ご利用について
このPDQがん情報要約では、網膜芽細胞腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- 網膜芽細胞腫についての一般的な情報
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網膜芽細胞腫は、網膜の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。
網膜は眼球の後側の内面を覆っている神経組織の層です。網膜で感知された光は、信号に変換されて視神経を通って脳へと伝えられます。その信号が脳で解読されて、視覚像として見えるようになります。
網膜芽細胞腫は片眼のみに発生すること(片側性)もあれば、両眼に発生すること(両側性)もあります。空洞性の網膜芽細胞腫は、腫瘍内に腔(空洞)ができるまれな種類の網膜芽細胞腫です。
網膜芽細胞腫はあらゆる年齢層に発生する場合がありますが、最も多いのは2歳未満です。
網膜芽細胞腫の家族歴がある小児は、網膜芽細胞腫の有無を調べる眼の検査を受けるべきです。
網膜芽細胞腫の家族歴があり、RB1遺伝子に変異があるかどうかが不明な小児は、生後早くに網膜芽細胞腫の有無を調べる眼の検査を定期的に受けるべきです。網膜芽細胞腫を早期に診断できれば、小児に必要な治療の強さを抑えることが可能です。
どのような眼の検査をどのくらいの頻度で行うか、あるいは網膜芽細胞腫の状況を確認する眼の検査を何歳まで受ける必要があるかは、お子さんの担当医とご相談ください。
網膜芽細胞腫には、遺伝性で発生するものも、非遺伝性で発生するものもあります。
RB1遺伝子に特定の変異がある小児の網膜芽細胞腫は遺伝性の病型と考えられます。RB1遺伝子の変異は親から子に受け継がれる場合と、受胎前または受胎直後の卵子や精子に発生する場合があります。
小児の網膜芽細胞腫が遺伝性である可能性を示す他の因子には以下のようなものがあります:
遺伝性網膜芽細胞腫と診断され、治療を受けた後でも、数年間は新たな腫瘍が発生することがあります。通常は、新たな腫瘍が発生していないか調べる定期的な眼の検査を2~4ヵ月おきに実施し、少なくとも28ヵ月間は続けます。
ほとんどの網膜芽細胞腫は非遺伝性です。非遺伝性網膜芽細胞腫は、親から子に遺伝しません。この種の網膜芽細胞腫は、出生後に偶然発生したRB1遺伝子の変異により引き起こされます。非遺伝性網膜芽細胞腫は通常、片側の眼に発生します。
遺伝性網膜芽細胞腫のお子さんは、三側性網膜芽細胞腫やその他のがんのリスクが高くなります。
遺伝性網膜芽細胞腫のお子さんは、脳の松果体腫瘍のリスクが高い状態です。網膜芽細胞腫と脳腫瘍が同時に発生した場合は、三側性網膜芽細胞腫と呼ばれます。この脳腫瘍は通常、生後20~36ヵ月で診断されます。遺伝性網膜芽細胞腫と考えられる小児、または片眼に網膜芽細胞腫があり、この病気の家族歴もある小児には、MRI(磁気共鳴画像法)による定期的なスクリーニングが行われることがあります。CTスキャン(コンピュータ断層撮影)は、小児が電離放射線に曝されることを防ぐために、通常のスクリーニングでは使用されません。
遺伝性網膜芽細胞腫では、肺がんや膀胱がん、または黒色腫などの別の種類のがんを後年に発症するリスクも高まります。そのため、定期的なフォローアップ検査が重要です。
遺伝子検査は小児の網膜芽細胞腫が遺伝性または非遺伝性のどちらであるかを判別することができます。
疾患が遺伝性のものであるかどうかは、家族歴から常に明らかになるわけではありません。特定の条件に当てはまる家族は、遺伝カウンセリングや遺伝子検査を受けるメリットがあります。遺伝カウンセラーやその他の特別な訓練を受けた専門家は、小児の親が以下のような点を把握するための支援を提供することができます:
遺伝カウンセラーは遺伝子検査の結果について家族と話し合う方法を助言するなどして、当事者が検査結果に対処するための支援を行います。
小児が遺伝性網膜芽細胞腫を患っていることが判明したら、家族もRB1遺伝子の変異を調べる検査を受けることがあります。特定の変異に関連して同胞に網膜芽細胞腫が発生するリスクは、その変異が父母のどちらから遺伝するかによって異なる部分があります。
網膜芽細胞腫の徴候や症状には、「白色瞳孔」や斜視(左右の眼が異なる方向を見ているような状態)などがあります。
これらに加え、別の徴候や症状が網膜芽細胞腫により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:
網膜芽細胞腫を診断するために網膜を調べる検査が行われます。
以下のような検査法や手技が用いられます:
網膜芽細胞腫は通常、生検を行わずに診断されます。
網膜芽細胞腫が片方の眼にある場合に、もう一方の眼にも腫瘍ができることがあります。網膜芽細胞腫が非遺伝性のものかどうかが不明な場合は、腫瘍のない側の眼も検査します。
- 網膜芽細胞腫の病期
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網膜芽細胞腫の診断がついた後には、がん細胞の眼球内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。
がんの眼球内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして、網膜芽細胞腫が眼の内部にのみ存在しているか(眼球内)、眼の外部に拡がっているか(眼球外)が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。がんの診断に用いられた検査や手技の結果が、そのまま病期分類に使用されることもよくあります。
病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:
- MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、脳などの体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。
- 骨スキャン:骨の内部に活発に分裂している細胞(がん細胞など)が存在していないかを調べる検査法。まずごく少量の放射性物質を静脈内に注入し、血液に乗せて全身に巡らせます。この放射性物質にはがんが生じている骨に集まっていく性質があるため、これを特殊な装置(スキャナ)を用いて検出するとともに、全身の像も撮影します。 がんがある骨は正常な骨細胞よりも放射性物質を多く取り込むため、このような領域は画像内で明るく表示されます。
- 骨髄穿刺と骨髄生検:骨髄や小さな骨片を、腰骨または胸骨に中空の針を挿入して採取します。病理医は、採取した骨髄を顕微鏡で観察し、がんの徴候がないかどうか調べます。骨髄穿刺と骨髄生検は、がんが眼球の外へ拡がっていると考えられる場合に実施されます。
- 腰椎穿刺:脊柱内から脳脊髄液(CSF)を採取する際に用いられる手技。脊椎内の2本の骨の間から脊柱内に針を刺し、脊髄周囲を流れるCSFに到達させ、CSFを採取します。CSFのサンプルを顕微鏡で観察し、脳や脊髄に転移したがんの徴候の有無を調べて、場合によってはガングリオシドGD2という腫瘍マーカーについても調査します。この手技はLPまたは脊椎穿刺とも呼ばれます。
網膜芽細胞腫国際病期分類システム(IRSS)が網膜芽細胞腫の病期分類に使用されることがあります。
網膜芽細胞腫では、病期分類システムがいくつか存在します。IRSS病期は、手術で腫瘍を切除した後に残存しているがんの量、およびがんが拡がっていないかどうかを基にしています。
II期
腫瘍は眼球にのみ存在します。眼球が摘出されており、がん細胞が顕微鏡でのみ認められる程度に残存しています。
体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。
がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。
がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。
転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、網膜芽細胞腫が骨に転移した場合、骨にできたがん細胞は、実際は網膜芽細胞腫の細胞です。この疾患は転移性網膜芽細胞腫であり、骨がんではありません。
- 治療選択肢の概要
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網膜芽細胞腫の患者さんには様々な治療法が存在します。
網膜芽細胞腫の患者さんは、様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。
小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討すべきです。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
網膜芽細胞腫の小児の治療では、小児がんの治療に精通した医療提供者で構成されるチームによって治療計画が作成されるべきです。
治療の目標は、お子さんの命を救うこと、視力を維持し眼を守ること、および重篤な副作用を防ぐことです。この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児の眼のがんの治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組んでいきます。網膜芽細胞腫の治療に豊富な経験をもつ小児眼科医(子どもを対象とした眼科の医師)の他に、以下のような専門家が治療に参加することもあります:
標準治療としては、以下の6種類が用いられています:
凍結療法
凍結療法は、非常に低い温度の物体を使用して異常な組織を破壊する治療法です。小さな金属のプローブを氷点下に冷却し、腫瘍付近の眼の表面にあてがって、がん細胞を凍結させ殺傷します。凍結療法は通常、小型の網膜芽細胞腫を治療するために、眼の前面に対して施されます。この治療法は凍結手術とも呼ばれます。
温熱療法
温熱療法は、熱を利用して、がん細胞を破壊する治療法です。温熱療法では、レーザービームを用いて、拡張させた瞳孔を通して照射したり、眼球の外側に照射したりする場合があります。小さい腫瘍には温熱療法を単独で行う場合があり、大きな腫瘍には化学療法と併用する場合があります。このような治療法は、レーザー治療とも呼ばれます。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法の実施方法は、がんの病期と体内の位置によって異なります。
化学療法には、以下のように様々な種類があります:
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全身化学療法:化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します。全身化学療法は、腫瘍を縮小させ(ケモリダクション)、眼球を摘出する手術を避けるために実施されます。ケモリダクションの後に実施するその他の治療法としては、放射線療法、凍結療法、レーザー治療、または局所化学療法などが考えられます。しかし、眼窩外の病変には強化化学療法が必要であるほか、大量化学療法と自家幹細胞移植(場合により放射線療法も追加)による地固め療法が行われることもあります。
初回治療後に残存しているがん細胞や眼の外に生じたがん細胞を殺傷する目的で、全身化学療法が行われることもあります。初回治療後にがんが再発するリスクを低減させるために実施する治療は、補助療法と呼ばれます。
- 局所化学療法:脳脊髄液内(髄腔内化学療法)や臓器内(眼球など)、または体腔に薬剤を直接注入して行われる化学療法では、その領域のがん細胞に薬が集中的に作用します。網膜芽細胞腫の治療では、いくつかの種類の局所化学療法が使用されます。
- 眼動脈注入化学療法:眼動脈注入化学療法では、抗がん剤を眼に直接投与します。眼につながっている動脈の中にカテーテルを挿入し、そのカテーテルを介して抗がん剤を投与します。薬剤を投与した後、動脈の中に小さなバルーンを挿入して動脈を遮断し、抗がん剤の大半が腫瘍の近くにとどまるようにすることがあります。この種の化学療法は、腫瘍が片眼のみにある場合の初回治療として、または腫瘍が他の種類の治療に反応を示さない場合に実施されることがあります。眼動脈注入化学療法は、網膜芽細胞腫の専門治療センターで実施されます。
- 硝子体内化学療法:硝子体内化学療法では、眼内の硝子体液(ゼリー状の物質)に直接抗がん剤を注入します。硝子体液に拡がり、治療に反応しないか治療後に再発したがんの治療に用いられます。
- 髄腔内化学療法:髄腔内化学療法では、脳脊髄液(CSF)に直接抗がん剤を注入します。脳に転移したがんの治療に用いられます。
詳しい情報については、網膜芽細胞腫に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります:
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外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんのある領域に放射線を照射する方法です。
特定の方法で放射線療法を実施すると、周辺の健康な組織の損傷を防ぐことができます。こうした放射線療法には以下の種類があります:
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内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。特定の方法で放射線療法を実施すると、周辺の健康な組織の損傷を防ぐことができます。こうした内照射療法には以下の種類があります:
- プラーク放射線療法:プラークと呼ばれる円盤の片面に放射性シードを取り付け、それを眼球壁の腫瘍付近の外表面上に直接設置する方法。シードの取り付けられた面が眼球側に向けられ、ここから腫瘍に向けて放射線が照射されます。このプラークは放射線から付近の組織を保護する役割も果たしています。
内照射療法と外照射療法のどちらが用いられるかは、治療対象となるがんの病期、体内での場所、他の治療に対するがんの反応に応じて異なります。
幹細胞救援を伴う大量化学療法
がん細胞を殺傷するために高用量化学療法が実施されます。造血細胞を含む正常な細胞もがん治療により破壊されます。幹細胞救援は、造血細胞を置き換える治療法です。まず患者さん自身から採取した血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、それを凍結保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍して、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。眼窩外の病変には強化化学療法が必要であるほか、大量化学療法と自家幹細胞移植(場合により放射線療法も追加)による地固め療法が行われることもあります。
詳しい情報については、網膜芽細胞腫に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。
本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。
網膜芽細胞腫の治療は副作用を引き起こすことがあります。
がんの治療中に発生する副作用に関する詳しい情報については、副作用(英語)のページをご覧ください。
がん治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。網膜芽細胞腫治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:
以下のリスク因子は二次がんの発生リスクを上昇させる可能性があります:
- 遺伝性の網膜芽細胞腫を患っている。
- 過去の放射線療法による治療(特に1歳以前)。
- 以前に二次がんになった病歴があること。
がんの治療によってお子さんに生じうる影響について担当医とよく相談することが重要です。そのため、晩期合併症(晩期障害)の診断や治療に精通した医療専門家による定期的な経過観察が重要です。詳しい情報については、PDQの小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関する要約をご覧ください。
患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。
患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。
今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。
患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。
患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。
ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。
臨床試験は米国各地で行われています。NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
フォローアップ検査が必要となることもあります。
がんの診断や病期判定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。
治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、お子さんの状態の変化やがんの再発の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。
網膜芽細胞腫は、治療の後、数年が経過してから新しい腫瘍が発生することがあります。両眼の腫瘍を調べる検査が定期的に行われます。遺伝性網膜芽細胞腫の小児には、脳へのがん転移の有無を調べる画像検査も行われます。
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全身化学療法:化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します。全身化学療法は、腫瘍を縮小させ(ケモリダクション)、眼球を摘出する手術を避けるために実施されます。ケモリダクションの後に実施するその他の治療法としては、放射線療法、凍結療法、レーザー治療、または局所化学療法などが考えられます。しかし、眼窩外の病変には強化化学療法が必要であるほか、大量化学療法と自家幹細胞移植(場合により放射線療法も追加)による地固め療法が行われることもあります。
- 片側性、両側性、空洞性の網膜芽細胞腫の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
眼球を温存できそうな場合には以下のような治療法があります:
腫瘍が大きく、眼球を温存できそうにない場合には、以下のような治療法があります:
網膜芽細胞腫が両眼にみられる場合は、腫瘍の大きさおよび眼球を温存できる可能性によって、各眼に対する治療が異なることがあります。通常、全身化学療法の用量は、より多くのがんが生じている眼を基準として決定します。
空洞性の網膜芽細胞腫の患者さんはよく治療に反応し、空洞性ではない網膜芽細胞腫の患者さんと同様、長期の予後は良好です。
- 眼球外網膜芽細胞腫の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
眼球外網膜芽細胞腫(眼球の周辺に拡がったがん)の治療法には以下のようなものがあります:
眼球外網膜芽細胞腫(脳に転移したがん)の治療法には以下のようなものがあります:
化学療法、放射線療法、幹細胞救援を伴う大量化学療法のいずれかの治療が、眼球外網膜芽細胞腫の患者さんの生存期間を延長するかどうかは不明です。
三側性網膜芽細胞腫(網膜芽細胞腫と脳腫瘍が同時に発生した場合)の治療法には以下のようなものがあります:
- 全身化学療法後に、手術と幹細胞救援を伴う大量化学療法。
- 全身化学療法後に、手術と体外照射療法。
体の他の部位に転移しているが脳には転移していない網膜芽細胞腫の治療法には、以下のようなものがあります:
- 全身化学療法後に、幹細胞救援を伴う大量化学療法、および体外照射療法。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 進行性または再発網膜芽細胞腫の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
進行性または再発眼球内網膜芽細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:
進行性または再発眼球外網膜芽細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 小児がんについてさらに学ぶために
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米国国立がん研究所が提供している網膜芽細胞腫の治療に関する詳しい情報については、以下をご覧ください:
小児がんに関する情報と一般的ながんに関するその他の資源については、以下をご覧ください:
- 本PDQ要約について
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PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、網膜芽細胞腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。
本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Retinoblastoma Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/types/retinoblastoma/patient/retinoblastoma-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389197]
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