ご利用について
このPDQがん情報要約では、小児ホジキンリンパ腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- 小児ホジキンリンパ腫についての一般的な情報
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小児ホジキンリンパ腫は、リンパ系に発生するがんの一種です。
リンパ系は免疫系の一部です。感染や疾患から体を守る働きを担っています。
リンパ系は以下の要素で構成されています:
リンパ系は免疫系の一部で、体を感染や疾患から守る働きのある組織と臓器で構成されています。具体的には、扁桃、胸腺、脾臓、骨髄、リンパ管、リンパ節などがあります。リンパ液(透明で水のような液体)とリンパ球(白血球)はリンパ管を介してリンパ節まで移動し、リンパ球はそこで有害な物質を破壊します。リンパ液は心臓の近くの太い静脈から血流に流れ込みます。 少量のリンパ組織は消化管の粘膜や気管支、皮膚といった体の他の部位にも存在します。
リンパ腫には大きく分けてホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の2種類があります。本要約は、小児ホジキンリンパ腫の治療について書かれたものです。
ホジキンリンパ腫は青年(15~19歳)に特に多くみられます。小児と青年に対する治療は、成人に対する治療と異なります。
リンパ腫に関する情報を含む他のPDQ要約としては以下のようなものがあります:
小児ホジキンリンパ腫の代表的なものとして、古典的ホジキンリンパ腫と結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫の2種類があります。
エプスタイン-バーウイルスへの感染とホジキンリンパ腫の家族歴は小児ホジキンリンパ腫のリスクを高める可能性があります。
疾患が発生する可能性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。このようなリスク因子がある小児全員がホジキンリンパ腫を発症するわけではなく、また、リスク因子が認められない小児にホジキンリンパ腫が発生することもあります。お子さんにリスクがあるかもしれないと思われる場合は、担当の医師に相談してください。
小児ホジキンリンパ腫のリスク因子には以下のものがあります:
遺伝子に生じた遺伝性の変化によって、小児ホジキンリンパ腫のリスクが増大する可能性があります。
小児期の早い時期に一般的な感染の経験があると、小児ホジキンリンパ腫のリスクが低下する可能性があります。
小児ホジキンリンパ腫の徴候には、リンパ節の腫れ、発熱、著しい寝汗、体重減少などがあります。
ホジキンリンパ腫の徴候と症状は、がんが発生した部位とがんの大きさによって異なります。以下の症状が1つでもみられる場合は、お子さんの担当医に相談するべきです:
原因不明の発熱、原因不明の体重減少、著しい寝汗はB症状と呼ばれています。B症状は、ホジキンリンパ腫の病期を診断し、回復の見込みを判断する上で重要な所見です。
これらの症状は、小児ホジキンリンパ腫以外の病態によって引き起こされることもあります。状況を把握する唯一の方法は、担当医の話を聞くことです。医師は診断に向けた第一歩として、症状がいつから始まり、どのくらいの頻度で起きているかを質問します。
小児ホジキンリンパ腫の診断と病期診断には、リンパ系とその他の部位を調べる検査法が用いられます。
小児にホジキンリンパ腫を示唆する症状がみられる場合、それらの原因ががんなのか、それとも別の問題なのかを医師が確認する必要があります。医師は保護者に小児の病歴と家族歴をたずね、身体診察を行います。医師はホジキンリンパ腫かどうかを調べるための診断検査を勧めることがあります。それらの検査の結果は、保護者と担当医が治療の計画を立てる際にも役立ちます。
以下のような検査法や手技が用いられます:
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血算(全血球算定):血液を採取して以下の項目について調べる検査法です:
- 血液生化学検査:採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質(アルブミンなど)の濃度を測定する検査法です。ある物質の量が異常(正常より高いか低い場合)であることは、何らかの疾患の徴候である可能性があります。
- C反応性蛋白検査:採取した血液を調べて、血液中のC反応性蛋白の濃度を測定する検査法です。C反応性蛋白は肝臓で作られ、炎症に対する反応として血流中に放出されます。C反応性蛋白の血中濃度が正常より高いことは、疾患の徴候である可能性があります。
- 赤沈:血液のサンプルを採取して、赤血球が試験管の底に沈んでいく速さを計測する検査法です。赤沈は、体内で起きている炎症の程度を測定する指標です。赤沈の値が正常より高いことは、リンパ腫の徴候である可能性があります。赤血球沈降速度、血沈、ESRとも呼ばれます。
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CTスキャン:頸部、胸部、腹部、骨盤、リンパ節などの体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査です。それらの画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影とも呼ばれます。詳細については、CTスキャンとがん(英語)をご覧ください。
CT(コンピュータ断層撮影)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がCT装置の中を水平に移動する間に、体内の精細なX線画像が連続で撮影されます。 -
PET(陽電子放射断層撮影)スキャン:体内の悪性腫瘍細胞を検出するための検査法です。まず少量の放射性グルコース(ブドウ糖)を患者さんの静脈に注射します。体の周囲を回転するPETスキャナという装置を用いて、体内でグルコースが消費されている領域を示した画像を作成します。悪性腫瘍細胞は正常な細胞よりも活発でグルコースを多く取り込むため、この画像では腫瘍が周囲より明るく描き出されます。
PET(陽電子放射断層撮影)スキャン。患者さんが横たわった台がPETスキャナの中を水平に移動していきます。ヘッドレストと白いストラップは患者さんの動きを制止するためのものです。少量の放射性グルコース(ブドウ糖)を患者さんの静脈に注射してから、体内でグルコースが消費されている領域の画像をスキャナを用いて撮影します。がん細胞は正常な細胞よりもグルコースを多く取り込むため、この画像では腫瘍が周囲より明るく描き出されます。 -
MRI(磁気共鳴画像)検査:磁気、電波、コンピュータを用いてリンパ節などの体内領域の精細な連続画像を作成する検査法です。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。
MRI(磁気共鳴画像)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がMRI装置の中を水平に移動する間に、体内の精細な画像が連続で撮影されます。台の上で患者さんがとる姿勢は、撮影する体の部位によって異なります。 - PET-CTスキャン:PET(陽電子放射断層撮影)スキャンとCT(コンピュータ断層撮影)スキャンから得られた画像を組み合わせる検査法です。PETスキャンとCTスキャンが同じ機械で同時に行われます。これらのスキャンを併用することで、それぞれを単独で行った場合より詳細な情報をもった体内領域の画像が得られます。
- PET-MRIスキャン:PET(陽電子放射断層撮影)スキャンとMRI(磁気共鳴画像)スキャンから得られた画像を組み合わせる検査法です。PETスキャンでは、体内の異常な領域を強調するために放射性物質を使用します。MRIスキャンでは、電波と強力な磁場を利用して、体内の組織の詳細な画像を撮影します。PET-MRIでは、これらのスキャンが同時に同じ機器で行われます。これらのスキャンを併用することで、それぞれを単独で行った場合より詳細な情報をもった体内領域の画像が得られます。対象者が浴びる放射線の量も少なくなります。PET-MRIは、がんなどの疾患の診断、治療計画、治療効果の判定に利用することができます。
- 胸部X線検査:胸部の臓器と骨を撮影するX線検査です。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルムに照射すると、フィルム上に体内領域の画像が映し出されます。
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骨髄穿刺と骨髄生検:寛骨(腰骨)または胸骨に中空の針を刺して、骨髄や骨の小片を採取する手技です。採取された骨髄や骨は病理医が顕微鏡で観察して、異常な細胞がないか調べます。骨髄穿刺と骨髄生検は、進行した患者さんやB症状がみられる患者さんに行われます。
骨髄穿刺と骨髄生検。皮膚の小さな領域に麻酔を施してから、骨髄穿刺針を患者さんの寛骨(腰骨)に挿入します。そして顕微鏡での検査用に血液、骨、骨髄のサンプルを採取します。 -
リンパ節生検:リンパ節の全体または一部を切除する手技です。リンパ節の生検は、CT画像を参考にして行われたり、胸腔鏡検査、縦隔鏡検査、腹腔鏡検査の実施中に行われたりすることがあります。行われることがある生検には以下の種類があります:
- 摘出生検:リンパ節の全体を摘出します。
- 切除生検:リンパ節の一部を採取します。
- コア生検:太い針を用いてリンパ節から組織を採取します。
切除されたリンパ節の組織は、病理医が顕微鏡で観察して、リード-シュテルンベルグ細胞と呼ばれるがん細胞の有無を調べます。リード-シュテルンベルグ細胞は古典的ホジキンリンパ腫でよく認められます。
摘出された組織に対して以下の検査が行われることがあります:
セカンドオピニオンを求めてもいいでしょう。
小児の診断を確定して治療計画を立てるにあたって、保護者はセカンドオピニオンを求めることができます。セカンドオピニオンを求めるときは、最初の担当医に重要な医学的検査の結果を提供してもらい、それを別の医師に見せる必要があります。2人目の医師は、病理報告書、スライド、検査画像を確認してから、推奨を提示します。そして、最初の医師の見解に同意するか、アプローチの変更や別のアプローチを提案したり、患者さんのがんについて新たな情報を提供したりします。
医師を選んでセカンドオピニオンを受けるプロセスの詳細については、がん治療の医療機関を探す(英語)をご覧ください。セカンドオピニオンを提供できる医師や病院の情報については、NCIのCancer Information Serviceまで、チャット、電子メール、電話(英語とスペイン語に対応)でお問い合わせください。受診時に聞いておくとよい質問については、主治医に尋ねるべき質問(英語)をご覧ください。
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血算(全血球算定):血液を採取して以下の項目について調べる検査法です:
- 小児ホジキンリンパ腫の病期
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小児ホジキンリンパ腫の診断がついた後には、がん細胞のリンパ系内部での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。
がんが拡がっているかどうかを調べるためのプロセスは、病期診断と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。ホジキンリンパ腫の診断と病期診断のために行われた検査と手技の結果は、治療に関する決定を下すための検討材料になります。
体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。
小児ホジキンリンパ腫には以下の病期が用いられます:
I期
I期の小児ホジキンリンパ腫。がんが1つのリンパ節群内の1つ以上のリンパ節に認められるか、まれにワルダイエル輪、胸腺、脾臓にみられることがあります。IE期(図には示されていません)では、がんがリンパ系の外にある1つの領域に拡がっています。 I期はさらにI期とIE期に分けられます。
II期
II期はさらにII期とIIE期に分けられます。
IV期
IV期では、がんは以下の状態にあります:
- リンパ系外の臓器に転移していて、さらにそれらの臓器の近くにあるリンパ節に転移している場合もある。または
- 横隔膜(肺の下にある薄い筋肉の膜で、呼吸を助け、胸部と腹部を分けている)で分けた場合にがんと同じ側にある複数のリンパ節群とがんが転移したリンパ節の近くにないリンパ系外の1つの臓器に認められる。または
- 横隔膜の両側に位置するリンパ節群とリンパ系の外にあるいずれかの臓器に認められる。または
- 遠く離れた領域から肺、肝臓、骨髄に転移している。
IV期の小児ホジキンリンパ腫。がんが(a)肝臓などのリンパ系外の臓器に転移しているか、(b)横隔膜で分けた場合にがんと同じ側にある複数のリンパ節群とがんが転移したリンパ節の近くにないリンパ系外の1つの臓器(肺など)に認められるか、(c)横隔膜の両側に位置するリンパ節群とリンパ系の外にあるいずれかの臓器(肺など)に認められるか、(d)遠く離れた領域から肺、肝臓、または骨髄に転移しています。
病期の番号にA、B、E、Sの文字が付け加えられる場合があります。
A、B、E、Sの文字によって、小児ホジキンリンパ腫の病期に情報を追加することがあります。
- 治療選択肢の概要
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小児のホジキンリンパ腫に対する治療法には様々なものがあります。
小児のホジキンリンパ腫に対する治療法には様々なものがあります。保護者と担当のがん治療チームが協力して、治療法を決定します。小児の全体的な健康状態や、腫瘍が新たに診断されたものかそれとも再発したものかなど、数多くの要因が検討されます。
小児ホジキンリンパ腫の患者さんには、小児がんの治療に精通した医療従事者で構成されるチームが治療計画を策定するべきです。
小児ホジキンリンパ腫の治療は、小児がんの治療を専門とする小児腫瘍医が治療を監督します。小児腫瘍医は、小児ホジキンリンパ腫の治療に精通しつつ、同時に特定の医療分野を専門とする他の小児医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。具体的には以下のような専門医や専門家です:
青年と若年成人に対するホジキンリンパ腫の治療は、小児に対する治療と異なる場合があります。一部の青年と若年成人は、成人向けの治療レジメンで治療を受けます。
以下の治療法が用いられることがあります:
化学療法
化学療法は、1つまたは複数の薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止するがん治療です。複数の化学療法薬を使用するがん治療は多剤併用化学療法と呼ばれます。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入り、全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。
化学療法の実施方法は、リスク群に応じて異なります。例えば、低リスクホジキンリンパ腫の小児では、治療のサイクル数、抗がん剤の種類、抗がん剤の用量が、高リスクリンパ腫の小児よりも少なくなります。
詳しい情報については、ホジキンリンパ腫に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図るがん治療です。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんのある領域に放射線を照射する方法です。
放射線療法を特殊な方法で行うことで、周辺の正常組織に対する放射線による傷害を避けられる可能性があります。そのような種類の外照射療法としては以下のものがあります:
リスク群と化学療法レジメンに応じて放射線療法が行われる場合があります。この場合、がんが認められたリンパ節やその他の領域に対してのみ放射線が照射されます。
分子標的療法
分子標的療法は、特定のがん細胞を認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。分子標的療法の種類には以下のものがあります:
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プロテアソーム阻害薬療法は、がん細胞の中に存在するプロテアソームの働きを阻害する治療法です。プロテアソームは細胞にとって不要になった蛋白を除去しています。プロテアソームの働きを阻害すると、その細胞の中に蛋白が蓄積し、それによりがん細胞を殺すことができます。
ボルテゾミブは、小児の難治性または再発ホジキンリンパ腫の治療に用いられるプロテアソーム阻害薬です。
詳細については、分子標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。
免疫療法
免疫療法は、患者さんの免疫系を利用して、がんと戦う治療法です。体内で生産された物質や人工的に作られた物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。免疫療法の種類には以下のものがあります:
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免疫チェックポイント阻害薬療法:T細胞などの免疫細胞や一部のがん細胞は、その表面上にチェックポイント蛋白と呼ばれる免疫反応を抑止する蛋白をもっています。これらの蛋白を大量にもつがん細胞は、T細胞による攻撃と殺傷を回避します。免疫チェックポイント阻害薬はこれらの蛋白を阻害することで、T細胞ががん細胞を殺傷する働きを促します。免疫チェックポイント阻害薬療法には以下の種類があります:
免疫チェックポイント阻害薬。腫瘍細胞上のPD-L1やT細胞上のPD-1などのチェックポイント蛋白は、免疫反応の抑制に関係しています。PD-L1がPD-1に結合すると、体内でのT細胞による腫瘍細胞の殺傷効果が抑制されます(左側の図)。免疫チェックポイント阻害薬(抗PD-L1または抗PD-1)でPD-L1とPD-1の結合を阻害すると、T細胞が腫瘍細胞を殺傷できるようになります(右側の図)。 -
CAR T細胞療法では、患者さんのT細胞(免疫細胞の一種)を改変して、がん細胞の表面に存在する特定の蛋白を攻撃させます。患者さんからT細胞を採取し、製造ラボでその表面に特殊な受容体を付加します。こうして改変した細胞は、キメラ抗原受容体(CAR)T細胞と呼ばれます。製造ラボでCAR T細胞を増やしてから、点滴で患者さんに投与します。投与されたCAR T細胞は、患者さんの血液中で増加し、がん細胞を攻撃します。CAR T細胞療法は、小児の難治性または再発ホジキンリンパ腫に対する治療法として研究されています。
CAR T細胞療法。製造ラボで患者さんのT細胞(免疫細胞の一種)を改変し、それらをがん細胞に結合させて殺傷する治療法です。患者さんの腕の静脈から血液をチューブを介してアフェレーシス装置(図には示されていません)に通し、T細胞などの白血球を採取して、残った血液は患者さんの体に戻します。その後、製造ラボでキメラ抗原受容体(CAR)と呼ばれる特別な受容体の遺伝子をT細胞に導入します。製造ラボでCAR T細胞を数百万個まで培養して、それらを患者さんに投与します。CAR T細胞は、がん細胞の抗原に結合して、それらの細胞を殺傷することができます。
手術
小児における限局性の結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫では、できるだけ多く腫瘍を切除する手術を行うことがあります。
造血幹細胞移植を伴う大量化学療法
まず、がん細胞を死滅させる目的で大量化学療法を行います。すると、このがん治療によって、造血幹細胞を含めた正常な細胞も破壊されてしまいます。そこで造血幹細胞移植を行って、造血幹細胞を新しいものに置き換えます。患者さんまたはドナーから採取した血液または骨髄から造血幹細胞(未成熟の血液細胞)を取り出し、それを凍結保存しておきます。化学療法の終了後に、保存していた造血幹細胞を解凍し、それを点滴で患者さんの体内に戻します。体内に戻された造血幹細胞が成長することで、血液の機能が回復します。
詳しい情報については、ホジキンリンパ腫に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。
臨床試験
治療法の臨床試験とは、がんの患者さんを対象に、既存の治療法を改良したり、新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討するべきです。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて、臨床試験を検索することができます。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
詳細については、患者さんと介護者のための臨床試験情報(英語)をご覧ください。
小児ホジキンリンパ腫の治療は副作用や晩期合併症(晩期障害)を引き起こすことがあります。
がんの治療中に発生する副作用の詳細については、副作用(英語)のページをご覧ください。
がん治療による副作用のうち、治療後に始まって月単位または年単位で続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。こうした晩期合併症(晩期障害)は健康や発育に悪影響を及ぼすことから、定期的なフォローアップ診察が重要です。
がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:
ホジキンリンパ腫の女性生存者では、乳がんのリスクが高くなります。このリスクは、治療中に乳房に照射された放射線の線量と使用された化学療法レジメンによって変わります。卵巣にも放射線が照射された場合は、乳がんのリスクは低下します。
乳房の放射線療法を受けた女性生存者は、治療から8年経過した時点または25歳になった時点のいずれか遅い方から、年1回の乳腺X線撮影とMRI検査を開始することが推奨されます。また女性生存者は、思春期初期から毎月乳房自己検査を行い、思春期から25歳になるまで年1回、医療専門家による乳房検査を受けることも推奨されます。医療専門家による乳房検査は、25歳から6カ月ごとに頻度を増やして実施されます。
胸部への放射線療法を受けた男性生存者は、心血管疾患のリスクが高くなることがあります。可能であれば、胸部への放射線照射を制限することが推奨されます。
晩期合併症(晩期障害)には治療やコントロールが可能なものもあります。治療によってお子さんに生じうる晩期合併症(晩期障害)について担当の医師とよく相談することが重要です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。
患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。
患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。
がんに対する今日の標準治療の多くは、過去に行われた臨床試験の結果を根拠としています。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、まだ人に用いられたことがない新しい治療法を受けることになる場合もあります。
患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがん治療を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が新しい効果的な治療法の発見につながらなくても、しばしば重要な問題に対する答えが得られ、研究を前進させる助けになります。
患者さんはがん治療の開始前だけでなく、開始後でも臨床試験に参加することができます。
ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。
臨床試験は米国各地で行われています。NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
フォローアップ検査が必要になることもあります。
治療を進めるにつれて、フォローアップ検査または定期検査が行われます。がんの診断や病期診断のために実施された検査の中には、治療の効果を確認するために繰り返し行われるものもあります。治療の継続、変更、中止などの決定がそれらの検査結果に基づいて判断されることもあります。
治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。それらの検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんが再発したかどうかを知ることができます。
化学療法のみを受けた患者さんには、治療終了から3週間以上経過した時点でPETスキャンが行われる場合があります。最後に放射線療法を受けた患者さんは、治療終了から8~12週間経過するまで、PETスキャンを受けるべきではありません。
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プロテアソーム阻害薬療法は、がん細胞の中に存在するプロテアソームの働きを阻害する治療法です。プロテアソームは細胞にとって不要になった蛋白を除去しています。プロテアソームの働きを阻害すると、その細胞の中に蛋白が蓄積し、それによりがん細胞を殺すことができます。
- 小児の低リスク古典的ホジキンリンパ腫の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
初発の(新たに診断された)小児の低リスク古典的ホジキンリンパ腫に対する治療法には以下のようなものがあります:
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて、臨床試験を検索することができます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 小児の中リスク古典的ホジキンリンパ腫の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
初発の(新たに診断された)小児の中リスク古典的ホジキンリンパ腫に対する治療法には以下のようなものがあります:
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて、臨床試験を検索することができます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 小児の高リスク古典的ホジキンリンパ腫の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
初発の(新たに診断された)小児の高リスク古典的ホジキンリンパ腫に対する治療法には以下のようなものがあります:
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて、臨床試験を検索することができます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 小児結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
初発の(新たに診断された)小児の結節性リンパ球優位型ホジキンリンパ腫に対する治療法には以下のようなものがあります:
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて、臨床試験を検索することができます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 小児と青年の原発難治性/再発ホジキンリンパ腫の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
小児と青年の場合、原発難治性ホジキンリンパ腫(初回治療に反応しない場合)または再発ホジキンリンパ腫(治療後に再発した場合)に対する治療法には以下のようなものがあります:
- 場合によりステロイドを併用する化学療法、分子標的療法(リツキシマブまたはブレンツキシマブ、ボルテゾミブ)、またはこれらの併用療法。
- 免疫療法(ペムブロリズマブまたはニボルマブ)。
- 患者さん自身の幹細胞を使用する造血幹細胞移植を伴う大量化学療法。モノクローナル抗体療法(ブレンツキシマブ)が投与されることもあります。
- 患者さん自身の幹細胞を使用した造血幹細胞移植の後や、がんが他の治療に反応せず、がんのある領域に対して放射線の照射が以前に行われていない場合に、放射線療法が行われることもあります。
- ドナー幹細胞を使用する造血幹細胞移植を伴う大量化学療法。
- 患者さん自身の幹細胞を移植した後に再発した場合には、分子標的療法(ブレンツキシマブ)。
- CAR T細胞療法の臨床試験への参加。
- 免疫療法(ペムブロリズマブ)の臨床試験への参加。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて、臨床試験を検索することができます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 子どものがんへの対処
小児ががんを発症すると、そのご家族全員に対してサポートが必要になります。この困難な時期には、保護者が自分自身のことに気を配ることも重要になります。担当の治療チームやご家族や地域の人々に助けを求めましょう。詳細については、小児がん患者さんのご家族のためにとがんの小児:ご両親のための手引き(英語)という記事をご覧ください。
- 小児ホジキンリンパ腫についてさらに学ぶために
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米国国立がん研究所が提供している小児ホジキンリンパ腫に関する詳しい情報については、以下をご覧ください:
小児がんに関するさらなる情報とがん全般に関するその他の資料については、以下をご覧ください:
- 本PDQ要約について
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PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、小児ホジキンリンパ腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。詳しい情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。
本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Hodgkin Lymphoma Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/lymphoma/patient/child-hodgkin-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389224]
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免責事項
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