CONTENTS
- 序
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PDQ Screening and Prevention Editorial Boardは、がんのスクリーニングおよび予防介入の実施における有益性と有害性の両方について、影響の大きさ(絶対および相対リスクを含む)に関する証拠レベルの見解を要約する。編集委員会は問題となる介入を実施することの健康上の影響に対する推定の確からしさを示すため、「証拠レベル」という用語を用いる。
さまざまなレベルの証拠がPDQのスクリーニングまたは予防の各概要を支持している。健康上のアウトカムに対する影響の方向や大きさを狭い範囲内で示す証拠を「固い」証拠と呼ぶ。より広い範囲において健康上のアウトカムの方向および大きさの推定を可能とする証拠で、かなり確かな推定を可能とする証拠を「中等度の」証拠と呼ぶ。評価が不可能または非常に広い推定のみを可能とする証拠を「不十分な」証拠と呼ぶ。
最も高い証拠レベル(「固い」)は、一般化が可能な設定で一般化が可能な集団を用い、有益性と有害性の両方についての証拠を報告する、デザインと運営が優れた数件のランダム化対照試験(RCT)から得られるものである。しかしながら、スクリーニングおよび予防の分野内における全ての問題に対処するためにこのような試験を実施するのは、必ずしも現実的でない。そこで、PDQ編集委員会は一般集団における介入の有益性および有害性の推定において、「中等度の」証拠を検討する。介入の有益性および/または有害性に関する証拠が「不十分な」場合、委員会はこの知見を述べる。
PDQ編集委員会は証拠を2段階で評価する。第1段階は証拠を5つの分野(下記を参照)に分けて記述することであり、第2段階はその総体的証拠「レベル」を「固い」、「中等度の」、または「不十分な」と判定することである。委員会は各介入の潜在的な有益性および有害性に対し、個別に同じプロセスを実施する。PDQ編集委員会は介入の「純有益性」(すなわち、有益性マイナス有害性)の明示的な評価、および推奨は行わない。
委員会で論議されている問題は、介入の一般集団への導入から来る重要な健康上の影響の方向と大きさを決定することである。これは効力のみ、というよりむしろ有効性の問題であり、委員会は効力と同様有効性に関する証拠も模索する。効力に関する証拠のみが入手可能な場合、委員会は広範囲な実施における実際の健康上のインパクトを推定するのに伴う付加的不確実性を判断しなくてはならない。
- 証拠の評価
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証拠の評価における2つの段階を下記に述べる。
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証拠の記述 (PDQ編集委員会は有益性および有害性に対し同じプロセスを用いる。ここでいう「証拠」とは広範囲な実施における健康上の影響の大きさへの疑問に答えることに関連する証拠を指す。)
分野
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研究デザイン(入手可能な最も優れた研究からの証拠;強さの降順で並ぶ)
- 複数のランダム化対照試験から得られた証拠(下記を参照)。
- 複数の非ランダム化対照試験から得られた証拠。
- 複数のコホートまたはケースコントロール研究から得られた証拠。
- 複数の生態学的研究および記述研究から得られた証拠(例えば、国際パターン研究、時系列研究)。
- 臨床経験、記述研究または専門委員会の報告に基づく権威の意見。
- 内部妥当性:研究デザイン内での実施の「質」
- 証拠の一貫性(筋が通っていること)/量
- 健康上のアウトカムに対する影響の大きさ(絶対および相対リスクの両方;可能な限り量的;集団によって異なる)
- 外部妥当性
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研究デザイン(入手可能な最も優れた研究からの証拠;強さの降順で並ぶ)
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証拠の評価
- 広範囲の実施における健康上の影響(有益性および有害性の両方)の方向と大きさに関する見解の確実性のレベル(固い、中等度の、不十分な)。
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例:有益性の記述
選択肢1:「[固い/中等度の]証拠に基づき、[集団Yにおいて、適切な場合]介入Xの使用が、(特定の有益性)の減少/増加につながる。」[有益性の証拠の章では、実際の証拠が詳述され、特定の有益性の方向と大きさの証拠および評価を含む。]
選択肢2:「有益性の明確な決定を行うには証拠が不十分である。」(証拠の量または質が不十分な場合に使用。)状況に応じた代替フォーマット:「(予防サービス)が(健康問題)を臨床においてまたは公衆衛生において意味を持つほどに減少させるかどうかを決定するには証拠が不十分である。」(必要に応じて、さらなる説明または明確化を行う。)どのような結果によって証拠が不十分であるかを記述する必要がある。すなわち、死亡率への影響を評価する。
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例:有害性の記述
選択肢1:「[固い/中等度の]証拠に基づき、[集団Yにおいて]介入Xの使用が、(特定の害)の減少/増加につながる。」[有害性の証拠の章では、実際の証拠は詳述され、特定の有害性の方向と大きさの証拠および評価を含む。]
選択肢2:「有益性の明確な決定を行うには証拠が不十分である。」(証拠の量または質が不十分な場合に使用。)状況に応じた代替フォーマット:「(予防サービス)が(健康問題)を臨床においてまたは公衆衛生において意味を持つほどに減少させるかどうかを決定するには証拠が不十分である。」(必要に応じて、さらなる説明または明確化を行う。)どのような結果によって証拠が不十分であるかを記述する必要がある。すなわち、死亡率への影響を評価する。
参考文献- Harris RP, Helfand M, Woolf SH, et al.: Current methods of the US Preventive Services Task Force: a review of the process. Am J Prev Med 20 (3 Suppl): 21-35, 2001.[PUBMED Abstract]
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証拠の記述 (PDQ編集委員会は有益性および有害性に対し同じプロセスを用いる。ここでいう「証拠」とは広範囲な実施における健康上の影響の大きさへの疑問に答えることに関連する証拠を指す。)
- 質の評価に関する注釈
- 意味論:一団の証拠「レベル」を、証拠から可能となる評価の確からしさと考えうる。これはまた、特定の問題に対処するための証拠の「質」とも考えられる。「質」という言葉は他の意味を持ちうるため(例えば、個々の研究が与えられた基準を満たしている範囲)、編集委員会は「レベル」という言葉を用いる。
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確からしさ:確からしさはいくつかの方法で検討され、内一つの方法は帰納的「信頼区間」を用いる。この「信頼区間」は統計的に算出されるものではなく、総体的証拠と一致した介入の影響の方向と大きさに対する値の範囲の編集委員会の評価を表す「概念的信頼区間」(CCI)のことである。このCCIは、(単に効力の問題ではなく)有効性に関する疑問に回答しようと努めている。論議されている問題は:
ルーチンの診療においてその介入が広く実施された場合、どのような健康上の影響があるか。一般化可能な検査および治療を用いて、一般化可能な集団において実施されなければ、たとえ運営の優れたRCTでさえ「強い」証拠を提供できない。厳選された集団において実施されたRCTに基づく証拠のCCIは、その影響が一般集団においても同様であろうと考える理由がない限り、狭いとは言えずむしろ広い(「固い」に対して「中等度な」)。
- 有益性:潜在的な有益性には、死亡率の低下(疾患特異的か全死亡率かは留意すべきである)、QOLの改善、機能の改善、および侵襲的手技または治療の減少がある。1件のRCTにおける死亡率の低下が疾患特異的で全死亡率の低下傾向を伴わない場合、編集委員会はこの疾患特異的死亡率減少の全死亡率に対する寄与をやや不確かなものと考える。論議されている問題が全原因死亡率の問題であるため、全死亡率低下の他の徴候がない疾患特異的死亡率の低下のみの研究に対するCCIは、全死亡率低下の徴候がある場合より広い範囲とみなされるであろう。
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有害性:有害性は3つのカテゴリーで考慮される:
- 心理的(しばしば、偽陽性検査または臨床的重要性のない「中間的」状態という診断の後の烙印または不安による)。
- 診断またはモニタリング検査による合併症(例えば、FOBT陽性に対する穿孔を伴う結腸鏡検査)。
- 治療、特に、有益性がない治療(例えば、「過剰診断」における)による合併症または副作用。
- 推定:有益性また有害性のいずれかの存在および大きさの推定は、間接的証拠の推定に基づく;推定の程度が各推定値のCCIを決定する。例えば、証拠は、卵巣がんのスクリーニングが多くの偽陽性検査に帰着する(当疾患の低有病率による)ことを示すが、それに対する精密検査は侵襲的手技である。他の証拠は、合併症のみならず不快感、不安、および減じた通常の活動時間など、侵襲的精密検査の影響に関する推定を提供しうる。それゆえ、スクリーニングの有害性に対するその証拠は間接的であるが(すなわち、スクリーニングのRCTからではない)、少なくとも有害性に関する「中等度の」証拠を提供する(すなわち、中間幅のCCI)。
- 判断:「質」(内部妥当性)、一貫性/筋が通っていること、外部妥当性、および総体的証拠「レベル」の評価など、この過程におけるいくつかの段階で判断が必要となる。各ケースにおいて、理論的根拠と結論が可能な限り明白でかつ透明性があることが重要である。総体的証拠レベルの判断を裏づける理論は明確に述べられるべきである。
- 本要約の変更点(06/26/2015)
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PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本章では、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。
本要約には編集上の変更がなされた。
本要約はPDQ Screening and Prevention Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。
- 本要約についての質問とコメント
本要約に関する質問またはコメントは、ウェブサイトのE-mail UsからCancer.govまで送信のこと。英語で書かれたe-メールにのみ返答する。
- 本PDQ要約について
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本要約の目的
医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、PDQ編集委員会が特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠を査定するために用いる公式順位分類について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。
査読者および更新情報
本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Screening and Prevention Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。
委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:
要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。
本要約の内容に関するコメントまたは質問は、ウェブサイトのContact FormからCancer.gov まで送信のこと。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。
証拠レベル
本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Screening and Prevention Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に証拠の公式順位分類を使用している。
本要約の使用許可
PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: [本要約からの抜粋を含める].”のような一文を記述してもよい。
本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:
National Cancer Institute: PDQ® Levels of Evidence for Cancer Screening and Prevention Studies.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Date last modified <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/publications/pdq/levels-evidence/screening-prevention.Accessed <MM/DD/YYYY>.
本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。
免責条項
これらの要約内の情報は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのCoping with Cancer: Financial, Insurance, and Legal Informationページで入手できる。
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