患者さん向け 前立腺がんの治療(PDQ®)

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このPDQがん情報要約では、前立腺がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

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前立腺がんについての一般的な情報

前立腺がんは、前立腺の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

前立腺は、男性の生殖系に属するの1つです。膀胱尿の貯留と排出を担う臓器)のすぐ下、直腸の下部)の前方に位置しています。その大きさはクルミほどで、尿道(排尿時に膀胱から出た尿が通っていく管)を取り囲むように存在しています。前立腺は、精液の一部になる液体を生産しています。

男性の生殖器系および泌尿器系の解剖図:尿管、リンパ節、直腸、膀胱、前立腺、輸精管、陰茎、精巣、尿道、精嚢、射精管の正面図と側面図を示す。

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男性の生殖器系および泌尿器系の解剖図:前立腺、精巣、膀胱、その他の臓器を示しています。

前立腺がんが最も多くみられるのは高齢の男性です。米国では、男性の約8人に1人が前立腺がんの診断を受けます。

前立腺がんの徴候には、尿勢の低下や頻尿などがあります。

こうした徴候症状などは、前立腺がんや他の病態によって引き起こされます。以下の問題がみられる場合は担当の医師にご相談ください:

ただし、他の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。高齢の男性では、前立腺が大きくなって膀胱の出口や尿道を塞いでしまう場合があります。これにより、排尿困難や性的な問題が起こる場合があります。このような状態は良性前立腺過形成(BPH)と呼ばれ、がんではないものの、手術が必要となることもあります。良性前立腺過形成をはじめとする前立腺の疾患では、前立腺がんの症状とよく似た症状が現れることがあります。

2つの図に正常な男性泌尿生殖器系の解剖図と良性前立腺過形成(BPH)が示されている。左の図には、正常な前立腺と、膀胱から出た尿が尿道を通って流れていく様子が示されている。右の図には、大きくなった前立腺によって膀胱と尿道が圧迫され、尿の流れが遮られている様子が示されている。

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正常な前立腺と良性前立腺過形成(BPH)。正常な前立腺は膀胱からの尿の流れを妨げることはありません。一方、肥大した前立腺は膀胱と尿道を圧迫し、尿の流れを妨げます。

前立腺がんを診断するために前立腺と血液を調べる検査が行われます。

以下のような検査法や手技が用いられます:

前立腺がんを診断し、がんの悪性度(グリソンスコア)を判定するために生検が実施されます。

前立腺がんの診断には経直腸生検が用いられます。経直腸生検では、細い針を直腸から前立腺に挿入して前立腺組織を採取します。この採取は、経直腸的超音波検査または経直腸的MRIを使用して組織サンプルの位置を確かめながら行われることがあります。切除された組織は病理医顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。

経直腸生検:横から見た前立腺、膀胱、直腸が示す。直腸内に挿入された超音波プローブに付いている穿刺針によって前立腺から組織サンプルが採取されている様子が示されている。

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経直腸生検。まず超音波プローブを直腸内に挿入して、腫瘍の位置を明らかにします。その後、直腸壁を介して針を前立腺に挿入し、前立腺から組織を採取します。

ときに、良性前立腺過形成の治療で実施された経尿道的前立腺切除術(TURP)の間に採取された組織のサンプルを用いて生検を行うこともあります。

がんが見つかった場合は、病理医ががんの悪性度を判定します。がんの悪性度は、顕微鏡で観察したがん細胞の外観の異常度とがんの増殖と拡がりのしやすさを表します。こうしたがんの悪性度はグリソンスコアと呼ばれます。

がんの悪性度を判定するために、病理医は前立腺組織のサンプルを調べて、腫瘍組織がどのくらい正常な前立腺組織に類似しているかを確認し、2種類の主な細胞パターンを特定します。最も多くみられる組織パターンは優勢病変パターン、その次に多くみられるパターンは随伴病変パターンとされます。各パターンを3~5の悪性度に分類し、正常な前立腺組織に近い場合は悪性度3、異常度が高い外見がみられる場合は悪性度5と評定します。2つのパターンの悪性度を足し合わせて、グリソンスコアを算出します。

グリソンスコアは6~10の範囲をとります。グリソンスコアが高いほど、がんは急速に増殖し拡がる傾向にあります。グリソンスコア6は低悪性度のがんであり、グリソンスコア7は中悪性度のがん、グリソンスコア8、9、10は高悪性度のがんです。例えば、最もよくみられる組織のパターンが悪性度3で、2番目に多いパターンが悪性度4である場合は、そのがんの最も多くの部分が悪性度3であり、その次に多い部分が悪性度4ということになります。これらの悪性度を足したグリソンスコアは7であり、これは中悪性度のがんです。この場合のグリソンスコアは3+4=7、グリソン7/10、グリソンスコア7などと表されます。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後と治療選択肢を左右する因子には以下のものがあります:

治療法は以下の要因にも左右されます:

前立腺がんと診断された男性の大部分は、それが原因では死亡しません。

前立腺がんの病期

前立腺がんの診断がついた後には、がん細胞の前立腺内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がん前立腺内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。前立腺がん診断に使用された検査結果は、多くの場合に疾患の病期判定にも利用されます。(一般的な情報のセクションをご覧ください。)前立腺がんでは、患者さんに骨痛や高いPSA値、グリソンスコアの高値といったがんの拡がりを示す症状や徴候がみられなければ、病期分類検査は実施されないのが普通です。

病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、前立腺がんが骨に転移した場合、骨にできたがん細胞は、実際は前立腺がんの細胞です。このような疾患は、転移性前立腺がんであって、骨がんではありません。

骨転移予防に、モノクローナル抗体であるデノスマブが用いられることがあります。

前立腺がんの病期分類にはグレードグループとPSA値が用いられます。

がんの病期は、前立腺特異抗原(PSA)検査グレードグループなど、病期分類と診断検査の結果を基に決定されます。グリソンスコアの判定には、生検中に採取された組織サンプルが用いられます。グリソンスコアとは、顕微鏡で見たときのがん細胞と正常細胞の外観の違いを2~10点のスコアで表現したもので、腫瘍の拡がりを予測する指標です。この数値が低いほど、正常細胞に近い見た目のがん細胞が多く、増殖や拡がりは緩やかに進む確率が高いと考えられます。

グレードグループはグリソンスコアによって決まります。グリソンスコアに関する詳しい情報については、一般的な情報のセクションを参照してください。

PSA検査は血液中のPSA濃度を測定します。PSAは前立腺から分泌される物質で、一般に前立腺がんの男性ではその血中濃度が高くなります。

前立腺がんでは以下のような病期が用いられます:

I期

I期前立腺がんを示した2つの図:上の図は、針生検で見つかった前立腺右側の半分未満のがんを示している。下の図は直腸指診で見つかった前立腺左側の半分未満のがんを示している。どちらの図も、PSA値は10未満でグレードグループは1である。膀胱、直腸、尿道も示されている。

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I期の前立腺がん。がんは前立腺にのみ認められます。がんは直腸指診で触知されず、前立腺特異抗原(PSA)の高値を受けて施行された針生検で発見されるか、または他の理由による手術で摘出された組織のサンプルにがんが認められます。PSA値は10未満で、グレードグループは1です;または、がんは直腸指診で触知され、前立腺の片側の半分以下に認められます。PSA値は10未満で、グレードグループは1です。

I期では、がん前立腺の内部のみに認められます。さらに、がんについて以下の条件が満たされます:

II期

II期では、がんI期よりは進行していますが、前立腺の外部までは拡がっていません。II期は、IIA期、IIB期、IIC期に分けられます。

IIA期前立腺がんを示した2つの図:上の図は、前立腺の片側の半分以下を占めるがんを示している。PSA値は10以上であるが20未満であり、グレードグループは1である。下の図は前立腺の片側の半分以上を占めるがんを示している。PSA値は20未満でグレードグループは1である。両方の図で、膀胱、直腸、尿道も示されている。

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IIA期の前立腺がん。がんは前立腺にのみ認められます。がんは前立腺の片側の半分以下に認められます。前立腺特異抗原(PSA)値は10以上であるが20未満であり、グレードグループは1です;または、がんは前立腺の片側の半分以上、または前立腺の両側に認められます。PSA値は20未満で、グレードグループは1です。

IIA期では、がんは以下の条件を満たしています:

IIB期前立腺がん:図は前立腺の片側に生じたがんを示している。PSA値は20未満で、グレードグループは2である。膀胱、直腸、尿道も示されている。

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IIB期の前立腺がん。がんは前立腺にのみ認められます。がんは前立腺の片側または両側に認められます。前立腺特異抗原の値は20未満で、グレードグループは2です。

IIB期では、がんは以下の条件を満たしています:

IIC期前立腺がん:図は前立腺の両側に生じたがんを示している。PSA値は20未満で、グレードグループは3または4である。膀胱、直腸、尿道も示されている。

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IIC期の前立腺がん。がんは前立腺にのみ認められます。がんは前立腺の片側または両側に認められます。前立腺特異抗原の値は20未満で、グレードグループは3または4です。

IIC期では、がんは以下の条件を満たしています:

III期

III期は、IIIA期、IIIB期、IIIC期に分けられます。

IIIA期前立腺がん:図は前立腺の片側に生じたがんを示している。PSA値は20以上で、グレードグループは1、2、3、4のいずれかである。膀胱、直腸、尿道も示されている。

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IIIA期の前立腺がん。がんは前立腺にのみ認められます。がんは前立腺の片側または両側に認められます。PSA値は20以上で、グレードグループは1、2、3、4のいずれかです。

IIIA期では、がんは以下の条件を満たしています:

IIIB期前立腺がん:図は前立腺から精嚢や周辺の組織に拡がったがんを示している。PSA値は様々で、グレードグループは1、2、3、4のいずれかである。骨盤壁、膀胱、直腸も示されている。

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IIIB期の前立腺がん。がんは前立腺から精嚢に拡がっているか、周辺の組織や臓器(直腸、膀胱、骨盤壁など)に拡がっています。PSA値は様々で、グレードグループは1、2、3、4のいずれかです。

IIIB期では、がんは以下の条件を満たしています:

IIIC期前立腺がん:図は前立腺の片側に生じたがんを示している。PSA値は様々で、グレードグループは5である。膀胱、直腸、尿道も示されている。

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IIIC期の前立腺がん。がんは前立腺の片側または両側に認められ、精嚢に拡がっている場合や、周辺の組織や臓器(直腸、膀胱、骨盤壁など)に拡がっている場合があります。PSAの値は様々で、グレードグループは5です。

IIIC期では、がんは以下の条件を満たしています:

IV期

IV期は、IVA期とIVB期に分けられます。

IVA期前立腺がん:図は、前立腺の片側と周辺リンパ節のがんを示している。PSA値は様々で、グレードグループは1、2、3、4、5のいずれかである。膀胱、直腸、尿道も示されている。

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IVA期の前立腺がん。がんは前立腺の片側または両側に認められ、精嚢に拡がっている場合や、周辺の組織や臓器(直腸、膀胱、骨盤壁など)に拡がっている場合があります。がんは周辺リンパ節に転移しています。PSA値は様々で、グレードグループは1、2、3、4、5のいずれかです。

IVA期では、がんは以下の条件を満たしています:

IVB期の前立腺がん:図は、前立腺がんが転移しうる遠隔部のリンパ節や骨といった体内の部位を示している。拡大図は、前立腺のがん細胞が血液やリンパ系を介して体の別の部位に拡がり、転移がんを形成する様子を示している。

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IVB期の前立腺がん。がんは骨や遠隔部のリンパ節など、体内の他の部位に転移しています。

IVB期では、がんは以下の条件を満たしています:

前立腺がんは治療後に再発する(再び現れる)ことがあります。

再発は、前立腺に生じることもあれば、体の他の部位に発生することもあります。

治療選択肢の概要

前立腺がんの患者さんには様々な治療法が存在します。

前立腺がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

標準治療として以下の8種類が用いられています:

注意深い経過観察または積極的サーベイランス

注意深い経過観察積極的サーベイランスは、徴候症状がみられない、または他の病態を抱えている高齢男性や、スクリーニング検査で前立腺がんが発見された男性に対して行われる治療法です。

注意深い経過観察とは、徴候や症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く監視していくことです。治療は、症状を和らげ生活の質を高めるために行われます。

積極的サーベイランスとは、検査結果に変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く観察していくことです。病態の悪化の徴候を早期発見するために実施されます。積極的サーベイランスの実施中は、がんの増殖を調べるために、直腸指診PSA検査経直腸的超音波検査、経直腸的針生検などの試験や検査が行われます。がんが増殖し始めたら、がんを治癒するための治療に移ります。

前立腺がんの診断後すぐには治癒を目的とする治療を行わない対処法は、上記の他に「経過観察」、「観察と待機」、「待機的管理」などとも呼ばれています。

手術

健康状態が良好で、腫瘍前立腺にのみ存在する患者さんに対し、腫瘍を切除する手術が行われる場合があります。以下のような手術法が用いられます:

一部の症例では、神経温存手術により、陰茎の勃起を制御する神経を温存することができます。しかし、腫瘍が大きい場合やこの神経に腫瘍が非常に近接している場合には、神経温存手術を施行できないこともあります。

前立腺がんの手術後には、以下のような問題が起こる可能性があります:

放射線療法と放射性医薬品療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には、いくつかの種類があります:

放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。前立腺がんの治療には外照射療法、内照射療法、放射性医薬品療法が用いられます。

放射線療法による前立腺がんの治療を受けた男性では、膀胱がん消化管のがんのリスクが高くなります。

放射線療法は、加齢に伴い悪化しうる勃起不全や排尿の問題を引き起こすことがあります。

ホルモン療法

ホルモン療法は、ホルモンを体内から除去したりその働きを阻害したりすることによって、がん細胞の増殖を阻止する治療法です。ホルモンとは、体内の内分泌で作られて血流内を循環する物質のことです。前立腺がんでは、男性ホルモンによってがんの増殖が促進されることがあります。そのため男性ホルモンの量を減少させたり、その作用を阻害したりすることを目的として、薬物療法、手術、他のホルモンの投与などが行われます。この治療法はアンドロゲン除去療法(ADT)と呼ばれます。

前立腺がんに対するホルモン療法には以下のようなものがあります:

ホルモン療法による治療を受けた男性では、ほてりや性機能障害、性欲の喪失、骨の弱体化などが生じてくる場合があります。その他の副作用としては、下痢吐き気、かゆみなどがあります。

詳しい情報については、前立腺がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

化学療法

化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や、静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。

詳しい情報については、前立腺がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

標的療法。

標的療法は、特定のがん細胞を認識し攻撃する性質をもった薬物などの物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。

免疫療法

免疫療法は、患者さんの免疫系を利用してがんと戦う治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は生物学的療法の一種です。シプロイセル-T転移した(体の他の部位に拡がった)前立腺がんの治療に用いられる免疫療法薬です。

詳しい情報については、前立腺がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

ビスフォスフォネート療法

がんが骨に転移した場合は、クロドロネートゾレドロネートなどのビスフォスフォネート薬を投与して、骨の病気を抑制し痛みを軽減します。抗アンドロゲン療法を受けている男性、または精巣摘出術を受けた男性では、骨の喪失が起こるリスクが高くなります。こうした男性には、ビスフォスフォネート薬を投与すると骨折リスクが低下します。骨転移の増殖を予防したり遅らせたりするためにビスフォスフォネート薬を使用する方法が、臨床試験で研究されています。

骨転移またはホルモン療法により生じる骨痛には、いくつかの治療法があります。

前立腺がんが骨に転移したり、患者さんがある種のホルモン療法を受けたりすると、骨が弱くなり、骨痛につながることがあります。骨痛の治療法には以下のようなものがあります:

詳しい情報については、PDQ疼痛に関する要約をご覧ください。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

凍結手術

凍結手術は、専用の装置を用いて前立腺がん細胞を凍結させ破壊する治療法です。治療対象の領域を特定するために、超音波が用いられます。この種の治療は凍結療法とも呼ばれます。

凍結手術は、勃起不全や尿失禁(膀胱からの尿の漏れ)、便失禁(直腸からの便の漏れ)を引き起こすことがあります。

高密度焦点式超音波療法

高密度焦点式超音波療法は、超音波(高エネルギーの音波)を用いてがん細胞を破壊する治療法です。前立腺がんに対する治療では、直腸用の超音波振動子(プローブ)を用いて超音波を発生させます(直腸内超音波検査)。

陽子線治療

陽子線治療は高エネルギー外照射療法の一種で、陽子(正の電荷を帯びた小さな粒子)の流れを利用して、腫瘍細胞を殺傷します。この種の治療法は、腫瘍付近に位置する健康な組織に放射線が与える損傷を少なく抑えることができます。

光線力学療法

この療法では、薬と特定の波長のレーザー光線を用いてがん細胞を死滅させます。まず、光が当たることで活性化する薬を静脈内に注射します。この薬は正常細胞よりもがん細胞により多く集まります。その後、光ファイバーチューブを使ってがん細胞にレーザー光線を照射すると、この薬が活性化してがん細胞を殺傷します。光線力学療法では、健常組織への損傷がごくわずかで済みます。この治療法は主に、皮膚上や皮膚のすぐ下または内臓の内腔の表面にできた腫瘍の治療に用いられます。

前立腺がんの治療は副作用を引き起こすことがあります。

がんの治療によって引き起こされる副作用に関する詳しい情報については、副作用(英語)のページをご覧ください。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

I期前立腺がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

I期の前立腺がん標準治療には、以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

II期前立腺がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

II期の前立腺がん標準治療には、以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

III期前立腺がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

III期の前立腺がん標準治療には、以下のようなものがあります:

前立腺内に存在するがんを管理し、泌尿器症状を軽減する治療法には、以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

IV期前立腺がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

IV期の前立腺がん標準治療には、以下のようなものがあります:

前立腺内に存在するがんを管理し、泌尿器症状を軽減する治療法には、以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

再発またはホルモン抵抗性前立腺がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

再発またはホルモン抵抗性前立腺がん標準治療には、以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

前立腺がんについてさらに学ぶために

米国国立がん研究所が提供している前立腺がんに関する詳しい情報については、以下をご覧ください:

米国国立がん研究所が提供している一般的ながん情報とその他の資源については、以下をご覧ください:

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、前立腺がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

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PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Prostate Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/prostate/patient/prostate-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389353]

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