ご利用について
このPDQがん情報要約では、小児肝がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- 小児肝がんについての一般的な情報
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小児肝がんは、肝臓の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。
肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓の多くの重要な機能のうち、主なものは以下の3つです:
肝臓の解剖図。肝臓は、上腹部の胃、腸、胆嚢、膵臓の近くに位置しています。肝臓には右葉と左葉があります。各葉は2つの部分に分けられます(図には示されていません)。 肝がんは、小児や青年ではまれながんです。
数種類の小児肝がんがあります。
小児肝がんの代表的なものには次の2種類があります:
それよりも頻度の少ない種類の小児肝がんには以下のようなものがあります:
- 肝未分化胎児性肉腫:この種の肝がんは通常、5~10歳の小児に発生します。肝臓全体に拡がっていることが多く、肺に達することもあります。
- 乳児性肝絨毛がん:極めてまれな腫瘍で、最初に胎盤で発生し、胎児へ拡がります。この腫瘍は、生後数ヵ月で発見されるのが普通です。また、患者さんの母親も絨毛がんと診断されることがあります。絨毛がんは妊娠性絨毛疾患の一種です。小児の絨毛がんの治療に関する母親向けの情報については、PDQの妊娠性絨毛疾患の治療に関する要約をご覧ください。
- 肝血管腫:血管やリンパ管を作る細胞から、肝臓において発生する腫瘍です。肝血管腫は良性の(がんではない)場合もあれば、悪性(がん)の場合もあります。肝血管腫の詳細については、PDQの小児脈管腫瘍の治療に関する要約をご覧ください。
本要約は、原発性肝がん(肝臓に発生したがん)の治療法について書かれたものです。転移性肝がん(他の部位から発生したがん細胞が肝臓に転移してできたがん)の治療法については、本要約では扱われていません。
原発性肝がんは成人にも小児にも発生します。ただし、小児に対する治療法は、成人に対する治療法と異なります。成人の治療法については、PDQの成人原発性肝がんの治療に関する要約をご覧ください。
特定の疾患や病態をもつ小児では、小児肝がんのリスクが高くなります。
病気になるリスクを増大させるものは、全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。
- アイカルディ症候群。
- ベックウィズ-ヴィーデマン症候群。
- 片側過形成。
- 家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)。
- 糖原病。
- 出生時の体重が異常に軽いこと。
- シンプソン-ゴラビ-ベーメル症候群。
- 18トリソミーなど、特定の遺伝子変異があること。
肝芽腫のリスクが高い小児には、症状が現れる前にがんの検査が実施されることがあります。小児が4歳になるまでは、3ヵ月ごとに腹部超音波検査を実施し、血液中のα-フェトプロテイン濃度を調べます。
肝細胞がんのリスク因子には、以下の症候群や病態があります:
- アラジール症候群。
- 糖原病。
- 出生時に母親からB型肝炎ウイルスに感染したこと。
- 進行性家族性肝臓内疾患。
- チロシン血症。
小児肝がんの徴候や症状には、腹部のしこりや痛みなどがあります。
腫瘍が大きくなると、症候や症状がみられることが多くなります。ただし、別の病態が原因で同様の徴候や症状が現れてくる場合もあります。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:
小児肝がんを診断し転移の有無を確認するために、肝臓と血液を調べる検査法が用いられます。
以下のような検査法や手技が用いられます:
- 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。
- 血清腫瘍マーカー試験:採取した血液を調べて、臓器や組織、腫瘍細胞などから血液中に放出された特定の物質の量を測定する検査法。特定の物質の血中濃度が上昇している場合には、その物質と関連性のある特定の種類のがんの存在が疑われます。このような物質は腫瘍マーカーと呼ばれます。肝がんのお子さんでは、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)というホルモンの血中濃度またはα-フェトプロテイン(AFP)という蛋白の血中濃度が上昇することがあります。ただしAFPの値は、他の種類のがんや良性肝腫瘍、がん以外の特定の病態(肝硬変や肝炎など)でも上昇することがあります。
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全血球算定(CBC):血液を採取して以下の項目について調べる検査法:
- 肝機能検査:採取した血液を調べて、肝臓から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法。ここで、ある物質の値が正常値よりも高く出るということは、肝臓の損傷または肝がんの徴候である可能性があります。
- 血液生化学検査:採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出されるビリルビンまたは乳酸脱水素酵素(LDH)などの特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。
- エプスタイン-バーウイルス(EBV)検査:EBVに対する抗体とEBVのDNAマーカーを調べる血液検査。これらは、EBVに感染している患者さんの血液中に認められます。
- 肝炎検査:採取した血液を調べて、肝炎ウイルスの断片がないか調べる検査法。
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ガドリニウムを使用するMRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、肝臓内の精細な連続画像を作成する検査法。まずガドリニウムと呼ばれる物質を静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。
腹部の磁気共鳴画像法(MRI)。小児の患者さんは台の上に横たわり、この台がMRIスキャナ内を水平に移動するうちに体内の画像が撮影されます。小児の腹部に置かれたパッドは画像をより鮮明にするためのものです。 -
CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。小児肝がんでは通常、胸部と腹部に対するCTスキャンが実施されます。
腹部のコンピュータ断層撮影(CTスキャン)。小児の患者さんは台の上に横たわり、この台がCTスキャナ内を水平に移動するうちに腹部のX線写真が撮影されます。 -
超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。小児肝がんでは通常、大血管を調べるために腹部超音波検査が実施されます。
腹部超音波検査。コンピュータに接続された超音波振動子を腹部の皮膚に押しあてます。振動子から出た音波は体内の臓器および組織で反射してエコーを生じ、そのエコーからソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。 - 腹部X線検査:腹部の臓器のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。
- 生検:細胞や組織を採取する手技のことで、採取されたサンプルを顕微鏡で観察し、がんの徴候がないかを調べます。腫瘍を切除または観察するための手術の際に組織サンプルの採取が行われることがあります。採取されたサンプルは、病理医が顕微鏡で観察して、それにより肝がんの種類が特定されます。
採取された組織サンプルについて、以下の検査を実施する場合があります:
特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。
肝芽腫の予後と治療選択肢は、以下の因子に左右されます:
肝細胞がんの予後と治療選択肢は、以下の因子に左右されます:
- PRETEXTグループ。
- がんが肺などの他の部位に転移しているかどうか。
- 手術によって腫瘍を完全に摘出できるかどうか。
- 化学療法に対するがんの反応。
- 小児がB型肝炎ウイルスに感染しているかどうか。
- 新たに診断されたがんか、再発したがんか。
最初の治療後に再発した小児肝がんの予後と治療選択肢は、以下の因子に左右されます:
- 腫瘍が再発した部位。
- 最初のがんの治療に用いた治療法。
小児肝がんは、腫瘍が小さくて手術によって完全に切除できる場合は、治癒も望めます。肝芽腫では、肝細胞がんと比べて、完全摘出が可能な場合が多くなります。
- 小児肝がんの病期
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小児肝がんの診断がついた後には、がん細胞の肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。
がんの肝臓内での拡がりや、周辺の組織または臓器、もしくは他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。小児肝がんでは、病期分類の代わりにPRETEXTグループとPOSTTEXTグループを用いて治療計画を立てます。がんの発見や診断、あるいは転移の有無を明らかにするための検査や手技の結果を用いて、PRETEXTとPOSTTEXTのグループを判定します。
4つのPRETEXTグループとPOSTTEXTグループがあります:
肝臓は4つの区域に分けられます。PRETEXTとPOSTTEXTのグループは、肝臓のどの区分にがんが存在するかによって決まります。
PRETEXTまたはPOSTTEXTのグループII
肝のPRETEXT II。肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。 グループIIでは、肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。
体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。
- 治療選択肢の概要
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小児肝がんの患者さんには様々な治療法が存在します。
小児肝がんの患者さんは、様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、がん患者さんのために、既存の治療法の改善に役立てたり、新しい治療法に関する情報を得たりするための調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。
小児肝がんの患者さんは全員が、臨床試験への参加を検討すべきです。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
肝がんのお子さんは、必ずこのまれな小児がんの治療に精通した医療提供者チームに治療計画を立ててもらってください。
この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児肝がんの治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組んでいきます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要であれば肝移植プログラムに患者さんを紹介できる小児外科医が治療に参加することが重要です。他にも以下のような専門家が治療に参加することがあります:
標準治療として以下の6種類が用いられています:
手術
可能な場合は、手術によるがんの摘出が行われます。
施行できる手術の種類に影響する因子には、以下のものがあります:
腫瘍を小さくして摘出しやすくするために、手術の前に化学療法を行うこともあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。
手術の際に確認できる全てのがんを切除した後に、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法や放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
注意深い経過観察
注意深い経過観察とは、徴候や症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く監視していくことです。肝芽腫では、この治療法は腫瘍が小さく手術で完全に切除できた場合にのみ用いられます。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹部などの体腔内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。
肝動脈(肝臓に血液を供給している主要な動脈)化学塞栓療法は局所化学療法の1つで、手術で切除できない小児肝がんの治療に用いられます。この方法では、カテーテル(細い管)を介して抗がん剤を肝動脈の中に注入します。その薬剤には動脈を詰まらせる物質が混ぜられていて、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。その結果、抗がん剤の大半が腫瘍の近くにとどまり、体内の他の部位に送られる抗がん剤の量が少なくなります。動脈を遮断するのに使用する物質の種類に応じて、動脈の閉塞は一時的なものにも永久的なものにもできます。腫瘍の増殖に必要となる酸素や栄養素が供給されないようになります。一方で肝臓への血液供給は、胃や腸から肝臓に血液を運んでくる肝門脈によって維持されます。この療法は経動脈化学塞栓またはTACEとも呼ばれます。
化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類とPRETEXTまたはPOSTTEXTのグループに応じて異なります。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります:
肝動脈(肝臓に血液を供給している主要な動脈)の放射線塞栓術は内照射療法の1つで、肝細胞がんの治療に用いられます。この方法では、ごく少量の放射性物質を微小なビーズに結合させ、カテーテル(細い管)を介して肝動脈に注入します。そのビーズには動脈を詰まらせる物質が混ぜられていて、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。放射線の大半が腫瘍付近にとどまり、がん細胞を殺傷します。この方法は、肝細胞がんの小児に対して、症状を和らげ生活の質を改善するために行われます。
放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類とPRETEXTまたはPOSTTEXTのグループに応じて異なります。外照射療法は、手術で切除できない、または他の部位に転移した肝芽腫の治療に用いられます。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。
本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。
小児肝がんの治療は副作用を引き起こすことがあります。
がんの治療中に発生する副作用に関する詳しい情報については、副作用(英語)のページをご覧ください。
がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:
- 身体的問題。
- 気分、感情、思考、学習、記憶における変化。
- 二次がん(新しい種類のがん)。
晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに発生する可能性がある晩期合併症(晩期障害)について、担当の医師とよく相談することが大切です。(詳しい情報については、PDQの小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関する要約をご覧ください)。
患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。
患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。
今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。
患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。
患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。
ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。
臨床試験は米国各地で行われています。NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
- 小児肝芽腫の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
新たに診断され、手術で切除可能と判断された肝芽腫の治療選択肢には、以下のようなものがあります:
新たに診断され、手術で切除できないと判断された肝芽腫、または切除されない肝芽腫の治療選択肢には、以下のようなものがあります:
新たに診断された他の部位に転移している肝芽腫では、併用化学療法を用いて、肝臓内の腫瘍と他の部位に転移しているがんを小さくします。化学療法の後に、画像検査を行って、手術で腫瘍を切除できるかどうかを調べます。
治療選択肢には以下のようなものがあります:
新たに診断された肝芽腫の臨床試験では、以下の治療選択肢があります:
- 化学療法と手術の臨床試験への参加。
- 小児肝細胞がんの治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
新たに診断され、手術で切除可能と判断された肝細胞がんの治療選択肢には、以下のようなものがあります:
新たに診断され、手術で切除できないと判断された他の部位に転移していない肝細胞がんの治療選択肢には、以下のようなものがあります:
新たに診断された他の部位に転移している肝細胞がんの治療法には以下のものがあります:
- 腫瘍を縮小する併用化学療法と、その後に肝臓または転移した部位の腫瘍を可能な限り切除する手術。この治療法の効果は研究で実証されていないものの、一部の患者さんで多少の有益性が得られる可能性があります。
B型肝炎ウイルス(HBV)感染に関連する、新たに診断された肝細胞がんの治療法には、以下のようなものがあります:
- 腫瘍を切除する手術。
- B型肝炎ウイルスによる感染症を治療する抗ウイルス薬。
新たに診断された肝細胞がんの臨床試験では、以下の治療選択肢があります:
- 化学療法と手術の臨床試験への参加。
- 小児肝未分化胎児性肉腫の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
新たに診断された肝未分化胎児性肉腫の治療選択肢には、以下のようなものがあります:
- 乳児性肝絨毛がんの治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
新たに診断された乳児性肝絨毛がんの治療選択肢には以下のようなものがあります:
- 肝血管腫
- 進行性または再発小児肝がんの治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
進行性または再発肝芽腫の治療法には、以下のようなものがあります:
進行性または再発肝細胞がんの治療法には、以下のようなものがあります:
再発肝未分化胎児性肉腫の治療法には、以下のようなものがあります:
- 患者さんの腫瘍のサンプルを検査し、遺伝子に特定の変化がないかを調べる臨床試験への参加。遺伝子に生じた変化の種類によって、患者さんが受ける標的療法の種類は異なります。
再発乳児性肝絨毛がんの治療法には、以下のようなものがあります:
- 患者さんの腫瘍のサンプルを検査し、遺伝子に特定の変化がないかを調べる臨床試験への参加。遺伝子に生じた変化の種類によって、患者さんが受ける標的療法の種類は異なります。
- 小児肝がんについてさらに学ぶために
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米国国立がん研究所が提供している小児肝がんに関する詳しい情報については、以下をご覧ください:
小児がんに関する情報と一般的ながんに関するその他の資源については、以下をご覧ください:
- 本PDQ要約について
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PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、小児肝がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。
本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Liver Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/liver/patient/child-liver-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389318]
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