医療専門家向け 腎細胞がんの治療(PDQ®)

ご利用について

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、腎がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

CONTENTS 全て開く全て閉じる

腎細胞がんに関する一般情報

発生率および死亡率

米国において、2021年に推定される腎細胞(腎臓および腎盂)がんの新規症例数および死亡数:[ 1 ]

追跡と生存

腎腺がんまたは副腎腫とも呼ばれる腎細胞がんは、腎および隣接する周囲の組織に限局している時点で診断され、治療されればしばしば治癒する。治癒の可能性は直接、病期または腫瘍進展の程度に左右される。所属リンパ節に腫瘍が転移、また、血管に浸潤していても、かなりの患者で生存期間が長く、治癒する可能性も十分にある。[ 2 ]遠隔転移がある場合、無病生存率は不良であるが;患者を選別し既知の腫瘍をすべて外科的切除することにより一命をとりとめることもある。大多数の患者は診断時、腫瘍が比較的限局しており外科的摘出が適用できるため、全腎細胞がん患者の約73%は5年間以上生存する。局所の進行性あるいは転移のある一部の腎細胞がんの患者は、無痛性の経過が数年にわたり続くこともある。ときに、初期治療後何年もしてからがんが再発することもある。

腎細胞がんは治療していないのに自然に腫瘍の退縮が認められたという報告がある数少ない腫瘍の1つであるが、これはきわめてまれなことであり、長期生存には結びつかない。

治療法

外科的切除は腎細胞がん治療の基本戦略である。播種性腫瘍についても、局所領域切除は原発腫瘍または異所性ホルモン産生の症状を一時的に緩和させるという点で重要な役割を果たしうる。インターフェロンやインターロイキンなどの全身治療は限定された有効性しか明らかにされていない。

関連する要約

腎細胞がんに関する情報を含む他のPDQ要約には以下のものがある:

参考文献
  1. American Cancer Society: Cancer Facts and Figures 2021. American Cancer Society, 2021. Available online. Last accessed June 02, 2021.[PUBMED Abstract]
  2. Sene AP, Hunt L, McMahon RF, et al.: Renal carcinoma in patients undergoing nephrectomy: analysis of survival and prognostic factors. Br J Urol 70 (2): 125-34, 1992.[PUBMED Abstract]
  3. National Cancer Institute: SEER Stat Fact Sheets: Kidney and Renal Pelvis Cancer. Bethesda, Md: National Cancer Institute. Available online. Last accessed November 06, 2020.[PUBMED Abstract]
腎細胞がんの細胞分類

腎細胞がんの約85%は腺がんで、この大半は近位尿細管由来である。残りはほとんどが腎盂の移行上皮細胞がんである。(詳しい情報については、腎盂と尿管の移行上皮がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)腺がんは淡明細胞型がんと顆粒細胞型がんとに分類できるが;この2つの細胞型が同時に存在する腫瘍がいくつかある。顆粒細胞型がんの方が予後不良であることを明らかにしている研究者もいるが、定説とはなっていない。高分化腎腺がんと腎腺腫との識別は難しいことがある。診断は通常、腫瘤の大きさを基準に行えばよいが、転移は原発巣が0.5cmの病変でもみられることがあるため、病変の大きさだけで治療の方法を決定すべきではない。

腎細胞がんの病期情報

腎細胞がんの病期分類システムは腎以外に腫瘍が拡がる程度に基づく。[ 1 ][ 2 ][ 3 ]腫瘍が腎組織に限局する場合は、血管への浸潤が必ずしも予後不良の徴候であるとは限らない。肝機能検査で異常な結果が出るのは、腫瘍の摘出により寛解が得られる腫瘍随伴症候群に起因している場合もあり、この種の結果は必ずしも転移性腫瘍の存在を示すものではない。コンピュータ断層撮影(CT)検査で確認が難しい場合、またはヨード性造影剤が禁忌の場合を除き、CTスキャンは腎の腫瘤を発見するのに磁気共鳴映像法(MRI)と同等か、またはより優れている。[ 4 ]

AJCC病期分類とTNMの定義

米国がん合同委員会(AJCC)は、腎細胞がんを定義するためにTNM(腫瘍、リンパ節、転移)分類による病期判定を指定している。[ 5 ]

表1TNM分類におけるI期の定義a
病期 TNM 定義 図解
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。
aAJCCから許諾を得て転載:Kidney.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp. 739–48.
I T1、N0、M0 T1 = 腫瘍の最大径が7cm以下で、腎に限局している。  
I期の腎がん;図は左腎にがんがあり、腫瘍が7cm以下であることを示す。差し込み図は、7cmがおよそ桃1個の大きさであることを示す。脂肪組織および右腎も示されている。

画像を拡大する

-T1a = 腫瘍の最大径が4cm以下で、腎に限局している。
-T1b = 腫瘍の最大径が4cmを超えるが7cm以下で、腎に限局している。
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
表2TNM分類におけるII期の定義a
病期 TNM 定義 図解
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。
aAJCCから許諾を得て転載:Kidney.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp. 739–48.
II T2、N0、M0 T2 = 腫瘍の最大径が7cmを超え、腎に限局している。  
II期の腎がん;図は左腎にがんがあり、腫瘍が7cmを超えていることを示す。差し込み図は、7cmがおよそ桃1個の大きさであることを示す。脂肪組織および右腎も示されている。

画像を拡大する

-T2a = 腫瘍の最大径が7cmを超えるが10cm以下で、腎に限局している。
-T2b = 腫瘍が10cmを超え、腎に限局している。
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
表3TNM分類におけるIII期の定義a
病期 TNM 定義 図解
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。
aAJCCから許諾を得て転載:Kidney.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp. 739–48.
III T1、N1、M0 T1 = 腫瘍の最大径が7cm以下で、腎に限局している。  
III期の腎がん;図は左腎にがんがあり、a)周辺のリンパ節、b)腎静脈、c)尿を集める腎の組織、およびd)腎周辺の脂肪組織層に認められることを示す。右腎、大静脈、および左右の副腎も示されている。

画像を拡大する

-T1a = 腫瘍の最大径が4cm以下で、腎に限局している。
-T1b = 腫瘍の最大径が4cmを超えるが7cm以下で、腎に限局している。
N1 = 所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T2、N1、M0 T2 = 腫瘍の最大径が7cmを超え、腎に限局している。
-T2a = 腫瘍の最大径が7cmを超えるが10cm以下で、腎に限局している。
-T2b = 腫瘍が10cmを超え、腎に限局している。
N1 = 所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T3、N0、M0 T3 = 腫瘍が主静脈または腎周囲組織に進展しているが、同側の副腎およびジェロタ筋膜の外側には浸潤していない。
-T3a = 腫瘍が腎静脈または分節の枝に進展しているか、腎盂腎杯に浸潤している、もしくは腎周囲および/または腎洞脂肪に浸潤しているが、ジェロタ筋膜の外側には浸潤していない。
-T3b = 腫瘍が横隔膜下の大静脈に進展している。
-T3c = 腫瘍が横隔膜上の大静脈に進展しているか、または大静脈壁に浸潤している。
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T3、N1、M0 T3 = 腫瘍が主静脈または腎周囲組織に進展しているが、同側の副腎およびジェロタ筋膜の外側には浸潤していない。
-T3a = 腫瘍が腎静脈または分節の枝に進展しているか、腎盂腎杯に浸潤している、もしくは腎周囲および/または腎洞脂肪に浸潤しているが、ジェロタ筋膜の外側には浸潤していない。
-T3b = 腫瘍が横隔膜下の大静脈に進展している。
-T3c = 腫瘍が横隔膜上の大静脈に進展しているか、または大静脈壁に浸潤している。
N1 = 所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
表4TNM分類におけるIV期の定義a
病期 TNM 定義 図解
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。
aAJCCから許諾を得て転載:Kidney.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp. 739–48.
IV T4、すべてのN、M0 T4 = 腫瘍がジェロタ筋膜の外側に浸潤している(同側副腎への隣接浸潤を含む)。  
IV期の腎がん;図は左腎周囲の脂肪組織層を越えて、a)左腎上部の副腎にがんが拡がっていることを示す。リンパ節、右副腎、および右腎も示されている。差し込み図は、b)脳、肺、肝臓、副腎、骨、遠隔リンパ節など、腎がんが転移しうる身体の他の部位を示す。

画像を拡大する

NX = 所属リンパ節の評価が不可能。
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
N1 = 所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
すべてのT、すべてのN、M1 TX = 原発腫瘍の評価が不可能。
T0 = 原発腫瘍を認めない。
T1 = 腫瘍の最大径が7cm以下で、腎に限局している。
-T1a = 腫瘍の最大径が4cm以下で、腎に限局している。
-T1b = 腫瘍の最大径が4cmを超えるが7cm以下で、腎に限局している。
T2 = 腫瘍の最大径が7cmを超え、腎に限局している。
-T2a = 腫瘍の最大径が7cmを超えるが10cm以下で、腎に限局している。
-T2b = 腫瘍が10cmを超え、腎に限局している。
T3 = 腫瘍が主静脈または腎周囲組織に進展しているが、同側の副腎およびジェロタ筋膜の外側には浸潤していない。
-T3a = 腫瘍が腎静脈または分節の枝に進展しているか、腎盂腎杯に浸潤している、もしくは腎周囲および/または腎洞脂肪に浸潤しているが、ジェロタ筋膜の外側には浸潤していない。
-T3b = 腫瘍が横隔膜下の大静脈に進展している。
-T3c = 腫瘍が横隔膜上の大静脈に進展しているか、または大静脈壁に浸潤している。
T4 = 腫瘍がジェロタ筋膜の外側に浸潤している(同側副腎への隣接浸潤を含む)。
NX = 所属リンパ節の評価が不可能。
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
N1 = 所属リンパ節に転移を認める。
M1 = 遠隔転移を認める。
参考文献
  1. Bassil B, Dosoretz DE, Prout GR: Validation of the tumor, nodes and metastasis classification of renal cell carcinoma. J Urol 134 (3): 450-4, 1985.[PUBMED Abstract]
  2. Golimbu M, Joshi P, Sperber A, et al.: Renal cell carcinoma: survival and prognostic factors. Urology 27 (4): 291-301, 1986.[PUBMED Abstract]
  3. Robson CJ, Churchill BM, Anderson W: The results of radical nephrectomy for renal cell carcinoma. J Urol 101 (3): 297-301, 1969.[PUBMED Abstract]
  4. Consensus conference. Magnetic resonance imaging. JAMA 259 (14): 2132-8, 1988.[PUBMED Abstract]
  5. Kidney. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. Springer; 2017, pp 739–48.[PUBMED Abstract]
治療法選択肢の概要

現行の治療法では、I期の患者の50%以上が治癒するが、IV期の患者における成績はきわめて不良である。このことから、新たに腎細胞がんを診断された患者はいずれも、可能であれば臨床試験に組み入れるのに適しているといえる。

I期の腎細胞がんの治療

I期の腎細胞がんは、米国がん合同委員会のTNM分類により、以下のように定義される:

外科的切除は、I期の腎細胞がんに対して認められた、しばしば治癒可能な治療法である。切除術には単純切除術または根治的切除術がある。根治的切除術とは、腎、副腎、腎周囲脂肪、およびジェロタ筋膜摘出であり、場合によっては所属リンパ節の郭清も実施する。根治的手術の方が良好な結果が得られると考える外科医もいる。

両側の腎臓にI期の(同時性または異時性)がんがある場合、技術的に可能であれば、両側腎部分切除術または片側腎部分切除術とともに対側根治的腎摘出術を実施することが、人工透析または移植を必要とする両側腎摘出術に代わる方法として望ましい。[ 2 ]選別された患者では部分切除術で根治可能であることが、ますます多くの証拠により示唆されている。ただし、病理医による腎実質切除断端の凍結切片、および全標本の検査がなされるべきである。[ 3 ]

手術に適さない患者では、外照射療法(EBRT)または動脈塞栓術により緩和が得られる。

標準治療法の選択肢:

  1. 根治的腎摘出術。[ 4 ]
  2. 単純腎摘出術。[ 4 ]
  3. 腎部分切除術(選択された患者)。[ 2 ][ 4 ]
  4. EBRT(症状緩和)。[ 4 ]
  5. 動脈塞栓術(症状緩和)。[ 4 ][ 5 ]
  6. 臨床試験。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
  1. Kidney. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. Springer; 2017, pp 739–48.[PUBMED Abstract]
  2. Novick AC, Streem S, Montie JE, et al.: Conservative surgery for renal cell carcinoma: a single-center experience with 100 patients. J Urol 141 (4): 835-9, 1989.[PUBMED Abstract]
  3. Thrasher JB, Robertson JE, Paulson DF: Expanding indications for conservative renal surgery in renal cell carcinoma. Urology 43 (2): 160-8, 1994.[PUBMED Abstract]
  4. deKernion JB, Berry D: The diagnosis and treatment of renal cell carcinoma. Cancer 45 (7 Suppl): 1947-56, 1980.[PUBMED Abstract]
  5. Swanson DA, Wallace S, Johnson DE: The role of embolization and nephrectomy in the treatment of metastatic renal carcinoma. Urol Clin North Am 7 (3): 719-30, 1980.[PUBMED Abstract]
II期の腎細胞がんの治療

II期の腎細胞がんは、米国がん合同委員会のTNM分類により、以下のように定義される:

根治的切除は、II期の腎細胞がんに対して認められた、しばしば治癒可能な治療法である。この手術は、腎、副腎、腎周囲脂肪、およびジェロタ筋膜の摘出であり、場合によっては所属リンパ節の郭清も実施する。[ 2 ]リンパ節郭清術が一般的に行われているが、この有効性はまだ確認されていない。腎摘出術の前または後に外照射療法(EBRT)が実施されているが、この方が手術のみの治療の結果より生存率を改善するという確実な証拠はない;しかしながら、さらに進展した腫瘍では患者を選別すれば有益であろう。

手術に適さない場合は、動脈塞栓術により一時緩和が得られる。

標準治療法の選択肢:

  1. 根治的腎摘出術。[ 3 ]
  2. 腎摘出術の前または後にEBRT(選択された患者)。[ 3 ]
  3. 腎部分切除術(選択された患者)。[ 3 ]
  4. EBRT(症状緩和)。[ 3 ]
  5. 動脈塞栓術(症状緩和)。
  6. 臨床試験。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
  1. Kidney. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. Springer; 2017, pp 739–48.[PUBMED Abstract]
  2. Phillips E, Messing EM: Role of lymphadenectomy in the treatment of renal cell carcinoma. Urology 41 (1): 9-15, 1993.[PUBMED Abstract]
  3. deKernion JB, Berry D: The diagnosis and treatment of renal cell carcinoma. Cancer 45 (7 Suppl): 1947-56, 1980.[PUBMED Abstract]
III期の腎細胞がんの治療

III期の腎細胞がんは、米国がん合同委員会のTNM分類により、以下のように定義される:

病変が以下の分類を有する患者の治療情報:

根治的切除は、III期の腎細胞がんに対して認められた、しばしば治癒可能な治療法である。この手術は、腎、副腎、腎周囲脂肪、およびジェロタ筋膜の摘出であり、場合によっては所属リンパ節の郭清も実施する。[ 2 ]リンパ節郭清術が一般的に行われているが、この有効性はまだ確認されていない。腎摘出術の前または後に外照射療法(EBRT)が実施されているが、この方が手術のみの治療の結果より生存率を改善するという確実な証拠はない;しかしながら、さらに進展した腫瘍では患者を選別すれば有益であろう。

両側の腎臓にT3a期の(同時性または異時性)がんがある場合、技術的に可能であれば、両側腎部分切除術または片側腎部分切除術とともに対側根治的腎摘出術を実施することが、人工透析または移植を必要とする両側腎摘出術に代わる方法として望ましい。[ 3 ]

手術に適さない場合は、動脈塞栓術により一時緩和が得られる。

病変が以下の分類を有する患者の治療情報:

根治的切除は、この病期の腎細胞がんに対して認められた、しばしば治癒可能な治療法である。この手術は、腎、副腎、腎周囲脂肪、およびジェロタ筋膜の摘出であり、場合によっては所属リンパ節の郭清も実施する。リンパ節郭清術が一般的に行われているが、この有効性はまだ確認されていない。手術は、腎静脈すべてと下大静脈の腫瘍塞栓すべてを摘出し、大静脈の一部をも摘出する必要がある。[ 4 ]腎摘出術の前または後にEBRTが実施されているが、この方が手術のみの治療の結果より生存率を改善するという確実な証拠はない;しかしながら、さらに進展した腫瘍では患者を選別すれば有益であろう。

対側腎に同時性または異時性腎細胞がんを併発している病期T3bのがんでは、技術的に可能であれば部分切除術が、人工透析または移植を伴う両側腎摘出術に代わる方法として望ましい。[ 3 ][ 5 ][ 6 ]

手術に適さない場合は、動脈塞栓術により一時緩和が得られる。

病変が以下の分類の患者の治療情報:

この病期の腎細胞がんは手術で治癒できるのはごくわずかである。根治的腎摘出術およびリンパ節郭清は必要である。術前および術後のEBRTの価値は証明されていないが、EBRTは手術に適さない患者の症状緩和のために用いられる。ゲルフォームなどの物質による腫瘍の動脈塞栓術は、腎摘出術の術中出血を軽減するために術前に用いるか、手術不能患者の一時緩和のために用いられる。

標準治療法の選択肢:

  1. T3bの腫瘍には、根治的腎摘出術と腎静脈切除、また必要であれば大静脈切除。[ 4 ]根治的腎摘出術とリンパ節郭清。
  2. 術前塞栓術および根治的腎摘出術。[ 7 ][ 8 ]
  3. EBRT(症状緩和)。[ 7 ]
  4. 腫瘍塞栓術(症状緩和)。[ 8 ]
  5. 症状緩和のため腎摘出術。
  6. 術前または術後のEBRTおよび根治的腎摘出術。[ 7 ]
  7. 補助インターフェロンアルファを用いる臨床試験。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
  1. Kidney. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. Springer; 2017, pp 739–48.[PUBMED Abstract]
  2. Phillips E, Messing EM: Role of lymphadenectomy in the treatment of renal cell carcinoma. Urology 41 (1): 9-15, 1993.[PUBMED Abstract]
  3. Novick AC, Streem S, Montie JE, et al.: Conservative surgery for renal cell carcinoma: a single-center experience with 100 patients. J Urol 141 (4): 835-9, 1989.[PUBMED Abstract]
  4. Hatcher PA, Anderson EE, Paulson DF, et al.: Surgical management and prognosis of renal cell carcinoma invading the vena cava. J Urol 145 (1): 20-3; discussion 23-4, 1991.[PUBMED Abstract]
  5. deKernion JB: Management of renal adenocarcinoma. In: deKernion JB, Paulson DF, eds.: Genitourinary Cancer Management. Lea and Febiger, 1987, pp 187-217.[PUBMED Abstract]
  6. Angermeier KW, Novick AC, Streem SB, et al.: Nephron-sparing surgery for renal cell carcinoma with venous involvement. J Urol 144 (6): 1352-5, 1990.[PUBMED Abstract]
  7. deKernion JB, Berry D: The diagnosis and treatment of renal cell carcinoma. Cancer 45 (7 Suppl): 1947-56, 1980.[PUBMED Abstract]
  8. Swanson DA, Wallace S, Johnson DE: The role of embolization and nephrectomy in the treatment of metastatic renal carcinoma. Urol Clin North Am 7 (3): 719-30, 1980.[PUBMED Abstract]
IV期および再発腎細胞がんの治療

IV期の腎細胞がんは、米国がん合同委員会のTNM分類により、以下のように定義される:

腎細胞がんの治療後、がんの進展、再発または再燃が認められる場合、組織学的細胞型または病期に関係なくいずれも予後は不良である。ほぼすべてのIV期腎細胞がん患者は治癒不能である。さらなる治療の問題点および選択は、以前の治療、再発の部位はもとより個々の患者の考慮事項など多くの因子に左右される。慎重に患者を選別することにより、特に初回治療後の無病期間が長ければ、限局性転移腫瘍の外科的切除は有益であろう。

局所療法

転移性腫瘍が認められない患者では、可能な場合は原発腫瘍の切除が標準的な診療である。切除不能および/または転移がんを有する患者では、腫瘍塞栓術、外照射療法(EBRT)、および腎摘出術は、原発腫瘍または関連する異所性ホルモンまたはサイトカイン産生による症状を緩和するための一助になりうる。

細胞減少性腎摘除術

標的抗血管新生療法および免疫チェックポイント阻害薬以前の時代に、2件のランダム化研究により、インターフェロンアルファ投与前に初回細胞減少性腎摘出術を受けた選択された患者において全生存(OS)の有益性が実証された。[ 2 ][ 3 ]しかしながら、疾患が中リスクおよび予後不良の患者に対して抗血管新生療法前に細胞減少性腎摘出術を実施しても、生存利益をもたらさないという証拠がある。標的療法および免疫療法の時代になって、予後良好患者に対する細胞減少性腎摘出術は、ランダム化比較試験で研究されていない。レトロスペクティブ非ランダム化研究からの限定されたデータによると、標的療法の時代となった現在では、予後良好患者における有益性が示唆される。

CARMENA(NCT00930033)試験では、標的療法前の細胞減少性腎摘出術の有効性を評価して、経口抗血管新生チロシンキナーゼ阻害薬のスニチニブによる治療を受ける前に細胞減少性腎摘出術を受けても恩恵が得られないことが報告された。[ 4 ]この研究には中リスク(57%)および予後不良(43%)疾患を有する患者しか登録されなかった一方、以前のレトロスペクティブ研究では、細胞減少性腎摘出術がスニチニブ時代の予後良好および中リスク患者にのみ有益であったことが明らかにされた。同様に、インターフェロン時代の肯定的な試験は、Eastern Cooperative Oncology Group(ECOG)評価スケールに従ってパフォーマンスステータス(PS)が0~1で無症状またはごくわずかな症状にとどまる患者に限定されていた;これらの患者はまた術後免疫療法の候補者としても考えられた。

転移性腎細胞がん患者351人を対象に細胞減少性腎摘出術の影響を評価するため、1件の多施設解析が実施された。研究では全身療法を受けた患者が評価され、細胞減少性腎摘出術を受けた患者の転帰が受けなかった患者の転帰と比較された。OS期間中央値は、腎摘出術を受けた患者で38.1ヵ月であったのに対し、全身療法のみで治療された患者では16.4ヵ月であった(P = 0.03)。しかしながら、生存便益はECOGのPSが0~1で予後良好または中リスク疾患を有する患者に限定された。[ 5 ]この研究の解釈は、患者が腎摘出術群にランダムに割り付けられなかったため選択バイアスにより制限される。後に全身療法で治療されない患者に対して細胞減少性腎摘出術の有益性がもたらされるかどうかは、現在のところ検証されていない。

細胞減少性腎摘出術のランダム化比較試験:

450人の患者を対象にした1件のランダム化比較非劣性試験では、スニチニブ単独を受けた患者の転帰が細胞減少性腎摘出術とその後のスニチニブを受けた患者の転帰と比較された。この試験は、576人の患者を登録するようにデザインされたため、検出力不足であった。[ 4 ]この研究では、43%の患者が予後不良疾患を有し、57%が中リスク疾患を有した。

細胞減少性腎摘出術を先行させるまたは先行させないインターフェロンのランダム化比較試験:

2件のランダム化研究により、インターフェロンアルファ投与前の初回細胞減少性腎摘出術を受けた選択された患者におけるOSの有益性が実証された。[ 2 ][ 3 ]

少数転移病変の切除

遠隔転移巣が1つ、または少数である患者の一部は、腎摘出術および転移腫瘍の外科的切除を実施することによって生存期間を延長できる。[ 6 ][ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ][ 11 ]同様の結果は脳へ転移した患者にもみられた。[ 12 ]初回腎摘出術から転移腫瘍の発生までの間に長期無病期間があった患者では、この方法により治療的利益が得られる可能性は高いと考えられる。

免疫チェックポイント阻害薬と抗血管新生標的療法の併用

免疫チェックポイント阻害薬および抗血管新生標的療法が治療成績を改善することが明らかになった後、これら2つのアプローチの併用が複数の臨床試験で研究され、単剤療法と比較した場合、OSを延長させることが示されている。

ペムブロリズマブ + アキシチニブ

証拠(ペムブロリズマブ + アキシチニブ):

  1. スニチニブとペムブロリズマブおよびアキシチニブの併用とを比較した1件の第III相オープンラベルランダム化比較試験(NCT02853331)には、転移性腫瘍に対して以前に全身療法を受けたことのない患者861人が登録された。[ 13 ]

アベルマブ + アキシチニブ

証拠(アベルマブ + アキシチニブ):

  1. 1件の第III相オープンラベルランダム化試験(NCT02684006)では、未治療のIV期プログラム細胞死リガンド-1(PD-L1)陽性腎細胞がん患者560人(研究集団全体の患者数は、PD-L1陰性患者を含めて886人であった)において、アベルマブおよびアキシチニブの併用とスニチニブ単剤療法とが比較された。[ 14 ]この試験では次の2つの主要エンドポイントが規定された:PD-L1陽性腫瘍患者におけるPFSおよびOS。研究集団全体におけるPFSは副次エンドポイントであった。

免疫療法

免疫チェックポイント阻害薬

免疫チェックポイント阻害薬は、免疫システムによるがんへの反応を阻害する特定の蛋白を遮断する薬物である。これらの蛋白はTリンパ球の活性をダウンレギュレートし、Tリンパ球ががん細胞を殺すのを妨げる。免疫チェックポイント阻害薬は、これらの阻害蛋白の活性を弱めることにより、がんに対する免疫反応を増加させる。このクラスの薬物が標的にしている免疫チェックポイント蛋白には、プログラム細胞死-1(PD-1)、PD-L1、および細胞傷害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA-4)がある。

イピリムマブ + ニボルマブ

イピリムマブ + ニボルマブの併用は、1件のランダム化比較試験において進行期腎細胞がんに対する第一選択全身療法としてスニチニブと比較した場合にOSを延長することが示された。[ 15 ]どちらの薬物も免疫チェックポイント阻害薬である。イピリムマブはCTLA-4を標的とする抗体である。ニボルマブはPD-1を標的とする抗体である。

証拠(イピリムマブ + ニボルマブ):

  1. 1件のランダム化比較試験により、これら2つの薬物の併用がスニチニブと比較された。ニボルマブ(3mg/kg)およびイピリムマブ(1mg/kg)は3週間ごとに4回投与された後、維持療法としてニボルマブ(3mg/kg)が2週間ごとに投与された。スニチニブは、反復する6週間サイクルの最初の4週間に50mg、1日1回投与された(すなわち、各サイクルは4週間の薬物投与とその後2週間の休薬で構成された)。治療は、有害事象または同意の撤回により中止されない限り、疾患増悪まで継続された。複合主要エンドポイントは中リスクまたは予後不良疾患を有する患者におけるOS、PFS、および客観的奏効率であった。注目すべきことに、3つの主要エンドポイントがあったため、全体的な0.05のα水準は3つのエンドポイントで対立した。このことは、有意性に対するP値のカットオフ値が奏効率では0.001、PFSでは0.009、およびOSでは0.04となったことを意味した。この試験には1,096人の患者が登録し、847人が中リスクまたは予後不良疾患を有した。

ニボルマブ

ニボルマブは以前に血管新生阻害剤の投与を受けたことのある患者においてOSの延長を示した唯一の治療法である。ニボルマブはPD-1のリガンド活性化を遮断する完全ヒト抗体である。ニボルマブは、PD-1とPD-1リガンド1および2との相互作用を遮断することで、細胞性免疫反応を阻害する経路を遮断し、細胞免疫を回復させる。

証拠(ニボルマブ):

  1. 0.3mg/kg、2mg/kg、または10mg/kgの用量を3週間ごとに投与した第II相試験でニボルマブについて有望な結果が得られ、用量反応性がないことが示された。[ 16 ]
  2. 1件のランダム化比較試験でニボルマブ、3mg/kgを2週間ごととエベロリムス、1日10mgが比較された。[ 17 ]試験は、以前に1つまたは2つの血管新生阻害剤レジメンの投与を受けた転移性腎細胞がんで淡明細胞型成分を有する患者821人をランダムに割り付けた。

    第III相試験で用いられた3mg/kgを2週間ごとの用量が、第II相試験で用いられた2mg/kgを3週間ごとの用量より優位性をもたらすかどうかは不明である;しかし、後者の用量ではかなりのコスト節減が得られる。

サイトカイン療法

インターフェロンアルファおよびインターロイキン2(IL-2)

インターフェロンアルファまたはIL-2を用いるサイトカイン療法は客観的反応を引き起こすことが示されており、選択された患者において生存にわずかに影響を及ぼすようである。適切に選択された患者におけるインターフェロンアルファの客観的奏効率は約15%である。[ 18 ]一般に、これらの患者には巨大でない肺転移または軟部組織転移があり、PSがきわめて良好(ECOG評価スケールで0~1の評点)で、患者に体重減少がみられない。良好な奏効率を報告している研究に用いたインターフェロンアルファの用量は中程度の範囲となっている(600-2,000万単位、週3回)。総計963人の患者を対象にしたランダム化試験6件のコクラン分析により、生存に対するHR 0.78(CI、0.67-0.90)または生存期間改善の加重平均2.6ヵ月が示された。[ 18 ][証拠レベル:1iiA]

大量IL-2投与の全奏効率はインターフェロンアルファとほぼ同じであるが、約5%の患者が持続的完全寛解を示している。[ 19 ][ 20 ][ 21 ][ 22 ][ 23 ][ 24 ]IL-2がより長期の生存をもたらすことを示したランダム化比較試験はない。大量のIL-2は、大量IL-2に適格な患者はごく少数(約5%)であるにもかかわらず、この治療が持続的完全寛解の誘導と関連している唯一の全身療法であるため、使用される。IL-2の適量は不明である。大量療法は高い奏効率と関連しているようであるが、副作用も多い。入院患者向けの低用量レジメンは、腎細胞がんに対する活性を有し、毒性作用(特に低血圧)が少ないが、生存またはQOLについてプラセボまたは代替レジメンに対する優位性を示していない。[ 25 ]外来患者を対象とする皮下投与も奏効が実証され、毒性作用も容認できる程度のものであるが、やはり生存またはQOLの有益性は不明である。[ 26 ]IL-2とインターフェロンアルファとの併用が研究されているが、IL-2の単独大量または低用量投与より優れた治療成績は得られていない。[ 27 ][ 28 ]

抗血管新生療法および他の標的療法

一般的ながん、および特に腎細胞がんの生物学の理解が深まるにつれて、特異的成長経路を標的にした新薬が開発されるようになり、米国食品医薬品局(FDA)によって6つの新薬が承認された。承認された標的療法の2つは、細胞の成長、分裂、生存を制御するセリン/スレオニンプロテインキナーゼであるラパマイシンの哺乳類ターゲット(mTOR)をブロックする。

抗血管内皮増殖因子(VEGF)および多標的チロシンキナーゼ阻害薬

ほとんどの淡明細胞型腎細胞がんに血管新生を刺激するサイトカインの構成的産生を引き起こす突然変異がみられたことを示す研究に基づいて、VEGF媒介経路を標的としたいくつかの薬物が開発された。これらの薬物のいくつかは複数のランダム化比較試験で淡明細胞型腎細胞がんの進行を有意に遅らせることが示されているが、どの薬物も従来の評価方法でOSにおける統計的に有意な増加をもたらしていない。これらの試験の多くは進行時のクロスオーバーが可能であり、場合によっては、患者は臨床試験を中止した後に生物活性が類似した他の薬物を利用できた。こうした事実から、OSの有益性を検出することはより困難となっている可能性がある。このため、臨床家にとって、これらの薬物による患者への真の有益性を判断することは困難である。FDAに承認された抗VEGF薬としては、3つの経口チロシンキナーゼ阻害薬:パゾパニブ、ソラフェニブ、およびスニチニブ;および1つの抗VEGFモノクローナル抗体(ベバシズマブ)の4つがある。アキシチニブは、比較的新しい、高度に選択的で、効力が強いVEGF受容体1、2、および3阻害薬であり、以前に1回の全身療法で失敗後の進行性腎細胞がんを治療するためにFDAにより承認されている。[ 29 ]

スニチニブ

スニチニブおよびベバシズマブ + インターフェロンアルファの併用はそれぞれ、複数のランダム化比較試験においてインターフェロンアルファ単独よりも長期のPFSをもたらしている。スニチニブは経口投与が可能なマルチキナーゼ阻害薬(VEGFR-1、VEGFR-2、PDGFR、c-Kit)である。

証拠(スニチニブ):

  1. 全員が淡明細胞型腎がんであった未治療の患者750人を対象とした1件の第III相試験では、スニチニブとインターフェロンアルファが比較された。[ 30 ]

    循環血液中のVEGF蛋白に結合し、中和するモノクローナル抗体の1つであるベバシズマブは、生物学的治療に不応性の淡明細胞型腎細胞がんを有する患者においてプラセボと比較した場合に、疾患の進行を遅らせた。[ 32 ]同様に、類似したデザインのランダム化比較試験2件において第一選択治療としてのベバシズマブ + インターフェロンアルファはインターフェロンアルファ単独と比較して長期のPFSをもたらしたが、OSの延長はもたらさなかった。[ 33 ][ 34 ]

パゾパニブ

パゾパニブは経口投与が可能なマルチキナーゼ阻害薬(VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3、PDGFR、およびc-KIT)であり、進行性腎細胞がん患者の治療についても承認されている。[ 35 ]

証拠(パゾパニブ):

  1. 淡明細胞型腎細胞がんまたは淡明細胞型優位の腎細胞がんを有する患者435人が登録した1件の国際ランダム化プラセボ対照試験(VEG015192[NCT00334282])において、パゾパニブが評価された。[ 36 ]患者の半数近くが以前にサイトカイン療法を受けていたが、残りの患者は未治療であった。
  2. パゾパニブはまた、淡明細胞型成分を含む転移性腎細胞がんの患者1,110人が登録した1件のランダム化比較試験(NCT00720941)において、スニチニブと1:1の比率で比較された。[ 37 ]主要エンドポイントはPFSとされた。この研究は、パゾパニブの非劣性を評価するように検出力がもたせられていた。パゾパニブを投与された患者557人中336人(60%)およびスニチニブを投与された患者553人中323人(58%)で疾患進行が認められたときに、結果が報告された。
  3. その後の二重盲検ランダム化比較クロスオーバー試験で、スニチニブに続いて投与するパゾパニブとパゾパニブに続いて投与するスニチニブとが比較され、主要エンドポイントは一方の薬物よりも他方の薬物を支持する患者の好みとされた。[ 38 ]患者はスニチニブまたはパゾパニブのいずれかを10週間投与された後、2週間休薬してから、もう一方の薬物をさらに10週間投与された。2回目の10週間にわたる治療の終了時に好みが評価された。この研究デザインは、パゾパニブが支持されるようなバイアスがかかっていた可能性がある。

    スニチニブの一般的な投与レジメンは、4週間投薬してから2週間休薬する6週間のサイクルであるが、このPatient Preference Study of Pazopanib Versus Sunitinib in Advanced or Metastatic Kidney Cancer(PISCES[NCT01064310])では、12週間よりもむしろ10週間の治療期間が選択された。この治療期間の変更のため、スニチニブの10週間の治療では、4週間投薬してから2週間休薬し、その後さらに4週間投薬された。パゾパニブに続いてスニチニブを投与する群に割り付けられた患者について、28日間、毎日スニチニブを投与された2回目の4週間にわたる投薬期間の終了時に治療の好みを評価した。その時点でスニチニブの副作用は最も重度になっていた。4週間の治療サイクルよりも6週間の治療サイクルの終了時に評価が実施されていれば、副作用の結果は大幅に軽減されるであろうと予想される。

    また、最初にパゾパニブを受ける群に割り付けられた患者にとって2つの10週間の間に設定された2週間の休薬期間は真の治療休止であった;しかしながら、最初にスニチニブを受けた患者にとって、この2週間の休薬期間は2回目の6週間の治療サイクルの完了に過ぎなかった。換言すれば、最初にパゾパニブに割り付けられた患者は2週間にわたって真に治療を休止し、薬物の好みはスニチニブによる毒性作用のピーク時に評価された;しかしながら、最初にスニチニブに割り付けられた患者はパゾパニブ開始前に真の治療の休止を受けておらず、スニチニブの副作用から回復する機会が少なかった可能性がある。

カボザンチニブ

カボザンチニブはMET、AXL、VEGF受容体の経口チロシンキナーゼ阻害薬である。第I相試験が腎細胞がんに対する活性を示した後、第III相試験ではランダム化比較試験における第二選択治療の設定でカボザンチニブの活性が評価された。

証拠(カボザンチニブ):

  1. METEOR(NCT01865747)試験では、VEGFチロシンキナーゼ阻害薬で以前に治療された658人の患者がカボザンチニブ(60mg、毎日)またはエベロリムス(10mg、毎日)のいずれかを受けるようにランダムに割り付けられた。[ 39 ][ 40 ]用量を減量されたのは、カボザンチニブの投与を受けた患者では60%であったのに対し、エベロリムスに割り付けられた患者では25%であった。
  2. その後の試験で、第一選択治療の設定でカボザンチニブとスニチニブが比較され、中リスクまたは予後不良転移性腎細胞がんの患者157人がカボザンチニブまたはスニチニブにランダムに割り付けられた。[ 42 ][ 43 ]
    1. 有害事象は95%以上の患者でみられた。
    2. 追跡期間中央値34.5ヵ月で、2つの治療群間でOSにおける有意差は認められず、OSの曲線は複数回交差した。
    3. しかしながら、PFSはカボザンチニブで長かった(8.6ヵ月 vs 5.3ヵ月[HR = 0.48;95%CI、0.31-0.74])ことから、PFSはOSの代替として不適切であることが実証された。[ 42 ][ 43 ][証拠レベル:1iiDiii]

アキシチニブ

アキシチニブは、第二選択全身療法として用いた場合にPFSを延長することが示されている。

証拠(アキシチニブ):

  1. 22の国の175箇所で実施された723人の患者を対象にしたランダム化比較試験では、スニチニブ(54%)、サイトカイン(35%)、ベバシズマブ + インターフェロン(8%)、またはテムシロリムス(3%)を用いた第一選択療法の治療中または治療後に進行した淡明細胞型成分を有する腎細胞がんに対する治療として、アキシチニブ vs ソラフェニブが評価された。[ 29 ][ 44 ]主要エンドポイントはPFSで、アキシチニブ群の患者の88%およびソラフェニブ群の患者の90%において疾患が進行した際のデータが解析されたが、それぞれ、58%および59%が死亡していた。

    アキシチニブ群では投与量増量要素を含んでおり、低用量に耐えた患者のみがその後により高用量を投与されたため、アキシチニブとソラフェニブのレジメンの毒性作用の比較は複雑である。アキシチニブ投与群では高血圧、吐き気、発声障害、および甲状腺機能低下がよくみられ、ソラフェニブ投与群では手掌・足底発赤知覚不全、脱毛、および発疹がよくみられた。[ 29 ][ 44 ]

ソラフェニブ

ソラフェニブは経口投与が可能なマルチキナーゼ阻害薬(CRAF、BRAF、KIT、FLT-3、VEGFR-2、VEGFR-3、およびPDGFR-β)であり、進行性腎細胞がん患者の治療についても承認されている。[ 35 ]

証拠(ソラフェニブ):

  1. PFSおよびOSを主要エンドポイントとした1件の国際多施設ランダム化試験において、Memorial Sloan-Kettering Cancer Centerの予後に関するリスク分類および国により層別化された769人の患者がソラフェニブ(400mg、1日2回)またはプラセボ投与にランダムに割り付けられた。研究では両治療群で患者の約82%が、以前にIL-2および/またはインターフェロンアルファを投与されていた。
  2. その後の第II相研究で、189人の患者がソラフェニブまたはインターフェロンアルファにランダムに割り付けられた。[ 45 ]

哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)阻害薬

テムシロリムス

テムシロリムスは静注されるmTOR阻害薬である。

証拠(テムシロリムス):

  1. 1件の第III相ランダム化比較試験には、さまざまなサブタイプの腎細胞がんを有する中リスクおよび予後不良患者が登録された。この試験は淡明細胞型腎がんに限定されなかった。

エベロリムス

エベロリムスは経口投与されるmTOR阻害薬である。

証拠(エベロリムス):

  1. スニチニブ、ソラフェニブ、あるいはその両方の薬物による治療中、または治療中止後6ヵ月以内に進行した淡明細胞型成分を有する転移性腎細胞がん患者が登録した1件の第III相二重盲検ランダム化プラセボ対照試験において、エベロリムスが評価された。

多標的チロシンキナーゼ阻害薬とMTOR阻害薬の併用療法

レンバチニブ + エベロリムス

レンバチニブは多標的チロシンキナーゼ阻害薬で、VEGFR-1、VEGFR-2、およびVEGFR-3に対して活性を有し、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR1、FGFR2、FGFR3、およびFGFR4)、PDGFRα、RET、およびKITに対して阻害活性がある。

証拠(レンバチニブ + エベロリムス):

  1. レンバチニブ + エベロリムスの併用療法は、以前に抗血管新生療法を受けている進行期腎細胞がんの被験者153人を対象としたランダム化比較第II相研究で、単剤としてのそれぞれの薬剤と比較された。[ 48 ]主要エンドポイントはPFSとされた。

    すべての患者が有害事象を経験し、これらのほぼすべてが治療と関連ありと判定された。71%の患者でグレード3以上の有害事象がみられた。併用療法群で最も一般的な毒性は、下痢、高血圧、疲労、食欲不振、嘔吐、および咳嗽であった。併用療法群の患者1人が脳出血により死亡し、治療に関連ありと考えられた。

化学療法

制がん剤を用いる化学療法の奏効率は一般的に、十分な数の患者を対象に試験を実施したレジメンではいずれも10%以下である。

治療法の選択肢

第一選択治療:

  1. 根治的腎摘出術(T4、M0の病変)。
  2. 細胞減少性腎摘出術(予後良好疾患を有する患者におけるすべてのT、M1病変に対して)。[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ]
  3. 中リスクまたは予後不良の患者に対するイピリムマブ + ニボルマブ。[ 15 ]
  4. ペムブロリズマブ + アキシチニブ。[ 13 ]
  5. 中リスクまたは予後不良疾患を有する患者におけるカボザンチニブ。[ 42 ][ 43 ]
  6. アベルマブ + アキシチニブ。[ 14 ]
  7. スニチニブ。[ 37 ][ 38 ]
  8. パゾパニブ。[ 38 ]
  9. テムシロリムス。[ 46 ]
  10. インターフェロンアルファを併用するまたは併用しないベバシズマブ。[ 32 ][ 33 ][ 34 ][ 49 ]
  11. インターフェロンアルファ。[ 28 ][ 50 ][ 51 ]
  12. IL-2。[ 18 ][ 24 ][ 25 ]
  13. 症状緩和目的の外照射療法。

第二選択治療:

  1. ニボルマブ(以前にスニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、および/またはアキシチニブで治療されている患者に対して)。[ 16 ]
  2. 以前にスニチニブ、パゾパニブ、カボザンチニブ、アキシチニブ、またはソラフェニブによる治療を受けた患者に対するレンバチニブ + エベロリムス。[ 48 ]
  3. カボザンチニブ(以前にスニチニブ、パゾパニブ、ソラフェニブ、またはアキシチニブで治療されている患者に対して)。[ 39 ]
  4. アキシチニブ。[ 44 ]
  5. エベロリムス(以前にスニチニブおよび/またはソラフェニブで治療されている患者に対して)。[ 47 ]
  6. ソラフェニブ。[ 52 ]
  7. 症状緩和目的の外照射療法。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
  1. Kidney. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. Springer; 2017, pp 739–48.[PUBMED Abstract]
  2. Flanigan RC, Salmon SE, Blumenstein BA, et al.: Nephrectomy followed by interferon alfa-2b compared with interferon alfa-2b alone for metastatic renal-cell cancer. N Engl J Med 345 (23): 1655-9, 2001.[PUBMED Abstract]
  3. Mickisch GH, Garin A, van Poppel H, et al.: Radical nephrectomy plus interferon-alfa-based immunotherapy compared with interferon alfa alone in metastatic renal-cell carcinoma: a randomised trial. Lancet 358 (9286): 966-70, 2001.[PUBMED Abstract]
  4. Méjean A, Ravaud A, Thezenas S, et al.: Sunitinib Alone or after Nephrectomy in Metastatic Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med 379 (5): 417-427, 2018.[PUBMED Abstract]
  5. Mathieu R, Pignot G, Ingles A, et al.: Nephrectomy improves overall survival in patients with metastatic renal cell carcinoma in cases of favorable MSKCC or ECOG prognostic features. Urol Oncol 33 (8): 339.e9-15, 2015.[PUBMED Abstract]
  6. Murthy SC, Kim K, Rice TW, et al.: Can we predict long-term survival after pulmonary metastasectomy for renal cell carcinoma? Ann Thorac Surg 79 (3): 996-1003, 2005.[PUBMED Abstract]
  7. van der Poel HG, Roukema JA, Horenblas S, et al.: Metastasectomy in renal cell carcinoma: A multicenter retrospective analysis. Eur Urol 35 (3): 197-203, 1999.[PUBMED Abstract]
  8. Eggener SE, Yossepowitch O, Kundu S, et al.: Risk score and metastasectomy independently impact prognosis of patients with recurrent renal cell carcinoma. J Urol 180 (3): 873-8; discussion 878, 2008.[PUBMED Abstract]
  9. Kwak C, Park YH, Jeong CW, et al.: Metastasectomy without systemic therapy in metastatic renal cell carcinoma: comparison with conservative treatment. Urol Int 79 (2): 145-51, 2007.[PUBMED Abstract]
  10. Russo P, O'Brien MF: Surgical intervention in patients with metastatic renal cancer: metastasectomy and cytoreductive nephrectomy. Urol Clin North Am 35 (4): 679-86; viii, 2008.[PUBMED Abstract]
  11. Hofmann HS, Neef H, Krohe K, et al.: Prognostic factors and survival after pulmonary resection of metastatic renal cell carcinoma. Eur Urol 48 (1): 77-81; discussion 81-2, 2005.[PUBMED Abstract]
  12. Wroński M, Arbit E, Russo P, et al.: Surgical resection of brain metastases from renal cell carcinoma in 50 patients. Urology 47 (2): 187-93, 1996.[PUBMED Abstract]
  13. Rini BI, Plimack ER, Stus V, et al.: Pembrolizumab plus Axitinib versus Sunitinib for Advanced Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med 380 (12): 1116-1127, 2019.[PUBMED Abstract]
  14. Motzer RJ, Penkov K, Haanen J, et al.: Avelumab plus Axitinib versus Sunitinib for Advanced Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med 380 (12): 1103-1115, 2019.[PUBMED Abstract]
  15. Motzer RJ, Tannir NM, McDermott DF, et al.: Nivolumab plus Ipilimumab versus Sunitinib in Advanced Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med 378 (14): 1277-1290, 2018.[PUBMED Abstract]
  16. Motzer RJ, Rini BI, McDermott DF, et al.: Nivolumab for Metastatic Renal Cell Carcinoma: Results of a Randomized Phase II Trial. J Clin Oncol 33 (13): 1430-7, 2015.[PUBMED Abstract]
  17. Motzer RJ, Escudier B, McDermott DF, et al.: Nivolumab versus Everolimus in Advanced Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med 373 (19): 1803-13, 2015.[PUBMED Abstract]
  18. Coppin C, Porzsolt F, Awa A, et al.: Immunotherapy for advanced renal cell cancer. Cochrane Database Syst Rev (1): CD001425, 2005.[PUBMED Abstract]
  19. Rosenberg SA, Lotze MT, Muul LM, et al.: A progress report on the treatment of 157 patients with advanced cancer using lymphokine-activated killer cells and interleukin-2 or high-dose interleukin-2 alone. N Engl J Med 316 (15): 889-97, 1987.[PUBMED Abstract]
  20. Fisher RI, Coltman CA, Doroshow JH, et al.: Metastatic renal cancer treated with interleukin-2 and lymphokine-activated killer cells. A phase II clinical trial. Ann Intern Med 108 (4): 518-23, 1988.[PUBMED Abstract]
  21. Weiss GR, Margolin KA, Aronson FR, et al.: A randomized phase II trial of continuous infusion interleukin-2 or bolus injection interleukin-2 plus lymphokine-activated killer cells for advanced renal cell carcinoma. J Clin Oncol 10 (2): 275-81, 1992.[PUBMED Abstract]
  22. Rosenberg SA, Yang JC, Topalian SL, et al.: Treatment of 283 consecutive patients with metastatic melanoma or renal cell cancer using high-dose bolus interleukin 2. JAMA 271 (12): 907-13, 1994 Mar 23-30.[PUBMED Abstract]
  23. Fyfe G, Fisher RI, Rosenberg SA, et al.: Results of treatment of 255 patients with metastatic renal cell carcinoma who received high-dose recombinant interleukin-2 therapy. J Clin Oncol 13 (3): 688-96, 1995.[PUBMED Abstract]
  24. McDermott DF, Regan MM, Clark JI, et al.: Randomized phase III trial of high-dose interleukin-2 versus subcutaneous interleukin-2 and interferon in patients with metastatic renal cell carcinoma. J Clin Oncol 23 (1): 133-41, 2005.[PUBMED Abstract]
  25. Yang JC, Topalian SL, Parkinson D, et al.: Randomized comparison of high-dose and low-dose intravenous interleukin-2 for the therapy of metastatic renal cell carcinoma: an interim report. J Clin Oncol 12 (8): 1572-6, 1994.[PUBMED Abstract]
  26. Sleijfer DT, Janssen RA, Buter J, et al.: Phase II study of subcutaneous interleukin-2 in unselected patients with advanced renal cell cancer on an outpatient basis. J Clin Oncol 10 (7): 1119-23, 1992.[PUBMED Abstract]
  27. Atkins MB, Sparano J, Fisher RI, et al.: Randomized phase II trial of high-dose interleukin-2 either alone or in combination with interferon alfa-2b in advanced renal cell carcinoma. J Clin Oncol 11 (4): 661-70, 1993.[PUBMED Abstract]
  28. Negrier S, Perol D, Ravaud A, et al.: Medroxyprogesterone, interferon alfa-2a, interleukin 2, or combination of both cytokines in patients with metastatic renal carcinoma of intermediate prognosis: results of a randomized controlled trial. Cancer 110 (11): 2468-77, 2007.[PUBMED Abstract]
  29. Rini BI, Escudier B, Tomczak P, et al.: Comparative effectiveness of axitinib versus sorafenib in advanced renal cell carcinoma (AXIS): a randomised phase 3 trial. Lancet 378 (9807): 1931-9, 2011.[PUBMED Abstract]
  30. Motzer RJ, Hutson TE, Tomczak P, et al.: Sunitinib versus interferon alfa in metastatic renal-cell carcinoma. N Engl J Med 356 (2): 115-24, 2007.[PUBMED Abstract]
  31. Motzer RJ, Hutson TE, Tomczak P, et al.: Overall survival and updated results for sunitinib compared with interferon alfa in patients with metastatic renal cell carcinoma. J Clin Oncol 27 (22): 3584-90, 2009.[PUBMED Abstract]
  32. Yang JC, Haworth L, Sherry RM, et al.: A randomized trial of bevacizumab, an anti-vascular endothelial growth factor antibody, for metastatic renal cancer. N Engl J Med 349 (5): 427-34, 2003.[PUBMED Abstract]
  33. Rini BI, Halabi S, Rosenberg JE, et al.: Bevacizumab plus interferon alfa compared with interferon alfa monotherapy in patients with metastatic renal cell carcinoma: CALGB 90206. J Clin Oncol 26 (33): 5422-8, 2008.[PUBMED Abstract]
  34. Escudier B, Pluzanska A, Koralewski P, et al.: Bevacizumab plus interferon alfa-2a for treatment of metastatic renal cell carcinoma: a randomised, double-blind phase III trial. Lancet 370 (9605): 2103-11, 2007.[PUBMED Abstract]
  35. Nexavar® [label information]. Rockville, Md: Center for Drug Evaluation and Research, FDA, 2007. Available online. Last accessed February 19, 2021.[PUBMED Abstract]
  36. Sternberg CN, Davis ID, Mardiak J, et al.: Pazopanib in locally advanced or metastatic renal cell carcinoma: results of a randomized phase III trial. J Clin Oncol 28 (6): 1061-8, 2010.[PUBMED Abstract]
  37. Motzer RJ, Hutson TE, Cella D, et al.: Pazopanib versus sunitinib in metastatic renal-cell carcinoma. N Engl J Med 369 (8): 722-31, 2013.[PUBMED Abstract]
  38. Escudier B, Porta C, Bono P, et al.: Randomized, controlled, double-blind, cross-over trial assessing treatment preference for pazopanib versus sunitinib in patients with metastatic renal cell carcinoma: PISCES Study. J Clin Oncol 32 (14): 1412-8, 2014.[PUBMED Abstract]
  39. Choueiri TK, Escudier B, Powles T, et al.: Cabozantinib versus Everolimus in Advanced Renal-Cell Carcinoma. N Engl J Med 373 (19): 1814-23, 2015.[PUBMED Abstract]
  40. Choueiri TK, Escudier B, Powles T, et al.: Cabozantinib versus everolimus in advanced renal cell carcinoma (METEOR): final results from a randomised, open-label, phase 3 trial. Lancet Oncol 17 (7): 917-927, 2016.[PUBMED Abstract]
  41. Motzer RJ, Escudier B, Powles T, et al.: Long-term follow-up of overall survival for cabozantinib versus everolimus in advanced renal cell carcinoma. Br J Cancer 118 (9): 1176-1178, 2018.[PUBMED Abstract]
  42. Choueiri TK, Halabi S, Sanford BL, et al.: Cabozantinib Versus Sunitinib As Initial Targeted Therapy for Patients With Metastatic Renal Cell Carcinoma of Poor or Intermediate Risk: The Alliance A031203 CABOSUN Trial. J Clin Oncol 35 (6): 591-597, 2017.[PUBMED Abstract]
  43. Choueiri TK, Hessel C, Halabi S, et al.: Cabozantinib versus sunitinib as initial therapy for metastatic renal cell carcinoma of intermediate or poor risk (Alliance A031203 CABOSUN randomised trial): Progression-free survival by independent review and overall survival update. Eur J Cancer 94: 115-125, 2018.[PUBMED Abstract]
  44. Motzer RJ, Escudier B, Tomczak P, et al.: Axitinib versus sorafenib as second-line treatment for advanced renal cell carcinoma: overall survival analysis and updated results from a randomised phase 3 trial. Lancet Oncol 14 (6): 552-62, 2013.[PUBMED Abstract]
  45. Escudier B, Szczylik C, Hutson TE, et al.: Randomized phase II trial of first-line treatment with sorafenib versus interferon Alfa-2a in patients with metastatic renal cell carcinoma. J Clin Oncol 27 (8): 1280-9, 2009.[PUBMED Abstract]
  46. Hudes G, Carducci M, Tomczak P, et al.: Temsirolimus, interferon alfa, or both for advanced renal-cell carcinoma. N Engl J Med 356 (22): 2271-81, 2007.[PUBMED Abstract]
  47. Motzer RJ, Escudier B, Oudard S, et al.: Efficacy of everolimus in advanced renal cell carcinoma: a double-blind, randomised, placebo-controlled phase III trial. Lancet 372 (9637): 449-56, 2008.[PUBMED Abstract]
  48. Motzer RJ, Hutson TE, Glen H, et al.: Lenvatinib, everolimus, and the combination in patients with metastatic renal cell carcinoma: a randomised, phase 2, open-label, multicentre trial. Lancet Oncol 16 (15): 1473-1482, 2015.[PUBMED Abstract]
  49. Escudier B, Bellmunt J, Négrier S, et al.: Phase III trial of bevacizumab plus interferon alfa-2a in patients with metastatic renal cell carcinoma (AVOREN): final analysis of overall survival. J Clin Oncol 28 (13): 2144-50, 2010.[PUBMED Abstract]
  50. Pyrhönen S, Salminen E, Ruutu M, et al.: Prospective randomized trial of interferon alfa-2a plus vinblastine versus vinblastine alone in patients with advanced renal cell cancer. J Clin Oncol 17 (9): 2859-67, 1999.[PUBMED Abstract]
  51. Interferon-alpha and survival in metastatic renal carcinoma: early results of a randomised controlled trial. Medical Research Council Renal Cancer Collaborators. Lancet 353 (9146): 14-7, 1999.[PUBMED Abstract]
  52. Escudier B, Eisen T, Stadler WM, et al.: Sorafenib in advanced clear-cell renal-cell carcinoma. N Engl J Med 356 (2): 125-34, 2007.[PUBMED Abstract]
本要約の変更点 (03/17/2021)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

腎細胞がんに関する一般情報

新規症例数および死亡数の推定値に関する統計が2021年度用に更新された(引用、参考文献1としてAmerican Cancer Society)。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、腎がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Renal Cell Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/kidney/hp/kidney-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389256]

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

免責条項

入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。