医療専門家向け 肺がんのスクリーニング(PDQ®)

ご利用について

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、肺がんのスクリーニングについて、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Screening and Prevention Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

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概要

肺がんの予防小細胞肺がんの治療非小細胞肺がんの治療、およびがんのスクリーニング(検診)と予防の研究に関する証拠レベルについては、別のPDQ要約を参照できるようにしてある。

スクリーニングに関連する有益性の証拠

低線量コンピュータ断層撮影法(LDCT)によるスクリーニング:有益性

2件のランダム化試験により、低線量コンピュータ断層撮影法(LDCT)を用いたスクリーニングに関連した肺がん死亡率の統計的に有意な低下が報告されている。1件の試験では、55~74歳の比較的高リスクの個人(30パック-年以上の喫煙歴があり、現在喫煙者または禁煙してから15年以内の個人)に年3回LDCTを用いたスクリーニングを実施することにより、胸部X線を用いたスクリーニングよりも肺がん死亡率が20%(95%信頼区間[CI]、6.8-26.7;P = 0.004)低下し、全原因死亡率が6.7%(95%CI、1.2-13.6;P = 0.02)低下すると報告された。[ 1 ]更新された解析により、肺がん死亡率の推定減少は16%であると示された(95%CI、5-25)。[ 2 ]もう一方の試験では、高リスクの現在喫煙者および前喫煙者において、4回のLDCTスクリーニングにランダムに割り付けられた男性では、スクリーニングなしにランダムに割り付けられた男性と比較して肺がん死亡率が24%(95%CI、6-39%)低下することが報告された。[ 3 ]

影響の大きさ:肺がん特異的死亡率における約20~24%の相対的低下。

LDCTによるスクリーニング:有害性

偽陽性の検査結果

LDCTスクリーニングでの偽陽性率は高いが、その割合の大きさは陽性スクリーニングの定義により異なる。[ 1 ][ 4 ]偽陽性の検査結果により、侵襲性の高い不必要な診断的検査を受けることになりうる。

影響の大きさ:2件の大規模ランダム化試験、National Lung Screening Trial(NLST)およびNetherlands-Belgium Trial(NELSON)により、スクリーニングごとの平均偽陽性率は、それぞれ23.3%および10.4%であったことが明らかにされた。[ 1 ][ 3 ][ 4 ]Lung-RADS基準に基づいた陽性のLDCTスクリーニングの最近の定義を用いると、NLSTで示された偽陽性率よりもいくぶん低い偽陽性率が得られる。[ 4 ]NLSTにおいてスクリーニング結果で偽陽性となった全体の計0.06%が、スクリーニングに対する診断的検査として実施された侵襲的手技の後に重大な合併症を引き起こした。3回にわたるスクリーニングの間に、肺がんではなかったNLST参加者の1.8%が、陽性のスクリーニング結果後に侵襲的な手技を受けた。

LDCTによる過剰診断

中等度の証拠によると、LDCTスクリーニングで検出された肺がんの一部は、過剰に診断されたがんであると思われる。しかしながら、LDCTスクリーニングのランダム化試験からのデータを用いて典型的に導き出された過剰診断の割合の推定値は大きく異なる。したがって、LDCTスクリーニングでの過剰診断の大きさは不明である。過剰診断されたがんによって、不必要な診断的検査を受けることになり、さらに不必要な治療につながる。診断的検査および治療の有害性は、長期間のおよび/または重度の喫煙者ではリスクを増大させる喫煙に関連する併存疾患のために発生頻度が最も高くなる。

影響の大きさ:不確定。

スクリーニングに関連する有益性が認められない証拠

胸部X線および/または喀痰細胞診によるスクリーニング:有益性

固い証拠によると、胸部X線および/または喀痰細胞診によるスクリーニングは一般集団および喫煙経験者における肺がんによる死亡率を低下させない。

影響の大きさ:該当せず。

胸部X線および/または喀痰細胞診によるスクリーニング:有害性

偽陽性の検査結果

固い証拠によると、胸部X線での偽陽性率は1検査当たり5~10%である。偽陽性の検査結果により、侵襲性の高い不必要な診断的検査を受けることになりうる。

胸部X線および/または喀痰細胞診による過剰診断

中等度の証拠によると、胸部X線および/または喀痰細胞診によるスクリーニングで検出された肺がんの一部は、過剰に診断されたがんであると思われる;しかしながら、過剰診断の大きさは不明である。これらのがんによって、不必要な診断的検査を受け、さらに不必要な治療を受けることになる。診断的検査および治療の有害性は、長期間のおよび/または重度の喫煙者ではリスクを増大させる喫煙に関連する併存疾患のために発生頻度が最も高くなる。

影響の大きさ:不確定。

参考文献
  1. Aberle DR, Adams AM, Berg CD, et al.: Reduced lung-cancer mortality with low-dose computed tomographic screening. N Engl J Med 365 (5): 395-409, 2011.[PUBMED Abstract]
  2. Pinsky PF, Church TR, Izmirlian G, et al.: The National Lung Screening Trial: results stratified by demographics, smoking history, and lung cancer histology. Cancer 119 (22): 3976-83, 2013.[PUBMED Abstract]
  3. de Koning HJ, van der Aalst CM, de Jong PA, et al.: Reduced Lung-Cancer Mortality with Volume CT Screening in a Randomized Trial. N Engl J Med 382 (6): 503-513, 2020.[PUBMED Abstract]
  4. Pinsky PF, Gierada DS, Black W, et al.: Performance of Lung-RADS in the National Lung Screening Trial: a retrospective assessment. Ann Intern Med 162 (7): 485-91, 2015.[PUBMED Abstract]
証拠の記述

発生率および死亡率

肺がんは、米国では3番目によくみられる非皮膚性のがんの型であり、男女ともにがんによる死亡原因の首位である。2020年だけでも116,300人の男性および112,520人の女性が肺がんと診断され、72,500人の男性および63,220人の女性がこの疾患により死亡すると推定されている。かつて数十年間にわたり、男女とも肺がんの死亡率が急速に増大していたが、1991年からは男性の死亡率低下が続いている。2008年から2017年まで、男性の死亡率は1年当たり約4%低下し、女性の死亡率は年当たり3%低下した。[ 1 ]

危険因子

肺がん(他の多数のがんと同様に)の最も重要な危険因子はタバコの使用である。[ 2 ][ 3 ]疫学的データおよび前臨床動物実験データにより、タバコ喫煙は肺がんの主要な原因であることが明確に確立されている。1960年代、英国および米国で全国調査報告が発表され、喫煙のがんリスクが国民の注目を大きく集めて以来、この因果関係は広く認識されている。[ 3 ]タバコ喫煙に起因すると推定される肺がんの割合は、男性で90%、女性で78%である。

肺がんリスクの増加または低下に関連する因子の詳細な記述に関する詳しい情報については、肺がんの予防に関するPDQ要約を参照のこと。

スクリーニングに関連する有益性の証拠

低線量コンピュータ断層撮影法によるスクリーニング

低線量コンピュータ断層撮影法(LDCT)を含む新しい技術を用いた、肺がんスクリーニングを改善するための集中的な努力がなされている。[ 4 ][ 5 ]LDCTは胸部単純撮影より感度が高いことが示された。Early Lung Cancer Action Project(ELCAP)では[ 5 ]、LDCTは胸部X線写真のほぼ6倍多くのI期肺がんを発見し、これらの腫瘍の大部分は直径1cm以下であった。

1件の系統的解析[ 6 ]では、1993年から2004年に60人から5,201人の参加者を対象に実施されたLDCTの13件の観察研究がまとめられた。一部の日本の研究には非喫煙者が含められたが、他の研究は現在および前喫煙者に限定された。結節発見のばらつき - 3~51% - は、以下のいくつかの因子が原因の可能性がある:

全体では、スクリーニングを受けた参加者の1.1~4.7%に肺がんが診断された;これらの診断のほとんどが早期疾患であった。[ 6 ]

National Lung Screening Trial(NLST)により、LDCTを用いたスクリーニングで、30パック-年以上の喫煙歴のある喫煙経験者および禁煙してから15年以内の前喫煙者における肺がん死亡リスクを低下できるという最初の固い証拠が提供された。NLSTには米国各地の33施設で行われた。参加者は、ランダム化時に55~74歳で、少なくとも30パック-年の喫煙歴があり、前喫煙者の場合は禁煙してから15年以内の個人が適格とされた。計53,454人の個人が登録された;26,722人がLDCTによるスクリーニングを受ける群にランダムに割り付けられ、26,732人が胸部X線によるスクリーニングを受ける群にランダムに割り付けられた。LDCTでいずれの方向で測っても4mm以上であることが明らかにされた非石灰化結節およびX線像で特定された非石灰化結節または腫瘤が陽性に分類された。しかしながら、放射線科医は、3回のスクリーニング検査で非石灰化結節が安定していれば、最後の検査を陰性とする選択ができた。LDCT群はX線群よりもスクリーニング検査での陽性率が実質的に高かった(1回目、27.3% vs 9.2%;2回目、27.9% vs 6.2%;3回目、16.8% vs 5.0%)。全体として、LDCT群の参加者の39.1%およびX線群の16.0%では、少なくとも1回のスクリーニングで結果が陽性であった。スクリーニングで陽性となった参加者のうち、肺がんを有した集団(すなわち、陽性適中率)は、LDCT群で3.6%およびX線群で5.5%であった。[ 7 ]

LDCT群では、スクリーニング検査で陽性であった後、649例のがんが診断され、スクリーニング検査で陰性であった後に44例、スクリーニングを受けなかった、あるいはスクリーニング期間完了後に診断を受けた参加者では367例のがんが診断された。X線群では、スクリーニング検査で陽性であった後、279例のがんが診断され、スクリーニング検査で陰性であった後に137例、スクリーニングを受けなかった、あるいはスクリーニング期間完了後に診断を受けた参加者では525例のがんが診断された。LDCT群で356例および胸部X線群で443例が肺がんにより死亡した;追跡期間中央値6.5年時に、肺がんによる死亡率はLDCTスクリーニングによって20%(95%信頼区間[CI]、6.8%-26.7%)相対的に低下した。[ 7 ]更新された解析により、肺がん死亡率の推定減少は16%であると示された(95%CI、5%-25%)。[ 8 ]全体では、死亡率は6.7%(95%CI、1.2%-13.6%)低下した。肺がんによる1例の死亡を防止するために必要となるLDCTスクリーニングの数は320であった。[ 7 ]

NLSTの延長された追跡の解析で、死亡に対する追跡期間中央値12.3年の後にデータが報告された。肺がんによる1例の死亡を防止するために必要となるLDCTスクリーニングの数は推定で303であった。[ 9 ]

NLSTの結果が発表されて以来、LDCTを用いた肺がんスクリーニングによってどのような個人が最も便益が得られるかについての理解が深まっている。[ 10 ][ 11 ][ 12 ]ある研究者グループでは、スクリーニングによって誰に便益が得られるかを評価する個人用のリスクモデルが開発されている。このモデルでは、NLSTの選択基準として使用されていない追加の基準(慢性閉塞性肺疾患の既往、肺がんの個人歴または家族歴、およびより詳細な喫煙歴など)が用いられた。NLSTの選択基準と対照的に、本試験の基準を用いれば、より多くの人がスクリーニングに適格となっていたと考えられ、がん患者の見逃しもなかったであろう。[ 11 ]2つ目のグループはNLSTデータの再解析を実施し、各患者に肺がんが発生するリスクを計算するとともに、各患者の肺がん死亡率を推定した。[ 12 ]研究者らは続いてNLST参加者をリスクに基づいて5つの集団に分類した。低リスク群において1人の肺がん死を回避するためにスクリーニングが必要な人数は5,276人であった;高リスク群では1人の肺がん死を回避するためにスクリーニングが必要な人数は161人であった。さらに、偽陽性スクリーニングの数は、リスクが五分位最下位群の1,648から最上位群の65に減少した。リスクが高い3つの五分位群でスクリーニングによる死亡数減少の88%を占めた一方、リスクが五分位最下位群では死亡数減少の1%しか占めていなかった。これらの研究により、スクリーニングで最も便益が得られる患者集団の決定が改善され、偽陽性を減少させられる可能性があり、こうした評価に付随する有害事象に関係した潜在的な悪影響を減少させられることが示されている。個人のリスクを計算することで得られる別の有益性の1つは、患者がスクリーニングを受診するかどうかを決定できるように、患者の所見を共有化した意思決定プロセスに組み入れることができる点である。[ 12 ]しかしながら、肺がんまたは肺がん死亡リスクの予測に使用された10モデルについて行われた比較から、全モデルのうち4モデルは十分に較正され、妥当な識別能があることが判明したが、これらのモデルのいずれも喫煙歴のある個人における肺がんリスク同定について他のモデルより優れているとはみなされなかった。モデル化の弱点に取り組むためにさらなる研究が必要である。[ 13 ]

ベルギーおよびオランダで実施されたNELSON試験(Nederlands-Leuvens Longkanker Screenings Onderzoek)では、喫煙者(男性13,195人、女性2,594人、性別不明3人)におけるCTによる肺がんスクリーニングが調査され、陽性には容積の基準(volume criterion)が用いられた。[ 14 ]参加者は、喫煙歴やその他のデータに関する質問票への回答に基づいて上記2国の集団登録から募集された。現在喫煙者または禁煙後10年未満で、25年以上1日16本以上の喫煙歴または30年以上1日11本以上の喫煙歴のある個人が適格とされた。重篤な併存疾患を有するか、以前にがんを経験している個人は除外された。患者はすべて、通常ケアまたは初回スクリーニングとその後、1年、2年、2.5年の間隔で3回のスクリーニングのいずれかに等しくランダムに割り付けられた。スクリーニング検査はLDCTで、肺結節のセグメンテーションおよび容積を測定するために教師ありソフトウェアによりレトロスペクティブに解析された。最短で10年間の追跡後、スクリーニング群に割り付けられた男性の平均で90%が各スクリーニングの機会に検査に応じ、2.1%が診断のために紹介された。これらの男性の肺がん発生率は1,000人年当たり5.58人で、肺がん特異的死亡率は1,000人年当たり2.5人であったのに対し、通常ケアに割り付けられた男性では発生率は1,000人年当たり4.91人および死亡率は3.3人であった。スクリーニングに対する死亡率比は0.76(95%CI、0.61-0.94)であった。[ 14 ]

NELSON研究では、胸部X線群の代わりに通常ケア群が用いられたが、結果は肺がん死亡率への効果と過剰診断の両方について、上述の主要なNLSTの結果と一致している。NELSON研究のコホートをNLSTの喫煙に関する適格性を満たしたサブグループに限定すると、死亡率の結果はさらにいっそう類似した。しかしながら、2件の研究はいくつかの点で異なっていた。NLSTでは、喫煙者における肺がん死亡率への主要な効果と一致して全原因死亡率の低下が観察された。NELSON研究ではそうした効果は認められなかった。さらに、NELSONでは健常志願者効果は観察されなかった一方、NLSTではかなりの影響が報告された。しかしながら、このような研究間の差によって、肺がん死亡率への主要な効果が疑われることはないが、このような不一致をより良く理解するためにさらなる解析が促される可能性がある。

LDCTと非スクリーニング群を比較しているLDCTのこの他のより小規模なランダム化臨床試験(RCT)がいくつかの国で進行中であるか、既に完了している。[ 15 ][ 16 ][ 17 ][ 18 ][ 19 ][ 20 ]こうした小規模試験はエンドポイントとして死亡率を評価する検出力はないが、これらの研究の知見をNELSON試験のデータ(データが十分に揃ってから)と統合する取り組みが進行中である。これらの研究によって、NLSTの知見との一貫性を評価できる可能性もある。進行中の試験から収集されたデータに加えて、費用対効果や生活の質のほか、NLSTに登録した個人よりも年齢の低い個人や喫煙への曝露が30パック-年に満たない個人に対してもスクリーニングの利益があるかどうかなど、肺がんスクリーニングにおける他の重要な問題を調査するために、NLST、NELSON、および他の完了した試験のデータが解析される予定である。米国のProstate, Lung, Colorectal and Ovarian(PLCO)Cancer Screening Trialからのデータにより、スクリーニングを実施しない場合、20~29パック-年の喫煙歴を有する現在喫煙者に対する肺がん死のリスクは、禁煙後15年以内で30パック超-年の喫煙歴を有する前喫煙者のリスクと変わらないことが示唆されている(ハザード比、1.07;CI、0.75-1.5)。[ 21 ]20~29パック-年の喫煙歴を有する現在喫煙者群のリスクは前喫煙者群(米国のPreventive Services Task ForceによりLDCTスクリーニングが推奨されている)のリスクと変わらないものの、20~29パック-年の喫煙歴を有する現在喫煙者群におけるスクリーニングの効力は不明である。[ 21 ]

[注: 患者と医師が肺がんに対するLDCTスクリーニングの有益性と有害性を評価しやすくするための指針が発表されている。]

スクリーニングと禁煙

肺がんスクリーニングの対象集団は一般集団と比較して現在喫煙者の割合が高い。肺がんスクリーニングプログラムは潜在的に禁煙の可能性に影響することがあり、理論的にはスクリーニングで肺の異常が発見されたスクリーニング受診者における禁煙を推進する。その反面、スクリーニングで肺の異常を示す証拠が認められなかった受診者では、スクリーニングは禁煙の妨害にもなりうる。デンマークのLung Cancer Screening Trialは、50~70歳で少なくとも20パック-年の喫煙歴を有する参加者におけるLDCTと介入なしとを比較したランダム化試験である。[ 23 ]禁煙した参加者の割合が5年間毎年の追跡調査で監視され、ベースライン時(CT群と対照群それぞれで23%の元喫煙者)から5年後の追跡調査(両群で43%の元喫煙者)まで2群間で実質的に同じままであった。これら2つのランダム化群の比較で、禁煙の可能性に対するCTスクリーニングプログラムの正味の効果は全く認められなかったことが示されている。

別の報告ではNLSTからのデータが用いられ、スクリーニングの結果が禁煙の可能性に影響するかどうかの問題が扱われた。[ 24 ]NLSTではCTと胸部X線が比較され、両群のデータをプールして異常な所見が禁煙の可能性に及ぼす影響について調査された。異常な所見が認められなかった被験者と比較して、スクリーニング検査で肺がんが疑われた(ただし、肺がんではなかった)現在喫煙者は、1年後に禁煙している可能性が有意に高かった。肺がんの疑いがない大きな肺の異常または軽度の異常が認められた被検者では、禁煙との関連は弱く、一様に統計的に有意ではなかった。

3番目の研究で、LDCTスキャンに関する英国のLung Cancer Screeningパイロット試験によると、スクリーニングに伴って短期および長期の禁煙に統計的に有意な増加がみられ、この効果は最初のスクリーニング検査が陽性であった人で最も大きく、さらに臨床研究が必要なことが明らかにされた。[ 25 ]

これらの研究の結果から、CTプログラムが禁煙に及ぼす正味の影響はさまざまであるが[ 23 ]、肺がんが疑われる所見が得られた現在喫煙者で禁煙の可能性が高まると考えられることが示唆される。[ 24 ]これは、明確にする必要のある重要な研究領域である。

2010年から2017年に発表された85件のRCTを含む1件のメタアナリシス[ 26 ]により、電気的/ウェブベースの個別面談形式のカウンセリング、および薬物療法による治療介入は、肺がんスクリーニングに適格な集団における禁煙成功のオッズを有意に増加させると結論付けられた。

スクリーニングに関連する有益性が認められない証拠

胸部X線および/または喀痰細胞診によるスクリーニング

肺がんスクリーニングの問題は、肺がんの発生率と死亡率が上昇し、介入が必要であると示されていた1950年代にさかのぼる。出現しつつある肺がんの問題を受けて、胸部画像検査に関する5件の研究(このうち、2件は対照試験であった)が1950年代から1960年代に実施された。[ 27 ][ 28 ][ 29 ][ 30 ][ 31 ][ 32 ][ 33 ][ 34 ]2件の研究では喀痰細胞診も行われた。[ 27 ][ 28 ][ 29 ][ 30 ][ 31 ]これらの研究の結果からはスクリーニングの全般的な有益性は示唆されなかったが、研究デザインに制限があったため、これらの研究からは決定的な証拠は提供されなかった。

1970年代初頭に、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)からCooperative Early Lung Cancer Detection Program[ 35 ]に研究資金が提供され、このプログラムでは男性喫煙者における肺がん死亡率を低下させるための胸部X線画像と喀痰細胞診によるスクリーニングの能力を評価するようにデザインされた。プログラムは別個の3件のRCTで構成され、各試験には過去1年間に少なくとも1パック/日の喫煙をしていた45歳以上の男性参加者約10,000人が登録していた。研究はそれぞれ、Mayo Clinic[ 36 ][ 37 ][ 38 ]、Johns Hopkins University[ 39 ][ 40 ][ 41 ]、およびMemorial Sloan-Kettering Cancer Centerで実施された。[ 41 ][ 42 ][ 43 ][ 44 ]HopkinsおよびSloan-Kettering研究では同じデザインが用いられた:介入群にランダムに割り付けられた個人は4ヵ月ごとに喀痰細胞診および年1回の胸部画像検査を受け、対照群にランダムに割り付けられた個人は年1回の胸部画像検査を受けた。どちらの研究もスクリーニングによる肺がん死亡率の低下は観察されなかった。[ 41 ]2件の研究では、喀痰細胞診は、年1回の胸部X線レジメンに付加する場合、頻繁に行っても有益性は示さないものとして解釈された。

Mayo Clinic研究(Mayo Lung Project、またはMLPとして知られる)のデザインは他の2件と異なっていた。潜在的な参加者全員が胸部画像検査と喀痰細胞診によるスクリーニングを受け、肺がんを有することが明らかになったか、疑われる個人のほか、健康状態が不良な個人は除外された。残りの個人が、6年間4ヵ月ごとに胸部画像検査と喀痰細胞診を受ける介入群、または年1回同じ検査を受けるように試験登録時に一度だけ推奨された対照群にランダムに割り付けられた。肺がん死亡率の低下は観察されなかった。MLPは、1970年代に胸部X線検査と喀痰細胞診による集中的なスクリーニングレジメンに有益性は認められないものとして解釈された。

胸部画像検査を用いた肺がんスクリーニングの1件のRCTが1970年代にヨーロッパで実施された。このチェコスロバキアの研究は、生涯のタバコ消費が少なくとも15万本以上で40~64歳の現在喫煙者男性6,364人の有病率のスクリーニング(胸部画像検査と喀痰細胞診)から開始された。[ 45 ][ 46 ]有病率のスクリーニングの結果として肺がんを診断された18人を除くすべての参加者が、次の2群の1つにランダムに割り付けられた:3年間、年2回のスクリーニングを受ける介入群;または3年目にのみスクリーニングを受ける対照群。研究者による報告では、介入群の肺がん死は19例、対照群では13例であり、頻繁なスクリーニングは不要であると結論付けられた。

1990年になっても、医学界では依然として、(従来の胸部X線を用いる)胸部画像検査によるスクリーニングと肺がん死亡率との関係が把握されていなかった。以前の研究では有益性が示されなかったが、所見は統計的検出力が不足していたために最終的な結論を下すことができなかった。十分な統計的検出力をもつ多相性試験、PLCO Cancer Screening Trial[ 47 ]が1992年に開始された。PLCOには女性(50%)や非喫煙者(45%)を含む55~74歳の参加者154,901人が登録した。半数がスクリーニング群にランダムに割り付けられ、残りの半数は通常の医療を受けるように助言された。PLCOでは肺がん死亡率における20%の低下を検出するため、検出力は90%とされた。

PLCOの肺がんスクリーニングでは、年1回の1方向(背腹方向)胸部X線撮影により、通常の医療と比較して肺がん死亡率を低下させることができるかという問題が扱われた。研究開始時は、スクリーニングにランダムに割り付けられたすべての参加者がベースライン時と年1回の胸部X線撮影を3回受けるように勧められたが、プロトコルは最終的に非喫煙者に対しては3回のみのスクリーニングに変更された。13年の追跡時に、介入群では1,213例の肺がん死亡が観察されたのに対し、通常の医療群では1,230例の肺がん死亡が観察された(死亡の相対リスク、0.99;95%CI、0.87-1.22)。サブアナリシスでは、性別または喫煙状態による鑑別的効果は示されなかった。[ 47 ]

証拠が十分かつ一貫しているほか、PLCO試験では有益性が観察されなかったことから、胸部X線撮影および/または喀痰細胞診による肺がんスクリーニングは性別または喫煙状態に関係なく、肺がん死亡率を低下させないと結論付けるのが妥当である。

参考文献
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スクリーニングの有害性

低線量コンピュータ断層撮影法によるスクリーニング

偽陽性の検査結果

偽陽性の検査結果は、肺がんスクリーニングにおいては特に問題がある。肺がんスクリーニングを受ける可能性が最も高い個人(すなわち、重度の喫煙者)は、特定の診断的検査の候補として望ましくない併存疾患(慢性閉塞性肺疾患や心疾患など)を有する。

低線量コンピュータ断層撮影法(LDCT)を用いた肺がんスクリーニングを評価する場合には、偽陽性検査結果を考慮する必要がある。偽陽性検査は、不安や、経皮的針肺生検または胸腔切開術のような侵襲的な診断的検査につながることがある。偽陽性所見の割合は研究間でかなり異なっており、それは主として陽性スキャンの定義方法(大きさの基準)、断面間で設定されるスライスの厚さ(スライスの厚さが薄いほど多くの結節が検出される)の差、および肉芽腫性疾患の有病率が高い地域に被検者が居住しているかどうかが原因である。

National Lung Screening Trial(NLST)において、偽陽性率は、ベースライン時に24%、およびその後2回のスクリーニングについて27%および16%であった。[ 1 ]20件の研究(NLSTを含む)の系統的レビューにおいて、偽陽性率中央値はベースラインのスクリーニング時に20.5%(範囲、1~49%)およびベースライン後のスクリーニング時に9.5%(範囲、1~42%)であった。[ 2 ]偽陽性率は一般的にベースライン後のスクリーニング時には低くなるが、それは以前のスクリーニングが利用できる場合に結節の増殖速度の評価が可能で、安定している(増殖していない)結節はしばしば陰性のスクリーニング結果を示すためである。LDCT所見を評価するLung-RADs基準は、米国で広く使用されており、スクリーニング陽性を決定するNLST基準より厳格である上に、NLSTでみられるものより偽陽性率を低下させる能力を有する。[ 3 ]

診断的評価および下流の合併症

肺がんに対するコンピュータ断層撮影(CT)スクリーニングの有益性および有害性に関する系統的レビューで、さまざまな診断結果について21件の研究が要約されたが、すべての研究ですべての結果が報告されたわけではなかった。[ 2 ]結節が報告された後の診断的CT画像の割合は、スクリーニングを受けたすべての個人のうち0~45%とさまざまであった。ポジトロン放射断層撮影スキャンはスクリーニングを受けた個人の2.5~5.5%に実施された。非外科的な生検または手技の頻度はスクリーニングを受けた個人の0.7~4.4%に及び、生検で良性の結果の所見は6~79%に及んだ。スクリーニングで発見された結節に対する外科的切除の割合は、スクリーニングを受けた個人の0.9~5.6%であった;これらのうち、結果が良性であった割合は6~45%であった。

NLSTでは、重大な合併症のほとんどが肺がんを診断された患者に実施された侵襲的手技および手術に関係しており、重大な合併症の発生率は11.8%であった。NLSTの合併症発生率は地域の設定に一般化できない可能性がある;NLSTの参加者は、スクリーニングに適格となる米国の一般集団における喫煙者および前喫煙者の集団よりも年齢が低く、教育水準が高く、現在喫煙者である可能性が低かった(したがって、より健康的であった)。注目すべきこととして、参加者の82%が大規模な学術医療センターで登録し、参加者の76%が米国国立がん研究所指定のがんセンターで登録されていた。ただし、診断的追跡検査はNLSTスクリーニング施設で必ずしも実施されず、地域の設定で実施された可能性がある。このことが、NLSTでは合併症発生率および手術での死亡率(1%)が低い理由を説明している可能性がある。これらの所見から、多社会向け政策方針書がNLSTと同等の患者管理資源を有する施設でスクリーニングを実施すべきであると強く推奨するに至った。[ 4 ]

地域診療のレトロスペクティブ・コホート研究から、肺がんスクリーニングを通じて発見された肺の異常に対して施行された侵襲的な診断的検査の合併症発生率および下流の医療費が間接的に推定された。[ 5 ]22.2%(55~64歳の患者)および23.8%(65~77歳の患者)という合併症発生率が観察されたが、これはNLSTで報告された率(8.5~9.8%)より2倍以上高かった。合併症を管理するための平均費用は$6,320(軽度の合併症)~$56,845(重大な合併症)に及んだ。これらのデータから、比較臨床試験の状況で実施されたNLSTは、地域環境での有害事象の可能性および下流費用の高さを過小評価していた可能性があることが示唆されている。研究の限界として、肺がんスクリーニングに対する患者の適格性、スクリーニングに対する追跡調査として診断的検査は一般的に実施されていないという事実、合併症が患者の健康状態の不良および治療の低品質に影響を受けていた程度に関する情報がなかったことが挙げられる。こうした研究の限界にもかかわらず、このような結果はリスク、有益性、および共同での意思決定についての議論の必要性を強調している。[ 5 ]

過剰診断

あまり知られていない害悪は過剰診断で、もしスクリーニングによって検出されていなければ、臨床的に意味のある状態になっていなかったと考えられる状態を診断してしまうことである[ 6 ]-すなわち、患者がそのがんを診断されていなければ、患者は別の原因で死亡していたであろう。LDCTによるスクリーニングを実施する場合、過剰診断は不必要な肺がん診断を招き、これにより治療(例、肺葉切除術、化学療法、および放射線療法)の併用が行われる可能性がある。複数の剖検研究により、かなりの数の個人が肺がんのために死亡するというよりもむしろ肺がんが認められる状況で死亡することが示唆されている。1件の研究では、剖検時に発見された全肺がんのうち約1/6が生前に臨床的に認知されていなかったことが分かった。[ 7 ]これは過小評価されている可能性がある;剖検の範囲によっては、CTで検出可能な小規模の肺がんの多くが剖検記録には記録されない可能性がある。[ 8 ]日本の複数の研究により、LDCTを用いたスクリーニングがかなりの量の過剰診断を招きうるというさらなる証拠が提供された。[ 9 ]

過剰診断を評価するための1つのアプローチとして、LDCTで発見された肺腫瘍の容積倍増時間の調査がある。1件の研究で、61の肺がんの容積倍増時間が指数モデルと連続CT画像を用いて推定された。病変は次の3つのタイプに分類された:タイプG(スリガラス様陰影)、タイプGS(中心部に充実部分を有する巣状性スリガラス様陰影)およびタイプS(充実性結節)である。

平均容積倍増時間はタイプG、タイプGS、およびタイプSがそれぞれ813日、457日、および149日であった。この研究で、毎年のCTスクリーニングにより、胸部X線で描出不可能な緩除に成長する腺がんが多数同定されたことから、過剰診断が示唆される。[ 10 ]

参加者5,000人以上のスクリーニングコホートにおいて、過剰診断の代用として容積倍増時間が用いられた。外科的切除前の容積倍増時間が400日以上と計算された患者は、増殖が遅いまたは緩除ながんを有するものと考えられた。[ 11 ] 研究者らにより、発生がんの25%(120例中31例)が増殖が遅いまたは緩除な腫瘍の基準を満たしたことが明らかにされた。[ 11 ]この割合は以前の胸部X線スクリーニング研究および他の固形腫瘍と一致している。

過剰診断を評価するための別のアプローチは、LDCTスクリーニングに関するランダム化試験において集団間で肺がん発生率を比較することである。NLSTからのデータにより、追跡期間中央値6.5年後(すなわち、計画された最後のスクリーニングから4.5年後)に胸部X線集団と比較してLDCT集団では約120例多い肺がん症例がみられることが示された。このことは、スクリーニングで発見された肺がん(N = 649)の18%が過剰診断であったことを示唆している。[ 12 ]しかしながら、中央値にして11.3年の発生がんの追跡に基づくNLSTの延長された追跡を解析したところ、LDCT群における過剰ながんははるかに少なく統計的に有意ではない20例のみであり、LDCTスクリーニングにより発見された過剰診断されたがんの割合は3%であったと推定された。NLST対照群は胸部X線でスクリーニングされており、したがって技術的には上記の過剰診断の推定値は胸部X線スクリーニングで診断された値との比較であって、スクリーニングなしで診断された値との比較ではないことに注意すること。

LDCTスクリーニングによる過剰診断の追加の証拠が、デンマークのランダム化Lung Cancer Screening Trialで観察された。追跡10年目(最後のスクリーニング検査後5年)に、スクリーニング群では対照群よりもほぼ2倍多くの肺がんが診断された:1,000人年当たり5.1例 vs 2.7例または計4,104人の参加者において、それぞれ肺がん症例100例 vs 53例。ほとんどの肺がんが早期の腺がんであり、2群間でIII期およびIV期がんの数に統計的有意差は認められなかった。[ 13 ]過剰診断は67%と推定された。[ 14 ]LDCTスクリーニングに関するこの他3件の小規模試験において、1件では対照群よりもLDCTにおける肺がん発生率の境界有意性の増加(P = 0.04)が示され、過剰診断が示唆されたが、残りの2件の試験では集団間で肺がん発生率における有意差は認められなかった。[ 15 ][ 16 ][ 17 ]NELSON試験(Nederlands-Leuvens Longkanker Screenings Onderzoek)では、最後のスクリーニング後4.5年の追跡で、過剰診断の割合は19.7%(95%信頼区間[CI]、-5%~42%)であった。[ 18 ]

NLSTの過剰診断の推定値は、胸部X線スクリーニングで診断されていたであろう値と比較される;そのため、これらを解釈するには、胸部X線スクリーニングを用いた場合の過剰診断の程度を推定する必要があり、NLSTと同様の時期と集団を対象としていることが望ましい。そうした推定値は、胸部X線スクリーニングと通常ケアを比較したU.S. Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian(PLCO)Cancer Screening Trialの特にNLST適格性基準を満たしたPLCO試験参加者のサブセットから得られる。これらのデータで過剰診断の証拠は示されず、計画された最後のスクリーニングから3年間の追跡後に胸部X線および通常ケア群において診断された肺がんの数は本質的に同等であった(率比、1.00)。[ 19 ]

放射線曝露

LDCTスクリーニングによる別の潜在的なリスクは放射線曝露である。平均曝露は低い;NLSTにおけるLDCTに対する平均実効線量は、1.4(SD = 0.5)mSvであった。3年間のスクリーニングで、NLST参加者は平均で8mSvの放射線(これはスクリーニングとスクリーニングで発見された結節の追加の画像検査のための放射線に相当する)に曝露したと推定されている。2016年から2017年に米国の72の施設で12,000人以上の患者に実施されたLDCTスクリーニングに関する研究で、平均実効線量は1.2(SD = 1.1)mSvであったことが明らかにされた。こうした施設のほぼ2/3(65%)で、実効線量中央値はAmerican College of Radiologyガイドラインの1mSvよりも高かった。放射線曝露およびがん発生に関する以前の取り組みをモデル化すると、NLSTなどのスクリーニングプログラムへの参加者において2,500回のスクリーニングで1例の死亡が起こる可能性が示唆されているが、960回のスクリーニングで約1例の死亡が回避されるというスクリーニングの便益の方がリスクを実質的に上回っている。比較的年齢の低い人および肺がんの明らかなリスクを有さない人では、肺がん死を免れるよりもスクリーニングによる放射線誘発性の肺がんに苦しむ可能性が高くなる場合がある。[ 2 ]

胸部X線および/または喀痰細胞診によるスクリーニング

偽陽性の検査結果

PLCO Cancer Screening Trialにおいて、胸部X線スクリーニングによる偽陽性率は、4回のスクリーニングで1検査当たり6.8~8.7%であった。[ 20 ]NLST胸部X線群における偽陽性率は大部分がほぼ同じであった(範囲、3回のスクリーニングで4.7~8.7%)。[ 1 ]

診断的評価および下流の合併症

NLST胸部X線群において、ベースラインのスクリーニングが陽性であった被験者のうち、86%が診断的検査として画像検査を受け、5%が気管支鏡検査を受け、5%が外科的手技を受けた。ベースライン後のスクリーニングが陽性であった後の診断的画像検査の割合はわずかに低かったが、気管支鏡検査および外科的手技の割合はほぼ同じであった。偽陽性となったスクリーニングのうち計0.3%が侵襲的診断的検査の合併症に関連した。[ 1 ]

PLCO試験において、少なくとも1回以上スクリーニング検査で偽陽性となり診断的評価を受けた参加者の0.4%が診断的手技に関連した合併症を経験した。[ 19 ]69件の合併症の中で最も一般的であったのは、気胸(29%)、無気肺(15%)、および感染症(10%)であった。

過剰診断

胸部X線および喀痰細胞診スクリーニングに関するMayo Lung Project試験において、計画された最後のスクリーニングから5年間の追跡後に、スクリーニング群では206例のがんが診断されたのに対し、対照群では160例のがんが診断された。[ 21 ]スクリーニング群における90例のスクリーニングにより発見されたがんに基づいて、過剰診断の割合は51%(すなわち、[206-160]/90)と算出される。PLCO試験において13年間追跡した後、介入群では1,696例の肺がんが診断されたのに対し、通常ケア群では1,620例の肺がんが診断されており、この試験で胸部X線スクリーニングで診断された307例のがんのうち約25%は過剰診断されていたことが示唆されている。[ 19 ]しかしながら、PLCO試験における肺がんの発生率は介入群と通常ケア群との間で有意差が認められなかった(率比、1.05;95%CI、0.98-1.12)ことから、過剰診断は存在しないという帰無仮説を棄却できないことが示されている。

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説明を受けた上での医学的意思決定

説明を受けた上での医学的意思決定は、がんのスクリーニングを検討している患者に対して、ますます推奨されている。多種多様な意思決定支援が研究されている。(詳しい情報については、がんスクリーニングの概要に関するPDQ要約を参照のこと。)

本要約の変更点(05/27/2020)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約は包括的に見直され、広範囲にわたって改訂された。

本要約はPDQ Screening and Prevention Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、肺がんのスクリーニングについて、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Screening and Prevention Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

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本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Screening and Prevention Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

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