医療専門家向け 精巣腫瘍の治療(PDQ®)

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医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、精巣腫瘍の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

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精巣腫瘍に関する一般情報

発生率および死亡率

米国において、2020年に推定される精巣腫瘍の新規症例数および死亡数:[ 1 ]

精巣腫瘍は、青壮年期の男性に最も頻繁に発生するが十分治療可能で、通常は治癒可能である。ほとんどの精巣腫瘍は胚細胞腫瘍である。治療計画を決定するにあたって胚細胞腫瘍はセミノーマと非セミノーマに大別されるが、それはこれらの腫瘍では予後および治療のアルゴリズムが異なるためである。セミノーマの場合には(すべての病期を含めて)治癒率は90%を超える。早期のセミノーマまたは非セミノーマ患者の治癒率は100%近い。[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ]

危険因子

精巣腫瘍の危険因子には以下のものがある:[ 7 ]

思春期前の停留精巣の外科的修復(精巣固定術)は精巣腫瘍のリスクを低下させるようであるが、これは確定していない。[ 8 ]

病理組織学

精巣胚細胞腫瘍の種類:セミノーマ VS 非セミノーマ

精巣胚細胞腫瘍には、以下のように5つの病理組織学的亜型がある:

セミノーマで100%構成される腫瘍はセミノーマと考えられる。その他の腫瘍(セミノーマとセミノーマ以外の成分からなる混合型腫瘍など)はすべて、非セミノーマとみなし、そのように管理すべきである。ほとんどの非セミノーマでは異なる胚細胞腫瘍が混在している。組織学的にセミノーマ型であっても血清αフェトプロテイン(AFP)が高値であれば、セミノーマはAFPを産生しないため、非セミノーマとして治療すべきである。

予後および病期分類

血清腫瘍マーカーと精巣腫瘍:AFP、βhCG、LDH

αフェトプロテイン(AFP)、βヒト絨毛性ゴナドトロピン(βhCG)、および乳酸脱水素酵素(LDH)は、胚細胞腫瘍の病期分類およびモニタリングにおける血清腫瘍マーカーとして重要な役割を果たしており、罹患した精巣を切除する前に測定しておくべきである。[ 9 ]非セミノーマ患者では、がん性精巣摘除後の腫瘍マーカー高値の程度は、最も重要な予後予測因子の1つである。[ 10 ]血清腫瘍マーカーの上昇はしばしば再燃の最も初期の徴候であるため、血清腫瘍マーカーはまた、すべての病期の非セミノーマのモニタリングおよび転移性セミノーマのモニタリングにも非常に有用である。

AFP:血清AFP高値は非セミノーマ男性の40%~60%にみられる。セミノーマはAFPを産生しない。血清AFP値が高い男性は、病理学が純型セミノーマを示す場合でも、肝疾患など、がんより説得力のあるAFP高値の説明が付かなければ、混合型胚細胞腫瘍(すなわち、非セミノーマ胚細胞腫瘍[NSGCT])である。

βhCG:hCGのβサブユニットの上昇は、精巣摘除術前のI期純型セミノーマ患者の約14%および転移性セミノーマ患者の約半数に認められる。[ 11 ][ 12 ][ 13 ]非セミノーマの男性では、約40%~60%に血清βhCGの上昇が認められる。

AFP値および/またはhCG値が有意にかつ明らかに上昇している場合、ほとんどの症例では胚細胞腫瘍の再燃を示しており、転移病変の放射線学的証拠がなくても治療の適応となる。ただし、血清腫瘍マーカーの上昇の解釈には注意が必要である。例えば、黄体形成ホルモンの定量での交差反応により、hCG値が偽陽性となる場合があり、その場合はテストステロンを筋肉内注射すればhCG値が正常化するはずである。また、マリファナの使用は血清hCGを上昇させるという臨床報告もあり、薬物使用について患者に質問し、マリファナ使用の離脱期間をおいた後にhCG値を再検査すべきであると推奨する専門家もいる。同様に、AFPは、一部の個人ではっきりとした理由もなく慢性的に軽度に高くなることがあり、肝疾患ではかなり上昇しうる。

LDH:セミノーマと非セミノーマはともに乳酸脱水素酵素(LDH)を上昇させうるが、LDHはがんとは無関係のさまざまな状態で高くなるため、LDHの上昇の予後的意義はあまり明確ではない。精巣摘除術後またはII期またはIII期疾患の治療後にサーベイランス中の精巣胚細胞腫瘍患者499人におけるLDHの有用性に関する研究では、来院した患者の7.7%にがんと無関係のLDHの上昇を認めた一方、がんに関係したLDHの上昇は来院した患者のわずか1.4%でしか認められなかったことが報告された。[ 14 ]15例の再燃のうち、6例でLDHが上昇し、1例では再燃の最初の徴候であった。9%を超える男性で持続性のLDH偽高値が認められた。LDH高値の陽性適中率は12.8%であった。

2番目の研究では、I期胚細胞腫瘍患者でその後に再燃した494人中、125人が再燃時にLDHの上昇を示したと報告された。これら125人全員に再燃の他の証拠が認められた:112人では同時にAFP値および/またはhCG値が上昇し、1人にはLDH上昇前にCT検査で再燃の証拠が得られ、1人に診察時に触知可能な病変が認められ、1人は背痛を訴えたため、画像検査を行ったところ後腹膜再燃が見つかった。[ 15 ]LDHの測定は、再燃に対する胚細胞腫瘍のサーベイランス中はほとんど価値がないと考えられる。一方、転移性NSGCT患者については、予後モデルに関する大規模研究で、多変量解析によりLDH値が生存の有意に独立した予測因子であることが明らかにされた。[ 10 ][ 16 ]

病期分類およびリスク層別化

精巣腫瘍の予後判定モデルは主に次の2つである:病期分類[ 17 ]および、遠隔転移および/または巨大な後腹膜転移を有する男性のリスク層別化のためのInternational Germ Cell Cancer Consensus Groupの分類[ 10 ]。精巣胚細胞腫瘍の予後は、次の因子により決定される:

  1. 組織学(セミノーマ vs 非セミノーマ)。
  2. 腫瘍が拡がっている範囲(精巣のみ vs 後腹膜リンパ節転移 vs 肺転移または遠隔リンパ節転移 vs 肺以外の臓器への転移)。
  3. 非セミノーマについては、血清腫瘍マーカー高値の程度。[ 10 ]

播種性セミノーマの男性に対する主な予後不良変数は、肺以外の臓器(例、骨、肝臓、または脳)への転移の存在である。播種性非セミノーマの男性については、以下の変数が独立して予後不良に関連している:

ただし、診察時に広範な転移が認められる患者(脳転移を有する患者を含めて)でも治癒可能であるため、治癒を目標として治療すべきである。[ 18 ]

初めに精索を高位結紮して行う高位精巣摘除術は、悪性精巣腫瘤を診断し治療する場合に選択すべき手技である。[ 19 ]上述のように、血清AFP、LDH、およびhCGを精巣摘除術前に測定すべきである。経陰嚢生検は、陰嚢への局所播種または鼠径リンパ節転移のリスクがあるため適切ではないと考えられる。陰嚢切開で手術を行ったシリーズをレトロスペクティブに解析したところ、鼠径部切開より局所再発率がわずかにではあるが統計的に有意に上昇することが示された(2.9% vs 0.4%)。[ 20 ][証拠レベル:3iiiDii]しかしながら、遠隔再発および生存率ではこれら2つのアプローチの間に差は認められなかった。

診断法

後腹膜リンパ節の評価は、通常はCTスキャンによって行われ、精巣腫瘍の成人の病期分類および治療計画では重要な要素である。[ 21 ][ 22 ]検査結果が陰性であった患者でも、顕微鏡的にリンパ節転移が認められる可能性はかなり高い。セミノーマ患者の20%近くおよび非セミノーマ患者の30%がCTスキャンおよび血清腫瘍マーカーが正常であっても、精巣摘除術後に追加の治療を受けなければ後に再燃する。[ 23 ][ 24 ][ 25 ]非セミノーマ患者に対する後腹膜リンパ節郭清(RPLND)は病期分類の正確度を増加させるが、RPLND時の画像検査および血清腫瘍マーカーが正常で、病理学が良性でも10%もの男性が依然として再燃する。[ 26 ]臨床病期ではI期の非セミノーマ精巣腫瘍患者の約25%がRPLNDによって病理病期ではII期にアップステージし、臨床病期ではII期の患者の約25%がRPLNDによって病理病期ではI期にダウンステージする。[ 26 ][ 27 ][ 28 ]思春期前の小児では、初回の精巣摘除術施行後の反応をモニターするには、AFPの連続測定だけで十分であることが証明されている。リンパ管造影と傍大動脈リンパ節郭清は、思春期前の男児での正確な病期分類と管理を行う上で有用とも必要とも思われない。[ 29 ](詳しい情報については、小児精巣腫瘍の治療 に関するPDQ要約を参照のこと。)

追跡と生存

精巣腫瘍が治癒した患者が対側精巣にがんを発症する累積リスクは、初診から15年の間に約2%である。[ 30 ][ 31 ]この期間内では、その後に対側精巣に腫瘍を発症するリスクは、非セミノーマ性の原発腫瘍の男性の方がセミノーマの男性よりも低いようである。

HIV感染男性は、精巣セミノーマの発症リスクが高いことが報告されている。[ 32 ]顕性感染などの併発状態にもよるが、HIV感染男性患者に対しては一般に、非HIV感染患者とほぼ同じ治療を行う。

補助化学療法または補助放射線療法を受けている精巣腫瘍患者の大多数は治癒可能であるため、以下のようなさまざまな治療法による長期的影響を把握しておく必要がある:

  1. 生殖能力:患者の多くに治療前に精液過少または精子異常が認められるが、治療後の精液検査の結果は一般的に正常値に近くなる。精巣腫瘍患者における標準化学療法の生殖能力への影響は十分に定義されていないが、ほとんどの男性がしばしば凍結保存精液を用いずに治療後に子供をもうけ父親になれることが十分に実証されている。2件の大規模研究では、精巣腫瘍の治療後、患者のおよそ70%が実際に子供をもうけた。[ 33 ][ 34 ]生殖能力の回復の可能性は、受けた治療のタイプと関連する。子供に先天性奇形のリスクが増大することはないようであるが、この問題を正確に調査するには、既存のデータが不十分である。[ 35 ][ 36 ]患者は子供をもうけるには化学療法完了後少なくとも3ヵ月待つように推奨されている(化学療法実施前に冷凍保存精子を採取している場合はこの限りではない)。[ 36 ]

    純型セミノーマ精巣腫瘍の治療に用いられる放射線療法は、後腹膜リンパ節への照射中に残存精巣に対して放射散乱が生じることによって生殖能力に問題を来す可能性がある(例えば、SWOG-8711試験で証明されている通り)。[ 37 ]散乱線量によっては、放射線療法後に精子数が減少するが、1~2年経過する間に回復する。正常な残存精巣への放射散乱を減らすために遮蔽技術を用いてもよい。化学療法、後腹膜リンパ節郭清、放射線療法はいずれも不妊症を引き起こしうるため、患者には精巣摘除術以外の精巣腫瘍の治療を受ける前に、精子を保存する機会を提供することができる。

  2. 二次性白血病:二次性急性白血病、主として非リンパ性白血病のリスクが増大するとする報告がいくつかある。[ 38 ][ 39 ]白血病のリスク増大は、プラチナ製剤ベースの化学療法および放射線療法に関連している。[ 38 ]このほか、エトポシドを含むレジメンと、通常は骨髄系における二次性急性白血病のリスクおよび特徴的な11q23転座との間に相関が認められている。[ 40 ][ 41 ]エトポシド関連の白血病は通常、アルキル化剤関連白血病より治療後早期に発症し、11番染色体長腕に均衡型染色体転座がしばしば認められる。標準量(<2g/m2累積投与量)のエトポシド投与は15~25の相対リスクと関連するが、これは白血病の累積発生率が5年目の時点で0.5%未満であると解釈される。予備的なデータによると、エトポシドの累積投与量が2g/m2を超えるとリスクが高くなりうることが示唆されている。
  3. 腎機能:プラチナ製剤ベースによる治療の過程では、クレアチニンクリアランスにわずかな低下がみられるが(平均約15%の低下)、長期的には安定化し、有意に悪化することはないと思われる。[ 42 ]
  4. 聴力:シスプラチンベースの化学療法では両側性の聴力障害が生じるが、こうした障害は一般に4kHz~8kHzの周波数であり、会話音域の範囲外である;したがって、標準量のシスプラチン投与で補聴器が必要となることはまれである。[ 42 ]
  5. 肺機能:精巣腫瘍の長期生存者1,049人における肺機能検査の研究では、拘束性肺疾患の発生率がシスプラチンの用量依存的に増加することが報告された。[ 43 ]シスプラチンを最大850mg投与された男性における拘束性肺疾患のリスクが正常であったのに対し、シスプラチンの投与量が850mgを超えた男性ではリスクが3倍高かった。化学療法を受けなかった患者における拘束性肺疾患の発生率は、絶対値で8%未満であったのに対し、シスプラチンの投与量が850mgを超えた患者ではほぼ18%であった。しかしながら、肺機能検査で拘束性肺疾患が示された患者のうち、呼吸困難を報告したのはわずか9.5%であった。この研究において、シスプラチンは肺機能の低下と強く関連していたが、ブレオマイシン累積投与量もまた、努力肺活量および一秒量(FEV1)の低下と関連した(ただし、拘束性肺疾患とは関連していなかった)。

ブレオマイシンで急性肺毒性が生じる場合があるが、総累積投与量が400単位未満の場合に致死的となることはまれである。それでも致死的な肺毒性は起こりうるため、肺毒性を示す初期徴候が発現する場合には本薬物の投与を中止すべきである。肺機能低下の頻度は高いが、症状が現れることはまれであり、化学療法終了後は回復する。化学療法で治療された精巣腫瘍の生存者は呼吸器疾患による死亡リスクが高いことが報告されているが、この知見がブレオマイシン曝露に関係しているかどうかは不明である。[ 44 ]

純型セミノーマ胚細胞腫瘍の管理にしばしば用いられる放射線療法と、通常10年以上に及ぶ潜伏期間後に発生する二次がん、特に照射ポータルにおける充実性腫瘍の発生との間に関係が認められている。[ 45 ][ 46 ]このようながんには黒色腫および胃、膀胱、結腸、直腸、膵臓、肺、胸膜、前立腺、腎、結合組織、および甲状腺のがんがある。化学療法もまた、二次がんのリスク増加と関連している。

他の危険因子

精巣腫瘍生存者における心血管疾患

最近、放射線療法および/または化学療法で治療された精巣腫瘍男性は、心血管イベントのリスクが高いことが報告されている。[ 47 ][ 48 ][ 49 ]他の研究では、精巣腫瘍に対する化学療法がメタボリックシンドロームおよび性腺機能低下症の発症リスク増加に関連していることが報告されている。[ 50 ][ 51 ]さらに、1件の集団ベースの国際的研究では、放射線または化学療法のいずれかで治療された男性は、循環器系疾患による死亡リスクが高いことが報告された。[ 44 ]

1982年から1992年までにRoyal Marsden Hospitalにて精巣腫瘍の治療を受けた患者992人を対象にしたレトロスペクティブシリーズでは、中央値で10.2年後の時点で、放射線療法および/または化学療法を受けた患者では心イベントの発生数がサーベイランスを受けた患者の約2.5倍に増大していた。10年間追跡後の心イベントの生命表法によるリスクは、放射線療法を受けた患者(このうち92%は縦隔への放射線療法を受けていなかった)では7.2%、化学療法を受けた患者では3.4%(主にプラチナ製剤ベース)、併用療法を受けた患者では4.1%、そしてサーベイランスを受けた患者では1.4%であった。[ 48 ]

1965年から1995年までに治療を受けたオランダの精巣腫瘍生存者2,339人を対象とした集団ベースのレトロスペクティブ研究では、中央値で18.4年間の追跡が行われたが、冠動脈心疾患(すなわち、心筋梗塞および/または狭心症)の全発生率は一般集団の1.17倍(95%信頼区間[CI]、1.04-1.31)に増大していた。[ 49 ]縦隔への放射線療法を受けた患者では冠動脈心疾患のリスクが2.5倍(95%CI、1.8-3.4)に増大し、化学療法も受けた患者では3倍近く(95%CI、1.7-4.8)にまで増大していた。横隔膜下への放射線単独療法を受けた患者では冠動脈心疾患のリスクの有意な増大はみられなかった。多変量Cox回帰分析では、1980年代半ばまで用いられていたシスプラチン + ビンブラスチン + ブレオマイシン(PVB)という比較的古い化学療法レジメンは、1.9倍(95%CI、1.2-2.9)という有意な冠動脈心疾患(すなわち、心筋梗塞、狭心症、心不全を併せて)リスクの増大と関連していた。ブレオマイシン + エトポシド + シスプラチン(BEP)という比較的新しいレジメンは、1.5倍(95%CI、1.0-2.2)という境界有意性をもつ心血管疾患リスクの増大と関連していた。同様に、集団ベースのデータベースの国際的プール分析において、循環器系疾患による死亡リスクが化学療法(標準化死亡比[SMR] = 1.58)または放射線療法(SMR = 1.70)で治療された男性で高いことが報告された。[ 44 ][証拠レベル:3iiiDii]

精巣腫瘍は治癒可能性が高いが、精巣腫瘍であると新規に診断された患者はすべて、治癒率をさらに改善させつつ、治療に関連する罹病率を低下させる目的でデザインされた臨床試験の候補者として検討することが適切である。

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  49. van den Belt-Dusebout AW, Nuver J, de Wit R, et al.: Long-term risk of cardiovascular disease in 5-year survivors of testicular cancer. J Clin Oncol 24 (3): 467-75, 2006.[PUBMED Abstract]
  50. Haugnes HS, Aass N, Fosså SD, et al.: Components of the metabolic syndrome in long-term survivors of testicular cancer. Ann Oncol 18 (2): 241-8, 2007.[PUBMED Abstract]
  51. Nuver J, Smit AJ, Wolffenbuttel BH, et al.: The metabolic syndrome and disturbances in hormone levels in long-term survivors of disseminated testicular cancer. J Clin Oncol 23 (16): 3718-25, 2005.[PUBMED Abstract]
精巣腫瘍の細胞分類

以下の悪性精巣胚細胞腫瘍(精巣腫瘍)の組織学的分類は、世界保健機関(WHO)が使用している分類を反映している。[ 1 ]悪性精巣胚細胞腫瘍のうち単一組織型をもつのは50%未満で、それらの約50%がセミノーマである。残りには複数の組織型が認められており、それぞれの組織型の相対的割合を特定する必要がある。これらの腫瘍の組織型は転移リスクおよび化学療法への反応を推測する上で重要である。多胎芽腫はまれな増殖パターンを示し、ときに単一の組織型として挙げられるが、混合腫瘍としてみなすべきであろう。[ 1 ][ 2 ][ 3 ]

  1. 精細管内胚細胞腫瘍、未分類。
  2. 悪性純型胚細胞腫瘍(単一組織型を示す):
    1. セミノーマ。
    2. 胎児性がん。
    3. 奇形腫。
    4. 絨毛がん。
    5. 卵黄嚢腫瘍。
  3. 悪性混合胚細胞腫瘍(複数の組織型を示す):
    1. 胎児性がんと奇形腫、場合によりセミノーマも含む。
    2. 胎児性がんと卵黄嚢腫瘍、場合によりセミノーマも含む。
    3. 胎児性がんとセミノーマ。
    4. 卵黄嚢腫瘍と奇形腫、場合によりセミノーマも含む。
    5. 絨毛がんとその他のあらゆる成分。
  4. 多胎芽腫。
参考文献
  1. Woodward PJ, Heidenreich A, Looijenga LHJ, et al.: Germ cell tumours. In: Eble JN, Sauter G, Epstein JI, et al.: Pathology and Genetics of Tumours of the Urinary System and Male Genital Organs. Lyon, France: IARC Press, 2004, pp 221-49.[PUBMED Abstract]
  2. Ulbright TM, Berney DM: Testicular and paratesticular tumors. In: Mills SE, Carter D, Greenson JK, et al., eds.: Sternberg's Diagnostic Surgical Pathology. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2010, pp 1944-2004.[PUBMED Abstract]
  3. Bosi GJ, Feldman DR, Bajorin DE, et al.: Cancer of the testis. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1280-1301.[PUBMED Abstract]
精巣腫瘍の病期情報

AJCC病期分類とTNMの定義

米国がん合同委員会(AJCC)は、精巣腫瘍を定義するためにTNM(腫瘍、リンパ節、転移)分類による病期判定を指定している。[ 1 ]

AJCCの病理学的病期予後グループ(pTNM)

表1.pTNM 0期の定義a
病期 TNM/S 定義
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移;cN = 臨床的な所属リンパ節;pN = 病理学的な所属リンパ節;pT = 病理学的な腫瘍;S = 血清マーカー。
aAJCCから許諾を得て転載:Testis.In: Brimo F, Srigley J, Ryan C, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.727–35.
b生検で確認されたTisおよびT4を除くと、原発腫瘍の進展度は根治的精巣摘除術によって分類され、臨床的病期のその他のカテゴリーにはTXを使用できる。
0 pTisb, N0, M0, S0 pTis = 精細管内胚細胞腫瘍。
cN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
pN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S0 = 腫瘍マーカーレベルが正常値内。
表2. pTNM I期、IA期、IB期、およびIS期の定義a
病期 TNM/S 定義
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移;AFP = αフェトプロテイン;cN = 臨床的な所属リンパ節;hCG = ヒト絨毛性ゴナドトロピン;LDH = 乳酸脱水素酵素;pT = 病理学的な腫瘍;S = 血清マーカー。
aAJCCから許諾を得て転載:Testis.In: Brimo F, Srigley J, Ryan C, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.727–35.
bpT1の亜分類は純型セミノーマに対してのみ適用する。
cNはLDH法の正常値の上限を表す。
I pT1–4、N0、M0、SX pT1 = 腫瘍が精巣に限局し(精巣網浸潤を含む)、リンパ血管性浸潤を認めない。
–pT1ab = 腫瘍の大きさが3cm未満。
–pT1bb = 腫瘍の大きさが3cm以上。
pT2 = 腫瘍が精巣に限局し(精巣網浸潤を含む)、リンパ血管性浸潤を認める、またはリンパ血管性浸潤の有無を問わず、腫瘍が精巣門軟部組織もしくは精巣上体に浸潤するか、精巣白膜の外面を覆う内臓中皮細胞層を貫通している。
pT3 = リンパ血管性浸潤の有無を問わず、腫瘍が精索軟部組織に直接浸潤している。
pT4 = リンパ血管性浸潤の有無を問わず、腫瘍が陰嚢に浸潤している。
cN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
pN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
SX = 腫瘍マーカー検査が評価不能または実施していない。
IA pT1、N0、M0、S0 pT1 = 腫瘍が精巣に限局し(精巣網浸潤を含む)、リンパ血管性浸潤を認めない。
–pT1aa = 腫瘍の大きさが3cm未満。
–pT1bb = 腫瘍の大きさが3cm以上。
cN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
pN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S0 = 腫瘍マーカーレベルが正常値内。
IB pT2、N0、M0、S0 pT2 = 腫瘍が精巣に限局し(精巣網浸潤を含む)、リンパ血管性浸潤を認める、またはリンパ血管性浸潤の有無を問わず、腫瘍が精巣門軟部組織もしくは精巣上体に浸潤するか、精巣白膜の外面を覆う内臓中皮細胞層を貫通している。
cN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
pN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S0 = 腫瘍マーカーレベルが正常値内。
pT3、N0、M0、S0 pT3 = リンパ血管性浸潤の有無を問わず、腫瘍が精索軟部組織に直接浸潤している。
cN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
pN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S0 = 腫瘍マーカーレベルが正常値内。
pT4、N0、M0、S0 pT4 = リンパ血管性浸潤の有無を問わず、腫瘍が陰嚢に浸潤している。
cN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
pN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S0 = 腫瘍マーカーレベルが正常値内。
IS すべてのpT/TX、N0、M0、S1-3 pTX = 原発腫瘍の評価が不可能である。
pT0 = 原発腫瘍の証拠がない。
pTis = 精細管内胚細胞腫瘍。
pT1 = 腫瘍が精巣に限局し(精巣網浸潤を含む)、リンパ血管性浸潤を認めない。
–pT1ab = 腫瘍の大きさが3cm未満。
–pT1bb = 腫瘍の大きさが3cm以上。
pT2 = 腫瘍が精巣に限局し(精巣網浸潤を含む)、リンパ血管性浸潤を認める、またはリンパ血管性浸潤の有無を問わず、腫瘍が精巣門軟部組織もしくは精巣上体に浸潤するか、精巣白膜の外面を覆う内臓中皮細胞層を貫通している。
pT3 = リンパ血管性浸潤の有無を問わず、腫瘍が精索軟部組織に直接浸潤している。
pT4 = リンパ血管性浸潤の有無を問わず、腫瘍が陰嚢に浸潤している。
cN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
pN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S1 = LDH <1.5 × NcかつhCG (mIU/mL)<5,000かつAFP (ng/mL)<1,000。
S2 = LDH 1.5~10 × NcまたはhCG(mIU/mL) 5,000~50,000またはAFP(ng/mL)1,000~10,000。
S3 = LDH >10 × NcまたはhCG (mIU/mL) >50,000またはAFP (ng/mL) >10,000。
表3. pTNM II期、IIA期、IIB期、およびIIC期の定義a
病期 TNM/S 定義
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移;AFP = αフェトプロテイン;cN = 臨床的な所属リンパ節;hCG = ヒト絨毛性ゴナドトロピン;LDH = 乳酸脱水素酵素;pN = 病理学的な所属リンパ節;pT = 病理学的な腫瘍;S = 血清マーカー。
aAJCCから許諾を得て転載:Testis.In: Brimo F, Srigley J, Ryan C, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.727–35.
bNはLDH法の正常値の上限を表す。
II すべてのpT/TX、N1-3、M0、SX すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
cN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
cN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるが5cm以下の腫瘤が存在する。
cN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
pN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認め、かつ陽性のリンパ節が5個以下であり、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
pN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める;または陽性のリンパ節が5個を超え、5cmを超えるものが存在しない;またはリンパ節外への腫瘍の進展が証明される。
pN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
SX = 腫瘍マーカー検査が評価不能または実施していない。
IIA すべてのpT/TX、N1、M0、S0 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
cN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
pN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認め、かつ陽性のリンパ節が5個以下であり、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S0 = 腫瘍マーカーレベルが正常値内。
すべてのpT/TX、N1、M0、S1 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
cN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
pN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認め、かつ陽性のリンパ節が5個以下であり、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S1 = LDH <1.5 × NbかつhCG (mIU/mL)<5,000かつAFP (ng/mL)<1,000。
IIB すべてのpT/TX、N2、M0、S0 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
cN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるが5cm以下の腫瘤が存在する。
pN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める;または陽性のリンパ節が5個を超え、5cmを超えるものが存在しない;またはリンパ節外への腫瘍の進展が証明される。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S0 = 腫瘍マーカーレベルが正常値内。
すべてのpT/TX、N2、M0、S1 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
cN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるが5cm以下の腫瘤が存在する。
pN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める;または陽性のリンパ節が5個を超え、5cmを超えるものが存在しない;またはリンパ節外への腫瘍の進展が証明される。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S1 = LDH <1.5 × NbかつhCG (mIU/mL)<5,000かつAFP (ng/mL)<1,000。
IIC すべてのpT/TX、N3、M0、S0 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
cN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
pN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S0 = 腫瘍マーカーレベルが正常値内。
すべてのpT/TX、N3、M0、S1 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
cN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
pN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S1 = LDH <1.5 × NbかつhCG (mIU/mL)<5,000かつAFP (ng/mL)<1,000。
表4. pTNM III期、IIIA期、IIIB期、およびIIIC期の定義a
病期 TNM/S 定義
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移;AFP = αフェトプロテイン;cN = 臨床的な所属リンパ節;hCG = ヒト絨毛性ゴナドトロピン;LDH = 乳酸脱水素酵素;pN = 病理学的な所属リンパ節;pT = 病理学的な腫瘍;S = 血清マーカー。
aAJCCから許諾を得て転載:Testis.In: Brimo F, Srigley J, Ryan C, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.727–35.
bNはLDH法の正常値の上限を表す。
III すべてのpT/TX、すべてのN、M1、SX すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
cNX = 所属リンパ節の評価が不可能。
cN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
cN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
cN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるが5cm以下の腫瘤が存在する。
cN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
pNX = 所属リンパ節の評価が不可能。
pN0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
pN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認め、かつ陽性のリンパ節が5個以下であり、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
pN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める;または陽性のリンパ節が5個を超え、5cmを超えるものが存在しない;またはリンパ節外への腫瘍の進展が証明される。
pN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
M1 = 遠隔転移を認める。
–M1a = 後腹膜以外のリンパ節または肺への転移を認める。
–M1b = 肺以外の臓器への転移を認める。
SX = 腫瘍マーカー検査が評価不能または実施していない。
IIIA すべてのpT/TX、すべてのN、M1a、S0 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
すべてのN = 本表のIII期の定義を参照。
M1a = 後腹膜以外のリンパ節または肺への転移を認める。
S0 = 腫瘍マーカーレベルが正常値内。
すべてのpT/TX、すべてのN、M1a、S1 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
すべてのN = 本表のIII期の定義を参照。
M1a = 後腹膜以外のリンパ節または肺への転移を認める。
S1 = LDH <1.5 × NbかつhCG (mIU/mL)<5,000かつAFP (ng/mL)<1,000。
IIIB すべてのpT/TX、N1-3、M0、S2 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
cN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
cN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるが5cm以下の腫瘤が存在する。
cN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
pN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認め、かつ陽性のリンパ節が5個以下であり、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
pN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める;または陽性のリンパ節が5個を超え、5cmを超えるものが存在しない;またはリンパ節外への腫瘍の進展が証明される。
pN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S2 = LDH 1.5~10 × NbまたはhCG(mIU/mL) 5,000~50,000またはAFP(ng/mL)1,000~10,000。
すべてのpT/TX、すべてのN、M1a、S2 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
すべてのN = 本表のIII期の定義を参照。
M1a = 後腹膜以外のリンパ節または肺への転移を認める。
S2 = LDH 1.5~10 × NbまたはhCG(mIU/mL) 5,000~50,000またはAFP(ng/mL)1,000~10,000。
IIIC すべてのpT/TX、N1-3、M0、S3 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
cN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
cN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める、または複数のリンパ節に転移を認め、かつ最大径が2cmを超えるが5cm以下の腫瘤が存在する。
cN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
pN1 = 最大径が2cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認め、かつ陽性のリンパ節が5個以下であり、かつ最大径が2cmを超えるものが存在しない。
pN2 = 最大径が2cmを超えるが5cm以下のリンパ節腫瘤1つに転移を認める;または陽性のリンパ節が5個を超え、5cmを超えるものが存在しない;またはリンパ節外への腫瘍の進展が証明される。
pN3 = 最大径が5cmを超えるリンパ節腫瘤1つに転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
S3 = LDH >10 × NbまたはhCG (mIU/mL) >50,000またはAFP (ng/mL) >10,000。
すべてのpT/TX、すべてのN、M1a、S3 すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
すべてのN = 本表のIII期の定義を参照。
M1a = 後腹膜以外のリンパ節または肺への転移を認める。
S3 = LDH >10 × NbまたはhCG (mIU/mL) >50,000またはAFP (ng/mL) >10,000。
すべてのpT/TX、すべてのN、M1b、すべてのS すべてのpT/TX = 表2のIS期の定義を参照。
すべてのN = 本表のIII期の定義を参照。
M1b = 肺以外の臓器への転移を認める。
SX = 腫瘍マーカー検査が評価不能または実施していない。
S0 = 腫瘍マーカーレベルが正常値内。
S1 = LDH <1.5 × NbかつhCG (mIU/mL)<5,000かつAFP (ng/mL)<1,000。
S2 = LDH 1.5~10 × NbまたはhCG(mIU/mL) 5,000~50,000またはAFP(ng/mL)1,000~10,000。
S3 = LDH >10 × NbまたはhCG (mIU/mL) >50,000またはAFP (ng/mL) >10,000。

臨床的病期の定義のほかに、組織の外科的切除および鏡検の成績に基づいて外科的病期を決定する場合もある。

0期

0期の精巣腫瘍は、精巣上皮内腫瘍(TIN)で、精細管内胚細胞腫瘍(ITGCN)とも呼ばれる。TINは上皮内がんに類似している。ほとんどの症例では、TINは浸潤性胚細胞腫瘍(pT1-T4)を切除するために実施された精巣摘除術の結果として診断される;一般的に、TINは既に診断時に身体から切除されており、治療の必要はない。生検が対側精巣に実施され、TINが発見される場合には、より困難な状況が生じる。対側の胚細胞腫瘍に関連した発生率と死亡率は低いため、こうした生検が米国で実施されることはまれである;したがって、TINが精巣(浸潤性腫瘍も認められない)で診断されることはほとんどない。その結果、0期の精巣腫瘍におけるTINの治療法の決定に、米国で直面することはまれである。ITGCNの治療法の選択肢には放射線療法、サーベイランス、および精巣摘除術がある。

I期

I期の精巣腫瘍は精巣に限局する。腫瘍による陰嚢壁への浸潤または以前の陰嚢を切開する手術によって病期が変更されることはないが、鼠径リンパ節転移のリスクが高まるため、治療および追跡にあたってはこの点を考慮しなくてはならない。精巣上体白膜および/または精巣網への浸潤によって病期が変更されることはない。精巣鞘膜への浸潤またはリンパ血管浸潤はT2腫瘍を示す一方、精索への浸潤はT3腫瘍を示し、陰嚢への浸潤はT4腫瘍を示す。T病期が高くなると、潜在性転移および再発のリスクが高くなる。I期精巣腫瘍で精巣摘除術後も血清腫瘍マーカーが継続して高値を示す男性はIS期に分類されるが、IS期非セミノーマはIII期疾患として治療される。I期またはII期セミノーマにおける血清腫瘍マーカーの高値の意義ははっきりしていないが、hCGが持続して高いか、上昇している場合は例外であり、通常は転移性疾患を示す。

II期

II期精巣腫瘍は精巣および後腹膜リンパ節または通常は腎部の傍大動脈リンパ節へ転移する。後腹膜リンパ節転移は、リンパ節転移の個数および転移リンパ節のサイズによってさらに分類すべきである。6個以上のリンパ節に転移が認められる場合、大きさが2cmを超える転移リンパ節が1個または複数認められる場合には、再発リスクが高くなる。Bulky II期疾患(IIC期)は広範な後腹膜リンパ節(5cm超、比較的予後不良とみられる)を有する患者を指すものである。

III期

III期は、身体診察、画像検査、および/または血液検査に基づき後腹膜リンパ節を越えた転移が生じていることを意味している(すなわち、後腹膜リンパ節腫脹を認め、血清腫瘍マーカーが極端に高い患者がIII期である)。III期は、転移の位置および血清腫瘍マーカー高値の程度に基づいてさらに層別化できる。予後良好群(IIIA期)では、転移がリンパ節および肺に限定され、血清腫瘍マーカーは軽度に高い程度である。IIIB期の患者では血清腫瘍マーカーが中等度に高く、IIIC期の患者では血清腫瘍マーカーが極端に高い、および/または肺以外の肝、骨、脳などの臓器への転移が認められる。III期疾患に対するこれらの下位分類は、播種性胚細胞腫瘍に対するInternational Germ Cell Consensus Classificationシステムに対応している。[ 2 ]

参考文献
  1. Brimo F, Srigley J, Ryan C: Testis. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp. 727–35.[PUBMED Abstract]
  2. International Germ Cell Consensus Classification: a prognostic factor-based staging system for metastatic germ cell cancers. International Germ Cell Cancer Collaborative Group. J Clin Oncol 15 (2): 594-603, 1997.[PUBMED Abstract]
治療法選択肢の概要

精巣腫瘍ではセミノーマの方が放射線および化学療法への感受性が高いため、精巣腫瘍は治療計画を決定する上でセミノーマと非セミノーマに大別される。さらに、非セミノーマには奇形腫の成分が含まれる場合があり、奇形腫は化学療法に抵抗性を示す傾向があるため、治癒にはしばしば手術を必要とする。定義上、純型セミノーマには奇形腫の成分が含まれない。したがって、手術はセミノーマの管理においてよりも非セミノーマの管理において大きな役割を果たす。非セミノーマ精巣腫瘍には以下のものがある:

転移性の非セミノーマ胚細胞腫瘍患者5,202人と転移性のセミノーマ胚細胞腫瘍患者660人を対象とするレトロスペクティブ解析に基づいて、国際胚細胞腫瘍予後分類(IGCCC)が策定された。[ 1 ]いずれの患者も、初回化学療法コースとしてシスプラチンまたはカルボプラチンを含む治療法によって治療した。以下に示す予後分類は、1997年に世界中の主要な臨床試験グループすべてにより合意が得られた。胚細胞腫瘍患者の臨床試験結果を報告する場合は、この分類を用いられる。

進行非セミノーマの患者での治療成績をまとめたメタアナリシスでは、1989年から2004年までの間に予後不良の患者において5年生存率に改善がもたらされたことが示唆された。[ 2 ]この生存率の改善については、治療法の改善だけでなく、公表バイアスの有無や、報告された臨床試験で患者選択に変化があったこと、病期診断法の感度向上によって比較的早期のがんがより進行期に分類されたこと(すなわち、stage migration)も、その要因として考えられている。

予後良好

予後中等度

予後不良

参考文献
  1. International Germ Cell Consensus Classification: a prognostic factor-based staging system for metastatic germ cell cancers. International Germ Cell Cancer Collaborative Group. J Clin Oncol 15 (2): 594-603, 1997.[PUBMED Abstract]
  2. van Dijk MR, Steyerberg EW, Habbema JD: Survival of non-seminomatous germ cell cancer patients according to the IGCC classification: An update based on meta-analysis. Eur J Cancer 42 (7): 820-6, 2006.[PUBMED Abstract]
0期精巣腫瘍

浸潤性精巣胚細胞腫瘍(1~3期)を診断された男性のうち、両精巣に腫瘍が認められるのは0.5%~1.0%であり、別の1%~2%でその後、対側精巣に浸潤性精巣胚細胞腫瘍が発生する。[ 1 ][ 2 ][ 3 ]異時性対側胚細胞腫瘍による死亡はまれである。1973年から2001年に精巣胚細胞腫瘍を診断された米国人男性29,515人を対象にした1件の研究では、287人が異時性対側精巣腫瘍を発症し、そのうち1人が死亡したと報告された。[ 3 ]その結果、浸潤性精巣腫瘍を診断された男性において精巣上皮内腫瘍(TIN)を探索するための生検実施の理論的根拠は不十分である。

精巣腫瘍の男性に対側精巣の生検を実施する場合、対側精巣にTINを有することが明らかとなるのは男性の4%~8%である。診断された場合、治療には通常、放射線療法(18Gy~20Gy)、サーベイランス、または精巣摘除術が実施される。放射線療法または精巣摘除術を受ける男性はその後、生殖不能となる。精巣摘除術を受ける男性はまた、放射線療法を受ける多くの男性と同様に、性腺機能が低下する。[ 4 ]

治療選択肢:

  1. TINに対する放射線療法では再燃リスクが低い。18Gy~20Gyの外照射療法で治療されたTINを有する患者122人を対象にした1件の研究では、3例の再燃(2.5%)が報告された。[ 4 ]
  2. 年1回の陰嚢部超音波検査および月1回の自己検査によるサーベイランスもまた、TINを有する男性の選択肢である。TIN症例の約半数が、増悪までの期間中央値約3年で浸潤性胚細胞腫瘍に進行する。[ 4 ]
  3. 化学療法は、浸潤性精巣胚細胞腫瘍発生の予防にはあまり有効ではないようである。1件のシリーズでは、2サイクルのブレオマイシン、エトポシド、およびシスプラチン(BEP)で治療された患者30人のうち10人に浸潤がんへの進行が報告された;3サイクル以上のBEPで治療された患者51人中7人に同様の進行が明らかにされた;カルボプラチンで治療された患者15人中2人もまた、浸潤がんへの進行を示した。[ 4 ][ 5 ]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
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I期精巣腫瘍

I期セミノーマ

I期のセミノーマの治癒率は、精巣摘除術後に補助療法を実施したか否かを問わず100%近い。

標準治療法の選択肢:

サーベイランスが選択されない場合の治療選択肢:

精巣摘除術後のサーベイランスによる治療選択肢で、100%近い治癒率が得られる。サーベイランスによる治療選択肢で治療された患者の約15%に追加の治療を必要とする再燃が起こる。サーベイランス戦略では、ほとんどの患者で放射線または化学療法の必要性が回避される。しかしながら、サーベイランスのみでは落ち着かず、再燃リスクを最小限に抑えたいと望む患者もいる。このような患者には、以下の選択肢の1つが用いられる場合がある;ただし、どの戦略が好ましいかについては、論議の余地がある:[ 10 ]

  1. 高位精巣摘除術による精巣の摘出とその後の放射線療法では、複数の大規模シリーズおよびランダム化比較試験において95%~96%の5年無再燃生存(RFS)率および99%を超える5年疾患特異的生存率が得られている。[ 11 ][ 12 ][ 13 ][ 14 ][ 15 ][ 16 ][ 17 ]

    一般に、次の2つの治療照射野の1つが用いられる:後腹膜リンパ節を対象とする傍大動脈領域または後腹膜に加えて同側の腸骨リンパ節を含めるドッグレッグ照射野。照射線量は20Gy~26Gyである。傍大動脈放射線療法単独と傍大動脈放射線療法および同側の腸骨リンパ節を照射野に含める治療法の併用とを比較するランダム化試験(MRC-TE10)において、再燃率および毒性を検討した。[ 13 ][ 18 ]5年RFS率は実質的に同じであり(傍大動脈領域を治療された患者で96.1% vs ドッグレッグ照射野を治療された患者で96.2%)、全生存率も同じであった(傍大動脈放射線療法群で1例がセミノーマにより死亡した)。骨盤内RFS率は98.2% vs 100%であり、骨盤内RFS率の差の95%信頼区間(CI)は0%-3.7%であった。同側の腸骨放射線療法によって、白血球減少症および下痢に統計的に有意な増大が認められた。

    1件のランダム化試験(MRC-TE18)において、追跡期間中央値7年後のRFSおよびOSに関して20Gyの線量を10回の連日分割照射は、30Gyの線量を15回の連日分割照射と臨床的に同等であった。患者の報告によると、無気力および通常の作業を行う能力は低線量レジメンにおいて良好であった。[ 14 ][ 18 ][証拠レベル:1iiA]

    臨床病期I期の精巣セミノーマに対する放射線療法は、この治療が二次悪性腫瘍のリスク増大および二次悪性腫瘍による死亡リスク増大に関連しているという証拠のために、もはや支持されていない。米国における1973年から2001年の集団ベースのSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)登録からのデータ解析により、I期セミノーマに対して放射線療法を受けた男性7,179人中、一般集団と比較して246人が二次がんによる死亡リスクを有していた(標準化死亡比、1.89;95%CI、1.67-2.14)ことが示された。[ 19 ]4万人以上の精巣腫瘍生存者を対象にした1件の国際研究により、20~29年間にわたって追跡されている生存者7,885人中、放射線療法は二次がんリスクの倍増と関連していた(相対リスク、2.0;95%CI、1.8-2.3)ことが報告された。[ 20 ]

  2. 高位精巣摘除術とその後のカルボプラチンの単回または2回投与による術後補助療法。

    1件の大規模ランダム化比較非劣性試験(MRC-TE19[NCT00003014])では、1,477人のI期セミノーマの男性が高位精巣摘除術後に傍大動脈(または臨床的に適応となる場合はドッグレッグ照射野)への放射線照射あるいはカルボプラチンの単回投与(薬物血中濃度-時間曲線下面積[AUC] × 7)を受ける群にランダムに割り付けられた;研究参加者は中央値で6.5年間追跡された。[ 18 ][ 21 ]5年RFS率は、カルボプラチン群で94.7%および放射線療法群で96.0%(1.3%の差;90%CI、0.7%-3.5%;ハザード比[HR]、1.25[放射線療法を支持する統計的に有意ではない傾向];90%CI、0.83-1.89)であった。放射線療法群ではセミノーマにより1人が死亡した。カルボプラチン群では対側の精巣胚細胞腫瘍の数が少なかった:2 vs 15(HR、0.22;95%CI、0.05-0.95;P = 0.03)。[ 21 ][証拠レベル:1iiA]この試験で、AUC投与量は放射性同位体を用いた糸球体濾過率の測定に基づいていた;クレアチニンクリアランスの計算に基づく投与量は異なっており、この設定での妥当性は確認されておらず、用いられない。

    複数の第II相研究(数件では追跡期間中央値が4年を超える)で、カルボプラチンを3~4週間空けて400mg/m2またはAUC = 7の用量で2回投与した場合に比較的低い再燃率(0%~3.3%)が一貫して報告されている。[ 3 ][ 4 ][ 22 ][ 23 ][ 24 ][ 25 ][ 26 ]カルボプラチンの2回投与を単回投与または放射線療法と比較したランダム化試験は行われていない。

I期非セミノーマ

I期の非セミノーマでは治癒の可能性が非常に高い(95%以上)。精巣摘除術単独で約70%の患者が治癒するが、残りの30%は再燃するため、追加の治療が必要である。再燃した場合も治癒が得られる可能性が高く、精巣摘除術後のサーベイランスが標準治療の選択肢であるが、後腹膜リンパ節郭清(RPLND)または1サイクルあるいは2サイクルの化学療法を受けることで再燃リスクの低下を選択する医師および患者もいる。これら3つの各アプローチには、特有の長所と短所があり、他より長期の生存または優れた生活の質をもたらすことが示されたアプローチはない。

標準治療法の選択肢:

  1. 高位精巣摘除術とその後の定期的かつ頻繁なサーベイランススケジュール。

    典型的に、患者は最初の1年目は月1回、2年目は2ヵ月ごと、3年目は3ヵ月ごと、4年目は4ヵ月ごと、5年目は6ヵ月ごと、その後の5年間は年1回の頻度でサーベイランスを受ける。[ 27 ][ 28 ][ 29 ]来院ごとに、病歴の見直し、身体診察、血清腫瘍マーカーの測定、胸部X線撮影(来院2回に1回の割合で実施する場合もある)が行われる。追加のサーベイランスとしては、腹部または腹部骨盤領域のCTスキャンが挙げられるが、こうしたCTスキャンの好ましい頻度については議論の余地がある。

    1件のランダム化比較試験(MRC-TE08[NCT00003420])で、3ヵ月経過時および12ヵ月経過時に2回だけCTスキャンを行うスケジュールと3、6、9、12、24ヵ月経過時に5回のCTスキャンを行うスケジュールが比較された。[ 30 ]400人を超える患者がランダムに割り付けられ、中央値で40ヵ月追跡したところ、再燃した患者はすべてgood riskまたはintermediate risk疾患であり、2群間で再燃時の病期または疾患の進展度における差は認められなかった。死亡は報告されなかった。にもかかわらず、一部の組織は追跡の最初の3年間は3~4ヵ月ごとのCTスキャン、その後は頻度は少なくなるがCTスキャンを継続するように推奨している。この研究により、1年目は3ヵ月および12ヵ月経過時のCTスキャンで十分であるように思われるが、12ヵ月以降にCTスキャンを中止しても安全であるかどうかを評価するにはさらに長期の追跡が必要である[ 30 ][証拠レベル:1iiA]胸部の画像に関して、胸部X線検査単独によって再発が発見されることはまれであるため、胸部X線がルーチンのサーベイランスで果たす役割はほとんどまたは全くないと考えられるが、それでも胸部X線検査はサーベイランススケジュールの主流に組み込まれている。[ 27 ]

    長期追跡の必要性は十分に調査されていない。長期追跡が行われているサーベイランスシリーズで、臨床病期I期の患者が5年を過ぎてから再燃するのは1%未満であると報告されている。[ 31 ][ 32 ]晩期再燃が起こる場合は、しばしば後腹膜に発生する。したがって、12ヵ月経過以降はCTスキャンを中止するスケジュールもあれば、10年間は少なくとも年1回のCTスキャンを推奨するスケジュールもある。

    高位精巣摘除術とその後の定期的かつ頻繁なサーベイランススケジュールの選択肢は、以下の条件においてのみ考慮すべきである:

  2. 鼠径部からの精巣の摘出とその後の(成人における)RPLND。

    臨床病期I期の患者のほぼすべてで射精機能を温存できる神経温存RPLNDが記載されているが、これは標準的なRPLNDと同等の有効性をもつようである。[ 34 ][ 35 ][ 36 ]手術後、最初の1年間は血清腫瘍マーカー測定と胸部X線検査を毎月実施し、2年目は隔月で測定すべきである。[ 27 ]

    RPLNDを受け、病理学的病期I期と判明した男性がその後再燃するリスクはおよそ10%であるのに対し、病理学的病期II期の男性(すなわち、RPLND時にリンパ節転移を有することが判明した男性)が追加の治療を行わない場合に再燃するリスクは50%にも及ぶ。[ 37 ]RPLND後に、ブレオマイシン、エトポシド、シスプラチン(BEP)またはエトポシド + シスプラチン(EP)を用いた2サイクルの化学療法により、病理学的病期II期の男性における再燃リスクは約1%に低下する。[ 38 ][ 39 ]RPLNDに関する研究で報告された患者の大多数が、こうした手術を数百回実施した泌尿器外科医が勤務する優れた施設で手術を受けた。比較的経験の少ない泌尿器科医が同様の結果を達成できるかどうかは不明である。

    RPLND後に病理病期がI期とされる患者では、リンパ管浸潤または静脈浸潤が認められるか、原発腫瘍において胎児性がんが優勢である場合は、再燃が予測される。[ 40 ][ 41 ][ 42 ]大規模なTesticular Cancer Intergroup Studyにおいて、病理学的病期I期の男性における再燃率は、血管浸潤が認められる男性で19%であったのに対し、血管浸潤が認められない男性では6%であった。1件の研究により、病理学的病期I期の男性に対する再燃率は、腫瘍に胎児性がんが優勢にみられる場合は21.2%(85人中18人が再燃)であり、胎児性がんが優勢かつリンパ血管浸潤がみられた場合は29%であったのに対し、胎児性がんが優勢にみられなかった場合は3%(141人中5人が再燃)であったと報告された。[ 40 ][ 41 ]

    病理学的病期II期の患者における再燃率は、胎児性がん優勢腫瘍の男性で32%であったのに対し、他のII期疾患の患者では15.6%であった。腫瘍が胎児性がん優勢かつリンパ血管浸潤を示す男性における転移性疾患(すなわち、病理学的病期II期の疾患または再燃した病理学的病期I期の疾患)のリスクが62%であったの対し、いずれの危険因子も認められない男性では16%であった。

    これらのデータは、RPLNDを受ける高リスク患者はその後に化学療法を受ける可能性がかなり高いことを示している。ある施設のデータから、RPLNDを受けたI期純型胎児性がん男性の約半数がその後、シスプラチンベースの化学療法を受けることが示されている。[ 43 ]

    小児の治療においては、後腹膜リンパ節郭清は有用ではなく、得られる情報を考慮すると手術によって起こりうる病的状態は正当化されない。[ 33 ]RPLNDを受けた男性において、再発を示す最初の証拠がみられたら直ちに化学療法を実施する。

  3. 臨床病期I期疾患の患者における1コースまたは2コースのBEP化学療法を行う補助療法。

    1件のランダム化比較試験では382人の患者において、単一サイクルのBEP化学療法とRPLNDが比較された。2年無再発生存率は、化学療法群で99.5%であったのに対し、RPLND群では91.9%であった(絶対差 = 7.6%;95%CI、3.1%-12.1%)。本研究のいずれの治療群においても、治療関連の死亡もがん特異的死亡も報告されなかった。[ 44 ]

    スウェーデンとノルウェーの1件の研究により、リスク調整治療プロトコル(リンパ血管浸潤がみられる非セミノーマ患者が1サイクルまたは2サイクルのBEP化学療法による精巣摘除術後化学療法を受けた一方、リンパ血管浸潤がみられない非セミノーマ患者はサーベイランスまたは単一サイクルのBEPのいずれかを受けた)の結果が報告された。[ 45 ]この研究は745人の患者を対象とし、追跡期間中央値は4.7年、患者の89%が2年経過時の追跡を受け、再燃疾患に対する化学療法の完了直後に1人の患者が脳卒中により死亡したものの、精巣腫瘍による死亡例はなかった。OSが98.9%で、原因特異的生存率は99.9%であった。これらの研究の双方とも地域社会ベースの病院で実施され、精巣摘除術後化学療法は優れた施設に依存することなく地方または国家レベルで実施可能であることが実証された。

    数件の第II相研究およびケースシリーズでは、中リスクまたは高リスク患者における2サイクルのBEP投与後の結果が報告され、再燃率は0%~4%(平均 = 2.4%)であることが確認された。[ 46 ]これらの研究において、精巣腫瘍により死亡した患者は1%未満であった。化学療法は、RPLNDまたはサーベイランスと比べて低い再燃率および同等の疾患特異的生存率をもたらす一方で、短期の化学療法が晩期毒性または晩期再燃のリスク増加をもたらすかどうかは不明である。さらに長期の追跡が待たれる。

I期非セミノーマ男性の最適な管理についてのコンセンサスは得られていないが、上述の3つの戦略はいずれも約99%の疾患特異的生存率をもたらす。低リスク患者はサーベイランスを受ける一方、他の患者はRPLNDまたは化学療法を受けるリスク調整アプローチを主張している臨床家もいる。このアプローチの目標は治療の副作用を最低限に抑えることであるが、リスク調整アプローチにより治療成績が向上することは実証されていない。一般的に不要な治療を最低限に減らすために、サーベイランス戦略を好む専門家もいる。病期の正確な情報を得て、化学療法が必要となる(およびそのため化学療法の副作用と毒性作用が発生する)恐れを減少させ、理論的には晩期再燃のリスクを低下させるためにRPLNDを好む専門家もいる。同時に、多くの専門家が再燃率低下に関して有効性が不十分なためRPLNDを採用せず、化学療法を選択している。サーベイランスおよび化学療法が地方および国家レベルで検証され、素晴らしい結果が得られているが、地方におけるRPLNDに関する限られたデータでは、死亡例は報告されていないものの、予想より高いin-field再燃率が示されている。[ 44 ][ 45 ]

リスク層別化に関して、リンパ管浸潤または静脈浸潤の組織学的証拠が認められるか、胎児性がんが優勢である患者では再燃率が高いことをデータが示唆している。[ 12 ][ 31 ][ 40 ][ 41 ][ 47 ]成熟奇形腫で構成される腫瘍の再燃率は比較的低いようである。[ 48 ]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

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II期精巣腫瘍

II期セミノーマ

II期のセミノーマは、治療を計画し予後を示す上でBulky 腫瘍とNonbulky 腫瘍に分類される。Bulky腫瘍は一般に、コンピュータ断層撮影(CT)スキャン上で認められる大きさが5cmを超える腫瘍(すなわち、IIC期腫瘍)と定義されている。Nonbulky 腫瘍はさらに、2cm超のリンパ節腫瘤がみられないIIA期と、リンパ節腫瘤が2cm~5cmのIIB期に下位分類できる。

Nonbulky II期腫瘍の治癒率は、30Gy~36Gyの線量の放射線療法単独で約90%~95%であり[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]、再燃した患者のほとんどは化学療法で治癒する。IIA期腫瘍の患者の方がIIB期腫瘍の患者よりもわずかに治癒率が高いが、数値は上記の範囲内である。再燃の危険因子としては、多発性リンパ節腫大が挙げられる。

IIC期腫瘍患者に対する結果は比較的不良となっている。例えば、ある施設による報告では、放射線療法後にIIC期患者16人中9人(56%)が再燃したのに対し、化学療法で治療されたIIC期患者で再燃したのは23人中わずか1人(4%)であった。[ 3 ]初期の研究のプール解析では、Bulky II期セミノーマに対して放射線療法を受けた男性の無再燃生存率(RFS)は65%であったことが報告された。[ 5 ]残念ながら、Bulky II期セミノーマの治療に放射線療法を使用している現代の利用可能なデータは少なく、この集団において放射線療法と化学療法を比較したランダム化試験も実施されていない。シスプラチンを含む併用化学療法は、Bulky II期セミノーマ患者において有効な治療法であり、最も広く受け入れられている治療法選択肢となっている。[ 6 ][ 7 ]

化学療法終了時には、画像上残存病変がよくみられる。こうした異常の多くは数ヵ月のうちに徐々に消退する。3cm以上の残存腫瘤は経験的に切除を試みることを提唱する臨床家もいる一方で、厳重なサーベイランスを行い、残存腫瘤が大きくなる場合にのみ介入を行うように提唱する臨床家もいる。化学療法後の放射線療法はもはや支持されなくなったが、その理由は一部には、10箇所の治療センターにおける化学療法後に残存腫瘍が認められたセミノーマ患者174人を対象にした連続シリーズのレトロスペクティブ研究では、経験的放射線療法はプラチナ製剤ベースの併用化学療法終了後にみる無増悪生存率の医学的に有意な改善との相関は報告されなかったためである。[ 4 ][証拠レベル:3iiDiii]

数件のシリーズでは、特定の腫瘤に対する外科的切除の結果、追加治療が必要なセミノーマが相当数残存した。[ 5 ]とはいうものの、他の諸研究では、残存腫瘤の大きさと残存病変の活動性に十分な相関関係は認められておらず、ほとんどの残存腫瘤が増殖しないこと、さらに残存腫瘤の大きさが3cm以上であっても頻繁な腫瘍マーカー測定とCTスキャンによる評価が選択可能であることが指摘されている。[ 6 ]

最近のアプローチでは、化学療法後にフッ素18-フルオロデオキシグルコースポジトロン放射断層撮影-コンピュータ断層撮影(18F-FDG PET-CT)スキャンが実施できるようになっている。56人の患者を対象にした1件の研究において、ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャンは良性腫瘤を有する患者46人のうち、残存セミノーマを有する10人中8人を正確に同定し、偽陽性はなかったことが報告された。[ 8 ]この研究において、PETスキャンは最大径が3cmを超える残存腫瘤を有する患者では100%正確であった一方で、3cm未満の残存悪性腫瘤は3人中1人でしか発見できなかった。この研究では、18F-FDG PET陰性で3cm超の残存腫瘤を有する男性には観察を行い、18F-FDG-PET陽性腫瘤には生検または切除を実施するように支持している。

Nonbulky 腫瘍患者に対する標準治療法の選択肢:

  1. 高位精巣摘除術とその後の後腹膜リンパ節および同側骨盤リンパ節への放射線療法。縦隔への予防的放射線療法は心血管系毒性のために禁忌であり、鎖骨上窩への予防的放射線は標準治療法ではない。鼠径リンパ節への放射線療法は、陰嚢が損傷されて鼠径リンパ節がリスクに晒されない限り、標準治療法とはされない。
  2. 3サイクルのBEPまたは4サイクルのエトポシドおよびシスプラチンを用いる全身化学療法。このアプローチは一般に、後腹膜の複数領域にリンパ節腫脹がみられるか、馬蹄腎または骨盤腎、あるいは炎症性腸疾患など放射線療法が禁忌であるIIA期およびIIB期患者にのみ適応される。[ 7 ][ 9 ][ 10 ][ 11 ]
  3. 後腹膜リンパ節郭清(RPLND)は、放射線療法と化学療法が禁忌であるまれな男性に実施されることがある。

Bulky 腫瘍患者に対する標準治療法の選択肢:

  1. 高位精巣摘除術とその後3サイクルのBEPまたは4サイクルのエトポシドおよびシスプラチンを用いる併用化学療法(シスプラチンベースのレジメン)。[ 7 ][ 9 ][ 10 ][ 11 ]
  2. 高位精巣摘除術とその後の腹部リンパ節および骨盤リンパ節への放射線療法。Bulky II期の腫瘍では放射線療法後の再発率がNonbulky腫瘍の場合より高いことから、Bulky 腫瘍(5cm以上~10cm)の患者に対して初回化学療法の実施を推奨している研究者もある。[ 3 ][ 12 ]

II期非セミノーマ

II期の非セミノーマは治癒の可能性が非常に高い(95%以上)。II期腫瘍で血清腫瘍マーカーの高値が持続している男性は、一般的にIII期疾患患者として治療され、化学療法を受ける。精巣摘除術後に腫瘍マーカーが正常化した男性の非セミノーマは、治療目的でIIA期、IIB期、IIC期に分けられる。一般的に、IIA期の患者は病期を確定するためにRPLNDを受ける。臨床病期IIA期患者の実に40%がRPLND時に良性所見を示し、病理学的病期I期の腫瘍として再分類される。[ 13 ]そのため、RPLNDは、相当数の臨床病期IIA期患者が不要な化学療法を受けなくて済むようにできる。

対照的に、IIB期およびIIC期患者ではRPLND後の再燃率が比較的高いため、これらの患者は通常、播種性腫瘍に対する全身化学療法で治療される。1件の研究により、RPLNDを早期II期疾患で血清腫瘍マーカーが正常な患者に限定することで、RPLND後の5年RFSが78%から100%に増加した一方、化学療法を受けたII期患者のRFSも有意に変わらなかった(100% vs 98%)ことが報告された。[ 14 ]しかしながら、II期非セミノーマ胚細胞腫瘍患者をRPLNDまたは化学療法のいずれで治療すべきかという問題はランダム化試験で扱われていない。

標準治療法の選択肢:

  1. 臨床病期II期腫瘍患者について、高位精巣摘除術とその後、精巣摘除術後の血清腫瘍マーカーが正常な患者には生殖能力温存RPLNDによるまたはよらない後腹膜リンパ節の切除、さらにその後の身体診察、胸部X線検査、血清腫瘍マーカー検査(例えば、αフェトプロテイン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、乳酸脱水素酵素)を含む検査の月1回の実施。

    化学療法を再燃時の治療法として温存する、手術と厳重な経過観察からなるこの選択肢は、病理学的病期I期またはIIA期腫瘍(RPLNDの際に転移陽性のリンパ節が6個未満でそのすべてが直径2cmを超えない)の患者への選択肢として、特に関心がもたれている。化学療法を実施せずに経過をみた場合、このような患者の再燃率は約10%とみられ、再燃した場合には標準化学療法によってほとんどの患者が治癒可能である。[ 13 ][ 15 ]リンパ管浸潤または静脈浸潤のほか、原発腫瘍における胎児性がんの割合もどの患者が再燃するかを予測するに当たって有用である。[ 16 ][ 17 ][ 18 ]1件の研究において、病理学的病期I期腫瘍の男性における再燃率は、胎児性がんが優勢でない男性で3%、胎児性がんが優勢の男性で21%、胎児性がんが優勢かつリンパ血管浸潤を認める男性で31%であった。[ 17 ][ 18 ]小児では、後腹膜リンパ節の外科的切除は一般に施行されない。臨床病期がII期の患者には化学療法が実施される。[ 19 ]

  2. 臨床および病理学的病期II期腫瘍で、精巣摘除術後の血清腫瘍マーカー値が正常な患者には、高位精巣摘除術とその後の後腹膜リンパ節の切除、さらにその後、2サイクルの化学療法(すなわち、ブレオマイシンを併用するまたは併用しないエトポシドとシスプラチン)と月1回の検査を実施。

    RPLND + 補助化学療法を用いるこの選択肢は、RPLNDの結果としてリンパ節転移が病理学的に確認された患者に適用され、病理学的病期IIB期またはIIC期腫瘍の患者に対して最も関心がもたれるものである。第一選択の治療法と第二選択の治療法を比較した大規模研究の結果が公表された。[ 20 ]2コースのシスプラチンベースの化学療法(シスプラチン、ビンブラスチン、ブレオマイシン[PVB]またはビンブラスチン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、シクロホスファミド、シスプラチン[VAB VI]のいずれか)では、95%以上の患者で再燃が予防された。経過観察に割り付けられた患者の再燃率は49%であった;しかしながら、その患者のほとんどすべてが有効に治療できており、全生存率における有意差は認められなかった。この研究では、手術、経過観察、および化学療法による至的治療を受けた患者においては補助療法の実施によりほとんどの患者で再燃を予防できるが、再燃時のみに化学療法を行う経過観察の場合でも同様の治癒率が得られる、と結論付けられた。

  3. 高位精巣摘除術とその後の化学療法、さらに(もしあれば)残存腫瘤の摘出手術の実施後に月1回の検査。[ 13 ]

    この選択肢は、血清腫瘍マーカーが高値および/または臨床病期IIB期またはIIC期腫瘍の患者に対して最も関心がもたれるものである。これらの患者では化学療法 + 残存腫瘤の切除を併用することで、95%を超える患者で治癒が得られる。[ 14 ][ 21 ]

    化学療法レジメンには次のものがある:

    あるランダム化研究により、3コースだけを施行する場合にはブレオマイシンがBEPレジメンに不可欠な要素であることが示されている。[ 25 ]

    ほぼ同じ生存率を示すものの、もはや標準治療法と考えられていない他のレジメンとして、以下のものがある:

PVBとBEPのランダム化比較試験では、抗がん活性は同等であったが毒性作用はBEPの方が弱かった。[ 20 ][ 28 ]

化学療法で完全奏効が達成されない場合には、残存腫瘤に対する外科的切除を実施すべきである。このような手術の時期については臨床的な判断が必要になるが、併用化学療法を3または4サイクル施行して血清腫瘍マーカーが正常化または安定化した後に実施されることが最も多くなっている。血清腫瘍マーカーの高値が持続している場合の残存腫瘤の切除は禁忌ではないが、化学療法終了時に血清腫瘍マーカーが上昇している患者は一般的に救助化学療法で治療される。多数の研究が行われているにもかかわらず、残存腫瘤の組織学を十分正確に予測する因子は確認されていない。このため、化学療法が奏効した後に血清腫瘍マーカーが正常化または安定している患者において、CTスキャンで認められる残存腫瘤をすべて切除する手術が標準治療となっている。切除標本に非セミノーマ性の胚細胞悪性成分が持続的に存在する場合は予後不良の徴候であり、しばしば追加化学療法のきっかけとなる。しかしながら、残存するがんが顕微鏡でしか確認できない男性は、病変が実質的に残存している男性よりもはるかに予後良好である。[ 29 ][ 30 ]既存のデータから追加化学療法で生存利益が得られる患者を同定することはできない。

一部の症例においては、致死的な転移巣が存在するために精巣摘除術に先行して化学療法が開始される。その場合は、化学療法の開始後または終了後に精巣摘除術を施行して原発腫瘍を摘出するのが望ましい。プラチナ製剤ベースの化学療法後の残存がん発生率は、精巣中(約50%)の方がX線撮影で発見される後腹膜腫瘤中よりも高い。[ 31 ]

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III期精巣腫瘍

III期セミノーマおよび非セミノーマは通常治癒可能であるが、予後を推定するための基準が異なる。

播種性セミノーマ患者は、肺以外の臓器転移の有無に基づいて、good risk群およびintermediate risk群に分類できる。good risk群の患者(すなわち、リンパ節および/または肺にのみ転移がみられる患者)における5年無増悪生存率(PFS)および全生存率(OS)はそれぞれ、82%および86%である。intermediate risk群のセミノーマ患者における5年PFS率およびOS率はそれぞれ、67%および72%である。[ 1 ]

播種性非セミノーマ患者は、肺以外の臓器転移の有無、原発腫瘍部位(すなわち、縦隔 vs 性腺または後腹膜)、および血清腫瘍マーカーの値に基づいて、good risk群、intermediate risk群、およびpoor risk群に分類できる。[ 1 ]

これらのリスク群が制定された1997年の分析で、good risk群、intermediate risk群、およびpoor risk群の5年OSは92%、80%、48%で、PFSは89%、75%、41%であった。しかしながら、化学療法で治療した試験の2006年のプール解析の報告では、1997年の論文と比較して治療成績が向上した:good risk群、intermediate risk群、およびpoor risk群の生存率はそれぞれ、94%、83%、71%であった。[ 2 ]

播種性の精巣および性腺外胚細胞腫瘍に対する化学療法の臨床試験

1件のランダム化試験で4サイクルのブレオマイシン + エトポシド + シスプラチン(BEP)とシスプラチン、ビンブラスチン、ブレオマイシン(PVB)が比較され、BEPでは同様の治療成績で毒性が少ないことが示されたため、転移性精巣胚細胞腫瘍患者に対する標準治療法として4サイクルのBEPが確立された。[ 3 ]BEP4コースとエトポシド + イホスファミド + シスプラチン(VIP)4コースを比較した2件のランダム化試験から、化学療法の前治療歴のないintermediate riskおよびpoor riskの進行期播種性胚細胞腫瘍の患者では、これら2つのレジメンでOSおよび治療成功期間がほぼ同等であったことが示された。[ 4 ][ 5 ][ 6 ][証拠レベル:1iiA]血液毒性は、VIPレジメンがはるかに強かった。good risk群の患者について、2件のランダム化試験で3サイクル vs 4サイクルのBEPが比較されたが、この集団における長期の治療で有意な生存利益は報告されなかった。[ 7 ][ 8 ][ 9 ]

予後不良胚細胞腫瘍に対してBEPより優れたレジメンを開発する数多くの試みがなされているが、いずれも成功していない。最近では、4サイクルのBEPが、2サイクルのBEPおよびその後の2サイクルの大量シクロホスファミド、エトポシド、およびカルボプラチンの実施が比較されているが、2群間で生存における差は観察されなかった。[ 10 ]通常より高用量のシスプラチンまたは長期の維持化学療法に関する初期の試験も同様に失望させるものであった。

good risk群の患者に対する臨床試験の目標は、治療の有効性を犠牲にすることなく治療の毒性作用を最小限に抑えることである。上述のように、3サイクル vs 4サイクルのBEP化学療法を比較した場合に、治療成績における差は示されなかった。しかしながら、ブレオマイシンを排除しようとする試みでは結果があいまいになり、通常は失望させるものとなった。3サイクルのBEPと3サイクルのEPを比較した1件のランダム化比較試験の報告では、エトポシドとシスプラチン(EP)群の方がOSが低かった(95% vs 86%、P = 0.01)。[ 11 ]同様に、260人を超える患者を対象にした1件のランダム化試験で3サイクルのBEPと4サイクルのEPが比較され、ブレオマイシンを含む治療群では6例の再燃と5例の死亡が報告されたのに対し、EP群では14例の再燃と12例の死亡が報告された(ただし、これらの差は統計的に有意ではなかった)。[ 12 ]他にも数件の研究で、ブレオマイシンを含むレジメンとエトポシドおよびシスプラチンの併用が比較されており、各試験の生存傾向はブレオマイシン群を支持しているが、その差は通常、統計的に有意ではない。[ 13 ][ 14 ][ 15 ]これらの結果から、3サイクルのBEPは4サイクルのEPよりも優れているかどうかに関して、一部で論争になっている。

化学療法中の特別な考慮事項

ほとんどの患者で、化学療法に先立って精巣摘除術が施行される。転移部位の生検によって診断が下され(または血清腫瘍マーカーが非常に高値かつ放射線画像検査で進行期胚細胞腫瘍が示され)、化学療法が開始されている場合は、化学療法では原発腫瘍を根絶できない場合があるため、その実施後に精巣摘除術を施行するのが一般的である。転移病変に完全奏効は認められるが、化学療法後の精巣摘除術で生きた腫瘍が認められたということが複数の症例報告によって明らかにされている。[ 16 ]

治療施設の経験がIII期の非セミノーマ患者の転帰に影響を及ぼしうることがレトロスペクティブなデータによって示唆されている。European Organization for Research and Treatment of Cancer(EORTC)およびMedical Research Council(MRC)の49施設において同一の研究プロトコルで1990年から1994年までの間に治療された患者380人から得られたデータが解析された。[ 17 ]プロトコルへの登録患者数が5人未満の施設で治療を受けた患者55人では2年全生存率が62%(95%信頼区間[CI]、48%-75%)であったのに対し、登録患者数が5人以上の施設では77%(95%CI、72%-81%)であった。

同様に、1990年代に日本で実施された精巣腫瘍の集団ベースの研究では、生存率と治療を受けた精巣腫瘍患者数との間に有意な関連が報告された。患者数の多い病院における5年相対生存率が98.8%であったのに対し、患者数の少ない病院では79.7%であった。病期および年齢で調整後、患者数の多い病院における死亡に対するハザード比は0.11(95%CI、0.025-0.495)であった。[ 18 ]他の数件の研究でも同様の知見が報告されている。[ 19 ][ 20 ][ 21 ]どの非ランダム化研究デザインでもそうであるように、患者選択因子と患者が別のセンターよりもある1箇所のセンターにおける治療を受けるようにさせる因子によって、こうした結果の解釈は困難になる。

poor riskの非セミノーマ精巣胚細胞腫瘍で、シスプラチンベースの化学療法(BEPまたはPVB)開始時点のβヒト絨毛性ゴナドトロピン(βhCG)の血清値が50,000IU/Lを超える患者では、治療終了時もβhCGが依然として高値となることが多いが、このことはβhCGが初期に急激に低下した後にプラトーに達することを示すものである。[ 22 ]進行を示す他の徴候がみられない場合にも、評価を毎月実施して血清学的にみて進行が認められれば救助療法を開始することが適切である。ただし、追加療法を施行せずとも無病状態を維持する患者は多いであろう。[ 22 ][証拠レベル:3iiDiv]

セミノーマ男性における化学療法後の残存腫瘤

化学療法終了時には、画像上残存病変がよくみられる。こうした残存腫瘤は、それらが増殖しない限り、あるいは生存しているがんを含むことが病理組織学的に示されない限り治療されない。10箇所の治療センターにおける化学療法後に残存病変が認められるセミノーマ患者174例を対象とする集学的レトロスペクティブ研究では、経験的放射線療法はプラチナ製剤ベースの併用化学療法終了後にみる無増悪生存率の医学的に有意な改善と相関は認められなかった。[ 23 ][証拠レベル:3iiDiii]いくつかのシリーズでは、特殊な腫瘤を外科的に切除したところ著しい数の患者にセミノーマが残存し、追加治療が必要となっている。[ 24 ]比較的大きな腫瘤は生存しているがんを含む可能性が高いが、それを予測する感度と特異度が高い大きさの基準は示されていない。はフッ素18-フルオロデオキシグルコース-ポジトロン放射断層撮影(18F-FDG PET)スキャンは、生存しているがんを有する患者の同定に有用であると示されているが、研究シリーズによっては偽陽性率がかなり高い。[ 25 ][ 26 ][ 27 ]セミノーマの残存腫瘤におけるポジトロン放射断層撮影(PET)スキャンの長所は、感度が非常に高く、偽陰性率が低いことである。したがって、残存腫瘤が認められ、切除が計画されている男性では、PETスキャンの結果が陰性であれば手術が不要であることを示す証拠となる。

比較的大きな残存腫瘤は生存しているセミノーマを含む可能性が高いが、残存腫瘤の大きさは予後の予測にあまり有用ではない。[ 24 ][ 25 ][ 26 ]残存腫瘤のほとんどは増殖しないため、腫瘤が大きい場合にも小さい場合にも実施可能な管理の選択肢は、定期的な血清腫瘍マーカー検査とコンピュータ断層撮影(CT)スキャンの評価である。[ 28 ]代替アプローチとしては、通常より大きな腫瘤に対して手術を施行し、可能であれば切除し、切除不能腫瘤には生検を行うことである。化学療法後の腫瘤は、高密度な線維形成性間質反応のために、しばしば切除が困難または不可能である。これまでこうした手術では合併症の発生率が高く、腎摘出術や動脈または静脈グラフトといった追加の手技が行われている。[ 29 ]

非セミノーマ男性における化学療法後の残存腫瘤

非セミノーマ胚細胞腫瘍男性における化学療法後の残存腫瘤には、しばしば生存しているがんまたは奇形腫が含まれており、その標準治療は可能であればそうした腫瘤をすべて切除することである。しかしながら、この問題について評価したランダム化比較試験は実施されていない。代わりに、医療の現場では、こうした患者の手術時にしばしば腫瘍が生存しているという事実、およびこうした腫瘍は切除されない場合は進行するという推定に基づいて治療が行われる。血清腫瘍マーカーが上昇している場合、通常は救助化学療法が実施されるが、血清腫瘍マーカーが安定しているか、ゆっくりと低下している場合の残存腫瘤の切除が禁忌というわけではない。

化学療法後に切除術を受けた男性のケースシリーズでは、およそ10%が生存している胚細胞がんを有し、45%が奇形腫を有し、45%には生存している腫瘍が認められないことが報告されている。[ 30 ]手術が必要となる患者と安全に観察が行える患者を同定するために、多くの試みが行われている。手術時に壊死または線維症しか発見されないと予測される変数は、以下の通りである:[ 31 ]

しかしながら、残存腫瘤に生存している腫瘍を有する可能性が10%未満という十分に予後良好な特徴を有する男性の割合は非常に小さいため、現在のモデルの使用については疑問視されている。[ 24 ][ 32 ]

複数の部位に残存病変が認められる場合は、一般にすべての残存腫瘤が切除される。手術不能であれば、一般に切除は実施されない。患者によっては腹部と胸部で残存腫瘤の病理所見が一致しない場合(例、線維化/壊死、奇形腫、がん腫)もある。残存腫瘤を切除するための後腹膜手術と胸部手術を同時に実施している施設もあるが[ 28 ][ 33 ]、ほとんどの施設はこれを行っていない。化学療法後の残存腫瘤の組織型は、横隔膜上と横隔膜下で中程度に一致がみられるに過ぎないが(κ統計量 = 0.42)、初めに後腹膜切除を施行すれば、その結果によって開胸術を施行するかどうかを決定する上で指針となることを示す証拠が認められる。[ 34 ]

化学療法後の残存腫瘤切除術に関する159例の多施設ケースシリーズでは、後腹膜腫瘤に壊死のみが認められた患者の約90%において開胸術の実施時にも壊死のみが発見された。精巣原発腫瘍に奇形腫成分が含まれていなかった場合に限ると、この割合は約95%となった。逆に、開胸術実施時の残存腫瘤の組織型では、後腹膜腫瘤の組織型を同様に予測することはできなかった。[ 34 ]それでもなお一部の施設では、後腹膜に壊死のみが認められる場合でもすべての残存腫瘤の切除を支持し続けている。[ 35 ]

一部の臨床家は、切除標本に悪性腫瘍成分が持続的に存在する場合には追加化学療法の適応になると考えている。[ 36 ]しかしながら、こうした治療の有益性について調査したプロスペクティブ試験は実施されていない。一部の症例においては、致死的な転移巣が存在するために精巣摘除術に先行して化学療法が開始される。その場合は、化学療法の開始後または終了後に精巣摘除術を施行して原発腫瘍を摘出するのが望ましい。生理的な血液精巣関門があると思われ、またプラチナ製剤ベースの化学療法後の残存がん発生率は、精巣中(約50%)の方がX線撮影で発見される後腹膜腫瘤中よりも高くなっている。[ 16 ]90%が卵黄嚢腫瘍を有する小児においては、化学療法後の残存腫瘤に対して手術より放射線療法を施行すべきであると提唱している諸家もある。[ 37 ]

good risk非セミノーマ患者に対する初回治療としての標準治療法の選択肢:

intermediate risk およびpoor risk 非セミノーマ患者に対する初回治療としての標準治療法の選択肢:

セミノーマ患者に対する化学療法後の残存腫瘤の管理

非セミノーマ患者に対する化学療法後の残存腫瘤の管理

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再発精巣腫瘍

さらなる治療の決断は、特定のがん、先行治療、再発部位、患者ごとの考慮事項など数多くの因子に依存する。イホスファミドとシスプラチンと、エトポシドかビンブラスチンのいずれかで構成される救助療法レジメンが、他のシスプラチンベースのレジメンによる治療後がんが残存しているかまたは再発した患者の約25%に長期的な完全奏効をもたらしうる。第一選択化学療法に対して初回完全奏効を示した患者および広範囲疾患ではない患者の転帰が最も良好である。[ 1 ][ 2 ]現在、このレジメンは初回救助レジメンの標準となっている。[ 2 ][ 3 ]しかし、性腺外由来の再発性非セミノーマ胚細胞腫瘍患者で、エトポシドとシスプラチンを含む初回レジメンを施行後に再発した場合に、ビンブラスチン、イホスファミド、およびシスプラチンによって長期間の無病生存(DFS)を達成する患者は、もしあったとしてもわずかである。[ 2 ][証拠レベル:3iiDii]

再発疾患の状況においては、大量化学療法と自家骨髄移植との併用も対照をおかないケースシリーズで用いられている。[ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ][ 11 ]しかしながら、従来用量による救助化学療法と自家骨髄移植を併用した大量化学療法とを比較したあるランダム化比較試験では、大量化学療法群において多くの毒性作用および治療関連死亡がみられた一方で、奏効率にも全生存率にも一切改善はみられなかった。[ 12 ][証拠レベル:1iiA]単一部位に限局する化学療法抵抗性精巣腫瘍を有するきわめて特定の患者では、外科切除によって長期のDFSが得られる場合がある。[ 13 ][ 14 ]毎日の経口投与によるエトポシド維持療法(28日のうち21日)が、救助療法後に完全寛解を達成する患者に有益なこともあると1件のケースシリーズによって示唆されている。[ 15 ]

晩期再燃の特殊例として、完全寛解から2年以上経過した後に再燃する患者が挙げられる;2年後の時点で完全寛解の状態にある患者のうち、こうした集団が占める割合は5%未満である。この亜集団の化学療法による治療成績は不良であり、技術的に実行可能であれば外科的治療法が優れているであろう。[ 16 ]奇形腫は再燃時でも手術で扱いやすく、またがん腫と比べて晩期再燃後の予後は良好である。奇形腫は、化学療法に比較的抵抗性を示す組織亜型であるため、化学療法は適切ではないと考えられる。

導入療法でも完全寛解に到達しない患者、初回再燃に対するエトポシド + シスプラチンによる治療後に完全寛解に到達しない患者、および2回目の再燃をみた患者については、第I相および第II相研究を含む臨床試験への参加が適切であり、可能であれば常にこれを検討すべきである。[ 17 ]

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本要約の変更点(05/21/2020)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

精巣腫瘍に関する一般情報

新規症例数および死亡数の推定値に関する統計が2020年度用に更新された(引用、参考文献1としてAmerican Cancer Society)。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、精巣腫瘍の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Testicular Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/testicular/hp/testicular-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389220]

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

免責条項

入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。