患者さん向け 小児星細胞腫の治療(PDQ®)

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このPDQがん情報要約では、小児星細胞腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

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小児星細胞腫についての一般的な情報

星細胞腫は、星細胞と呼ばれる星型の脳細胞から発生する腫瘍です。

星細胞グリア細胞の一種です。グリア細胞は、神経細胞を所定の位置に保持するとともに、栄養や酸素を神経細胞に届けており、さらに感染などの疾患から神経細胞を保護する役割を果たしています。グリオーマはグリア細胞から発生する腫瘍です。星細胞腫は、グリオーマの一種です。

星細胞腫は小児で最も多く診断される種類のグリオーマです。中枢神経系(脳と脊髄)内のどこにでも発生する可能性があります。

本要約は、脳内の星細胞から発生した腫瘍(原発性脳腫瘍)の治療法について書かれたものです。転移性脳腫瘍は、体の他の部位から発生したがん細胞が脳に転移してできた腫瘍です。 転移性の脳腫瘍の治療については、ここでは扱われていません。

脳腫瘍は小児と成人のいずれにも発生する可能性があります。しかし、小児の治療は成人の治療とは異なる場合があります。小児と成人における他の種類の脳腫瘍に関する詳しい情報については、以下のPDQ要約をご覧ください:

星細胞腫には低悪性度のものもあれば高悪性度のものもあります。

低悪性度の脳腫瘍でも、増殖すると脳内で周辺の領域を圧迫します。まれですが、他の組織の中まで拡がることもあります。高悪性度の脳腫瘍は、急速に増殖して、他の脳組織に拡がる傾向がみられます。腫瘍が脳内で増殖したり、脳を圧迫したりすると、その部分の脳が果たすべき機能が阻害される場合があります。脳腫瘍が低悪性度でも高悪性度でも、徴候症状が現れることがあり、ほぼ全ての例で治療が必要です。

中枢神経系は多くの重要な身体機能を制御しています。

星細胞腫は、以下の中枢神経系(CNS)の部位に最も多くみられます:

脳の解剖図:右図はテント上領域(脳の上部)と後頭蓋窩/テント下領域(脳の下部後方)を示している。テント上領域には、大脳、側脳室、第3脳室(青色は脳脊髄液)、脈絡叢、松果体、視床下部、下垂体、視神経が含まれます。後頭蓋窩/テント下領域には、小脳、視蓋、第4脳室、脳幹(中脳、脳橋、髄質)が含まれる。テントと脊髄も示されている。左図は、大脳、脳室(液体で満たされた空間)、髄膜、頭蓋、小脳、脳幹(脳橋と髄質)、脊髄を示している。

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脳の解剖図。テント上領域(脳の上部)には、大脳、側脳室、第3脳室(青色は脳脊髄液)、脈絡叢、松果体、視床下部、下垂体、視神経が含まれます。後頭蓋窩/テント下領域(脳の下部後方)には、小脳、視蓋、第4脳室、脳幹(中脳、脳橋、髄質)が含まれます。テントにより、テント上とテント下が区切られています(右図)。頭蓋と髄膜は脳と脊髄を保護しています(左図)。

小児の脳腫瘍はそのほとんどが原因不明です。

疾患が発生する危険性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。星細胞腫のリスク因子には、以下のものがあります:

星細胞腫の徴候や症状は、全てのお子さんで同じとは限りません。

徴候や症状は、以下の因子に左右されます:

腫瘍によっては、徴候や症状が現れないことがあります。徴候や症状が小児星細胞腫により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:

小児星細胞腫の発見には、脳と脊髄を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:

小児星細胞腫では通常、診断とともに手術による摘出が行われます。

医師は星細胞腫の可能性があると考えた場合、生検組織のサンプルを採取するため生検を行います。 脳に腫瘍がある場合、頭蓋骨の一部を切開し、針を用いて組織を採取します。コンピュータによる誘導の下で針が挿入される場合もあります。切除された組織を病理医顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。ここでがん細胞が発見された場合には、そのまま手術が継続され、安全を確保できる範囲内で可能な限りの腫瘍の摘出が行われます。脳腫瘍の種類の違いを見分けるのは困難な場合があるため、脳腫瘍の診断経験のある病理医に、小児の組織のサンプルを確認してもらうのもよいでしょう。

開頭術の図:頭皮の一部を切り取り、頭蓋骨片を切除し、脳を覆う硬膜を切開して脳を露出させている。頭皮の下の筋層も示されている。

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開頭術:頭蓋骨に開口部を設け、頭蓋骨片を切除して脳の一部を露出させる手技。

摘出された組織に対して、以下の検査が行われることがあります:

ときに、腫瘍が切除困難な場所に発生することがあります。腫瘍を切除すると重度の身体障害、情緒障害、または学習障害が生じる可能性がある場合、生検を実施して、その後にさらに治療を行います。

NF1というまれな遺伝性疾患の小児では、脳の視覚を制御する領域に低悪性度星細胞腫が発生して生検を行う必要がない場合があります。腫瘍の増殖が止まっているか症状がみられないときは、手術で腫瘍を切除する必要がない場合もあります。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後と治療選択肢は以下の因子に左右されます:

再発星細胞腫における予後や治療法は、治療の終了時点から星細胞腫が再発するまでの期間の長さにより異なります。

小児星細胞腫の病期

がんの治療計画を立てるために、腫瘍の悪性度が用いられます。

病期分類とは、どれほど大きながんなのか、またはがんが拡がっているかどうかを調べるために行うプロセスのことです。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。

しかし、小児星細胞腫には、標準的な病期分類システムはありません。そのため、治療法は病期分類ではなく、以下に基づいて決定されます:

腫瘍の悪性度は、がん細胞顕微鏡で観察したときの異常の度合いと、腫瘍の増殖や拡がりの速さを表します。

以下のような悪性度の分類法が用いられます:

低悪性度の星細胞腫

低悪性度の星細胞腫は増殖の遅い腫瘍で、脳や脊髄内で拡がったり、体内の他の部位に転移したりすることはめったにありません。低悪性度星細胞腫には、多くの種類があります。低悪性度の星細胞腫は、以下のいずれかと考えられます:

神経線維腫症1型(NF1)のお子さんでは、脳に複数の低悪性度腫瘍がみられることもあります。結節性硬化症の小児は、上衣下巨細胞星細胞腫のリスクが高くなります。

高悪性度の星細胞腫

高悪性度の星細胞腫は増殖が速く、しばしば脳や脊髄内に拡がります。高悪性度星細胞腫にはいくつかの種類があります。高悪性度の星細胞腫は、以下のいずれかと考えられます:

通常、小児星細胞腫は体の他の部位に拡がることはありません。

小児星細胞腫は治療後に増殖を続けたり再発したりすることがあります。

進行性小児星細胞腫は、増殖、拡がり、悪化が継続するがんです。進行性のがんは、難治性を示している(治療に反応しなくなっている)可能性があります。

再発小児星細胞腫とは、治療後に再発した(再び現れた)がんです。こうしたがんは最初に腫瘍が発見された部位に再発することもあれば、他の部位に再発することもあります。高悪性度の星細胞腫は、3年以内にがんが最初に生じた部位やCNSの他の部位に再発することがよくあります。

治療選択肢の概要

小児星細胞腫の患者さんには様々な治療法が存在します。

小児星細胞腫の患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、がんの患者さんを対象に、既存の治療法の改良に役立てたり、新しい治療法に関する情報を得たりするための調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。

小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討すべきです。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

小児星細胞腫の治療では、小児脳腫瘍の治療に精通した医療提供者で構成されるチームによって治療計画が作成されるべきです。

この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児脳腫瘍の治療に精通し、特定の医療分野を専門とする他の医療提供者と協力しながら治療に取り組んでいきます。具体的には以下のような専門家が挙げられます:

小児脳腫瘍では、がんと診断される前に徴候や症状が現れ、それが数ヵ月~数年にわたって続くことがあります。

腫瘍により引き起こされる徴候症状診断の前にみられることがあります。これらの徴候や症状は数ヵ月あるいは数年も持続する場合があります。治療を行っても腫瘍による徴候や症状が続く場合は、担当の医師とよく相談することが重要です。

治療法としては、以下の6種類が用いられています:

手術

本要約の一般的な情報のセクションで述べているように、小児星細胞腫の診断と治療には手術が用いられます。手術後にMRI(磁気共鳴画像法)を実施して、がん細胞が残存しているかどうかを調べます。がん細胞がみつかった場合は、以下の要因に応じて治療法が決められます:

手術の際に確認できる全てのがんを切除した後に、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

経過観察

経過観察とは、徴候や症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く監視していくことです。以下の場合に、経過観察が行われることがあります:

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんのある領域に放射線を照射する方法です。

特殊な方法で放射線療法を施行すると、放射線による健全な周辺組織の損傷を防止できることがあります。そのような放射線療法には、以下の種類があります:

放射線療法の実施方法は、腫瘍の種類のほか、脳や脊髄における腫瘍の発生部位に応じて異なります。小児星細胞腫の治療には外照射療法が用いられます。

脳に対して放射線療法を行うと、小児の成長や発育に影響を及ぼすことがあり、特に幼児には大きく影響します。3歳未満の小児の場合、代わりに化学療法を実施し、放射線療法の実施を遅らせたり必要性を減らす場合があります。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬物は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹部などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。併用化学療法は、複数の抗がん剤を使用する治療法です。

化学療法の実施方法は、腫瘍の種類のほか、脳や脊髄における腫瘍の発生部位に応じて異なります。小児星細胞腫の治療には全身併用化学療法が用いられます。新たに診断された高悪性度の小児星細胞腫の治療には大量化学療法が用いられることがあります。

幹細胞移植を伴う大量化学療法

がん細胞を殺傷するために大量化学療法が行われます。このがん治療は造細胞などの健康な細胞も破壊します。幹細胞移植は造血細胞を置き換える治療法です。まず患者さん自身またはドナーから採取した血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、それを凍結保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍して、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。

治療後に再発した高悪性度星細胞腫では、腫瘍の量が少ない場合にのみ、幹細胞移植を伴う大量化学療法が用いられます。

標的療法

標的療法とは、がん細胞を認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。 標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。

標的療法にはいくつかの種類があります:

詳しい情報については、脳腫瘍に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

免疫療法

免疫療法は、患者さんの免疫系を利用して、がんと戦う治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は生物学的療法の一種です。

免疫チェックポイント阻害薬:左図はPD-L1(腫瘍細胞上)とPD-1(T細胞上)という蛋白間の結合を示しており、この結合によってT細胞が体内の腫瘍細胞を殺傷する働きが抑制されている。腫瘍細胞の抗原とT細胞の受容体も示されている。右図は免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1と抗PD-1)がPD-L1とPD-1の結合を阻害し、T細胞が腫瘍細胞を殺傷できる状態になっているところを示している。

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免疫チェックポイント阻害薬。腫瘍細胞上のPD-L1とT細胞上のPD-1などのチェックポイント蛋白は、免疫反応の抑制に関与します。PD-L1とPD-1が結合すると、T細胞による体内の腫瘍細胞の殺傷は抑制されます(左図)。免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1または抗PD-1)でPD-L1とPD-1の結合を阻害すると、T細胞が腫瘍細胞を殺傷することができます(右図)。

脳や脊髄の周りに液体が溜まった場合、脳脊髄液転換の処置が行われることがあります。

脳脊髄液転換は、脳と脊髄の周りに溜まった液体排出するために用いられる方法です。シャント(長くて細いチューブ)を脳室(液体で満たされた空間)の中に差し込み、皮膚の下を通して体の別の部分(通常は腹部)まで留置します。このシャントは、脳にある過剰な液体を体の他の部位に運び、そこで吸収されるようにします。

脳脊髄液(CSF)転換:図は、余分なCSFをチューブ(シャント)で脳室から腹部に排出する様子を示している。シャントは脳室から頸部と胸部の皮膚の下を通って腹部に達している。CSFの流れを調節する弁も示されている。

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脳脊髄液(CSF)転換。余分なCSFが、脳室からシャント(管)を介して腹部に排出されています。弁はCSFの流れを調節しています。

小児星細胞腫の治療は副作用を引き起こすことがあります。

がんの治療中に発生する副作用に関する詳しい情報については、副作用(英語)のページをご覧ください。

がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:

晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がんの治療によってお子さんに生じうる影響について担当医とよく相談することが重要です。(詳しい情報については、PDQ小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関する要約をご覧ください。)

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断や病期判定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。(検査の一覧については、一般的な情報のセクションをご覧ください。)治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも、定期的にMRIを継続して実施します。MRIの結果から、小児の病態の変化や星細胞腫の再発(再び現れること)の有無を知ることができます。MRIの結果から脳内に腫瘤が確認された場合、それが死んだ腫瘍細胞で構成されているかどうか、または新しいがん細胞が増殖しているかどうかを調べるために、生検が実施されることがあります。

小児低悪性度星細胞腫の治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

腫瘍が最初に診断された時点における小児低悪性度星細胞腫に対する治療法は、腫瘍の位置にもよりますが、通常は手術です。手術後にMRIによって腫瘍が残存していないかどうかが調べられます。

手術で腫瘍が完全に摘出された場合は、それ以上の治療を必要としない可能性があるため、お子さんは、徴候症状の発現や変化がないか注意深く観察されます。これを経過観察と呼びます。

手術後に腫瘍が残存している場合には以下のような治療法があります:

場合によっては、視経路グリオーマのお子さんに経過観察が実施されます。その他の場合は、腫瘍を切除する手術、放射線療法、または化学療法などの治療法があります。治療の目標は、可能な限り視覚を保持することです。放射線療法を受ける患者さんのほとんどで腫瘍はコントロールされますが、視力に変化が生じることがあります。このような変化が起こる可能性が最も高いのは、放射線療法後2年以内です。腫瘍の増殖がお子さんの視覚に及ぼす影響は、治療中および治療後にも綿密に監視されます。

神経線維腫症1型(NF1)のお子さんでは、腫瘍が増殖している場合や視覚の問題などの徴候や症状が見られる場合以外は、治療の必要がないことがあります。腫瘍が増殖している場合や徴候や症状がみられる場合は、腫瘍を切除する手術、放射線療法、化学療法のうち1つ以上の治療法があります。

結節性硬化症のお子さんでは、脳に上衣下巨細胞星細胞腫(SEGA)と呼ばれる低悪性度の腫瘍ができることがあります。手術の代わりに、エベロリムスまたはシロリムスによる標的療法を実施して、腫瘍を縮小することもあります。

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

進行性または再発小児低悪性度星細胞腫の治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

治療後の低悪性度星細胞腫再発は、通常、腫瘍が最初に診断された部位で起こります。がんの治療をさらに実施する前に、画像検査生検、または手術を実施して、がんが存在するかどうかや、その量を明らかにします。

進行性または再発小児低悪性度星細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

小児高悪性度星細胞腫の治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

新たに診断された小児高悪性度星細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

再発小児高悪性度星細胞腫の治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

治療後の高悪性度星細胞腫再発は、通常、腫瘍が最初に診断された部位で起こります。がんの治療をさらに実施する前に、画像検査生検、または手術を実施して、がんが存在するかどうかや、その量を明らかにします。

再発小児高悪性度星細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

小児星細胞腫についてさらに学ぶために

小児星細胞腫に関する詳しい情報については、以下をご覧ください:

小児がんに関する情報と一般的ながんに関するその他の資源については、以下をご覧ください:

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、小児星細胞腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

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本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Astrocytomas Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/brain/patient/child-astrocytoma-treament-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389391]

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