医療専門家向け 網膜芽細胞腫の治療(PDQ®)

ご利用について

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、網膜芽細胞腫の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

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網膜芽細胞腫に関する一般情報

網膜芽細胞腫は、集学的治療の注意深い統合を必要とする小児がんである。網膜芽細胞腫の治療では、患者の救命を目標とし、個人化されたリスク調整アプローチを使用して、薬物への全身曝露を最小限に抑え、眼球への薬物送達を最適化し、通常の視力を温存させることを目指す。眼球外網膜芽細胞腫を呈する患者には、全身化学療法および放射線療法による治療で治癒が達成できる可能性が高い。しかし、眼窩外病変の患者には強化化学療法が必要であり、大量化学療法と自家造血幹細胞救助を伴う地固め療法が施行されることがあり、場合によっては放射線療法も併用される。中枢神経系(CNS)以外の全身性転移を有する患者の大半に治癒の可能性がある一方で、頭蓋内病変を呈した患者の予後は不良である。

発生率

網膜芽細胞腫は網膜に発生する比較的頻度の低い小児期の腫瘍であり、15歳未満の小児に発生するがんの約3%を占めている。

網膜芽細胞腫は非常に幼い小児のがんである;網膜芽細胞腫の全症例の3分の2が2歳未満で診断される。[ 1 ]したがって、米国における推定年間発生率は15歳未満の小児100万人当たり約4例であるのに対し、0~4歳の小児における年齢調整年間発生率は100万人当たり10~14例(生児出生14,000~18,000人当たり約1例)である。

解剖学

網膜芽細胞腫は網膜に発生し、網膜下で、あるいは硝子体腔に向けて増殖する場合があり、その両方が進行することもある。眼球被膜および視神経への転移は、腫瘍の進行に付随するイベントの結果として生じる。

脈絡膜への局所浸潤も一般的であるが、巨大な浸潤の発生は通常、進行期疾患に限られる。脈絡膜への浸潤後、腫瘍は体循環へのアクセスを得て、転移能を獲得する。眼球被膜からのさらなる進行は強膜および眼窩への浸潤につながる。前房に浸潤する腫瘍は、シュレム管を経由して体循環へのアクセスを獲得する可能性がある。視神経から強膜篩板を越えて進行すると、全身およびCNSへの播種のリスクが高まる(図1を参照のこと)。

眼の解剖図:図には、強膜、毛様体、シュレム管、角膜、虹彩、水晶体、硝子体液、網膜、脈絡膜、視神経、篩板などが示されている。

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図1.眼の解剖図で強膜、毛様体、シュレム管、角膜、虹彩、水晶体、硝子体液、網膜、脈絡膜、視神経、篩板などが示されている。硝子体液は眼球中心部を満たすゲルである。

スクリーニング

近年発表されたAmerican Association of Ophthalmic Oncologists and PathologistsとAmerican Association for Cancer Research Childhood Cancer Predisposition Workshopのコンセンサスレポートでは、網膜芽細胞腫の発生リスクが高い小児のスクリーニングに関するサーベイランスガイドラインが示されている。[ 2 ][ 3 ]

網膜芽細胞腫の家族歴が陽性である小児では、年少期に全身麻酔下での眼底検査によるスクリーニングが絶対リスクの推定値(家系におけるRB1変異の確認およびその小児におけるRB1変異の存在により決定される)に基づくスケジュールに従って定期的に実施される。[ 2 ][ 3 ]

罹患した親から生まれた乳児は、生後1ヵ月以内の可能な限り早い時期に麻酔下での瞳孔拡張検査を受け、遺伝学的評価が実施される。遺伝子検査の結果が陽性であった乳児は、月1回の頻度で麻酔下の検査を受ける。疾患を発症しない乳児では、毎月の検査を最初の1年間は継続する;こうした検査の頻度は、2年目以降では次第に低くしてもよい。スクリーニング検査は、網膜芽細胞腫の家族歴が陽性である小児の眼球温存および強度を弱めた眼球温存治療の使用の点で予後を改善する可能性がある(表1および図2を参照のこと)。[ 2 ][ 3 ]

表1.近親者が発端者のRB1変異アレルを保有する検査前リスクa、b
発端者の近親者 変異アレル保有の検査前リスク(%)
発端者が両眼性(100) 発端者が片眼性(15)
aElsevierから許諾を得て転載:Ophthalmology, Volume 125, Issue 3, Alison H. Skalet, Dan S. Gombos, Brenda L. Gallie, Jonathan W. Kim, Carol L. Shields, Brian P. Marr, Sharon E. Plon, Patricia Chévez-Barrios, Screening Children at Risk for Retinoblastoma: Consensus Report from the American Association of Ophthalmic Oncologists and Pathologists, Pages 453–458, Copyright (2018).
b網膜芽細胞腫の患児の家系員におけるRB1変異の検査前リスク。RB1変異アレル保有のリスクについて、網膜芽細胞腫の家族歴を伴わない片眼性および両眼性の発端者別に割合で示している。
c片眼性の発端者の第3および第4度近親者の算出されたリスクはそれぞれ0.003%および0.001%であるが、これは正常な集団のリスクである0.007%(生児出生15,000人中、1人の割合)より低いため、リスクを0.007%と記載している。
子孫(乳児) 50 7.5
5 0.8
同胞 2.5 0.4
姪/甥 1.3 0.2
おば/おじ 0.1 0.007c
いとこ 0.05 0.007c
一般集団 0.007  
網膜芽細胞腫に対する小児期のスクリーニングのための管理ガイドラインを示す表。

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図2.網膜芽細胞腫に対する小児期のスクリーニングのための管理ガイドライン。提示されたスケジュールは一般的なガイドラインであり、心配される病変が指摘されていない場合の検査のためのスケジュールを反映している。一部の小児には、より頻繁な検査が適切な場合がある。麻酔下検査(EUA) vs 診察室での非鎮静下での検査のいずれの検査方法を用いるかに関する決定は複雑で、患者の家族と話し合って臨床医が決定するのが最良である。この統一見解の創設には、関与した臨床施設の大多数の存在が反映されているが、個々の施設が利用可能な資源および専門の臨床医の存在に基づいて方針決定を行う場合もある。診察室で徹底的な網膜検査を十分に行えない小児には、麻酔下検査が強く検討される。*生後8週間までの高リスクおよび中リスクの小児(算出されたリスクが1%を超える)に対して、少数の臨床施設でもEUAが望ましい。Elsevierから許諾を得て転載:Ophthalmology, Volume 125, Issue 3, Alison H. Skalet, Dan S. Gombos, Brenda L. Gallie, Jonathan W. Kim, Carol L. Shields, Brian P. Marr, Sharon E. Plon, Patricia Chévez-Barrios, Screening Children at Risk for Retinoblastoma: Consensus Report from the American Association of Ophthalmic Oncologists and Pathologists, Pages 453-458, Copyright (2018).

眼科検査で網膜芽細胞腫患者の親および兄弟姉妹に対するスクリーニングを実施し、未知の家族性疾患を除外する方法は一般的に行われている。片眼性網膜芽細胞腫であるが遺伝子検査を受けていない親を持つ子のスクリーニングについては、議論が続けられている。[ 4 ]この議論では遺伝子検査の重要性が強調されている。将来的に網膜芽細胞腫のすべての患者が遺伝子検査を受けるようになれば、子孫に対するリスクの評価を推定ではなく決定することができる。

臨床像

発症時年齢は側性に相関している;両眼性網膜芽細胞腫の患者は、通常は生後12ヵ月以内の比較的若年で発症する。

ほとんどの患者が白色瞳孔を呈し、これはストロボ写真撮影後に最初に注目される場合がある。斜視は2番目に一般的な提示徴候であり、通常は黄斑病変と相関する。かなり進行した眼球内腫瘍は、疼痛、眼窩蜂巣織炎、緑内障、または牛眼を呈する。

腫瘍が進行するにつれて、患者は眼窩病変または転移性病変を発症しうる。転移は耳介前部リンパ節および外側頸リンパ節、CNS、または全身(一般的には、骨、骨髄、および肝)に発生する。

米国では、ヒスパニック系の小児および比較的低い社会経済的状態で生活している小児は、より進行疾患を発症することが指摘されている。[ 5 ]

診断的評価および病期評価

網膜芽細胞腫の診断的評価には、以下が含まれる:

  1. 眼検査。眼球内網膜芽細胞腫は通常、病理学的な確認を行わずに診断される。網膜全体を検査するには、麻酔下で瞳孔を最大限に開き、強膜を圧迫した状態での検査が必要である。腫瘍の数、位置、およびサイズ;網膜剥離と網膜下液の存在;および網膜下播種と硝子体播種の存在について、非常に詳細な記録を作成する必要がある。
  2. 眼球超音波検査および磁気共鳴画像法(MRI)。二次元眼球超音波検査およびMRIは、網膜芽細胞腫と白色瞳孔の他の原因の鑑別および進行した眼球内網膜芽細胞腫を有する小児では強膜外および眼球外への進展の評価に有用なことがある。MRIでの視神経の造影は、必ずしも転移を示すわけではない;これらの所見は慎重に解釈する必要がある。[ 6 ]
  3. 逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)。診断時の脳脊髄液を用いたRT-PCRによるガングリオシドGD2合成酵素mRNAの検出は、CNS病変のマーカーとなりうる。[ 7 ]

画像検査または摘出された眼球における病理所見が高リスク(すなわち、巨大な脈絡膜浸潤または強膜の病変あるいは強膜篩板を越えた視神経の病変)であるために眼球外への進展が疑われる患者のサブグループでは、転移病変が存在しないかの評価も検討する必要がある。摘出された眼球にこれらの病理学的特徴を呈する患者は、転移するリスクが高い。これらの症例では、以下の手技が実施される場合がある:[ 8 ]

遺伝性および非遺伝性の網膜芽細胞腫

網膜芽細胞腫は、遺伝型(25~30%)と非遺伝型(70~75%)で起こる腫瘍である。遺伝性網膜芽細胞腫は、RB1遺伝子の生殖細胞変異の存在によって定義される。この生殖細胞変異には、罹患した祖先から遺伝した場合(症例の25%)、または散発性網膜芽細胞腫患者では受胎前の胚細胞または胚形成早期に子宮内で発生している場合(症例の75%)がある。家族歴陽性または両眼性あるいは多巣性網膜芽細胞腫の存在は、遺伝型疾患を示唆する。

遺伝性網膜芽細胞腫は、片眼性または両眼性病変として現れる。RB1変異の浸透度(側性、診断時の年齢、腫瘍の数)は、おそらくMDM2およびMDM4多型のような同時に発生している遺伝的修飾因子によって左右される。[ 9 ][ 10 ]両眼に病変があるすべての小児と片眼性の網膜芽細胞腫に罹患した患者の約15%は遺伝型であると推定されるが、罹患した親がいる小児はわずか25%である。

遺伝性網膜芽細胞腫の小児は、非遺伝性網膜芽細胞腫の小児より低い年齢で診断される傾向がある。過去には、1歳未満の小児における片眼性の網膜芽細胞腫は遺伝性疾患の存在が懸念されるが、片眼性腫瘍がある1歳以上の小児は非遺伝性網膜芽細胞腫である可能性が高いと考えられていた。[ 11 ]しかし、片眼性網膜芽細胞腫の患者182人を対象とした単一施設のレトロスペクティブな報告では、遺伝子検査の結果が陽性であった患者(n = 32)は平均生後26ヵ月で診断され、遺伝子検査の結果がない患者は平均生後22ヵ月で診断されていた(P = 0.31)。[ 12 ]

網膜芽細胞腫に関するゲノムの全体像は、両アレル性不活性化に至るRB1の変化により導かれる。[ 13 ][ 14 ]RB1不活性化のまれな原因は染色体の粉砕現象(chromothripsis)であり、これは従来の方法では検出が困難な場合がある。[ 15 ]

ごく少数の腫瘍に発生する他の反復性のゲノム変化としては、BCOR変異/欠失、MYCN増幅、およびOTX2増幅が挙げられる。[ 13 ][ 14 ][ 15 ]非家族性の片眼性網膜芽細胞腫1,068例の腫瘍を対象にした1件の研究により、RB1欠失の証拠が認められない症例の割合はわずか(約3%)であることが報告された。RB1欠失の証拠が認められないこれらの症例の約半数(すべての非家族性の片眼性網膜芽細胞腫の約1.5%を占める)は、MYCN増幅を示した。[ 14 ]網膜芽細胞腫蛋白(pRb)の機能状態はMYCN増幅が認められる網膜芽細胞腫では不活性であると推測される。このことから、網膜芽細胞腫発症の必要条件はMYCN増幅に関係なく、変異によるRB1の不活性化または不活性のpRbであると示唆されている。[ 16 ]

網膜芽細胞腫のすべての患者に対して、遺伝カウンセリングが推奨される。(詳しい情報については、網膜芽細胞腫の治療に関するPDQ要約の遺伝カウンセリングのセクションを参照のこと。)

遺伝子検査

血液および腫瘍サンプルを検査して、網膜芽細胞腫患者のRB1遺伝子における生殖細胞変異または体細胞変異の有無を判定することができる。患者の遺伝子変異がいったん同定されれば、他の家族メンバーはターゲットシークエンシングを用いて直接その変異に関してスクリーニング可能となる。

RB1遺伝子の完全な遺伝学的評価のために、以下に挙げる多段階分析が実施される場合がある:[ 17 ]

体細胞モザイク現象または細胞遺伝学的異常の症例においては、変異が容易に検出できないことがある;核型分析、蛍光in situハイブリダイゼーション、RB1プロモーターのメチル化解析など、より網羅的な検査技術が必要な場合がある。リンパ球DNAからのRB1ゲノムアンプリコンのディープ(2500x)シークエンシングにより、低レベルのモザイク現象を明らかにできる。[ 18 ]モザイク現象は受精後変異によって引き起こされるため、こうした所見が見られれば、同胞に麻酔下で連続して検査を実施する必要がなくなる。現在の技術では、増幅レベルが非常に低い一部のモザイク変異、RB1コーディングエクソンまたはイントロンのフランキング領域以外の変異、リンパ球ではなく他の組織にみられる変異(モザイク)、またはRB1の大規模なモザイク性再構成は発見されない。[ 18 ]上述の技術を併用することで、遺伝型網膜芽細胞腫患者の90%以上で生殖細胞変異を明らかにできる。[ 19 ][ 20 ][ 21 ]

片眼性の非遺伝性網膜芽細胞腫症例の約3%では、検出可能なRB1体細胞変異が認められないことから、別の遺伝的メカニズムが網膜芽細胞腫発生の根底にありうることを示唆している。[ 22 ]これらの症例の半数では、高レベルのMYCN増幅が報告されている;これらの患者は特徴的な侵攻性の組織学的特徴を有し、診断時年齢中央値は生後4ヵ月であった。[ 14 ]しかし、MYCN増幅にRB1変異が併存していることも報告されている。[ 16 ]検出可能なRB1の体細胞変異が見られない腫瘍の別の小規模なサブセットでは、クロモスリプシスがRB1遺伝子不活性化の原因となっている。[ 15 ]

遺伝カウンセリング

臨床像に関係なく、網膜芽細胞腫患者とその家族の管理には遺伝カウンセリングが不可欠である。カウンセリングでは網膜芽細胞腫の主な病型に関する説明を行い、親が個々の網膜芽細胞腫型の遺伝的影響を理解し、家族内で疾患が発生するリスクを推定することを支援する。[ 19 ]さらにカウンセリングでは、患者と家族の双方にとっての適切なスクリーニングに向けたガイダンスも実施し、特に二次原発がんの発生リスクが増大する場合にはこの取り組みが重要である。

しかしながら、遺伝カウンセリングは必ずしも容易ではない。網膜芽細胞腫小児の約10%に体細胞性遺伝的モザイクがみられ、これが遺伝カウンセリングを困難にしている。[ 23 ]さらに、1つの特異的変異についての同胞における網膜芽細胞腫のリスクは、その変異が母親または父親のどちらに由来するかによって部分的に左右される可能性がある。[ 24 ](詳しい情報については、がんの遺伝学的リスク評価とカウンセリングのPDQ要約を参照のこと。)

診断後のサーベイランス

RB1の生殖細胞変異を有する小児は、診断および治療後も2~3年間は引き続き新たな網膜芽細胞腫瘍を発症することがある;このため、これらの小児は頻繁に検査される必要がある。少なくとも28ヵ月間2~4ヵ月ごとに検査されることが一般的である。[ 25 ]検査間隔は、病態の安定度および患児の年齢(すなわち、小児の年齢が高くなるとともに来院頻度も低くする)に基づく。

片眼性網膜芽細胞腫小児の一部は、将来、対側眼に腫瘍を発症することになる。片眼性網膜芽細胞腫の小児は、RB1遺伝子の生殖細胞の状態が明らかになるまで健側眼の定期検査が実施される。

三側性網膜芽細胞腫患者の予後が不良なため、この疾患が遺伝型である小児のモニタリングには、5歳になるまで神経画像によるスクリーニングが一般に行われている。(詳しい情報については、本要約の網膜芽細胞腫関連死の原因のセクションの三側性網膜芽細胞腫のサブセクションを参照のこと。)

網膜芽細胞腫関連死の原因

網膜芽細胞腫は治癒率の高い疾患である一方で、網膜芽細胞腫を治療する側の挑戦は、生命を維持することと患者の寿命を短縮し生活の質を低下させる片方の眼球の喪失や失明、その他の治療による重篤な影響を回避することである。過去数十年間にわたって網膜芽細胞腫の診断および管理は改善されており、米国や他の先進国では転移性網膜芽細胞腫が観察される頻度は減少している。結果として、10歳までとその後の数十年間で、三側性網膜芽細胞腫および二次新生物(SN)などの他の原因が、網膜芽細胞腫関連死の重大な要因となっている。

米国では、遺伝性または両眼性病変の治療手段としてのケモリダクションが出現し、神経画像によるスクリーニングが実施される前は、診断後最初の10年間における網膜芽細胞腫関連死の原因のうち、三側性網膜芽細胞腫が50%を超えていた。[ 26 ]二次新生物による死亡は最も一般的な死因であり、両眼性網膜芽細胞腫および遺伝学的に定義された遺伝性網膜芽細胞腫の患者における死亡の約50%に寄与している。[ 27 ][ 28 ][ 29 ]

三側性網膜芽細胞腫

三側性網膜芽細胞腫は、遺伝性網膜芽細胞腫患者の5~15%に発生する広く認知された症候群である。三側性網膜芽細胞腫は、頭蓋内正中神経芽腫瘍の発現によって定義され、通常は生後20~36ヵ月の間に現れる。[ 30 ]

三側性網膜芽細胞腫は、米国における網膜芽細胞腫の10歳までの死亡の主原因になっている。[ 31 ]三側性網膜芽細胞腫患者は予後不良であるが、早期発見と積極的な治療により生存が明らかに改善されるため、初回診断から2年以内ではルーチンの神経画像検査を用いたスクリーニングにより、ほとんどの症例を検出できる可能性がある。[ 30 ]網膜芽細胞腫診断時にはルーチンに行うベースラインの脳MRIが推奨されるが、それは検査により無症状の段階で三側性網膜芽細胞腫を検出できる可能性があるためである。小規模の患者シリーズにおいて、5年全生存率はベースライン時に腫瘍が発見された患者で67%であったのに対し、診断が遅れたグループでは11%であった。[ 32 ]

早期診断が生存に影響するかどうか明らかではないが、遺伝性病変が疑われる患者、または片眼性病変および家族歴陽性の患者に対するMRIによるスクリーニングの頻度は、6ヵ月ごとに5年間実施することが推奨されている。[ 33 ]これらの小児を対象にしたルーチンのスクリーニングでは、コンピュータ断層撮影スキャンは電離放射線曝露に関連したリスクのため、一般的に回避される。

一般的にサーベイランスMRIで発見される嚢胞性松果体は、松果体芽腫の嚢胞性変異型と区別する必要がある。網膜芽細胞腫が認められない小児における松果体嚢胞の発生率は、55.8%と報告されている。[ 34 ]網膜芽細胞腫の小児77人と対照77人に関する1件のケースコントロール研究において、松果体嚢胞の発生率はほぼ同じであり(それぞれ、61%および69%)、松果体のサイズと容積に集団間で有意差はみられなかった。[ 35 ]しかしながら、三側性網膜芽細胞腫が組織学的に確認された患者の最大57%で嚢胞性成分が報告されている。[ 32 ]松果体の大きさの過度の増加は、悪性の経過を示す最も強いパラメータのようである。[ 35 ]

二次新生物(SN)

網膜芽細胞腫の生存者はSNを発症するリスクが高い。

SNのリスクに影響する因子には以下のものがある:

長期の腫瘍制御と化学療法の結果とのバランスを保つという問題は解決されていない。化学療法を受ける患者のほとんどはエトポシドに曝露し、エトポシドは遺伝性網膜芽細胞腫におけるEBRTに伴うリスクと比較した場合の割合は小さいものの、がんに素因のない患者における二次性白血病と関連している。

エトポシドの使用に関連して急性骨髄性白血病(AML)のリスク増加が認識されているにもかかわらず、遺伝性網膜芽細胞腫患児においてこのSNの発生リスクの増加は認められない。[ 50 ][ 51 ][ 52 ]略式の調査方法で実施された初期の報告では、15人の患者が化学療法後にAMLを発症したことが記述された。患者の半数は放射線療法も受けていた。[ 51 ]この知見は正式の研究では実証されていない。エトポシドが投与された患者245人を対象にした単一施設研究において、79ヵ月後にわずか1人の患者に急性前骨髄球性白血病が認められた。[ 50 ]さらに、Surveillance, Epidemiology, and End Result(SEER)Programにより、小児がん生存者34,867人における二次性造血器悪性腫瘍の標準化発生比が算出された。網膜芽細胞腫に対する治療を受けた患者における二次性AMLの観察値-予想値の比はゼロであった。[ 53 ]

SNの生存率は疑いなく最適以下であり、研究間で大きく異なる。[ 38 ][ 54 ][ 55 ][ 56 ][ 57 ][ 58 ]しかしながら、治療法は進歩しており、網膜芽細胞腫の生存者におけるすべてのSNは根治目的で治療されることが不可欠である。[ 59 ]

網膜芽細胞腫治療の晩期合併症(晩期障害)

Retinoblastoma Survivor Study(N = 470)からの報告で、網膜芽細胞腫生存者の87%(平均年齢、43歳;追跡期間中央値、42年)が少なくとも1つの医学的状態を有し、71%が重度のまたは致死的な疾患を有していた。網膜芽細胞腫以外の対照と比較した生存者における慢性疾患の調整後相対リスクは1.4(P < 0.01)であった;グレード3または4の疾患の相対リスクは7.6(P < 0.01)であった。眼の疾患およびSNを除外した後は、この過剰リスクは両眼性疾患の患者にのみ持続することが明らかにされた。[ 60 ]

前述のように、遺伝性網膜芽細胞腫患者ではSNの発生頻度が高い。(詳しい情報については、本要約の二次新生物[SN]のセクションを参照のこと。)網膜芽細胞腫に対する治療後に起こりうる他の晩期合併症(晩期障害)には以下のものがある:

小児および青年がん生存者における晩期合併症(晩期障害)の発生率、種類、およびモニタリングに関する具体的な情報については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関するPDQ要約を参照のこと。

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網膜芽細胞腫の腫瘍病理学

成熟途中の錐体前駆細胞がヒト網膜芽細胞腫の起源細胞とみられる。[ 1 ][ 2 ]顕微鏡での網膜芽細胞腫の外観は分化度によって異なる。未分化網膜芽細胞腫は、低色質性の核とわずかな細胞質を有する高密度に集積した小型円形細胞で構成されている。光受容体の分化度はいくつか記述されており、以下に示すように腫瘍細胞の特有の配列によって特徴付けられる:

網膜芽細胞腫は著明な細胞増殖により特徴付けられ、有糸分裂数が高いこと、MIB-1標識指数がきわめて高いこと、および網膜芽細胞腫を他の悪性小円形細胞腫瘍と区別するための有用なマーカーであるCRXに対する強い拡散性の核内免疫活性から裏付けられている。[ 3 ][ 4 ]

空洞性網膜芽細胞腫は、網膜芽細胞腫のまれな変種で、検眼鏡下では腫瘍内に透き通った空洞がみられる。この空洞スペースは、超音波検査では中空、また血管造影法では低蛍光として観察される。病理組織学的には、この空洞スペースが視細胞の分化領域であることが明らかにされている。[ 5 ]このような腫瘍は、化学療法に対する肉眼的腫瘍反応が低度であるという関連性が指摘されており、これは腫瘍分化の徴候と考えられる。[ 6 ]

眼病理学および網膜芽細胞腫における経験を積んだ病理医が、摘出された眼球標本を検査すべきであり、特に眼球外播種に対するリスクの特徴を判断する上では重要である(詳しい情報については、本要約の眼球内網膜芽細胞腫の治療のセクションを参照のこと)。

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網膜芽細胞腫の病期分類およびグループ分類システム

網膜芽細胞腫患者の病期分類には、放射線科医、小児腫瘍医、および眼科医の綿密な調整が必要である。網膜芽細胞腫には、いくつかの病期分類およびグループ分類システムが提唱されている。[ 1 ]網膜芽細胞腫進展の全体的な評価は病期分類システムで示されている;(眼球温存に関連する)眼球内病変の進展はグループ分類システムで示されている。網膜芽細胞腫は、治療目的で眼球内網膜芽細胞腫および眼球外網膜芽細胞腫に分類される。

眼球内網膜芽細胞腫

眼球内網膜芽細胞腫は眼に限局している;網膜のみに限定されることもあれば、脈絡膜、毛様体、前眼房、視神経頭などの他の構造に浸潤して拡がっていることもある。しかしながら、眼球内網膜芽細胞腫は、眼の周囲組織または他の身体各部へ眼を越えて進展していない。

眼球外網膜芽細胞腫

眼球外網膜芽細胞腫は、眼を越えて波及する。眼球外網膜芽細胞腫は、眼周囲の組織に限局していることがあり(眼窩内網膜芽細胞腫)、中枢神経系に拡がっていることもあり、あるいは骨髄またはリンパ節へと全身に拡がっている場合もある(転移性網膜芽細胞腫)。

病期分類システム

米国がん合同委員会(AJCC)の病期分類システム

近年、いくつかの病期分類システムが提唱されている。州政府により義務付けられているNorth American Association of Cancer Registriesへのがん報告に関する最新の標準は、AJCCの病期分類マニュアル第8版に準拠した病期分類を必須としている。この規定は2018年以降に診断された症例に適用される。網膜芽細胞腫の病期分類では、最初にHカテゴリーを特定して遺伝的素因の役割を認める。H1は両眼性または三側性網膜芽細胞腫の患者、網膜芽細胞腫の家族歴がある患者、またはRB1変異を有する患者を示す。[ 2 ]

網膜芽細胞腫国際病期分類システム(IRSS)

より簡素化されたIRSSが眼科医および小児腫瘍医の国際的コンソーシアムにより提唱されている[ 3 ];この分類システムは、AJCC病期分類システムよりも臨床の場で広く用いられている(表2を参照のこと)。ドイツの1件のレトロスペクティブ研究により、IRSSは遺伝性網膜芽細胞腫の小児633人(うち582人がIRSS 0期またはI期疾患を発症)の生存を予測したことが明らかにされた。[ 4 ]

表2.網膜芽細胞腫国際病期分類システム
病期 記述
CNS = 中枢神経系;CSF = 脳脊髄液。
0 眼球摘出術は行われておらず、病変の播種は認められない(詳しい情報については、本要約の網膜芽細胞腫の国際分類のセクションを参照のこと)。
I 眼球摘出術が実施され、組織学的に完全切除されている
II 眼球摘出術が実施され、顕微鏡的残存腫瘍を認める
III 局所的進展を認める a. 顕性の眼窩病変
b. 耳介前部リンパ節または頸部リンパ節進展
IV 転移性病変を認める a. 血行性転移(CNS病変を認めない)
-単一病変
-多発性病変
b. CNS進展(他の部位の局所病変または転移性病変の有無は問わない)
-視交叉前病変
-CNS腫瘤
-軟髄膜およびCSF病変

グループ分類システム

以下のグループ分類システムは眼球内の病変進展の評価に関連しており、眼球温存の有用な予測因子である:

網膜芽細胞腫の国際分類

現在の治療法に適用可能な、より簡潔で使い勝手の良い分類方法を提供すべく、網膜芽細胞腫の国際グループ分類システムが開発された。この新たな分類システムは、腫瘍のサイズおよび位置よりもむしろ硝子体腔および網膜下腔内の腫瘍播種の範囲に基づいている(表3を参照のこと)。この分類システムは治療成功のより良好な予測因子であると思われる。[ 5 ][ 6 ][ 7 ][ 8 ]網膜芽細胞腫の国際分類システムはまた、高リスク病理組織学の予測にも役立つ可能性がある。網膜芽細胞腫患者500人以上を対象にした研究において、高リスク病変の病理組織学的証拠がグループDの眼球の17%およびグループEの眼球の24%で示された。このことは術後全身療法の潜在的な必要性に関して両親と話し合う際に役立つ場合がある。[ 9 ]

表3.網膜芽細胞腫国際グループ分類システム
グループ 定義
グループA 中心窩および視神経乳頭から離れた小さな網膜内の腫瘍。 腫瘍はすべて最大径が3mm以下で網膜に限局する、および
腫瘍はすべて中心窩から3mmおよび視神経乳頭から1.5mmより離れた部位に位置する。
グループB 網膜に限局する残りのすべての孤立した腫瘍。 グループAに属さない網膜に限局する他のすべての腫瘍。
腫瘍から3mm未満の位置で腫瘍に関連した網膜下液を認め、網膜下播種は伴わない。
視神経または中心窩から3mm未満に位置する腫瘍。
グループC 孤立した局所性腫瘍とともに、網膜下播種または硝子体播種がわずかにみられる。 腫瘍が孤立して存在する。
現在または以前に網膜下液を認めるが、播種は最大でも網膜の1/4には浸潤していない。
局所性の微細な硝子体播種が孤立した腫瘍に近接して存在しうる。
腫瘍から3mm(2DD)未満に位置する局所性網膜下播種。
グループD 明らかな硝子体播種または網膜下播種を認めるびまん性腫瘍。 腫瘍は大型またはびまん性である。
現在または以前に播種を伴わない網膜下液を認め、網膜全剥離にまで及ぶ。
びまん性または大型の硝子体腫瘍は脂肪のような播種または無血管性の腫瘍塊を含むことがある。
びまん性網膜下播種は、網膜下プラーク(subretinal plaque)または腫瘍結節を含むことがある。
グループE 以下の予後不良の特徴が1つ以上認められる: 水晶体に接触している腫瘍。
硝子体前面より前方にある腫瘍で、毛様体など眼の前部に浸潤している。
びまん性で浸潤性の網膜芽細胞腫。
血管新生緑内障。
出血により不透明な媒体を認める。
無菌性眼窩蜂巣炎を伴う腫瘍壊死。
眼球癆。

リーゼ-エルスワースの眼球内腫瘍の分類

リーゼとエルスワースは、眼球内網膜芽細胞腫の分類システムを開発し、手術および外照射療法が一次治療選択肢であった時代に、この分類システムが視力の維持および局所病変のコントロールに対して予後的意義があることを示した。しかしながら、眼球内網膜芽細胞腫の保存的管理が開発されたことで、リーゼ-エルスワースのグループ分類システムは眼球温存を予測できず、治療の指針とするには有用ではなくなっている。[ 7 ]このグループ分類システムは現在ではめったに使用されておらず、主にヒストリカルな参照として利用されている。

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網膜芽細胞腫の治療法選択肢の概要

至適な治療成績を得るには、小児眼腫瘍の治療経験がある小児腫瘍医、眼科医、および放射線腫瘍医を含むがん専門医からなる集学的チームによる治療計画が必要である。[ 1 ]眼球温存と視力維持の可能性を改善すべく、治療開始前に専門施設での評価が強く推奨される。

治療の目的には以下のものがある:

標準治療と考えられる治療の多くは、ランダム化の方式で検討されていない。

網膜芽細胞腫の治療は、眼球内および眼球外腫瘍量、疾患の側性、RB1遺伝子の生殖細胞変異の状態、および視力維持の可能性によって異なる。眼球内網膜芽細胞腫を呈する患者、特に両眼性病変を有する患者に対しては、静脈内または眼動脈への化学療法による腫瘍の縮小と積極的な局所療法からなる保存的アプローチにより、高い眼球温存率が得られうる。[ 2 ]網膜芽細胞腫において最も有効な治療の1つである放射線療法は、通常の場合、眼球内または眼球外網膜芽細胞腫が進行した症例にのみ用いられる。

以下の治療選択肢のリスクに応じた慎重な併用を検討すべきである:

眼球内、眼球外、および再発網膜芽細胞腫に対する治療法の選択肢を表4に記述する。

表4.網膜芽細胞腫に対する治療法の選択肢
治療群 治療法の選択肢
CNS = 中枢神経系;EBRT = 外照射療法。
眼球内網膜芽細胞腫:  
  片眼性網膜芽細胞腫 大型の眼球内腫瘍には、補助化学療法を伴うまたは伴わない眼球摘出術
眼球と視力を維持できる場合は、保存的な眼球温存アプローチ:
—硝子体内化学療法を伴うまたは伴わない全身化学療法または眼動脈注入化学療法によるケモリダクション
—局所治療(凍結療法、温熱療法、プラーク放射線療法)
  両眼性網膜芽細胞腫 眼球および視力を維持できない場合は、大型の眼球内腫瘍に対する眼球摘出術と、その後の病理学に基づき、リスクを調整した化学療法
眼球と視力を維持できる場合は、保存的な眼球温存アプローチ:
—硝子体内化学療法を伴うまたは伴わない全身化学療法または眼動脈注入化学療法によるケモリダクション
—局所治療(凍結療法、温熱療法、プラーク放射線療法)
—EBRT
  空洞性網膜芽細胞腫 全身および/または動脈内化学療法
眼球外網膜芽細胞腫:  
  眼窩内および局所領域の網膜芽細胞腫 化学療法
眼球摘出術(眼球外への進展がある場合)
放射線療法
  CNS病変 全身化学療法、および放射線療法を伴うCNSに対する治療
全身化学療法とその後の放射線療法を伴うまたは伴わない骨髄破壊的化学療法および幹細胞救助
  同時発症の三側性網膜芽細胞腫 全身化学療法とその後の手術および幹細胞救助を伴う骨髄破壊的化学療法
全身化学療法とその後の手術および放射線療法
  頭蓋外転移性網膜芽細胞腫 全身化学療法とその後の幹細胞救助および放射線療法を伴う骨髄破壊的化学療法
進行性または再発眼球内網膜芽細胞腫 眼球摘出術
放射線療法(EBRTまたはプラーク放射線療法)
局所治療(凍結療法または温熱療法)
救助化学療法(全身または動脈内)
硝子体内化学療法、特に難治性または再発硝子体播種の場合
進行性または再発眼球外網膜芽細胞腫 眼窩病変に対する全身化学療法および放射線療法
全身化学療法とその後の幹細胞救助を伴う骨髄破壊的化学療法、および眼窩外病変に対する放射線療法

眼球摘出術

視力回復の可能性がほとんどまたは全くない硝子体全体に拡がった大きな腫瘍、前房への進展が認められる症例、または血管新生緑内障を来した場合は、眼球の初期摘出が適応となる。特に眼球摘出後の2年間は、眼窩に病変再発がないことを確認するために、綿密に患者を監視しなければならない。[ 3 ][証拠レベル:3iiA]眼球温存のための管理を受けている患者において腫瘍が進行したか、再発した症例では救助治療として眼球摘出術も用いられる。眼球外播種のリスクが高い患者および補助化学療法が必要となりうる患者を同定するために、病理標本の検査は注意深く行わなければならない。

3歳未満の患者に対する眼球摘出術は、その後の発達における眼窩の適切な拡大を妨げるため、最終的な眼窩のサイズは非対称になる。[ 4 ]

局所治療(凍結療法、レーザー療法、および密封小線源治療)

眼球を温存する治療を受けている患者には、積極的な局所療法が常に必要である。局所治療は眼科医により腫瘍に直接実施される。

全身化学療法

全身化学療法は次のような状況で実施されている:

眼動脈注入化学療法(動脈内化学療法)

眼動脈カニューレ挿入により化学療法薬を眼球に直接投与するデリバリー法は実施可能で、眼球温存に有効な手法である。

動脈内化学療法には、メルファランが最も一般的に用いられ、最も有効な薬物である。メルファランは反応が最適に至らない場合またはかなり進行した眼球内病変が認められる場合に、しばしばトポテカンまたはカルボプラチンと併用される。[ 19 ][ 20 ]

未治療の眼球を有する患者に対して、放射線を照射しない2年眼球温存率は86~90%である。[ 19 ][ 20 ]動脈内化学療法後の転帰は、以下に示すように眼内腫瘍量の程度に相関する:

両眼性病変を有する患者は、動脈内化学療法のタンデム投与を受けることができる。[ 24 ]こうした状況では、患者はメルファラン曝露により全身毒性のリスクが高く[ 25 ]、タンデム投与実施中に進行が遅い方の眼球を治療するためカルボプラチン単剤が用いられることがある。[ 26 ]眼動脈へのカニューレ挿入が実施できない新生児および非常に幼い乳児には、乳児が生後3ヵ月になるか、体重が6kgになるまで全身カルボプラチン単剤による橋渡し治療とその後の動脈内化学療法による地固めが非常に有効であることが示されており、放射線を照射しない1年眼球温存率は95%である。[ 27 ]

動脈内化学療法への硝子体内化学療法の追加は、硝子体播種が認められる眼球、特に雲状の硝子体播種(vitreous seed clouds)が認められる眼球では全般的な有効性が顕著に改善されるようである(詳しい情報については、本要約の硝子体内化学療法のセクションを参照のこと)。[ 19 ][ 28 ][ 29 ]網膜全剥離を呈する患者では、眼動脈化学外科療法が網膜の再接着を促進することが示されている。[ 30 ]

動脈内化学療法に関係する合併症には以下のものがある:[ 20 ]

この手技に関係する大血管の合併症は非常にまれである;最も経験豊かなグループでは脳卒中または重大な急性の神経学的イベントは報告されていない。[ 19 ][ 20 ][ 32 ]しかしながら、眼動脈の狭窄および網膜動脈閉塞が記録されている[ 32 ];血栓症のリスクは血栓形成傾向のある小児で有意に高い。[ 33 ]

眼球内血管の変化が視力に及ぼす影響は、治療を受ける患者の最初のコホートが若年のため十分に評価されていない。ほとんどの患者では網膜電図の実質的な変化は認められず[ 34 ]、中心視覚の維持が報告されている。[ 35 ]網膜電図(ERG)の異常が認められる一部の患者は網膜剥離の有無に関係なく、動脈内化学療法から数年後にERGが改善する場合がある。[ 36 ]ただし、既に眼球に強力な治療を受けている患者では、強力な動脈内化学療法により、網膜機能が悪化する可能性がある。[ 23 ]

動脈内化学療法に関連する別のリスクは、蛍光透視検査中の電離放射線への曝露である。豊富な実績を有する施設において、平均42.3mGyの総線量が報告されている。[ 37 ]複数回の手技後の累積線量は0.1~0.2Gyに達する可能性があり、これはこの感受性の高い集団では、白内障発生性および潜在的に発がん性となりうる。[ 38 ]二次がんの発生率増加は認められない[ 39 ][ 40 ];しかしながら、この手技に関連するリスクを完全に確認するにはさらに長期の追跡が必要となる。

化学療法を直接眼球に実施した場合の転移性進行のリスクは非常に低いようである[ 2 ];しかしながら、動脈内化学療法で治療された後に転移を来した患者は最大20人に及んだことが報告されている。[ 20 ]

硝子体内化学療法

硝子体内へのメルファランまたはトポテカンの直接注入は、活動性硝子体播種の制御の点で有効な可能性があることが複数の研究により示唆されている。[ 41 ][ 42 ][ 43 ][証拠レベル:3iiDi];[ 44 ][証拠レベル:3iiiDiii]硝子体播種に対して硝子体内メルファランで治療された264の眼球(250人の小児)に関する20年間にわたる1件のレトロスペクティブ研究では、68%の完全寛解率が報告された。高リスクの特徴をもつ小児に対する注入の結果、眼球外進展が発生した率は低かった。[ 45 ][証拠レベル:3iiD]

腫瘍播種の可能性に対する当初の懸念から硝子体内化学療法の使用は制限された。しかしながら新たな報告では、硝子体内注入の結果、腫瘍の眼球外進展を来した患者の割合は無視できる程度と推定された。[ 46 ][ 47 ]この手技は安全かつ忍容性良好であるが、最近の研究で、注入数とERGで測定された網膜機能の低下との間に直接の相関があることが示された。[ 47 ][ 48 ][証拠レベル:3iiiDiv]

予備的データによると、動脈内化学療法 + 硝子体内化学療法(硝子体播種に対し必要に応じて施行)は、初期の時代に動脈内化学療法単独の治療を受けた小児との比較で、進行した網膜芽細胞腫が見られる眼における眼球温存を改善する可能性がある。[ 47 ][ 28 ][証拠レベル:3iiDii]先の時代に治療された小児と比較して、後の時代に動脈内および硝子体内化学療法の併用による治療を受けた小児は、退縮までの期間が短く、再発がより少なく、眼球摘出術がより少ないことが実証されたほか、ERGにより測定された網膜機能の喪失に差が認められないなどの点から、毒性増加がないことが示された。[ 29 ][証拠レベル:3iiDiv]

硝子体内化学療法の使用実績が増えるとともに、複数の研究で網膜下播種と再発網膜腫瘍の制御におけるこの療法の効力が実証され、網膜芽細胞腫の眼球温存治療における補助療法として硝子体播種を制御する以上の役割をもちうることが示唆されている。[ 49 ]

テノン嚢下化学療法(結膜下化学療法)

眼周囲へのカルボプラチン投与により眼内の薬剤濃度が高くなるため、この治療は、特に硝子体内腫瘍量が大きい場合に、眼球温存アプローチとしてしばしば用いられる。カルボプラチンは治療担当眼科医がテノン嚢下に投与し、一般的に全身化学療法および局所眼科療法(硝子体腫瘍を有する患者に対して)と併用される。[ 50 ]テノン嚢下にトポテカンを投与した場合の反応も確認されている。[ 29 ][ 51 ]

化学療法の動脈内および硝子体内投与など、網膜芽細胞腫の新たな治療法が開発されたことで、臨床の場ではテノン嚢下化学療法の使用頻度は低下している。

放射線療法

小児がん治療に関する特別な考慮事項

小児および青年におけるがんはまれである(ただし、小児がんの全発生率は1975年以降徐々に増加している)。[ 60 ]小児および青年のがん患者は、小児期および青年期に発生するがんの治療経験を有する専門家から構成される集学的チームのある医療機関に紹介すべきである。網膜芽細胞腫の管理においてこの集学的チームのアプローチは特に重要である;そのアプローチとは、至適生存期間および至適QOLが得られるような治療、支持療法、およびリハビリテーションを小児が必ず受けられるようにするため、以下に示す医療専門家などの技術を集結したものである:

米国小児科学会は、小児がん施設とそれらが小児がん患者の治療において担う役割に関するガイドラインを概説している。[ 61 ]このような小児がん施設では、小児および青年に発症するほとんどの種類のがんに関する臨床試験が行われており、大半の患者とその家族に参加する機会が与えられている。小児および青年のがんに関する臨床試験は一般に、現在標準とされている治療法と、それより効果的であると思われる治療法とを比較するようデザインされる。小児がんの治癒を目指した治療法の進歩の大部分は、このような臨床試験によって達成されたものである。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

小児および青年のがん患者の生存において、劇的な改善が達成されている。[ 60 ][ 62 ][ 63 ]1975年から2010年の間に、小児がんの死亡率は50%以上低下した。[ 60 ][ 62 ][ 63 ]小児および青年がん生存者には、治療から数ヵ月または数年経過後もがん療法の副作用が持続または発現することがあるため、綿密なモニタリングが必要である。小児および青年がん生存者における晩期合併症(晩期障害)の発生率、種類、およびモニタリングに関する具体的な情報については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関するPDQ要約を参照のこと。

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眼球内網膜芽細胞腫の治療

片眼性の眼球内網膜芽細胞腫の治療

片眼性の眼球内網膜芽細胞腫に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 眼球を温存できない場合は、病理リスクに基づく補助化学療法を伴うまたは伴わない大型の眼球内腫瘍に対する眼球摘出術
  2. 眼球と視力を維持できる場合は、以下の保存的な眼球温存アプローチ

補助化学療法を伴うまたは伴わない眼球摘出術

片眼性腫瘍は通常、大型であり、しばしば実用的な視力を温存できる見込みがないため、一般的には初期治療として手術(眼球摘出術)が実施される。転移性病変に対する高リスクの特徴が存在するかどうかを判定するために、経験豊富な病理医による摘出された眼球標本の注意深い検査が必要である。これらの高リスクの特徴には以下のものがある:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ]

眼球摘出前の磁気共鳴画像法は、高リスク病変の検出に関する感度と特異度が低い。[ 6 ]

高リスクの病理所見は、CRXまたはGD2合成酵素の検出に定量的ポリメラーゼ連鎖反応法を用いた場合の骨髄および脳脊髄液内の微小播種の存在と関連している。非転移性の網膜芽細胞腫で高リスクの病理所見を示す小児96人の集団において、3年無病生存率は微小播種が検出された患者で78%であったのに対し、微小播種が認められなかった小児では98%であった(P = 0.004)。[ 7 ]

眼球摘出後の病理診断により評価された特定の高リスクの特徴がみられる患者では、転移性病変の発現を予防するために、ビンクリスチン、ドキソルビシン、およびシクロホスファミド、またはビンクリスチン、カルボプラチン、およびエトポシドを用いる全身補助療法が用いられている。[ 3 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ][証拠レベル:2A]

保存的な眼球温存アプローチ

患眼を温存し、視力を維持する試みで、全身化学療法や局所制御療法など、保存的な眼球温存アプローチが提案される場合がある。[ 11 ]眼球温存率は眼球内の分類と相関する。外照射療法(EBRT)を用いることなく眼球を温存できる可能性は、早期眼球内病変を有する小児では80%を超える一方で、進行した眼球内病変を有する小児における眼球の転帰は不良であり、EBRTを使用した後でも眼球温存率は40%未満である。[ 12 ]

したがって、腫瘍制御が可能でないと考えられる場合、特にグループEの眼球では、全身化学療法の延長と眼球摘出術の延期には注意が必要である。進行した眼球内病変が認められる眼に対する眼球摘出前の化学療法は、網膜外病変と眼球外病変の病理学的根拠についての病期後退と過小評価をもたらし、それによって播種のリスクが増大する可能性がある。[ 13 ]

進行した片眼性網膜芽細胞腫に対する初期治療としての眼動脈カニューレ挿入による化学療法薬デリバリー法は、特にグループDの眼球についてケモリダクションのための全身化学療法よりも有効であると考えられる。[ 14 ][ 15 ][ 16 ][証拠レベル:3iiDiv]集学的な最先端施設の設定では、進行した片眼性の眼内網膜芽細胞腫の患者に対して、動脈内化学療法により約80~90%の眼球温存率が得られる可能性がある。[ 15 ][ 16 ][ 17 ][ 18 ](詳しい情報については、本要約の眼動脈注入化学療法[動脈内化学療法]のセクションを参照のこと。)

片眼性網膜芽細胞腫小児の一部は、将来、対側眼に腫瘍を発症することになるため、これらの小児は、受ける治療のタイプに関係なく遺伝カウンセリングと遺伝子検査のほか、健側眼の定期検査を受ける。非同時性両眼性網膜芽細胞腫は、両親が罹患した患者と生後すぐの数ヵ月間に診断された小児において最も頻繁に現れる。

両眼性の眼球内網膜芽細胞腫の治療

両眼性の網膜芽細胞腫に対する治療の目標は、眼球温存と視力維持およびEBRTと眼球摘出術の延期または回避である。

両眼性の眼球内網膜芽細胞腫に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 眼球および視力を維持できない場合は、大型の眼球内腫瘍に対する眼球摘出術と、その後の病理学に基づき、リスクを調整した化学療法。
  2. 眼球と視力を維持できる場合は、保存的な眼球温存アプローチ。

眼球内の腫瘍量は通常は非対称であり、治療はより進行した側の眼に合わせて規定される。腫瘍がより広範に拡がる眼球では全身療法が一般的に選択される。上述の片眼性網膜芽細胞腫に対する治療法の選択肢が、両眼性網膜芽細胞腫の患者における片方または両方の患眼に適用される場合がある。進行した眼に対して最初に眼球摘出術を施行し、続けてリスク調整補助化学療法を実施しなければならない場合もあるが、一次ケモリダクションとその反応についての綿密なモニタリングおよび積極的な局所療法を用いるより保存的なアプローチが通常選択される治療である。現在EBRTは、一次全身化学療法または動脈内化学療法および局所地固め療法に対して十分な反応が両眼にみられない患者にのみ実施される。[ 19 ]

多数の大規模施設が、両眼性疾患の患者に全身化学療法と積極的な局所地固め療法を併用した試験結果を発表している。[ 20 ]ケモリダクションの基本骨格は一般的に、カルボプラチン、エトポシド、およびビンクリスチンとなっている。かなりの割合の患者についてビンクリスチンおよびカルボプラチンの毒性の低い併用で疾患制御が得られる一方、レジメンにエトポシドが含まれる場合は、眼球温存が優れているようである。[ 21 ][証拠レベル:1iiDiii]1件の単一施設の研究では、併用レジメンでエトポシドの代わりにトポテカンが用いられた場合に、同様の結果が達成された。[ 22 ][証拠レベル:3iiA]このアプローチを用いる網膜芽細胞腫の国際グループ分類システムは、眼球温存について予測できることが証明されており、眼球温存率は一般にグループAまたはBで80%を超え、グループCまたはDで40~80%であるが、より進行した眼内症例においてEBRTが必要となる場合がある。[ 23 ][ 20 ][ 22 ][証拠レベル:3iiA]

眼内腫瘍量が多く網膜下播種または硝子体播種が認められる患者(グループDの眼球)に対しては大量のカルボプラチンとテノン嚢下カルボプラチンの併用投与が、および持続性病変を有する患者に対しては比較的低線量のEBRT(36Gy)の追加が検討されている。この強力なアプローチを用いることで、60ヵ月で70%近い眼球温存率が得られうる。[ 24 ][証拠レベル:2Div]

グループEの眼球に対し、眼球摘出術を回避または遅らせるために使用された長期の全身化学療法は、疾患特異的生存率の低下に関連していた。[ 13 ][証拠レベル:3iiiB]

硝子体や網膜下に持続性病変を有する患者に対し、眼動脈カニューレ挿入による化学療法薬デリバリー法を施行し硝子体内化学療法を追加する治療法は、全身化学療法の使用に代わる非常に強力な代替治療になっている(詳細については、本要約の眼動脈注入化学療法[動脈内化学療法]および硝子体内化学療法のセクションを参照のこと)。[ 14 ][ 15 ][ 17 ][ 18 ][ 16 ][証拠レベル:3iiDiv]タンデム投与も可能であるが、両眼への投与ではメルファラン曝露による全身毒性のリスクが高まる。[ 25 ]こうした状況では、タンデム投与実施中に進行が遅い方の眼球を治療するためカルボプラチン単剤による動脈内化学療法が用いられることがある。[ 26 ]これらの治療法は最先端の治療基盤を有する実績ある施設で専門の集学的チームのみが実施すべきである。

空洞性網膜芽細胞腫の治療

空洞性網膜芽細胞腫に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 全身および/または動脈内化学療法。

空洞性網膜芽細胞腫の患者では、静脈内化学療法および/または動脈内化学療法後にみられる肉眼的反応は低度である。臨床反応が鈍いにもかかわらず、空洞性網膜芽細胞腫では長期転帰が良好であり、安定した腫瘍退縮がみられ、眼球が温存される。一般に、積極的または長期的な化学療法または補助療法は必要ない。空洞性網膜芽細胞腫26例に対して静脈内ケモリダクションおよび/または動脈内化学療法による治療を施行したレトロスペクティブ・シリーズでは、腫瘍基底部の平均縮小率が22%、腫瘍厚の平均縮小率が29%であった。縮小率が低度であったにもかかわらず、腫瘍再発が認められたのは1眼のみで、眼球温存は22眼で達成され、追跡49ヵ月(範囲 6~189ヵ月)で転移または死亡はみられなかった。[ 27 ]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
  1. Chantada GL, Guitter MR, Fandiño AC, et al.: Treatment results in patients with retinoblastoma and invasion to the cut end of the optic nerve. Pediatr Blood Cancer 52 (2): 218-22, 2009.[PUBMED Abstract]
  2. Eagle RC: High-risk features and tumor differentiation in retinoblastoma: a retrospective histopathologic study. Arch Pathol Lab Med 133 (8): 1203-9, 2009.[PUBMED Abstract]
  3. Aerts I, Sastre-Garau X, Savignoni A, et al.: Results of a multicenter prospective study on the postoperative treatment of unilateral retinoblastoma after primary enucleation. J Clin Oncol 31 (11): 1458-63, 2013.[PUBMED Abstract]
  4. Kaliki S, Shields CL, Rojanaporn D, et al.: High-risk retinoblastoma based on international classification of retinoblastoma: analysis of 519 enucleated eyes. Ophthalmology 120 (5): 997-1003, 2013.[PUBMED Abstract]
  5. Sastre X, Chantada GL, Doz F, et al.: Proceedings of the consensus meetings from the International Retinoblastoma Staging Working Group on the pathology guidelines for the examination of enucleated eyes and evaluation of prognostic risk factors in retinoblastoma. Arch Pathol Lab Med 133 (8): 1199-202, 2009.[PUBMED Abstract]
  6. Chawla B, Sharma S, Sen S, et al.: Correlation between clinical features, magnetic resonance imaging, and histopathologic findings in retinoblastoma: a prospective study. Ophthalmology 119 (4): 850-6, 2012.[PUBMED Abstract]
  7. Laurent VE, Torbidoni AV, Sampor C, et al.: Minimal Disseminated Disease in Nonmetastatic Retinoblastoma With High-Risk Pathologic Features and Association With Disease-Free Survival. JAMA Ophthalmol 134 (12): 1374-1379, 2016.[PUBMED Abstract]
  8. Chantada GL, Dunkel IJ, de Dávila MT, et al.: Retinoblastoma patients with high risk ocular pathological features: who needs adjuvant therapy? Br J Ophthalmol 88 (8): 1069-73, 2004.[PUBMED Abstract]
  9. Cuenca A, Giron F, Castro D, et al.: Microscopic scleral invasion in retinoblastoma: clinicopathological features and outcome. Arch Ophthalmol 127 (8): 1006-10, 2009.[PUBMED Abstract]
  10. Chantada GL, Fandiño AC, Guitter MR, et al.: Results of a prospective study for the treatment of unilateral retinoblastoma. Pediatr Blood Cancer 55 (1): 60-6, 2010.[PUBMED Abstract]
  11. Shields CL, Honavar SG, Meadows AT, et al.: Chemoreduction plus focal therapy for retinoblastoma: factors predictive of need for treatment with external beam radiotherapy or enucleation. Am J Ophthalmol 133 (5): 657-64, 2002.[PUBMED Abstract]
  12. Shields CL, Honavar SG, Meadows AT, et al.: Chemoreduction for unilateral retinoblastoma. Arch Ophthalmol 120 (12): 1653-8, 2002.[PUBMED Abstract]
  13. Zhao J, Dimaras H, Massey C, et al.: Pre-enucleation chemotherapy for eyes severely affected by retinoblastoma masks risk of tumor extension and increases death from metastasis. J Clin Oncol 29 (7): 845-51, 2011.[PUBMED Abstract]
  14. Abramson DH, Fabius AW, Issa R, et al.: Advanced Unilateral Retinoblastoma: The Impact of Ophthalmic Artery Chemosurgery on Enucleation Rate and Patient Survival at MSKCC. PLoS One 10 (12): e0145436, 2015.[PUBMED Abstract]
  15. Munier FL, Mosimann P, Puccinelli F, et al.: First-line intra-arterial versus intravenous chemotherapy in unilateral sporadic group D retinoblastoma: evidence of better visual outcomes, ocular survival and shorter time to success with intra-arterial delivery from retrospective review of 20 years of treatment. Br J Ophthalmol 101 (8): 1086-1093, 2017.[PUBMED Abstract]
  16. Shields CL, Jorge R, Say EA, et al.: Unilateral Retinoblastoma Managed With Intravenous Chemotherapy Versus Intra-Arterial Chemotherapy. Outcomes Based on the International Classification of Retinoblastoma. Asia Pac J Ophthalmol (Phila) 5 (2): 97-103, 2016 Mar-Apr.[PUBMED Abstract]
  17. Francis JH, Iyer S, Gobin YP, et al.: Retinoblastoma Vitreous Seed Clouds (Class 3): A Comparison of Treatment with Ophthalmic Artery Chemosurgery with or without Intravitreous and Periocular Chemotherapy. Ophthalmology 124 (10): 1548-1555, 2017.[PUBMED Abstract]
  18. Francis JH, Levin AM, Zabor EC, et al.: Ten-year experience with ophthalmic artery chemosurgery: Ocular and recurrence-free survival. PLoS One 13 (5): e0197081, 2018.[PUBMED Abstract]
  19. Orman A, Koru-Sengul T, Miao F, et al.: The modern role of radiation therapy in treating advanced-stage retinoblastoma: long-term outcomes and racial differences. Int J Radiat Oncol Biol Phys 90 (5): 1037-43, 2014.[PUBMED Abstract]
  20. Rodriguez-Galindo C, Orbach DB, VanderVeen D: Retinoblastoma. Pediatr Clin North Am 62 (1): 201-23, 2015.[PUBMED Abstract]
  21. Lumbroso-Le Rouic L, Aerts I, Hajage D, et al.: Conservative treatment of retinoblastoma: a prospective phase II randomized trial of neoadjuvant chemotherapy followed by local treatments and chemothermotherapy. Eye (Lond) 30 (1): 46-52, 2016.[PUBMED Abstract]
  22. Brennan RC, Qaddoumi I, Mao S, et al.: Ocular Salvage and Vision Preservation Using a Topotecan-Based Regimen for Advanced Intraocular Retinoblastoma. J Clin Oncol 35 (1): 72-77, 2017.[PUBMED Abstract]
  23. Shields CL, Mashayekhi A, Au AK, et al.: The International Classification of Retinoblastoma predicts chemoreduction success. Ophthalmology 113 (12): 2276-80, 2006.[PUBMED Abstract]
  24. Berry JL, Jubran R, Kim JW, et al.: Long-term outcomes of Group D eyes in bilateral retinoblastoma patients treated with chemoreduction and low-dose IMRT salvage. Pediatr Blood Cancer 60 (4): 688-93, 2013.[PUBMED Abstract]
  25. Schaiquevich P, Buitrago E, Taich P, et al.: Pharmacokinetic analysis of melphalan after superselective ophthalmic artery infusion in preclinical models and retinoblastoma patients. Invest Ophthalmol Vis Sci 53 (7): 4205-12, 2012.[PUBMED Abstract]
  26. Francis JH, Gobin YP, Brodie SE, et al.: Experience of intra-arterial chemosurgery with single agent carboplatin for retinoblastoma. Br J Ophthalmol 96 (9): 1270-1, 2012.[PUBMED Abstract]
  27. Rojanaporn D, Kaliki S, Bianciotto CG, et al.: Intravenous chemoreduction or intra-arterial chemotherapy for cavitary retinoblastoma: long-term results. Arch Ophthalmol 130 (5): 585-90, 2012.[PUBMED Abstract]
眼球外網膜芽細胞腫の治療

高所得国では、眼球外病変を呈する網膜芽細胞腫患者はほとんどいない。眼球外網膜芽細胞腫は、眼周囲の軟部組織にとどまることもあれば、切断端を越えて視神経に達していることもある。しかし、浸潤が進むと脳および髄膜まで進行し、次に髄液播種が起こり、肺、骨、および骨髄に遠隔転移する。

眼窩内および局所領域の網膜芽細胞腫の治療

眼窩内網膜芽細胞腫は、腫瘍が導出血管および強膜を貫通して進行した結果として発生する。このため、経強膜病変は、眼球外にあるとみなして、そのように治療すべきである。眼窩内網膜芽細胞腫は症例の60~70%が孤立性である。

眼球外網膜芽細胞腫(眼窩内および局所領域)に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 化学療法。
  2. 眼球摘出術(眼球外への進展がある場合)。
  3. 放射線療法。

治療には、全身化学療法および放射線療法が含められる;このアプローチで60~85%の患者を治癒できる。ほとんどの再発が中枢神経系(CNS)で発生することから、十分な裏付けがあるCNS浸透能を有する薬剤を含むレジメンが使用される。ビンクリスチン + シクロホスファミド + ドキソルビシン、プラチナ製剤を基本としたレジメンおよびエピポドフィロトキシンを基本としたレジメンまたはその併用療法など、さまざまな化学療法レジメンが有効なことが立証されている。[ 1 ][ 2 ][ 3 ]

巨視的眼窩病変を有する患者では、化学療法に対する反応が得られるまで(通常、2または3コースの治療後)、手術を遅らせることが有効である。その後に眼球摘出術を実施すべきであり、さらに4~6コースの化学療法を追加する。次に、眼窩放射線照射(40~45Gy)により局所制御が強化される。このアプローチを使用すると、眼窩内容除去術は適応されない。[ 3 ]

視神経の病変が横断面レベルで孤立している患者でも眼球外網膜芽細胞腫を有するものとみなされ、巨視的眼窩病変に用いられるものと同様の全身化学療法で治療され、放射線療法では、眼窩全体(36Gy)に視交叉へのブースト10Gyを加えた線量(計46Gy)が照射される。[ 2 ]

CNS病変の治療

頭蓋内播種は視神経を貫通する直接進展によって発生し、その予後は暗い。これらの患者の治療には、プラチナ製剤をベースにした強化全身化学療法およびCNSに向けた治療法が含められる。伝統的に髄腔内化学療法が使用されているが、この使用を裏付ける前臨床または臨床での証拠は得られていない。

眼球外網膜芽細胞腫(CNS病変)に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 全身化学療法、および放射線療法を伴うCNSに対する治療。
  2. 全身化学療法とその後の放射線療法を伴うまたは伴わない骨髄破壊的化学療法および幹細胞救助。

これらの患者に対する放射線療法の実施については見解が一致していない。全頭蓋脊髄軸への25Gy~35Gyの照射および測定可能な病変部位へのブースト照射(10Gy)を使用した頭蓋脊髄照射で反応が観察されている。

骨髄破壊的大量化学療法および自家造血前駆細胞救助による治療強化が検討されているが、まだその役割は明らかではない。[ 4 ][証拠レベル:3iiA]

同時発症の三側性網膜芽細胞腫の治療

三側性網膜芽細胞腫は、通常松果体病変、またはこれより少ないがトルコ鞍上部病変に関連している。[ 5 ][ 6 ][ 7 ]遺伝性網膜芽細胞腫患者では、松果体腫瘍などの原発性頭蓋内病変に比べて、CNS病変が転移性または局所性進展の結果である可能性は低い。三側性網膜芽細胞腫患者の予後は、きわめて不良である;ほとんどの患者が9ヵ月未満で播種性脳脊髄軸疾患により死亡する。[ 8 ][ 9 ]しかしながら、サーベイランスの強化と積極的な治療により、生存率は6%(1995年以前に治療された患者)から44%(1996年より後に治療された患者)に改善している。[ 10 ]

同時発症の三側性網膜芽細胞腫に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 全身化学療法とその後の手術および幹細胞救助を伴う骨髄破壊的化学療法。
  2. 全身化学療法とその後の手術および放射線療法。

年齢が高い患者に発生する松果体芽細胞腫は、放射線療法感受性があるが、現在の戦略は、強化化学療法に続けて骨髄破壊的化学療法および自家造血前駆細胞救助による地固め療法を使用することで、放射線療法を避ける方向に向かっており、乳児における脳腫瘍の治療で使用されているものと似たアプローチである。[ 11 ]

(神経画像によるスクリーニングなど、三側性網膜芽細胞腫に関する詳しい情報については、本要約の網膜芽細胞腫関連死の原因のセクションの三側性網膜芽細胞腫のサブセクションを参照のこと。)

頭蓋外転移性網膜芽細胞腫の治療

頭蓋外転移性網膜芽細胞腫に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 全身化学療法とその後の幹細胞救助および放射線療法を伴う骨髄破壊的化学療法。

血行性転移が、骨および骨髄のほか、頻度は少ないが肝臓に発生することがある。長期生存が従来の化学療法により報告されているが、これらの報告は逸話的であるとみなすべきである;転移性網膜芽細胞腫は、従来の化学療法では治癒できない。しかしながら、この20年間に小規模の患者を対象としたシリーズの研究で、転移性網膜芽細胞腫が骨髄破壊的大量化学療法および自家造血幹細胞救助を使用することで治癒可能なことが示されている。[ 12 ][ 13 ][ 14 ][ 15 ][ 16 ][ 17 ][ 18 ][ 19 ][証拠レベル:3iiA]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
  1. Antoneli CB, Ribeiro KB, Rodriguez-Galindo C, et al.: The addition of ifosfamide/etoposide to cisplatin/teniposide improves the survival of children with retinoblastoma and orbital involvement. J Pediatr Hematol Oncol 29 (10): 700-4, 2007.[PUBMED Abstract]
  2. Aerts I, Sastre-Garau X, Savignoni A, et al.: Results of a multicenter prospective study on the postoperative treatment of unilateral retinoblastoma after primary enucleation. J Clin Oncol 31 (11): 1458-63, 2013.[PUBMED Abstract]
  3. Radhakrishnan V, Kashyap S, Pushker N, et al.: Outcome, pathologic findings, and compliance in orbital retinoblastoma (International Retinoblastoma Staging System stage III) treated with neoadjuvant chemotherapy: a prospective study. Ophthalmology 119 (7): 1470-7, 2012.[PUBMED Abstract]
  4. Dunkel IJ, Chan HS, Jubran R, et al.: High-dose chemotherapy with autologous hematopoietic stem cell rescue for stage 4B retinoblastoma. Pediatr Blood Cancer 55 (1): 149-52, 2010.[PUBMED Abstract]
  5. Rodjan F, de Graaf P, Brisse HJ, et al.: Trilateral retinoblastoma: neuroimaging characteristics and value of routine brain screening on admission. J Neurooncol 109 (3): 535-44, 2012.[PUBMED Abstract]
  6. Paulino AC: Trilateral retinoblastoma: is the location of the intracranial tumor important? Cancer 86 (1): 135-41, 1999.[PUBMED Abstract]
  7. Blach LE, McCormick B, Abramson DH, et al.: Trilateral retinoblastoma--incidence and outcome: a decade of experience. Int J Radiat Oncol Biol Phys 29 (4): 729-33, 1994.[PUBMED Abstract]
  8. Kivelä T: Trilateral retinoblastoma: a meta-analysis of hereditary retinoblastoma associated with primary ectopic intracranial retinoblastoma. J Clin Oncol 17 (6): 1829-37, 1999.[PUBMED Abstract]
  9. Marcus DM, Brooks SE, Leff G, et al.: Trilateral retinoblastoma: insights into histogenesis and management. Surv Ophthalmol 43 (1): 59-70, 1998 Jul-Aug.[PUBMED Abstract]
  10. de Jong MC, Kors WA, de Graaf P, et al.: Trilateral retinoblastoma: a systematic review and meta-analysis. Lancet Oncol 15 (10): 1157-67, 2014.[PUBMED Abstract]
  11. Dunkel IJ, Jubran RF, Gururangan S, et al.: Trilateral retinoblastoma: potentially curable with intensive chemotherapy. Pediatr Blood Cancer 54 (3): 384-7, 2010.[PUBMED Abstract]
  12. Namouni F, Doz F, Tanguy ML, et al.: High-dose chemotherapy with carboplatin, etoposide and cyclophosphamide followed by a haematopoietic stem cell rescue in patients with high-risk retinoblastoma: a SFOP and SFGM study. Eur J Cancer 33 (14): 2368-75, 1997.[PUBMED Abstract]
  13. Kremens B, Wieland R, Reinhard H, et al.: High-dose chemotherapy with autologous stem cell rescue in children with retinoblastoma. Bone Marrow Transplant 31 (4): 281-4, 2003.[PUBMED Abstract]
  14. Rodriguez-Galindo C, Wilson MW, Haik BG, et al.: Treatment of metastatic retinoblastoma. Ophthalmology 110 (6): 1237-40, 2003.[PUBMED Abstract]
  15. Dunkel IJ, Aledo A, Kernan NA, et al.: Successful treatment of metastatic retinoblastoma. Cancer 89 (10): 2117-21, 2000.[PUBMED Abstract]
  16. Matsubara H, Makimoto A, Higa T, et al.: A multidisciplinary treatment strategy that includes high-dose chemotherapy for metastatic retinoblastoma without CNS involvement. Bone Marrow Transplant 35 (8): 763-6, 2005.[PUBMED Abstract]
  17. Jubran RF, Erdreich-Epstein A, Butturini A, et al.: Approaches to treatment for extraocular retinoblastoma: Children's Hospital Los Angeles experience. J Pediatr Hematol Oncol 26 (1): 31-4, 2004.[PUBMED Abstract]
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  19. Dunkel IJ, Khakoo Y, Kernan NA, et al.: Intensive multimodality therapy for patients with stage 4a metastatic retinoblastoma. Pediatr Blood Cancer 55 (1): 55-9, 2010.[PUBMED Abstract]
進行性または再発網膜芽細胞腫の治療

進行性または再発網膜芽細胞腫患者の予後は、進行または再発腫瘍の占拠部位と範囲および過去に受けた治療に左右される。眼球内および眼球外再発の予後は全く異なり、全く別の治療法で治療される。

眼球内の進行性または再発網膜芽細胞腫の治療

眼球内の進行性または再発網膜芽細胞腫に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 眼球摘出術。
  2. 放射線療法(外照射療法またはプラーク放射線療法)。
  3. 局所治療(凍結療法または温熱療法)。
  4. 救助化学療法(全身または動脈内化学療法)。
  5. 硝子体内化学療法、特に難治性または再発硝子体播種の場合。

動脈内および硝子体内化学療法の使用法と可能な適用法は本要約の以前のセクションで広範囲に議論されている(詳しい情報については、本要約の眼動脈注入化学療法[動脈内化学療法]および硝子体内化学療法のセクションを参照のこと)。

眼球に対して局所制御療法のみを受けた遺伝性網膜芽細胞腫患者では、網膜の各細胞にRB1の変異があるため、新たな眼球内腫瘍が発生することがある;これは再発とみなすべきではない。非常に幼い遺伝性網膜芽細胞腫の患児では、過去にケモリダクションおよび局所制御療法からなる治療を用いても、サーベイランスによって早い段階で新たな腫瘍が検出される場合があり、プラーク放射線療法を含む局所制御療法を追加することで、腫瘍の根絶に成功する可能性がある。[ 1 ]

網膜芽細胞腫の再発または進行が眼に限局し小型である場合には、局所療法単独で視力予後および生存予後がきわめて良好でありうる。[ 2 ][証拠レベル:3iiDiv]再発または進行した腫瘍が眼に限局しているものの広範囲にわたる場合には、視力予後は不良である;しかしながら、生存は依然としてきわめて良好である。

眼動脈への動脈内化学療法は、全身化学療法および放射線療法実施後に再燃する患者において有効であることが示されている。[ 3 ][ 4 ]一次動脈内化学療法後に救助動脈内化学療法が用いられている。しかしながら、第二選択動脈内化学療法後の疾患進行のために、患者にはしばしば別の治療法が必要となる。[ 5 ]以前に放射線を照射されていない患者には、放射線療法を検討すべきである。進行性網膜芽細胞腫の症例において、すべての眼球温存治療が失敗した後は、最終的に眼球摘出術が必要であろう。

眼球外の進行性または再発網膜芽細胞腫の治療

眼球外の進行性または再発網膜芽細胞腫に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 眼窩病変に対する全身化学療法および放射線療法。
  2. 全身化学療法とその後の幹細胞救助を伴う骨髄破壊的化学療法および眼窩外病変に対する放射線療法。

眼球摘出後の眼窩における再発は、病変の転移リスクが高いため、局所放射線療法に加えて積極的な化学療法を用いて治療される。[ 6 ][証拠レベル:3iiA]再発に対する眼球摘出後、眼窩再発と術後の造影を鑑別する際に眼窩用のコイル(orbital coils)を用いた高分解能磁気共鳴画像法が役立つことがある。[ 7 ]

再発腫瘍または進行腫瘍が眼球外に及んでいる場合には、生存の可能性は低い。[ 8 ]しかしながら、特に頭蓋外再発を来した患者について、強化全身化学療法および大量化学療法と自家造血幹細胞救助を伴う地固め療法の使用により、治癒の可能性が改善する場合がある(詳しい情報については、本要約の眼球外網膜芽細胞腫の治療のセクションを参照のこと)。これらの強化アプローチの後に疾患が再発した患者については、臨床試験を検討してもよい。

進行性または再発網膜芽細胞腫に対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

進行した眼内網膜芽細胞腫の患者に対する評価中のアプローチに、RB1を標的とする腫瘍溶解性アデノウイルスの使用がある。[ 9 ]

米国国立がん研究所(NCI)が支援している臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトに掲載されている。他の組織がスポンサーの臨床試験に関する情報については、ClinicalTrials.govウェブサイトを参照のこと。

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である:

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
  1. Wilson MW, Haik BG, Billups CA, et al.: Incidence of new tumor formation in patients with hereditary retinoblastoma treated with primary systemic chemotherapy: is there a preventive effect? Ophthalmology 114 (11): 2077-82, 2007.[PUBMED Abstract]
  2. Chan MP, Hungerford JL, Kingston JE, et al.: Salvage external beam radiotherapy after failed primary chemotherapy for bilateral retinoblastoma: rate of eye and vision preservation. Br J Ophthalmol 93 (7): 891-4, 2009.[PUBMED Abstract]
  3. Schaiquevich P, Ceciliano A, Millan N, et al.: Intra-arterial chemotherapy is more effective than sequential periocular and intravenous chemotherapy as salvage treatment for relapsed retinoblastoma. Pediatr Blood Cancer 60 (5): 766-70, 2013.[PUBMED Abstract]
  4. Say EA, Iyer PG, Hasanreisoglu M, et al.: Secondary and tertiary intra-arterial chemotherapy for massive persistent or recurrent subretinal retinoblastoma seeds following previous chemotherapy exposure: long-term tumor control and globe salvage in 30 eyes. J AAPOS 20 (4): 337-42, 2016.[PUBMED Abstract]
  5. Francis JH, Abramson DH, Gobin YP, et al.: Efficacy and toxicity of second-course ophthalmic artery chemosurgery for retinoblastoma. Ophthalmology 122 (5): 1016-22, 2015.[PUBMED Abstract]
  6. Kim JW, Kathpalia V, Dunkel IJ, et al.: Orbital recurrence of retinoblastoma following enucleation. Br J Ophthalmol 93 (4): 463-7, 2009.[PUBMED Abstract]
  7. Sirin S, de Jong MC, de Graaf P, et al.: High-Resolution Magnetic Resonance Imaging Can Reliably Detect Orbital Tumor Recurrence after Enucleation in Children with Retinoblastoma. Ophthalmology 123 (3): 635-45, 2016.[PUBMED Abstract]
  8. Broaddus E, Topham A, Singh AD: Survival with retinoblastoma in the USA: 1975-2004. Br J Ophthalmol 93 (1): 24-7, 2009.[PUBMED Abstract]
  9. Pascual-Pasto G, Bazan-Peregrino M, Olaciregui NG, et al.: Therapeutic targeting of the RB1 pathway in retinoblastoma with the oncolytic adenovirus VCN-01. Sci Transl Med 11 (476): , 2019.[PUBMED Abstract]
本要約の変更点(12/03/2019)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約は再編集された。

網膜芽細胞腫に関する一般情報

近親者が発端者のRB1変異アレルを保有する検査前リスクに関して、表1が追加された。

網膜芽細胞腫に対する小児期のスクリーニングのための管理ガイドラインに関して、図2が追加された。

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、網膜芽細胞腫の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Retinoblastoma Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/retinoblastoma/hp/retinoblastoma-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389442]

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

免責条項

入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。