患者さん向け 小児肝がんの治療

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このPDQがん情報要約では、小児肝がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

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肝芽腫

肝芽腫は、肝臓の組織の中にできるがんです。最も多くみられる種類の小児肝がんで、通常は3歳未満の小児に発生します。

肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓には重要な機能が多くありますが、その主なものは以下の3つです:

肝臓の解剖図:この図は肝臓の右葉と左葉を示している。さらに胆管、胆嚢、胃、脾臓、膵臓、小腸、結腸も示している。

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肝臓の解剖図。肝臓は上腹部の胃、腸、胆嚢、膵臓の近くに位置しています。肝臓には右葉と左葉があります。それぞれの葉は2つの部分に分けられます(図には示されていません)。

肝芽腫では、組織型(顕微鏡で観察したときのがん細胞の外観)が、がんの治療法を左右します。肝芽腫の組織型には以下のものがあります:

肝芽腫の原因とリスク因子

肝芽腫は、肝臓の細胞の挙動、特に成長して新しい細胞に分裂する過程での挙動に特定の変化が生じることで発生します。そうした変化が生じる正確な原因は多くの場合、不明です。がんの発生の詳細について、がんとは何か(英語)をご覧ください。

リスク因子とは、疾患が発生する可能性を増大させるあらゆる要因のことです。リスク因子をもっている全ての小児が肝芽腫を発症するわけではありません。また、リスク因子が認められない小児が発症することもあります。

以下の症候群や病態は肝芽腫のリスク因子です:

お子さんにリスクがあるかもしれないと思われる場合は、担当の医師に相談してください。

肝芽腫のリスクがある小児のモニタリング

ベックウィズ-ヴィーデマン症候群、片側過形成、シンプソン-ゴラビ-ベーメル症候群、および18トリソミーの小児には、症状が現れる前にがんの検査が実施されることがあります。こうした検査は、がんを早期に発見し、生存の可能性を高めるのに役立つ可能性があります。

肝芽腫の発生リスクがある小児には、出生後(またはリスク因子の特定後)から4歳になるまで3カ月ごとに、腹部超音波検査を行います。α-フェトプロテイン(AFP)濃度を調べる血液検査も行います。

肝芽腫の症状

小児の肝芽腫では、腫瘍が大きくなるまで症状が現れないことがあります。以下の症状がみられる場合は、お子さんの担当医に相談するべきです:

これらの症状は、肝芽腫以外の病態によって引き起こされることもあります。状況を把握する唯一の方法は、お子さんが医師の診察を受けることです。

肝芽腫の診断に用いられる検査

小児に肝芽腫を示唆する症状がみられる場合、それらの原因ががんなのか、それとも別の問題なのかを医師が確認する必要があります。医師は症状がいつから始まり、どのくらいの頻度で起きているかを質問します。医師はまた、保護者に小児の病歴家族歴をたずね、身体診察を行います。それらの結果に基づき、ほかの検査を勧めることもあります。それらの検査の結果は、肝芽腫と診断された場合に保護者と担当医で治療計画を立てるのにも役立ちます。

このほかに肝芽腫の診断に用いられることがある検査として、以下のものがあります:

血清腫瘍マーカー検査

血清腫瘍マーカー検査は、臓器、組織、腫瘍細胞から血液中に放出される特定の物質の量を測定する検査法です。特定の物質の血中濃度が上昇している場合には、その物質と関連性のある特定の種類のがんの存在が疑われます。このような物質は腫瘍マーカーと呼ばれます。肝がんの小児では、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)というホルモンの血中濃度またはAFPという蛋白の血中濃度が上昇することがあります。ただしAFPの値は、他の種類のがんや良性肝腫瘍、がん以外の特定の病態(肝硬変肝炎など)でも上昇することがあります。

SMARCB1遺伝子検査

SMARCB1遺伝子検査は、血液や組織のサンプルでSMARCB1遺伝子の特定の変異について調べる臨床検査です。

血算(全血球算定)

血算では、以下の項目について血液のサンプルを調べます:

肝機能検査

肝機能検査は、肝臓から血液中に放出される特定の物質の量を測定する検査法です。ある物質の検査値が正常範囲より高いことは、肝臓の損傷や肝がんの徴候である可能性があります。

血液生化学検査

血液生化学検査は、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質(ビリルビン乳酸脱水素酵素[LDH]など)の濃度を測定する検査法です。ある物質の量が異常であることは、何らかの疾患の徴候である可能性があります。

ガドリニウムを使用するMRI(磁気共鳴画像)検査

MRI検査は、磁気、電波、コンピュータを用いて肝臓内部の精細な連続画像を作成する検査法です。まずガドリニウムと呼ばれる物質を静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。この検査法は核磁気共鳴画像法とも呼ばれます。

MRI(磁気共鳴画像)スキャン:この図は、患者さんが横たわった台がMRI装置内を水平に移動している間に体内領域の精細な画像が連続して撮られている様子を示している。

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MRI(磁気共鳴画像)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がMRI装置の中を水平に移動する間に、体内の精細な画像が連続で作成されます。台の上で患者さんがとる姿勢は、撮影する体の部位によって異なります。

CTスキャン

CTスキャンは、X線装置に接続したコンピュータを用いて、様々な角度から見た体内の領域の精細な連続画像を作成する検査法です。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影とも呼ばれます。

小児肝がんの診断を進める一助として、通常は、胸部と腹部のCTスキャンが行われます。

詳細については、CTスキャンとがん(英語)をご覧ください。

CT(コンピュータ断層撮影)スキャン:この図は、患者さんが横たわった台がCT装置内を水平に移動している間に体内領域の精細なX線写真が連続して撮影されている様子を示している。

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CT(コンピュータ断層撮影)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がCT装置の中を水平に移動する間に、体内の精細なX線画像が連続で撮影されます。

超音波検査

超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を体内の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法です。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。小児肝がんの診断を進める一助として、通常は、太い血管を調べるための腹部超音波検査が行われます。

腹部超音波検査:この図は、小児が診察台の上で腹部超音波検査を受けている様子を示している。検査技師が患者の腹部の皮膚にプローブ(体内の組織で反射させる音波を発生させる装置)を押しあてている。コンピュータの画面にはソノグラム(画像)が描画されている。

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腹部超音波検査。コンピュータに接続された超音波プローブを腹部の皮膚に押しあてます。プローブから出た音波は体内の臓器や組織で反射してエコーを生じさせ、そのエコーからソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。

胸部X線検査

X線は高エネルギー放射線の一種で、これを患者さんの体に通して写真を撮影します。胸部X線検査は、肺の写真を撮影する検査法です。

生検

生検とは、腫瘍から組織のサンプルを採取する手技のことで、採取されたサンプルは病理医が顕微鏡で観察して、がんがないか調べます。生検に続けて、安全を確保できる範囲で可能な限り腫瘍を切除することもあります。

免疫組織化学検査

免疫組織化学検査は、抗体を利用して、患者さんから採取した組織のサンプルに特定の抗原(マーカー)が含まれていないか調べる検査法です。使用される抗体には通常、酵素や蛍光色素が連結されています。抗体が組織のサンプルに含まれる特定の抗原に結合すると、酵素や色素が活性化して、顕微鏡で抗原を観察できるようになります。この種の検査は、特定の遺伝子変異を調べたり、がんの診断やがんの種類の判別を進めたりする一助として用いられます。この検査はINI1遺伝子の変異を調べるために用いられることもあります。

セカンドオピニオンを受ける

子どもの診断を確定して治療計画を立てるにあたって、保護者はセカンドオピニオンを求めることができます。セカンドオピニオンを求めるときは、最初の担当医に医学的検査の結果と報告書を提供してもらい、それらを別の医師と共有する必要があります。2人目の医師は、病理報告書、スライド、検査画像を確認してから、推奨を提示します。そして、最初の医師の見解に同意するか、治療計画の変更を提案したり、患者さんのがんについて新たな情報を提供したりします。

医師を選んでセカンドオピニオンを受けるプロセスの詳細については、がん治療の医療機関を探す(英語)をご覧ください。セカンドオピニオンを提供できる医師や病院の情報については、NCIのCancer Information Serviceまで、チャット、電子メール、電話(英語とスペイン語に対応)でお問い合わせください。受診時に聞いておくとよい質問については、主治医に尋ねるべき質問(英語)をご覧ください。 

肝芽腫の予後因子

子どもが肝芽腫と診断されると、多くの保護者は、そのがんの深刻度や生存の可能性を知りたくなるでしょう。疾患がどのような経過をたどるかの見通しを予後といいます。

肝芽腫の予後は以下の要因に左右されます:

初回治療後に再発した肝芽腫の予後は以下の要因に左右されます:

肝芽腫は、腫瘍が小さくて手術で完全に切除できる場合、治癒が望めます。

治療に対する反応には個人差があり、大きな差がみられる場合もあります。保護者が子どもの予後について知りたい場合は、担当のがん治療チームと話をするのが最善です。

肝芽腫の病期

がんの病期とは、特にがんが最初の発生部位から転移しているかなど、体内でのがんの拡がりの程度を表す指標です。

肝芽腫では、病期分類の代わりにPRETEXT分類とPOSTTEXT分類を用いて治療計画を立てます。がんの発見や診断、あるいは転移の有無を明らかにするための検査や手技の結果を用いて、PRETEXTとPOSTTEXTの分類を判定します。

肝芽腫では、次の2種類の分類体系を用いて、手術で腫瘍を切除できるかどうかを判定します:

これら2つの分類法では肝臓は4つの区域に分けられます。PRETEXTとPOSTTEXTの分類は、肝臓のどの区分にがんが存在するかによって決まります。4つのPRETEXT分類とPOSTTEXT分類があります。

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類I

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT I;2種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区域に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左端の区域にがんがある。2番目の肝臓では、右端の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT I。肝臓の1つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。

分類Iでは、肝臓の1つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類II

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT II;5種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左側の2つの区域にがんがある。2番目の肝臓では、右側の2つの区域にがんがある。3番目の肝臓では、左端と右端の区域にがんがある。4番目の肝臓では、左から2番目の区域にがんがある。5番目の肝臓では、右から2番目の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT II。肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。

分類IIでは、肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類III

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT III;7種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左側の3つの区域にがんがある。2番目の肝臓では、左側の2つの区域と右端の区域にがんがある。3番目の肝臓では、左端の区域と右側の2つの区域にがんがある。4番目の肝臓では、右側の3つの区域にがんがある。5番目の肝臓では、中央の2つの区域にがんがある。6番目の肝臓では、左端の区域と右から2番目の区域にがんがある。7番目の肝臓では、右端の区域と左から2番目の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT III。がんが肝臓の3つの区域に認められ、かつ1つの区域には認められないか、または、がんが肝臓の2つの区域に認められ、かつ互いに隣接していない2つの区域にがんが認められません。

分類IIIでは、以下の条件のいずれかが満たされます:

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類IV

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT IV;2種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、4つの区域全てにがんがある。2番目の肝臓では、左側の2つの区域にがんがあり、右側の2つの区域には塊状のがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT IV。肝臓の4つの区域の全てにがんが認められます。

分類IVでは、肝臓の4つの区域の全てにがんが認められます。

進行性または再発肝芽腫

肝芽腫は進行性であったり、難治性であったりする可能性があります。進行性の肝芽腫は、増殖や拡がり、または悪化が続くがんのことです。難治性の肝芽腫は、もはや治療に反応しなくなったがんのことです。

再発肝芽腫とは、治療後に再発した場合のことです。再発は、肝臓で起こることもあれば、それ以外の部位への転移として起こることもあります。がんが再発した場所、拡がっているかどうか、拡がりの程度を明らかにするために、検査が行われます。肝芽腫が再発した場合の治療法は、がんの拡がりの程度によって異なります。

詳細については、がんの再発:がんが再発したら(英語)をご覧ください。

肝芽腫の治療法

小児と青年の肝芽腫に対する治療法には様々なものがあります。保護者と担当のがん治療チームが協力して、治療法を決定します。小児の全体的な健康状態や、がんが新たに診断されたものかそれとも再発したものかなど、数多くの要因が検討されます。

小児肝芽腫の治療は、小児がんの治療を専門とする小児腫瘍医が監督します。小児腫瘍医は、肝芽腫の治療に精通しつつ、同時に特定の医療分野を専門とする他の医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要に応じて肝移植プログラムに患者さんを紹介することができる小児外科医が治療に参加することが重要です。

ほかにも以下の専門家が関与することがあります:

小児の治療計画では、がんについての情報、治療の目標、治療選択肢、起こりうる副作用などが検討対象に含まれます。治療に先立って担当の治療チームと今後の見通しについて話し合うことが助けになります。実際の進め方については、NCIの小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)をご覧ください。

手術

可能であれば、手術でがんを切除します。行われることがある手術は以下のとおりです:

選択可能な手術の種類を左右する要因として以下のものがあります:

腫瘍を小さくして摘出しやすくするために、手術の前に化学療法を行うことがあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。

手術時に視認できるがんを全て切除した場合も、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、化学療法や放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを減らすために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

注意深い経過観察

注意深い経過観察とは、徴候や症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深くモニタリングしていくことです。肝芽腫では、この治療方針は腫瘍が小さく、組織型が高分化胎児型(純胎児型)で、手術で完全に切除できた場合にのみ選択されます。

化学療法

化学療法は、薬剤を使用してがん細胞の増殖を阻止する治療法です。化学療法では、がん細胞を死滅させるか、がん細胞の分裂を停止させます。化学療法は単独で行われることもあれば、放射線療法など他の治療法と併用されることもあります。

肝芽腫を治療するための化学療法は2つの方法で行われます:

肝芽腫の治療には、以下の化学療法薬が単独または併用で用いられます:

ここに挙げていない化学療法薬も使用されることがあります。

化学療法の効果、投与方法、よく発生する副作用などの詳細については、化学療法によるがん治療(英語)をご覧ください。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法の実施方法は、対象となるがんの種類とPRETEXTまたはPOSTTEXTの分類に応じて異なります。

肝芽腫の治療には外照射療法または内照射療法が用いられることがあります。

放射線療法とその副作用の詳細については、がんの外照射療法(英語)放射線療法の副作用(英語)をご覧ください。

ラジオ波焼灼療法

ラジオ波焼灼術では、皮膚から直接、または腹部の切開口から特殊な針を挿入し、腫瘍に到達させます。高エネルギーのラジオ波で針と腫瘍を熱して、がん細胞を殺傷します。ラジオ波焼灼術は再発肝芽腫の治療に用いられています。

臨床試験

患者さんによっては、臨床試験への参加が選択肢の1つになる場合もあります。小児がんを対象とする臨床試験にはいくつかの種類があります。例えば、治療の臨床試験では、新しい治療法や既存の治療法の新しい利用方法が検証されます。支持療法や緩和ケアの臨床試験では、生活の質を改善する方法が検討され、特にがんの影響やその治療による副作用がみられる人が対象になります。

NCIの臨床試験検索から、参加を受け付けているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。この検索では、がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて試験を絞り込むことができます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

探し方や参加方法など、臨床試験の詳細については、患者さんと介護者のための臨床試験情報(英語)をご覧ください。

新たに診断された肝芽腫の治療

新たに診断された肝芽腫のうち診断時の手術で切除できたものに対する治療法には、以下のようなものがあります:

新たに診断された肝芽腫のうち診断時の手術で切除されなかったものに対する治療法には、以下のようなものがあります:

新たに診断された他の部位に転移している肝芽腫では、多剤併用化学療法を用いて、肝臓内の腫瘍と他の部位に転移しているがんを小さくします。化学療法の後に、画像検査を行って、手術で腫瘍を切除できるかどうかを調べます。

治療法には以下のようなものがあります:

進行性または再発肝芽腫の治療

進行性または再発肝芽腫に対する治療法には以下のようなものがあります:

治療の副作用および晩期合併症(晩期障害)

がん治療は副作用を引き起こす可能性があります。起こりうる副作用は、受けている治療の種類、用量、および体の反応によって異なる場合があります。注意すべき副作用とその対処法について、担当の治療チームとよく話をしてください。

がんの治療中に発生する副作用の詳細については、副作用(英語)のページをご覧ください。

がん治療による問題のうち、治療後6カ月以降に始まって月単位または年単位で続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:

晩期合併症(晩期障害)には治療やコントロールが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに生じうる長期的な影響について担当医とよく話をすることが重要です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。

フォローアップケア

治療を進める中で、定期的に検査や診察が行われます。がんの診断や治療群の判定のために行われた検査の一部が、治療効果を確認する目的で再び行われることもあります。治療の継続、変更、中止などの決定がそれらの検査結果に基づいて判断されることもあります。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。それらの検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんが再発したかどうかを知ることができます。

フォローアップ検査の詳細については、肝芽腫の診断に用いられる検査をご覧ください。

子どものがんへの対処

小児ががんを発症すると、そのご家族全員に対してサポートが必要になります。この困難な時期には、保護者が自分自身のことに気を配ることが重要になります。担当の治療チームやご家族、地域の人々に助けを求めましょう。詳細については、小児がん患者さんのご家族のためにという記事と、小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)という冊子をご覧ください。  

小児肝細胞がん

小児肝細胞がんは肝細胞と呼ばれる肝臓の細胞に発生する、まれな種類のがんです。肝細胞は肝臓を構成する主な細胞で、肝臓のほとんどの機能を担っています。 

肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓には重要な機能が多くありますが、その主なものは以下の3つです:

肝臓の解剖図:この図は肝臓の右葉と左葉を示している。さらに胆管、胆嚢、胃、脾臓、膵臓、小腸、結腸も示している。

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肝臓の解剖図。肝臓は上腹部の胃、腸、胆嚢、膵臓の近くに位置しています。肝臓には右葉と左葉があります。それぞれの葉は2つの部分に分けられます(図には示されていません)。

小児肝細胞がんは通常、年長児や青年に発生します。米国内よりも、B型肝炎ウイルス感染率が高いアジアの地域で多くみられます。 

肝細胞がんは成人で非常によくみられる種類の肝がんです。小児のリスク因子、病期分類、治療法は成人と異なります。成人の肝細胞がんに関する詳しい情報については、肝がんはどのような病気か(英語)をご覧ください。 

小児肝細胞がんの原因とリスク因子

小児肝細胞がんは、肝臓の細胞の挙動、特に成長して新しい細胞に分裂する過程での挙動に特定の変化が生じることで発生します。そうした細胞の変化が生じる正確な原因は多くの場合、不明です。がんの発生の詳細について、がんとは何か(英語)をご覧ください。

リスク因子とは、疾患が発生する可能性を増大させるあらゆる要因のことです。リスク因子をもっている全ての小児が肝細胞がんを発症するわけではありません。また、リスク因子が認められない小児が発症することもあります。 

以下の症候群や病態は小児肝細胞がんのリスク因子です: 

肝臓に基礎疾患がない小児に肝細胞がんが発生することもあります。

お子さんにリスクがあるかもしれないと思われる場合は、担当の医師に相談してください。  

小児肝細胞がんの症状 

小児の肝細胞がんでは、腫瘍が大きくなるまで症状が現れないことがあります。以下の症状がみられる場合は、お子さんの担当医に相談するべきです: 

これらの症状は、肝細胞がん以外の病態によって引き起こされることもあります。状況を把握する唯一の方法は、担当医の診察を受けることです。

小児肝細胞がんの診断に用いられる検査

小児に肝細胞がんを示唆する症状がみられる場合、それらの原因ががんなのか、それとも別の問題なのかを医師が確認する必要があります。医師は症状がいつから始まり、どのくらいの頻度で起きているかを質問します。医師はまた、保護者に小児の病歴家族歴をたずね、身体診察を行います。それらの結果に基づき、ほかの検査を勧めることもあります。それらの検査の結果は、肝細胞がんと診断された場合に保護者と担当医で治療計画を立てるのにも役立ちます。

このほかに小児の肝細胞がんの診断に用いられることがある検査として、以下のものがあります:

血清腫瘍マーカー検査

血清腫瘍マーカー検査は、臓器、組織、腫瘍細胞から血液中に放出される特定の物質の量を測定する検査法です。特定の物質の血中濃度が上昇している場合には、その物質と関連性のある特定の種類のがんの存在が疑われます。このような物質は腫瘍マーカーと呼ばれます。肝がんの小児では、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)というホルモンの血中濃度やα-フェトプロテイン(AFP)という蛋白の血中濃度が上昇することがあります。ただしAFPの検査値は、他の種類のがんや良性肝腫瘍、がん以外の特定の病態(肝硬変肝炎など)でも上昇することがあります。

血算(全血球算定)

血算では、以下の項目について血液のサンプルを調べます:

肝機能検査

肝機能検査は、肝臓から血液中に放出される特定の物質の量を測定する検査法です。ある物質の検査値が正常範囲より高いことは、肝臓の損傷や肝がんの徴候である可能性があります。 

血液生化学検査

血液生化学検査は、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質(ビリルビン乳酸脱水素酵素[LDH]など)の濃度を測定する検査法です。ある物質の量が異常であることは、何らかの疾患の徴候である可能性があります。  

肝炎検査

肝炎検査は、肝炎に感染しているかどうかや感染したことがあるかどうかを確認するために、血液中の抗原または抗体の有無を調べる検査法です。 

ガドリニウムを使用するMRI(磁気共鳴画像)検査

MRI検査は、磁気、電波、コンピュータを用いて肝臓内部の精細な連続画像を作成する検査法です。まずガドリニウムと呼ばれる物質を静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。この検査法は核磁気共鳴画像法とも呼ばれます。

MRI(磁気共鳴画像)スキャン:この図は、患者さんが横たわった台がMRI装置内を水平に移動している間に体内領域の精細な画像が連続して撮られている様子を示している。

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MRI(磁気共鳴画像)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がMRI装置の中を水平に移動する間に、体内の精細な画像が連続で作成されます。台の上で患者さんがとる姿勢は、撮影する体の部位によって異なります。

CTスキャン

CTスキャンは、X線装置に接続したコンピュータを用いて、様々な角度から見た体内の領域の精細な連続画像を作成する検査法です。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影とも呼ばれます。

小児肝がんの診断を進める一助として、通常は、胸部と腹部のCTスキャンが行われます。

詳細については、CTスキャンとがん(英語)をご覧ください。

CT(コンピュータ断層撮影)スキャン:この図は、患者さんが横たわった台がCT装置内を水平に移動している間に体内領域の精細なX線写真が連続して撮影されている様子を示している。

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CT(コンピュータ断層撮影)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がCT装置の中を水平に移動する間に、体内の精細なX線画像が連続で撮影されます。

超音波検査

超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を体内の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法です。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。小児肝がんの診断を進める一助として、通常は、太い血管を調べるための腹部超音波検査が行われます。 

腹部超音波検査:この図は、小児が診察台の上で腹部超音波検査を受けている様子を示している。検査技師が患者の腹部の皮膚にプローブ(体内の組織で反射させる音波を発生させる装置)を押しあてている。コンピュータの画面にはソノグラム(画像)が描画されている。

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腹部超音波検査。コンピュータに接続された超音波プローブを腹部の皮膚に押しあてます。プローブから出た音波は体内の臓器や組織で反射してエコーを生じさせ、そのエコーからソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。

胸部X線検査

X線は高エネルギー放射線の一種で、これを人の体を通してフィルムに照射すると、フィルム上に体内領域の画像が映し出されます。胸部X線検査は、肺の写真を撮影する検査法です。

生検

生検とは、腫瘍から組織のサンプルを採取する手技のことで、採取されたサンプルは病理医が顕微鏡で観察して、がんがないか調べます。生検に続けて、安全を確保できる範囲で可能な限り腫瘍を切除することもあります。

免疫組織化学検査

免疫組織化学検査は、抗体を利用して、患者さんから採取した組織のサンプルに特定の抗原(マーカー)が含まれていないか調べる検査法です。使用される抗体には通常、酵素や蛍光色素が連結されています。抗体が組織のサンプルに含まれる特定の抗原に結合すると、酵素や色素が活性化して、顕微鏡で抗原を観察できるようになります。この種の検査は、がんの診断やがんの種類の判別を進める一助として用いられます。

セカンドオピニオンを受ける

子どもの診断を確定して治療計画を立てるにあたって、保護者はセカンドオピニオンを求めることができます。セカンドオピニオンを求めるときは、最初の担当医に医学的検査の結果と報告書を提供してもらい、それらを別の医師と共有する必要があります。2人目の医師は、病理報告書、スライド、検査画像を確認してから、推奨を提示します。そして、最初の医師の見解に同意するか、治療計画の変更を提案したり、患者さんのがんについて新たな情報を提供したりします。

医師を選んでセカンドオピニオンを受けるプロセスの詳細については、がん治療の医療機関を探す(英語)をご覧ください。セカンドオピニオンを提供できる医師や病院の情報については、NCIのCancer Information Serviceまで、チャット、電子メール、電話(英語とスペイン語に対応)でお問い合わせください。受診時に聞いておくとよい質問については、主治医に尋ねるべき質問(英語)をご覧ください。 

小児肝細胞がんの予後因子

子どもが肝細胞がんと診断されると、多くの保護者は、そのがんの深刻度や生存の可能性を知りたくなるでしょう。疾患がどのような経過をたどるかの見通しを予後といいます。

小児肝細胞がんの予後は以下の要因に左右されます:

初回治療後に再発した小児肝細胞がんの予後は以下の要因に左右されます:

治療に対する反応には個人差があり、大きな差がみられる場合もあります。保護者が子どもの予後について知りたい場合は、担当のがん治療チームと話をするのが最善です。

小児肝細胞がんの病期 

がんの病期とは、特にがんが最初の発生部位から転移しているかなど、体内でのがんの拡がりの程度を表す指標です。

小児肝細胞がんでは、PRETEXT分類とPOSTTEXT分類を用いて治療計画を立てます。がんの発見や診断、あるいは転移の有無を明らかにするための検査や手技の結果を用いて、PRETEXTとPOSTTEXTの分類を判定します。 

小児肝細胞がんでは、次の2つの分類体系を用いて、手術で腫瘍を切除できるかどうかを判定します:

これら2つの分類法では肝臓は4つの区域に分けられます。PRETEXTとPOSTTEXTの分類は、肝臓のどの区分にがんが存在するかによって決まります。4つのPRETEXT分類とPOSTTEXT分類があります。

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類I  

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT I;2種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左端の区域にがんがある。2番目の肝臓では、右端の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT I。肝臓の1つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。

分類Iでは、肝臓の1つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。 

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類II  

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT II;5種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左側の2つの区域にがんがある。2番目の肝臓では、右側の2つの区域にがんがある。3番目の肝臓では、左端と右端の区域にがんがある。4番目の肝臓では、左から2番目の区域にがんがある。5番目の肝臓では、右から2番目の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT II。肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。

分類IIでは、肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。 

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類III 

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT III;7種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左側の3つの区域にがんがある。2番目の肝臓では、左側の2つの区域と右端の区域にがんがある。3番目の肝臓では、左端の区域と右側の2つの区域にがんがある。4番目の肝臓では、右側の3つの区域にがんがある。5番目の肝臓では、中央の2つの区域にがんがある。6番目の肝臓では、左端の区域と右から2番目の区域にがんがある。7番目の肝臓では、右端の区域と左から2番目の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT III。がんが肝臓の3つの区域に認められ、かつ1つの区域には認められないか、または、がんが肝臓の2つの区域に認められ、かつ互いに隣接していない2つの区域にがんが認められません。

分類IIIでは、以下の条件のいずれかが満たされます: 

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類IV

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT IV;2種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、4つの区域全てにがんがある。2番目の肝臓では、左側の2つの区域にがんがあり、右側の2つの区域には塊状のがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT IV。肝臓の4つの区域の全てにがんが認められます。

分類IVでは、肝臓の4つの区域の全てにがんが認められます。 

進行性または再発小児肝細胞がん

小児肝細胞がんは進行性であったり、難治性であったりする可能性があります。進行性の肝細胞がんは、増殖や拡がり、または悪化が続くがんです。難治性の肝細胞がんは、もはや治療に反応しなくなったがんのことです。

再発肝細胞がんとは、治療後に再発した場合のことです。再発は、肝臓内に起こることもあれば、体の他の部位に起こることもあります。がんが再発した場所、転移しているかどうか、拡がりの程度を明らかにするために、検査が行われます。肝細胞がんが再発した場合の治療法は、がんの拡がりの程度によって異なります。

詳細については、がんの再発:がんが再発したら(英語)をご覧ください。

小児肝細胞がんの治療法 

小児と青年の肝細胞がんに対する治療法には様々なものがあります。保護者と担当のがん治療チームが協力して、治療法を決定します。小児の全体的な健康状態や、がんが新たに診断されたものかそれとも再発したものかなど、数多くの要因が検討されます。

小児肝細胞がんの治療は、小児がんの治療を専門とする小児腫瘍医が監督します。小児腫瘍医は、肝細胞がんの治療に精通しつつ、同時に特定の医療分野を専門とする他の医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要に応じて肝移植プログラムに患者さんを紹介することができる小児外科医が治療に参加することが重要です。ほかにも以下の専門家が関与することがあります:

小児の治療計画では、がんについての情報、治療の目標、治療選択肢、起こりうる副作用などが検討対象に含まれます。治療に先立って担当の治療チームと今後の見通しについて話し合うことが助けになります。実際の進め方については、NCIの小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)をご覧ください。

手術 

可能であれば、手術でがんを切除します。行われることがある手術は以下のとおりです:

選択可能な手術の種類を左右する要因として以下のものがあります:

腫瘍を小さくして摘出しやすくするために、手術の前に化学療法を行うこともあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。 

手術時に視認できるがんを全て切除した場合も、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、化学療法や放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを減らすために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。 

化学療法 

化学療法は、薬剤を使用してがん細胞の増殖を阻止する治療法です。化学療法では、がん細胞を死滅させるか、がん細胞の分裂を停止させます。化学療法は単独で行われることもあれば、放射線療法など他の治療法と併用されることもあります。

小児肝細胞がんを治療するための化学療法は、主に2つの方法で行われます:

小児肝細胞がんの治療には、以下の化学療法薬が単独または併用で用いられます:

ここに挙げていない化学療法薬も使用されることがあります。

化学療法の効果、投与方法、よく発生する副作用などの詳細については、化学療法によるがん治療(英語)をご覧ください。

放射線療法 

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。小児の肝細胞がんは内照射療法で治療されることがあります。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。

放射線療法とその副作用の詳細については、放射線療法によるがん治療(英語)放射線療法の副作用(英語)をご覧ください。

抗ウイルス治療 

B型肝炎ウイルスに関連する肝細胞がんに対しては、抗ウイルス薬による治療が行われます。  

アブレーション療法

アブレーション療法では組織を除去または破壊します。ラジオ波焼灼術は、アブレーション療法の一種で、肝細胞がんの治療に用いられることがあります。ラジオ波焼灼術では、皮膚から直接、または腹部の切開口から特殊な針を挿入して、腫瘍に到達させます。高エネルギーのラジオ波で針と腫瘍を熱して、がん細胞を殺傷します。

臨床試験  

患者さんによっては、臨床試験への参加が選択肢の1つになる場合もあります。小児がんを対象とする臨床試験にはいくつかの種類があります。例えば、治療の臨床試験では、新しい治療法や既存の治療法の新しい利用方法が検証されます。支持療法や緩和ケアの臨床試験では、生活の質を改善する方法が検討され、特にがんの影響やその治療による副作用がみられる人が対象になります。

NCIの臨床試験検索から、参加を受け付けているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。この検索では、がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて試験を絞り込むことができます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

探し方や参加方法など、臨床試験の詳細については、患者さんと介護者のための臨床試験情報(英語)をご覧ください。

新たに診断された小児肝細胞がんの治療 

新たに診断され、手術で切除できると判断された肝細胞がんに対する治療選択肢には、以下のようなものがあります:

新たに診断され、手術で切除できないと判断された、他の部位に転移していない肝細胞がんに対する治療選択肢には、以下のようなものがあります:

手術で腫瘍を完全に切除できない場合は、さらに以下のような治療が行われます:

新たに診断された他の部位に転移している肝細胞がんの治療法には以下のものがあります:

B型肝炎ウイルスの感染に関連した新たに診断された肝細胞がんに対する治療選択肢には、以下のようなものがあります:

進行性または再発小児肝細胞がんの治療

進行性または再発肝細胞がんに対する治療法には以下のようなものがあります:

治療の副作用および晩期合併症(晩期障害)   

がん治療は副作用を引き起こす可能性があります。起こりうる副作用は、受けている治療の種類、用量、および体の反応によって異なる場合があります。注意すべき副作用とその対処法について、担当の治療チームとよく話をしてください。

がんの治療中に発生する副作用の詳細については、副作用(英語)のページをご覧ください。

がん治療による問題のうち、治療後6カ月以降に始まって月単位または年単位で続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:

晩期合併症(晩期障害)には治療やコントロールが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに生じうる長期的な影響について担当医とよく話をすることが重要です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。  

フォローアップケア

治療を進める中で、定期的に検査や診察が行われます。がんの診断や治療群の判定のために行われた検査の一部が、治療効果を確認する目的で再び行われることもあります。治療の継続、変更、中止などの決定がそれらの検査結果に基づいて判断されることもあります。 

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。それらの検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんが再発したかどうかを知ることができます。フォローアップ検査の詳細については、小児肝細胞がんの診断に用いられる検査をご覧ください。

子どものがんへの対処

小児ががんを発症すると、そのご家族全員に対してサポートが必要になります。この困難な時期には、保護者が自分自身のことに気を配ることが重要になります。担当の治療チームやご家族や地域の人々に助けを求めましょう。詳細については、小児がん患者さんのご家族のためにという記事と、小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)という冊子をご覧ください。  

小児肝未分化胎児性肉腫

小児肝未分化胎児性肉腫は、まれながんで、通常は肝臓の右葉の組織に発生します。この種の肝がんは通常、5~10歳の小児に発生しますが、青年でも発生する可能性があります。肝臓中に拡がっていることが多く、肺に達することもあります。

肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓には重要な機能が多くありますが、その主なものは以下の3つです:

肝臓の解剖図:この図は肝臓の右葉と左葉を示している。さらに胆管、胆嚢、胃、脾臓、膵臓、小腸、結腸も示している。

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肝臓の解剖図。肝臓は上腹部の胃、腸、胆嚢、膵臓の近くに位置しています。肝臓には右葉と左葉があります。それぞれの葉は2つの部分に分けられます(図には示されていません)。

小児肝未分化胎児性肉腫の症状

小児の肝未分化胎児性肉腫では、腫瘍が大きくなるまで症状が現れないことがあります。以下の症状がみられる場合は、お子さんの担当医に相談するべきです:

これらの症状は、肝未分化胎児性肉腫以外の病態によって引き起こされることもあります。状況を把握する唯一の方法は、担当医の診察を受けることです。

小児肝未分化胎児性肉腫の診断に用いられる検査

小児に肝未分化胎児性肉腫を示唆する症状がみられる場合、それらの原因ががんなのか、それとも別の問題なのかを医師が確認する必要があります。医師は症状がいつから始まり、どのくらいの頻度で起きているかを質問します。医師はまた、保護者に小児の病歴家族歴をたずね、身体診察を行います。それらの結果に基づき、ほかの検査を勧めることもあります。それらの検査の結果は、肝がんと診断された場合に保護者と担当医で治療計画を立てるのに役立ちます。

このほかに肝未分化胎児性肉腫の診断に用いられることがある検査として、以下のものがあります:

血算(全血球算定)

血算では、以下の項目について血液のサンプルを調べます:

肝機能検査

肝機能検査は、肝臓から血液中に放出される特定の物質の量を測定する検査法です。ある物質の検査値が正常範囲より高いことは、肝臓の損傷や肝がんの徴候である可能性があります。

血液生化学検査

血液生化学検査は、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質(ビリルビン乳酸脱水素酵素[LDH]など)の濃度を測定する検査法です。ある物質の量が異常であることは、何らかの疾患の徴候である可能性があります。

ガドリニウムを使用するMRI(磁気共鳴画像)検査

MRI検査は、磁気、電波、コンピュータを用いて肝臓内部の精細な連続画像を作成する検査法です。まずガドリニウムと呼ばれる物質を静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。この検査法は核磁気共鳴画像法とも呼ばれます。

MRI(磁気共鳴画像)スキャン:この図は、患者さんが横たわった台がMRI装置内を水平に移動している間に体内領域の精細な画像が連続して撮られている様子を示している。

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MRI(磁気共鳴画像)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がMRI装置の中を水平に移動する間に、体内の精細な画像が連続で作成されます。台の上で患者さんがとる姿勢は、撮影する体の部位によって異なります。

CTスキャン

CTスキャンは、X線装置に接続したコンピュータを用いて、様々な角度から見た体内の領域の精細な連続画像を作成する検査法です。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影とも呼ばれます。

小児肝がんの診断を進める一助として、通常は、胸部と腹部のCTスキャンが行われます。

詳細については、CTスキャンとがん(英語)をご覧ください。

CT(コンピュータ断層撮影)スキャン:この図は、患者さんが横たわった台がCT装置内を水平に移動している間に体内領域の精細なX線写真が連続して撮影されている様子を示している。

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CT(コンピュータ断層撮影)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がCT装置の中を水平に移動する間に、体内の精細なX線画像が連続で撮影されます。

超音波検査

超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を体内の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法です。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。小児肝がんの診断を進める一助として、通常は、太い血管を調べるための腹部超音波検査が行われます。

腹部超音波検査:この図は、小児が診察台の上で腹部超音波検査を受けている様子を示している。検査技師が患者の腹部の皮膚にプローブ(体内の組織で反射させる音波を発生させる装置)を押しあてている。コンピュータの画面にはソノグラム(画像)が描画されている。

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腹部超音波検査。コンピュータに接続された超音波プローブを腹部の皮膚に押しあてます。プローブから出た音波は体内の臓器や組織で反射してエコーを生じさせ、そのエコーからソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。

胸部X線検査

X線は高エネルギー放射線の一種で、これを人の体を通してフィルムに照射すると、フィルム上に体内領域の画像が映し出されます。胸部X線検査は、肺の写真を撮影する検査法です。

生検

生検とは、腫瘍から組織のサンプルを採取する手技のことで、採取されたサンプルは病理医が顕微鏡で観察して、がんがないか調べます。生検に続けて、安全を確保できる範囲で可能な限り腫瘍を切除することもあります。

免疫組織化学検査

免疫組織化学検査は、抗体を利用して、患者さんから採取した組織のサンプルに特定の抗原(マーカー)が含まれていないか調べる検査法です。使用される抗体には通常、酵素や蛍光色素が連結されています。抗体が組織のサンプルに含まれる特定の抗原に結合すると、酵素や色素が活性化して、顕微鏡で抗原を観察できるようになります。この種の検査は、がんの診断やがんの種類の判別を進める一助として用いられます。

セカンドオピニオンを受ける

子どもの診断を確定して治療計画を立てるにあたって、保護者はセカンドオピニオンを求めることができます。セカンドオピニオンを求めるときは、最初の担当医に医学的検査の結果と報告書を提供してもらい、それらを別の医師と共有する必要があります。2人目の医師は、病理報告書、スライド、検査画像を確認します。そして、最初の医師の見解に同意するか、治療計画の変更を提案したり、患者さんのがんについて新たな情報を提供したりします。

医師を選んでセカンドオピニオンを受けるプロセスの詳細については、がん治療の医療機関を探す(英語)をご覧ください。セカンドオピニオンを提供できる医師や病院の情報については、NCIのCancer Information Serviceまで、チャット、電子メール、電話(英語とスペイン語に対応)でお問い合わせください。受診時に聞いておくとよい質問については、主治医に尋ねるべき質問(英語)をご覧ください。 

小児肝未分化胎児性肉腫の予後因子

子どもが肝未分化胎児性肉腫と診断されると、多くの保護者は、そのがんの深刻度や生存の可能性を知りたくなるでしょう。疾患がどのような経過をたどるかの見通しを予後といいます。

肝未分化胎児性肉腫の予後は以下の要因に左右されます:

初回治療後に再発した小児肝未分化胎児性肉腫の予後は以下の要因に左右されます:

治療に対する反応には個人差があり、大きな差がみられる場合もあります。保護者が子どもの予後について知りたい場合は、担当のがん治療チームと話をするのが最善です。

小児肝未分化胎児性肉腫の治療法

小児と青年の肝未分化胎児性肉腫に対する治療法には様々なものがあります。保護者と担当のがん治療チームが協力して、治療法を決定します。小児の全体的な健康状態や、がんが新たに診断されたものかそれとも再発したものかなど、数多くの要因が検討されます。

小児肝未分化胎児性肉腫の治療は、小児がんの治療を専門とする小児腫瘍医が監督します。小児腫瘍医は、肝未分化胎児性肉腫の治療に精通しつつ、同時に特定の医療分野を専門とする他の医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要に応じて肝移植プログラムに患者さんを紹介することができる小児外科医が治療に参加することが重要です。ほかにも以下の専門家が関与することがあります:

小児の治療計画では、がんについての情報、治療の目標、治療選択肢、起こりうる副作用などが検討対象に含まれます。治療に先立って担当の治療チームと今後の見通しについて話し合うことが助けになります。実際の進め方については、NCIの小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)をご覧ください。

手術

可能であれば、手術でがんを切除します。以下の手術法が用いられることがあります:

腫瘍を小さくして摘出しやすくするために、手術の前に化学療法を行うこともあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。

化学療法

化学療法は、薬剤を使用してがん細胞の増殖を阻止する治療法です。化学療法では、がん細胞を死滅させるか、がん細胞の分裂を停止させます。

小児肝未分化胎児性肉腫に対する化学療法では、薬剤を静脈に注射します。この方法で投与すると、薬剤を血流に入れて、全身のがん細胞に到達させることができます。

小児肝未分化胎児性肉腫の治療には、以下の化学療法薬が単独または併用で用いられます:

ここに挙げていない化学療法薬も使用されることがあります。

化学療法の効果、投与方法、よく発生する副作用などの詳細については、化学療法によるがん治療(英語)をご覧ください。

臨床試験

患者さんによっては、臨床試験への参加が選択肢の1つになる場合もあります。小児がんを対象とする臨床試験にはいくつかの種類があります。例えば、治療の臨床試験では、新しい治療法や既存の治療法の新しい利用方法が検証されます。支持療法や緩和ケアの臨床試験では、生活の質を改善する方法が検討され、特にがんの影響やその治療による副作用がみられる人が対象になります。

NCIの臨床試験検索から、参加を受け付けているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。この検索では、がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて試験を絞り込むことができます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

探し方や参加方法など、臨床試験の詳細については、患者さんと介護者のための臨床試験情報(英語)をご覧ください。

小児肝未分化胎児性肉腫の治療

新たに診断された小児肝未分化胎児性肉腫に対する治療法には以下のようなものがあります:

最初の手術で腫瘍全体を切除できなかった場合、2回目の手術を行って残存している腫瘍細胞を切除することがあります。

小児肝未分化胎児性肉腫は、ときに治療後も増殖を続けたり、治療後に再発したりすることがあります。再発は、肝臓で起こることもあれば、それ以外の部位に起こることもあります。肝未分化胎児性肉腫の再発と診断された場合は、担当の医師が保護者と協力して治療計画を策定します。

治療の副作用および晩期合併症(晩期障害)

がん治療は副作用を引き起こす可能性があります。起こりうる副作用は、受けている治療の種類、用量、および体の反応によって異なる場合があります。注意すべき副作用とその対処法について、担当の治療チームとよく話をしてください。

治療中に発生する副作用の詳細については、副作用(英語)のページをご覧ください。

がん治療による問題のうち、治療後6カ月以降に始まって月単位または年単位で続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:

晩期合併症(晩期障害)には治療やコントロールが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに生じうる長期的な影響について担当医とよく話をすることが重要です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。

フォローアップケア

治療を進める中で、定期的に検査や診察が行われます。がんの診断や治療群の判定のために行われた検査の一部が、治療効果を確認する目的で再び行われることもあります。治療の継続、変更、中止などの決定がそれらの検査結果に基づいて判断されることもあります。 

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。それらの検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんが再発したかどうかを知ることができます。フォローアップ検査の詳細については、小児肝未分化胎児性肉腫の診断に用いられる検査をご覧ください。

子どものがんへの対処

小児ががんを発症すると、そのご家族全員に対してサポートが必要になります。この困難な時期には、保護者が自分自身のことに気を配ることが重要になります。担当の治療チームやご家族や地域の人々に助けを求めましょう。詳細については、小児がん患者さんのご家族のためにという記事と、小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)という冊子をご覧ください。  

乳児性肝絨毛がん

乳児性肝絨毛がんは、極めてまれながんで、最初に胎盤で発生し、胎児へ拡がります。この腫瘍は、生後数カ月で発見されるのが普通です。

肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓には重要な機能が多くありますが、その主なものは以下の3つです:

肝臓の解剖図:この図は肝臓の右葉と左葉を示している。さらに胆管、胆嚢、胃、脾臓、膵臓、小腸、結腸も示している。

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肝臓の解剖図。肝臓は上腹部の胃、腸、胆嚢、膵臓の近くに位置しています。肝臓には右葉と左葉があります。それぞれの葉は2つの部分に分けられます(図には示されていません)。

小児の母親も絨毛がんと診断されることがあります。母親の絨毛がんの治療に関する詳細な情報については、妊娠性絨毛疾患の治療をご覧ください。

乳児性肝絨毛がんの症状

小児に乳児性肝絨毛がんがあっても、腫瘍が大きくなるまで症状が現れないことがあります。以下の症状がみられる場合は、お子さんの担当医に相談するべきです:

これらの症状は、乳児性肝絨毛がん以外の病態によって引き起こされることがあります。状況を把握する唯一の方法は、担当医の診察を受けることです。

乳児性肝絨毛がんの診断に用いられる検査

小児に乳児性肝絨毛がんを示唆する症状がみられる場合、それらの原因ががんなのか、それとも別の問題なのかを医師が確認する必要があります。医師は症状がいつから始まり、どのくらいの頻度で起きているかを質問します。医師はまた、保護者に小児の病歴家族歴をたずね、身体診察を行います。それらの結果に基づき、ほかの検査を勧めることもあります。それらの検査の結果は、肝がんと診断された場合に保護者と担当医で治療計画を立てるのに役立ちます。

このほかに乳児性肝絨毛がんの診断に用いられることがある検査として、以下のものがあります:

血清腫瘍マーカー検査

血清腫瘍マーカー検査は、臓器、組織、腫瘍細胞から血液中に放出される特定の物質の量を測定する検査法です。特定の物質の血中濃度が上昇している場合には、その物質と関連性のある特定の種類のがんの存在が疑われます。このような物質は腫瘍マーカーと呼ばれます。肝がんの小児では、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)というホルモンの血中濃度またはα-フェトプロテイン(AFP)という蛋白の血中濃度が上昇することがあります。ただしAFPの値は、他の種類のがんや良性肝腫瘍、がん以外の特定の病態(肝硬変肝炎など)でも上昇することがあります。

血算(全血球算定)

血算では、以下の項目について血液のサンプルを調べます:

肝機能検査

肝機能検査は、肝臓から血液中に放出される特定の物質の量を測定する検査法です。ある物質の検査値が正常範囲より高いことは、肝臓の損傷や肝がんの徴候である可能性があります。

血液生化学検査

血液生化学検査は、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質(ビリルビン乳酸脱水素酵素[LDH]など)の濃度を測定する検査法です。ある物質の量が異常であることは、何らかの疾患の徴候である可能性があります。

ガドリニウムを使用するMRI(磁気共鳴画像)検査

MRI検査は、磁気、電波、コンピュータを用いて肝臓内部の精細な連続画像を作成する検査法です。まずガドリニウムと呼ばれる物質を静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。この検査法は核磁気共鳴画像法とも呼ばれます。

MRI(磁気共鳴画像)スキャン:この図は、患者さんが横たわった台がMRI装置内を水平に移動している間に体内領域の精細な画像が連続して撮られている様子を示している。

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MRI(磁気共鳴画像)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がMRI装置の中を水平に移動する間に、体内の精細な画像が連続で作成されます。台の上で患者さんがとる姿勢は、撮影する体の部位によって異なります。

CTスキャン

CTスキャンは、X線装置に接続したコンピュータを用いて、様々な角度から見た体内の領域の精細な連続画像を作成する検査法です。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影とも呼ばれます。

小児肝がんの診断を進める一助として、通常は、胸部と腹部のCTスキャンが行われます。

詳細については、CTスキャンとがん(英語)をご覧ください。

CT(コンピュータ断層撮影)スキャン:この図は、患者さんが横たわった台がCT装置内を水平に移動している間に体内領域の精細なX線写真が連続して撮影されている様子を示している。

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CT(コンピュータ断層撮影)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がCT装置の中を水平に移動する間に、体内の精細なX線画像が連続で撮影されます。

超音波検査

超音波検査は、周波数の高い音波(超音波)を体内の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法です。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。小児肝がんの診断を進める一助として、通常は、太い血管を調べるための腹部超音波検査が行われます。

腹部超音波検査:この図は、小児が診察台の上で腹部超音波検査を受けている様子を示している。検査技師が患者の腹部の皮膚にプローブ(体内の組織で反射させる音波を発生させる装置)を押しあてている。コンピュータの画面にはソノグラム(画像)が描画されている。

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腹部超音波検査。コンピュータに接続された超音波プローブを腹部の皮膚に押しあてます。プローブから出た音波は体内の臓器や組織で反射してエコーを生じさせ、そのエコーからソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。

胸部X線検査

X線は高エネルギー放射線の一種で、これを人の体を通してフィルムに照射すると、フィルム上に体内領域の画像が映し出されます。胸部X線検査は、肺の写真を撮影する検査法です。

免疫組織化学検査

免疫組織化学検査は、抗体を利用して、患者さんから採取した組織のサンプルに特定の抗原(マーカー)が含まれていないか調べる検査法です。使用される抗体には通常、酵素や蛍光色素が連結されています。抗体が組織のサンプルに含まれる特定の抗原に結合すると、酵素や色素が活性化して、顕微鏡で抗原を観察できるようになります。この種の検査は、がんの診断やがんの種類の判別を進める一助として用いられます。

セカンドオピニオンを受ける

子どもの診断を確定して治療計画を立てるにあたって、保護者はセカンドオピニオンを求めることができます。セカンドオピニオンを求めるときは、最初の担当医に医学的検査の結果と報告書を提供してもらい、それらを別の医師と共有する必要があります。2人目の医師は、病理報告書、スライド、検査画像を確認してから、推奨を提示します。そして、最初の医師の見解に同意するか、治療計画の変更を提案したり、患者さんのがんについて新たな情報を提供したりします。

医師を選んでセカンドオピニオンを受けるプロセスの詳細については、がん治療の医療機関を探す(英語)をご覧ください。セカンドオピニオンを提供できる医師や病院の情報については、NCIのCancer Information Serviceまで、チャット、電子メール、電話(英語とスペイン語に対応)でお問い合わせください。受診時に聞いておくとよい質問については、主治医に尋ねるべき質問(英語)をご覧ください。 

乳児性肝絨毛がんの予後因子

子どもが乳児性肝絨毛がんと診断されると、多くの保護者は、そのがんの深刻度や生存の可能性を知りたくなるでしょう。疾患がどのような経過をたどるかの見通しを予後といいます。

乳児性肝絨毛がんの予後は以下の要因に左右されます:

初回治療後に再発した乳児性肝絨毛がんの予後は以下の要因に左右されます:

治療に対する反応には個人差があり、大きな差がみられる場合もあります。保護者が子どもの予後について知りたい場合は、担当のがん治療チームと話をするのが最善です。

乳児性肝絨毛がんの治療法

乳児性肝絨毛がんに対する治療法には様々なものがあります。保護者と担当のがん治療チームが協力して、治療法を決定します。小児の全体的な健康状態や、がんが新たに診断されたものかそれとも再発したものかなど、数多くの要因が検討されます。

乳児性肝絨毛がんの治療は、小児がんの治療を専門とする小児腫瘍医が監督します。小児腫瘍医は、乳児性肝絨毛がんの治療に精通しつつ、同時に特定の医療分野を専門とする他の医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要に応じて肝移植プログラムに患者さんを紹介することができる小児外科医が治療に参加することが重要です。ほかにも以下の専門家が関与することがあります:

小児の治療計画では、がんについての情報、治療の目標、治療選択肢、起こりうる副作用などが検討対象に含まれます。治療に先立って担当の治療チームと今後の見通しについて話し合うことが助けになります。実際の進め方については、NCIの小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)をご覧ください。

手術

可能であれば、手術でがんを切除します。行われることがある手術は以下のとおりです:

腫瘍を小さくして摘出しやすくするために、手術の前に化学療法を行うこともあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。

化学療法

化学療法は、薬剤を使用してがん細胞の増殖を阻止する治療法です。化学療法では、がん細胞を死滅させるか、がん細胞の分裂を停止させます。化学療法は単独で行われることもあれば、他の治療法と併用されることもあります。

乳児性肝絨毛がんに対する化学療法では、薬剤を静脈に注射します。この方法で投与すると、薬剤を血流に入れて、全身のがん細胞に到達させることができます。

乳児性肝絨毛がんの治療には、以下の化学療法薬が単独または併用で用いられます:

ここに挙げていない化学療法薬も使用されることがあります。

化学療法の効果、投与方法、よく発生する副作用などの詳細については、化学療法によるがん治療(英語)をご覧ください。

臨床試験

患者さんによっては、臨床試験への参加が選択肢の1つになる場合もあります。小児がんを対象とする臨床試験にはいくつかの種類があります。例えば、治療の臨床試験では、新しい治療法や既存の治療法の新しい利用方法が検証されます。支持療法や緩和ケアの臨床試験では、生活の質を改善する方法が検討され、特にがんの影響やその治療による副作用がみられる人が対象になります。

NCIの臨床試験検索から、参加を受け付けているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。この検索では、がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて試験を絞り込むことができます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

探し方や参加方法など、臨床試験の詳細については、患者さんと介護者のための臨床試験情報(英語)をご覧ください。

乳児性肝絨毛がんの治療

新たに診断された乳児性肝絨毛がんに対する治療法には以下のようなものがあります:

乳児性肝絨毛がんは治療後に増殖し続けたり再発したりすることがあります。再発は、肝臓で起こることもあれば、それ以外の部位に起こることもあります。乳児性肝絨毛がんの再発と診断された場合は、担当の医師が保護者と協力して治療計画を策定します。

治療の副作用および晩期合併症(晩期障害)

がん治療は副作用を引き起こす可能性があります。起こりうる副作用は、受けている治療の種類、用量、および体の反応によって異なる場合があります。注意すべき副作用とその対処法について、担当の治療チームとよく話をしてください。

がんの治療中に発生する副作用の詳細については、副作用(英語)のページをご覧ください。

がん治療による問題のうち、治療後6カ月以降に始まって月単位または年単位で続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:

晩期合併症(晩期障害)には治療やコントロールが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに生じうる長期的な影響について担当医とよく話をすることが重要です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。

フォローアップケア

治療を進める中で、定期的に検査や診察が行われます。がんの診断や治療群の判定のために行われた検査の一部が、治療効果を確認する目的で再び行われることもあります。治療の継続、変更、中止などの決定がそれらの検査結果に基づいて判断されることもあります。  

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。それらの検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんが再発したかどうかを知ることができます。フォローアップ検査の詳細については、乳児性肝絨毛がんの診断に用いられる検査をご覧ください。

子どものがんへの対処

小児ががんを発症すると、そのご家族全員に対してサポートが必要になります。この困難な時期には、保護者が自分自身のことに気を配ることが重要になります。担当の治療チームやご家族や地域の人々に助けを求めましょう。詳細については、小児がん患者さんのご家族のためにという記事と、小児がんの子どもたち:親のための手引き(英語)という冊子をご覧ください。