医療専門家向け 小児甲状腺がんの治療(PDQ®)

ご利用について

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児甲状腺がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

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発生率

甲状腺がんの年間発生率は0~19歳の100万人当たり4.8~5.9人であり、この年齢層のすべてのがんの約1.5%を占めている。[ 1 ][ 2 ]15~19歳の小児における甲状腺がん発生率はやや高くなり(100万人当たり17.6人)、この年齢層において発生するがんの約8%を占めている。[ 1 ][ 3 ]甲状腺がんは男児よりも女児に多い。[ 4 ]比較的大きな腫瘍の傾向があることから、診断的精密検査だけでは観察された結果の説明とならないことが示唆されている。[ 5 ]

Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベースを用いた2件の時系列研究により、1973年から2011年までおよび1984年から2010年までの米国における小児、青年、および若年成人の分化型甲状腺がんの発生率はそれぞれ、年間2%および3.8%増加したことが示されている。[ 1 ][ 5 ]カナダでも過去20年間にわたって、小児、青年、および若年成人における甲状腺がん発生率の同様の増加傾向が実証されている。[ 6 ]24歳未満の患者における甲状腺がんについてのデンマークの集団ベース研究において、(10万人当たりの)年齢調整発生率は1980年の0.36から2014年の0.97へと有意に増加し、年間変化率は平均2.9%であったことが報告された。[ 7 ]全生存における変化は観察されなかったが、若年成人(18~24歳)では、主に女性と乳頭がん患者における増加のために甲状腺がん発生率の有意な増加が示された。

甲状腺がんの発生率は白人(100万人当たり5.3人 vs 黒人における100万人当たり1.5人)および青年期女性(100万人当たり8.1人 vs 青年期男性における100万人当たり1.7人)において比較的高い。[ 1 ]

乳頭がんサブタイプが最も一般的で症例の約60%を占め、濾胞型乳頭がんサブタイプ(20~25%)、濾胞がんサブタイプ(10%)、髄様がんサブタイプ(10%未満)が続く。乳頭がんサブタイプおよび濾胞型乳頭がんサブタイプの発生率のピークは15~19歳である。甲状腺髄様がんの発生率は0~4歳の年齢層が最も高く、より高い年齢層では低下する(図1を参照のこと)。[ 2 ]

10万人当たりの頻度の高いサブタイプ順にコホート全体のパーセントで表した小児甲状腺がんの発生率を示す図。

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図1.10万人当たりの頻度の高いサブタイプ順にコホート全体のパーセントで表した小児甲状腺がんの発生率。Elsevierから許諾を得て転載:International Journal of Pediatric Otorhinolaryngology, Volume 89, Sarah Dermody, Andrew Walls, Earl H. Harley Jr., Pediatric thyroid cancer: An update from the SEER database 2007-2012, Pages 121-126, Copyright (2016).

参考文献
  1. Golpanian S, Perez EA, Tashiro J, et al.: Pediatric papillary thyroid carcinoma: outcomes and survival predictors in 2504 surgical patients. Pediatr Surg Int 32 (3): 201-8, 2016.[PUBMED Abstract]
  2. Dermody S, Walls A, Harley EH: Pediatric thyroid cancer: An update from the SEER database 2007-2012. Int J Pediatr Otorhinolaryngol 89: 121-6, 2016.[PUBMED Abstract]
  3. Horner MJ, Ries LA, Krapcho M, et al.: SEER Cancer Statistics Review, 1975-2006. Bethesda, Md: National Cancer Institute, 2009. Also available online. Last accessed January 31, 2020.[PUBMED Abstract]
  4. Shapiro NL, Bhattacharyya N: Population-based outcomes for pediatric thyroid carcinoma. Laryngoscope 115 (2): 337-40, 2005.[PUBMED Abstract]
  5. Vergamini LB, Frazier AL, Abrantes FL, et al.: Increase in the incidence of differentiated thyroid carcinoma in children, adolescents, and young adults: a population-based study. J Pediatr 164 (6): 1481-5, 2014.[PUBMED Abstract]
  6. Pole JD, Zuk AM, Wasserman JD: Diagnostic and Treatment Patterns Among Children, Adolescents, and Young Adults with Thyroid Cancer in Ontario: 1992-2010. Thyroid 27 (8): 1025-1033, 2017.[PUBMED Abstract]
  7. Schmidt Jensen J, Grønhøj C, Mirian C, et al.: Incidence and Survival of Thyroid Cancer in Children, Adolescents, and Young Adults in Denmark: A Nationwide Study from 1980 to 2014. Thyroid 28 (9): 1128-1133, 2018.[PUBMED Abstract]
危険因子

小児甲状腺がんに対する危険因子には以下のものがある:

参考文献
  1. Cahoon EK, Nadyrov EA, Polyanskaya ON, et al.: Risk of Thyroid Nodules in Residents of Belarus Exposed to Chernobyl Fallout as Children and Adolescents. J Clin Endocrinol Metab 102 (7): 2207-2217, 2017.[PUBMED Abstract]
  2. Rose J, Wertheim BC, Guerrero MA: Radiation treatment of patients with primary pediatric malignancies: risk of developing thyroid cancer as a secondary malignancy. Am J Surg 204 (6): 881-6; discussion 886-7, 2012.[PUBMED Abstract]
  3. Lal G, Groff M, Howe JR, et al.: Risk of subsequent primary thyroid cancer after another malignancy: latency trends in a population-based study. Ann Surg Oncol 19 (6): 1887-96, 2012.[PUBMED Abstract]
  4. Lubin JH, Adams MJ, Shore R, et al.: Thyroid Cancer Following Childhood Low-Dose Radiation Exposure: A Pooled Analysis of Nine Cohorts. J Clin Endocrinol Metab 102 (7): 2575-2583, 2017.[PUBMED Abstract]
  5. Iglesias ML, Schmidt A, Ghuzlan AA, et al.: Radiation exposure and thyroid cancer: a review. Arch Endocrinol Metab 61 (2): 180-187, 2017 Mar-Apr.[PUBMED Abstract]
  6. Bauer AJ: Molecular Genetics of Thyroid Cancer in Children and Adolescents. Endocrinol Metab Clin North Am 46 (2): 389-403, 2017.[PUBMED Abstract]
  7. Acquaviva G, Visani M, Repaci A, et al.: Molecular pathology of thyroid tumours of follicular cells: a review of genetic alterations and their clinicopathological relevance. Histopathology 72 (1): 6-31, 2018.[PUBMED Abstract]
  8. Francis GL, Waguespack SG, Bauer AJ, et al.: Management Guidelines for Children with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer. Thyroid 25 (7): 716-59, 2015.[PUBMED Abstract]
組織学

甲状腺の腫瘍は、腺腫またはがん腫のいずれかに分類される。[ 1 ][ 2 ][ 3 ]腺腫とは、腺のすべてまたは一部に腫脹をもたらすことのある良性の境界明瞭かつ被包性の小結節であり、頸部両側面に拡がり、相当大きくなる場合がある;なかにはホルモン分泌能を有する腫瘍もある。一部の細胞で悪性腫瘍への形質転換が起こることもあり、その場合は増殖を続け、頸部リンパ節や肺へと拡大していく。小児における甲状腺結節の約20%が悪性である。[ 1 ][ 4 ]

甲状腺がんの一般的な診断カテゴリーは、以下の組織像によって説明される:

参考文献
  1. Dinauer C, Francis GL: Thyroid cancer in children. Endocrinol Metab Clin North Am 36 (3): 779-806, vii, 2007.[PUBMED Abstract]
  2. Vasko V, Bauer AJ, Tuttle RM, et al.: Papillary and follicular thyroid cancers in children. Endocr Dev 10: 140-72, 2007.[PUBMED Abstract]
  3. Halac I, Zimmerman D: Thyroid nodules and cancers in children. Endocrinol Metab Clin North Am 34 (3): 725-44, x, 2005.[PUBMED Abstract]
  4. Francis GL, Waguespack SG, Bauer AJ, et al.: Management Guidelines for Children with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer. Thyroid 25 (7): 716-59, 2015.[PUBMED Abstract]
  5. Golpanian S, Perez EA, Tashiro J, et al.: Pediatric papillary thyroid carcinoma: outcomes and survival predictors in 2504 surgical patients. Pediatr Surg Int 32 (3): 201-8, 2016.[PUBMED Abstract]
  6. Dermody S, Walls A, Harley EH: Pediatric thyroid cancer: An update from the SEER database 2007-2012. Int J Pediatr Otorhinolaryngol 89: 121-6, 2016.[PUBMED Abstract]
  7. Viola D, Romei C, Elisei R: Medullary thyroid carcinoma in children. Endocr Dev 26: 202-13, 2014.[PUBMED Abstract]
分子的特徴

濾胞細胞の甲状腺がん

濾胞細胞の甲状腺腫瘍発生および甲状腺がん(分化型甲状腺がん、低分化型甲状腺乳頭がん、および未分化甲状腺がん)への進行は、MAPKおよび/またはPI3K/PTEN/AKTシグナル伝達経路の異常な活性化に至る多段階の過程により定義される。過去10年間で実施された包括的なゲノム研究により、これらの腫瘍の状況のほか、これらの腫瘍の遺伝子型-表現型の相関が明らかにされている。以下のようにBRAFおよびRAS遺伝子における変異が最も一般的なドライバーイベントであり、RETまたはNTRKが関与する遺伝子融合がこれに続く:[ 1 ][ 2 ][ 3 ]

他の変化には以下のものがある:[ 1 ][ 3 ]

体細胞遺伝子変化の範囲は、以下のように類似した組織像の腫瘍を解析したところ、小児と成人患者間で異なっているようである:[ 2 ]

甲状腺髄様がん

甲状腺髄様がんは、神経堤に起始する甲状腺傍濾胞C細胞に由来する神経内分泌悪性腫瘍である。小児における甲状腺髄様がんは、優性遺伝またはRETがん遺伝子におけるde novoの機能獲得型変異により引き起こされる単一遺伝子性疾患で、多発性内分泌腫瘍2型(MEN2)(変異の種類に応じてMEN2AまたはMEN2Bのいずれか)と関連している。甲状腺髄様がんはRET M918T変異によって最もリスクが高くなり、この変異はMEN2Bに関連している;MEN2Aに関連するRET変異では甲状腺髄様がんのリスクはより低くなる。[ 2 ]

参考文献
  1. Acquaviva G, Visani M, Repaci A, et al.: Molecular pathology of thyroid tumours of follicular cells: a review of genetic alterations and their clinicopathological relevance. Histopathology 72 (1): 6-31, 2018.[PUBMED Abstract]
  2. Bauer AJ: Molecular Genetics of Thyroid Cancer in Children and Adolescents. Endocrinol Metab Clin North Am 46 (2): 389-403, 2017.[PUBMED Abstract]
  3. Cancer Genome Atlas Research Network: Integrated genomic characterization of papillary thyroid carcinoma. Cell 159 (3): 676-90, 2014.[PUBMED Abstract]
  4. Sisdelli L, Cordioli MICV, Vaisman F, et al.: AGK-BRAF is associated with distant metastasis and younger age in pediatric papillary thyroid carcinoma. Pediatr Blood Cancer 66 (7): e27707, 2019.[PUBMED Abstract]
  5. Wasserman JD, Sabbaghian N, Fahiminiya S, et al.: DICER1 Mutations Are Frequent in Adolescent-Onset Papillary Thyroid Carcinoma. J Clin Endocrinol Metab 103 (5): 2009-2015, 2018.[PUBMED Abstract]
臨床像および予後因子

分化型甲状腺がん

甲状腺がん患者は、通常、無痛の頸部リンパ節腫脹を伴うまたは伴わない甲状腺の腫瘤を呈する。[ 1 ]病歴と家族歴および一連の臨床症状に基づくと、甲状腺がんは多発性内分泌腫瘍(MEN)、APC関連ポリポーシス、PTEN過誤腫腫瘍症候群、カーニー複合、ウェルナー症候群、およびDICER1症候群などの腫瘍素因症候群の一部である可能性がある。[ 2 ][ 3 ]

分化型甲状腺がんでは、年齢が低い方が臨床像は侵攻性となる。以下の観察が報告されている:

高分化甲状腺がんでは、男性、腫瘍サイズ大、および遠隔転移に早期死亡の予後的意義があることが明らかになっている;しかしながら、遠隔転移を有する最高リスク群の患者でも90%の生存率を有した。[ 7 ]1件のフランスの登録に対する解析では、以前に放射線療法を受けた後に甲状腺乳頭がんを発症した小児および若年成人と、自然に甲状腺乳頭がんが発生した小児および若年成人との比較で、同様の転帰がみられた;しかしながら、良性病変に対して甲状腺照射歴のある患者は、より多くの浸潤性腫瘍およびリンパ節転移を呈した。[ 8 ]

National Cancer Databaseのレビューにより、低所得家族の21歳以下の患者および保険金が不足している患者は高分化甲状腺がんの診断から治療までの期間が長くなり、より高い病期の疾患を呈していたことが明らかにされた。[ 9 ]

甲状腺髄様がん

甲状腺髄様がんの小児は比較的侵攻性の臨床経過を辿る;症例の50%では診断時に血行性転移がみられる。[ 10 ]甲状腺髄様がんの小児および若年成人におけるその自然史の研究が米国国立がん研究所により実施されている(NCT01660984)。0~21歳の甲状腺髄様がん患者430人を対象にしたレビューでは、診断時に比較的年長であること(16~21歳)、2cm超の腫瘍径、甲状腺全摘術後の切除断端陽性、およびリンパ節転移は予後不良と関連することが報告された。[ 11 ]

1997年から2019年まで、German Society for Pediatric Oncology and Hematology(GPOH)のMalignant Endocrine Tumors(MET)レジストリーでは、計57人の甲状腺髄様がん患者および17人のC細胞過形成患者が特定された。[ 12 ][証拠レベル:3iA]甲状腺髄様がんの患者では、追跡期間中央値が5年(範囲、0~19年)で、診断時年齢の中央値が10歳(範囲、0~17歳)であった。全生存率は87%、イベントフリー生存(EFS)率は52%であった。合計すると、患者の96.4%がMEN2型(MEN2)症候群であった;患者42人中37人がMEN2A、患者28人中3人がMEN2B(RET M918T変異)であった。10年EFS率は、MEN2Aの患者が78%、MEN2Bの患者が38%であった(P < 0001)。多変量解析で、陽性リンパ節状態および術後カルシトニン値上昇は、EFSに関する有意な予後不良因子であった。

遺伝性MEN2B型の小児では、生後1年以内に甲状腺髄様がんが発見される場合があり、5歳前にリンパ節転移を来すことがある。MEN2Bに関連するRET M918T変異はしばしばde novoであるため、粘膜神経腫、無涙液症の病歴、便秘(腸管神経節神経腫症に続発する)、およびマルファン症候群様の顔面の特徴および細長い体型の認識が早期認識および診断にきわめて重要である。MEN2B患者の約50%が褐色細胞腫を発症する一方、MEN2Aでは特異的なRET変異によって褐色細胞腫および副甲状腺機能亢進症を発症するリスクの程度はさまざまである。[ 13 ][ 14 ](詳しい情報については、小児の多発性内分泌腫瘍[MEN]症候群の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

RETのde novo変異があり、家族歴のない小児では、腸管神経節神経腫症もしくは骨格または眼の徴候などの非内分泌症状により早期の診断が促進され、より良好な転帰が得られる場合がある。[ 14 ]

参考文献
  1. Al-Qurayshi Z, Hauch A, Srivastav S, et al.: A National Perspective of the Risk, Presentation, and Outcomes of Pediatric Thyroid Cancer. JAMA Otolaryngol Head Neck Surg 142 (5): 472-8, 2016.[PUBMED Abstract]
  2. Acquaviva G, Visani M, Repaci A, et al.: Molecular pathology of thyroid tumours of follicular cells: a review of genetic alterations and their clinicopathological relevance. Histopathology 72 (1): 6-31, 2018.[PUBMED Abstract]
  3. Francis GL, Waguespack SG, Bauer AJ, et al.: Management Guidelines for Children with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer. Thyroid 25 (7): 716-59, 2015.[PUBMED Abstract]
  4. Ye B, Shi J, Shen C, et al.: Comparison of differentiated thyroid carcinoma recurrence and its clinical features in children of different ages. Oncotarget 8 (29): 48051-48059, 2017.[PUBMED Abstract]
  5. Kim J, Sun Z, Adam MA, et al.: Predictors of nodal metastasis in pediatric differentiated thyroid cancer. J Pediatr Surg 52 (1): 120-123, 2017.[PUBMED Abstract]
  6. Lazar L, Lebenthal Y, Steinmetz A, et al.: Differentiated thyroid carcinoma in pediatric patients: comparison of presentation and course between pre-pubertal children and adolescents. J Pediatr 154 (5): 708-14, 2009.[PUBMED Abstract]
  7. Shayota BJ, Pawar SC, Chamberlain RS: MeSS: A novel prognostic scale specific for pediatric well-differentiated thyroid cancer: a population-based, SEER outcomes study. Surgery 154 (3): 429-35, 2013.[PUBMED Abstract]
  8. Sassolas G, Hafdi-Nejjari Z, Casagranda L, et al.: Thyroid cancers in children, adolescents, and young adults with and without a history of childhood exposure to therapeutic radiation for other cancers. Thyroid 23 (7): 805-10, 2013.[PUBMED Abstract]
  9. Garner EF, Maizlin II, Dellinger MB, et al.: Effects of socioeconomic status on children with well-differentiated thyroid cancer. Surgery 162 (3): 662-669, 2017.[PUBMED Abstract]
  10. Waguespack SG, Rich TA, Perrier ND, et al.: Management of medullary thyroid carcinoma and MEN2 syndromes in childhood. Nat Rev Endocrinol 7 (10): 596-607, 2011.[PUBMED Abstract]
  11. Raval MV, Sturgeon C, Bentrem DJ, et al.: Influence of lymph node metastases on survival in pediatric medullary thyroid cancer. J Pediatr Surg 45 (10): 1947-54, 2010.[PUBMED Abstract]
  12. Kuhlen M, Frühwald MC, Dunstheimer DPA, et al.: Revisiting the genotype-phenotype correlation in children with medullary thyroid carcinoma: A report from the GPOH-MET registry. Pediatr Blood Cancer 67 (4): e28171, 2020.[PUBMED Abstract]
  13. Bauer AJ: Molecular Genetics of Thyroid Cancer in Children and Adolescents. Endocrinol Metab Clin North Am 46 (2): 389-403, 2017.[PUBMED Abstract]
  14. Wells SA, Asa SL, Dralle H, et al.: Revised American Thyroid Association guidelines for the management of medullary thyroid carcinoma. Thyroid 25 (6): 567-610, 2015.[PUBMED Abstract]
診断的評価

甲状腺結節を有する小児または青年の初期評価には、以下を含める:

甲状腺の機能検査は通常は正常であるが、サイログロブリンが高値を示す場合がある。

最初の診断法としての穿刺吸引法は感度が高く有用である。しかしながら、疑わしい症例では切開生検または切除を検討すべきである。[ 1 ]

参考文献
  1. Francis GL, Waguespack SG, Bauer AJ, et al.: Management Guidelines for Children with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer. Thyroid 25 (7): 716-59, 2015.[PUBMED Abstract]
甲状腺乳頭がんおよび濾胞がんの治療

甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん(分化型甲状腺がん)に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術。
  2. 放射性ヨード療法。
  3. 標的療法。

2015年に、American Thyroid Association (ATA) Task Force on Pediatric Thyroid Cancerは、小児および青年における甲状腺結節および分化型甲状腺がんを管理するためのガイドラインを発表した。これらのガイドライン(以下に要約する)は、証拠レベルの注意深い評価とともに科学的証拠および専門家パネルの意見に基づいている。[ 1 ]

  1. 術前評価。[ 1 ]
    1. 高解像度プローブおよびドプラ法を用いて頸部全域の包括的超音波検査を経験豊富な超音波検査士が実施すべきである。手術前に完全な超音波検査を行うべきである。
    2. 気道消化管への浸潤の懸念がある場合は、横断的画像検査(造影コンピュータ断層撮影[CT]または磁気共鳴画像法)の追加を検討すべきである。重要なことに、ヨード造影剤を用いる場合、全身のヨード負荷が低下するまで放射性ヨードによる追加の評価および治療は2~3ヵ月間延期する必要がある。
    3. 胸部画像検査(x線またはCT)は、実質的に頸部リンパ節病変を有する患者に検討される場合がある。
    4. 甲状腺核シンチグラフィは、患者の甲状腺刺激ホルモン(TSH)が抑制されている場合にのみ実施すべきである。
    5. 骨スキャンまたはフッ素18-フルデオキシグルコース(18F-FDG)ポジトロン放射断層撮影(PET)のルーチンの使用は推奨されない。
  2. 手術。[ 1 ]

    小児の甲状腺手術は、理想ではあらゆる範囲の小児専門治療に対応できる病院で小児における内分泌手技の実施経験を有する外科医により行われる。

    1. 甲状腺摘除術:

      乳頭がんまたは濾胞がん患者に対しては、甲状腺全摘術が推奨される選択すべき治療法である。ATA専門家パネルの推奨は、両側(30%)および多発性(65%)病変の発生率が高いことを示すデータに基づいている。

      甲状腺に限局する片側の小さい腫瘍を有する患者では、これらの臓器の永続的損傷を軽減するため甲状腺亜全摘術-これにより反回神経の起始部または上副甲状腺において少量の甲状腺組織(1~2%未満)が残される-が検討される場合がある。[ 2 ]

      甲状腺全摘術でも、画像検査および治療のために放射性ヨードが最大限に利用される。

    2. central neck dissection:
    3. 頸部側方のリンパ節郭清:
  3. 分類およびリスク割り付け。[ 1 ]

    小児におけるデータは限られているが、ATA Task Forceは、3つのリスクグループの1つに患者を分類するため腫瘍-リンパ節転移-遠隔転移(TNM)分類を用いるように推奨している。(TNM分類に関する詳しい情報については、甲状腺がんの治療[成人]に関するPDQ要約の甲状腺がんの病期情報のセクションを参照のこと。)この分類戦略は、持続性の頸部病変のリスクを定義し、遠隔転移の存在に対して術後の病期分類を受けるべき患者を明らかにする一助とするように意図されている。

    1. ATA小児低リスク:腫瘍が甲状腺に限局しており、N0またはNX病変を伴うか、偶発的なN1a(少数の頸部中央区域リンパ節への顕微鏡的転移)を有する患者。これらの患者は遠隔転移のリスクが最も低いが、特に初回手術でcentral neck dissectionが含められない場合に、頸部に病変が残存するリスクが依然としてある。
    2. ATA小児中リスク:広範なN1aまたは微小なN1b病変。これらの患者は遠隔転移のリスクは低いものの、リンパ節郭清が不完全で頸部に病変が持続するリスクが高い。
    3. ATA小児高リスク:広範な所属リンパ節転移(N1b)または局所浸潤性腫瘍(T4)で、遠隔転移を伴うものまたは伴わないもの。このグループの患者は不完全な切除、持続性の病変、および遠隔転移のリスクが最も高い。
  4. 術後の病期分類および長期間のサーベイランス。[ 1 ]

    初回病期分類は術後12週間以内に実施すべきである;目的は持続性の局所領域病変の証拠がないか評価し、ヨウ素131(131I)による追加治療から利益が得られる可能性の高い患者を特定することである。ATAの小児リスクレベル(上で定義)は術後の検査範囲を決定するのに役立つ。

    1. ATA小児低リスク:
    2. ATA小児中リスク:
    3. ATA小児高リスク:

    抗サイログロブリン抗体が認められる患者に対しては、T4またはM1疾患の患者を除き、抗体クリアランスの時間を見越して術後の病期分類を延期するように検討してもよい。

  5. 放射性ヨード療法。[ 1 ]

    ヨウ素131I療法の目標は、ヨウ素集積病変を除去することで再発リスクおよび死亡率を低下させることである。

    1. ATA Task Forceでは、切除不能な持続性のヨウ素集積局所領域病変またはリンパ節病変および既知のまたは推定のヨウ素集積遠隔転移を治療するため、ヨウ素131Iの使用を推奨している。ヨウ素131I投与後に病変が持続している患者について、追加のヨウ素131I療法を実施する決定は、臨床データと以前の反応に基づいて個別に対応すべきである。
    2. 残存するヨウ素集積病変によるヨウ素131Iの取り込みを促進するため、TSH値は30mIU/Lを超えるようにすべきである。この値はレボチロキシンを14日間以上中止することで達成できる。十分なTSH反応が得られないか、重度の甲状腺機能低下に耐えられない患者では、組換えヒト型TSHを使用できる。
    3. 治療目的のヨウ素131I投与は一般的に経験的投薬または全身の線量測定に基づく。経験的治療と線量測定で得た情報に基づく治療とを比較したデータは不足しており、ATA Task Forceでは単一の特異的アプローチを推奨できなかった。しかしながら、成人と比較して小児では身体の大きさとヨウ素クリアランスに差があるため、小児に投与する際には経験を積んだ専門医がヨウ素131Iのすべての使用について計算すべきであると推奨されている。
    4. ヨウ素131I療法から4~7日後にすべての小児に対して治療後の全身スキャンが推奨される。単一光子放射CTの従来の集積されたCTへの追加(SPECT/CT)は、病変による取り込みの解剖学的部位の識別に有用な場合がある。

      ヨウ素131I療法の晩期合併症(晩期障害)はまれではあるが、唾液腺機能不全、骨髄抑制、肺線維症、および二次悪性腫瘍が挙げられる。[ 5 ]

TRK融合陽性甲状腺がんの患者の治療にラロトレクチニブ(標的療法の1つ)が用いられている。ラロトレクチニブ療法で治療されたTRK融合陽性甲状腺がんの患者5人中5人が部分奏効または完全奏効を達成した。[ 6 ]

参考文献
  1. Francis GL, Waguespack SG, Bauer AJ, et al.: Management Guidelines for Children with Thyroid Nodules and Differentiated Thyroid Cancer. Thyroid 25 (7): 716-59, 2015.[PUBMED Abstract]
  2. Spinelli C, Strambi S, Rossi L, et al.: Surgical management of papillary thyroid carcinoma in childhood and adolescence: an Italian multicenter study on 250 patients. J Endocrinol Invest 39 (9): 1055-9, 2016.[PUBMED Abstract]
  3. Kim J, Sun Z, Adam MA, et al.: Predictors of nodal metastasis in pediatric differentiated thyroid cancer. J Pediatr Surg 52 (1): 120-123, 2017.[PUBMED Abstract]
  4. Machens A, Elwerr M, Thanh PN, et al.: Impact of central node dissection on postoperative morbidity in pediatric patients with suspected or proven thyroid cancer. Surgery 160 (2): 484-92, 2016.[PUBMED Abstract]
  5. Albano D, Bertagna F, Panarotto MB, et al.: Early and late adverse effects of radioiodine for pediatric differentiated thyroid cancer. Pediatr Blood Cancer 64 (11): , 2017.[PUBMED Abstract]
  6. Drilon A, Laetsch TW, Kummar S, et al.: Efficacy of Larotrectinib in TRK Fusion-Positive Cancers in Adults and Children. N Engl J Med 378 (8): 731-739, 2018.[PUBMED Abstract]
再発甲状腺乳頭がんおよび濾胞がんの治療

分化型甲状腺がんの小児は成人と比較して発症時に疾患が進行しているにもかかわらず、一般に生存はきわめて良好であり、副作用も比較的少ない。[ 1 ][ 2 ][ 3 ]

再発甲状腺乳頭がんおよび濾胞がんに対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. ヨウ素131(131I)による放射性ヨード療法。

131Iによる放射性ヨード療法は通常、再発後に有効である。[ 4 ]131I抵抗性疾患の患者には、キナーゼ阻害薬を用いた分子標的療法が代替療法となりうる。

成人の治療について効力が実証されたチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)には以下のものがある:

(詳しい情報については、成人の甲状腺がんの治療[成人]に関するPDQ要約を参照のこと。)

甲状腺乳頭がんおよび濾胞がんの再発に対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

米国国立がん研究所(NCI)が支援している臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトに掲載されている。他の組織がスポンサーの臨床試験に関する情報については、ClinicalTrials.govウェブサイトを参照のこと。

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である:

参考文献
  1. Golpanian S, Perez EA, Tashiro J, et al.: Pediatric papillary thyroid carcinoma: outcomes and survival predictors in 2504 surgical patients. Pediatr Surg Int 32 (3): 201-8, 2016.[PUBMED Abstract]
  2. Vergamini LB, Frazier AL, Abrantes FL, et al.: Increase in the incidence of differentiated thyroid carcinoma in children, adolescents, and young adults: a population-based study. J Pediatr 164 (6): 1481-5, 2014.[PUBMED Abstract]
  3. Dermody S, Walls A, Harley EH: Pediatric thyroid cancer: An update from the SEER database 2007-2012. Int J Pediatr Otorhinolaryngol 89: 121-6, 2016.[PUBMED Abstract]
  4. Powers PA, Dinauer CA, Tuttle RM, et al.: Treatment of recurrent papillary thyroid carcinoma in children and adolescents. J Pediatr Endocrinol Metab 16 (7): 1033-40, 2003.[PUBMED Abstract]
  5. Brose MS, Nutting CM, Jarzab B, et al.: Sorafenib in radioactive iodine-refractory, locally advanced or metastatic differentiated thyroid cancer: a randomised, double-blind, phase 3 trial. Lancet 384 (9940): 319-28, 2014.[PUBMED Abstract]
  6. Iyer P, Mayer JL, Ewig JM: Response to sorafenib in a pediatric patient with papillary thyroid carcinoma with diffuse nodular pulmonary disease requiring mechanical ventilation. Thyroid 24 (1): 169-74, 2014.[PUBMED Abstract]
  7. Schlumberger M, Tahara M, Wirth LJ, et al.: Lenvatinib versus placebo in radioiodine-refractory thyroid cancer. N Engl J Med 372 (7): 621-30, 2015.[PUBMED Abstract]
  8. Mahajan P, Dawrant J, Kheradpour A, et al.: Response to Lenvatinib in Children with Papillary Thyroid Carcinoma. Thyroid 28 (11): 1450-1454, 2018.[PUBMED Abstract]
  9. Brose MS, Cabanillas ME, Cohen EE, et al.: Vemurafenib in patients with BRAF(V600E)-positive metastatic or unresectable papillary thyroid cancer refractory to radioactive iodine: a non-randomised, multicentre, open-label, phase 2 trial. Lancet Oncol 17 (9): 1272-82, 2016.[PUBMED Abstract]
  10. Subbiah V, Kreitman RJ, Wainberg ZA, et al.: Dabrafenib and Trametinib Treatment in Patients With Locally Advanced or Metastatic BRAF V600-Mutant Anaplastic Thyroid Cancer. J Clin Oncol 36 (1): 7-13, 2018.[PUBMED Abstract]
甲状腺髄様がんの治療

甲状腺髄様がんは一般的に、多発性内分泌腫瘍2型(MEN2)症候群に関連する(詳しい情報については、小児の多発性内分泌腫瘍[MEN]症候群の治療に関するPDQ要約を参照のこと)。

甲状腺髄様がんに対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術:甲状腺髄様がんの小児に対する主な治療法は手術である。研究者らにより、基礎のカルシトニン血清値が40pg/mL未満の場合、遺伝性甲状腺髄様がん患者には予防的central node dissectionは実施すべきではないと結論付けられている。[ 1 ]

    小児における甲状腺髄様がん症例のほとんどは、MEN 2AおよびMEN 2B症候群と関連して起こる。こうした家族性症例では、早期の遺伝子検査およびカウンセリングが適応となり、RET遺伝子に生殖細胞変異がみられる小児では予防的手術が推奨される。遺伝子型-表現型の強い相関によって、スクリーニングおよび予防的甲状腺摘出術を実施すべき年齢など、介入のためのガイドラインの策定が推進されている。[ 2 ]

    1件のレトロスペクティブ解析により、予防的甲状腺摘出術を受けたRET変異を有する小児167人が確認された;この集団の109人の患者は同時central node dissectionを受けず、58人の患者が同時central node dissectionを受けた。central node dissectionが実施されたかどうかにかかわらず、年齢の高い小児では術後に副甲状腺機能低下症が頻繁に認められた(最も年齢の高いグループで32% vs 最も年齢の低いグループで3%;P = 0.002)。3人の小児が反回神経麻痺を発症したが、全員がcentral node dissectionを受けていた(P = 0.040)。いずれの合併症も6ヵ月以内に回復した。カルシトニン血清値の術後の正常化は、術前に値が上昇していた小児115人中114人(99.1%)で達成された。小児はRET変異の種類別にリスクグループに分類された(表1を参照のこと)。[ 3 ]

    American Thyroid Associationでは、遺伝性甲状腺髄様がんの小児における予防的甲状腺摘除術について以下のようなガイドラインを提案している(表1を参照のこと)。[ 2 ]

    表1.遺伝子スクリーニングで発見される一般的なRET変異に基づくリスクレベルとリスク管理a
    甲状腺髄様がんのリスクレベル
    最高レベル(MEN2B) 高レベル(MEN2A) 中レベル(MEN2A)
    MEN2A = 多発性内分泌腫瘍2A型;MEN2B = 多発性内分泌腫瘍2B型。
    a出典:Wells et al.[ 2 ]
    RET変異 M918T A883F、C634F/G/R/S/W/Y G533C、C609F/G/R/S/Y、C611F/G/S/Y/W、C618F/R/S、C620F/R/S、C630R/Y、D631Y、K666E、E768D、L790F、V804L、V804M、S891A、R912P
    予防的甲状腺摘除術のための年齢 生後1年以内、理想的には生後数ヵ月以内の甲状腺全摘術。 血清カルシトニン値に基づいて5歳時または5歳前の甲状腺全摘術。 血清カルシトニン値が正常範囲を上回るか、両親が長期に及ぶサーベイランスへの従事を望まない場合は都合のよいときに甲状腺全摘術を実施すべきである。
  2. チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)療法:多くのTKIが進行甲状腺がん患者について評価され、承認されている。

(詳しい情報については、小児の多発性内分泌腫瘍[MEN]症候群の治療ならびに内分泌および神経内分泌腫瘍の遺伝学に関するPDQ要約の甲状腺髄様がん[MTC]の治療のセクションを参照のこと。)

甲状腺髄様がんに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

米国国立がん研究所(NCI)が支援している臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトに掲載されている。他の組織がスポンサーの臨床試験に関する情報については、ClinicalTrials.govウェブサイトを参照のこと。

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である:

参考文献
  1. Machens A, Elwerr M, Thanh PN, et al.: Impact of central node dissection on postoperative morbidity in pediatric patients with suspected or proven thyroid cancer. Surgery 160 (2): 484-92, 2016.[PUBMED Abstract]
  2. Wells SA, Asa SL, Dralle H, et al.: Revised American Thyroid Association guidelines for the management of medullary thyroid carcinoma. Thyroid 25 (6): 567-610, 2015.[PUBMED Abstract]
  3. Machens A, Elwerr M, Lorenz K, et al.: Long-term outcome of prophylactic thyroidectomy in children carrying RET germline mutations. Br J Surg 105 (2): e150-e157, 2018.[PUBMED Abstract]
  4. Wells SA, Robinson BG, Gagel RF, et al.: Vandetanib in patients with locally advanced or metastatic medullary thyroid cancer: a randomized, double-blind phase III trial. J Clin Oncol 30 (2): 134-41, 2012.[PUBMED Abstract]
  5. Thornton K, Kim G, Maher VE, et al.: Vandetanib for the treatment of symptomatic or progressive medullary thyroid cancer in patients with unresectable locally advanced or metastatic disease: U.S. Food and Drug Administration drug approval summary. Clin Cancer Res 18 (14): 3722-30, 2012.[PUBMED Abstract]
  6. Fox E, Widemann BC, Chuk MK, et al.: Vandetanib in children and adolescents with multiple endocrine neoplasia type 2B associated medullary thyroid carcinoma. Clin Cancer Res 19 (15): 4239-48, 2013.[PUBMED Abstract]
  7. Kraft IL, Akshintala S, Zhu Y, et al.: Outcomes of Children and Adolescents with Advanced Hereditary Medullary Thyroid Carcinoma Treated with Vandetanib. Clin Cancer Res 24 (4): 753-765, 2018.[PUBMED Abstract]
  8. Kurzrock R, Sherman SI, Ball DW, et al.: Activity of XL184 (Cabozantinib), an oral tyrosine kinase inhibitor, in patients with medullary thyroid cancer. J Clin Oncol 29 (19): 2660-6, 2011.[PUBMED Abstract]
小児がん治療に関する特別な考慮事項

小児および青年におけるがんはまれであるが、小児がんの全発生率は1975年以降徐々に増加している。[ 1 ]小児および青年のがん患者については、小児期および青年期に発生するがんの治療経験を有するがん専門家から構成される集学的チームのある医療機関への紹介を検討すべきである。この集学的チームのアプローチとは、至適生存期間および至適QOLを得られるような治療、支持療法、およびリハビリテーションを小児が必ず受けられるようにするため、以下に示す医療専門家などの技術を集結したものである。

(小児および青年のがんの支持療法に関する具体的な情報については、PDQの支持療法および緩和ケアの要約を参照のこと。)

米国小児科学会によって、小児がん施設とそれらが小児がん患者の治療において担う役割に関するガイドラインが概説されている。[ 2 ]このような小児がん施設では、小児および青年に発症するほとんどの種類のがんに関する臨床試験が行われており、大半の患者とその家族に参加する機会が与えられている。小児および青年のがんに関する臨床試験は一般に、現在標準とされている治療法と、それより効果的であると思われる治療法とを比較するようデザインされる。小児がんの治癒を目指した治療法の進歩の大部分は、このような臨床試験によって達成されたものである。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

小児および青年のがん患者の生存において、劇的な改善が達成されている。1975年から2010年の間に、小児がんの死亡率は50%以上低下した。[ 3 ]小児および青年のがん生存者では、治療から数ヵ月または数年経過後もがん療法の副作用が持続または発現することがあるため、綿密なモニタリングが必要である。(小児および青年のがん生存者における晩期合併症(晩期障害)の発生率、種類、およびモニタリングに関する具体的な情報については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関するPDQ要約を参照のこと。)

小児がんはまれな疾患であり、米国において20歳未満で診断される症例は年間約15,000例である。[ 4 ]米国の2002年希少疾患対策法(Rare Diseases Act of 2002)では、希少疾患を罹患者が20万人未満の疾患と定めている。そのため、小児がんはすべて希少疾患とみなされる。

まれな腫瘍の定義は小児および成人のグループ間で統一されていない。成人のまれながんは年間発生率が10万人当たり6例未満のがんとして定義され、欧州連合で診断されるすべてのがんの最大24%および米国で診断されるすべてのがんの約20%を占めると推定される。[ 5 ][ 6 ]また、小児のまれな腫瘍の指定は、以下に示すように国際的グループ間で統一されていない:

このようなまれながんは、個々の診断を受ける患者の発生率が低いこと、青年集団にまれながんが多いこと、およびまれながんの青年についての臨床試験が行われていないことから、研究がきわめて困難である。

これらの腫瘍に関する情報は、PDQ要約の甲状腺がんの治療(成人)のように成人のがんに関連する情報源でも記載されている場合がある。

参考文献
  1. Smith MA, Seibel NL, Altekruse SF, et al.: Outcomes for children and adolescents with cancer: challenges for the twenty-first century. J Clin Oncol 28 (15): 2625-34, 2010.[PUBMED Abstract]
  2. Corrigan JJ, Feig SA; American Academy of Pediatrics: Guidelines for pediatric cancer centers. Pediatrics 113 (6): 1833-5, 2004.[PUBMED Abstract]
  3. Smith MA, Altekruse SF, Adamson PC, et al.: Declining childhood and adolescent cancer mortality. Cancer 120 (16): 2497-506, 2014.[PUBMED Abstract]
  4. Ward E, DeSantis C, Robbins A, et al.: Childhood and adolescent cancer statistics, 2014. CA Cancer J Clin 64 (2): 83-103, 2014 Mar-Apr.[PUBMED Abstract]
  5. Gatta G, Capocaccia R, Botta L, et al.: Burden and centralised treatment in Europe of rare tumours: results of RARECAREnet-a population-based study. Lancet Oncol 18 (8): 1022-1039, 2017.[PUBMED Abstract]
  6. DeSantis CE, Kramer JL, Jemal A: The burden of rare cancers in the United States. CA Cancer J Clin 67 (4): 261-272, 2017.[PUBMED Abstract]
  7. Ferrari A, Bisogno G, De Salvo GL, et al.: The challenge of very rare tumours in childhood: the Italian TREP project. Eur J Cancer 43 (4): 654-9, 2007.[PUBMED Abstract]
  8. Pappo AS, Krailo M, Chen Z, et al.: Infrequent tumor initiative of the Children's Oncology Group: initial lessons learned and their impact on future plans. J Clin Oncol 28 (33): 5011-6, 2010.[PUBMED Abstract]
  9. Howlader N, Noone AM, Krapcho M, et al., eds.: SEER Cancer Statistics Review, 1975-2012. Bethesda, Md: National Cancer Institute, 2015. Also available online. Last accessed February 20, 2020.[PUBMED Abstract]
本要約の変更点(06/08/2020)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

臨床像および予後因子

本文に、計57人の甲状腺髄様がん患者および17人のC細胞過形成患者が特定されたGerman Society for Pediatric Oncology and HematologyのMalignant Endocrine Tumorsレジストリー研究の結果に関する記述が追加された(引用、参考文献12としてKuhlen et al.および証拠レベル:3iA)。

本要約はPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児甲状腺がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Thyroid Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/thyroid/hp/child-thyroid-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389315]

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

免責条項

入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。