ご利用について
医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、前立腺がんの遺伝学について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。
本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Cancer Genetics Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。
CONTENTS
- 要旨
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本要旨では、前立腺がんの遺伝学に関する本PDQ要約で取り扱われているトピックを概観し、以降の文中で各トピックの証拠を詳述するセクションへのハイパーリンクを提示している。
- 序
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[注: 本要約で用いられている医学および科学用語については、NCI Dictionary of Genetics Termsに解説が用意されている。リンクが張られた用語をクリックすれば、別のウインドウにその定義が表示される。]
[注: 本要約に記載されている多くの遺伝子および病態については、Online Mendelian Inheritance in Man(OMIM)カタログに掲載されている。詳しい情報については、OMIMを参照のこと。]
[注: 現在、遺伝学的多様性を記載するための用語体系を変化させるべく、遺伝学のコミュニティにおいて協調的な取り組みが進められている。その変化とは、研究対象の個人または集団と参照配列との間に存在する遺伝学的な差異、特に生殖細胞系に存在する差異を記述する際に、従来の「mutation(突然変異ないし変異)」ではなく、「variant(多様体ないしバリアント)」という用語を使用するというものである。多様体はさらに、良性(無害)(benign [harmless])、おそらく良性(likely benign)、意義不明(of uncertain significance)、おそらく病原性(likely pathogenic)、病原性(疾患を引き起こす)(pathogenic [disease causing])のいずれかに分類することができる。本要約では、全体を通じて、疾患を引き起こす突然変異に対して病原性多様体(pathogenic variant)という用語を使用する。多様体の分類に関する詳しい情報については、がん遺伝学の概要に関する要約を参照のこと。]
前立腺がんの公衆衛生負担はかなりのものである。2020年には、米国で合計191,930例の前立腺がんの新規症例と33,330人のこの疾患による死亡が予想され、前立腺がんは米国男性において最も頻度の高い非皮膚性のがんである。[ 1 ]男性の前立腺がんの生涯リスクは9人に1人の割合である。前立腺がんは、肺がんに次いで男性におけるがんの死亡原因の第2位である。[ 1 ]
前立腺がんの男性の中には、無症状のままで経過し、がんそのものではなく、関係のない原因により死亡する人もいる。このことは、多くの男性の診断時年齢が高齢であること、腫瘍の増殖がゆっくりしていること、または治療に反応することに起因しうる。[ 2 ]前立腺ラテントがん(すなわち、前立腺に存在するが、患者の生涯にわたり決して検出または診断されない前立腺がん)を有する男性の推定数は、臨床的に検出された疾患をもつ男性の数より多い。一部の前立腺がんが重篤で、生命を脅かしうる疾患であるのに対し、なぜ他の一部の前立腺がんが臨床的に症状を示さないのかを決定する遺伝的および生物学的メカニズムのさらなる理解が必要である。[ 2 ]
前立腺がんは、世界の集団間で発生率に驚くほどの差を示す;前立腺がんの割合が高い国と低い国の比率は、60倍から100倍に及ぶ。[ 3 ]アジアの男性では、典型的に前立腺がんの発生率が非常に低く、年齢で調整した発生率は男性100,000人当たり2例から10例の範囲である。北欧における発生率は一般的に高い。しかしながら、アフリカ系米国人男性の前立腺がん発生率が世界で最も高い;米国内ではアフリカ系米国人男性が白人男性よりも60%高い発生率を有する。[ 4 ]アフリカ系米国人男性は非ヒスパニック系白人男性と比較して前立腺がん特異的死亡率が2倍を超えることが報告されている。[ 1 ]人種特異的な前立腺がん生存率推定値における差は経時的に狭まっているようである。[ 5 ]
このような違いは、遺伝的影響、環境的影響、および社会的影響(医療へのアクセスなど)の相互作用に起因している可能性があり、本疾患の発生および進行に影響を及ぼしうる。[ 6 ]スクリーニングの実践における差もまた、前立腺がん発生にかなりの影響を与えるが、それは発症前または身体診察で異常が発見可能となる前に、患者の前立腺がんが診断可能となることによる。スウェーデンの集団ベースのデータ解析によると、兄弟の1人における前立腺がんの診断が、2人目の兄弟における前立腺特異抗原(PSA)スクリーニングを用いた早期診断につながることが示唆された。[ 7 ]これは、全国発生率データで明確となった若年男性における前立腺がん診断の増加に起因している可能性がある。前立腺がんリスクへの遺伝的寄与が明らかにされており、前立腺がんの分子遺伝学的知識が増加しているが、知見の大部分はまだ臨床においてアクション可能となっていない。前立腺上皮細胞の悪性転換および前立腺がんの進行は、遺伝的かつ環境的な影響下で生じる一連の複雑なイニシエーションとプロモーションのイベントに起因している可能性が高い。[ 8 ]
前立腺がんの危険因子
米国において、最も重要と認識されている前立腺がんの危険因子は以下の4つである:
年齢
年齢は、前立腺がんの重要な危険因子である。前立腺がんが40歳未満の男性にみられることはまれである;発生率はこれ以降10歳年齢が上がるごとに急激に増える。例えば、前立腺がんと診断される確率は、49歳以下の男性では441人に1人、50歳から59歳までは57人に1人、60歳から69歳までは21人に1人であり、70歳以上は12人に1人であり、前立腺がん発生の全生涯リスクは9人に1人となる。[ 1 ]
前立腺がん症例の約10%は56歳未満の男性で診断され、早期発症型前立腺がんに相当する。Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)プログラムのデータは、早期発症型前立腺がんが増加しつつあることを示しており、また一部の症例がより侵攻的な場合があることを示す証拠が存在する。[ 9 ]40歳未満で前立腺がんと診断される男性の数が増加する傾向が世界的にみられ、多く場合は予後不良である。[ 10 ]早期発症がんは生殖細胞病原性多様体により生じることがあるため、前立腺がん感受性遺伝子を明らかにすることを目標に前立腺がんの若年男性についての研究が広範に行われている。
祖先
前立腺がんの発症リスクおよび死亡リスクは、黒人で著しく高く、白人では中程度で、生来の日本人で最も低い。[ 11 ][ 12 ]このような転帰の病因論に関しては相反するデータが公表されているが、ヘルスケアへのアクセス性が疾患の転帰に影響を及ぼしている可能性を示す若干の証拠が得られている。[ 13 ]
前立腺がんの家族歴
前立腺がんは遺伝性が強い;前立腺がんの遺伝リスクは60%に上ると推定されている。[ 14 ]乳がんや結腸がんと同様に、前立腺がんも家族内集積が頻繁に報告されている。[ 15 ][ 16 ][ 17 ][ 18 ][ 19 ]前立腺がんの5~10%の症例は、主として受け継がれた高リスクの遺伝的要因または前立腺がん感受性遺伝子に起因すると考えられている。さまざまな集団を対象とした数件の大規模なケースコントロール研究およびコホート研究から得られた結果から、家族歴が前立腺がんの主要な危険因子であることが示唆されている。[ 16 ][ 20 ][ 21 ]家族歴に前立腺がんの兄弟または父親がみられると前立腺がんのリスクが高くなり、そのリスクは罹患した近親者の年齢と逆相関している。[ 17 ][ 18 ][ 19 ][ 20 ][ 21 ]しかしながら、少なくとも一部の家族集積は、高リスクと考えられた家系では前立腺がんスクリーニング頻度が高かったことに起因するものである。[ 22 ]
家族歴と関連するリスクを調べる前立腺がんの研究には病院ベースのシリーズのものもあるが、集団ベースのシリーズについて報告した研究も数件ある。[ 23 ][ 24 ][ 25 ]後者の方が、より一般化可能な情報を提供すると考えられている。疫学に関する33件のケースコントロール研究およびコホートベース研究を対象としたメタアナリシスでは、前立腺がんの家族歴に関連したリスク比に関して、さらに詳細な情報が得られている。このメタアナリシスによると、兄弟が罹患者の男性では、父親が罹患者の男性よりリスクが高いことが示された。このようなリスク差が生じた理由は不明であるが、可能性のある仮説としてX連鎖または劣性遺伝が考えられている。さらに、罹患した近親者の数が増えるほどリスクも高くなった。また、第一度近親者(FDR)が65歳前に前立腺がんと診断された場合もリスクが高かった。(前立腺がんの家族歴に関係する相対リスク[RR]の要約については、表1を参照のこと。)[ 26 ]
表1.前立腺がんの家族歴に関係する相対リスク(RR)a リスクグループ 前立腺がんの相対リスク(95%CI) CI = 信頼区間;FDR = 第一度近親者。 a 出典:Kicińsk et al.[ 26 ] 診断時年齢を問わず前立腺がんの兄弟が1人または複数いる 3.14 (2.37–4.15) 診断時年齢を問わず前立腺がんの父親がいる 2.35 (2.02–2.72) 診断時年齢を問わず罹患した第一度近親者が1人いる 2.48 (2.25–2.74) 診断時年齢が65歳未満で罹患した第一度近親者が複数いる 2.87 (2.21–3.74) 診断時年齢が65歳以上で罹患した第一度近親者が複数いる 1.92 (1.49–2.47) 診断時年齢を問わず罹患した第二度近親者が複数いる 2.52 (0.99–6.46) 診断時年齢を問わず罹患した第一度近親者が複数いる 4.39 (2.61–7.39) このメタアナリシスに含まれる多くのデータソースの中で、スウェーデンにおける集団ベースのFamily-Cancer Databaseから得られたデータについては具体的に解説する価値がある。これらのデータは、1180万を超える人のデータが含まれるリソースから得られたもので、その中に前立腺がんが医学的に証明された男性26,651人が確認され、そのうち5,623人が家族症例であった。[ 27 ]この規模のデータセットであれば、スウェーデンの全人口がほぼ完全に把握され、がん診断が客観的に検証されるため、正確かつバイアスフリーでリスクが推定されるはずである。前立腺がんの診断および前立腺がんによる死亡に対する家族の年齢特異的ハザード比(HR)を計算すると、予想されたように前立腺がん診断に対するHRは家族歴が多いほど高かった。具体的に、前立腺がんに対するHRは、父親のみが罹患している場合で2.12(95%信頼区間[CI]、2.05-2.20)、1人の兄弟のみが罹患している場合で2.96(95%CI、2.80-3.13)、父親と2人の兄弟が罹患している場合で8.51(95%CI、6.13-11.80)であった。最高のHRは17.74(95%CI、12.26-25.67)で、前立腺がんと診断された兄弟が3人いる男性にみられた。罹患近親者が55歳前に前立腺がんと診断された場合は、さらにHRが高かった。
このスウェーデンのデータベースを対象とした別の解析からの報告によると、家系内に罹患症例が複数いる男性では、前立腺がんの累積(絶対)リスクが60歳までに5%、70歳までに15%、80歳までに30%に達したのに対し、一般集団の同年齢では、それぞれ0.45%、3%、10%であった。罹患した父親が70歳前に前立腺がんと診断された場合は、さらにリスクが高かった。[ 28 ]上と同じ3つの年齢層に対応する家族の集団寄与割合(PAF)は、それぞれ8.9%、1.8%、1.0%で、総PAFは11.6%となる(すなわち、スウェーデンにおける前立腺がん全体の約11.6%が前立腺がん家族歴に基づいて説明できることになる)。
前立腺がんのリスクは、乳がんの家族歴をもつ男性においても増加している。アイオワ州のコホートの約9.6%が、ベースライン時に母親または姉妹における乳がんおよび/または卵巣がんの家族歴をもっており、これは前立腺がんリスクと正の相関を示した(年齢調整済みRR、1.7;95%CI、1.0-3.0;多変量RR、1.7;95%CI、0.9-3.2)。前立腺がんと乳がん/卵巣がんの両方の家族歴を有する男性も前立腺がんのリスクが高かった(RR、5.8;95%CI、2.4-14.0)。[ 23 ]Women's Health Initiativeのデータの分析からも、前立腺がんの家族歴が閉経後乳がんのリスク増加と関連していることが示された(調整後HR、1.14;95%CI、1.02-1.26)。[ 29 ]さらなる分析から、乳がんリスクが乳がんおよび前立腺がん両方の家族歴と関連していることが示された;このリスクは白人女性よりも黒人女性で高かった。しかしながら、他の研究では女性家族の乳がん歴と前立腺がんリスクの間に関連は見つからなかった。[ 23 ][ 30 ]前立腺がんの家族歴もまた女性近親者の乳がんのリスクを高める。[ 31 ]遺伝性の乳がん/卵巣がんまたは早期発症型の前立腺がんがみられる家系では、BRCA1/BRCA2病原性多様体を有する男性で前立腺がんのリスクが高くなることで、同一家系における前立腺がんと乳がんとの関連性が部分的に説明できる可能性がある。[ 32 ][ 33 ][ 34 ][ 35 ](詳しい情報については、本要約のBRCA1とBRCA2のセクションを参照のこと。)さらに、前立腺がんは、DNAミスマッチ修復遺伝子に生殖細胞多様体が認められる男性で、リンチ症候群および大腸がんと関連している。[ 36 ]ある研究によると、アムステルダムIまたはアムステルダムIIの基準を満たす大腸がんの発端者の第一度および第二度近親者で前立腺がんのリスクが約2倍と高いことが報告された。[ 37 ](アムステルダムIおよびアムステルダムIIの基準の説明については、大腸がんの遺伝学に関するPDQ要約のリンチ症候群家系の定義のセクションを参照のこと。)
前立腺がんは一部の家系内で著しく多発する。これらの家系における前立腺がんリスクには、浸透度が高いものから中程度の遺伝子多様体が関連していると考えられる。(詳しい情報については、本要約の連鎖解析のセクションを参照のこと。)そうした家系のメンバーには、遺伝カウンセリングが有益な場合がある。遺伝カウンセリングの紹介に関する最近の推奨およびガイドラインは、前立腺がんの診断時年齢および病期ならびに特定のがん家族歴パターンに基づいている。[ 38 ][ 39 ]前立腺がんの男性またはそのリスクのある男性における遺伝子検査に関する現行の基準の要約については、表2を参照のこと。
家族歴は、さまざまな人種および民族の男性にとって、危険因子であることが示されている。米国(ロサンゼルス、サンフランシスコ、およびハワイ)およびカナダ(バンクーバーおよびトロント)のアフリカ系米国人、白人、およびアジア系米国人における前立腺がんの集団ベースのケースコントロール研究では[ 40 ]、対照の5%と全症例の13%に前立腺がんの父親、兄弟、または息子がいることが報告された。これらの有病率の推定値は、アジア系米国人の方がアフリカ系米国人または白人よりも若干低かった。家族歴陽性は、これら3つの民族グループそれぞれにおいて2倍から3倍のRR増加と関連していた。前立腺がんの家族歴と関連する全オッズ比(OR)は、年齢と民族性で調整すると、2.5(95%CI、1.9-3.3)であった。[ 40 ]
家族歴のみで不良な臨床転帰に関連するという証拠はほとんどない。ドイツにおいて限局性前立腺がんに対して根治的前立腺切除術を受けた男性7,690人のコホートでは、家族歴は前立腺がん特異的生存に関係しなかった。[ 41 ]
その他に可能性のある前立腺がんリスク修飾因子
アンドロゲンとエストロゲンの両方を含め、内因性ホルモンは前立腺の発がんに影響するらしい。去勢男性およびその他の思春期以前のテストステロン値が去勢レベルの男性は前立腺がんを発症しないことが広く報告されている。[ 42 ]一部の研究者が、前立腺がんリスクにおけるアンドロゲンの生合成および代謝における遺伝的多様性の潜在的な役割を検討しており[ 43 ]、その中にはエクソン1に存在するアンドロゲン受容体(AR)のCAG反復長の潜在的な役割も含まれる。これがAR活性を調節しており、前立腺がんリスクに影響を及ぼしている可能性がある。[ 44 ]例えば、一部の男性ではARのCAG反復長が20反復以上であれば、前立腺がんに対する防護効果があることを報告したメタアナリシスがある。[ 45 ]
(一般集団における前立腺がんリスクの非遺伝的修飾因子に関する詳しい情報については、前立腺がんの予防に関する本PDQ要約を参照のこと。)
多発性原発がん
SEER Cancer Registriesで、1973年から2000年に前立腺がんと診断された男性292,029人を対象に二次原発がんの発症リスクが検討されている。その後の前立腺がんを除外し、他の原因による死亡リスクについて調整すると、患者全体における二次原発がんの累積発生率は、25年で15.2%(95%CI、15.0%-15.4%)であった。50歳未満で診断された男性では新規悪性腫瘍(すべてのがんを総合)について重大なリスクがあり、50~59歳で診断された男性ではがんリスクの過剰も低下もみられず、より高い年齢群で診断されたすべての男性ではがんリスクの低下がみられた。著者らは、この低下は高齢の集団においてがんのサーベイランスが少なかったためであろうと示唆した。二次原発がんの過剰リスクとしては、小腸、軟部組織、膀胱、甲状腺、および胸腺のがんのほか、黒色腫も含まれていた。50歳以下の患者に診断される前立腺がんは、膵がんの過剰リスクと関連していた。[ 46 ]
1992年から2010年に前立腺がんの診断を受けた患者441,000人超を対象としたレビューでも同様の所見が示され、二次原発がんの診断を受けるリスクは全体として低かった。この研究は、限局性のがんに対する治療法別に、44,310人(10%)における二次原発がんのリスクについても検討している。この研究は、放射線療法を受けた患者は、受けなかった患者と比べ(SIR膀胱、0.76;SIR直腸、0.74)、膀胱がん(標準化発生比[SIR]、1.42)および直腸がんリスク(SIR、1.70)が高いことを示唆した。[ 47 ]
前立腺がんの後に発症する二次原発がんの基礎にある病因には、治療法を含め、さまざまな因子が関係している可能性がある。小腸腫瘍の50%以上が悪性カルチノイドであったことから、ホルモンが影響している可能性が示唆される。膵がんの過剰リスクは、両者に対して影響を受けやすいBRCA2における病原性多様体によるものであろう。黒色腫のリスクは、診断後の追跡で最初の1年目に最も顕著であったことから、スクリーニングおよびサーベイランスの頻度が増加した結果である可能性が高まっている。[ 46 ]
全国規模のSwedish Family Cancer Databaseを用いたスウェーデンの1件の研究では、前立腺がん後の二次原発がんのリスクにおける家族歴の役割が評価された。前立腺がん男性80,449人中、6,396人が二次原発がんを発症した。がん家族歴のある患者は二次原発がんのリスクが高く、最大のリスクは、大腸がん(RR、1.78;95%CI、1.56–1.90)、肺がん(RR、2.29;95%CI、1.65–3.18)、腎がん(RR、3.59;95%CI、1.61–7.99)、膀胱がん(RR、3.84;95%CI、2.63–5.60)、黒色腫(RR、2.30;95%CI、1.86–2.93)、扁平上皮皮膚がん(RR、2.10;95%CI、1.92–2.26)、および白血病(RR、3.88;95%CI、1.94–7.77)からなることが明らかになった。がん家族歴のある前立腺がんの発端者で、死亡の47%は二次原発悪性腫瘍によるものであった。83歳までの二次原発がんの累積発生率は、これらのがん家族歴がある参加者で最も高く(35%)、がん家族歴がない場合(28%)と対照的であった。[ 48 ]
BRCA2およびMLH1などの既知のがん素因遺伝子に偏って病原性多様体を有する原発悪性腫瘍が別に1つ以上ある前立腺がん患者のデータが現れている。[ 49 ]
複数症例家系における他のがんのリスク
数件の報告により、前立腺がん複数症例家系内の近親者においてさまざまな他のがんのリスク増加が示唆されているが、これらの関連はいずれも決定的に確立されたわけではない。[ 50 ][ 51 ][ 52 ]
202の前立腺がん複数症例家系を対象にしたフィンランドの1件の集団ベース研究では、5,523人の家系員においてすべてのがん(前立腺がん以外)を合わせた過剰リスクは検出されなかった。女性の家系員では胃がんについてほんのわずかな超過がみられた(SIR、1.9;95%CI、1.0-3.2)。臨床的に侵攻性の前立腺がんに罹患した家系と非侵攻性の前立腺がんの家系と比較したところ、家族性がんリスクに違いは認められなかった。これらのデータから、家族性前立腺がんは、がん部位特異的疾患であることが示唆される。[ 53 ]
Swedish Family Cancer Databaseからの研究により、前立腺がんの診断を受けた家系員が複数存在する家系では、次のがんのリスク増加が報告された:骨髄腫(RR、2.44;95%CI、1.24-4.82)、腎がん(RR、2.32;95%CI、1.23-4.36)、非甲状腺性内分泌腫瘍(RR、2.18;95%CI、1.06-4.49)、黒色腫(RR、1.82;95%CI、1.18-2.80)、神経系腫瘍(RR、1.77;95%CI、1.08-2.91)、および女性の乳がん(RR、1.37;95%CI、1.02-1.86)。[ 54 ]こうした関連が一般的な遺伝子的根拠、共有される環境、または因子の組み合わせによるものであるかどうかは、まだ確定していない。
前立腺がんのリスクの遺伝
多くのタイプの疫学研究(ケースコントロール、コホート、双子、家族)により、前立腺がん感受性遺伝子がこうした集団に存在することが強く示唆される。スカンジナビアの一卵性(MZ)または二卵性(DZ)双胎のより長期的な追跡の解析は、前立腺がんリスクの58%(95%CI、52%-63%)について遺伝的因子で説明できる可能性があると結論付けた。[ 14 ]さらに、罹患したMZおよびDZ双胎において、第2児の診断までの期間はMZ双胎で最も短かった(平均、MZ双胎で3.8年 vs DZ双胎で6.5年)。これは、DZ双胎での一致率7.1%とMZ双胎での一致率27%を示した以前の米国の研究の結果と合致するものである。[ 55 ]スウェーデンの研究では、6を超えるグリソンスコア、T2, N1, M1を超える臨床病期、および10を超えるPSAで定義した疾患侵攻性との一致も明らかになった(MZ双胎でOR、3.82[95%CI、0.99–16.72];DZ双胎でOR、1.38[95%CI、0.27–7.29];通常の兄弟でOR、1.21[95%CI、1.04–1.39])。[ 56 ]
1982年から1989年の間に根治的前立腺切除術を受けた連続した740人の発端者の家系を用いて、1992年に初の分離比分析が実施された。本研究の結果から、早期発症した前立腺がんの男性における家族性集積は、まれな(頻度、0.003)常染色体優性で浸透率の高いアレルの存在により説明するのが最善だと示唆された。[ 16 ]遺伝性前立腺がん感受性遺伝子が、早期(55歳以下)発症例のほぼ半数を説明すると予測された。さらに、55歳より前の発症に関連してよくみられる多様体を検討した研究から、早期発症型には強い遺伝的要素があることがさらに裏付けられている。[ 57 ]
その後の分離比分析も総じてこの結論と合致していたが、頻度、浸透度、遺伝様式の細部では異なっていた。[ 58 ][ 59 ][ 60 ]1966年から1995年の間に根治的前立腺切除術を受けた男性4,288人の研究により、遺伝的形質の最も適合する遺伝子モデルはまれな常染色体優性の感受性遺伝子(頻度0.06)の存在であることが明らかにされた。この研究では、キャリアにおける85歳までの生涯リスクは89%と推定され、非キャリアでは3.9%と推定された。[ 55 ]この研究ではまた、このモデルが70歳以上で診断された発端者の第一度近親者における前立腺がんリスクを予測する信頼性が低いことから、遺伝的異質性の存在が示唆された。さらに最近の分離比分析では、乳房、卵巣、大腸、腎、および黒色腫を含むものなど、他の成人発症型遺伝性がん症候群と類似したパターンで前立腺がんと関連する遺伝子が複数存在すると結論している。[ 61 ][ 62 ][ 63 ][ 64 ]さらに、フィンランドの1,546の家系を対象にした分離比分析により、メンデル型の劣性遺伝の証拠が明らかにされた。結果から、リスクアレルを保有する人は、非キャリアよりも若い年齢(66歳未満)で前立腺がんと診断されたことが示された。これは劣性遺伝様式を示した最初の分離比分析である。[ 65 ]
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- 前立腺がんリスクに関連する遺伝子および遺伝的多様体の同定
-
前立腺がんと関連した遺伝的多様性の全貌を明らかにするために、さまざまな研究方法が利用されている。特定の研究手法は固有の表現型または遺伝様式について明らかにする。以下のセクションでは、さまざまな方法による前立腺がん研究について説明し、それらの方法が前立腺がんの遺伝子的根拠を解明する際に果たす役割に注目する。疾患感受性遺伝子を同定するために、連鎖研究は通常、ある特定の疾患が複数例存在する高リスクの大家系に対して実施される。一般的に、連鎖解析を介して特定される遺伝子病原性多様体は、集団内ではまれであるが、家系内の浸透度が中から高で、効果量が大きい(例、相対リスク[RR] > 2.0)。連鎖解析で特定される病原性多様体の臨床的機能は比較的明確であり、BRCA1およびBRCA2などの遺伝子が認められるがんに対する遺伝子検査が既に確立されている。(これらの遺伝子に関する詳しい情報については、本要約の遺伝性前立腺がんに関する遺伝子検査の臨床応用セクションのBRCA1とBRCA2のセクションを参照のこと。)前立腺がんに関連する候補遺伝子座の同定に用いられる別の方法としてゲノムワイド関連解析(GWAS)がある。通常、GWASにより同定される遺伝子多様体は集団内で多くみられ、前立腺がんのリスクに対する効果量は低~中等度である。GWASで特定されるマーカーの臨床的機能は、活発な調査領域の1つである。ケースコントロール研究は、前立腺がんリスクとの関連で候補となる遺伝子変化の研究に有用なことはもちろん、連鎖解析およびGWASで得られた知見の妥当性確認においても有用であるが、ケースコントロール研究から得られる知見の臨床的位置付けはさらに明確化する必要がある。
連鎖解析
連鎖解析の概要
前立腺がんが家系内で多発することが認識されるようなったため、連鎖研究を通して前立腺がん感受性遺伝子の位置を特定する目的で、多くの研究者が複数症例を有する家系を収集するようになった。
連鎖研究は、疾患感受性遺伝子の同定を目的として、典型的には、ある特定疾患の症例が複数認められている高リスクの家系を対象に実施される。連鎖解析では、拡大家族内で罹患者と非罹患者の間で統計的に遺伝子型を比較し、遺伝性の遺伝子マーカーと疾患の形質との間の関連性を調べる。特定の染色体領域での変化と疾患の形質との間に関連性(連鎖)が認められた場合は、その遺伝子座に疾患感受性遺伝子が存在する統計的証拠が得られる。焦点となっているゲノム領域が連鎖解析によって同定されると、感受性遺伝子が本当にその位置に存在することを証明するため追加の研究が必要となる。連鎖解析は以下の因子によって影響を受ける:
さらに、遺伝性前立腺がんの標準定義は一般にはまだ受け入れられていないため、前立腺がんの連鎖研究では、一貫した登録基準が用いられていない。[ 1 ]提唱されている基準の1つにHopkinsの基準があり、これにより遺伝性前立腺がん家系の実用的な定義が可能となる。[ 2 ]Hopkinsの基準を用いると、遺伝性前立腺がんを有する前立腺がん家系とみなすには、以下の基準のうちいずれか1つを満たすのみでよい:
- 罹患した第一度近親者(父親、兄弟、息子)が3人以上。
- 母方または父方のいずれかの家系で3世代連続で罹患した近親者。
- 発症年齢55歳以下の近親者が2人以上。
これらの基準を用いると、前立腺がん男性の約3~5%が遺伝性前立腺がんの家系出身であることが外科シリーズで報告されている。[ 2 ][ 3 ]
連鎖研究におけるさらなる問題は、家族研究における散発性前立腺がんの高い背景割合である。男性の前立腺がんの生涯リスクは9人に1人であることから[ 4 ]、研究対象の家系に遺伝性と散発性の両方の前立腺がんの男性がいる可能性がある。故に、その家系において分離している前立腺がん感受性遺伝子を受け継いでいない男性にも前立腺がんが発生することがあり、遺伝的シグナルが曖昧になる。前立腺がんが遺伝性か散発性かを鑑別できるようなその臨床的または病理学的な特徴は認められていないが、前立腺がんの分子表現型の理解における現在の進歩から遺伝性前立腺がんを同定する上で有益な情報が得られる可能性がある。同様に、特定の候補遺伝子座と関連する前立腺がんの臨床的表現型または自然史に関するデータは限られている。前立腺がんの連鎖解析研究に用いられる家系の評価においては、特に決まりはなく、血清前立腺特異抗原(PSA)の測定が用いられている。連鎖研究において、家族内の前立腺がんの割合がスクリーニング受診家族と非受診家族で異なるであろうことから、罹患男性の定義は血清PSAスクリーニングの使用によりバイアスを受けうる。
連鎖研究間の不一致に対処する1つの方法として、罹患男性において臨床的に意義のある病態(例、グリソンスコアが7以上、PSA値が20ng/mL以上)を定義する選択基準が必要である。[ 5 ][ 6 ][ 7 ]このアプローチでは、連鎖シグナルを同定する確率を上げるため、1組の均一な症例/家系を定義する試みがなされる。このアプローチではまた、家系のスクリーニングによって同定された臨床的に明らかではないと考えられる症例の選択が避けられる。
研究者はまた、疾患の重症度に影響しうる遺伝子を同定すべく、臨床的パラメータを連鎖解析に組み込んでいる。[ 8 ][ 9 ]しかしながら、この種のアプローチではまだデータセット全体において一貫した連鎖シグナルの同定には至っていない。[ 10 ][ 11 ]
連鎖解析で同定された感受性遺伝子座
前立腺がんに罹患した人が複数いる家系において、提唱される前立腺がん感受性遺伝子座がいくつか同定されている。連鎖解析を用いて明らかにされたリスク遺伝子座に存在する遺伝子には、HPC1/RNASEL(1q25)、PCAP(1q42.2-43)、HPCX(Xq27-28)、CAPB(1p36)、およびHPC20(20q13)に加え[ 12 ]、8pおよび8qの遺伝子間領域がある。[ 13 ][ 14 ]さらに、以下の染色体領域は、複数の研究または臨床コホートで前立腺がんとの関連がみられ、統計的に有意な(2以上の)対数オッズ(LOD)スコア、異質性LOD(HLOD)スコア、または概要LODスコアが認められている:3p14、3p24-26、5q11-12、5q35、6p22.3、7q32、8q13、9q34、11q22、15q11、16q23、17q21-22、および22q12.3。[ 1 ][ 9 ][ 12 ]
これら遺伝子座の一部の連鎖に関して相反する証拠が存在する。各遺伝子座と関連して提唱された表現型に関するデータには限界があることが多く、関連性を確固たるものにするには、妥当性研究が必要である。連鎖解析により明らかになった前立腺がんのリスク遺伝子座の多くが少数の家系亜集団における疾患の原因となることを示唆する証拠があり、前立腺がんは遺伝子座異質性を示すという概念と一致している。
家族のさまざまな表現型における連鎖解析
集団特異的感受性遺伝子または疾患の表現型に影響を与える遺伝子を同定するために、特定の集団を対象とした連鎖研究、または特定の臨床パラメータを用いた連鎖研究も実施されている。
African American Hereditary Prostate Cancerの研究では、罹患男性が4人以上いる77家系についてゲノムワイド連鎖研究が実施された。11q22、17p11、およびXq21にマップされるマーカーが用いられ、1.3以上2.0未満の複数ポイントHLODスコアが観測された。前立腺がん男性を7人以上有する16家系の解析から、さらに次の2つの座位についての証拠が得られている:2p21(複数ポイントHLODスコア = 1.08)と22q12(複数ポイントHLODスコア = 0.91)。[ 13 ][ 15 ]ルイジアナ南東部および南中部出身のアフリカ系米国人における遺伝性前立腺がんの15家系を対象とした小規模の連鎖研究では、6,000の一塩基多型(SNP)を含むプラットフォームが用いられ、2p16(HLOD = 1.97)および12q24(HLOD = 2.21)で前立腺がんを示唆する連鎖が同定された。[ 16 ]これらの知見を確認するためには、より多くのアフリカ系米国人家系を含む研究がさらに必要である。
前立腺がんの侵攻性に寄与する遺伝子座を同定する目的で、以下のような臨床的に高リスクの特徴を認める家系を対象とした連鎖解析が実施されている:グリソンスコアが7以上、PSAが20ng/mL以上、診断時のがん病期が領域内または遠隔転移、65歳未満で前立腺がん転移による死亡。侵攻性の前立腺がんを認める罹患家系員を2人以上有する123家系を対象とした1件の研究で、染色体22q11および22q12.3-q13.1で連鎖が明らかにされた。[ 5 ]これらの知見は、臨床的に定義された表現型を用いると前立腺がん感受性遺伝子の発見が促進されうることを示唆している。その後、14の高リスク前立腺がん家系を対象としたファインマッピング研究で、対象となるゲノム領域が22q12.3の880-kb領域に絞られている。[ 17 ]侵攻性の前立腺がんを認める348家系を対象に高解像度マーカーセットを使用した別の連鎖解析で、連鎖の強力な証拠を示す領域として8q24が明らかになった。[ 18 ]LODスコアが2以上の侵攻性疾患との連鎖を示すその他の領域には、1q43、2q35、および12q24.31があった。候補遺伝子はまだ同定されていない。
ケースコントロール研究
ケースコントロール研究では、研究対象の因子を特定の状態との関連について評価する。このデザインでは、特定の疾患や遺伝子多様体など、対象とする状態を有する症例を調査し、その病態がみられない対照サンプルと比較する。ほとんどの場合に、研究者は単一の検索点として特定の遺伝子多様体を分離するために、できるだけ多くの特徴(例、年齢、性別、民族性など)について症例と対照を比べる。遺伝的因子の特定に関するケースコントロールデザインの制約には以下のものがある:[ 19 ][ 20 ]
一連の調査に交絡因子が存在する可能性があるため、独立したデータセットの検証を行うことが、真の関連を明らかにするうえで必須である。[ 19 ][ 20 ]
複数のアンドロゲン受容体(AR)遺伝子多様体が、前立腺がんリスクおよび疾患の進行の両者との関係において調べられている。AR遺伝子は、前立腺がん発がんの全段階で発現し、進行疾患において通常は過剰発現しているため、検索対象の遺伝子にすることは理に適っている。[ 22 ][ 23 ]さらに、ARシグナルの減少は確実に前立腺がんの退縮につながる。AR遺伝子座における生殖細胞多様体は広範に研究されてきた。例えば、AR遺伝子のエクソン1に含まれる多型トリヌクレオチドCAGおよびGGNからなるマイクロサテライトの反復数は集団内において多様であり、早期研究により前立腺がんリスクとの関連の可能性が示唆されている。[ 22 ][ 24 ][ 25 ][ 26 ][ 27 ][ 28 ][ 29 ][ 30 ][ 31 ][ 32 ][ 33 ][ 34 ]しかし、どのAR遺伝子座の生殖細胞多様体もこの疾患と明確に関連してはいなかった。[ 35 ]
分子疫学研究では、アンドロゲン代謝カスケードにも関与しているSRD5A2遺伝子の遺伝的多型についても解析されている。5-α-リダクターゼの2つのアイソザイムが存在する。5-α-リダクターゼタイプII(SRD5A2)をコードする遺伝子は、2番染色体に位置する。この遺伝子は、5-α-リダクターゼタイプIIによりテストステロンが不可逆的にジヒドロテストステロンに変換される場所である前立腺で発現する。[ 36 ]証拠は、中国および日本の男性を含め前立腺がんのリスクが比較的低い集団において、5-α-リダクターゼタイプII活性が低いことを示唆する。[ 37 ][ 38 ]複数のケースコントロール研究が実施されており、検出力に優れたメタアナリシスが行われた結果、この遺伝子と前立腺がんリスクとの間に明確な関連は実証されなかった。[ 39 ][ 40 ][ 41 ][ 42 ][ 43 ]
他の研究者により、エストロゲン経路に関与する遺伝子における多様性の潜在的な寄与が調査されている。前立腺がん症例1,415例および年齢でマッチングした対照801例のスウェーデンの集団研究では、エストロゲン受容体ベータ(estrogen receptor beta:ER-beta)遺伝子におけるSNPと前立腺がんとの関連が調査された。ER-betaのプロモーター領域における1つのSNPであるrs2987983は、全前立腺がんリスク1.23および限局性疾患リスク1.35と関連していた。[ 44 ]他のER-beta多型は軽度のリスクとの関連が報告されている。[ 45 ][ 46 ][ 47 ]ER-alpha遺伝子多様体についての研究も実施されており、複数の研究で前立腺がんに関係する可能性が示唆されている。有力な統計的証拠を欠くことから、これらの研究で得られた正の関連はすべて、より大規模なデータセットで再検討する必要がある。
腫瘍抑制遺伝子E-カドヘリン(CDH1)における生殖細胞病原性多様体が遺伝性胃がんを引き起こす。CDH1のプロモーター領域に位置し、-160C/Aと表記されるSNPは、この遺伝子の転写活性を変化させることが明らかにされている。[ 48 ]CDH1における体細胞変異は、多くの種類のがんで浸潤性悪性腫瘍の発生への関与が認められているため[ 49 ]、この機能的に重要なプロモーターはがんリスクの修飾因子であるという証拠を求めて、研究者らは調査を行っている。16種類のがんを対象とした47件のケースコントロール研究のメタアナリシスには、前立腺がんコホート(3,570人の症例と3,304人の対照)が含まれていた。リスクアレルのキャリアにおける前立腺がん発症のオッズ比は、1.33(95%信頼区間[CI]、1.11-1.60)であった。[ 50 ]後続のメタアナリシスで、CDH1 -160C/A多型とのわずかな関連が確認された。[ 51 ]この所見に再現性があり、かつ生物学的にも臨床的にも重要であるかどうかを判断するには、さらに研究が必要である。
民族および年齢を一致させた対照と併せて、侵攻性の前立腺がんの200人のアフリカ系米国人男性および452人のヨーロッパ系米国人からなる全エキソーム生殖細胞塩基配列決定コホートにおいて、TET2の多様体がアフリカ系米国人サブ集団における侵攻性疾患と関連していることを研究者らは明らかにした。これらの多様体は、アフリカ系米国人症例の24.4%にみられたのに対して、対照では9.6%であった。[ 52 ]
他の複数の遺伝子グループもケースコントロール研究の焦点とされており、例えば、ステロイドホルモン経路、[ 53 ][ 54 ]Toll様受容体遺伝子、[ 55 ][ 56 ][ 57 ][ 58 ][ 59 ][ 60 ][ 61 ][ 62 ][ 63 ]葉酸経路、[ 64 ]p53、[ 65 ]などが検討されている。[ 66 ][ 67 ][ 68 ][ 69 ][ 70 ][ 71 ][ 72 ][ 73 ][ 74 ]
次の遺伝子を対象に部位特異的な前立腺がん感受性がケースコントロール研究で評価された:EMSY、KLF6、AMACR、NBN、CHEK2、AR、SRD5A2、ER-beta、CDH1、およびToll様受容体遺伝子。これらの遺伝子のリスクを評価する遺伝子検査の臨床的妥当性および有用性は確立されていない。臨床的有用性を明らかにするために、妥当性評価とプロスペクティブ・シリーズを実施する必要がある。
混合マッピング
混合マッピングは、祖先が混在している場合に形質および/または疾患に関連する遺伝的多様体を同定するために用いられる方法である。[ 75 ]この方法は、数千年前に分化した2つの人種間での混合が最近行われた個人を対象とする場合に、最も効果を発揮する。こうした個人のゲノムには、それぞれの祖先に固有の大きなブロックがモザイク状に含まれている。この方法では、ある先祖グループと他のグループを比較した場合の疾患発生率の相違を利用する。リスク遺伝子座は、より発生率の高い先祖グループに関連の深い領域に存在していると推測される。マッピングの成功は、祖先と関連する集団特異的な遺伝マーカーの利用可能性と混合以降の世代数に左右される。[ 76 ][ 77 ]
混合マッピングは、アフリカ系米国人の前立腺がんリスクが高いことに関連する遺伝子座を同定する上で、特に注目される方法である。アフリカ系米国人男性では、ヨーロッパ系の祖先をもつ男性と比較して前立腺がんの発生リスクが高く、アフリカ系米国人男性のゲノムは、アフリカ系の領域とヨーロッパ系の領域とがモザイク状になっている。そのため、これら2グループ間の発生率の差を説明する継承された多様体は、アフリカ系の祖先に関連が深い領域に存在するという仮説が立てられる。前立腺がんの混合研究で、前立腺がんの男性におけるアフリカ系祖先に関連の深い領域を特定するために、アフリカ系米国人の症例と対照について、ゲノムワイドで祖先に関する遺伝子マーカーの遺伝子型が調べられた。混合研究によって、前立腺がんと関連している以下の染色体領域が同定されている:
このアプローチの利点は、最近生じた混合により、一連の長い連鎖不平衡(最大10万対の塩基対)ができることに関連している。[ 80 ]つまり、前立腺がんなどの特定の疾患に関連する遺伝的多様体を探索するために必要なマーカーは、GWASの成功に必要なマーカーの数より少なくて済む。[ 76 ](詳しい情報については、本要約のGWASのセクションを参照のこと。)
ゲノムワイド関連解析(GWAS)
概要
GWASの概要
全ゲノム検索は、多くの複合疾患に対する感受性アレルの同定に成功しており[ 81 ]、そこには前立腺がんも含まれている。[ 82 ]このアプローチは、有病率が高い家系内で同時分離している、遺伝的リスクを伴う多様体を検索する連鎖解析と対比することが可能である。連鎖解析では、まれで浸透度が高く、予測できる遺伝パターン(例、常染色体優性、常染色体劣性、X連鎖性、およびミトコンドリア性)で分離する多様体を検出するようにデザインされている。一方、GWASは多数の一般的な浸透度の低い遺伝的多型を特定するのに最も適している。前立腺がんのように複合表現型の遺伝的基礎は、それぞれが軽度のリスクを与える多くのアレルによって支配されているという仮定の下で、GWASが実施される。GWASにおいて遺伝子型解析される遺伝的多型のほとんどが一般的なものであり、対象となる祖先の集団(例、ヨーロッパ系の男性)内におけるマイナーアレル頻度は1%超~5%である。GWASではゲノム全体ですべての一般的な遺伝的多様体が調査され、ある疾患または表現型の発生率に関連するアレルが検索される。[ 83 ][ 84 ]検査対象の染色体上で、お互いに近い位置にある多くのアレル間に強い相関(連鎖不均衡と呼ぶ)が認められるため、1000万にも及ぶ既知のSNPをすべて調べなくてもゲノム全体を「スキャン」することが可能となる。GWASにより、約100万~500万個のSNPが検査可能で、ゲノム全体で一般的な遺伝的多様体のほぼすべてを確認できる。
GWASでは、症例と対照間で各SNPのアレル頻度が比較される。対照集団と比較して症例でアレル頻度が有意に偏向しているという有望なシグナルは、複製データセットで検証される。表現型に関連する多様体を識別する統計的な検出力を満たすために、一般的にはそれぞれ数千人という多数の症例と対照を調査する。GWASで解析されるSNPが一般的に100万個であるため、標準的な統計閾値を使用すると、偽陽性の判定が多くなることが予想される。そのため、厳しい統計的法則を採用して陽性と判定し、通常はP < 1 × 10-7の閾値を用いる。[ 85 ][ 86 ][ 87 ]
現在までに、検出力に優れたGWASによって前立腺がんに関連する150を超える多様体が特定され、独立したコホートで検証されている(National Human Genome Research Institute GWASカタログおよび[ 88 ]を参照のこと)。[ 89 ][ 90 ][ 91 ]これらの研究により、特定の遺伝的多様体と前立腺がんリスクとの間に説得力のある関連性が明らかにされている。さらに早期発症型前立腺がんの男性は、より高齢の前立腺がん症例や一般対照に比べてリスクアレルの累積数が多い。[ 92 ]しかしながら、この知見は以下のわずかだが重要な検討を加えて検証すべきである:
- これまでに報告されたGWASは、集団内で比較的一般的な遺伝的多型を特定するようにデザインされている。集団内に高頻度にみられるアレルが単独でがんリスクに実質的に寄与する可能性はきわめて低い。前立腺腫瘍形成の多遺伝子性を考え合わせると、このことは、今日までにGWASにより特定された1つの多様体による寄与はいずれもきわめて小さく、一般に疾患リスクのORは1.3未満であることを意味している。さらに、何万もの症例と対照を対象とした一般的多型についての広範なゲノムワイド検索にもかかわらず、今日までのGWASの結果では、前立腺がんリスクにおける遺伝的要素を説明できるものは半数にも満たない。[ 88 ][ 93 ][ 94 ][ 95 ]
- GWASによって明らかになった多様体が疾患リスクの直接的な要因となる可能性は低い。前述したように、SNPは連鎖不均衡ブロック内に存在し、単に検査対象ブロック内にある1組の多様体 - 既知および未発見のいずれでも - の代理指標となるだけである。原因となるアレルは連鎖不均衡ブロック内のどこかに位置している。
- 異なった先祖グループが混合しているためにGWASの結果が混乱することがある(すなわち、統計的に有意な結果が、疾患との真の関連性というより、症例 vs 対照における被験者数の不釣り合いを反映している可能性がある)。そのため、GWASの被験者は、研究デザイン上、単一の先祖グループから構成される。その結果、ゲノムワイド関連解析では、一部の集団が依然として過小評価される。
これらの点についての意味合いは、以降でより詳細に考察する。追加の詳しい情報が別の場所で見つかることがある。[ 96 ]
GWASで同定された感受性遺伝子座
2006年に始まった複数の全ゲノム解析で前立腺がんリスクとの関連性が探索され、いずれも同一の染色体遺伝子座8q24にたどりついた。[ 97 ][ 98 ][ 99 ][ 100 ][ 101 ][ 102 ][ 103 ][ 104 ][ 105 ][ 106 ][ 107 ][ 108 ][ 109 ][ 110 ]その時点以降の10を超えるすべての遺伝的多型が独立して疾患に関連しており、8q24内の異なる5つのリスク領域に存在していた。これまでに報告されている8q24リスクアレルに由来する前立腺がんの集団寄与リスクは9.4%である。[ 111 ]
8q24の前立腺がんリスク遺伝子座の発見以来、数千の症例と対照からなる多段階GWASにより、他の染色体のリスク遺伝子座でも同様に100を超える多様体が特定され、独立したコホートで検証されている。現在までにヨーロッパ系男性で報告された最も説得力のある関連性については、National Human Genome Research Institute GWASカタログで注釈が付けられている。
ヨーロッパ系以外の集団を対象としたGWAS
前立腺がんについて現在までに生成されたGWASデータのほとんどは、ヨーロッパ系の集団から得られたものである。この欠点は、連鎖不均衡の構造、SNP頻度、および疾患発生率が祖先グループによって異なっていることを考えると深刻である。すべての患者に対して意味のある遺伝子データを提供するには、具体的な民族グループ向けに、デザインに優れ、検出力が適切なGWASを実施しなければならない。[ 112 ]これに関しては、研究のほとんどがアフリカ系アメリカ人、中国人、および日本人の男性を中心に行われている。現在までに非ヨーロッパ系男性で報告された最も説得力のある関連性については、National Human Genome Research Institute GWASカタログで注釈が付けられている。
先祖が西アフリカのアメリカ人男性は、他のいずれの集団よりも前立腺がんのリスクが高いため、アフリカ系アメリカ人集団が特に注目されている。ヨーロッパ系男性におけるGWAS所見をアフリカ系男性に適用可能かどうか判定することを目的とした研究は、わずかしか行われていない。アフリカ系アメリカ人症例3,425人とアフリカ系アメリカ人対照3,290人を対象に、ファインマッピングにより既知の28の前立腺がんリスク遺伝子座を検索した研究が1件ある。[ 113 ]別の研究では、約4,853例の前立腺がん症例と4,678例の対照で、それまでに報告されていた82のリスク多様体について調査した。[ 114 ]リスクアレルの大多数(約83%)は、アフリカ系アメリカ人とヨーロッパ系アメリカ人で共通していた。先祖がアフリカの症例10,202人および対照10,810人のGWASメタアナリシスでは、染色体13q24および22q12上に新たなシグナルが明らかになり、この高リスク集団におけるリスクと特異的に関連していた。[ 90 ]先祖がアフリカの症例4,853人および対照4,678人の研究では、3つの独立した関連性が同定され、その後に再現された。3つの多様体すべてがすでに前立腺がんと関連付けられた長い非コーディングRNA(lncRNA)内またはその近くにあり、その多様体のうち2つは、先祖がアフリカ人の男性に特有なものであった。[ 115 ]
日本および中国人集団における遺伝性のがんリスクを調査するために、統計的に検出力の優れたGWASも開始されている。研究者らにより、これらの集団は他の研究でアフリカ系米国人男性に観察された多くのリスク領域を共有することが発見された。[ 116 ][ 117 ][ 118 ][ 119 ]さらに、これらの先祖グループに特有なリスク領域が同定された(National Human Genome Research Institute GWASカタログを参照)。より大規模のコホートを対象にした実施中の取り組みで、これらの知見の検証と詳しい説明がなされるであろう。
GWAS所見の臨床研究
GWASによって発見された多様体はリスクのマーカーとなるため、前立腺がんの発症を予測するスクリーニング手段として遺伝子型を利用することに関心が高まってきている。発見されたリスクSNPの数が増加するとともに、これらのリスクSNPは、PSAおよび家族歴などの従来の変数と並行して臨床コホートに適用されているが、この情報の臨床的有用性は確立されていない。
最初に判明した5つのリスクSNPに関する初期の研究では、臨床的に意味のあるデータが増えることを実証できなかった。[ 120 ]その後の試験で、より大規模なリスクSNPパネルでも、大半のスクリーニング集団に対する有用性が実証できなかった。しかしながら、多数のリスクアレルを保有する少数の男性サブセットでは、前立腺がんを発症するリスクが明らかに高く、特に家族歴が陽性の男性で顕著であった。[ 120 ][ 121 ]
2012年7月に、Agency for Healthcare Research and Quality(AHRQ)から、GWASにより発見された前立腺がんリスクマーカーの生殖細胞系遺伝子型解析の臨床的有用性について検討した報告が公表された。[ 122 ]主に前述した試験から得られた証拠を基にして、この疾患を発症するリスクのある人を特定するには、確立されている前立腺がんリスクSNPは「識別能が劣る」とAHRQは結論付けた。同様に、他の研究の著者らは、メタアナリシスや大規模研究により他の一般的なリスクアレル(集団内の個人の1~5%以上が保有しているアレル)が明らかになるとはいえ、前立腺がん発生リスクの特定に対するGWAS多型の寄与は小さいと評価している。[ 123 ]
2018年に、140,000人を超える男性の研究で、前立腺がんと関連することが確認された147のGWAS多様体に基づいて、多遺伝子リスクスコア(PRS)が計算された。PRSの分布が中間50%の男性と比較して、下位1%の男性はリスクが有意に低く(RR、0.15)、上位99%の男性はリスクが有意に高かった(RR、5.7)。これらの知見から、この集団におけるリスク層別化に、PRSが有用なツールになる可能性が示唆される。[ 91 ]BRCA1/BRCA2病原性多様体を有する男性を対象とした別の研究では、103の前立腺がん感受性多様体からPRSが計算され、これらの既知の多様体と関連するリスクへ影響を及ぼすことが示された。例えば、PRS分布が上位95%の多様体キャリアは、前立腺がんを発症するリスクが最も高いと予測される。[ 124 ]BRCA1/BRCA2の病原性多様体もしくは病原性の可能性が高い多様体を有する男性(またはDNA修復不全やリンチ症候群と関連する遺伝子などの高リスクがん遺伝子に他のまれな遺伝子多様体を有する男性)の小さなサブセットにおいて、PRSによりリスク層別化に有用な臨床情報が得られるかどうかを決定するには、さらに研究が必要である。
Stockholm-3 Model(S3M)は、50~69歳のスウェーデン人男性58,000人の研究に基づいて開発された。男性は、233の前立腺がんリスク関連多様体について遺伝子型検査を受け、他の臨床データと併せて、これらのデータを用いて男性のリスク層別化が行われた。PSA単独(曲線下面積[AUC]、0.56)と比較して、臨床因子(S3M)へSNPを追加することで、臨床的に重要な(すなわち、グリソンスコアが7以上の)前立腺がんの予測(AUC、0.75)が改善した。[ 125 ]英国の55~69歳の男性5,000人を対象とした別の地域社会ベースの研究(BARCODE1)には、167のリスクSNPの遺伝子型検査が含まれ、PRSが上位10%の男性は前立腺の生検を受ける。この研究では、前立腺がんスクリーニングのプロトコルの指針となる可能性があるPRSの臨床的有用性に関する追加情報が得られるはずである。[ 82 ]BRCA1/BRCA2[ 124 ]およびHOXB13[ 126 ]などのまれな病原性アレルに起因するリスクに対して、PRSが付加的であることが示されている。前立腺がんに関連する最もまれな病原性アレルの浸透度は、中間の範囲にあることが多いため、今後の研究では、疾患浸透度を理解したうえで、GWAS SNPを使用する必要がある。
これまでに得られたGWASの知見は、遺伝性疾患リスクで推定される58%のうち30%のみである。前立腺がんの家族性相対リスクの約6%は、まれな遺伝子多様体に起因するとされている。[ 82 ]遺伝的リスクの残りの部分を解明する研究が、現在進められている。これには、頻度が低く、よりまれな、リスクのORがより高いアレルの発見が含まれる。[ 127 ]前立腺がんの関連リスクおよびPRSの予測可能性に注目した研究が進行中である。[ 128 ]
さらに、コピー数多様体などの他の遺伝的多型がますます検査に受け入れられるようになってくる。遺伝性前立腺がんリスクの全容がより完全に明らかになるにつれて、生殖細胞系の情報が臨床的に有用となることが期待される。最後に、GWASによって、前立腺がんリスク機序への見識がより多く得られている。注目すべきことに、報告されている前立腺がんリスクアレルのほぼすべてがゲノムの非蛋白コード領域に存在している;しかしながら、疾患感受性の基礎にある生物学的機序は当初不明であった。現在では、大半のリスク多様体が調節エレメントおよびそれに続いて遠隔遺伝子の活性に影響を及ぼすことが明らかになっている。[ 129 ][ 130 ][ 131 ][ 132 ][ 132 ][ 133 ][ 134 ][ 135 ][ 136 ][ 137 ]GWASにより、これらのネットワークが解明されるのにつれて、新たな治療法および化学予防戦略が続いて現れると期待される。
結論
これらの遺伝子座における遺伝的多様性と前立腺がんリスクとの関連性について、統計的証拠は圧倒的に多いが、これらの多様体の臨床的重要性およびそれがリスクを高めるに至る機序は不明であり、さらに特徴を明らかにする必要がある。その上、これらの遺伝子座に伴うリスク推定値はきわめて小さく、全体的な遺伝的リスクの一部しか説明していない。しかしながら、これらの確認された遺伝リスク多様体をPRSに組み込んだ場合、前立腺がんのリスク層別化に有用であり、スクリーニングおよび早期発見の対象となる男性が特定されることが証明される可能性がある。今後の研究では、1000 Genomes Projectのような塩基配列決定作業を通して分類された比較的まれなアレルのゲノムワイド関連解析が含められる。[ 138 ]その集団で1%未満の頻度しかない疾患関連アレルは、より浸透度が高く、臨床的に有用であることが証明される可能性がある。その上、ヨーロッパ集団以外で遺伝的リスクの全貌について説明するには、さらに研究が必要である。最後に、遺伝的リスクアレルの個人的および集団的な影響がプロスペクティブに評価されるまでは、これらの臨床的有用性を完全に評価するのは依然として困難である。
前立腺がんの侵攻性に関連する遺伝的多様体
前立腺がんは生物学的および臨床的に不均一である。多くの腫瘍は緩慢性であり、観察単独で適切に管理される。他の腫瘍は侵攻性が強く、致命的であることが示されている。診断時に前立腺がんの侵攻性を判定するために、グリソンスコアやPSAなど複数の変数が用いられるが、いずれも完全ではない。治療法の決定は正確な予後情報に左右されるため、他のマーカーが追加で必要になる。生殖細胞系の遺伝子多様体は、発現がみられ、検出しやすく、生涯を通して変化しないため、魅力的なマーカーである。
現時点までに得られた侵攻性疾患の遺伝的リスクに関する知見は、予備的なものとみなされる。以下に示すように、前立腺がんの侵攻性に関係する生殖細胞系SNPは、主に次の3つの解析法から得られている:1)リスク遺伝子候補内の一般的な多様体のアノテーション、2)侵攻性について既知の前立腺がんリスクSNP全体の評価、3)前立腺がんの侵攻性に関するGWAS。得られた知見を検証し、これらの関連性をプロスペクティブに評価するには、さらなる研究が必要である。
前立腺がんリスク全体の遺伝的研究と同様に、侵攻性前立腺がんの遺伝的リスクに関する初期研究は候補遺伝子の多型に焦点を当てていた。[ 139 ][ 140 ][ 141 ][ 142 ][ 143 ][ 144 ][ 145 ]続いて、GWASにより前立腺がんのリスクSNPが解明されたことを受け、複数の研究チームが、特定のリスクSNP全体が侵攻性にも関連しているかどうかを検討した。[ 146 ][ 147 ][ 148 ][ 149 ][ 150 ][ 151 ][ 152 ][ 153 ]
緩慢性の前立腺がん vs 侵攻性の前立腺がんに関連する遺伝的多様体の探索を目的とした、より偏りの小さい全ゲノム検索の開始に大きな関心が寄せられている。
遺伝的多様体と前立腺がんの侵攻性との関連が複数報告されている。米国国立がん研究所が主導した多段階症例単独GWASでは、12,518例の前立腺がん症例が検討され、以下の2つの多型で遺伝子型とグリソンスコアとの関連が明らかになった:5q14.3のrs35148638(RASA1、P = 6.49 × 10-9)および3q26.31のrs78943174(NAALADL2、P = 4.18 × 10-8)。[ 154 ]この研究では、侵攻性疾患と関連する遺伝子多様体の位置にあることが以前に報告された19q13のSNPにも重大な関連性が明らかになった。最近、前立腺がんの増殖および腫瘍進行に関与する遺伝子であるPCAT19およびCEACAM21の転写産物レベルの上昇と、この19q13にあるSNP(rs11672691)との関連が認められた。[ 155 ][ 156 ]これらの研究で明らかになった関連性は、高悪性度疾患の生物学に有益な見識を与える可能性があるが、これにより臨床的な有用性が証明されるかどうかは不明である。この研究では「前立腺がんの侵攻性」の定義に関する問題が生じる。グリソンスコアは、予後マーカーとして使用されているが、前立腺がん特異的生存または全生存の完全な代用ではない。
特に疾患関連転帰が確認された前立腺がん患者に焦点を当てるようデザインされた少数のGWASが開始されている。1件の研究、つまり最大規模の国際的な前立腺がん遺伝子型検査コホートの2つを解析のために統合したゲノムワイド関連解析(前立腺がん症例24,023例、3,513例の疾患特異的死亡を含む)で、前立腺がん特異的生存と有意な関連を示すSNPはなかった。[ 157 ] 同様に、前立腺がん特異的死亡を評価したより小規模な研究(死亡196例、長期生存者368人)で、転帰と有意な関連を示す多様体はなかった。[ 158 ]つい最近、前立腺がん患者24,023人についてGWASが実施され、遺伝子多様体と前立腺がん生存との有意な関係はないことが同様に明らかになった。[ 154 ]これらの研究の著者らは、前立腺がんの転帰に関連するSNPは一般集団においてはかなりまれである(マイナーアレル頻度は1%未満)に違いないと結論付けた。
前立腺がんと診断されたスウェーデン男性のGWASでは、AOX1遺伝子座で遺伝子多様体が明らかになり、生存との有意な関連が認められた。[ 159 ]前立腺がん患者12,082人のコホートを含む別の研究で、IL4、MGMT、およびAKT1における遺伝子多様体と前立腺がん特異的死亡との関連が確認された。[ 160 ]Associated Alterations in the Genome(PRACTICAL)およびBreast and Prostate Cancer Cohort Consortium(BPC3)研究グループの前立腺がん患者24,023人を対象とした最初のGWAS解析で、生存と有意に関連しているSNPは確認されなかったが[ 157 ]、これらのコホートの更新された解析が実施中である。
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- 遺伝性前立腺がんに関する遺伝子検査の臨床応用
-
前立腺がんにおける遺伝子検査の基準
前立腺がん感受性に関する遺伝子検査を検討する基準は、表2に要約されているように、新たに発表されたガイドラインや専門家の意見のコンセンサスに応じて異なる。[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ]遺伝性前立腺がんに関する遺伝子検査の対象となる男性の識別は、家族歴の基準、個人/疾患の特徴、および腫瘍シークエンシングの結果に基づく。検査する実際の遺伝子は、特定のガイドラインまたはコンセンサス会議の推奨に基づいてさまざまである。National Comprehensive Cancer Network (NCCN) Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast, Ovarian, and Pancreatic Cancerガイドラインでは、さまざまな検査基準に基づいてBRCA1/BRCA2検査に焦点を当てている。[ 3 ]NCCN Prostate Cancer治療ガイドラインでは、特異的な検査の適応を満たした男性についてBRCA1/BRCA2、ATM、CHEK2、PALB2、MLH1、MSH2、MSH6、PMS2を検査するように言明している。[ 4 ]2017年のコンセンサス会議では、遺伝性前立腺がんに関する遺伝子検査の役割が扱われた。[ 1 ]家族歴に基づく検査の適応には、BRCA1/BRCA2、HOXB13、またはDNAミスマッチ修復(MMR)遺伝子に対する検査が含まれた。生殖細胞系の確認検査には、BRCA1/BRCA2またはDNA MMR遺伝子や他の遺伝子における生殖細胞多様体の潜在的な所見を伴う腫瘍シークエンシングが推奨される。生殖細胞系の検査が検討される体細胞の所見には、以下が含まれる:
HOXB13およびATMは、腫瘍シークエンシングに基づいて検査に対するコンセンサスレベルが低かった。転移を伴う去勢抵抗性前立腺がんの男性は、BRCA1/BRCA2(より高いコンセンサスレベル)およびATM(中等度のコンセンサスレベル)について遺伝子検査を受けるように推奨された。2番目のコンセンサス会議では進行性前立腺がんに焦点が当てられ、さまざまな基準に基づいて遺伝子検査を推奨したパネリスト間で、相同組換えおよびDNA MMR遺伝子を含む大規模パネル検査を使用することで意見が一致したと発表された。[ 2 ]ガイドラインおよびコンセンサス会議からの利用可能な遺伝子検査の適応が表2に示されている。
表2.前立腺がんリスクに関する遺伝子検査の適応 Philadelphia Prostate Cancer Consensus Conference (Giri et al.2018) Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast, Ovarian, and Pancreatic (Version 1.2020) NCCN Prostate Cancer (Version 1.2020) NCCN Prostate Cancer Early Detection (Version 2.2019) European Advanced Prostate Cancer Consensus Conference (Gillessen et al.2017) dMMR = ミスマッチ修復の欠損;FDR = 第一度近親者;HBOC = 遺伝性乳がんおよび卵巣がん;MSI = マイクロサテライト不安定性;NCCN = National Comprehensive Cancer Network;PSA = 前立腺特異抗原。 aGiri et al.:検査される特定の遺伝子には、さまざまな検査の適応に応じてBRCA1/BRCA2、DNA MMR遺伝子、ATM、およびHOXB13が含まれる。 bNCCN Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast, Ovarian, and Pancreaticガイドラインは、BRCA1/BRCA2病原性多様体に関する検査に焦点を当てている。 cNCCN Prostate Cancerガイドラインの規定によると、相同組換え遺伝子の病原性多様体とDNA MMR遺伝子の病原性多様体には、次の遺伝子における多様体が含まれる:BRCA1、BRCA2、ATM、PALB2、CHEK2、MLH1、MSH2、MSH6、PMS2。臨床での状況によっては、その他の遺伝子も対象としたほうがよいこともある。 dNCCN Prostate Cancer Early Detectionガイドラインでは、特にどの遺伝子を検査するかについて明言していないが、前立腺がんスクリーニングについて話し合う場合にはBRCA1/BRCA2状態および他のがんリスク遺伝子の状態を考慮するように記述している。 eGillessen et al.は相同組換えおよびDNA MMR遺伝子を含む大規模パネル検査の使用を支持した。 家族歴の基準 HBOC;遺伝性前立腺がん;およびリンチ症候群に対して確立された検査または症候性基準を満たした家系出身のすべての前立腺がん男性 グリソンスコアが7以上の前立腺がんの個人歴に以下を伴う場合: すべての年齢の卵巣がん、膵がん、または転移性前立腺がんあるいは50歳以下の乳がんの生物学的近親者が1人以上いること;またはすべての年齢の乳がんあるいは前立腺がん(すべてのグレード)の生物学的近親者が2人以上いること;またはアシュケナージユダヤ人家系 父系または母系のいずれか同じ側の家族に以下のがん(特に50歳以下での診断例)が3例以上発生していること:胆管がん、乳がん、大腸がん、子宮内膜がん、胃がん、腎がん、黒色腫、卵巣がん、膵がん、前立腺がん(ただし、臨床的限局性グレードのグループ1ではない)、小腸がん、尿路上皮がん 提供なし 前立腺がんの家族歴陽性 HBOC;遺伝性前立腺がん;およびリンチ症候群に関連するがんを有する生物学的に近い血縁者が3人以上いる前立腺がん罹患男性 アシュケナージユダヤ系 他のがん症候群(HBOCおよび/または膵がんおよび/またはリンチ症候群)の家族歴陽性 1人のFDRにおいて55歳未満で診断された前立腺がん 60歳未満で前立腺がんと診断された兄弟、父親、または複数の家系員 1人のFDRにおける60歳未満での前立腺がんによる死亡 前立腺がんで死亡した兄弟、父親、または複数の家系員がいること 疾患の特徴 転移性前立腺がんを有するすべての男性 転移性または導管内前立腺がん(X線画像所見または生検での証明)の個人歴 高リスク/超高リスクの領域内病変または転移病変を有する男性、および前立腺がんの導管内浸潤の組織像がみられるすべての男性 提供なし 新たに転移性前立腺がんを診断された男性(パネルの62%が、少数の選択された患者における遺伝カウンセリング/遺伝子検査を賛成する投票をした) 55歳未満で診断された前立腺がん 60歳未満で診断された前立腺がん 腫瘍の特徴 体細胞検査でがんリスク遺伝子における生殖細胞多様体の可能性が明らかにされた前立腺がんの男性 腫瘍ゲノム検査で同定された変異(生殖細胞でも同定された場合は臨床的に意義がある) 領域内および転移性の疾患では、相同組み換え遺伝子の病原性多様体に対する腫瘍検査、およびMSIまたはdMMRに対する腫瘍検査を検討する 提供なし BRCA1キャリアにおけるスクリーニング NCCN Genetic/Familial High-Risk Assessment: Breast, Ovarian, and Pancreaticのガイドラインに従う 40歳での前立腺がんスクリーニング開始を検討する 提供なし 40歳でのPSAスクリーニングに関する意思決定に共同で取り組み始めることを検討する スクリーニングの間隔は、NCCN Prostate Cancer Early Detection Version 2.2019で規定されているベースラインのPSA値により決定する 隔年ではなく年1回の間隔でスクリーニングを検討する BRCA2キャリアにおけるスクリーニング 40歳超または家系における前立腺がんの最も早期の年齢よりも10年早いベースラインのPSA値 40歳での前立腺がんスクリーニング開始が推奨される 提供なし 40歳でのPSAスクリーニングに関する意思決定に共同で取り組み始めることを検討する スクリーニングの間隔はベースラインのPSA値により決定する スクリーニングの間隔は、NCCN Prostate Cancer Early Detection Version 2.2019で規定されているベースラインのPSA値により決定する 隔年ではなく年1回の間隔でスクリーニングを検討する HOXB13キャリアにおけるスクリーニング 40歳超または家系における前立腺がんの最も早期の年齢よりも10年早いベースラインのPSA値 提供なし 提供なし 提供なし スクリーニングの間隔はベースラインのPSA値により決定する 前立腺がんにおける多重遺伝子(パネル)検査
次世代塩基配列決定法(NGS)が利用可能になり、特許の制約もなくなったことから、現在ではいくつかの臨床検査施設で多重遺伝子パネルによる遺伝子検査が単一遺伝子検査と同程度の費用で提供されている。留意すべき点として、意義不明の多様体の所見が得られる可能性があり、臨床的意義が依然として不明なことである。(遺伝に関する教育とカウンセリングでの考慮事項および多重遺伝子検査の使用について検討する研究など、多重遺伝子検査に関するより詳しい情報については、がんの遺伝学的リスク評価とカウンセリングに関するPDQ要約の多重遺伝子[パネル]検査のセクションを参照のこと。)本セクションでは、前立腺がん感受性パネル検査の対象となる可能性があるその他の遺伝子に関する証拠について要約する。
がん家族歴または診断時年齢について非選択の転移性前立腺がん男性692人を対象とした1件のレトロスペクティブ・ケースシリーズで、16のDNA修復遺伝子における生殖細胞病原性多様体の発生率が評価された。病原性多様体が11.8%(692人中82人)で特定され、限局性前立腺がんの男性(4.6%、P < 0.001)より高い発生率であったことから、疾患が侵攻性の男性で遺伝子異常がより多く観察されることが示唆される。[ 7 ]臨床検査室データベースからのデータを用いた2件の研究が公表された。1番目の研究では、前立腺がんの男性1,328人が評価され、全体の病原性多様体の発生率が15.6%で、その中にはDNA修復遺伝子における10.9%が含まれていたことが報告された。[ 8 ]2番目の研究では、前立腺がんの男性3,607人の大規模コホートが含まれ、その一部は先の公表に含まれていた。[ 9 ]報告された病原性多様体の発生率は17.2%であった。全体で、遺伝子ごとの病原性多様体の発生率は、2つの研究間で一貫して報告され、以下の通りであった:BRCA2、4.74%;CHEK2、2.88%;ATM、2.03%;およびBRCA1、1.25%。[ 9 ]このコホートで最も一般的な異常遺伝子はBRCA2であった。1番目の公表で、乳がんの家族歴とグリソンスコア高値(8以上)との間に関連性が報告された。[ 8 ]2番目の公表では、遺伝子検査に関するNCCN国内ガイドラインを満たす病原性多様体を有する男性の割合が注目され、このコホートで病原性多様体を有する229人(37%)が遺伝子検査に関するガイドラインを満たさないことが明らかにされた。[ 9 ]証拠の系統的レビューで、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、およびRAD51Cを含むDNA損傷-反応経路における生殖細胞病原性多様体の保有率の中央値が検討された。全保有率は、一般的な前立腺がんで18.6%(範囲、17.2%-19%;n = 1,712)、転移を伴う前立腺がんで11.6%(範囲、11.4%-11.8%;n = 1,261)、転移を伴う去勢抵抗性前立腺がんで8.3%(範囲、7.5%-9.1%;n = 738)、家族性前立腺がんで29.3%(範囲、7.3%-92.67%;n = 327)であった。[ 10 ]
前立腺がんの男性7,636人および前立腺がんではない男性12,366人の日本人集団を対象としたケースコントロール研究で、前立腺がんとの関連で、8つの遺伝子(BRCA1、BRCA2、CHEK2、ATM、NBN、PALB2、HOXB13、およびBRIP1)における病原性多様体が評価された。[ 11 ]この研究では、BRCA2(オッズ比[OR]、5.65;95%信頼区間[CI]、3.55–9.32)、HOXB13(OR、4.73;95%CI、2.84–8.19)、およびATM(OR、2.86;95%CI、1.63–5.15)で強い関連性が明らかになった。この研究は、前立腺がんリスクに対する遺伝子の寄与に関する集団特異的評価を支持している。
前立腺がんリスク評価のための遺伝子検査
前立腺がんリスクに何らかの関連を有する遺伝子の病原性多様体に対する遺伝子検査が登場し、この検査を利用して前立腺がんのリスクが高い男性を識別することが可能になった。選択されたコホートに基づく研究の報告によると、BRCA1やBRCA2、あるいはより小規模であるがMMR遺伝子に病原性多様体を有する男性では、前立腺がんのリスクが高くなる。臨床的遺伝子検査はこれらの遺伝子を対象とすることができるため、このセクションでは、これらの遺伝子の変化に基づく前立腺がんのリスクに関する情報について記述する。また、HOXB13の病原性多様体が遺伝性前立腺がんの少数例にみられるという報告もある。本セクションでは、これらの遺伝子および前立腺がん感受性パネル検査の対象となる可能性があるその他の遺伝子に関する証拠について要約する。
BRCA1とBRCA2
男性のBRCA1[ 12 ]およびBRCA2病原性多様体キャリアを対象とした研究により、これらの人では前立腺がんおよび他のがんのリスクが高いことが示されている。[ 13 ]男性のBRCA2病原性多様体キャリアでは、特に前立腺がんが一般集団よりも高率に観察されている。[ 14 ]
BRCAに関連した前立腺がんリスク
BRCA病原性多様体キャリアにおける前立腺がんのリスクは、さまざまな設定で研究されている。
BRCA病原性多様体と前立腺がんリスクとの関連を明確にするために、いくつかのケースシリーズから得られた知見を表3に要約する。
表3.前立腺がんにおけるBRCA病原性多様体のケースシリーズ 研究 集団 前立腺がんリスク( 前立腺がんリスク( BCLC = Breast Cancer Linkage Consortium;CDC = 疾病予防管理センター;CI = 信頼区間;OCCR = 卵巣がん集合領域;RR = 相対リスク;SIR = 標準化発生比。 a 乳がん、卵巣がん、および非黒色腫皮膚がんを除くすべてのがんを含む。 BCLC (1999) [ ] BRCA2の連鎖または病原性多様体が陽性の173家系(3,728人、がん333例)を含むBCLC家系セットa 非評価 全体:RR、4.65(95%CI、3.48-6.22) 65歳未満の男性:RR、7.33(95%CI、4.66-11.52) Thompson et al.(2001) [ ] BRCA2病原性多様体が陽性の164家系(3,728人、がん333例)を含むBCLC家系セットa 非評価 OCCR:RR、0.52(95%CI、0.24-1.00) Thompson et al.(2002) [ ] 女性7,106人と男性4,741人を含むBCLC家系セット(うち2,245人がBRCA1病原性多様体キャリア、1,106人が検査で非キャリアが判明、8,496人が未検査) 全体:RR、1.07(95%CI、0.75-1.54) 非評価 65歳未満の男性:RR、1.82(95%CI、1.01-3.29) Mersch et al.(2015) [ ] 1997年から2013年までの単一施設における臨床遺伝学集団。CDCによるU.S. Statistics Reportにおける一般集団のがん発生率とがん発生率が比較された。 SIR、3.809(95%CI、0.766-11.13)(有意ではない) SIR、4.89(95%CI、1.959-10.075) Breast Cancer Linkage Consortiumから得られる推定値のデータは、乳がんおよび卵巣がんのリスクの明らかな証拠ならびに連鎖解析の適合性が確認されている厳選された家族集団から算出されているため、過大評価される可能性がある。しかし、BRCA2における生殖細胞病原性多様体と前立腺がんリスクとの関係に関する最近のレビューでは、この遺伝子は遺伝性乳がんおよび卵巣がん家系の男性家系員におけるリスクを有意に増加させるが、部位特異的な前立腺がん多発家系における役割は、あるとしてもごくわずかであろうという見方が支持されている。[ 17 ]さらに、単に遺伝性前立腺がん感受性の証拠のみに基づいたBRCA検査の臨床的妥当性および有用性は、まだ確立されていない。
ある研究で、生殖細胞DNA修復遺伝子の病原性多様体と転移性前立腺がんとの関連が評価されている。がん家族歴または診断時年齢について非選択の男性692人のうち、5.3%(692人中37人)がBRCA2病原性多様体を有しており、0.9%(692人中6人)がBRCA1病原性多様体を有していたことが明らかになった。[ 7 ]
前立腺がん男性におけるBRCA創始者病原性多様体の保有率
アシュケナージユダヤ人集団
イスラエルおよび北米における数件の研究で、前立腺がんのアシュケナージユダヤ人(AJ)男性におけるBRCA創始者病原性多様体の頻度が解析されている。[ 18 ][ 19 ][ 20 ]2つの特異的なBRCA1病原性多様体(185delAGおよび5382insC)と1つのBRCA2病原性多様体(6174delT)は、祖先がAJの場合によくみられる。ユダヤ人の一般集団におけるこれらの病原性多様体のキャリア頻度は、185delAG病原性多様体で0.9%(95%信頼区間[CI]、0.7%-1.1%)、5382insC病原性多様体で0.3%(95%CI、0.2%-0.4%)、BRCA2の6174delT病原性多様体で1.3%(95%CI、1.0%-1.5%)である。[ 21 ][ 22 ][ 23 ][ 24 ](BRCA1およびBRCA2遺伝子に関する詳しい情報については、乳がんおよび婦人科がんの遺伝学のPDQ要約にある高浸透度の乳がんおよび/または婦人科がん感受性遺伝子のセクションを参照のこと。)これらの研究において、相対リスク(RR)は一般に1を上回っていたが、統計的に有意なものはごく少数であった。これらの研究の多くは、アシュケナージBRCA創始者病原性多様体のキャリアに存在する小さいが臨床的意義のある前立腺がんリスクを除外するには十分な検出力をもっていなかった。
Washington Ashkenazi Study(WAS)では、ワシントンD.C.出身の5,000人を超えるアシュケナージユダヤ系(AJ)アメリカ人ボランティアを対象として血縁コホート解析アプローチが用いられ、BRCAアシュケナージ創始者病原性多様体のいずれかを保有する男性における前立腺がんの累積リスクが推定された。70歳までの累積リスクは、創始者病原性多様体のキャリアで16%(95%CI、4%-30%)、非キャリアで3.8%(95%CI、3.3%-4.4%)と推定された。[ 24 ]この4倍高い前立腺がんリスクは、年齢が同じ女性の多様体キャリアにおける卵巣がん累積リスク(70歳までに16%;95%CI、6%-28%)と(絶対値で)等しかった。WASコホート中の男性キャリアにおける前立腺がんリスクは、50歳までに増加、67歳までに統計的に有意な増加、以後年齢とともに増加を示し、アシュケナージ創始者病原性多様体のキャリアでは前立腺がんリスクが全体的に高く診断時年齢が低いことが示唆された。前立腺がんリスクは遺伝子によって異なり、BRCA1病原性多様体は55~60歳を過ぎてからのリスク増加と関連し、70歳までに25%、80歳までに41%に達した。対照的に、BRCA2病原性多様体と関連する前立腺がんリスクはより高い年齢で上昇し始め、70歳までに5%、80歳までに36%に達した(数値は著者により提供された[WRITTEN COMMUNICATION, April 2005])。
同様のケースコントロールによる方法を用いて表4に要約した研究では、前立腺がんのユダヤ人男性におけるアシュケナージ創始者病原性多様体の保有率が調査され、創始者病原性多様体の状態と前立腺がんリスクには全体的に正相関がみられることが明らかとなった。
表4.アシュケナージユダヤ人集団におけるBRCA1およびBRCA2と前立腺がんリスクに関するケースコントロール研究 研究 症例/対照 病原性多様体の頻度( 病原性多様体の頻度( 前立腺がんリスク( 前立腺がんリスク( コメント AJ = アシュケナージユダヤ人;CI = 信頼区間;MECC = Molecular Epidemiology of Colorectal Cancer(大腸がんの分子疫学研究);OR = オッズ比;WAS = Washington Ashkenazi Study。 Guisti et al.(2003) [ ] 症例:1994年および1995年に前立腺がんと診断された連続登録のイスラエル出身のAJ男性979人 症例:16(1.7%) 症例:14(1.5%) 185delAG:OR、2.52(95%CI、1.05-6.04) OR、2.02(95%CI、0.16-5.72) 病原性多様体が関係する前立腺がんに、独特あるいは特異的な組織病理所見の証拠はなかった。 対照:WAS研究およびイスラエルのMECC研究から年齢でマッチさせた50歳以上で前立腺がんの既往のない対照と比較した創始者病原性多様体の保有率 対照:11(0.81%) 対照:10(0.74%) 5282insC:OR、0.22(95%CI、0.16-5.72) Kirchoff et al.(2004) [ ] 症例:2000年から2002年に前立腺がんの治療を受けた非選択のAJ男性251人 症例:5(2.0%) 症例:8(3.2%) OR、2.20(95%CI、0.72-6.70) OR、4.78(95%CI、1.87-12.25) 対照:がんの既往のないAJ男性1,472人 対照:12(0.8%) 対照:16(1.1%) Agalliu et al.(2009) [ ] 症例:1978年から2005年(診断年の平均値および中央値:1996年)に前立腺がんと診断されたAJ男性979人 症例:12(1.2%) 症例:18(1.9%) OR、1.39(95%CI、0.60-3.22) OR、1.92(95%CI、0.91-4.07) グリソンスコアが7~10の前立腺がんは、対照よりもBRCA1病原性多様体キャリア(OR、2.23;95%CI、0.84-5.86)およびBRCA2病原性多様体キャリア(OR、3.18;95%CI、1.62-6.24)に多くみられた。 対照:がんの既往のないAJ男性1,251人 対照:11(0.9%) 対照:12(1.0%) Gallagher et al.(2010) [ ] 症例:1988年から2007年に限局性前立腺がんと診断されたAJ男性832人 非キャリア:806(96.9%) 非キャリア:447(98.5%) OR、0.38(95%CI、0.05-2.75) OR、3.18(95%CI、1.52-6.66) このシリーズではBRCA1 5382insC創始者病原性多様体が検査されなかったため、この病原性多様体の一部のキャリアが識別されなかった可能性が高い。その結果、BRCA1関連リスクが過小評価されている可能性がある。グリソンスコアが7~10の前立腺がんは、非キャリア(57%)よりもBRCA2病原性多様体キャリア(85%)に多くみられた;P = 0.0002。BRCA1/BRCA2病原性多様体キャリアは、非キャリアよりも再発リスクおよび前立腺がん特異的死亡リスクが有意に高かった。 症例:6(0.7%) 症例:20(2.4%) 対照:がんの既往のないAJ男性454人 対照:4(0.9%) 対照:3(0.7%) これらの研究は、アシュケナージ系ユダヤ人創始者病原性多様体のキャリアでは過剰に前立腺がんが発生するという仮説を支持しており、BRCA2創始者病原性多様体(6174delT)を有する男性では、BRCA1創始者病原性多様体(185delAG;5382insC)のいずれかを有する男性よりリスクが高くなる可能性を示唆している。BRCA2関連のリスクの大きさはいくぶん異なるが、それは明らかに参加者の確認、カレンダー上の診断時点の違いや解析方法に関係する研究間における差異による。いくつかのデータによれば、BRCA関連前立腺がんは、非キャリアに発生する前立腺がんよりも有意に予後不良であることが示唆されている。[ 28 ]
その他の集団
前立腺がんとBRCA1およびBRCA2の病原性多様体との関係については、他の集団でも研究されている。表5は、他のさまざまな集団に属する前立腺がん男性を対象に、BRCA病原性多様体の保有率をケースコントロールによる方法を用いて調査した研究についてまとめたものである。
表5.さまざまな集団におけるBRCA1およびBRCA2と前立腺がんリスクに関するケースコントロール研究 研究 症例/対照 病原性多様体の頻度( 病原性多様体の頻度( 前立腺がんリスク( 前立腺がんリスク( コメント CI = 信頼区間;OR = オッズ比;RR = 相対リスク;SIR = 標準化発生比。 Johannesdottir et al.(1996) [ ] 症例:1983年から1992年に65歳未満で前立腺がんと診断され、保管された組織ブロックが利用可能なアイスランド人男性75人 非評価 症例:999del5(2.7%) 非評価 999del5:RR、2.5(95%CI、0.49-18.4) 対照:アイスランド全国食事調査(Icelandic National Diet Survey)からランダムに選択されたDNAサンプル499個 対照:(0.4%) Eerola et al.(2001) [ ] 症例:乳がんまたは卵巣がんに罹患した第一度または第二度の近親者がいる家系として定義された、フィンランドの107の遺伝性乳がん家族 非評価 非評価 SIR、1.0(95%CI、0.0-3.9) SIR、4.9(95%CI、1.8-11.0) 対照:性別、年齢、暦上の期間に固有の発生率に基づくフィンランドの集団 Cybulski et al.(2013) [ ] 症例:1999年から2012年に前立腺がんと診断された年齢または家族歴で非選別のポーランド人男性3,750人 症例:14(0.4%) 非評価 任意のBRCA1病原性多様体:OR、0.9(95%CI、0.4-1.8) 非評価 前立腺がんのリスクは、家族性症例および60歳未満で診断された症例で大きかった。 4153delA:OR、5.3(95%CI、0.6-45.2) 対照:がんの既往がない23~90歳のポーランド人男性3,956人 対照:17(0.4%) 5382insC:OR、0.5(95%CI、0.2-1.3) C61G:OR、1.1(95%CI、1.6-2.2) これらのデータから、BRCA1/BRCA2病原性多様体キャリアにおける前立腺がんリスクは、病原性多様体の位置によって異なる(すなわち、遺伝子型と表現型が相関している)ことが示唆される。[ 29 ][ 30 ][ 32 ]さまざまな集団では、特異的なBRCA1/BRCA2病原性多様体を有する人の割合に差がある可能性があるため、これらの関連性を検討した過去の研究で生じた不一致について、以上の観察結果からある程度説明できる可能性がある。
いくつかのケースシリーズで、BRCA1およびBRCA2の病原性多様体と前立腺がんリスクの役割についても調査されている。
表6.BRCA1およびBRCA2と前立腺がんリスクに関するケースシリーズ 研究 集団 病原性多様体の頻度( 病原性多様体の頻度( 前立腺がんリスク( 前立腺がんリスク( コメント CI = 信頼区間;MLPA = 多重ライゲーション依存性プローブ増幅;RR = 相対リスク;SIR = 標準化発生比;UK = 英国。 a 英国の一般集団におけるRRデータを用いて算定した推定値。 b 前立腺がんと診断され、病原性多様体を有する男性で算出されたリスク。 Agalliu et al.(2007) [ ] 55歳未満で前立腺がんと診断され、家族歴について非選択の男性290人(白人、n = 257;アフリカ系米国人、n = 33) 非評価 2 (0.69%) 非評価 RR、7.8(95%CI、1.8-9.4) アフリカ系米国人男性に病原性多様体は認められなかった。 病原性多様体が認められた男性2人では、乳がんまたは卵巣がんの家族歴がないことが報告された。 Agalliu et al.(2007) [ ] 遺伝性前立腺がんの194家系からの266人で、前立腺がんに罹患した男性253人を含む;前立腺がん診断時年齢の中央値、58歳 非評価 0 (0%) 非評価 非評価 31の非同義の多様体が同定された;切断型多様体または病原性多様体は検出されなかった。 Tryggvadóttir et al.(2007) [ ] 1955年から2004年に前立腺がんと診断された男性527人 非評価 30/527(5.7%)がアイスランドの創始者病原性多様体999del5を保有 非評価 非評価 BRCA2の999del5病原性多様体は、前立腺がん診断時年齢の平均値が低いことに関連していた(69 vs 74歳;P = 0.002)。 Kote-Jarai et al.(2011) [ ] 36歳から88歳で前立腺がんと診断され、英国Genetic Prostate Cancer Studyに参加した男性1,832人 非評価 全体:19/1,832(1.03%) 非評価 RR、8.6a(95%CI、5.1-12.6) MLPAは使用されなかった;したがって、広範なゲノム再構成を検出できないことを考えると、この病原性多様体の頻度は、実際より低く推定されている可能性がある。 55歳以下で診断された前立腺がん:8/632(1.27%) Leongamornlert et al.(2012) [ ] 英国Genetic Prostate Cancer Studyに参加した前立腺がん男性913人;家族歴にかかわらず、36歳から65歳までに診断された821例、および前立腺がんの家族歴があり、65歳を過ぎて診断された92例を含む 全例:4/886(0.45%) 非評価 RR、3.75a(95%CI、1.02-9.6) 非評価 シークエンシング後の品質管理評価で27例が除外された結果、最終解析には886例が含められた。 65歳以下の症例:3/802(0.37%) Nyberg et al.(2019) [ ] 英国およびアイルランドにおけるBRCA1(n = 376)またはBRCA2(n = 447)の病原性多様体を有する男性で算出されたリスク;前立腺がん診断についての追跡期間中央値がそれぞれ5.9年および5.3年 病原性多様体が確定:16/376 病原性多様体が確定:26/447 SIR、2.35(95%CI、1.43-3.88) SIR、4.45(95%CI、2.99-6.61) 前立腺がんの絶対リスクb:BRCA1で75歳まで21%(95%CI、13%-34%)、85歳まで29%(95%CI、17%-45%);BRCA2で75歳まで27%(95%CI、17%-41%)、85歳まで60%(95%CI、43%-78%)。 これらのケースシリーズから、遺伝性前立腺がんではBRCA1およびBRCA2の病原性多様体は重大な影響を及ぼさないことが確認される。ただし、BRCA2における生殖細胞病原性多様体が一部の早期発症型前立腺がん症例に認められるが、これは米国における早期発症型前立腺がんの1%未満であると推定されている。[ 33 ]
BRCA病原性多様体キャリアにおける前立腺がんの侵攻性
表7に要約した研究では、同様のケースコントロールによる方法を用いて、BRCA1/BRCA2病原性多様体を保有することが明らかになった前立腺がん男性において、前立腺がん侵攻性の特徴が調べられた。
表7.BRCA1およびBRCA2と前立腺がん侵攻性に関するケースコントロール研究 研究 症例/対照 グリソンスコア PSA 腫瘍の病期または悪性度 コメント AJ = アシュケナージユダヤ人;CI = 信頼区間;HR = ハザード比;OR = オッズ比;PSA = 前立腺特異抗原;UK = 英国。 a 前立腺がん侵攻性の測定値。 Tryggvadóttir et al.(2007) [ ] 症例:前立腺がんと診断され、BRCA2 999del5創始者病原性多様体キャリアである男性30人 グリソンスコア 7~10: 非評価 診断時IV期: — 症例:84% — 症例:55.2% 対照:BRCA2 999del5病原性多様体キャリアでないことが確認された生年および診断年でマッチさせた前立腺がん男性59人 — 対照:52.7% — 対照:24.6% Agalliu et al.(2009) [ ] 症例:1978年から2005年(診断年の平均値および中央値、1996年)に前立腺がんと診断されたAJ男性979人 グリソンスコア 7~10: 非評価 非評価 — BRCA1 185delAG病原性多様体:OR、3.54(95%CI、1.22-10.31) 対照:がんの既往のないAJ男性1,251人 — BRCA2 6174delT病原性多様体:OR、3.18(95%CI、1.37-7.34) Edwards et al.(2010) [ ] 症例:前立腺がんと診断され、BRCA2病原性多様体を保有する男性21人;英国前立腺がん研究からの早期発症型(55歳以下)の6人と英国臨床試験シリーズからの診断時年齢で非選択の15人 非評価 PSAが25ng/mL以上:HR、1.39(95%CI、1.04-1.86) T3期:HR、1.19(95%CI、0.68-2.05) T4期:HR、1.87(95%CI、1.00-3.48) 悪性度2:HR、2.24(95%CI、1.03-4.88) 対照:年齢および病期でマッチさせた前立腺がん男性1,587人 悪性度3:HR、3.94(95%CI、1.78-8.73) Gallagher et al.(2010) [ ] 症例:1988年から2007年に限局性前立腺がんと診断されたAJ男性832人で、そのうちBRCA1病原性多様体キャリアが6人、BRCA2病原性多様体キャリアが20人 グリソンスコア 7~10: 非評価 非評価 このシリーズでは、BRCA1 5382insC創始者病原性多様体は検証されなかった。 対照:がんの既往のないAJ男性454人 — BRCA2 6174delT病原性多様体:HR、2.63(95%CI、1.23-5.6;P = 0.001) Thorne et al.(2011) [ ] 症例:オーストラリアおよびニュージーランド出身の家族性乳がんの30家系からのBRCA2病原性多様体キャリアで前立腺がんと診断された男性40人 グリソンスコア 8以上: PSAが10~100ng/mL: 初診時の病期がpT3以上: BRCA2病原性多様体キャリアは、非キャリアよりもD'Amico基準で高リスクの病態である可能性が高い(77.5% vs 58.7%、P = 0.05)。 — BRCA2病原性多様体:35%(14/40) — BRCA2病原性多様体:44.7%(17/38) — BRCA2病原性多様体:65.8%(25/38) — 対照:27.9%(27/97) PSAが101ng/mLを超える: 対照:オーストラリアおよびニュージーランド出身の家族性乳がんの89家系から、家系中にBRCA病原性多様体が認められない前立腺がん男性97人 — 対照:33.0%(25/97) — BRCA2病原性多様体:10%(4/40) — 対照:22.6%(21/97) — 対照:2.1%(2/97) Castro et al.(2013) [ ] 症例:英国出身で前立腺がんと診断された男性2,019人で、そのうちBRCA1病原性多様体キャリアが18人、BRCA2病原性多様体キャリアが61人 グリソンスコア 8超: BRCA1のPSA中央値:8.9(範囲、0.7-3,000) 初診時の病期がpT3以上: BRCA病原性多様体を有する男性では、リンパ節転移および遠隔転移が対照より多かった。 — BRCA1病原性多様体:27.8%(5/18) — BRCA1:38.9%(7/18) — BRCA2病原性多様体:37.7%(23/61) BRCA2のPSA中央値:15.1(範囲、0.5-761) — BRCA2:49.2%(30/61) 対照:BRCA1/BRCA2非キャリア男性1,940人 — 対照:15.4%(299/1,940) 対照のPSA中央値:11.3(範囲、0.2-7,800) — 対照:31.7%(616/1,940) Akbari et al.(2014) [ ] 症例:PSA高値または検査での異常に対して前立腺生検を受けた男性4,187人、うち26人は少なくとも1つのBRCAコーディング病原性多様体を有する(BRCAの26のコーディングエクソンすべてを配列決定して多型を調査) グリソンスコア 7~10: 症例のPSA中央値:56.3 症例および対照で十分に評価されず BRCA2病原性多様体を有する男性の12年生存率は、BRCA2病原性多様体がみられない男性より低かった(61.8% vs 94.3%;P < 10−4)。高悪性度疾患(グリソンスコア7~9)の男性では、年齢とPSA値で調整後に、BRCA2病原性多様体の存在が4.38というHRに関連していた(95%CI、1.99-9.62;P < 0.0001)。 — 症例:96% 対照:BRCAコーディング病原性多様体がみられない男性1,878人(BRCAの26のコーディングエクソンすべてを配列決定して多型を調査) — 対照:54% 対照のPSA中央値:13.3 英国およびアイルランドで病原性多様体を保有する男性が前立腺がんについてプロスペクティブに追跡された(BRCA1 [n = 16/376]およびBRCA2 [n = 26/447];追跡期間中央値、それぞれ5.9年および5.3年)。[ 38 ]同定された前立腺がんは、グリソンスコアが6未満から8を超えるまでの範囲に及んでいた;しかしながら、以下のように遺伝子により異なっていた:
以上の研究から、BRCA病原性多様体キャリアにおける前立腺がんは、グリソンスコアが高い、診断時の前立腺特異抗原(PSA)値が高い、診断時の腫瘍の病期および/または悪性度が高いといった侵攻性病態の特徴、つまりがんリスク評価および遺伝カウンセリングを患者が受ける際に考慮が当然必要となる所見と関連している可能性が示唆される。[ 3 ]BRCA病原性多様体キャリアにおける侵攻性前立腺がんの生物学的基礎で見識を得るための研究が進行中である。BRCA2生殖細胞病原性多様体キャリア14人を対象とした1件の研究で、BRCA2関連前立腺がんは、ゲノム不安定性が著しく、限局性より転移性前立腺がんにより近い変異プロファイルを有しており、MED12L/MED12軸のゲノム的およびエピゲノム的調節障害は、転移を伴う去勢抵抗性前立腺がんに類似していることが報告された。[ 43 ]
BRCA1/BRCA2と生存転帰
BRCA1またはBRCA2の病原性多様体が既知の家系における前立腺がん症例の解析により、生存に関する調査が行われている。1件のケースシリーズで実施された未調整の解析によると、前立腺がん男性の生存期間中央値は、BRCA2病原性多様体が認められた183人で4年、BRCA1病原性多様体が認められた119人で8年であった。この研究から、BRCA2病原性多様体キャリアは、BRCA1病原性多様体キャリアより生存が不良であることが示唆される。[ 44 ]表8に要約されたケースコントロール研究でこの観察結果が詳しく評価される。
表8.BRCA1およびBRCA2と生存転帰に関するケースコントロール研究 研究 症例 対照 前立腺がん特異的生存 全生存 コメント AJ = アシュケナージユダヤ人;CI = 信頼区間;HR = ハザード比;PSA = 前立腺特異抗原;UK = 英国。 Tryggvadóttir et al.(2007) [ ] 前立腺がんと診断され、BRCA2 999del5創始者病原性多様体キャリアである男性30人 BRCA2 999del5病原性多様体キャリアでないことが確認された生年および診断年でマッチさせた前立腺がん男性59人 BRCA2 999del5病原性多様体は、前立腺がんによる死亡リスクが高い(HR、3.42;95%CI、2.12-5.51)ことに関連しており、腫瘍の病期および悪性度について調整後も変わらなかった(HR、2.35;95%CI、1.08-5.11) 非評価 Edwards et al.(2010) [ ] 前立腺がんと診断され、BRCA2病原性多様体を保有する男性21人:英国前立腺がん研究からの早期発症型(55歳以下)の6人と英国臨床試験シリーズからの診断時年齢で非選択の15人 年齢および病期でマッチさせた前立腺がん男性1,587人 非評価 全生存期間は、BRCA2病原性多様体キャリア(4.8年)の方が非キャリア(8.5年)より短かった;非キャリアでは、HR、2.14(95%CI、1.28-3.56;P = 0.003) Gallagher et al.(2010) [ ] 1988年から2007年に限局性前立腺がんと診断されたAJ男性832人で、そのうちBRCA1病原性多様体キャリアが6人、BRCA2病原性多様体キャリアが20人 がんの既往のないAJ男性454人 病期、PSA、グリソンスコア、および受けた治療について調整後: 非評価 このシリーズでは、BRCA1 5382insC創始者病原性多様体は検証されなかった。 - BRCA1 185delAG病原性多様体キャリアは、前立腺がんによる死亡リスクが高かった(HR、5.16;95%CI、1.09-24.53;P = 0.001) — BRCA2 6174delT病原性多様体キャリアでは、前立腺がんによる死亡リスクが高かった(HR、5.48;95%CI、2.03-14.79;P = 0.001) Thorne et al.(2011) [ ] オーストラリアおよびニュージーランド出身の家族性乳がんの30家系からのBRCA2病原性多様体キャリアで前立腺がんと診断された男性40人 オーストラリアおよびニュージーランド出身の家族性乳がんの89家系から、家系中にBRCA病原性多様体が認められない前立腺がん男性97人 BRCA2キャリアは、前立腺がん特異的死亡のリスクが非キャリア対照と比べて高いことが示された(HR、4.5;95%CI、2.12-9.52;P = 8.9 × 10-5) BRCA2キャリアは、死亡リスクが非キャリア対照と比べて高いことが示された(HR、3.12;95%CI、1.64-6.14;P = 3.0 × 10-4) 得られたBRCA1キャリアがあまりにも少なかったため、解析に含められなかった。 Castro et al.(2013) [ ] 英国出身で前立腺がんと診断された男性2,019人で、そのうちBRCA1病原性多様体キャリアが18人、BRCA2病原性多様体キャリアが61人 BRCA1/BRCA2非キャリア男性1,940人 前立腺がん特異的5年生存率: 5年全生存率: 限局性前立腺がんでは、対照における無転移生存率も病原性多様体キャリアより高かった(93% vs 77%;HR、2.7)。 — BRCA1:80.8%(95%CI、56.9%-100%) — BRCA1:82.5%(95%CI、60.4%-100%) — BRCA2:67.9%(95%CI、53.4%-82.4%) — BRCA2:57.9%(95%CI、43.4%-72.4%) — 対照:90.6%(95%CI、88.8%-92.4%) — 対照:86.4%(95%CI、84.4%-88.4%) Castro et al.(2015) [ ] BRCA1/BRCA2病原性多様体キャリア67人を含む、局所または局所進行前立腺がんの英国人男性1,302人 BRCA1/BRCA2非キャリア男性1,235人 前立腺がん特異的生存: 非評価 — BRCA1/BRCA2:10年後に61% — 非キャリア:10年後に85% これらの知見から、病原性多様体キャリアでは全生存率(OS)および前立腺がん特異的生存率が対照より低い可能性が示唆される。
BRCA領域に関連したその他の試験
University of Michigan Prostate Cancer Genetics Project(UM-PCGP)からの175家系における遺伝性前立腺がんに対する全ゲノムスキャンによって、染色体17qマーカーへの連鎖の証拠が明らかにされた。[ 46 ]全家系の最大対数尤度比(LOD)スコアは2.36で、罹患が確認された男性が4人以上いる家系のみを解析した場合、LODスコアが3.27に増加した。連鎖のピークはBRCA1遺伝子上に集中した。追跡調査において、これらの研究者は17qマーカーへの前立腺がん連鎖の証拠を有する各93家系の1人から得たDNAを使用して、病原性多様体についてBRCA1遺伝子全体にスクリーニングを実施した。[ 47 ]スクリーニングを受けた人のうち65人が野生型のBRCA1配列を有しており、切断による病原性多様体(3829delT)であることが確認されたのは、前立腺がんおよび卵巣がんがみられる家系出身のわずか1人であった。残りの人は、臨床的意義不明の15のミスセンス多様体を含む1つ以上の生殖細胞系BRCA1多様体を有した。これら2件の報告からの結論は、染色体17q上のBRCA1に近い位置に前立腺がん感受性遺伝子の証拠があるというものである;しかしながら、BRCA1に広範にみられる有害な不活性化多様体が、染色体17に連鎖のある家系における前立腺がんリスクと関連する可能性は低い。
UM-PCGPの別の研究では、BRCA1において一般的な遺伝的多様性が調査された。[ 48 ]前立腺がんかどうかにかかわらず817人の男性を含む家族性前立腺がんおよび早期発症型前立腺がんの323家系を対象に、条件付きロジスティック回帰分析および家族ベース関連解析を実施することで、BRCA1の近傍およびそれを含有する200kb領域に多くみられるハプロタイプ多様性にタグを付けた一塩基多型(SNP)の関連性が調査された。BRCA1における3つのSNP(rs1799950、rs3737559、rs799923)は、前立腺がんと関連していることが明らかにされた。BRCA1のエクソン11におけるコドン 356(Gln356Arg)でグルタミンからアルギニンへの置換の原因となるSNP rs1799950で最も強い関連性(オッズ比[OR]、2.25;95%CI、1.21-4.20)が観察された。さらに、SNP rs1799950は、UM-PCGPにより最初に報告された染色体17q21上での連鎖シグナルの一因となることが示された。[ 46 ]
ミスマッチ修復(MMR)遺伝子
5つの遺伝子、すなわちMLH1、MSH2、MSH6、PMS2、およびEPCAMがMMRに関与している。これらの5つの遺伝子における生殖細胞病原性多様体は、リンチ症候群との関連性が指摘されており、家族内の非ポリポーシス大腸がんの他に、子宮内膜がん、卵巣がん、十二指腸がん、尿管および腎盂の移行上皮がんなどのさまざまながん症例にみられる。複数の報告から、前立腺がんがMMR遺伝子病原性多様体を有する男性に観察されうることが示唆されている。[ 49 ][ 50 ]最初の定量的研究では、106人のノルウェー人男性のMMR遺伝子病原性多様体キャリアまたは絶対キャリアの集団ベースのコホートに発生した9例の前立腺がんが報告された。[ 51 ]これら男性106人で予想される症例数は1.52(P < 0.01)であった;これらの男性は、Norwegian Cancer Registryから抽出した症例より診断時年齢が若く(60.4歳 vs 66.6歳;P = 0.006)、グリソンスコアが8~10である証拠が多かった(P < 0.00001)。カプラン-マイヤー解析により、70歳までに前立腺がんと診断される累積リスクは、MMR遺伝子病原性多様体を有するキャリアで30%、一般集団で8%であったことが明らかにされた。この知見は追加の集団での確認が待たれる。1件の集団ベースのケースコントロール研究により、3つのMMR遺伝子(MLH1、MSH2、およびPMS2)におけるハプロタイプタグSNPが調査された。この研究により、MLH1における遺伝的多様性および前立腺がんの全リスクの寄与を支持する証拠が得られた。[ 52 ]リンチ症候群の特徴としての前立腺がんの寄与を評価するために、前立腺がん家系レジストリーに登録され、結腸がんの家族歴も報告している家系から得られた前立腺がん組織ブロックでマイクロサテライト不安定性(MSI)検査を実施した研究が1件ある。異なった31家系から得られた35の組織ブロックのうち、MMR遺伝子病原性多様体を有する家系から得られた2つの腫瘍がMSI-highであることが確認された。著者らは、遺伝性前立腺がんにおけるMSIはまれであるとの結論を下した。[ 53 ]他の数件の研究で、リンチ症候群家系における前立腺がんの発生率の特徴を明らかにし、分子的特徴を前立腺がんリスクと関連付けようとしている。[ 54 ]
2つの家族性がんレジストリーを含んだ1件の研究では、MMR遺伝子病原性多様体とリンチ症候群がみられる198の独立した家系において、前立腺がんの累積発生率およびリスクの増加が認められた。[ 55 ]前立腺がんの累積生涯リスク(80歳まで)は、MMR遺伝子病原性多様体キャリアで30.0%(95%CI、16.54%-41.30%;P = 0.07)であったが、Surveillance, Epidemiology, and End Results (SEER) Programの推定によると、一般集団では17.84%であった。病原性多様体キャリアでは、50歳までの前立腺がんリスクが高い傾向がみられ、リスクが0.64%(95%CI、0.24%-1.01%;P = 0.06)であったのに対し、一般集団におけるリスクは0.26%であった。全体的に、併合データセットでは、MMR遺伝子病原性多様体キャリアにおける前立腺がんのハザード比(HR)(80歳まで)が1.99(95%CI、1.31-3.03;P = 0.0013)であった。20~59歳の男性では、HRが2.48(95%CI、1.34-4.59;P = 0.0038)であった。
23件の研究(分子的特徴に関する6件の研究、リスクに関する18件の研究、このうち12件の研究では前立腺がんに対するリスクが定量化された)を含む系統的レビューおよびメタアナリシスでは、前立腺がんとリンチ症候群との関連が報告された。[ 56 ]解析に含められた6件の分子的研究では、MMR遺伝子病原性多様体キャリアにおける前立腺がんの73%(95%CI、57%-85%)にMMRの欠損がみられた。MMR遺伝子病原性多様体キャリアにおける前立腺がんのRRは、3.67(95%CI、2.32-6.67)と推定された。リスクに関する12件の研究での前立腺がんのRRは、キャリア状態、大腸がんの診断歴、または病原性多様体を有する家系の男性でキャリア状態が不明かどうかに応じて、一般集団にみられるリスクと比較して2.11~2.28の範囲に及んだ。
Colon Cancer Family Registryに参加した3施設による研究で、MMR遺伝子病原性多様体が確認された男性(23人がMSH2キャリア、5人がMLH1キャリア、および4人がMSH6キャリア)における前立腺がんの32症例(診断時平均年齢、62歳;標準偏差、8歳)が検討された。[ 57 ]72%(n = 23)が以前に大腸がんの診断を受けていた。免疫組織化学検査が用いられ、22腫瘍(69%)に観察されたMMR蛋白喪失が評価された;蛋白発現喪失のパターンは100%で生殖細胞病原性多様体と一致した。前立腺がんのRRは、MSH2病原性多様体キャリアで最も高かった(RR、5.8;95%CI、2.6-20.9);MLH1およびMSH6病原性多様体キャリアにおけるRRは、それぞれ1.7(95%CI、1.1-6.7)および1.3(95%CI、1.1-5.3)であった。グリソンスコアは5~10の範囲であり;2腫瘍でグリソンスコアが5;22腫瘍でグリソンスコアが6または7;8腫瘍でグリソンスコアが8より高かった。腫瘍の67%(18腫瘍中12腫瘍)で神経周囲への浸潤がみられ、47%(19腫瘍中9腫瘍)で被膜外浸潤が認められた。6,000人を超えるMMR多様体キャリアを含む大規模な観察コホート研究により、特定のMMR遺伝子では、70歳までの前立腺がんの累積発生率が以下のように増加することが報告された:MLH1(7.0;95%CI、4.2-11.9)、MSH2(15.9;95%CI、11.2-22.5)、およびPMS2(4.6;95%CI、0.8-67.5)。MSH6で、前立腺がん発生率に有意な増加は報告されなかった。[ 58 ]
リンチ症候群の家系では、前立腺がんリスクが高いと考えられるが、前立腺がん発端者でMMR遺伝子病原性多様体を調べる生殖細胞系検査の戦略はまだ確定していない。
原発性前立腺腺がん1,133例および神経内分泌前立腺がん(NEPC)43例の研究で、MSH2免疫組織化学検査によるスクリーニングとNGSによる確認が実施された。[ 59 ]ポリメラーゼ連鎖反応およびNGSによりMSIが評価された。原発性腺がんおよびNEPCのうち、1.2%(14/1,176)がMSH2消失であった。全体で、原発性グリソンパターン5(グリソンスコアが9~10)を示す腺がんの8%(7/91)にMSH2消失がみられたのに対して、その他のすべてのグリソンスコアの腫瘍では0.4%(5/1,042)であった(P < 0.05)。3人の患者で、MSH2に生殖細胞多様体がみられ、そのうち2人は、原発性グリソンスコアが5であった。さらなる確認を保留にしても、これらの知見から、免疫療法および生殖細胞検査に適格な可能性がある男性を識別するために、グリソンスコアが9~10による前立腺がんの普遍的なMMRスクリーニングが支持される可能性がある。
HOXB13
まとめ
HOXB13は、最初に同定された遺伝性前立腺がん遺伝子である。G84E多様体は、前立腺がんリスクについて広範にわたり検討されている。
背景
遺伝性前立腺がんの175家系から17q21-22への連鎖がUM-PCGPにより最初に報告された。[ 46 ]この領域のファインマッピングにより、罹患男性が4人以上で、診断時平均年齢が65歳以下の147家系において推定される感受性遺伝子について連鎖を示す強力な証拠(LODスコア、5.49)および狭い候補インターバル(candidate interval)(15.5 Mb)が示された。[ 60 ]遺伝性前立腺がん家系とは非血縁の患者94人のDNAにおいて、17q21-22領域にある200遺伝子のエクソンの配列決定が行われた(UM-PCGPおよびJohns Hopkins Universityから)。[ 61 ]4家系の発端者で、HOXB13に反復病原性多様体(G84E)が認められることが発見され、これら4家系の前立腺がん男性18人がこの病原性多様体を保有していた。この病原性多様体の状態は、追加の症例5,083人と対照2,662人によって特定された。キャリアの頻度および前立腺がんリスクに対するORは次の通りであった:
妥当性研究および検証的研究
International Consortium of Prostate Cancer Geneticsのある確認試験で、HOXB13が前立腺がんリスクの感受性遺伝子として確認された。[ 62 ]保因家系では、前立腺がんに罹患していない男性よりも前立腺がんの男性にG84E病原性多様体が多くみられた(OR、4.42;95%CI、2.56-7.64)。また、このG84E病原性多様体は、前立腺がんに罹患した子孫に親から有意に過剰伝達されていた(P = 6.5×10-6)。
その後、HOXB13 G84E病原性多様体に関連するキャリア頻度および前立腺がんリスクについてより明確に定義した研究が発表された。[ 61 ][ 63 ][ 64 ][ 65 ][ 66 ][ 67 ][ 68 ]この病原性多様体は、主にヨーロッパ系の白人男性に限定されると考えられる。[ 61 ][ 63 ][ 64 ][ 65 ]最も高いキャリア頻度は6.25%で、フィンランドの早期発症型症例で報告された。[ 66 ]症例9,016人および対照9,678人を含むヨーロッパ系米国人のプール解析により、全体のG84E病原性多様体頻度は症例で1.34%、対照で0.28%であることが明らかになった。[ 67 ]
HOXB13 G84E病原性多様体状態による前立腺がんリスクは、発症時年齢、家族歴、および地理的地域によって変化することが報告されている。アイスランドで遺伝子型がほとんど補完されていた症例4,537人と対照54,444人を含め、ヨーロッパ系男性を対象とした6件の研究から得られた症例9,988人と対照61,994人からなる独立コホートを対象とした検証研究では、G84Eキャリア状態による前立腺がんリスクのORが7.06(95%CI、4.62-10.78;P = 1.5 × 10−19)であることが報告された。[ 69 ]非キャリアと比較したHOXB13病原性多様体を有する男性における前立腺がんのORが4.86(95%CI、3.18-7.69;P = 3.48 × 10-17)であることを報告したプール解析がある;55歳以下で前立腺がんと診断された男性では、このORが8.41(95%CI、5.27-13.76;P = 2.72 ×10-22)に増加した。前立腺がんの家族歴が陽性の男性では、このORは7.19(95%CI、4.55-11.67;P = 9.3 × 10-21)で、前立腺がんの家族歴が陰性の男性では、3.09(95%CI、1.83-5.23;P = 6.26 × 10-6)であった。[ 67 ]ヨーロッパ系男性の症例24,213人および対照73,631人を含むメタアナリシスでは、キャリア状態による前立腺がんの全体のORが4.07(95%CI、3.05-5.45;P < 0.00001)であることが明らかになった。前立腺がんリスクは、次のように地理的地域によって異なる:米国(OR、5.10;95%CI、3.21-8.10;P < 0.00001)、カナダ(OR、5.80;95%CI、1.27-26.51;P = 0.02)、北欧(OR、3.61;95%CI、2.81-4.64;P < 0.00001)、および西欧(OR、8.47;95%CI、3.68-19.48;P < 0.00001)。[ 64 ]さらに、早期発症型症例では、G84E病原性多様体と前立腺がんリスクとの関連性が強く認められた(OR、10.11;95%CI、5.97-17.12)。このメタアナリシスでは、侵攻性疾患との有意な関連性は認められなかった。
11件のケースコントロール研究を含む別のメタアナリシスでも、HOXB13 G84Eキャリアで前立腺がんのリスク推定値が高い(OR、4.51;95%CI、3.28-6.20;P < 0.00001)ことが報告され、HOXB13 G84Eと早発性疾患との関連性が強い(OR、9.73;95%CI、6.57-14.39;P < 0.00001)ことが明らかになった。[ 70 ]症例51,390人および対照93,867人を含む25の研究を対象とした別のメタアナリシスでは、前立腺がんのORが3.248(95%CI、2.121-3.888)であることが明らかになった。この関係は、白人で最も著しく(OR、2.673;95%CI、1.920-3.720)、特にヨーロッパ系で顕著であった。乳がんまたは大腸がんで関連性は認められなかった。[ 71 ]米国で行われた1件の集団ベースのケースコントロール研究では、G84E病原性多様体と前立腺がんとの関連性が確認され(OR、3.30;95%CI、1.21-8.96)、侵攻性疾患との関連性を示唆する報告も行われた。[ 72 ]その他にも、ある研究でAJ家系の男性ではG84E病原性多様体のキャリアがいないことが確認された。[ 73 ]症例8,652例と対照5,252例を含む英国のケースコントロール研究でもHOXB13 G84Eと前立腺がんとの関連が確認された(OR、2.93;95%CI、1.94-4.59;P = 6.27 × 10-8)。[ 74 ]このリスクは、前立腺がんの家族歴を有する男性(OR、4.53;95%CI、2.86-7.34;P = 3.1 × 10−8)および(55歳以下で診断される)早期発症型前立腺がん(OR、3.11;95%CI、1.98-5.00;P = 6.1 × 10−7)において高かった。キャリア状態とグリソンスコア、がんの病期、OS、またはがん特異的生存との関連は認められなかった。
多様な集団
中国人の前立腺がんの男性および前立腺がんではない男性を対象とした研究では、HOXB13 G84E病原性多様体が同定されなかった;しかしながら、症例では、対照と比較して新たな多様体G135Eが過剰に認められた。[ 75 ]約20,000人の日本人の前立腺がんの男性および前立腺がんではない男性を対象とした大規模な研究で、前立腺がんと関連する別の新たなHOXB13多様体G132Eが同定され、ORは6.08(95%CI、3.39-11.59)であった。[ 11 ]この情報は、より広範な集団におけるHOXB13病原性多様体に関する遺伝子検査の開発に重要である。
浸透度
HOXB13 G84E病原性多様体キャリアにおける前立腺がん発症で推定される浸透度についても報告される予定である。スウェーデンからのある研究では、G84Eキャリアにおける前立腺がんの生涯リスクが33%と推定された。[ 76 ]その他のオーストラリアからの研究では、前立腺がんの年齢別累積リスクが80歳までに最大60%に達することが報告された。[ 77 ]1993年~2014年に登録された12,000人近くの前立腺がんの男性から得られたHOXB13遺伝子型データを含む英国の研究によると、85歳までに推定される前立腺がんリスク平均値は、G84E病原性多様体キャリアで62%(95%CI、47%-76%)であると報告された。多様体キャリアにおける前立腺がんを発症するリスクは、罹患した家系員がいる男性で高く、特に早い年齢で診断された場合に高かった。[ 78 ]
生物学
HOXB13は前立腺がん発症に関与しており、アンドロゲン受容体と相互作用する;しかしながら、この遺伝子が前立腺がんの発生機序に寄与する機序については依然として不明である。この遺伝子は、遺伝性前立腺がんの一部、特に早期発症型の前立腺がんに関与していることが初めて確認された遺伝子である。HOXB13 G84Eまたはその他の病原性多様体に関する遺伝カウンセリングの臨床的有用性および意義については、まだ確定していない。
ATM
毛細血管拡張性運動失調症(AT)は、 常染色体劣性は、疾患であり、神経学的悪化、末梢血管拡張症、免疫不全状態、電離放射線過敏症を特徴とする。一般集団の1%がATM多様体のヘテロ接合体キャリアと推定される。[ 79 ]DNA損傷の存在下で、ATM蛋白は細胞周期停止、DNA修復、およびアポトーシスの調節に関与している。[ 80 ]ヘテロ接合体キャリアにおける他のがんリスクの証拠を前提として、前立腺がん感受性との関連性の証拠が増え続けている。(ATMと乳がんに関する詳しい情報については、乳がんおよび婦人科がんの遺伝学のPDQ要約のATMのセクションを参照のこと。)デンマーク人10,317人を対象に36年間追跡したプロスペクティブ・ケースシリーズで、この期間に2,056人ががんを発症し、Ser49Cysが前立腺がんに関連することが明らかになった(HR、2.3;95%CI、1.1-5.0)。[ 80 ]がん家族歴または診断年齢で非選択の男性692人を対象としたレトロスペクティブ・ケースシリーズで、1.6%(692人中11人)がATM病原性多様体を有していたことが明らかになった。[ 7 ]
CHEK2
CHEK2も前立腺がんリスクと関連している可能性があるとして検討されている。がん家族歴または診断時年齢で非選択の転移性前立腺がん男性692人を対象としたレトロスペクティブ・ケースシリーズで、1.9%(534人[データのある男性]中10人)がCHEK2病原性多様体を有していたことが明らかになった。[ 7 ]
TP53
TP53も前立腺がんリスクと関連している可能性があるとして検討されている。有害なTP53多様体を有する107家系からの286人のケースシリーズで、403のがん診断が報告され、そのうち211は45歳より後に診断された2人の前立腺がんを含む最初の原発性がんであった。二次原発性がんの男性61人中4人で、前立腺がんも報告された。[ 81 ]古典的なリー-フラウメニ症候群(LFS)またはリー-フラウメニ様(LFL)のいずれかの家族歴基準を満たす180家系のオランダのケースシリーズでは、各群(LFSまたはLFL)で前立腺がんの1症例が認められた24家系で、有害なTP53多様体が同定された。前立腺がんのリスクは、LFS(RR、0.50;95%CI、0.01-3.00)およびLFL(RR、4.90;95%CI、0.10-27.00)の家族歴基準によって異なる。[ 82 ]有害なTP53多様体を有する415家系のフランスのケースシリーズで、4人の前立腺がんが報告され、診断時年齢中央値は63歳(範囲、57~71歳)であった。[ 83 ]
腫瘍検査を受けた前立腺がんの男性でも生殖細胞TP53病原性多様体が同定されている。腫瘍のみの体細胞検査を受けたがん家族歴または診断時年齢で非選択の限局性、生化学的再発、または転移性の前立腺がん男性42人を対象としたレトロスペクティブ・ケースシリーズでは、42人中2人(5%)が疑わしいTP53生殖細胞病原性多様体を有していたことが明らかになった。[ 84 ]
その後の証拠で、前立腺がんと生殖細胞TP53病原性多様体との関連性が支持されるが[ 85 ][ 86 ][ 87 ]、この遺伝子との関連性を明確にするには、さらに研究が必要である。
NBN/NBS1
NBS1(ナイミーヘン染色体不安定症候群1)としても知られるNBNが前立腺がんリスクと関連している可能性があるとして検討されている。がん家族歴または診断時年齢で非選択の転移性前立腺がん男性692人を対象としたレトロスペクティブ・ケースシリーズで、0.3%(692人中2人)がNBN病原性多様体を有していたことが明らかになった。[ 7 ]
EPCAM
EPCAM多様体はMSH2を不活化している可能性が高いため、EPCAM(上皮細胞接着分子)検査が一部の多重遺伝子パネルに含まれている。MSH2近くに位置するEPCAMの3'末端における大規模な特異的ゲノム再構成多様体により、MSH2プロモーターのメチル化が誘発される結果、MSH2蛋白の喪失に至る。[ 88 ](EPCAMおよびリンチ症候群に関する詳しい考察については、大腸がんの遺伝学に関するPDQ要約のEPCAMのセクションを参照のこと。)リンチ症候群に関連したMSH2の病原性多様体は、前立腺がんリスクの増加に関連することが明らかにされた。[ 57 ](MSH2および前立腺がんリスクに関する情報については、本要約のミスマッチ修復遺伝子のセクションを参照のこと。)これまでのところ、前立腺がん男性における生殖細胞病原性多様体の範囲を確認する研究で、EPCAMにおける病原性多様体は同定されていない。[ 7 ]
転移性前立腺がん男性における生殖細胞病原性多様体
転移性前立腺がんの設定もまた、前立腺がんの生殖細胞病原性多様体の範囲に対する洞察を提供している。去勢抵抗性前立腺がんの男性から得られた転移腫瘍150例の臨床シークエンシングでは、男性の23%にDNA修復に関連する遺伝子の変化が同定された。[ 89 ]興味深いことに、これらの多様体の8%が病原性で、生殖細胞系に存在していた。別の研究では、進行性または転移性がんの腫瘍-正常シークエンシング(tumor-normal sequencing)に焦点が当てられ、前立腺がん男性の19.6%(362人中71人)に生殖細胞病原性多様体が同定された。[ 90 ]生殖細胞病原性多様体は、BRCA1、BRCA2、MSH2、MSH6、PALB2、PMS2、ATM、BRIP1、NBNを始めとする遺伝子で発見された。これらの研究や他の研究が表9に要約されている。大規模な塩基配列決定の取り組みにより同定された生殖細胞多様体が遺伝性前立腺がん素因にどの程度寄与しているかについては、古典的には前立腺がんリスクに関連していない遺伝子の分子的な確認が必要である。
表9.生殖細胞の所見を含む腫瘍の塩基配列決定法研究の要約 研究 コホート 前立腺がんでの生殖細胞の結果 コメント Robinson et al.(2015)a [ 89 ] mCRPC男性150人のコホートからの骨または軟部組織腫瘍生検の全エクソームおよびトランスクリプトーム塩基配列決定法 8%が生殖細胞病原性多様体を有していた: — BRCA2:9/150人(6.0%) — ATM:2/150人(1.3%) — BRCA1:1/150人(0.7%) Pritchard et al.(2016)a [ 7 ] 家族歴で非選択の転移性前立腺がん男性692人;DNA完全性維持に関与し、常染色体優性のがん素因症候群と関連する20個の遺伝子に焦点を合わせた解析 82/692人(11.8%)が生殖細胞病原性多様体を有していた: — BRCA2:37/692人(5.3%) — ATM:11/692人(1.6%) — BRCA1:6/692人(0.9%) Schrader et al.(2016) [ 91 ] 単一施設でマッチさせた正常DNAとの腫瘍プロファイリング(341遺伝子)を受けた患者1,566人;前立腺がん症例97人が含まれていた 10/97人(10.3%)が生殖細胞病原性多様体を有していた: — BRCA2:6/97人(6.2%) — BRCA1:1/97人(1.0%) — MSH6:1/97人(1.0%) — MUTYH:1/97人(1.0%) — PMS2:1/97人(1.0%) 前立腺がんプレシジョン腫瘍学のための遺伝子検査
遺伝的結果に基づく標的療法は、腫瘍学における治療の選択肢および戦略をいっそう推進している。これらの治療アプローチには、標的療法の候補薬(ポリ[ADPリボース]ポリメラーゼ[PARP]阻害薬または免疫チェックポイント阻害薬など)、プラチナ製剤ベースの化学療法の使用、およびアンドロゲンシグナル伝達療法対化学療法の優先順位付けがある。遺伝学的情報に基づく複数の臨床試験が、前立腺がんの男性を対象として進められている。[ 92 ]表10に、プレシジョン腫瘍学とプレシジョンマネジメントに関する諸研究を要約している。
表10.生殖細胞病原性多様体の状態についてのプレシジョン腫瘍学またはプレシジョンマネジメントに関する研究の要約 研究 コホート 生殖細胞の結果 コメント ADT = アンドロゲン遮断療法;AR = アンドロゲン受容体;CSS = 原因特異的生存率;DDR = DNA損傷修復;HR = ハザード比;mCRPC = 転移を伴う去勢抵抗性前立腺がん;mPC = 転移性前立腺がん;OS = 全生存;PFS = 無増悪生存;PSA = 前立腺特異抗原;RR = 相対リスク。 Annala et al.(2017) [ 93 ] mCRPC男性319人;22個のDNA修復遺伝子の生殖細胞塩基配列決定を実施 24/319人(7.5%)がDDR生殖細胞病原性多様体を有していた: DNA修復欠損を認める患者は、ADTに対する反応が低かった: — BRCA2:16/319人(5.0%) — ADT開始からmCRPCまでの時間(月):生殖細胞陽性、11.8(n = 22) vs 生殖細胞陰性、19.0(n = 113)(P = 0.031)。 — ATM:1/319人(0.3%) — 第一選択AR標的療法でのPFS(月):生殖細胞陽性、3.3 vs 生殖細胞陰性、6.2(P = 0.01)。 — BRCA1:1/319人(0.3%) — PALB2:2/319人(0.6%) Pomerantz et al.(2017) [ 94 ] carboplatinum(カルボプラチン)およびドセタキセルよる治療を受けたmCRPCの男性141人 8/141(5.7%)がBRCA2多様体を保有 PSAが50%低下したのは、BRCA2生殖細胞多様体を有する男性が6/8人(75%) vs BRCA2生殖細胞多様体を有していない男性が23/133人(17%)であった(P < 0.001)。小規模なケースシリーズ(n = 3)により、両アレル性体細胞BRCA2変異または生殖細胞多様体 + 体細胞BRCA2変異のいずれかで定義されるBRCA2の両アレル不活性化で、プラチナ製剤化学療法に対する反応が裏付けられた。[ 95 ] Antonarakis et al.(2018) [ 96 ] アビラテロンまたはエンザルタミドによる治療を開始したmCRPCを有する男性172人 22/172 (12.8%) がDDR生殖細胞病原性多様体を有していた: 傾向スコアで重み付けされた多変量解析で、転帰は生殖細胞系のBRCA1/BRCA2/ATM多様体を有する男性において、PSA-PFS(HR、0.48;95%CI、0.25–0.92;P = 0.027)、PFS(HR、0.52;95%CI、0.28–0.98;P = 0.044)、OS(HR、0.34;95%CI、0.12–0.99;P = 0.048)と優れていた。これらの結果は、BRCA1/BRCA2/ATMの生殖細胞多様体をもたない男性には観測されなかった(すべてP > 0.10)。この研究には、BRCA1/BRCA2/ATM多様体を有する患者数が少数である(n = 9)という制約がある。 — BRCA1/BRCA2/ATM:9/172(5.2%) Mateo et al.(2018) [ 97 ] mPCの男性390人;レトロスペクティブなカルテレビュー 60/390人(15.4%)が生殖細胞DDR病原性多様体を有していた: 同様の結果が、DDR病原性多様体キャリアと非キャリアにおいて、転帰に関する複数の測定項目で認められた: — 去勢抵抗性の症例におけるOS期間中央値(キャリアで3.2年 vs 非キャリアで3.0年;P = 0.73)。 — ドセタキセルのPFS期間中央値(キャリアで6.8ヵ月 vs 非キャリアで5.1ヵ月)。 — BRCA2:37/390人(9.5%) — 前立腺がんのRR(キャリアで61% vs 非キャリアで54%)。 — 第一選択アビラテロン/エンザルタミドでのPFS期間中央値(キャリアと非キャリアの両方で8.3ヵ月)。 — 第一選択アビラテロン/エンザルタミドでの前立腺がんのRR(キャリアで46% vs 非キャリアで56%)。 Castro et al.(2019) [ 98 ] mCRPCの男性419人 68/419人(16.2%)が生殖細胞DDR病原性多様体を有していた: ATM/BRCA1/BRCA2/PALB2キャリアと非キャリアの間では、CSSに統計的有意差がみられなかった(23.3ヵ月 vs 33.2ヵ月;P = 0.264)。BRCA2キャリアではCSSが半減し(17.4ヵ月 vs 33.2ヵ月;P = 0.027)、BRCA2多様体はCSSの独立予後因子として特定された(HR、2.11;P = 0.033)。BRCA2の状態と治療タイプ(アンドロゲンシグナル伝達阻害薬 vs タキサン療法)の間には有意な相互作用が認められた(CSS調整後のP = 0.014;PFS調整後のP = 0.005)。CSS(24.0ヵ月 vs 17.0ヵ月)とPFS(18.9ヵ月 vs 8.6ヵ月)は、アビラテロンまたはエンザルタミドによる第一選択の治療を受けたBRCA2キャリアにおいて、タキサン療法を受けたキャリアより良好であった。 — BRCA2:14/419人(3.3%) — ATM:8/419人(1.9%) — BRCA1:4/419人(1%) — PALB2:なし 遺伝的結果からは前立腺がんに対する治療および管理の戦略に関する情報が増加しつつある。患者と家族に対してがんリスクに関する追加の推奨を行うためには、生殖細胞検査を介した体細胞変異の確認が必要である。
前立腺がんにおける遺伝子検査に利用可能な臨床診療ガイドラインの要約については、表2を参照のこと。
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- 家族性前立腺がんにおけるスクリーニングおよび予防介入
-
背景
あらゆる疾患と同様に、前立腺がんの遺伝的素因を有する患者に対するリスク低減のための介入についての決定は、ランダム化対照比較臨床試験およびこの疾患経過の基礎をなす自然史の知識が最も良い指針となる。しかしながら、高リスクの男性(前立腺がんの家族歴が陽性の男性およびアフリカ系米国人男性)を対象としたスクリーニングに関する既存の研究は、主にレトロスペクティブ・ケースシリーズまたはレトロスペクティブ・コホート解析に基づいている。家族歴陽性の自覚は、がんの精密検査の受診頻度を高め前立腺がんの明らかな早期の発見につながりうるため、疾患診断後の進行率および生存率の評価は、選択バイアス、リードタイムバイアス、およびレングスバイアスにさらされることになる。(詳しい情報については、がんスクリーニングの概要に関するPDQ要約を参照のこと。)このセクションは、前立腺がんの素因がある男性における前立腺がんのスクリーニングおよびリスク低減を対象にしている;高リスク男性のスクリーニングに関するデータは、主に一般集団を対象に実施された研究から抽出されている。
スクリーニング
前立腺がんを発症する遺伝的素因がある男性における直腸指診(DRE)および血清前立腺特異抗原(PSA)検査などの一般的に利用可能なスクリーニング検査の有効性に関する情報は限られている。さらに、前立腺がんのスクリーニングの有効性を検討している研究の結果を比較することは、PSA検査値の上昇に選択されたカットオフ値が研究間で異なっているため、容易ではない。スクリーニング検査の感度および特異度が一定であれば、疾患の基礎有病率の上昇に伴って、陽性適中率(PPV)が増加する。したがって、理論的には、遺伝的素因を有する男性では、DREおよびPSAに対するPPVおよび診断率が平均リスク集団より高くなる可能性はある。[ 1 ][ 2 ]
前立腺がんスクリーニングコホートを対象としたほとんどのレトロスペクティブ解析によると、DRE実施の有無にかかわらず、PSAのPPVは、高リスク男性で23~75%の範囲であることが報告されている。[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ]スクリーニング戦略(PSA測定の頻度またはDREの組み入れ)および生検に対するPSAカットオフ値は、これらの研究間で異なっており、このPPVの範囲に影響を及ぼしている可能性がある。高リスク男性におけるがん検出率は、4.75~22%の範囲であることが報告されている。[ 2 ][ 5 ][ 6 ]検出されたほとんどのがんは、中等度のグリソンスコア(5~7)で、8以上のグリソンスコアは、一部の高リスク男性で検出されている。全体的に、前立腺がんリスクがさらに高い男性をスクリーニングする正味の有益性と有害性に関する情報は限られている。さらに、前立腺がんリスクが高い家系において特定のスクリーニングアプローチを支持する証拠はほとんどない。一般集団におけるルーチンのスクリーニングのリスクと有益性については、前立腺がんのスクリーニングのPDQ要約で考察されている。利用可能なデータを基にして、専門医のほとんどの団体および組織が、高リスク男性は医療提供者と意思決定を共有し、その危険因子に基づいて前立腺がんスクリーニングについて個々の計画を策定するよう推奨している。専門医組織による高リスク男性に対する前立腺がんスクリーニングの推奨をまとめたものを表11に示す。
表11. 高リスク男性に対する前立腺がんスクリーニング推奨の要約 スクリーニング推奨の出典 集団 検査 スクリーニング開始年齢 頻度 コメント United States Preventive Services Task Force(2012)[ 7 ] 該当せず 該当せず 該当せず 該当せず 高リスク集団(黒人男性および前立腺がんの家族歴がある男性として定義)に対する特別な推奨はない。 American College of Physicians(2013)[ 8 ] アフリカ系米国人男性および特に65歳未満で前立腺がんと診断された第一度近親者をもつ男性 PSA 45歳以上 スクリーニング頻度を確立する明確なエビデンスはない カウンセリングには、前立腺がんスクリーニングに伴う不確実性、リスク、および期待できる有益性を含める。 4年ごとを超える頻度でPSA検査を実施する明確なエビデンスはない 65歳未満で前立腺がんと診断された家系員が複数いる家族歴がある男性 PSA 40歳以上 PSA値が2.5µg/Lを超えると、年1回のスクリーニングが妥当であろう American Urological Association(2013)[ 9 ] アフリカ系米国人男性および前立腺がんの強い家族歴がある男性 PSA 40歳を超え55歳未満 個人的な好みのほか、有益性および関連する有害性の不確実性に関する情報に基づく話し合いを基にした個別化 American Cancer Society (2014) [ 10 ] アフリカ系米国人男性および/または65歳未満で前立腺がんと診断された父親または兄弟がいる男性 DRE実施の有無にかかわらず、PSAa 45歳以上 頻度はPSA値に依存 検査に関して、臨床医の支援により情報に基づいた決断ができるように、カウンセリングには、検査の有益性およびその限界の検討を含める。 65歳未満で前立腺がんと診断された家系員が複数いる男性 DRE実施の有無にかかわらず、PSAa 40歳以上 頻度はPSA値に依存 NCCN(2019)[ 11 ] アフリカ系米国人男性および前立腺がんの家族歴がある男性 該当せず 該当せず 該当せず この委員会は、アフリカ系アメリカ人男性がPSAスクリーニングに関する共同での意思決定を40歳時点で医療提供者と開始することを検討し、隔年ではなく年1回の間隔でスクリーニングを検討することが妥当であると述べている。 NCCN(2020)[ 12 ] BRCA1病原性多様体を有する男性 記載なし 40歳以上でスクリーニング開始を検討 記載なし BRCA2病原性多様体を有する男性 記載なし 40歳以上 記載なし NCCN(2019)[ 11 ] 高リスクの生殖細胞病原性多様体の個人歴または家族歴を有する男性 ベースラインPSA値;ベースラインDREを強く考慮 45~75歳 PSA値が1ng/mL未満で、DREが正常の場合は、2~4年ごと PSA値が3ng/mLを超えるかDREが非常に疑わしい男性および75歳を超える男性に対する追加の推奨。(詳しい情報については、NCCNガイドラインのPROSD-2のページを参照のこと。)がん感受性遺伝子が既知または疑われる人ではがん遺伝学専門家への紹介が推奨される。[ 11 ] PSA値が1~3ng/mLで、DREが正常の場合は、1~2年ごと 証拠レベル:5
BRCA病原性多様体キャリアにおけるスクリーニング
IMPACT(Identification of Men with a genetic predisposition to ProstAte Cancer)は、BRCA1/BRCA2病原性多様体の非キャリアに対して、キャリアにおける前立腺がんスクリーニングに焦点を合わせた国際研究である。[ 13 ]この研究では、男性2,481人を募集した(BRCA1キャリアが791人、BRCA1非キャリアが531人、BRCA2キャリアが731人、BRCA2非キャリアが428人)。計199人(8%)の男性が3.0ng/mLを超えるPSA値を示し、この値は生検が推奨される研究のPSAカットオフ値であった。全体のがん検出率は36.4%であった(162例の生検で、59例が前立腺がんと診断された)。BRCA病原性多様体の状態別の前立腺がんは、以下の通りであった:BRCA1キャリア(n = 18)、BRCA1非キャリア(n = 10);BRCA2キャリア(n = 24)、BRCA2非キャリア(n = 7)。公表されたリスク分類の病期および悪性度基準[ 14 ]を用いると、中リスクまたは高リスクの腫瘍と診断されたのは、BRCA1キャリア18例中11例(61%)、BRCA1非キャリア10例中8例(80%)、BRCA2キャリア24例中17例(71%)、BRCA2非キャリア7例中3例(43%)であった。生検の閾値を3.0ng/mLとしたPSAのPPVは、BRCA2病原性多様体キャリアで48%、BRCA2非キャリアで33.3%、BRCA1キャリアで37.5%、BRCA1非キャリアで23.3%であった。95%の男性が白人であった;そのため、この結果は、すべての民族に一般化できるわけではない。
IMPACT研究(現在2,932人の参加者からなり、919人がBRCA1キャリア、902人がBRCA2キャリア)からの中間結果では、BRCA2キャリアの方が非キャリアよりがん発生率(1,000人年当たり)が高い(19 vs 12;P = 0.03)ことが実証された。BRCA1キャリアと非キャリアの間で、がん発生率に統計的な差は認められなかった。BRCA2キャリアにおけるがんは、早い年齢で診断され、臨床的に重大となる可能性が高いが、BRCA1キャリアでは異なる。[ 15 ]
証拠レベル(BRCA病原性多様体キャリアにおけるスクリーニング):3
フィナステリドおよびデュタステリドによる前立腺がんの化学予防
一般集団における前立腺がんの予防に対するフィナステリドおよびデュタステリドの使用に関する有益性、有害性、および裏付けデータについては、前立腺がんの予防に関するPDQ要約で考察している。
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- 前立腺がんリスクの評価
-
本セクションの目的は、前立腺がんへの感受性について患者を評価しカウンセリングするための現在のアプローチを記述することである。前立腺がんリスクが高い男性に対する遺伝カウンセリングには、他の遺伝性がんに対する遺伝カウンセリングの要素がすべて含まれる。(詳しい情報については、がんの遺伝学的リスク評価とカウンセリングに関するPDQ要約を参照のこと。)遺伝カウンセリングの内容には、前立腺がんリスクの概念、家族歴を詳細に調べる重要性を強調すること、年齢に関係したリスクを導き出すための家系図の分析、および罹患している家系員が複数いる人に調査研究への参加を提案することが含まれる。[ 1 ][ 2 ]研究以外の状況では前立腺がん感受性に対する遺伝子検査は利用できない。前立腺がんの家系が現在実施中の研究に紹介されることがあるが、これらの研究は参加者に個人的な遺伝子の結果を提供しない。
前立腺がんは、生涯の間に米国人男性9人に1人が罹患すると推定されている。[ 3 ]全前立腺がんの約5~10%はまれな常染色体優性の前立腺がん感受性遺伝子が原因であるという仮説を支持する証拠がある。[ 4 ][ 5 ]遺伝的感受性と関連する前立腺がんの割合ははるかに大きい可能性がある。[ 6 ][ 7 ][ 8 ]前立腺がんの家族歴を有する男性は、一般的に前立腺がんリスクに関する遺伝カウンセリングの候補と考えられる。Hopkinsの基準により遺伝性前立腺がん家系の実用的な定義が可能となる。[ 9 ]以下の3つの基準がある:
- 第一度近親者(父親、兄弟、息子)が3人以上、または
- 母方または父方家系のどちらかでの3世代連続、または
- 発症年齢55歳以下の近親者が少なくとも2人以上。
これらの基準のうち1つでも満たせば、遺伝性前立腺がん家系であるとみなされる。1件の研究で、前立腺がんの男性の息子において前立腺がん感受性に関する態度が調査された。[ 10 ]息子の90%が、前立腺がんに対する遺伝的感受性があるかどうかを知ることに関心があり、前立腺がんの家族歴があれば彼らはスクリーニングを受け、遺伝子検査を検討するだろうということが明らかにされた;しかしながら、他の遺伝性がん症候群の遺伝子検査への同じような高いレベルの関心は一般的に、臨床的遺伝子検査が利用可能になり受診率を検証すると裏付けられていない。
リスクの評価および解析
前立腺がんの遺伝的リスクが懸念される男性の評価には、詳細な家族歴の聴取;年齢、人種、ならびに脂肪および乳製品の食事摂取量などの個人的な前立腺がんの危険因子に関する情報を聞き出すこと;他の医学的問題を記録すること;遺伝学関係の心理社会的問題を評価することを含めるべきである。
家族歴の資料作成は家系の構成に基づき、一般的に以下を含む:
(家族歴の聴取に関するより詳しい記述については、がんの遺伝学的リスク評価とカウンセリングのPDQ要約の家族歴の文書化のセクションを参照のこと。)
家族歴の分析は一般的に以下の4要素で構成される:
- 既知の遺伝性がん症候群を示唆しうるがん多発を同定するため、家系内におけるがんパターンを評価すること。部位特異的な前立腺がんに加えて、その他のがん感受性症候群にも構成腫瘍の1つとして前立腺がんが含まれる(例えば、[BRCA1およびBRCA2における病原性多様体と関連する]遺伝性乳がん/卵巣がん症候群)。
- 遺伝的伝達の評価。家系は、前立腺がんに対する遺伝的感受性のより高い可能性と関連しうる常染色体優性遺伝とX連鎖遺伝の両方の証拠について評価されるべきである。常染色体優性伝達は連続した世代における罹患家系員の存在を特徴とし、各世代の男性の約50%が前立腺がんに罹患している。X連鎖遺伝は母系の罹患男性から感受性が明らかに伝達されることにより示唆される。(詳しい情報については、がんの遺伝学的リスク評価とカウンセリングのPDQ要約の家族歴の分析のセクションを参照のこと。)
- 家系における前立腺がんの診断時年齢。前立腺がんに対する遺伝的感受性は、早期発症型(定義は一貫していない)前立腺がんの家系において可能性が高い。[ 12 ]しかしながら、遺伝子研究はまた、前立腺がんがより高齢で発症している家系においても進行中である。総じて、遺伝性前立腺がんがルーチンに通常より若い診断時年齢を特徴とするかどうかに関するデータは一貫していない。
- 家系および疫学的研究に基づいたリスク評価。複数の研究によって、前立腺がんに罹患した男性の第一度近親者は、一般集団の男性と比べて前立腺がんを発症する可能性が2~3倍高いと報告されている。数件の研究において、前立腺がんの相対リスク(RR)は低い年齢で前立腺がんを発症する家系において最も高く、早期の発症年齢が一般的な特徴である他のがん感受性症候群と一致している。53歳未満で前立腺がんと診断された男性の男性近親者において、前立腺がんを発症する生涯累積リスクは40%と推定されている。[ 13 ]症例1,500人および対照1,600人を上回る集団ベースのケースコントロール研究では、白人、アフリカ系米国人、およびアジア系米国人を対象に解析し、罹患した第一度近親者がいる男性で、年齢および民族について調整した後のオッズ比が2.5であったことが報告された。[ 14 ]兄弟および父親または息子が前立腺がんに罹患している男性に対する相対リスクは6.4と推定された。
多くの研究が、前立腺がんの男性から提供された前立腺がんの家族歴の正確度について調査している。これは、リスクの評価が未検証の家族歴情報に基づいている場合に臨床的重要性を有する。前立腺がんの家族歴をもつ非罹患男性154人を対象としたオーストラリアの研究では、自己報告型の家族歴が症例の89.6%においてがん登録データで検証された。[ 15 ]3年以内の診断時年齢の正確度は症例の83%で正しく、5年以内の診断時年齢の正確度は症例の93%で正しかった。55歳未満の男性からの自己報告型の家族歴および第一度近親者に関する報告が最も正確度が高かった。[ 15 ]しかしながら、前立腺がんの自己報告型の家族歴は時間の経過とともに報告の信頼性が低くなることがあるため[ 16 ]、患者に明らかな家族歴があるかどうかを決定したい場合には、報告された前立腺がんの診断を客観的に検証する必要が強調されている。
個人の健康および危険因子の病歴は以下を含むが、以下に限定されない:
前立腺がんに対する最も決定的な危険因子は年齢、人種および家族歴である。[ 18 ]他の危険因子と前立腺がんリスク間の相関は明確には確立されていない。こうした限界にもかかわらず、がんリスクのカウンセリングは、前立腺がん危険因子の知識状態に関して詳細を提供している啓蒙段階である。これらの他の危険因子に関する話し合いは、患者の個人的な健康および危険因子の病歴を組み込んで個別に対応すべきである。(前立腺がん危険因子の詳しい記述については、本要約の前立腺がんの危険因子のセクションを参照のこと。)
この状況における心理社会的評価には、以下の査定が含まれる:
1件の研究により、前立腺がんの家族歴があり前立腺がんスクリーニングに参加した男性は、特に前立腺がんリスクを過剰評価して報告した場合に、心理的苦悩が大きいことが明らかにされた。心理的苦悩および高いリスク認識は、がんスクリーニングへの指示遵守度およびリスク管理戦略に影響しうる。重大な心理社会的問題が認識される場合には、メンタルヘルス専門家と相談することが有用である。[ 19 ]
遺伝子検査
前立腺がん感受性に関連する遺伝子における多様体についての多重遺伝子(パネル)検査が現在利用可能で、クリニックでの使用がますます増加してきている。(詳しい情報については、前立腺がんにおける多重遺伝子[パネル]検査のセクションを参照のこと。)前立腺がんと関連する遺伝性多様体について高リスク前立腺がん患者のルーチンでの遺伝子検査は、標準ではなく、多くのセンターで生殖細胞遺伝子検査の臨床的有用性およびこれらの患者を対象としたカウンセリングが研究されている。
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- 家族性前立腺がんにおける心理社会的問題
-
序
現在までの研究には、前立腺がんリスクに関係した心理社会的問題に関する調査、フォーカスグループ、および相関研究が含まれている。(がんリスク評価の遺伝カウンセリングに関係した心理的問題に関する詳しい情報については、がんの遺伝学的リスク評価とカウンセリングのPDQ要約を参照のこと。)前立腺がんリスクに何らかの関連を有する遺伝子の病原性多様体に対する遺伝子検査が登場し、この検査を利用して前立腺がんのリスクが高い個人を識別することが可能になった。遺伝性の前立腺がん感受性について遺伝子検査を検討する男性の動機を理解することは、臨床家および研究者が検査への関心を予想する助けとなるだろう。さらにこれらのデータから、男性や家族が遺伝子検査に関するリスク、有益性、意思決定の問題、インフォームド・コンセントに関する考慮事項といったカウンセリング戦略の性質や内容を知ることもできる。
リスクの認識
前立腺がんのリスクに関する知識は、男性が前立腺がんスクリーニングおよびおそらく遺伝子検査を受診する決定に影響する因子であると考えられる。[ 1 ]アフリカ系米国人男性79人(このうち38人が前立腺がんと診断され、残りは非罹患であったが、前立腺がんのリスクが高かった)を対象とした研究で、遺伝性前立腺がんに関する知識を評価する9項目の質問が電話で行われた。0~9のスコアで満点を9としたスコアの範囲は3.5~9となり、平均スコアは6.34であった。遺伝子検査に関する3つの質問は、不正解となる可能性が最も高かった。対照的に、前立腺がんリスクの遺伝に関係した質問は、被験者の大部分が正答した。[ 2 ]全体的に遺伝性前立腺がんの知識は低く、特に遺伝的感受性の概念に関する知識が乏しかったことは、教育を充実する必要性を示している。文献の明らかになりつつある主要部分で現在、家族歴があるおよび家族歴がない男性における前立腺がんに対するリスクの認識が探索されている。表12では、前立腺がんリスクの認識について調査した研究の要約を示している。
表12.前立腺がんのリスクの認識に関する横断研究の要約 研究の対象集団 サンプルサイズ 研究の対象集団のうちでリスクを正確に報告した割合 その他の所見 FDR = 第一度近親者。 前立腺がんの家族歴がある非罹患男性[ 3 ] 40~72歳の男性120人 40% 前立腺がん男性の第一度近親者[ 4 ] 40~70歳の男性105人 62% 前立腺がんに罹患した兄弟が複数いる男性[ 5 ] 33~78歳の男性111人 入手不可 38%の男性が、自身の前立腺がんリスクを平均的男性と比較して同じか、または低いと報告した。 前立腺がん男性の第一度近親者および地域集団[ 6 ] 全員が40歳以上で、前立腺がんの第一度近親者が1人いる男性56人および前立腺がんの第一度近親者がいない男性100人 57% 第一度近親者が1人いる男性の29%が自身は平均的男性とリスクが同じであると考えており、14%は平均よりもいくぶんリスクが低いと考えていた。 前立腺がん患者の第一度近親者(FDR)が自身の前立腺がんリスクを正確に推測しているかどうかについては、諸研究でさまざまな結論が得られている。数件の研究により前立腺がんの家族歴がある男性は、自身のリスクを平均的男性と比較して同じか、または低いと考えていたことが明らかにされた。[ 5 ][ 6 ]結婚しているなど、その他の因子は前立腺がんリスクのより高い認識と関連している。[ 7 ]前立腺がんリスクの認識における交絡因子は良性前立腺肥大症と前立腺がんとの混同である。[ 3 ]
前立腺がんリスクに関する遺伝子検査において予想される関心
表13に要約された多くの研究は、このような遺伝子検査が臨床用途で利用可能になった場合の遺伝子検査に対する参加者の関心を調査している。遺伝子検査への関心に肯定的に影響することが明らかにされている因子には以下のものがある:
人種、教育、婚姻の有無、雇用状態、家族歴、および年齢の遺伝子検査に対する関心への影響に関して、これらの研究の所見は一貫しなかった。研究参加者は、雇用主、保険者、および家族の間での検査結果の機密;汚名を着せられること;保険喪失の可能性;および検査の費用に関する心配を表明した。[ 8 ]これらの心配は、乳がん素因の遺伝子検査を検討している女性において報告されている心配とほぼ同じである。[ 11 ][ 12 ][ 13 ][ 14 ][ 15 ][ 16 ]検査で前立腺がん感受性遺伝子の病原性多様体が見つかった場合の懸念を調査すると、がんの診断後に性生活に支障が出て生活の質が低下することや不安の増大、ストレス増加などを心配する声が挙がった。[ 8 ]
表13.前立腺がん感受性遺伝子検査において予想される関心の横断研究の要約 研究の対象集団 サンプルサイズ 遺伝子検査への関心を示す割合 その他の所見 FDR = 第一度近親者;PSA = 前立腺特異抗原 前立腺スクリーニングクリニック参加者[ 17 ] 40~97歳の男性342人 89% 28%は、がんに対する遺伝的素因の概念に理解を示さなかった。 一般集団;9%が家族歴陽性[ 8 ] 12のフォーカスグループで、18~70歳の男性計90人 すべてのフォーカスグループ アフリカ系米国人男性[ 18 ] 21~98歳の男性320人 87% ほとんどの参加者が遺伝的感受性検査と前立腺特異抗原血液検査を区別できなかった。 前立腺がんに罹患した第一度近親者が複数いる、またはいない男性[ 9 ] 40歳を超える男性126人;平均年齢52.6歳 24%が明確に;50%がおそらく関心を示した 前立腺がんの第一度近親者が1人いるスウェーデン人男性[ 3 ] 40~72歳の男性110人 76%が明確に;18%がおそらく関心を示した 89%が、自分の息子が遺伝子検査を受けることを明確に、またはおそらく希望した。 前立腺がんのスウェーデン人男性の息子[ 10 ] 21~65歳の男性101人 90%;前立腺がんに罹患した家系員が2~3人いる息子では100% 60%が前立腺がんのリスクが高いことについて、懸念を示した。 前立腺がんの既往がない健康な外来患者の男性[ 19 ] 40~69歳の男性400人 82% 前立腺がんの既往がない健康なアフリカ系米国人男性[ 20 ] 40~70歳のアフリカ系米国人男性413人 87% 前立腺がんスクリーニングの効果への信用および前立腺がんスクリーニングを受ける意思は、検査への関心と関連していた。 前立腺がんの既往がない健康なオーストラリア人男性[ 21 ] 成人男性473人 66%が明確に;26%がおそらく関心を示した 73%が食事は前立腺がんリスクに影響すると考えていると報告した。 前立腺がんの男性および非罹患男性家系員[ 22 ] 前立腺がん男性559人; 370人の非罹患男性近親者 がんに罹患した男性の45%; 罹患男性の56% 罹患男性においては、より年齢が低いことおよび遺伝子検査への心安さが検査への関心の予測因子であった。非罹患男性においては、高齢、検査の熟知度、および過去5年以内のPSA検査が遺伝子検査への関心の予測因子であった。 全体として、これらの報告、および遺伝子検査を受ける意志と関連する因子を調べるために概念モデルを開発した研究[ 23 ]により、機密性および差別の可能性についての心配にもかかわらず、前立腺がん感受性の遺伝子検査への明らかな関心が示されている。これらの知見は、検査が利用可能となり、実際の前立腺がん遺伝子検査の受診を予測する場合に慎重に解釈する必要がある。ハンチントン舞踏病と遺伝性乳がんおよび卵巣がんの両方において、検査が可能になる前の仮定的な関心は、検査が利用可能になった後の実際の受診よりもはるかに高かった。[ 24 ][ 25 ]
前立腺がんに罹患した第一度近親者を有するおよび有さない診断されていない男性からなるサンプルにおいて、年齢が高く教育水準が低いほど、前立腺がん特異的苦痛(Memorial Anxiety Scale for Prostate Cancerの11項目のProstate Cancer Anxiety Subscaleで測定)のレベルが低かった;泌尿器症状が多いほど、苦痛のレベルが高かった。[ 26 ]同じ研究で、前立腺がんに罹患した第一度近親者を有し、近親者のがんを脅迫的に感じる男性および前立腺がんにより死亡した近親者がいる男性は、より高い苦痛を報告した。一般的に、前立腺がん特異的な苦痛のレベルは、どちらの集団の男性でも低かった。
家系的リスクの高い個人における前立腺がんスクリーニング
遺伝的原因による前立腺がんの割合は5~10%と推定されており[ 27 ]、前立腺がんのリスクは、血縁者内での前立腺がんの患者数が多いほど、また家系内における前立腺がん発症年齢が低いほど高くなっている。[ 28 ]一般集団を対象に前立腺がんの早期発見のために血清PSA測定および直腸指診を実施することについては大きな論争があり、さまざまな団体からかなり異なるスクリーニングアルゴリズムおよび推奨年齢が提唱されている。(一般集団における前立腺がんに関する詳しい情報については、前立腺がんの治療のPDQ要約を参照し、遺伝性の前立腺がん感受性に関する詳しい情報については、本要約の介入のセクションを参照のこと。)この差異は、遺伝性がんの家系員または前立腺がん患者の第一度近親者のスクリーニングに関する推奨において患者および医療提供者に混乱を招く可能性が高い。関心の高い心理社会的問題には、リスクの高い人が遺伝性のリスクに関して何を理解しているか、情報介入は前立腺がんスクリーニング受診行動の増加と関連しているかどうか、およびリスクの高い人に対してスクリーニングと関連する生活の質への意味合いとは何か、などがある。リスクの高い人がそのリスクを同定し、年齢および家族歴に適したスクリーニングを受ける支援をする場合にプライマリケア提供者の役割もまた興味深い。
スクリーニング行動
ほとんどのがんに対して共通にいえるが、遺伝的リスクに関する知識の向上という目標は、簡単に言い換えれば、承認され推奨されている(実証されていない場合)スクリーニング行動を遵守する人の増加が望まれているということである。前立腺がんのスクリーニングでは、高リスク集団と一般集団のどちらについても明確な推奨が行われていないために、この点はより複雑になっている。(詳しい情報については、本要約のスクリーニングのセクションを参照のこと。)また、前立腺がんの早期発見にはその価値に関して論争が続いている。この論争により、患者と医療提供者の双方にためらいが生じており、またスクリーニング行動と関係する心理社会的因子が問題になっている。
いくつかの小規模な研究で、家族歴に基づいて前立腺がんリスクが平均および高い男性が受けた前立腺がんスクリーニングの行動的な関連性が調査されている;これらは、表14に要約している。一般に、家族歴のある男性はリスクのない男性よりスクリーニングを受ける可能性が高いかどうか、また、そのスクリーニングがその男性のリスク状態に対して適切かどうかに関して、結果は相反しているようである。さらに、ほとんどの研究で被験者が比較的少数であり、スクリーニング基準は統一されていなかったことから、一般化は困難である。
表14.前立腺がんスクリーニングに関する行動的相関の研究の要約 研究の対象集団 サンプルサイズ スクリーニングを受ける割合 スクリーニング行動が予測される相関事項 AAHPC = African American Hereditary Prostate Cancer Study Network;DRE = 直腸指診;FDR = 第一度近親者;NHIS = 国民健康聞き取り調査(National Health Interview Survey);PSA = 前立腺特異抗原。 前立腺がんの第一度近親者が1人以上の非罹患男性[ 29 ] 男性82人(40歳以上;平均年齢50.5歳) PSA: 年齢が50歳を超える。 年収U.S. $40,000以上。 50%が過去14ヵ月内にPSAスクリーニングを報告した。 研究登録前のPSAスクリーニング受診歴。 前立腺がんスクリーニング受診に対する高いレベルの自己効力感および反応効力。 前立腺がん男性の息子[ 30 ] 男性124人(38~84歳の前立腺がんの病歴を有する男性60人、年齢中央値59歳;31~78歳の非罹患男性64人、年齢中央値55歳) PSA: 39.4%の患者が要求。 — 非罹患男性:以前にPSA検査を受けたことがあると95.3%が報告した。 — 罹患男性:71.7%が診断前にPSA検査を受けたことがあると報告した。 DRE: — 非罹患男性:以前にDREを受けたことがあると96.9%が報告した。 — 罹患男性:91.5%が診断前にDREを受けたことがあると報告した。 35.6%の医師が要求。 PSAとDREの両方: — 非罹患男性:93.8%が両方の検査を受けていた。 — 罹患男性:70.0%が診断前に両方の検査を受けたことがあると報告した。 前立腺がんの第一度近親者が1人いる、およびいない非罹患男性[ 6 ] 40歳以上の男性156人(前立腺がんの第一度近親者が1人いる男性56人;前立腺がんの第一度近親者がいない男性100人) PSA: より高い年齢。 以前にPSA検査を受けたことがあると63%が報告した。 第一度近親者は疾患に対するより高い脆弱性および疾患予防におけるより低い確信を報告したが、このことは前立腺がんの第一度近親者がいない男性と比較した場合に、前立腺がんスクリーニングの増加につながらなかった。 DRE: 以前にDREを受けたことがあると86%が報告した。 優性の前立腺がん感受性遺伝子における病原性多様体を保有する確率が50%の家系の非罹患スウェーデン人男性[ 3 ] 50~72歳の男性110人 50歳以上の男性の68%が前立腺がんのスクリーニングを受けた。 前立腺がんの近親者が多い。 Impact of Event Scaleの回避サブスケールでのスコアの低さ。[ 31 ] 前立腺がん男性の兄弟または息子[ 32 ] 40~70歳の男性136人(72%がアフリカ系米国人男性であった) PSA: 前立腺がんの近親者が多い。 以前にPSA検査を受けたことがあると72%が報告した。 — 1年以内に73%。 より高い年齢。 — 1~2年前に23%。 — 2年より前に4%。 DRE: 泌尿器症状。 以前にDREを受けたことがあると90%が報告した。 — 1年以内に60%。 — 1~2年前に23%。 71%が、医師が彼らに前立腺がんスクリーニングに関する話をしたと報告した。 — 2年より前に17%。 前立腺がんの第一度近親者が1人いる、およびいない非罹患男性[ 33 ] 40~80歳の男性166人(第一度近親者が1人いる男性83人;家族歴がない男性83人) PSA: 前立腺がんの家族歴。 — 第一度近親者:以前にPSA検査を受けたことがあると72%が報告した。 — 家族歴なし:以前にPSA検査を受けたことがあると53%が報告した。 前立腺がん発現に対する脆弱性の認識の高さ。 前立腺がん男性のフランス人の兄弟または息子[ 34 ] 40~70歳の男性420人 PSA: より若い年齢。 前立腺がんの近親者が多い。 不安の増大。 88%が年一回のPSAスクリーニングを遵守した。 既婚。 より高い教育レベル。 前立腺がんスクリーニングの以前の経歴。 AAHPCに参加した非罹患アフリカ系米国人男性からのデータおよび1998年および2000年のNHISからのデータ[ 35 ] 40~69歳の非罹患男性: PSA: より若い年齢。 AAHPCコホート: — 45%が以前にPSA検査を受けたことがあると報告した。 — AAHPCコホート:男性134人 2000年のNHISにおけるアフリカ系米国人男性: — 65%が以前にPSA検査を受けたことがあると報告した。 DRE: — NHISの1998年のコホート:男性5,583人(アフリカ系米国人683人、白人4,900人) AAHPCコホート: 前立腺がんの近親者が少ない。 — 35%が以前にDREを受けたことがあると報告した。 1998年のNHISにおけるアフリカ系米国人男性: — NHISの2000年のコホート:男性3,359人(アフリカ系米国人411人、白人2,948人) — 45%が以前にDREを受けたことがあると報告した。 2000年NHISに参加した非罹患アフリカ系米国人男性[ 36 ] 45歳以上の男性736人 PSA: 高齢(50歳以上)。 民間または軍隊の健康保険。 以前にPSA検査を受けたことがあると48%が報告した。 健康状態が普通または不良。 前立腺がんの家族歴。 家系的リスクの高い個人におけるスクリーニングの心理社会的アウトカム
前立腺がんを発症することについての心配:数件の研究において、前立腺がん患者の第一度近親者である男性の最大50%が前立腺がんを発症することについて、多少の心配を表明したが[ 5 ]、報告される不安のレベルは一般的に比較的低く、短期のリスクよりもむしろ生涯リスクと関係している。[ 3 ][ 5 ]同様に、この心配は、患者が前立腺がんと診断された時点の年齢よりも若い第一度近親者の男性の方が高くなっている。[ 5 ]未婚の第一度近親者では、既婚男性よりも前立腺がんを発症することについての心配が強かった。[ 5 ]前立腺がんを発症することについての心配の程度が大きい男性は、個人的な前立腺がんリスクの推定値も高く、前立腺がんと診断された近親者の数も多かった。[ 5 ]スウェーデンの研究では、調査を受けた男性110人中、前立腺がんに関する心配が日常生活に「非常に」影響していると話したのはわずか3%であり、28%が前立腺がんに関する心配が日常生活に「わずかに」影響していると話した。[ 3 ]
ベースラインの苦悩レベル:無料の前立腺がんスクリーニングに自ら応募した男性で、前立腺がん患者の第一度近親者の男性とそうではない男性の間には、一般的な苦悩および前立腺がんに関連する苦悩について大きな違いはみられなかった。[ 37 ]この研究で前立腺がんの家族歴をもつ男性は、より高いレベルのリスクの認識を示した。スウェーデンの研究では、前立腺がんを発症することについてのより強い心配を報告した、前立腺がん患者の第一度男性近親者は、心配のレベルがより低い男性よりも病院不安およびうつ尺度(HADS)のうつ病および不安スコアが高かった。この研究において、第一度近親者のHADSうつ病および不安スコアの平均は75パーセンタイルであった。うつ病は、より高いレベルの個人的リスクの過大評価と関連していた。[ 3 ]
前立腺がんスクリーニング中に経験される苦悩:1件の研究で、PSA検査を用いた前立腺がんスクリーニングを受けている間に、前立腺がんの家族歴がある男性220人が経験する不安および一般的な生活の質が測定された。[ 32 ]このグループにおいて、男性の20%が不安スコアの中等度の悪化を経験し、20%が健康に関連した生活の質(HRQOL)における最低限の悪化を経験した。評価の平均期間は35日であったが、これには平均15.6日のPSA検査および結果待ちの期間が含まれた。PSA値が正常(4ng/mL以下)な男性だけが評価された。HRQOLの悪化と関連する因子は、50~60歳の年齢、前立腺がんの近親者が3人以上いること、心配症であること、十分な教育を受けていること、および現在同居の子供がいないことであった。これらの著者は、第一度近親者に対するスクリーニングの影響の分析は、「スクリーニング中に悪化する被験者の割合によって示されるような反応の多様性を隠す」可能性のあるスコアの平均的変化にのみ依存すべきではないということを強調している。これらは正常な結果と考えられるものを受け入れていた男性であること、および一部の男性がスクリーニングに関連する苦悩を経験したことを考慮して、この研究は、遺伝的リスクが高い男性がスクリーニングについて繰り返される要求に従うように促すためには、スクリーニングに関係する苦悩を緩和するための介入が必要な場合があるということを示唆している。
英国の1件の研究で、PSAスクリーニング研究に参加した前立腺がん男性の第一度近親者における心理学的な病的状態およびスクリーニングへの遵守度の予測因子が評価された。128人の第一度近親者が、PSAスクリーニングの心理学的な病的状態、障害、有益性、知識、および前立腺がん感受性の認識を評価する測定を完了した。全体では、18人の男性(14%)でスコアが心理学的な病的状態に対する閾値を越え、正常な集団の範囲と一致した。がんの心配は、健康への不安、認識されたリスク、および主観的なストレスと正の相関を示した。しかしながら、心理学的な病的状態はPSAスクリーニングへの遵守を予測しなかった。過去のスクリーニング行動だけがPSAスクリーニングへの遵守と関連することが明らかにされた。[ 38 ]
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- 本要約の変更点(05/22/2020)
-
PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。
序
米国において、最も重要と認識されている前立腺がんの危険因子のリストに生殖細胞遺伝子多様体が追加された。
本文に以下の記述が追加された;40歳未満で前立腺がんと診断される男性の数が増加する傾向が世界的にみられ、多く場合は予後不良である(引用、参考文献10としてBleyer et al.)。
本文で以下の記述が改訂された;一部の家系における前立腺がんリスクには、浸透度が高いものから中程度の遺伝子多様体が関連していると考えられる。さらに、本文で以下の記述が改訂された;遺伝カウンセリングの紹介に関する最近の推奨およびガイドラインは、前立腺がんの診断時年齢と特定のがん家族歴パターンに基づいている。
前立腺がんリスクに関連する遺伝子および遺伝的多様体の同定
本文に以下の記述が追加された;民族および年齢を一致させた対照と併せて、侵攻性の前立腺がんの200人のアフリカ系米国人男性および452人のヨーロッパ系米国人からなる全エキソーム生殖細胞塩基配列決定コホートにおいて、TET2の多様体がアフリカ系米国人サブ集団における侵攻性疾患と関連していることを研究者らは明らかにした。これらの多様体は、アフリカ系米国人症例の24.4%にみられたのに対して、対照では9.6%であった(引用、参考文献52としてKoboldt et al.)。
本文で以下の記述が改訂された;現在まで、ゲノムワイド関連解析(GWAS)により、前立腺がんリスクと関連した150以上の一般的な遺伝子多様体が発見されている。
参考文献82として、Benafif et al.が追加された。
本文で以下の記述が改訂された;現在までに、検出力に優れたGWASによって前立腺がんに関連する150を超える多様体が特定され、独立したコホートで検証されている(引用、参考文献90および91としてそれぞれConti et al.およびSchumacher et al.)。
参考文献95として、Dadaev et al.が追加された。
本文に以下の記述が追加された;10を超えるすべての遺伝的多型が独立して疾患に関連しており、8q24内の異なる5つのリスク領域に存在していた。これまでに報告されている8q24リスクアレルに由来する前立腺がんの集団寄与リスクは9.4%である(引用、参考文献111としてMatejcic et al.)。
本文で以下の記述が改訂された;先祖が西アフリカのアメリカ人男性は、他のいずれの集団よりも前立腺がんのリスクが高いため、アフリカ系アメリカ人集団が特に注目されている。さらに、本文に以下の記述が追加された;先祖がアフリカの症例10,202人および対照10,810人のGWASメタアナリシスでは、染色体13q24および22q12上に新たなシグナルが明らかになり、この高リスク集団におけるリスクと特異的に関連していた。先祖がアフリカの症例4,853人および対照4,678人の研究では、3つの独立した関連性が同定され、その後に再現された。3つの多様体すべてがすでに前立腺がんと関連付けられた長い非コーディングRNA内またはその近くにあり、その多様体のうち2つは、先祖がアフリカ人の男性に特有なものであった(引用、参考文献115としてHan et al.)。
参考文献119として、Takata et al.が追加された。
GWAS所見の臨床研究のサブセクションは広範囲にわたって改訂された。
本文に以下の記述が追加された;これらの確認された遺伝リスク多様体を多遺伝子リスクスコアに組み込んだ場合、前立腺がんのリスク層別化に有用であり、スクリーニングおよび早期発見の対象となる男性が特定されることが証明される可能性がある。
本文に以下の記述が追加された;米国国立がん研究所が主導した研究では、侵攻性疾患と関連する遺伝子多様体の位置にあることが以前に報告された19q13の一塩基多型(SNP)にも重大な関連性が明らかになった。最近、前立腺がんの増殖および腫瘍進行に関与する遺伝子であるPCAT19およびCEACAM21の転写産物レベルの上昇と、この19q13にあるSNP(rs11672691)との関連が認められた(引用、参考文献155および156としてそれぞれGao et al.およびAmin Al Olama et al.)。
本文に以下の記述が追加された;前立腺がんと診断されたスウェーデン男性のGWASでは、AOX1遺伝子座で遺伝子多様体が明らかになり、生存との有意な関連が認められた(引用、参考文献159としてLi et al.)。前立腺がん患者12,082人のコホートを含む別の試験で、IL4、MGMT、およびAKT1における遺伝子多様体と前立腺がん特異的死亡との関連が確認された(引用、参考文献160としてFitzGerald et al.)。PRACTICALおよびBPC3コンソーシアムの前立腺がん患者24,023人を対象とした最初のGWAS解析で、生存と有意に関連しているSNPは確認されなかったが、これらのコホートの更新された解析が実施中である。
遺伝性前立腺がんに関する遺伝子検査の臨床応用
参考文献4として、National Comprehensive Cancer Networkが更新された。
本文に以下の記述が追加された;証拠の系統的レビューで、ATM、ATR、BRCA1、BRCA2、CHEK2、FANCA、MLH1、MRE11A、NBN、PALB2、およびRAD51Cを含むDNA損傷-反応経路における生殖細胞病原性多様体の保有率の中央値が検討された。全保有率は、一般的な前立腺がんで18.6%、転移を伴う前立腺がんで11.6%、転移を伴う去勢抵抗性前立腺がんで8.3%、家族性前立腺がんで29.3%であった(引用、参考文献10としてLang et al.)。
表6.BRCA1およびBRCA2と前立腺がんリスクに関するケースシリーズが改訂された。
本文に以下の記述が追加された;英国およびアイルランドでBRCA1およびBRCA2病原性多様体を保有する男性が前立腺がんについてプロスペクティブに追跡された(引用、参考文献38としてNyberg et al.)。同定された前立腺がんは、グリソンスコアが6未満から8を超えるまでの範囲に及んでいた;しかしながら、遺伝子により異なっていた。
本文に以下の記述が追加された;6,000人を超えるMMR多様体キャリアを含む大規模な観察コホート研究により、MLH1、MSH2、およびPMS2では、70歳までの前立腺がんの累積発生率が増加することが報告された。MSH6で、前立腺がん発生率に有意な増加は報告されなかった(引用、参考文献58としてDominguez-Valentin et al.)。
HOXB13のサブセクションは広範囲にわたって改訂された。
本文に以下の記述が追加された;遺伝的結果に基づく治療アプローチには、標的療法の候補薬、プラチナ製剤ベースの化学療法の使用、およびアンドロゲンシグナル伝達療法対化学療法の優先順位付けがある。
表10.生殖細胞病原性多様体の状態についてのプレシジョン腫瘍学またはプレシジョンマネジメントに関する研究の要約が改訂された。
本要約はPDQ Cancer Genetics Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。
- 本PDQ要約について
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本要約の目的
医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、前立腺がんの遺伝学について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。
査読者および更新情報
本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Cancer Genetics Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。
委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:
要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。
本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。
証拠レベル
本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Cancer Genetics Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。
本要約の使用許可
PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。
本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:
PDQ® Cancer Genetics Editorial Board.PDQ Genetics of Prostate Cancer.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/prostate/hp/prostate-genetics-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389227]
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