ご利用について
このPDQがん情報要約では、小児卵巣がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- 小児卵巣がんとは
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小児卵巣腫瘍は卵巣の組織に発生します。大半の小児卵巣腫瘍はがんではありません。小児の卵巣がんは非常にまれですが、15~19歳の女性に最も多く発生します。
卵巣は、女性の生殖系に属する左右一対の臓器です。この臓器は骨盤の内部に存在し、子宮(胎児の成長の場となる、洋ナシのような形をした中空の臓器)の左右に1つずつ存在しています。成人女性の卵巣の大きさはアーモンドと同じくらいで、その形状も似ています。卵巣は卵子の生産と女性ホルモン(特定の細胞や臓器の機能を制御する化学物質)の分泌を行っています。
女性生殖系の解剖図。女性生殖系の臓器としては、子宮、卵巣、卵管、子宮頸部、腟などがあります。子宮は子宮筋層と呼ばれる筋肉の外層と子宮内膜と呼ばれる内側の膜で構成されています。 - 小児卵巣腫瘍の種類
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いくつかの種類の卵巣腫瘍が小児にみられます:
このページは、胚細胞腫瘍以外の卵巣腫瘍(上皮性腫瘍、間質腫瘍、卵巣の小細胞がん)について書かれたものです。
- 小児卵巣がんの原因とリスク因子
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小児の卵巣腫瘍は、卵巣の細胞の挙動、特に成長して新しい細胞に分裂する過程での挙動が変化することによって発生します。そうした細胞の変化が生じる正確な原因は多くの場合、不明です。がんの発生の詳細については、がんとは何か(英語)をご覧ください。
リスク因子とは、疾患が発生する可能性を増大させるあらゆる要因のことです。リスク因子をもっている全ての小児が卵巣腫瘍を発症するわけではありません。また、リスク因子が認められない小児が発症することもあります。
以下の疾患は小児の若年性顆粒膜細胞腫のリスクを増大させます:
以下の疾患によって、小児のセルトリ-ライディッヒ細胞腫のリスクが増大します:
お子さんにリスクがあるかもしれないと思われる場合は、担当の医師に相談してください。
- セルトリ-ライディッヒ細胞腫の小児に対する遺伝カウンセリング
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小児の卵巣腫瘍がDICER1遺伝子の変異に関連する遺伝性疾患の一部であるかどうかは、家族歴から明らかになるとは限りません。遺伝カウンセリングでは、小児のがんが遺伝する可能性と遺伝子検査が必要かどうかを評価することができます。遺伝カウンセラーやその他の特別な訓練を受けた医療専門家は、小児の診断や家族の病歴について保護者と話し合い、以下の点を説明することができます:
遺伝カウンセラーは遺伝子検査の結果について家族と話し合う方法を助言するなどして、保護者が検査結果に対処するための支援を行います。また、家族の他のメンバーが遺伝子検査を受けるべきかどうかについても助言してくれます。
遺伝子検査の詳細については、遺伝性がんリスクに対する遺伝子検査(英語)をご覧ください。
- 小児卵巣がんの症状
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小児の卵巣腫瘍では、腫瘍が大きくなるまで症状が現れないことがあります。以下の症状がみられる場合は、お子さんの担当医に相談するべきです:
これらの症状は、腫瘍以外の病態によって引き起こされることもあります。状況を把握する唯一の方法は、担当医の話を聞くことです。
- 小児卵巣がんの診断に用いられる検査
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お子さんに卵巣腫瘍を示唆する症状がみられる場合、それらの原因ががんなのか、それとも別の問題なのかを医師が確認する必要があります。担当医は、症状がいつから始まり、どのくらいの頻度で起きているかを質問するでしょう。医師はまた、保護者に小児の病歴と家族歴をたずね、身体診察を行います。それらの結果に応じて、ほかの検査を勧めることもあります。それらの検査の結果は、卵巣腫瘍と診断された場合に保護者と担当医で治療計画を立てるのに役立ちます。
卵巣腫瘍の診断には、以下のような検査法や手技が用いられます:
CTスキャン
CTスキャンは、X線装置に接続したコンピュータを用いて体内の領域の精細な連続画像を作成する検査法です。様々な角度から画像が撮影され、それらを用いて組織と臓器の3次元画像が作成されます。組織と臓器をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影とも呼ばれます。詳細については、CTスキャンとがん(英語)をご覧ください。
CT(コンピュータ断層撮影)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がCT装置の中を水平に移動する間に、体内の精細なX線画像が連続で撮影されます。 MRI(磁気共鳴画像)検査
MRI検査は、磁気、電波、コンピュータを用いて骨盤や腹部などの精細な連続画像を作成する検査法です。この検査法は核磁気共鳴画像法とも呼ばれます。
MRI(磁気共鳴画像)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がMRI装置の中を水平に移動する間に、体内の精細な画像が連続で撮影されます。台の上で患者さんがとる姿勢は、撮影する体の部位によって異なります。 超音波検査
超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を腹部や骨盤内の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法です。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。
生検
生検とは、腫瘍から組織のサンプルを採取する手技のことで、採取されたサンプルは病理医が顕微鏡で観察して、がんの徴候がないか調べます。
血清腫瘍マーカー検査
血清腫瘍マーカー検査は、採取した血液を調べて、体内の臓器、組織、腫瘍細胞から血液中に放出される特定の物質の量を測定する検査法です。特定の物質の血中濃度が上昇している場合には、その物質と関連性のある特定の種類のがんの存在が疑われます。このような物質は腫瘍マーカーと呼ばれます。卵巣がんの診断には、α-フェトプロテイン、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)、CEA、CA125などの腫瘍マーカーが用いられます。
DICER1遺伝子検査
DICER1遺伝子検査では、血液または唾液のサンプルを用いてDICER1遺伝子の変異がないかを調べます。この検査は、セルトリ-ライディッヒ細胞腫の小児に対して行われます。
分子生物学的検査
分子生物学的検査は、組織、血液、骨髄のサンプルに特定の遺伝子、蛋白、その他の分子が含まれていないか調べる検査法です。分子生物学的検査では、卵巣腫瘍の原因になったり発生の可能性を高めたりする遺伝子や染色体の変化がないかも調べます。さらに、治療計画を立てたり、治療がどのくらい効いているかを調べたり、予後を判定したりするためにも用いられます。
Molecular Characterization Initiativeという団体は、特定の種類のがんと新たに診断された小児、青年、および若年成人を対象として、無料の分子生物学的検査を提供しています。このプログラムは、NCIの小児がんデータイニシアチブ(Childhood Cancer Data Initiative)を通じて提供されています。詳細については、Molecular Characterization Initiativeについて(英語)をご覧ください。
- セカンドオピニオンを受ける
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小児の診断を確定して治療計画を立てるにあたって、保護者はセカンドオピニオンを求めることができます。セカンドオピニオンを求めるときは、最初の担当医に医学的検査の結果と報告書を提供してもらい、それらを別の医師に見せる必要があります。2番目の医師は、遺伝子検査報告、病理報告、スライド、検査画像を確認します。最初の医師に同意することもあれば、治療計画の修正を提案してくれたり、お子さんの腫瘍についてより多くの情報を提供してくれることがあります。
医師を選んでセカンドオピニオンを受けることに関する詳細ついては、がん医療を探す(英語)をご覧ください。セカンドオピニオンを提供できる医師や病院の情報については、NCIのCancer Information Serviceまで、チャット、電子メール、電話(英語とスペイン語に対応)でお問い合わせください。お子さんの受診時に聞いておきたい質問内容については、がんについて主治医に尋ねるべき質問(英語)をご覧ください。
- 小児卵巣がんの病期
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がんの病期とは、腫瘍の大きさ、転移の有無、最初の発生部位からどれくらい離れて転移しているかなど、体内でのがんの拡がりの程度を表す指標です。卵巣がんの病期を把握することは、最良の治療を計画するうえで重要です。
がんには、様々な病期分類システムがいくつか存在します。国際産科婦人科連合(FIGO)の病期分類システムは、卵巣がんに適用されます。FIGOの分類を基に、小児の卵巣がんにI期、II期、III期、IV期(または1期、2期、3期、4期)の病期が割り当てられます。お子さんのがんについて医師と話し合う際に、病期についての説明を受けることもあります。
I期(または1期)の卵巣がん
IA期では、がんは片側の卵巣または卵管内にのみ認められます。IB期では、両側の卵巣または卵管内にがんが認められます。IC期では、がんが片側または両側の卵巣または卵管に認められ、さらに以下の条件のいずれかを満たします:(a)腫瘍または卵巣被膜(外層)のいずれかが破裂して(破れて開いて)いる、(b)がんが卵巣または卵管の表面上にも認められる、または(c)がん細胞が骨盤内の腹水に認められる。 I期では、卵巣がんが発生して片側または両側の卵巣または卵管に認められます。I期はさらにIA期、IB期、IC期に分けられます。
II期(または2期)の卵巣がん
IIA期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められ、さらに子宮、卵管、卵巣のうち1つ以上に拡がっています。IIB期では、がんが片側または両側の卵巣または卵管に認められ、さらに結腸などの腹腔内の臓器に拡がっています。原発性腹膜がんでは、がんが骨盤腹膜に存在し、他の部位から転移してきたものではありません。 II期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められ骨盤の他の部位にも拡がっているか、骨盤内に原発性腹膜がんが認められます。
II期は、がんが他の組織に拡がっているかどうかに基づいて細分されます。
- IIA期:がんが子宮、卵管、卵巣のいずれか、またはいくつかに拡がっている。
- IIB期:がんが卵巣または卵管から腹腔(腹部の大半の臓器を収容している体腔)内の臓器に拡がっている。
III期(または3期)の卵巣がん
腫瘍のサイズは多くの場合、センチメートル(cm)またはインチで測定されます。腫瘍のサイズをセンチメートル単位で表わすために使用する一般的な食品は次のとおりです:豆(1cm)、ピーナッツ(2cm)、ブドウ(3cm)、クルミ(4cm)、ライム(5cmまたは2インチ)、卵(6cm)、桃(7cm)、グレープフルーツ(10cmまたは4インチ)。 III期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められるか、または原発性腹膜がんであり、骨盤の範囲を越えて、腹部の他の部位または周辺リンパ節もしくはその両方に拡がっています。
III期は、がんがどの程度拡がっているかに基づいて細分されます。
- IIIA1期:がんが腹膜後方のリンパ節のみに拡がっている。
- IIIA2期:顕微鏡でのみ確認できるがん細胞が、大網(腹部にある胃などの臓器を取り囲むようにして存在している腹膜のひだ)など骨盤外の腹膜の表面に拡がっている。周辺リンパ節への転移がみられる場合もあります。
IIIA期では、がんが片側または両側の卵巣または卵管に認められ、(a)腹膜後方のリンパ節にのみ拡がっている、または(b)顕微鏡でのみ確認できるがん細胞が大網など骨盤外の腹膜の表面に拡がっています。がんが周辺リンパ節に拡がっている場合もあります。 - IIIB期:がんが大網など骨盤外の腹膜に拡がっていて、腹膜内のがんの大きさが2cm以内である。がんが腹膜後方のリンパ節に転移している場合もあります。
IIIB期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められ、大網など骨盤外の腹膜に拡がっています。大網のがんは2cm以下です。がんが腹膜後方のリンパ節に拡がっている場合もあります。 - IIIC期:がんが大網など骨盤外の腹膜に拡がっており、腹膜のがんが2cmを超えている。がんが腹膜後方のリンパ節または肝臓または脾臓の表面に転移している場合もあります。
IIIC期では、がんが片側または両側の卵巣または卵管に認められ、大網など骨盤外の腹膜に拡がっています。大網のがんの大きさは2cmを超えます。がんが腹膜後方のリンパ節もしくは肝臓または脾臓の表面に転移している場合もあります(図には示されていません)。
IV期(または4期)の卵巣がん
IV期では、がんが腹部を越えて他の臓器に転移しています。IVA期では、肺の周囲に貯留した過剰な体液中にがん細胞が認められます。IVB期では、がんが肺、肝臓、鼠径部のリンパ節など、腹部外の臓器や組織に拡がっています。 IV期では、がんが腹部を越えて他の臓器に転移しています。IV期はさらにIVA期とIVB期に分けられます。
- IVA期:肺の周囲に貯まった過剰な体液中にがん細胞が認められる。
- IVB期:がんが鼠径部のリンパ節など、腹部外の臓器や組織に拡がっている。
IV期の卵巣がんは遠隔転移した卵巣がんとも呼ばれます。遠隔転移は、がん細胞がリンパ系または血液を介して移動し、身体の別の部位で腫瘍を形成する場合に生じます。遠隔転移した腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、卵巣がんが肺に転移した場合、肺にあるがん細胞は実際は卵巣がんの細胞です。この疾患は遠隔転移した卵巣がんと呼ばれ、肺がんではありません。詳細については、転移がん:がんが拡がる場合(英語)をご覧ください。
再発卵巣がん
再発卵巣がんとは、治療後に再発した場合のことです。再発は、卵巣内に起こることもあれば、体の他の部位に遠隔転移した腫瘍として起こることもあります。がんが再発した場所、転移しているかどうか、拡がりの程度を明らかにするために、検査が行われます。小児の再発卵巣がんに対する治療の種類は、がんの拡がりの程度によって異なります。
詳細については、再発がん:がんが再び発生する場合(英語)をご覧ください。
- 卵巣がんの小児の治療を担う医療従事者
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小児卵巣がんの治療は、小児がんの治療を専門とする小児腫瘍医が監督します。小児腫瘍医は、小児がんの治療に精通しつつ、同時に他の医療分野を専門とする他の医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。その他の専門職としては以下のものがあります:
- 小児卵巣がんの治療法
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小児と青年の卵巣腫瘍に対する治療法には様々なものがあります。保護者と担当のがん治療チームが協力して、治療法を決定します。小児の全体的な健康状態や、腫瘍が良性か悪性か、腫瘍が新たに診断されたものかそれとも再発したものかなど、数多くの要因が検討されます。
小児の治療計画では、がんについての情報、治療の目標、治療選択肢、起こりうる副作用などが検討対象に含まれます。これは、治療に先立って担当のがん治療チームと今後の見通しを話し合う上で役に立ちます。実際の進め方については、NCIのがんの小児:ご両親のための手引き(英語)をご覧ください。
以下のような治療法があります:
手術
手術で卵巣の腫瘍を切除します。ときに卵巣や卵管も切除します。腫瘍を切除する手術中に、腹部の体液を調べて、がんの徴候がないか確認します。
化学療法
化学療法は、薬剤を使用してがん細胞の増殖を阻止する治療法です。化学療法では、がん細胞を死滅させるか、がん細胞の分裂を停止させます。
化学療法には複数の投与方法があります。卵巣がんでは、化学療法薬を静脈に注射します。この方法で投与すると、薬剤を血流に入れて、全身のがん細胞に到達させることができます。小児卵巣がんの治療には、以下の化学療法薬が単独または併用で用いられます:
- ブレオマイシン
- カルボプラチン
- シスプラチン
- シクロホスファミド
- エトポシド
- イホスファミド
- ビンブラスチン
ここに挙げていない化学療法薬も使用されることがあります。
化学療法の効果、投与方法、よく発生する副作用などの詳細については、化学療法によるがん治療(英語)をご覧ください。
造血幹細胞移植
まず、がん細胞を死滅させる目的で大量化学療法を行います。すると、このがん治療によって、造血幹細胞を含めた正常な細胞が破壊されてしまいます。そこで造血幹細胞移植を行って、造血幹細胞を新しいものに置き換えます。患者さんから採取した血液または骨髄から造血幹細胞(未成熟の血液細胞)を取り出し、それを凍結保存しておきます。化学療法の終了後に、保存していた造血幹細胞を解凍し、それを点滴で患者さんの体内に戻します。体内に戻された造血幹細胞が成長することで、血液の機能が回復します。
分子標的療法
分子標的療法は、薬剤またはその他の物質を使用して、がん細胞の増殖や進展に関わる特定の酵素、蛋白、その他の分子の作用を阻害する治療法です。
タゼメトスタットは卵巣がんの治療に用いられます。
分子標的療法は、再発した小児卵巣がんの治療法としても研究されています。
詳細については、分子標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。
臨床試験
臨床試験に参加することが選択肢の1つになる場合もあります。小児がんを対象とする臨床試験にはいくつかの種類があります。例えば、治療の臨床試験では、新しい治療法や既存の治療法の新しい利用方法を検証します。支持療法や緩和ケアの臨床試験では、生活の質を改善する方法が検討され、特にがんの影響やその治療による副作用がみられる人が対象になります。
臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。この検索では、がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて試験を絞り込むことができます。
詳細については、患者さんと介護者のための臨床試験情報(英語)をご覧ください。
小児良性卵巣腫瘍の治療
新たに診断された小児良性卵巣腫瘍に対する治療法には手術などがあります。
小児上皮性卵巣がんの治療
新たに診断された小児上皮性卵巣がんの治療法には以下のようなものがあります:
- 手術
- 化学療法
小児卵巣間質腫瘍の治療
新たに診断された若年性顆粒膜細胞腫やセルトリ-ライディッヒ細胞腫などの小児卵巣間質腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
- 早期のがんには、片方の卵巣と片方の卵管を切除する手術
- 進行がんには、手術とその後の化学療法
- 再発したがんには、化学療法
小児卵巣小細胞がんの治療
新たに診断された小児卵巣小細胞がんの治療法には以下のようなものがあります:
- 手術とその後の化学療法、および幹細胞救助を併用する大量化学療法
- 分子標的療法(タゼメトスタット)
- 治療の副作用および晩期合併症(晩期障害)
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がん治療は副作用を引き起こす可能性があります。起こりうる副作用は、受けている治療の種類、用量、および体の反応によって異なる場合があります。調べるべき副作用とその管理法について、担当の治療チームと話し合ってください。
がんの治療中に発生する副作用に関する詳細については、副作用(英語)をご覧ください。
がん治療による問題のうち、治療後6カ月以降に始まって月単位または年単位で続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。治療の晩期合併症(晩期障害)として、生殖能力の問題などの身体的な問題が生じることがあります。
晩期合併症(晩期障害)には治療やコントロールが可能なものもあります。治療によってお子さんに生じうる晩期合併症(晩期障害)について担当の医師とよく相談することが重要です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。
- フォローアップケア
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治療を進めるにつれて、フォローアップ検査または定期検査が行われます。がんの診断のために実施された検査の中には、治療の効果を確認するために繰り返し行われるものもあります。治療の継続、変更、中止などの決定がそれらの検査結果に基づいて判断されることもあります。
治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。それらの検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんが再発したかどうかを知ることができます。
- 子どものがんへの対処
小児が腫瘍を発症すると、そのご家族全員に対してサポートが必要になります。この困難な時期には、保護者が自分自身のことに気を配ることも重要になります。担当の治療チームやご家族や地域の人々に助けを求めましょう。詳細については、小児がん患者さんのご家族のためにという記事と、がんの小児:ご両親のための手引き(英語)という冊子をご覧ください。
- 関連資料
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小児がんに関する情報と一般的ながんに関するその他の資料については、以下をご覧ください:
- 本PDQ要約について
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PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、小児卵巣がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。
本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Ovarian Cancer.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/ovarian/patient/child-ovarian-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.
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