医療専門家向け 小腸がんの治療(PDQ®)

ご利用について

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小腸がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

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小腸がんに関する一般情報

発生率および死亡率

米国において、2020年に推定される小腸がんの新規症例数および死亡数:[ 1 ]

腺がん、リンパ腫、肉腫、およびカルチノイド腫瘍が小腸の悪性腫瘍の大半を占めるが、全体として小腸の悪性腫瘍は、消化管悪性腫瘍全体のわずか4%を占めるに過ぎない。[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ]

追跡と生存

他の消化管悪性腫瘍同様、主な治療法は、切除可能な場合、外科的治療であり、治癒するかどうかはがんを完全に切除できるか否かによる。

小腸のカルチノイド腫瘍は別のがん種として他の項で取り上げている。(詳しい情報については、消化管カルチノイド腫瘍の治療(成人)に関するPDQ要約を参照のこと。)

参考文献
  1. American Cancer Society: Cancer Facts and Figures 2020. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2020. Available online. Last accessed January 17, 2020.[PUBMED Abstract]
  2. Chamberlain R, Ghalyaie N, Patil S: Small bowel cancer. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA, et al., eds.: DeVita, Hellman, and Rosenberg's Cancer : Principles & Practice of Oncology. 11th ed. Philadelphia, Pa: Wolters Kluwer, 2019, pp 884-94.[PUBMED Abstract]
  3. Serour F, Dona G, Birkenfeld S, et al.: Primary neoplasms of the small bowel. J Surg Oncol 49 (1): 29-34, 1992.[PUBMED Abstract]
  4. Matsuo S, Eto T, Tsunoda T, et al.: Small bowel tumors: an analysis of tumor-like lesions, benign and malignant neoplasms. Eur J Surg Oncol 20 (1): 47-51, 1994.[PUBMED Abstract]
  5. Chow JS, Chen CC, Ahsan H, et al.: A population-based study of the incidence of malignant small bowel tumours: SEER, 1973-1990. Int J Epidemiol 25 (4): 722-8, 1996.[PUBMED Abstract]
小腸がんの細胞分類

小腸に発生する腫瘍には以下のものがある:

小腸の原発性悪性腫瘍の約25%~50%は腺がんであり、ほとんどが十二指腸に発生する。[ 1 ]小腸がんは、複数の場所に同時または異時性に発生しうる。

平滑筋肉腫は回腸に発生することが最も多い。

小腸悪性病変のおよそ20%はカルチノイド腫瘍であり、十二指腸または空腸よりも回腸に好発し、多発性である。

悪性リンパ腫が単発性の小腸病変として発生することはまれである。

参考文献
  1. Small Intestine. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp. 221–34.[PUBMED Abstract]
小腸がんの病期情報

本要約の治療法に関するセクションは、病期ではなく病理組織学的タイプに基づいてまとめられている。

AJCC病期分類とTNMの定義

米国がん合同委員会(AJCC)は、小腸がんを定義するためTNM(腫瘍、リンパ節、転移)分類による病期分類を指定している。[ 1 ]この病期分類は、十二指腸(膨大部以外)および小腸に発生する腺がんにのみ適用される。 小腸に発生した非腺がんには、TNMを割り当てるべきであるが、病期分類は割り当てられていない。[ 1 ]

表1.原発腫瘍(T)の定義a
T分類 T基準
aAJCCから許諾を得て転載:Small Intestine.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 221–34.
bT3腫瘍に対して、腹膜非被覆傍筋層組織とは、空腸および回腸では腸間膜部を指し、漿膜を伴わない部分の十二指腸では、膵との境界部を指す。
TX 原発腫瘍の評価が不可能。
T0 原発腫瘍を認めない。
Tis 高度の異形成/上皮内がん。
T1 腫瘍が粘膜固有層または粘膜下層に浸潤している。
−T1a 腫瘍が粘膜固有層に浸潤している。
−T1b 腫瘍が粘膜下に浸潤している。
T2 腫瘍が固有筋層に浸潤している。
T3 腫瘍が固有筋層を越え漿膜下層に浸潤しているか、腹膜非被覆傍筋層組織(腸間膜または後腹膜)に拡がっている(漿膜層には浸透してない)。b
T4 腫瘍が臓側腹膜を貫通しているか、直接他の臓器または他の構造(例、小腸の他のループ、腸のループに近接する腸間膜、腹壁[漿膜を介して];十二指腸に限り、膵または胆管)に浸潤している。
表2.所属リンパ節(N)の定義a
N分類 N基準
aAJCCから許諾を得て転載:Small Intestine.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 221–34.
NX 所属リンパ節の評価が不可能。
N0 所属リンパ節に転移を認めない。
N1 1~2つの所属リンパ節に転移。
N2 3つ以上の所属リンパ節に転移。
表3.遠隔転移(M)の定義a
M分類 M基準
aAJCCから許諾を得て転載:Small Intestine.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 221–34.
M0 遠隔転移を認めない。
M1 遠隔転移を認める。
表4.腺がんに対するAJCC予後病期分類a
病期 T N M
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移
aAJCCから許諾を得て転載:Small Intestine.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 221–34.
0 Tis N0 M0
I T1−2 N0 M0
IIA T3 N0 M0
IIB T4 N0 M0
IIIA すべてのT N1 M0
IIIB すべてのT N2 M0
IV すべてのT すべてのN M1
参考文献
  1. Small Intestine. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp. 221–34.[PUBMED Abstract]
小腸の腺がんの治療

標準治療法の選択肢:

  1. 切除可能な原発がんの場合:
  2. 切除不能な原発がんの場合:

臨床評価段階にある治療選択肢:

  1. 切除不能な原発がんの場合:
  2. 切除不能な転移性がんの場合:

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、 臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
  1. Rose DM, Hochwald SN, Klimstra DS, et al.: Primary duodenal adenocarcinoma: a ten-year experience with 79 patients. J Am Coll Surg 183 (2): 89-96, 1996.[PUBMED Abstract]
  2. North JH, Pack MS: Malignant tumors of the small intestine: a review of 144 cases. Am Surg 66 (1): 46-51, 2000.[PUBMED Abstract]
小腸の平滑筋肉腫の治療

標準治療法の選択肢:

  1. 切除可能な原発がんの場合:
  2. 切除不能な原発がんの場合:
  3. 切除不能な転移性がんの場合:

臨床評価段階にある治療選択肢:

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、 臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

再発小腸がんの治療

標準治療法の選択肢:

  1. 転移性腺がんまたは転移性平滑筋肉腫の場合:
  2. 限局性の再発がんの場合:

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、 臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

本要約の変更点(01/29/2020)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

小腸がんに関する一般情報

新規症例数および死亡数の推定値に関する統計が2020年度用に更新された(引用、参考文献1としてAmerican Cancer Society)。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小腸がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に証拠の公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Small Intestine Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/small-intestine/hp/small-intestine-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389423]

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

免責条項

入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。