィルムス腫瘍の発生につながる可能性があります。腎芽腫症(腎臓のがんではない病態)では、これらの異常な細胞群が腎臓内のあちこちで増殖したり、腎臓の周囲に厚い層を形成したりすることがあります。これらの異常な細胞群は、多くの場合、両側の腎臓に発生します。腎芽腫症はがんではありませんが、治療せずに放置していると、ウィルムス腫瘍に発展する可能性があります。ウィルムス腫瘍により片側の腎臓を摘出し、摘出した腎臓に腎芽腫症が発見された場合は、もう一方の腎臓にもウィルムス腫瘍が発生するリスクが高くなります。
- ウィルムス腫瘍の原因とリスク因子
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ウィルムス腫瘍は、腎細胞の挙動、特に成長して新しい細胞に分裂する過程での挙動に特定の変化が生じることで発生します。そうした変化が生じる正確な原因は多くの場合、不明です。がんの発生の詳細について、がんとは何か(英語)をご覧ください。
リスク因子とは、疾患が発生する可能性を増大させるあらゆる要因のことです。リスク因子をもっている全ての小児が腎腫瘍を発症するわけではありません。また、リスク因子が認められない小児が発症することもあります。
ウィルムス腫瘍は、成長や発達に悪影響を及ぼす遺伝性症候群の一部として発生することがあります。遺伝性症候群とは、遺伝子に起こった特定の変化が原因となって同時に発生する一連の徴候や症状、または病態のことです。特定の病態や環境曝露によっても、お子さんのウィルムス腫瘍の発生リスクは増大することがあります。ウィルムス腫瘍との関連性が判明しているものは以下の通りです:
お子さんにリスクがあるかもしれないと思われる場合は、担当の医師に相談してください。
- ウィルムス腫瘍のリスクがある小児のモニタリング
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小児によっては、ウィルムス腫瘍のリスクが高い場合があります。定期的な検査は、がんをより早期に発見し、お子さんの生存の可能性を高めるのに役立つ可能性があります。ウィルムス腫瘍のリスクが高い小児では、少なくとも8歳になるまで、3カ月ごとにウィルムス腫瘍に対して腹部超音波検査が行われる場合があります。この検査により、小型のウィルムス腫瘍も症状が現れる前に発見することができます。
ベックウィズ-ヴィーデマン症候群または片側肥大の小児に対する検査
ベックウィズ-ヴィーデマン症候群または片側肥大の小児は、肝臓、副腎、腎臓に腫瘍が発生するリスクがあります。これらの小児には、症状が現れる前にウィルムス腫瘍を発見するための検査を行うことがあります。検査スケジュールには以下が含まれます:
無虹彩症の小児に対する検査
無虹彩症で遺伝子に特定の変化が認められる小児では、ウィルムス腫瘍がないか調べるために、8歳になるまで3カ月ごとに腹部超音波検査を行うことがあります。
もう一方の腎臓にウィルムス腫瘍が発生するリスクがある小児に対する検査
一部の小児は、両側の腎臓で同時にウィルムス腫瘍と診断されることがあります。片側の腎臓にできたウィルムス腫瘍の治療に成功した後に、もう一方の腎臓にウィルムス腫瘍ができる小児もいます。もう一方の腎臓にウィルムス腫瘍が発生するリスクがある小児は、新たな腫瘍がないかモニタリングするために最長8年間にわたって3カ月ごとに腹部超音波検査を受けるべきです。
- ウィルムス腫瘍の症状
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場合によっては、ウィルムス腫瘍は症状を引き起こすことがあります。しかし、ときに親が子どもの腹部のしこりに気づいたり、子どもの腹部が以前より大きく見えることに気づいたりすることがあります。一部の症例では、医師が定期的な検診で腫瘍を発見する場合があります。以下の症状がみられる場合は、お子さんの担当医に相談するべきです:
これらの症状は他の問題によっても引き起こされることがあります。状況を把握する唯一の方法は、お子さんが医師の診察を受けることです。
- ウィルムス腫瘍の診断
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小児にウィルムス腫瘍を示唆する症状がみられる場合、それらの原因ががんなのか、それとも別の問題なのかを医師が確認する必要があります。医師は症状がいつから始まり、どのくらいの頻度で起きているかを質問します。医師はまた、保護者に小児の病歴と家族歴をたずね、身体診察を行います。それらの結果に応じて、ウィルムス腫瘍の有無を調べる検査と、腫瘍があった場合に腫瘍の拡がりの程度(病期)を調べる検査を勧めることもあります。
ウィルムス腫瘍の診断に用いられる検査
ウィルムス腫瘍の診断には、以下のような検査法が用いられます。それらの検査の結果は治療計画を立てるのに役立ちます。
臨床検査
画像検査と手技
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超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を体内の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法です。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。腎腫瘍の診断では腹部の超音波検査が実施されます。
腹部超音波検査。コンピュータに接続された超音波振動子を腹部の皮膚に押しあてます。振動子から出た音波は体内の臓器および組織で反射してエコーを生じ、そのエコーからソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。 -
CTスキャンは、X線装置に接続したコンピュータを用いて胸部、腹部、骨盤など体内領域の精細な連続画像を作成する検査法です。様々な角度から画像が撮影され、それらを用いて組織と臓器の3次元画像が作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影とも呼ばれます。詳細については、CTスキャンとがん(英語)をご覧ください。
CT(コンピュータ断層撮影)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がCT装置の中を水平に移動する間に、体内の精細なX線画像が連続で撮影されます。 -
ガドリニウムを使用するMRI(磁気共鳴画像)検査は、磁気、電波、コンピュータを用いて腹部や骨盤など体内領域の精細な連続画像を作成する検査法です。まずガドリニウムと呼ばれる物質を静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。
MRI(磁気共鳴画像)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がMRI装置の中を水平に移動する間に、体内の精細な画像が連続で作成されます。台の上で患者さんがとる姿勢は、撮影する体の部位によって異なります。 - X線は放射線の一種で、これを人の体に通して、胸部や腹部などの体内領域の写真を撮影することができます。
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PET-CTスキャンは、PET(陽電子放射断層撮影)スキャンとCT(コンピュータ断層撮影)スキャンから得られた画像を組み合わせたものです。PETスキャンとCTスキャンが同じ装置で同時に行われます。これらのスキャンを組み合わせることで、それぞれを単独で行った場合よりも詳細な情報をもつ画像が得られます。
- PETスキャンでは、少量の放射性グルコース(放射線を放出するブドウ糖)を静脈内に注射します。体の周囲を回転するPETスキャナという装置を用いて、体内でグルコースが消費されている領域を示した画像を作成します。がん細胞は、正常な細胞よりも活発でブドウ糖をより多く取り込む性質があるため、画像ではより明るく映し出されます。
- CTスキャンでは、様々な角度から精細なX線画像が連続で撮影され、それらを用いて組織と臓器の3次元画像が作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに飲んでもらったりする場合もあります。
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生検とは、腫瘍から細胞や組織のサンプルを採取する手技のことで、採取されたサンプルは病理医が顕微鏡で観察して、がんがないか調べます。生検を行うかどうかは、以下に挙げる状況に基づいて決定します:
- 腫瘍の大きさ。
- がんの病期。腫瘍が手術で切除可能な場合や、I期ウィルムス腫瘍またはII期ウィルムス腫瘍の場合は、生検は行いません。生検を行わない理由は、生検時に腫瘍細胞が拡散することを避けるためです。
- 腫瘍が腎臓のどこにあるかと、がんが片側の腎臓のみにあるか、両側の腎臓にあるか。
- 画像検査で、がんであることがはっきりしているかどうか。
- 小児が臨床試験に参加しているかどうか。
生検は、治療の前、化学療法の後、または手術中に行われることがあります。
ウィルムス腫瘍の病期診断に用いられる検査
お子さんがウィルムス腫瘍と診断された場合、小児腫瘍医に紹介されます。これらの医師は小児がんを専門としています。医師はがんの拡がりの程度を判定するための検査を勧めるでしょう。がんは1カ所にのみ存在する場合もありますが、ときに体の他の部位に転移することもあります。体内でのがんの拡がりの程度を調べるプロセスのことを病期診断といいます。最善の治療計画を立てるためには、腫瘍の病期を把握しておくことが重要です。
ウィルムス腫瘍の病期の判定には、以下のような検査法や手技が用いられます:
臨床検査
- 腎機能検査。
- 肝機能検査では、採取した血液を用いて、肝臓がどの程度機能しているかを調べます。採取した血液を用いて、肝酵素の量を調べるとともに、肝臓から血液中に放出される特定の物質(ビリルビンなど)の濃度を測定します。ある物質で正常値よりも高い値が出るということは、肝臓が正常に機能していないことを示す徴候である可能性があります。
画像検査と手技
- リンパ節生検は、腹部のリンパ節の全体または一部を切除する手技です。採取されたリンパ節は病理医が顕微鏡で組織を観察して、がん細胞の有無を調べます。この手技はリンパ節サンプリングとも呼ばれます。
- 胸部および骨のX線検査。
- CTスキャン。
- PET-CTスキャン。
- MRI(磁気共鳴画像法)。
- 骨シンチグラフィでは、骨の中に活発に分裂している細胞(がん細胞など)が存在していないかを調べます。まずごく少量の放射性物質を静脈内に注射して、血流に乗せて全身に行きわたらせます。その放射性物質にはがんがある骨の領域に集まっていく性質があるため、これをスキャナと呼ばれる装置で検出します。
- 心臓の主要血管の超音波検査は、心臓に血液を戻す血管の中で腫瘍の増殖が始まっていないかを確認するために行います。
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超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を体内の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法です。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。腎腫瘍の診断では腹部の超音波検査が実施されます。
- セカンドオピニオンを受ける
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子どもの診断を確定して治療計画を立てるにあたって、保護者はセカンドオピニオンを求めることができます。セカンドオピニオンを求めるときは、最初の担当医に医学的検査の結果と報告書を提供してもらい、それらを別の医師と共有する必要があります。2番目の医師は、遺伝子検査報告書、病理報告書、スライド、検査画像を確認します。そして、最初の医師の見解に同意するか、治療計画の変更を提案したり、患者さんの腫瘍について新たな情報を提供したりします。
医師を選んでセカンドオピニオンを受けるプロセスの詳細については、がん治療の医療機関を探す(英語)をご覧ください。セカンドオピニオンを提供できる医師や病院の情報については、NCIのCancer Information Serviceまで、チャット、電子メール、電話(英語とスペイン語に対応)でお問い合わせください。受診時に聞いておくとよい質問については、がんについて主治医に尋ねるべき質問(英語)をご覧ください。
- ウィルムス腫瘍の小児に対する遺伝カウンセリング
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ウィルムス腫瘍のある小児がその発生リスクを高める遺伝性疾患を抱えているかどうかは、家族歴から常に明らかになるとは限りません。遺伝カウンセリングでは、お子さんのがんが子孫に遺伝する可能性と遺伝子検査が必要かどうかを評価することができます。遺伝カウンセラーを始めとする特別な訓練を受けた医療専門職がお子さんの診断と家族歴について議論することで、以下のことを明らかにする手がかりが得られます:
- がんのリスクを増大させる可能性のある症候群に対する検査の選択肢
- お子さんに別の種類のがんが発生するリスク
- お子さんの兄弟姉妹に腎腫瘍やその他のがんが発生するリスク
- 遺伝情報を得ることのリスクとメリット
遺伝カウンセラーは遺伝子検査の結果について家族と話し合う方法を助言するなどして、保護者が検査結果に対処するための支援を行います。他のご家族も遺伝子検査を受けるべきかどうかについて助言することもできます。
遺伝カウンセリングは、お子さんに以下が認められる場合に行われることがあります:
- ウィルムス腫瘍のリスクを高める遺伝性症候群や病態
- 両側の腎臓に認められるウィルムス腫瘍
- 2歳までに診断されたウィルムス腫瘍
詳細については、遺伝性のがんリスクに対する遺伝子検査(英語)をご覧ください。
- ウィルムス腫瘍の病期
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病期診断とは、体内でのがんの拡がりの程度を調べるプロセスのことを指します。場合により、がんは腎臓の内部のみに存在します。あるいは、体の他の部位に拡がっている場合もあります。
ウィルムス腫瘍は、病期に加えて、組織型(顕微鏡で観察したときのがん細胞の外観)によっても分類されます。組織型は、ウィルムス腫瘍の予後や治療法に影響を及ぼす要因です。
組織型には予後良好型と退形成型(予後不良型)があります:
I期
I期では、手術で腫瘍が完全に切除されていて、なおかつ以下の条件の全てが満たされます:
II期
II期では、手術で腫瘍が完全に切除されていて、なおかつがんが切除された領域の端の部分にはがん細胞は認められません。がんはリンパ節に転移していません。さらに、腫瘍が切除される前の段階で、次の条件のどちらかも満たされます:
- がんが腎洞(尿管につながっている腎臓の一部)に拡がっている
- がんが腎洞など、腎臓の外側に位置して尿を作る部位の血管に拡がっている
III期
III期では、手術後もがんが腹部に残存していて、なおかつ以下の条件の1つ以上が満たされます:
IV期
IV期では、がんが血液を介して肺や肝臓、骨、脳などの体の他の部位か、腹部外または骨盤外のリンパ節まで転移しています。
V期
V期(両側性)ウィルムス腫瘍では、このがんが最初に診断された時点で、がん細胞が両側の腎臓に認められます。各腎臓のがんは個別にI期、II期、III期、IV期のいずれかに病期分類されます。
再発ウィルムス腫瘍
再発ウィルムス腫瘍とは、治療後に再発したがんのことをいいます。がんが再発したことを示す徴候がお子さんに認められた場合、がんの体内での位置と転移の有無を明らかにするために検査が行われます。
その場合の治療法は、ウィルムス腫瘍の再発部位が腎臓であったか、肺、腹部、肝臓などの他の部位であったかによって異なります。
詳細については、再発ウィルムス腫瘍の治療をご覧ください。
- ウィルムス腫瘍の治療法
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ウィルムス腫瘍の小児の治療を担う医療従事者
小児ウィルムス腫瘍の治療は、小児がんの治療を専門とする小児腫瘍医が監督します。小児腫瘍医は、小児の治療に精通しつつ、同時に特定の医療分野を専門とする他の医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。ほかにも以下の専門家が関与することがあります:
治療選択肢
小児と青年のウィルムス腫瘍に対する治療法には様々なものがあります。保護者と担当のがん治療チームが協力して、治療法を決定します。以下のような数多くの要因が検討されます:
- 全体的な健康状態
- 腫瘍の病期
- 組織型(予後良好型または退形成型)
- 治療後にがんが再発するリスク
- がんが体の他の部位に転移しているかどうか
- がんが両側の腎臓にあるかどうか
- 遺伝性がん症候群があるかどうか
- 新たに診断されたがんか、再発したがんか
治療の目標は、がん細胞を死滅させ、治療による晩期合併症(晩期障害)のリスクを低下させることです。
小児の治療計画では、がんについての情報、治療の目標、治療選択肢、起こりうる副作用などが検討対象に含まれます。治療に先立って担当の治療チームと今後の見通しについて話し合うことが助けになります。実際の進め方については、NCIの小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)をご覧ください。
以下のような治療法があります:
手術
ウィルムス腫瘍の小児には、生検サンプルを採取したり、がんを切除したりする手術が行われることがあります。ウィルムス腫瘍の治療に用いられる手術には2つの種類があります:
手術時に視認できるがんを全て切除した場合も、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法や放射線療法が実施される場合があります。
ときに以下の理由によって、腫瘍を切除できない場合があります:
腫瘍の切除が不可能な場合は、まず生検を行います。その後、腫瘍を小さくして手術が可能になるように、化学療法が行われます。このアプローチの目標は、腎臓の健康な組織をできるだけ多く残して、手術後の問題を少なくすることです。このように手術の前に行われる化学療法は術前補助化学療法と呼ばれます。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。ウィルムス腫瘍の治療には外照射療法が用いられます。この種の治療では、体外に設置された装置を用いて、がんがある部分に放射線を照射します。放射線療法は単独で行われることもあれば、化学療法など他の治療と併用されることもあります。
詳細については、がんに対する外照射療法(英語)と放射線療法の副作用(英語)をご覧ください。
化学療法
化学療法は、薬剤を使用してがん細胞の増殖を阻止する治療法です。化学療法では、その細胞を死滅させるか、その細胞の分裂を停止させます。化学療法は単独で行われることもあれば、放射線療法など他の治療法と併用されることもあります。
ウィルムス腫瘍の小児では、化学療法の薬剤を静脈に注射します。この方法で投与すると、化学療法の薬剤を血流に入れて、全身のがん細胞に到達させることができます。
ウィルムス腫瘍の治療では、化学療法として以下の薬剤が単独または併用で用いられます:
- カルボプラチン
- シクロホスファミド
- アクチノマイシンD
- ドキソルビシン
- エトポシド
- イホスファミド
- イリノテカン
- ビンクリスチン
ここに挙げていない化学療法薬も使用されることがあります。
化学療法は手術前に実施される場合と手術後に実施される場合があります。残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に実施される化学療法は術後補助療法と呼ばれます。
化学療法の効果、投与方法、よく発生する副作用などの詳細については、化学療法によるがん治療(英語)をご覧ください。
造血幹細胞移植
造血幹細胞移植は、がん細胞を死滅させるための大量化学療法で破壊された造血幹細胞を新しく補充する治療です。大量化学療法を行う前に、お子さん自身から採取した血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、それを冷凍庫に保存しておきます。化学療法の終了後に、凍結させておいた造血幹細胞を解凍し、それを点滴でお子さんの体内に戻します。すると、それらの幹細胞が増殖して成長することで、血液の機能が回復します。
臨床試験
患者さんによっては、臨床試験への参加が選択肢の1つになる場合もあります。小児がんを対象とする臨床試験にはいくつかの種類があります。例えば、治療の臨床試験では、新しい治療法や既存の治療法の新しい利用方法が検証されます。支持療法や緩和ケアの臨床試験では、生活の質を改善する方法が検討され、特にがんの影響やその治療による副作用がみられる人が対象になります。
NCIの臨床試験検索から、参加を受け付けているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。この検索では、がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて試験を絞り込むことができます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
探し方や参加方法など、臨床試験の詳細については、患者さんと介護者のための臨床試験情報(英語)をご覧ください。
臨床試験は、治癒が得られる患者の増加など、ウィルムス腫瘍の治療の改善につながっています。
- 病期および組織型ごとのウィルムス腫瘍の治療
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以下の治療法の詳細については、ウィルムス腫瘍の治療法をご覧ください。
I期のウィルムス腫瘍
組織型が予後良好型のI期ウィルムス腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
- リンパ節切除を伴う腎摘出術と、その後の多剤併用化学療法
- 腫瘍の重さが特定の範囲に収まる2歳未満の小児に対しては、リンパ節切除を伴う腎摘出術
退形成型のI期ウィルムス腫瘍の治療は、リンパ節切除を伴う腎摘出術と、その後の多剤併用化学療法と側腹部(体の側部の肋骨と腰骨の間)への放射線療法によって行われます。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
II期のウィルムス腫瘍
組織型が予後良好型のII期ウィルムス腫瘍の治療は、リンパ節切除を伴う腎摘出術とその後の多剤併用化学療法によって行われます。
退形成型のII期ウィルムス腫瘍の治療は、リンパ節切除を伴う腎摘出術と、その後の腹部への放射線療法と多剤併用化学療法によって行われます。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
III期のウィルムス腫瘍
組織型が予後良好型のIII期ウィルムス腫瘍の治療は、リンパ節切除を伴う腎摘出術と、その後の腹部への放射線療法と多剤併用化学療法によって行われます。
退形成型のIII期ウィルムス腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
- リンパ節切除を伴う腎摘出術の後に、腹部への放射線療法と多剤併用化学療法
- 多剤併用化学療法の後にリンパ節切除を伴う腎摘出術を実施し、その後、腹部への放射線療法
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
IV期のウィルムス腫瘍
組織型が予後良好型のIV期ウィルムス腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
- リンパ節切除を伴う腎摘出術の後に、多剤併用化学療法。腫瘍が存在していた部位または腹部の他の部位に対して、放射線療法を行うことがあります。
- 体の他の部位に転移しているがんの治療には、放射線療法。
退形成型のIV期ウィルムス腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
- リンパ節切除を伴う腎摘出術の後に、腹部への放射線療法と多剤併用化学療法
- 化学療法の後に、リンパ節切除を伴う腎摘出術を実施し、その後、腹部への放射線療法
- 体の他の部位に転移しているがんの治療には、放射線療法
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
V期のウィルムス腫瘍と両側性ウィルムス腫瘍を発症するリスクが高い小児
小児によって異なる場合がありますが、V期ウィルムス腫瘍または両側性ウィルムス腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
腎臓に障害があるために腎移植が必要な場合は、通常は治療が終了し、がんの徴候が見られないまま1~2年が経過するまで、移植を延期します。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 嚢胞性部分的分化型腎芽腫の治療
- 再発ウィルムス腫瘍の治療
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以下の治療法については、ウィルムス腫瘍の治療法をご覧ください。
再発ウィルムス腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
- 化学療法、手術、放射線療法の併用
- 大量化学療法と、その後に患者さん自身の造血幹細胞を使用する造血幹細胞移植
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- ウィルムス腫瘍の予後因子
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子どもがウィルムス腫瘍と診断されると、多くの保護者は、そのがんの深刻度や生存の可能性を知りたくなるでしょう。疾患がどのような経過をたどるかの見通しを予後といいます。
ウィルムス腫瘍の予後は以下の要因に左右されます:
- 顕微鏡で見たときに、腫瘍細胞の外観が正常な腎臓細胞とどの程度異なるか(組織型が予後良好型か退形成型か)
- がんの病期
- 年齢
- 染色体や遺伝子に特定の変化がみられるかどうか
- 診断されたばかりのがんか、治療後に再発したがんか
- がんがリンパ節に転移しているかどうか
新たに診断された組織型が予後良好型のウィルムス腫瘍は多くの場合、治癒が望めます。
治療に対する反応には個人差があり、大きな差がみられる場合もあります。保護者が子どもの予後について知りたい場合は、担当の治療チームと話をするのが最善です。
- 治療の副作用および晩期合併症(晩期障害)
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がん治療は副作用を引き起こす可能性があります。起こりうる副作用は、受けている治療の種類、用量、および体の反応によって異なる場合があります。注意すべき副作用とその対処法について、担当の治療チームとよく話をしてください。
がんの治療中に発生する副作用の詳細については、副作用(英語)のページをご覧ください。
がん治療による問題のうち、治療後6カ月以降に始まって月単位または年単位で続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:
晩期合併症(晩期障害)には治療やコントロールが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに生じうる影響について担当医とよく話をすることが重要です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。
ウィルムス腫瘍やそれに関連する問題がある小児には、腎臓に関係する晩期合併症(晩期障害)のモニタリングを行うことがあります。
低用量の化学療法や低線量の放射線療法で、治療の効果を保ちつつ晩期合併症(晩期障害)を軽減できるかどうかを明らかにするために、現在も臨床試験が行われています。
- フォローアップケア
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治療を進める中で、定期的に検査や診察が行われます。がんの診断や病期の判定のために行われた検査の一部が再び行われることもあります。治療効果を確認するために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定がそれらの検査結果に基づいて判断されることもあります。
治療が終わってからも何年も継続して受けることになる検査もあります。それらの検査の結果から、患者さんの状態の変化や、腎臓やその他の臓器の健康状態、がんが再発したかどうかを知ることができます。
フォローアップ検査の詳細については、ウィルムス腫瘍の診断に用いられる検査をご覧ください。
- 子どものがんへの対処
小児ががんを発症すると、そのご家族全員に対してサポートが必要になります。この困難な時期には、保護者が自分自身のことに気を配ることが重要になります。担当の治療チームやご家族や地域の人々に助けを求めましょう。詳細については、小児がん患者さんのご家族のためにという記事と、小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)という冊子をご覧ください。
- 関連資料
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小児がんに関するさらなる情報や、がん全般に関するその他の資料については、以下をご覧ください:
- 本PDQ要約について
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PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所(NCI)が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、ウィルムス腫瘍とその他の小児腎腫瘍の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。
本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Wilms Tumor.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/kidney/patient/wilms-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389390]
本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、3,000以上の科学関連の画像が収載されています。
免責事項
PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。
お問い合わせ
Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。