ご利用について
このPDQがん情報要約では、小児横紋筋肉腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- 小児横紋筋肉腫についての一般的な情報
-
小児横紋筋肉腫は、筋肉組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。
横紋筋肉腫は肉腫の一種です。肉腫とは、軟部組織(筋肉など)、結合組織(腱や軟骨など)、または骨に発生するがんのことです。横紋筋肉腫は通常、骨に付着して体の動きを助けている筋肉から発生しますが、体の多くの部位から生じることがあります。小児の軟部肉腫の中では、横紋筋肉腫が最も多くみられます。
横紋筋肉腫の代表的なものには以下の4種類があります:
他の種類の軟部肉腫に関する情報については、以下のPDQ要約をご覧ください:
特定の遺伝性疾患のある小児では横紋筋肉腫の発生リスクが高くなります。
病気になるリスクを増大させるものは、全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。
横紋筋肉腫のリスク因子となる遺伝性疾患として、以下のものがあります:
出生時に体重が重い場合、または体格が予想より大きい場合は、胎児性横紋筋肉腫のリスクが高い可能性があります。
横紋筋肉腫の原因は、ほとんどの場合不明です。
小児横紋筋肉腫の徴候には、増大し続けるしこりや腫れがあります。
徴候や症状が小児横紋筋肉腫により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります。現れてくる徴候や症状は、がんが発生した部位に応じて異なります。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:
- 小児横紋筋肉腫の病期
-
小児横紋筋肉腫の診断がついた後に、がんの病期などに基づいて治療法が決定され、ときには手術後に残存している腫瘍の有無が考慮されることもあります。
がんの組織内での拡がりや体内の他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。医師は、この疾患の病期を判定するために、診断検査の結果を参考にします。
小児横紋筋肉腫に対する治療法は、がんの病期などに基づいて決定され、ときには腫瘍摘出手術後のがんの残存量が考慮されることもあります。病理医は、手術で切除された組織、例えばがんを切除した領域の断端やリンパ節の組織サンプルを顕微鏡で調べます。これは、手術で全てのがん細胞が摘出されたかどうかを確かめる目的で行われるものです。
がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。
がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。
転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、横紋筋肉腫が肺に転移した場合、肺にできたがん細胞は、実際は横紋筋肉腫の細胞です。この疾患は転移性横紋筋肉腫であり、肺がんではありません。
小児横紋筋肉腫の病期分類は、3つの部分で行われます。
小児横紋筋肉腫の病期分類には、がんを記述するための3つの異なる方法が用いられます:
病期分類システムは、腫瘍の大きさ、位置、他の部位への転移の有無に基づく分類です:
グループ分類は、がん転移の有無と摘出手術後のがん残存の有無に基づいています:
グループI
がんが最初に発生した部位にとどまっていて、なおかつ手術によって完全に摘出された場合です。腫瘍が切除された領域の端の部分から組織が採取されます。この組織を病理医が顕微鏡で観察しても、がん細胞は見つかりません。
グループII
グループIIはさらにグループIIA、IIB、IICに分けられます。
- 治療選択肢の概要
-
小児横紋筋肉腫の患者さんには様々な治療法が存在します。
その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。
小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討すべきです。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
横紋筋肉腫の小児の治療では、小児がんの治療に精通した医療提供者で構成されるチームによって治療計画が作成されるべきです。
横紋筋肉腫は身体の様々な部分に発生する可能性があることから、多くの様々な治療法が用いられます。この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児横紋筋肉腫の治療に精通し、特定の医療分野を専門とする他の医療提供者と協力しながら治療に取り組んでいきます。具体的には以下のような専門家が挙げられます:
標準治療として以下の3種類が用いられています:
手術
小児横紋筋肉腫の治療には手術(がんを除去する手術)が行われます。広範囲局所切除術と呼ばれる種類の手術が多く行われています。広範囲局所切除術とは、腫瘍とその周囲の正常組織の一部をリンパ節を含めて切除する手術です。がんを完全に除去するために2度目の手術が必要になる場合もあります。手術の必要性と手術の方法は以下の要因に左右されます:
小児横紋筋肉腫のお子さんのほとんどで、手術により全ての腫瘍を摘出できるわけではありません。
横紋筋肉腫は様々な部位に発生しますが、それぞれの部位に対して異なる手術が行われます。眼または生殖器のある領域の横紋筋肉腫に対する手術は、生検となるのが通常です。大きな腫瘍には、手術前に小さくしておくために化学療法そしてときに放射線療法が行われることもあります。
手術の際に確認できる全てのがんを切除した後に、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法が実施されます。放射線療法が実施される場合もあります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります:
-
外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんのある領域に放射線を照射する方法です。特定の方法で放射線療法を実施すると、周辺の健康な組織の損傷を防ぐことができます。このような外照射療法の種類には以下のものがあります:
- 三次元原体照射療法:三次元原体照射療法は外照射療法の一種で、コンピュータを用いて腫瘍の三次元(3D)画像を作成し、腫瘍の形状に合わせて放射線を照射します。これにより、周辺の正常組織の損傷を抑えながら、高い線量の放射線を腫瘍に照射することができます。
- 強度変調放射線療法(IMRT):IMRTは三次元(3D)放射線療法の一種で、コンピュータを使用して腫瘍の大きさと形状を示す映像を作成し、それを利用する方法です。照射幅の小さな放射線ビームが様々な角度から様々な強度で腫瘍に照射されます。
- 強度変調回転照射法(VMAT):VMATは三次元(3D)放射線療法の一種で、コンピュータを使用して腫瘍の大きさと形状を示す映像を作成し、それを利用する方法です。この照射法では、治療中に放射線装置が患者さんの周囲を一周しながら、細い放射線ビームを様々な強度で腫瘍に照射します。VMATによる治療は、IMRTによる治療より短時間で行われます。
- 定位放射線療法:定位放射線療法は、外照射療法の一種です。毎回の治療で放射線を同じ位置に照射できるよう、専用の装置を用いて患者さんの姿勢を固定します。数日にわたり、1日1回、放射線照射装置で腫瘍に対して直接、通常より高い線量の放射線を照射します。毎回、患者さんに同じ姿勢をとってもらうことで、周辺の正常な組織に対する損傷を抑えます。この方法は定位体外照射療法または定位放射線治療とも呼ばれています。
- 陽子線治療:陽子線治療は高エネルギー外照射療法の一種です。放射線療法用の装置を用いて、陽子(正の電荷を帯びた目に見えない微小粒子)の流れをがん細胞に当てて殺傷します。この種の療法は、正常な周辺組織の損傷を少なく抑えることができる可能性があります。
- 内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。この療法は、膣、外陰部、子宮、膀胱、前立腺、頭頸部などにできたがんの治療に使用されます。内照射療法は近接照射療法、組織内照射療法、組織内放射線療法とも呼ばれます。この手法は特殊な技術を必要とし、少数の医療施設でしか提供されていません。
放射線療法の種類と線量やその実施時期は、お子さんの年齢、横紋筋肉腫の種類、腫瘍の最初の発生部位、手術後の腫瘍の残存量、および周辺のリンパ節における腫瘍の有無に応じて変わってきます。
小児横紋筋肉腫の治療には通常、外照射療法が用いられますが、特定の症例では内照射療法が用いられます。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。
化学療法は、手術前に腫瘍を小さくして健康な組織をできるだけ多く残すために行われることもあります。こうした療法は術前補助化学療法と呼ばれます。
横紋筋肉腫に対する治療を受ける小児は、がんが再発する可能性を減らすために、全身化学療法を受けるべきです。抗がん剤の種類、用量、治療実施回数は、その小児の年齢と、横紋筋肉腫が低リスク、中リスク、高リスクのいずれであるかによって異なります。
詳しい情報については、横紋筋肉腫に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。
本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。
免疫療法
免疫療法とは、患者さん自身の免疫系を利用して、がんと戦う治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は生物学的療法の一種です。免疫療法にはいくつかの種類があります:
- ワクチン療法は、免疫系を刺激する物質を使用して、免疫系が腫瘍を見つけ殺傷する働きを促すがん治療です。ワクチン療法は転移性横紋筋肉腫の治療法として研究されています。
-
免疫チェックポイント阻害薬療法は、患者さん自身の免疫系を利用して、がんを殺傷します。治療後に再発した小児横紋筋肉腫の治療薬として、2種類の免疫チェックポイント阻害薬が研究されています:
- CTLA-4はT細胞の表面に存在する蛋白で、体の免疫反応を抑制する働きがあります。CTLA-4ががん細胞上の別の蛋白、B7に結合すると、T細胞はがん細胞を殺傷しなくなります。CTLA-4阻害薬はCTLA-4に結合することで、T細胞ががん細胞を殺傷できるようにします。イピリムマブは、治療後に再発または進行した小児横紋筋肉腫の治療薬として研究されています。
- PD-1またはPD-L1阻害薬療法はT細胞表面に存在する蛋白で、体の免疫反応を抑制する働きがあります。PD-L1は数種類のがん細胞上に存在する蛋白です。PD-1がPD-L1に結合すると、T細胞はがん細胞を殺傷しなくなります。PD-1阻害薬とPD-L1阻害薬は、PD-1蛋白とPD-L1蛋白の結合を阻止します。そうすることでT細胞によるがん細胞の殺傷を可能にします。ニボルマブとペムブロリズマブは、治療後に再発または進行した小児横紋筋肉腫の治療薬として研究されているPD-1阻害薬の一種です。
標的療法
標的療法とは、特定のがん細胞を認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。標的療法は通常、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に対する害が少なく抑えられます。標的療法にはいくつかの種類があります:
- mTOR阻害薬は細胞の分裂と生存に関与する蛋白の働きを阻害します。シロリムスはmTOR阻害薬療法の一種であり、再発横紋筋肉腫の治療法として研究されています。
- チロシンキナーゼ阻害薬は、がん細胞の増殖と分裂に必要な信号の伝達を阻害します。MK-1775、カボザンチニブ-s-リンゴ酸塩、パルボシクリブは、新たに診断されたまたは再発した横紋筋肉腫の治療薬として研究されているチロシンキナーゼ阻害薬です。
小児横紋筋肉腫の治療は副作用を引き起こすことがあります。
がんの治療中に発生する副作用に関する詳しい情報については、副作用(英語)のページをご覧ください。
がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。横紋筋肉腫に対するがん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:
晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がんの治療によってお子さんに生じうる影響やがん治療の終了後に生じると想定される症状について、担当医とよく相談することが重要です。(詳しい情報については、PDQの小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関する要約をご覧ください。)
患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。
患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。
今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。
患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。
患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。
ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。
臨床試験は米国各地で行われています。NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
-
外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんのある領域に放射線を照射する方法です。特定の方法で放射線療法を実施すると、周辺の健康な組織の損傷を防ぐことができます。このような外照射療法の種類には以下のものがあります:
- 小児横紋筋肉腫の治療
-
新たに診断された小児横紋筋肉腫の治療では、しばしば手術、放射線療法、化学療法が行われます。これらの治療の実施順序は、体内で最初に腫瘍が発生した部位、腫瘍の大きさ、腫瘍の種類、およびリンパ節または体内の他の部位への転移の有無に基づいて決められます。小児横紋筋肉腫の治療に使用される手術、放射線療法、および化学療法に関する詳しい情報については、本要約の治療選択肢の概要をご覧ください。
脳および頭頸部の横紋筋肉腫 -
脳および頭頸部の横紋筋肉腫
- 脳にできた腫瘍:腫瘍を摘出する手術、放射線療法、化学療法などの治療法があります。
- 眼球内または眼の周囲にできた頭頸部腫瘍:化学療法や放射線療法などの治療法があります。腫瘍が残存している場合、あるいは化学療法や放射線療法による治療後に再発がみられた場合は、眼球と眼の周囲の組織の一部を切除する手術が必要になることがあります。
- 耳、鼻、副鼻腔、頭蓋骨底部の付近で、眼内または眼付近でない部位に発生した頭頸部腫瘍:放射線療法や化学療法などの治療法があります。
- 眼内または眼付近でなく、耳、鼻、副鼻腔、頭蓋骨底部の付近でもない部位に発生した頭頸部腫瘍:化学療法、放射線療法、腫瘍を切除する手術などの治療法があります。
- 手術では摘出できない頭頸部腫瘍:化学療法や定位放射線療法などの放射線療法で治療します。
- 喉頭にできた腫瘍:化学療法や放射線療法などの治療法があります。通常は喉頭を摘出する手術を行わないため、声は損なわれません。
腕または脚の横紋筋肉腫 -
腕または脚の横紋筋肉腫
- 化学療法とその後の腫瘍を切除する手術。腫瘍を完全に除去できなかった場合は、腫瘍を切除するセカンドルック手術を実施することがあります。放射線療法が実施される場合もあります。
- 手足に腫瘍がある場合は、放射線療法と化学療法を実施することがあります。手足の機能に影響が及びかねないために、腫瘍を切除しないこともあります。
-
リンパ節郭清(1ヵ所以上のリンパ節を切除し、採取した組織サンプルを顕微鏡で観察して、がんの徴候がないか調べます)。
- 腕にできた腫瘍の場合は、腫瘍の近くおよびわきの下にあるリンパ節を切除します。
- 脚にできた腫瘍の場合は、腫瘍の近くと鼠径部にあるリンパ節を切除します。
胸部、腹部、骨盤の横紋筋肉腫 -
胸部、腹部、骨盤の横紋筋肉腫
- 胸部または腹部(胸壁または腹壁など)にできた腫瘍:手術(広範囲局所切除術)が実施されることがあります。腫瘍が大きい場合は、手術前に腫瘍を小さくしておくために、化学療法と放射線療法が行われます。
- 骨盤にできた腫瘍:手術(広範囲局所切除術)を実施することがあります。腫瘍が大きい場合は、手術前に腫瘍を小さくするための化学療法が行われます。手術後に放射線療法が実施されることがあります。
- 横隔膜にできた腫瘍:腫瘍の生検を実施した後に、化学療法と放射線療法を行って腫瘍を小さくします。その後、残っているがん細胞を全て切除する手術を実施する場合があります。
- 胆嚢または胆管にできた腫瘍:腫瘍の生検を行い、その後に化学療法と放射線療法を実施します。その後、残っているがん細胞を全て切除する手術を実施する場合があります。
- 肛門周辺、または外陰部と肛門の間、もしくは陰嚢と肛門の間にある筋肉または組織にできた腫瘍:手術を行うことがあり、できるだけ多くの腫瘍と付近のリンパ節の一部を切除した後に、化学療法と放射線療法を実施します。
腎臓の横紋筋肉腫 膀胱または前立腺の横紋筋肉腫 -
膀胱または前立腺の横紋筋肉腫
- 膀胱の上部のみに存在している腫瘍:手術(広範囲局所切除術)を行います。
-
前立腺または膀胱(膀胱の上端以外)にできた腫瘍:
- 腫瘍を小さくするために、最初に化学療法と放射線療法が行われます。化学療法と放射線療法の後に、がん細胞が残存している場合は、腫瘍を摘出する手術を行います。手術としては、前立腺の切除、膀胱の一部の切除、あるいは直腸を切除しない骨盤内臓器摘出術などが考えられます。(この手術には、下部結腸と膀胱の切除を含める場合があります。女児の場合は、子宮頸部、膣、卵巣、および付近のリンパ節を切除する場合があります。)
- 腫瘍を小さくするために、最初に化学療法が行われます。膀胱または前立腺を温存して腫瘍を切除する手術が行われます。手術後に内照射療法または外照射療法が実施されることがあります。
- 膀胱または前立腺を温存して腫瘍を切除する手術。手術後に内照射療法が実施されることがあります。
精巣周辺に発生した横紋筋肉腫 外陰部、膣、子宮、卵巣の横紋筋肉腫 小児横紋筋肉腫の臨床試験 -
小児横紋筋肉腫の臨床試験
- 併用化学療法と場合によりテムシロリムスを使用する臨床試験への参加。
- カボザンチニブ-s-リンゴ酸塩を使用する標的療法の臨床試験への参加。
転移性横紋筋肉腫
化学療法と、その後の放射線療法または腫瘍を切除する手術などの治療が、腫瘍が最初に発生した部位に施されます。脳、脊髄、肺にがんが転移している場合は、がんが転移した部位にも放射線療法が行われることがあります。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 進行性または再発小児横紋筋肉腫の治療
-
以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
進行性または再発小児横紋筋肉腫に対する治療法は、がんの再発部位、以前に行われた治療法、個々の小児の必要性といった多くの要因に基づいて決定されます。
進行性または再発横紋筋肉腫に対しては、以下の治療法の1つ以上が行われることがあります:
- 手術。
- 放射線療法。
- 化学療法。
- 併用化学療法と場合によりテムシロリムスを使用する臨床試験への参加。
- 標的療法または免疫療法(シロリムス、イピリムマブ、ニボルマブ、ペムブロリズマブ)の臨床試験への参加。
- チロシンキナーゼ阻害薬(MK-1775、カボザンチニブ-s-リンゴ酸塩、パルボシクリブ)による標的療法と化学療法を行う臨床試験への参加。
- 患者さんの腫瘍のサンプルを検査し、遺伝子に特定の変化がないかを調べる臨床試験への参加。遺伝子に生じた変化の種類によって、患者さんが受ける標的療法の種類は異なります。
- 再発横紋筋肉腫の患者さんには、臨床試験の早期段階で検証が続けられている新しい薬剤の使用を検討すべきです。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 小児横紋筋肉腫についてさらに学ぶために
-
米国国立がん研究所が提供している小児横紋筋肉腫に関する詳しい情報については、以下をご覧ください:
小児がんに関する情報と一般的ながんに関するその他の資源については、以下をご覧ください:
- 本PDQ要約について
-
PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、小児横紋筋肉腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。
本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Rhabdomyosarcoma Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at:https://www.cancer.gov/types/soft-tissue-sarcoma/patient/rhabdomyosarcoma-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389279]
本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、3,000以上の科学関連の画像が収載されています。
免責事項
PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。
お問い合わせ
Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。