医療専門家向け 小児眼内(ブドウ膜)黒色腫の治療(PDQ®)

    • 原文更新日:2020-06-08
    • 翻訳更新日:2020-09-03

ご利用について

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児眼内(ブドウ膜)黒色腫の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

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発生率と危険因子

ブドウ膜黒色腫(虹彩、毛様体、脈絡膜)は最も一般的な眼内の原発悪性腫瘍であり(米国では毎年約2,000例が診断される)、黒色腫の全症例の5%を占める。[ 1 ]この腫瘍は最も一般的には高齢の患者に診断され、発生率のピークは70歳である。[ 2 ]

小児ブドウ膜黒色腫はきわめてまれで、ブドウ膜黒色腫の全症例の0.8~1.1%を占める。[ 3 ]1968年から2014年にEuropean Ophthalmic Oncology Groupにより実施された1件のレトロスペクティブ多施設観察研究では、24施設で眼内黒色腫の小児114人(年齢1~17歳)および若年成人185人(年齢18~25歳)が確認された。[ 3 ]小児に対する診断時年齢中央値は15.1歳であった。疾患の発生率は5~10歳の間は年間0.8%ずつ増加し、17~24歳の間は年間8.8%ずつ増加した。他のシリーズでも、青年においてより高い疾患発生率が実証されている。[ 4 ][ 5 ]

危険因子には以下のものがある:[ 6 ][ 7 ][ 8 ]

European Oncology Groupの研究では、小児の57%が女児で、4人が眼皮膚黒血球症(n = 2)および神経線維腫症(n = 2)といった既存の疾患を有した。[ 3 ]生後2年以内のブドウ膜黒色腫症例13例のレビューでは、4人の患者が家族性非定型黒色腫母斑症候群を有し、1人の患者が異形成母斑症候群を、1人の患者がカフェオレ斑を有した。[ 9 ]

参考文献
  1. Field MG, Harbour JW: Recent developments in prognostic and predictive testing in uveal melanoma. Curr Opin Ophthalmol 25 (3): 234-9, 2014.[PUBMED Abstract]
  2. Singh AD, Bergman L, Seregard S: Uveal melanoma: epidemiologic aspects. Ophthalmol Clin North Am 18 (1): 75-84, viii, 2005.[PUBMED Abstract]
  3. Al-Jamal RT, Cassoux N, Desjardins L, et al.: The Pediatric Choroidal and Ciliary Body Melanoma Study: A Survey by the European Ophthalmic Oncology Group. Ophthalmology 123 (4): 898-907, 2016.[PUBMED Abstract]
  4. Shields CL, Kaliki S, Arepalli S, et al.: Uveal melanoma in children and teenagers. Saudi J Ophthalmol 27 (3): 197-201, 2013.[PUBMED Abstract]
  5. Pogrzebielski A, Orłowska-Heitzman J, Romanowska-Dixon B: Uveal melanoma in young patients. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 244 (12): 1646-9, 2006.[PUBMED Abstract]
  6. Weis E, Shah CP, Lajous M, et al.: The association between host susceptibility factors and uveal melanoma: a meta-analysis. Arch Ophthalmol 124 (1): 54-60, 2006.[PUBMED Abstract]
  7. Weis E, Shah CP, Lajous M, et al.: The association of cutaneous and iris nevi with uveal melanoma: a meta-analysis. Ophthalmology 116 (3): 536-543.e2, 2009.[PUBMED Abstract]
  8. Singh AD, De Potter P, Fijal BA, et al.: Lifetime prevalence of uveal melanoma in white patients with oculo(dermal) melanocytosis. Ophthalmology 105 (1): 195-8, 1998.[PUBMED Abstract]
  9. Yousef YA, Alkilany M: Characterization, treatment, and outcome of uveal melanoma in the first two years of life. Hematol Oncol Stem Cell Ther 8 (1): 1-5, 2015.[PUBMED Abstract]
予後因子

ブドウ膜黒色腫の予後因子には、以下のものがある:[ 1 ][ 2 ]

参考文献
  1. Al-Jamal RT, Cassoux N, Desjardins L, et al.: The Pediatric Choroidal and Ciliary Body Melanoma Study: A Survey by the European Ophthalmic Oncology Group. Ophthalmology 123 (4): 898-907, 2016.[PUBMED Abstract]
  2. Shields CL, Kaliki S, Arepalli S, et al.: Uveal melanoma in children and teenagers. Saudi J Ophthalmol 27 (3): 197-201, 2013.[PUBMED Abstract]
分子的特徴

ブドウ膜黒色腫は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の活性化につながるGNAQおよびGNA11の活性化変異を特徴とする。さらに、BAP1における変異が転移性腫瘍の84%にみられる一方、SF3B1およびEIF1AXにおける変異は良好な予後に関連する。[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ]

参考文献
  1. Van Raamsdonk CD, Griewank KG, Crosby MB, et al.: Mutations in GNA11 in uveal melanoma. N Engl J Med 363 (23): 2191-9, 2010.[PUBMED Abstract]
  2. Harbour JW, Onken MD, Roberson ED, et al.: Frequent mutation of BAP1 in metastasizing uveal melanomas. Science 330 (6009): 1410-3, 2010.[PUBMED Abstract]
  3. Gupta MP, Lane AM, DeAngelis MM, et al.: Clinical Characteristics of Uveal Melanoma in Patients With Germline BAP1 Mutations. JAMA Ophthalmol 133 (8): 881-7, 2015.[PUBMED Abstract]
  4. Harbour JW, Roberson ED, Anbunathan H, et al.: Recurrent mutations at codon 625 of the splicing factor SF3B1 in uveal melanoma. Nat Genet 45 (2): 133-5, 2013.[PUBMED Abstract]
  5. Martin M, Maßhöfer L, Temming P, et al.: Exome sequencing identifies recurrent somatic mutations in EIF1AX and SF3B1 in uveal melanoma with disomy 3. Nat Genet 45 (8): 933-6, 2013.[PUBMED Abstract]
  6. Van Raamsdonk CD, Bezrookove V, Green G, et al.: Frequent somatic mutations of GNAQ in uveal melanoma and blue naevi. Nature 457 (7229): 599-602, 2009.[PUBMED Abstract]
小児眼内(ブドウ膜)黒色腫の治療および転帰

小児眼内(ブドウ膜)黒色腫に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術。
  2. 放射線療法。
  3. レーザー手術。

(成人におけるブドウ膜黒色腫の治療に関する情報については、成人眼内[ブドウ膜]黒色腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

小児の生存率は若年成人および成人の生存率よりも良好なようであり、眼内黒色腫の生物学が小児では異なっている可能性が示唆されている。[ 1 ][ 2 ]

単一施設のレトロスペクティブなレビューにより、ブドウ膜黒色腫の21歳未満の患者18人が確認された。[ 3 ][証拠レベル:3iiA]これらの患者のうち8人(44%)が転移性ブドウ膜黒色腫を発症し、これらの患者はすべて転移病変により死亡した。原発性眼内腫瘍の治療後の18人の患者の全生存期間中央値は11.9年であった(95% CI、7.3-16.5)。転移病変を発症した8人の患者における転移発見後の生存期間中央値は2.3ヵ月であった(95% CI、0.0-5.2)。

参考文献
  1. Al-Jamal RT, Cassoux N, Desjardins L, et al.: The Pediatric Choroidal and Ciliary Body Melanoma Study: A Survey by the European Ophthalmic Oncology Group. Ophthalmology 123 (4): 898-907, 2016.[PUBMED Abstract]
  2. Shields CL, Kaliki S, Arepalli S, et al.: Uveal melanoma in children and teenagers. Saudi J Ophthalmol 27 (3): 197-201, 2013.[PUBMED Abstract]
  3. Fry MV, Augsburger JJ, Corrêa ZM: Clinical Features, Metastasis, and Survival in Patients Younger Than 21 Years With Posterior Uveal Melanoma. JAMA Ophthalmol 137 (1): 75-81, 2019.[PUBMED Abstract]
小児眼内(ブドウ膜)黒色腫に対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

米国国立がん研究所(NCI)が支援している臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトに掲載されている。他の組織がスポンサーの臨床試験に関する情報については、ClinicalTrials.govウェブサイトを参照のこと。

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である:

小児がん治療に関する特別な考慮事項

小児および青年におけるがんはまれであるが、小児がんの全発生率は1975年以降徐々に増加している。[ 1 ]小児および青年のがん患者については、小児期および青年期に発生するがんの治療経験を有するがん専門家から構成される集学的チームのある医療機関への紹介を検討すべきである。この集学的チームのアプローチとは、至適生存期間および至適QOLを得られるような治療、支持療法、およびリハビリテーションを小児が必ず受けられるようにするため、以下に示す医療専門家の技術を集結したものである:

(小児および青年のがんの支持療法に関する具体的な情報については、PDQの支持療法および緩和ケアの要約を参照のこと。)

米国小児科学会によって、小児がん施設とそれらが小児がん患者の治療において担う役割に関するガイドラインが概説されている。[ 2 ]このような小児がん施設では、小児および青年に発症するほとんどの種類のがんに関する臨床試験が行われており、大半の患者およびその家族に参加する機会が与えられている。小児および青年のがんに関する臨床試験は一般に、現在標準とされている治療法と、それより効果的であると思われる治療法とを比較するようデザインされる。小児がんの治癒を目指した治療法の進歩の大部分は、このような臨床試験によって達成されたものである。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

小児および青年のがん患者の生存において、劇的な改善が達成されている。1975年から2010年の間に、小児がんの死亡率は50%以上低下した。[ 3 ]小児および青年のがん生存者では、治療から数ヵ月または数年経過後もがん療法の副作用が持続または発現することがあるため、綿密なモニタリングが必要である。(小児および青年のがん生存者における晩期合併症(晩期障害)の発生率、種類、およびモニタリングに関する具体的な情報については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関するPDQ要約を参照のこと。)

小児がんはまれな疾患であり、米国において20歳未満で診断される症例は年間約15,000例である。[ 4 ]米国の2002年希少疾患対策法(Rare Diseases Act of 2002)では、希少疾患を罹患者が20万人未満の疾患と定めている。そのため、小児がんはすべて希少疾患とみなされる。

まれな腫瘍の指定は小児および成人のグループ間で統一されていない。成人のまれながんは、年間発生率が10万人当たり6例未満のがんとして定義され、欧州連合で診断されるすべてのがんの最大24%および米国で診断されるすべてのがんの約20%を占めていると推定される。[ 5 ][ 6 ]また、小児のまれな腫瘍の指定は、以下に示すように国際的グループ間で統一されていない:

このようなまれながんは、個々の診断を受ける患者の発生率が低いこと、青年集団にまれながんが多いこと、およびまれながんの青年についての臨床試験が行われていないことから、研究がきわめて困難である。

これらの腫瘍に関する情報は、成人の眼内(ブドウ膜)黒色腫の治療に関するPDQ要約など、成人のがんに関連する情報源でも記載されている場合がある。

参考文献
  1. Smith MA, Seibel NL, Altekruse SF, et al.: Outcomes for children and adolescents with cancer: challenges for the twenty-first century. J Clin Oncol 28 (15): 2625-34, 2010.[PUBMED Abstract]
  2. Corrigan JJ, Feig SA; American Academy of Pediatrics: Guidelines for pediatric cancer centers. Pediatrics 113 (6): 1833-5, 2004.[PUBMED Abstract]
  3. Smith MA, Altekruse SF, Adamson PC, et al.: Declining childhood and adolescent cancer mortality. Cancer 120 (16): 2497-506, 2014.[PUBMED Abstract]
  4. Ward E, DeSantis C, Robbins A, et al.: Childhood and adolescent cancer statistics, 2014. CA Cancer J Clin 64 (2): 83-103, 2014 Mar-Apr.[PUBMED Abstract]
  5. Gatta G, Capocaccia R, Botta L, et al.: Burden and centralised treatment in Europe of rare tumours: results of RARECAREnet-a population-based study. Lancet Oncol 18 (8): 1022-1039, 2017.[PUBMED Abstract]
  6. DeSantis CE, Kramer JL, Jemal A: The burden of rare cancers in the United States. CA Cancer J Clin 67 (4): 261-272, 2017.[PUBMED Abstract]
  7. Ferrari A, Bisogno G, De Salvo GL, et al.: The challenge of very rare tumours in childhood: the Italian TREP project. Eur J Cancer 43 (4): 654-9, 2007.[PUBMED Abstract]
  8. Pappo AS, Krailo M, Chen Z, et al.: Infrequent tumor initiative of the Children's Oncology Group: initial lessons learned and their impact on future plans. J Clin Oncol 28 (33): 5011-6, 2010.[PUBMED Abstract]
  9. Howlader N, Noone AM, Krapcho M, et al., eds.: SEER Cancer Statistics Review, 1975-2012. Bethesda, Md: National Cancer Institute, 2015. Also available online. Last accessed February 20, 2020.[PUBMED Abstract]
本要約の変更点(06/08/2020)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

小児眼内(ブドウ膜)黒色腫の治療および転帰

本文に21歳未満のブドウ膜黒色腫患者18人を同定した単一施設のレトロスペクティブなレビューの転帰の結果に関する記述が追加された(引用、参考文献3としてFry et al.および証拠レベル:3iiA)。

本要約はPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児眼内(ブドウ膜)黒色腫の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Intraocular (Uveal) Melanoma Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/eye/hp/child-intraocular-melanoma-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

免責条項

入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。