ご利用について
医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。
本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。
CONTENTS
- 膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)に関する一般情報
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発生率および死亡率
膵神経内分泌腫瘍(NET)はまれながんであり、米国では毎年約1,000例が新規症例と診断される。[ 1 ]膵神経内分泌腫瘍は膵臓の悪性疾患の2%未満を占め、全般的な予後は、この腫瘍より一般的な膵外分泌腫瘍と比べて良好である。[ 1 ][ 2 ]
発生機序
膵内分泌の腫瘍は、膵NETと総称される腫瘍細胞型の集まりである。これらの腫瘍は膵島細胞を起源とする。膵神経内分泌腫瘍の組織学的外観は消化管カルチノイドに類似または一致する場合があるが、基礎を成す生物学の違いおよびおそらく治療薬への反応の違いから、異なる疾患実体として治療および研究すべきであると示唆されている。[ 3 ]
ほとんどの膵NETは散発性であるが、染色体11q13に位置する腫瘍抑制遺伝子、Meninの不活性化の結果として生じる下垂体前葉、副甲状腺、膵内分泌腺の腫瘍で構成される常染色体優性の多発性内分泌腫瘍1型(MEN1)遺伝性症候群の一部として起こるものもある。[ 4 ]MEN1症候群の一部である場合、多発性の膵腫瘍がみられることがある。
膵島腫瘍には、(1種類以上の活性ホルモンを分泌する)機能性腫瘍と非機能性腫瘍がある。[ 4 ]通常はホルモン分泌過多症状を呈する機能性腫瘍には以下のものがある:
予後因子
ほとんどの膵島細胞がんは機能性であるが、約15%は非機能性であり、はるかに一般的な膵外分泌腺がんに似た症状を呈する。[ 5 ][ 6 ][ 7 ]膵島細胞にはいくつかの細胞型(α、β、δ、A、B、C、D、E、F)があるため、膵島細胞腫瘍という用語は少なくとも5種類の異なるがんを指しており、これが機能性である場合には、代謝的および臨床的に特有の症状を示す。機能性腫瘍の臨床症状は、巨大な腫瘍塊または転移よりも、がん細胞から分泌されるポリペプチドの特有の代謝性作用に起因する。機能性腫瘍はきわめて小さく従来の画像検査技術では検出できないことがある。
非機能性腫瘍は症状が腫瘤による影響または転移に起因するものであるため、発症時には進行した臨床病期となる傾向がある。[ 4 ]非機能性腫瘍は特異的な臨床症候群を示さないが、不活性アミンおよび以下のようなペプチド産物を分泌しうる:
診断学
初期症状から診断までの間にしばしば大きな遅れが出ること、また分泌されるポリペプチドの種々の影響は、しばしば外科および内科的な専門分野の集学的関与を必要とする。外科手術は唯一の治癒可能な治療手段である。手術は転移巣がみられる状況であっても、ホルモン分泌過多症状を軽減するためにしばしば用いられる。[ 4 ]腫瘍の大半は緩徐に増殖する性質があり、抗ホルモンによる薬物療法(例、潰瘍を発生するゾリンジャー・エリソン症候群におけるシメチジン)を行えるため、有効な症状緩和が得られるであろう。潜行性で緩徐に増殖する転移性膵島細胞腫瘍患者では、最善の治療は慎重に経過観察を行うことであり、症状緩和が必要になるまで加療を行わないことであろう。患者の85%に膵島細胞腫瘍、90%に副甲状腺機能亢進症、65%に下垂体腫瘍がみられるMEN1患者では、散発性膵島細胞腫瘍患者と比べて膵切除で治癒が得られる可能性は低い。骨転移による疼痛緩和を除いて、この疾患では放射線療法の役割は限られている。
腫瘍の局在診断および病期分類のための検査としては、磁気共鳴画像法(MRI)を併用する、または併用しないコンピュータ断層撮影(CT)のほか、内視鏡超音波検査などの画像法が挙げられる。また、ソマトスタチン受容体シンチグラフィおよび単一光子放出型コンピュータ断層撮影(single-photon emission CT)も、有用な補助となりうる。しかしながら、インスリノーマはしばしばソマトスタチン受容体の密度が低いため、インスリノーマの位置確認におけるソマトスタチン受容体シンチグラフィの有用性は他の膵NETに比べて低くなっている。[ 4 ]非侵襲的な検査で腫瘍が明らかにできないものの、腫瘍の存在が臨床的に強く疑われる場合は、(疑われる腫瘍のタイプに特異的な分泌促進物質を併用する)選択的動脈造影または選択的動脈刺激などの、侵襲的かつ高度な技術が必要とされる検査が有用であろう。[ 7 ]
以下に示す一部のタイプの腫瘍は、診断および初期評価に特異的アプローチを必要とする独特な特徴を有する。
ガストリノーマ
診断は、上昇した血清ガストリンおよび上昇した胃酸濃度により決まる。カルシウムおよびセクレチンによる刺激試験は他の疾患とかなりの重複があるため、このような試験の価値は限られる。ゾリンジャー・エリソン症候群は、ガストリン産生腫瘍に関連し、難治性の消化性潰瘍疾患、下痢、および胃酸過多症を示す疾患である。(詳しい情報については、消化管の合併症に関するPDQ要約の下痢のセクションを参照のこと。)ガストリノーマはすべての消化性潰瘍疾患の1%未満を占める。ガストリノーマの約15~35%はMEN1症候群と関連し、最大50%が悪性である。ガストリノーマの最大33%に肝転移がみられる。[ 4 ]
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診断検査:
- BAO:MAO 0.6以上(基礎酸分泌量:最大酸分泌量)。
- Overnight AO 100mmol以上(早朝空腹時酸分泌量)。
- BAO 10mmol/hr以上。
- 血清ガストリン値が正常値の10倍か、または500pg/mLより多い(ガストリンアッセイの精度には大きなばらつきがある)。
- セクレチンテスト:1 unit/kg 急速静注:陽性 = 10分以内にガストリン増大が100%;2 units/kg:陽性 = ベースラインからの増大が100%。
- hCG値が高値。
インスリノーマ
インスリノーマは、悪性より良性である可能性の方がはるかに高い。わずか10%が多発性で、悪性は10%だけである。約5~8%がMEN1症候群と関連する。[ 4 ]臨床症状は、腫瘍によるインスリンの分泌異常の結果として起こる低血糖症状である。インスリン値上昇(外因性インスリンの投与なし)に伴う空腹時低血糖(<40mg/dL)が特徴的である。血漿プロインスリン値の測定は、インスリン分泌性がんの診断に有用である。これらの腫瘍は通常緩徐に増殖する腫瘍で、膵臓や所属リンパ節に限局している場合は、膵切除術によって治癒が得られる。
治療方法は、慎重な術前の局在診断および試験開腹時の所見に基づく。32の膵インスリノーマを有する患者30人を対象にした1件のレトロスペクティブケースシリーズでは、術前のdual-phase thin-section multidetector CTと内視鏡超音波検査を併用することで、すべての腫瘍が正確に同定され、腫瘍の位置が確認された。[ 8 ]MRIを併用する、または併用しないこれらの検査は、これらの画像検査法が不成功となるまれな状況を除いて、経皮経肝静脈サンプリングや静脈サンプリングを伴う動脈刺激など従来の侵襲的で技術的に困難な検査に取って代わりつつある。[ 4 ][ 9 ]
グルカゴノーマ
グルカゴノーマは三番目によくみられる内分泌性島細胞腫瘍である。グルカゴノーマの約75%が悪性である。[ 4 ]壊死性遊走性紅斑、低血糖、および静脈血栓症が事実上の診断3徴候である。1,000 pg/mLを超える血清グルカゴン値で診断が確定する。これらの腫瘍は大きい傾向があり、CTスキャンで容易にみつかる。ソマトスタチン受容体シンチグラフィスキャンは、転移を発見する場合に有用な補助となりうる。
その他の膵島細胞腫瘍
上に挙げた腫瘍はまれではあるが膵島細胞腫瘍により産生される特異的なポリペプチドホルモンに関連した明確な臨床症候群となっている。これらは発生頻度の少なさおよび治療アプローチが類似しているため、治療のセクションに分類されている。その他の腫瘍には以下のものがある:
関連する要約
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- 膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)の細胞分類
表1.膵内分泌腫瘍 膵島細胞 分泌活性物質 腫瘍および症候群 5-HT = セロトニン;ACTH = 副腎皮質刺激ホルモン;MSH = メラニン細胞刺激ホルモン;VIP = 血管作動性腸管ペプチド;WDHA = 水様性下痢、低カリウム血症、無胃酸症。 α グルカゴン グルカゴノーマ(糖尿病、皮膚炎) β インスリン インスリノーマ(低血糖症) δ ソマトスタチン ソマトスタチノーマ(軽度の糖尿病);下痢/脂肪便;胆石 D ガストリン ガストリノーマ(消化性潰瘍疾患) A→D VIPおよび/または他の不明なメディエータ WDHA 5-HT カルチノイド ACTH クッシング病 MSH 過剰色素沈着 腺房細胞 分泌活性物質 腫瘍および症候群 F 膵ポリペプチド 複数のホルモン症候群 EC 5-HT カルチノイド - 膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)の病期情報
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米国がん合同委員会(AJCC)の病期分類とTNMの定義
AJCCは、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)を定義するためにTNM(腫瘍、リンパ節、転移)分類による病期判定を指定している。[ 1 ]
表2.TNM分類におけるI期の定義a 病期 TNM 定義 T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。 aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine Tumors of the Pancreas.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.407–19. b上付き文字bの説明は表5の下部に示している。 I T1、N0、M0 T1 = 腫瘍が膵臓に限局しておりb、2cm未満。 N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。 M0 = 遠隔転移を認めない。 表3.TNM分類におけるII期の定義a 病期 TNM 定義 T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。 aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine Tumors of the Pancreas.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.407–19. b上付き文字bの説明は表5の下部に示している。 II T2、N0、M0 T2 = 腫瘍が膵臓に限局しておりb、2~4cm。 N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。 M0 = 遠隔転移を認めない。 T3、N0、M0 T3 = 腫瘍が膵臓に限局しておりb、4cmを超える;または腫瘍が十二指腸あるいは総胆管に浸潤している。 N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。 M0 = 遠隔転移を認めない。 表4.TNM分類におけるIII期の定義a 病期 TNM 定義 T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。 aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine Tumors of the Pancreas.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.407–19. b上付き文字bの説明は表5の下部に示している。 III T4、N0、M0 T4 = 腫瘍が隣接臓器(胃、脾臓、結腸、副腎)または大血管壁(腹腔動脈幹または上腸間膜動脈)に浸潤している。 N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。 M0 = 遠隔転移を認めない。 すべてのT、N1、M0 TX = 腫瘍の評価が不可能。 T1 = 腫瘍が膵臓に限局しておりb、2cm未満。 T2 = 腫瘍が膵臓に限局しておりb、2~4cm。 T3 = 腫瘍が膵臓に限局しておりb、4cmを超える;または腫瘍が十二指腸あるいは総胆管に浸潤している。 T4 = 腫瘍が隣接臓器(胃、脾臓、結腸、副腎)または大血管壁(腹腔動脈幹または上腸間膜動脈)に浸潤している。 N1 = 所属リンパ節に転移を認める。 M0 = 遠隔転移を認めない。 表5.TNM分類におけるIV期の定義a 病期 TNM 定義 T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。 aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine Tumors of the Pancreas.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.407–19. b膵臓に限局しているとは、隣接臓器(胃、脾臓、結腸、副腎)または大血管壁(腹腔動脈幹または上腸間膜動脈)への浸潤が認められないことを意味している。膵臓周辺の脂肪組織への腫瘍進展は、病期分類の基礎ではない。注:多発性腫瘍はそれ自体で指定すべきである(T分類の割り付けには最も大きな腫瘍を用いるべきである):腫瘍の数が分かっている場合、T(♯)を用いる;例、pT3(4) N0 M0;腫瘍の数が利用できないか、あまりにも多数であれば、接尾辞mを使用して、T(m)とする;例、pT3(m) N0 M0。 IV すべてのT、すべてのN、M1 TX = 腫瘍の評価が不可能。 T1 = 腫瘍が膵臓に限局しておりb、2cm未満。 T2 = 腫瘍が膵臓に限局しておりb、2~4cm。 T3 = 腫瘍が膵臓に限局しておりb、4cmを超える;または腫瘍が十二指腸あるいは総胆管に浸潤している。 T4 = 腫瘍が隣接臓器(胃、脾臓、結腸、副腎)または大血管壁(腹腔動脈幹または上腸間膜動脈)に浸潤している。 NX = 所属リンパ節の評価が不可能。 N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。 N1 = 所属リンパ節に転移を認める。 M1 = 遠隔転移を認める。 -M1a = 肝臓に限局する転移。 -M1b = 少なくとも1つ以上の肝臓以外の部位(例、肺、卵巣、所属リンパ節以外のリンパ節、腹膜、骨)における転移。 -M1c = 肝臓と肝臓以外の両方の部位における転移。 参考文献- Neuroendocrine tumors of the pancreas. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp. 407–19.[PUBMED Abstract]
- 治療法選択肢の概要
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限局性腫瘍
膵内分泌腫瘍の一次管理は、技術的および医学的に実施可能な場合、根治目的の外科的切除を含む治療である。これらの腫瘍はまれであるため、外科的アプローチはランダム化比較試験よりもむしろケースシリーズおよび専門家の意見に基づいている。[ 1 ]以下に示す外科的選択肢は、単一施設で報告されたレトロスペクティブシリーズに基づいている。[ 2 ][ 3 ][ 4 ][証拠レベル:3iiDまたは3iiiD]
補助療法の有益性は証明されていないため、研究段階にある。腫瘍の完全切除後の補助療法に関する良好な対照試験は実施されていない。[ 5 ]
転移に対する腫瘍減量手術
手術は転移性疾患がある状況でも役割を果たしている。転移性の機能性膵神経内分泌腫瘍(NET)の症状は、減量手術により全腫瘍の負荷が低下することで改善しうる。
肝臓は膵NETからの転移がよくみられる部位である。NETの多くは増殖速度が遅いため、肝転移は技術的に可能な場合はしばしば切除される。肉眼的肝転移巣をすべて切除できれば長期の生存が得られ、ホルモンを分泌する機能性腫瘍によって症状がみられる症例では、症状緩和が得られる。[ 6 ]機能性腫瘍の症状のほとんどは、こうした減量手術に反応する。良好な生存率のどの程度が患者選択の因子(例、基本的な患者の状態、転移の範囲、遅い倍加時間など)によるものであるかは不明である。
肝転移を管理するためのさまざまな代替アプローチが報告されており、ゼルフォーム塞栓または肝動脈化学塞栓療法[ 7 ]、放射性マイクロスフィアを用いた放射線塞栓療法[ 8 ][ 9 ][ 10 ]、ラジオ波焼灼術、凍結融解壊死療法、経皮アルコールアブレーションなどがある。これらの代替アプローチがレビューされている。[ 11 ]
外科的切除シリーズの結果の方がこうした技術よりも良好なようであり、手術は切除可能な肝転移に対する標準アプローチであると考えられる。しかしながら、さまざまなアプローチを比較した質の高い研究は存在しない。神経内分泌腫瘍の切除可能な肝転移を来した患者に対する肝切除と他の治療を比較した証拠の系統的レビューでは、ランダム化試験どころか、信頼性の高い結論を導き出すために手術群に十分に類似した患者集団に代替治療を受けさせる準実験的研究、コホート研究、ケースコントロール研究さえみられなかった。[ 12 ]肉眼的肝転移巣をすべて切除した場合の証拠が単独のケースシリーズから得られている。[証拠レベル:3iiDまたは3iiiD]
ほとんどの症例では、肝転移の完全切除は不可能である。ラジオ波焼灼術または凍結融解壊死療法を併用する、または併用しない腫瘍減量手術が症状緩和目的で用いられている。1件の系統的レビューでは、腫瘍減量手術と、化学療法や腫瘍生成物阻害薬(tumor product inhibitor)など、他の症状緩和目的のアプローチを比較したランダム化試験も準実験的研究もみられなかった。[ 13 ]切除不能な肝転移の腫瘍減量手術の証拠はケースシリーズに限られており[証拠レベル:3iiDまたは3iiiD]、治療成績の解釈には患者選択の因子が強く影響している可能性がある。
進行性および転移性疾患に対する全身療法
機能性腫瘍の症状軽減には、ソマトスタチンアナログが有効であろう。[ 14 ]
以下に示す薬物を単独使用または併用する化学療法は抗腫瘍効果を有することが示されているが、全生存に対する化学療法の影響についての証拠は弱いか、矛盾している:[ 15 ][ 16 ][ 17 ]
最近では、以下のようなさまざまな全身治療薬が生物活性または緩和活性を示している:[ 5 ][ 18 ]
活性を示す証拠のほぼすべてがケースシリーズから得られている。[証拠レベル:3iiiDiv]しかしながら、エベロリムス[ 19 ]およびスニチニブ[ 20 ]に関する現在実施中のプラセボ対照ランダム化試験が要約形式で報告されており、各症例における無増悪生存の増加が示されている。[証拠レベル:1iDiii]
いくつかの放射性同位元素標識ソマトスタチンアナログを用いた治療(オクトレオチド、オクトレテート、ランレオチド、エドトレオチドなどのアナログがインジウム In 111、イットリウム Y 90、またはルテチウム Lu 177などの放射性核種に安定して付着する)後に、進行性膵NET患者における良好な反応が報告されている。[ 21 ][ 22 ][ 23 ]これらのさまざまな化合物の相対効果は不明である。研究デザインはケースシリーズに限られており、効力の指標として腫瘍反応、生化学的反応、または症状のコントロールが用いられた。[証拠レベル:3iiiDiv]
それぞれの臨床の現場で指摘されているように、高レベルの証拠が不足しているか、存在しないため、ランダム化比較試験が必要である。[ 5 ]
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- ガストリノーマ
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治療方法は、しばしば術前の局在診断の結果および試験開腹時の所見に基づく。診査時、これらの腫瘍の85%がgastrinoma triangleにみられ、40%は膵表面、40%は膵外にある。膵実質内にみられるのはわずか15%である。経皮経肝静脈サンプリングにより、単発の散発性ガストリノーマの正確な局在がときに得られる。切除(技術的に可能であれば、個々の腫瘍の核出術)、および肝転移がみられる場合であってもその切除によって、長期的治癒または疾患制御が得られる。[ 1 ]
標準治療法の選択肢:
- 膵頭部の単発病変:[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ]
- 十二指腸の単発病変または多発性病変:[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ]
- 膵体部/膵尾部の単発病変:[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ]
- 膵臓の多発性病変:[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ]
- 腫瘍がみつからない場合:
- 肝転移:[ 6 ][ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ][ 11 ][ 12 ][ 13 ]
- 転移性ガストリノーマ、または手術とシメチジン抵抗性のガストリノーマ:[ 14 ][ 15 ][ 16 ][ 17 ][ 18 ][ 19 ][ 20 ][ 21 ][ 22 ][ 23 ]
病変が肝に優位にみられる患者および巨大腫瘍またはホルモン分泌症候群によって多くの症状を来した患者には、転移に対して肝動脈血流量を低下させる処置(塞栓療法または化学塞栓療法による肝動脈閉塞)が有益であろう。特定の患者では、そのような治療も全身化学療法と併用しうる。プロトンポンプ阻害薬およびH2受容体拮抗薬による治療は、消化性症状の制御に役立つ。
プロトンポンプ阻害薬とH2受容体拮抗薬の時代では、過剰なガストリン産生によってもたらされる致死的な胃酸過多および分泌過多状態を通常は制御できる。ゾリンジャー・エリソン症候群(ZES)患者212人のシリーズでは、酸分泌過多に関係した原因で死亡した患者はなかった。これらの患者のうち、胃全摘術を受けていた患者はわずか2.3%であり、その報告の基となるコホートの追跡期間中央値は13.8年と長期であった。患者の32%は研究期間中に死亡したが、死亡した67人中ZESに関係した原因に起因するものはわずか50%であった。原因は主に、進行性食欲不振ならびに悪液質を伴う肝転移(67%)または多発性内分泌腫瘍1型症候群に伴う続発性内分泌腫瘍による死亡であった。骨または肝転移(特にびまん性肝疾患)または、研究期間中の異所性クッシング症候群の発生は生存期間の減少を予想させた。[ 24 ]
最新の臨床試験
NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。
参考文献- Norton JA, Fraker DL, Alexander HR, et al.: Surgery increases survival in patients with gastrinoma. Ann Surg 244 (3): 410-9, 2006.[PUBMED Abstract]
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- King J, Quinn R, Glenn DM, et al.: Radioembolization with selective internal radiation microspheres for neuroendocrine liver metastases. Cancer 113 (5): 921-9, 2008.[PUBMED Abstract]
- Siperstein AE, Berber E: Cryoablation, percutaneous alcohol injection, and radiofrequency ablation for treatment of neuroendocrine liver metastases. World J Surg 25 (6): 693-6, 2001.[PUBMED Abstract]
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- Gurusamy KS, Pamecha V, Sharma D, et al.: Palliative cytoreductive surgery versus other palliative treatments in patients with unresectable liver metastases from gastro-entero-pancreatic neuroendocrine tumours. Cochrane Database Syst Rev (1): CD007118, 2009.[PUBMED Abstract]
- di Bartolomeo M, Bajetta E, Buzzoni R, et al.: Clinical efficacy of octreotide in the treatment of metastatic neuroendocrine tumors. A study by the Italian Trials in Medical Oncology Group. Cancer 77 (2): 402-8, 1996.[PUBMED Abstract]
- Moertel CG, Lefkopoulo M, Lipsitz S, et al.: Streptozocin-doxorubicin, streptozocin-fluorouracil or chlorozotocin in the treatment of advanced islet-cell carcinoma. N Engl J Med 326 (8): 519-23, 1992.[PUBMED Abstract]
- Kouvaraki MA, Ajani JA, Hoff P, et al.: Fluorouracil, doxorubicin, and streptozocin in the treatment of patients with locally advanced and metastatic pancreatic endocrine carcinomas. J Clin Oncol 22 (23): 4762-71, 2004.[PUBMED Abstract]
- Kulke MH, Hornick JL, Frauenhoffer C, et al.: O6-methylguanine DNA methyltransferase deficiency and response to temozolomide-based therapy in patients with neuroendocrine tumors. Clin Cancer Res 15 (1): 338-45, 2009.[PUBMED Abstract]
- Yao JC, Lombard-Bohas C, Baudin E, et al.: Daily oral everolimus activity in patients with metastatic pancreatic neuroendocrine tumors after failure of cytotoxic chemotherapy: a phase II trial. J Clin Oncol 28 (1): 69-76, 2010.[PUBMED Abstract]
- Yao JC, Shah MH, Ito T, et al.: A randomized, double-blind, placebo-controlled multicenter phase III trial of everolimus in patients with advanced pancreatic neuroendocrine tumors (PNET) (RADIANT-3). [Abstract] Ann Oncol 21 (Suppl 8): A-LBA9, viii4-5, 2010.[PUBMED Abstract]
- Raymond E, Niccoli-Sire P, Bang Y: Updated results of the phase III trial of sunitinib (SU) versus placebo (PBO) for treatment of advanced pancreatic neuroendocrine tumors (NET). [Abstract] American Society of Clinical Oncology 2010 Gastrointestinal Cancers Symposium, 22–24 January 2010, Orlando, Florida. A-127, 2010.[PUBMED Abstract]
- Teunissen JJ, Kwekkeboom DJ, de Jong M, et al.: Endocrine tumours of the gastrointestinal tract. Peptide receptor radionuclide therapy. Best Pract Res Clin Gastroenterol 19 (4): 595-616, 2005.[PUBMED Abstract]
- Kwekkeboom DJ, de Herder WW, Kam BL, et al.: Treatment with the radiolabeled somatostatin analog [177 Lu-DOTA 0,Tyr3]octreotate: toxicity, efficacy, and survival. J Clin Oncol 26 (13): 2124-30, 2008.[PUBMED Abstract]
- Bushnell DL, O'Dorisio TM, O'Dorisio MS, et al.: 90Y-edotreotide for metastatic carcinoid refractory to octreotide. J Clin Oncol 28 (10): 1652-9, 2010.[PUBMED Abstract]
- Kvols LK, Buck M, Moertel CG, et al.: Treatment of metastatic islet cell carcinoma with a somatostatin analogue (SMS 201-995). Ann Intern Med 107 (2): 162-8, 1987.[PUBMED Abstract]
- インスリノーマ
-
可能な場合は、開腹術または腹腔鏡検査による根治目的の外科的切除が、選択すべき治療法である。悪性腫瘍に対しては、遠隔転移がなければ一括リンパ節郭清が実施されるため、腫瘍が悪性であると疑われる場合には、外科的開腹アプローチが用いられる。術中超音波検査は腫瘍範囲の確認および他の解剖学的構造物との関係の確認に役立つ。[ 1 ]
標準治療法の選択肢:
- 膵頭部または膵尾部の小さな単発病変:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]
- 核出術を行えない膵頭部の大きな病変:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]
- 膵体部/膵尾部の大きな単発病変:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]
- 多発性病変:10%に発生し、しばしば多発性内分泌腫瘍1型症候群に関連する:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]
- 転移性病変:リンパ節または遠隔部位:[ 5 ][ 6 ][ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ][ 11 ][ 12 ]
- 切除不可能なもの:[ 13 ][ 14 ][ 15 ][ 16 ][ 17 ][ 18 ][ 19 ][ 20 ][ 21 ][ 22 ]
病変が肝に優位にみられる患者および巨大腫瘍またはホルモン分泌症候群によって多くの症状を来した患者には、転移に対して肝動脈血流量を低下させる処置(塞栓療法または化学塞栓療法による肝動脈閉塞)が有益であろう。[ 6 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ][ 11 ][ 12 ]特定の患者では、そのような治療も全身化学療法と併用しうる。
最新の臨床試験
NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。
参考文献- Davies K, Conlon KC: Neuroendocrine tumors of the pancreas. Curr Gastroenterol Rep 11 (2): 119-27, 2009.[PUBMED Abstract]
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- King J, Quinn R, Glenn DM, et al.: Radioembolization with selective internal radiation microspheres for neuroendocrine liver metastases. Cancer 113 (5): 921-9, 2008.[PUBMED Abstract]
- Siperstein AE, Berber E: Cryoablation, percutaneous alcohol injection, and radiofrequency ablation for treatment of neuroendocrine liver metastases. World J Surg 25 (6): 693-6, 2001.[PUBMED Abstract]
- Gurusamy KS, Ramamoorthy R, Sharma D, et al.: Liver resection versus other treatments for neuroendocrine tumours in patients with resectable liver metastases. Cochrane Database Syst Rev (2): CD007060, 2009.[PUBMED Abstract]
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- Yao JC, Lombard-Bohas C, Baudin E, et al.: Daily oral everolimus activity in patients with metastatic pancreatic neuroendocrine tumors after failure of cytotoxic chemotherapy: a phase II trial. J Clin Oncol 28 (1): 69-76, 2010.[PUBMED Abstract]
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- Teunissen JJ, Kwekkeboom DJ, de Jong M, et al.: Endocrine tumours of the gastrointestinal tract. Peptide receptor radionuclide therapy. Best Pract Res Clin Gastroenterol 19 (4): 595-616, 2005.[PUBMED Abstract]
- Kwekkeboom DJ, de Herder WW, Kam BL, et al.: Treatment with the radiolabeled somatostatin analog [177 Lu-DOTA 0,Tyr3]octreotate: toxicity, efficacy, and survival. J Clin Oncol 26 (13): 2124-30, 2008.[PUBMED Abstract]
- Bushnell DL, O'Dorisio TM, O'Dorisio MS, et al.: 90Y-edotreotide for metastatic carcinoid refractory to octreotide. J Clin Oncol 28 (10): 1652-9, 2010.[PUBMED Abstract]
- グルカゴノーマ
-
他の膵神経内分泌腫瘍と同様に、外科的切除が治療の中心であり、疾患が転移性の場合でも生存の延長が可能である。転移巣の切除も可能な場合には考慮される。[ 1 ]
標準治療法の選択肢:
- 膵頭部または膵尾部の小さな単発病変:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]
- 核出術を行えない膵頭部の大きな病変:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]
- 膵体部/膵尾部の大きな単発病変:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]
- 多発性病変:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]
- 転移性病変:リンパ節または遠隔部位:[ 5 ][ 6 ][ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ][ 11 ][ 12 ]
- 切除不可能な疾患:[ 13 ][ 14 ][ 15 ][ 16 ][ 17 ][ 18 ][ 19 ][ 20 ][ 21 ][ 22 ]
病変が肝に優位にみられる患者および巨大腫瘍またはホルモン分泌症候群によって多くの症状を来した患者には、転移に対して肝動脈血流量を低下させる処置(塞栓療法または化学塞栓療法による肝動脈閉塞)が有益であろう。[ 6 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ][ 11 ][ 12 ]特定の患者では、そのような治療も全身化学療法と併用しうる。
最新の臨床試験
NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。
参考文献- Davies K, Conlon KC: Neuroendocrine tumors of the pancreas. Curr Gastroenterol Rep 11 (2): 119-27, 2009.[PUBMED Abstract]
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- Kazanjian KK, Reber HA, Hines OJ: Resection of pancreatic neuroendocrine tumors: results of 70 cases. Arch Surg 141 (8): 765-9; discussion 769-70, 2006.[PUBMED Abstract]
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- Gupta S, Johnson MM, Murthy R, et al.: Hepatic arterial embolization and chemoembolization for the treatment of patients with metastatic neuroendocrine tumors: variables affecting response rates and survival. Cancer 104 (8): 1590-602, 2005.[PUBMED Abstract]
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- Kouvaraki MA, Ajani JA, Hoff P, et al.: Fluorouracil, doxorubicin, and streptozocin in the treatment of patients with locally advanced and metastatic pancreatic endocrine carcinomas. J Clin Oncol 22 (23): 4762-71, 2004.[PUBMED Abstract]
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- Yao JC, Shah MH, Ito T, et al.: A randomized, double-blind, placebo-controlled multicenter phase III trial of everolimus in patients with advanced pancreatic neuroendocrine tumors (PNET) (RADIANT-3). [Abstract] Ann Oncol 21 (Suppl 8): A-LBA9, viii4-5, 2010.[PUBMED Abstract]
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- Teunissen JJ, Kwekkeboom DJ, de Jong M, et al.: Endocrine tumours of the gastrointestinal tract. Peptide receptor radionuclide therapy. Best Pract Res Clin Gastroenterol 19 (4): 595-616, 2005.[PUBMED Abstract]
- Kwekkeboom DJ, de Herder WW, Kam BL, et al.: Treatment with the radiolabeled somatostatin analog [177 Lu-DOTA 0,Tyr3]octreotate: toxicity, efficacy, and survival. J Clin Oncol 26 (13): 2124-30, 2008.[PUBMED Abstract]
- Bushnell DL, O'Dorisio TM, O'Dorisio MS, et al.: 90Y-edotreotide for metastatic carcinoid refractory to octreotide. J Clin Oncol 28 (10): 1652-9, 2010.[PUBMED Abstract]
- その他の膵島細胞腫瘍
-
VIP産生腫瘍
患者が経験する水様性下痢、低カリウム血症、無胃酸症の結果として起こる電解質および体液の問題を調整するために、即時の体液回復がしばしば必要である。大量の体液および電解質の消失を改善するためにソマトスタチンアナログも使用される。患者の状態が安定すれば、原発腫瘍および所属リンパ節の切除が臨床的に限局した病変に対する第一選択治療である。治癒的切除が行えない局所進行または転移性疾患の症例では、血管作動性腸管ペプチドの過剰産生による特徴的な症状を緩和するために転移巣を含めた減量手術および肉眼的病変の切除を検討すべきである。[ 1 ](残りの一般的な原則の情報については、本要約の治療法選択肢の概要のセクションを参照のこと。)
ソマトスタチノーマ
技術的に可能であれば、完全切除が選択すべき治療法である。しかしながら、転移のために治癒的切除がしばしば行えず、緩和目的の腫瘍減量手術が症状を軽減するために考慮される。[ 1 ](残りの一般的な原則の情報については、本要約の治療法選択肢の概要のセクションを参照のこと。)
他の膵神経内分泌腫瘍
これらの非常にまれな腫瘍については、技術的に可能であれば、外科的完全切除が唯一の治癒可能な選択肢であり、腫瘍が機能性であれば症状を緩和するために腫瘍減量手術またはソマトスタチンアナログが使用される。(残りの一般的な原則の情報については、本要約の治療法選択肢の概要のセクションを参照のこと。)
最新の臨床試験
NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。
参考文献- Davies K, Conlon KC: Neuroendocrine tumors of the pancreas. Curr Gastroenterol Rep 11 (2): 119-27, 2009.[PUBMED Abstract]
- 再発および進行性膵神経内分泌腫瘍
-
以前の治療後に再発または進行した膵神経内分泌腫瘍に対する治療は確立されていない。[ 1 ]さらなる治療の決定は、以下のような多くの因子によって異なる:
技術的に実施できれば、再発した局所腫瘍または転移病変の再切除を試みることで緩和が得られうる。肝転移を有する患者には、動脈内化学療法が考慮される。病変が肝に優位にみられる患者、および巨大な腫瘍またはホルモン分泌症候群によって多くの症状を来した患者には、動脈内持続注入化学療法または転移巣への肝動脈血流量を低下させる処置(塞栓療法または化学塞栓療法による肝動脈閉塞)が有益であろう。[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ]そのような治療はまた、全身化学療法と併用しうる。さまざまな全身治療薬が生物活性または緩和活性を示しており[ 1 ][ 8 ]、以下のようなものがある:
最新の臨床試験
NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。
参考文献- Kulke MH, Siu LL, Tepper JE, et al.: Future directions in the treatment of neuroendocrine tumors: consensus report of the National Cancer Institute Neuroendocrine Tumor clinical trials planning meeting. J Clin Oncol 29 (7): 934-43, 2011.[PUBMED Abstract]
- Gupta S, Johnson MM, Murthy R, et al.: Hepatic arterial embolization and chemoembolization for the treatment of patients with metastatic neuroendocrine tumors: variables affecting response rates and survival. Cancer 104 (8): 1590-602, 2005.[PUBMED Abstract]
- Kennedy AS, Dezarn WA, McNeillie P, et al.: Radioembolization for unresectable neuroendocrine hepatic metastases using resin 90Y-microspheres: early results in 148 patients. Am J Clin Oncol 31 (3): 271-9, 2008.[PUBMED Abstract]
- King J, Quinn R, Glenn DM, et al.: Radioembolization with selective internal radiation microspheres for neuroendocrine liver metastases. Cancer 113 (5): 921-9, 2008.[PUBMED Abstract]
- Siperstein AE, Berber E: Cryoablation, percutaneous alcohol injection, and radiofrequency ablation for treatment of neuroendocrine liver metastases. World J Surg 25 (6): 693-6, 2001.[PUBMED Abstract]
- Gurusamy KS, Ramamoorthy R, Sharma D, et al.: Liver resection versus other treatments for neuroendocrine tumours in patients with resectable liver metastases. Cochrane Database Syst Rev (2): CD007060, 2009.[PUBMED Abstract]
- Gurusamy KS, Pamecha V, Sharma D, et al.: Palliative cytoreductive surgery versus other palliative treatments in patients with unresectable liver metastases from gastro-entero-pancreatic neuroendocrine tumours. Cochrane Database Syst Rev (1): CD007118, 2009.[PUBMED Abstract]
- Yao JC, Lombard-Bohas C, Baudin E, et al.: Daily oral everolimus activity in patients with metastatic pancreatic neuroendocrine tumors after failure of cytotoxic chemotherapy: a phase II trial. J Clin Oncol 28 (1): 69-76, 2010.[PUBMED Abstract]
- Teunissen JJ, Kwekkeboom DJ, de Jong M, et al.: Endocrine tumours of the gastrointestinal tract. Peptide receptor radionuclide therapy. Best Pract Res Clin Gastroenterol 19 (4): 595-616, 2005.[PUBMED Abstract]
- Kwekkeboom DJ, de Herder WW, Kam BL, et al.: Treatment with the radiolabeled somatostatin analog [177 Lu-DOTA 0,Tyr3]octreotate: toxicity, efficacy, and survival. J Clin Oncol 26 (13): 2124-30, 2008.[PUBMED Abstract]
- Bushnell DL, O'Dorisio TM, O'Dorisio MS, et al.: 90Y-edotreotide for metastatic carcinoid refractory to octreotide. J Clin Oncol 28 (10): 1652-9, 2010.[PUBMED Abstract]
- 本要約の変更点(01/02/2020)
-
PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。
膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)に関する一般情報
本文で以下の記述が改訂された;膵神経内分泌腫瘍は膵臓の悪性疾患の2%未満を占め、全般的な予後は、この腫瘍より一般的な膵外分泌腫瘍と比べて良好である(引用、参考文献2としてAmerican Joint Committee on Cancer[AJCC])。
膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)の病期情報
病期情報が2017年度用に更新された(引用、参考文献1としてAJCC)。
本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。
- 本PDQ要約について
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本要約の目的
医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。
査読者および更新情報
本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。
委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:
要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。
本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。
証拠レベル
本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。
本要約の使用許可
PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約として特定することはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。
本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:
PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Pancreatic Neuroendocrine Tumors (Islet Cell Tumors) Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/pancreatic/hp/pnet-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389309]
本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。
免責条項
入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。
お問い合わせ
Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。