ご利用について
このPDQがん情報要約では、皮膚がんのスクリーニングに関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Screening and Prevention Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- スクリーニングとは
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スクリーニングとは、症状が現れてくる前にがんを発見しようとする試みのことです。実際にがんの早期発見に役立つ場合もあります。異常組織やがんも、早期に発見されれば治療が容易になる場合があります。症状が現れる頃には、がんが増殖し拡がり始めていることもあります。
どのような人が特定の種類のがんになりやすいのかということをより深く解明しようと、科学者たちは挑み続けています。さらに、がんの原因となりうる生活習慣や環境についても研究が重ねられています。こうして得られた情報は、どういった人ががんのスクリーニングを受けるべきか、どのスクリーニング検査を用いるべきか、そしてその検査をどのくらいの頻度で受けるべきかについて、医師が患者さんに助言をしていく際に役立てられています。
担当の医師からスクリーニング検査を勧められたとしても、必ずしもがんの存在を疑ってそうしているわけではないということを覚えておくことが重要です。スクリーニング検査はがんの症状が現れる前に実施されるものなのです。
スクリーニング検査の結果が異常であれば、がんの存在を確認するために、さらなる検査が必要になる場合もあります。こうした検査は診断検査と呼ばれます。
- 皮膚がんについての一般的な情報
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皮膚がんは、皮膚の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。
皮膚は体のなかで最も大きな臓器です。その機能の1つは、熱や日光、外傷、感染などから体を保護することです。皮膚は体温の調節にも関わっていて、水分や脂肪、ビタミンDなどの保持という役割も果たしています。皮膚はいくつかの層から構成されていますが、大きく分けると表皮(上層または外側の層)と真皮(下層または内側の層)という2つの層があります。皮膚がんはこのうちの表皮から発生するものですが、この表皮は以下の3種類の細胞から構成されています:
米国では、がんの中で非黒色腫皮膚がんが最も多くみられます。
主に2種類の皮膚がんがあります:
基底細胞がんと皮膚の扁平上皮がんは、非黒色腫皮膚がんとも呼ばれ、最も多くみられる種類の皮膚がんです。基底細胞がんと扁平上皮がんのほとんどは、治癒が期待できます。
黒色腫は、隣接する組織や体の他の部位に転移する傾向が高く、治癒しにくい可能性があります。黒色腫は、腫瘍が真皮(皮膚の内層)に拡がる前に発見されれば治癒しやすくなります。黒色腫を早期発見して、すぐに治療を行った場合は、死に至る可能性が低くなります。
米国では、非黒色腫皮膚がんの診断数が年に300万件に上っており、近年は発生率が増加傾向にあります。黒色腫の症例数は、過去40年間にわたって増えてきています。このような増加の一因は、人々の間で皮膚がんに対する意識が高まってきたことにあると考えられます。スクリーニング検査を受けたり、自己検査を行うようになりました。その結果として、皮膚がんと診断される可能性が高くなります。
2014年~2018年にかけて、黒色腫による死亡者数はあらゆる年齢層でわずかに減少しました。
米国内で診断される小児の黒色腫の症例数は少ないが、時間が経つにつれて増えてきています。黒色腫による小児の死亡数は、ほぼ横ばいです。
皮膚がんに関する詳しい情報については以下のPDQの要約をご覧ください:
- 皮膚がんのスクリーニング
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各種のがんを見つけるために、症状が現れていない人を対象として検査を実施し選別を行います。
最も害が少なく最も有益なスクリーニング検査を発見しようと、科学者たちは研究を続けています。また、がんスクリーニングの臨床試験を行う目的には、早期発見(症状が現れる前にがんを発見すること)によって寿命が延びるか、あるいは疾患により死亡する確率が下がるかどうかを明らかにすることも含まれています。一部の種類のがんでは、早期のうちに発見し治療することで、回復の見込みが高まる場合があります。
皮膚がんのスクリーニングは、患者さんと医療提供者の両方による検査などを通じて実施します。
皮膚がんをスクリーニングする方法には、患者さんが目視で確認する自己検査と医療提供者による臨床検査があります。
皮膚診察では、医師または看護師が皮膚を調べて、色や大きさ、形状、質感などに異常のあるほくろや母斑、色素斑などがないか確かめます。皮膚診察での皮膚がんのスクリーニングが、皮膚がんによる死亡数を減少させることは実証されていません。
また、皮膚がんにかかったことのある人の場合は、医師による皮膚の診察を定期的に受けることが重要です。皮膚を自分で調べていて、心配な異変が見つかったら、医師に報告してください。
皮膚の一部に異常が認められると、通常は生検が行われます。医師が局所切除という方法で、疑わしい組織をできるだけ多く採取します。その後、採取した組織を病理医が顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。皮膚組織の異常増殖では、良性(がんではない)か悪性(がん)かの判定が困難となる場合があるため、採取された生検サンプルを別の病理医に診てもらうのもよいでしょう。
皮膚に発生する黒色腫は、ほとんどが肉眼でも確認できます。通常、黒色腫は皮膚の最上位層(表皮)の下で長い時間をかけて増殖しますが、それより下の皮膚の層(真皮)へは増殖しません。このため、皮膚がんは早期に発見することができます。黒色腫は拡がる前に発見すれば治癒しやすくなります。
皮膚がんや悪性黒色腫を見つけるために皮膚病変を評価する機能をもつ、携帯電話のアプリケーション(アプリ)が提供されています。しかし、これらのアプリは、今後の研究で皮膚がんのスクリーニングに関する精度と有用性についての大規模な検証を受ける必要があります。
現在、皮膚がんのスクリーニング検査法が臨床試験で検証されています。
NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
- 皮膚がんのスクリーニングのリスク
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スクリーニング検査にはリスクが伴います。
スクリーニング検査に関する判断は難しくなる場合があります。全てのスクリーニング検査が役に立つわけではなく、ほとんどはリスクを伴います。スクリーニング検査を受けようとする場合は、その前に検査について担当の医師とよく話し合っておくのがよいでしょう。検査に伴うリスクを把握し、さらにがん死亡のリスク低減という効果が実際に証明されているのかを知っておくことが重要です。
皮膚がんのスクリーニング検査には、以下のリスクがあります:
皮膚がんが発見されても、常に健康改善や延命につながるわけではないこと。
進行皮膚がんは、スクリーニングで見つかっても健康改善や延命につながらない場合があります。
がんの中には、何の症状も引き起こさず命を脅かす心配がないものも存在しますが、スクリーニング検査で見つかれば、そのようながんにも治療が行われることがあります。がんの治療には重篤な副作用が伴う場合もあります。
偽陰性の検査結果が出る可能性があること。
実際にはがんが存在しているにもかかわらず、スクリーニング検査の結果が正常とみなされる場合があります。偽陰性の検査結果(実際にはがんが存在しているのに、がんではないと判定された検査結果)を受けた人では、たとえ症状が現れていても、診察を受けるのが遅くなる場合があります。
偽陽性の検査結果が出る可能性があること。
実際にはがんが存在していないにもかかわらず、スクリーニング検査の結果が異常となる場合もあります。偽陽性の検査結果(実際にはがんは存在しないのに、がんであると判定された検査結果)は不安の原因となることがあり、その後にさらに多くの検査(生検など)を実施するのが普通で、そうした検査にもリスクがあります。
生検によって傷跡が残る場合があること。
皮膚の生検を実施する場合、医師は残る傷跡をできる限り小さくしようと試みますが、それでも瘢痕化や感染のリスクは残ります。
ご自身に関する皮膚がんのリスクやスクリーニング検査の必要性については、担当の医師にご相談ください。
- 本PDQ要約について
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PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、皮膚がんのスクリーニングに関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Screening and Prevention Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。
本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Screening and Prevention Editorial Board.PDQ Skin Cancer Screening.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/skin/patient/skin-screening-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389182]
本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、3,000以上の科学関連の画像が収載されています。
免責事項
PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。
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