医療専門家向け 悲嘆、死別、喪失への対処(PDQ®)

ご利用について

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、個人が悲嘆、死別、服喪にどのように対処するかについて包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約は、編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

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概要

医療提供者は自らの個人的生活と職業生活の全体を通じて遺族に遭遇する。[ 1 ]個人的多様性、家族および社会的ネットワーク、そしてミクロ文化とマクロ文化の影響が、人が悲嘆を経験し、表現する方法に寄与する。進行がんから死亡までの経過は、さまざまな人がさまざまな方法で経験する。ほとんどの人が一般的または正常な悲嘆を経験し、時の経過とともに喪失に適応する;長期のまたは複雑性悲嘆など、より重度の悲嘆反応を経験する者もおり、彼らは治療から便益を得る。なかには、がんの経験は辛くて苦しいものであるが、患者と患者の家族および社会的ネットワークの人々に対して有意義な人間的成長をもたらしてくれると気づく人もいる。

個人または社会的ネットワークが死亡に適応する方法に多くの因子が影響しうる。嘆き悲しみ方は、悲嘆者の性格および故人との関係に依存する。がんの経験;がんの進行の仕方;文化的および宗教的信念;悲嘆過程が発生する社会文化的な構造;対処技術と精神科病歴;支援制度の利用可能性;および社会経済的状況のすべてが、外面での悲嘆の表現方法および内面での喪失への適応方法に影響を及ぼす。関係が完全であるという感覚でさえも、悲嘆過程に影響しうる。[ 2 ]悲嘆が患者自身および患者の将来の喪失に及ぼす影響もまた、医療提供者と患者の社会的ネットワークは考慮すべきである。

本要約では最初に悲嘆服喪死別の構造を定義する。次に予期悲嘆の悲嘆反応、長期の複雑性悲嘆、正常なまたは一般的な悲嘆、正常な悲嘆のモデル、および複雑性または長期の悲嘆を分類する。心理社会的治療と薬物治療について説明する。小児の重要な発達段階の問題および悲嘆について紹介し、悲嘆と服喪に対する異なる文化の反応のセクションで本要約を締めくくる。

以下の情報は、悲嘆、死別、服喪に関する一般的な文献の理論的および経験的レビューを統合したものであり[ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ]、がんによる喪失に限定されていない。利用可能な場合には、がんに焦点を当てている研究であることを強調する。

特に明記していない場合、本要約には成人に関する証拠と治療について記載している。小児に関する証拠と治療は、成人の場合とかなり異なる可能性がある。小児の治療に関する情報が入手できる場合は、小児に関する情報であることを明記した上でその内容を要約する。

参考文献
  1. Casarett D, Kutner JS, Abrahm J, et al.: Life after death: a practical approach to grief and bereavement. Ann Intern Med 134 (3): 208-15, 2001.[PUBMED Abstract]
  2. Yamashita R, Arao H, Takao A, et al.: Unfinished Business in Families of Terminally Ill With Cancer Patients. J Pain Symptom Manage 54 (6): 861-869, 2017.[PUBMED Abstract]
  3. Stroebe MS, Hansson RO, Schut H, et al., eds.: Handbook of Bereavement Research and Practice: Advances in Theory and Intervention. Washington, DC: American Psychological Association, 2008.[PUBMED Abstract]
  4. Stroebe MS, Hansson RO, Stroebe W, et al., eds.: Handbook of Bereavement Research: Consequences, Coping, and Care. Washington, DC: American Psychological Association, 2001.[PUBMED Abstract]
  5. Bonanno GA, Kaltman S: The varieties of grief experience. Clin Psychol Rev 21 (5): 705-34, 2001.[PUBMED Abstract]
  6. Jacobs S: Pathologic Grief: Maladaptation to Loss. Washington, DC: American Psychiatric Press, Inc., 1993.[PUBMED Abstract]
用語の定義

悲嘆

悲嘆(grief)は、愛する人の死による喪失に対して反応する主に情動的/感情的な過程と定義される。[ 1 ]悲嘆では個人の内面の、精神内部の過程に焦点が当てられている。正常なまたは一般的な悲嘆反応には、以下のような要素が含まれている:[ 2 ]

悲嘆反応はまた、異常な、外傷性の、病的な、または複雑性とみなされることがある。コンセンサスは得られていないが、複雑性悲嘆に対する診断基準が提案されている。[ 3 ](詳しい情報については、本要約の長期の、持続性の、または複雑性悲嘆のセクションを参照のこと。)

服喪

服喪(mourning)は、悲嘆の表向きの表現として定義される。[ 1 ]悲嘆が喪失に対する内面のまたは精神内部の経験に焦点を当てているのに対し、服喪は悲嘆の外面のまたは表向きの表現を強調している。結果的に、服喪は人の信念、宗教的実践、および文化的背景による影響を受ける。

悲嘆と服喪には明らかに重複があり、それぞれが互いに影響している;この2つを区別することはしばしば困難である。愛する人の喪失に伴う情緒的苦痛(すなわち、悲嘆)の表向きの表現(すなわち、服喪)は、文化に依存した信念、社会習慣、価値観による影響を受ける。

死別

死別(bereavement)は、人が死によって重要な人を喪失した後に直面する客観的状況と定義される。[ 1 ]死別は、本セクションで定義された3つの用語の中で最も広範で、死亡による喪失という状況の客観的現実性を示す表現として概念化されている。

参考文献
  1. Stroebe MS, Hansson RO, Schut H, et al., eds.: Handbook of Bereavement Research and Practice: Advances in Theory and Intervention. Washington, DC: American Psychological Association, 2008.[PUBMED Abstract]
  2. Jacobs S: Pathologic Grief: Maladaptation to Loss. Washington, DC: American Psychiatric Press, Inc., 1993.[PUBMED Abstract]
  3. Prigerson HG, Jacobs SC: Perspectives on care at the close of life. Caring for bereaved patients: "all the doctors just suddenly go". JAMA 286 (11): 1369-76, 2001.[PUBMED Abstract]
悲嘆反応の種類

複数の研究者や臨床医が悲嘆のモデルおよび悲嘆反応の種類を提案している。[ 1 ][ 2 ]研究では正常な悲嘆および複雑性悲嘆に注目しながら、複雑性悲嘆の種類[ 3 ]および利用可能な経験的支持[ 4 ]について明記し、さまざまな種類の機能障害についてその特徴に焦点を当てている。[ 1 ]研究から、悲嘆には複数のフェーズまたは領域がある一方で、個人が悲嘆を軽減する気を起こさせるような、予め決められた線形過程は存在しないと示されている。[ 5 ][ 6 ]ほとんどの文献では、正常な悲嘆と、慢性的悲嘆または悲嘆の不在、遅発性悲嘆、あるいは抑制された悲嘆といったさまざまな形態の複雑性悲嘆とを区別するよう試みられている。[ 1 ][ 3 ][ 4 ]

死別の研究では、利用可能な経験的支持のレビューによりこれらの悲嘆パターンの同定が試みられている一方で[ 1 ]、これらの悲嘆反応が独特であり、単純に大うつ病、不安、または心的外傷後ストレスの形態を示しているのではないという証拠も調査されている。[ 7 ]

予期悲嘆

予期悲嘆とは、差し迫った喪失を予期したときに起こる悲嘆反応のことである。[ 8 ]予期悲嘆は、患者と患者の社会的ネットワークの双方で苦痛を強める可能性のある問題として次第に認識されつつある。予期悲嘆という用語は、死にゆく患者の家族について述べるときに最もしばしば使用されるが、末期患者自身も予期悲嘆を経験することがある。予期悲嘆には、喪失後の悲嘆と同じ症状が多く含まれる。予期悲嘆は、「患者と家族が感じる予期された死に対する認知反応、情動反応、文化的反応、および社会的反応の総体」と定義されている。[ 9 ]

予期悲嘆は経験的に、段階的に増大した苦痛、疼痛、および医学的合併症に関連している。[ 10 ]予期悲嘆時の要求が満たされている場合、個人は終末期にこうした否定的な転帰を経験する可能性は低い。[ 11 ]

正常なまたは一般的な悲嘆

一般的に、正常なまたは一般的な悲嘆反応は次第に喪失の受容へと向かう動きを特徴としており、日常の活動は非常に困難ではあるが、基本的な日々の活動を何とか継続している状態である。正常なまたは一般的な悲嘆は喪失を経験した後、50~85%の人に生じるようである。[ 18 ]正常な悲嘆は通常、感情麻痺、ショック、不信、および/または否認など一般的な情緒的反応を含み、死の直後、特にその死が予期せぬものであった場合にしばしば発生する。情緒的苦痛の多くは愛する人との別離から生じる不安に集中しており、その結果しばしば熱望、希求、愛する人にとらわれること、および死の頻繁な侵入的イメージを招く。[ 2 ]

そうした苦痛には、号泣;ため息;故人の夢、幻想、およびさらに幻覚さえも見ること;および故人と関わりのある物や場所を探し求めることが付随しうる。一部の遺族は怒りを経験し、喪失の現実性に異議を申し立て、かなりの期間にわたって悲しみ、絶望、不眠、食欲不振、疲労、罪悪感、興味の喪失、日課における解体を経験する。[ 2 ]

遺族の多くは非常に強い、一時的な(例、20-30分)苦痛を経験するが、これは悲嘆の突発(grief bursts)、悲嘆の激痛(grief pangs)、または悲嘆の波(grief waves)などさまざまに呼ばれる。ときにこれらの激痛は、主な文化的または社会的休日、患者の命日、あるいは故人が所有していた品物を手放すといった故人を思い出すものに対する反応である。しかしながら、他の場合には、激痛が予想外に生じることもある。[ 2 ]

時間の経過とともに、ほとんどの遺族は症状を経験する頻度が少なくなり、症状の期間が短くなるか、症状の強さが低下する。回復に必要な具体的な期間に関する明確な合意はないが、正常な悲嘆を経験しているほとんどの遺族は約6ヵ月後に症状の軽減を示す。しかしながら、悲嘆の表現と悲嘆の経験には大きな違いがある場合がある。悲嘆の表現に関係するタイムラインは社会的、宗教的、または文化的な影響を受け(例、喪服の着用、シヴァに入っている[ユダヤ教における服喪]、または弔旗を掲ぐ);時間限定性で;喪失の直後に始まり;大部分は最初の1年または2年以内に回復する。

正常な悲嘆のモデル

正常な悲嘆に関して理論的に導き出された多くのモデルが提案されている。[ 19 ][ 20 ][ 21 ][ 22 ]ほとんどのモデルでは、正常な悲嘆の過程をさまざまな種類の複雑性悲嘆と区別して仮定している。一部のモデルでは、悲嘆に関連した症状からフェーズまたは段階が系統立てされ、悲嘆は最も優勢な特徴が含まれている一連のフェーズにより特徴付けられる過程であると提唱されている。最もよく知られたモデルは医学生の教育用に開発され、末期患者との一連の臨床面接を用いたモデルである。[ 23 ]このモデルでは、否認、怒り、取引、抑うつ、および受容の5段階の悲嘆が同定された。しかしながら、このモデルは経験的支持が限られている。[ 24 ]最初の開発後、このモデルは悲嘆の段階から悲嘆の領域へと再概念化され、段階という用語が暗に意味する予め決められた進路または進行を予測することなく、ある個人が領域間で前後に移動しうることが認識されている。[ 25 ]

悲嘆の段階理論に関する2年間の研究の結果、より一般的な進路は不信、熱望、怒り、抑うつ、および受容であり、これらの否定的な心理社会的問題は喪失から約6ヵ月経過時にピークに達することが示唆された。[ 5 ]

正常な悲嘆の適応段階モデル[ 2 ]では、心理的反応を4つの段階:麻痺-不信、別離の苦痛(熱望-怒り-不安)、抑うつ-服喪、および回復に分けて構成している。このモデルは段階モデルとして提案されているが、「悲嘆は一定のフェーズにおいて厳然と進展するという考えは、情動的な過程における高度に複雑な個人的振幅の過度の単純化であると強調することが重要である」と説明している。[ 2 ]

別の理論では、以下の4段階が提案されている:[ 15 ][ 26 ][ 27 ][ 28 ]

死別の研究者はこの4段階のモデルに対する経験的支持を明らかにしており[ 5 ]、特に悲嘆の時期を強調している。悲嘆の主要な指標は喪失から約6ヵ月経過時にピークに達し、その後は否定的な悲嘆の指標が低下し始める。このことは、6ヵ月を過ぎても高レベルの悲嘆を依然として経験している個人はメンタルヘルスケアおよび肉体的健康ケア提供者からの段階的に増大する対応から便益が得られる可能性があることを示唆している。

他の研究者は、悲嘆を段階よりもむしろ課題として概念化している。1人の研究者により、ある個人が喪失に伴って発生する動揺にもかかわらず、自身の世界を制御していると感じ続けるのに役立つ服喪の4つの課題が確認された。[ 29 ]また、ある人がそれらの課題をどのように上手く完了できるかに影響する6つの媒介物についても概説されている。これらの課題には、喪失の現実を受容すること、悲嘆の苦痛を処理すること、故人のいない世界に適応すること、および故人との揺るぎないつながりを発見する一方で新たな関係に従事し続けることが含まれる。[ 30 ]このモデルでは、固定された経過なしにどのような順序で課題が行われてもよい;ただし、服喪を成功させるには、4つの課題すべてを達成できなければならない。

正常な悲嘆反応と大うつ病の鑑別

悲嘆過程に関連する行動的発現および、不眠、罪悪感、熟考、および動機付けの不足といったうつ病の症状間にはかなりの重複がある。精神障害の診断と統計マニュアル(Diagnostic and Statistical Manual for Mental Disorders)第4版(DSM-IV-TR)では、臨床医に対して、愛する人の死後最初の2ヵ月以内の個人は大うつ病と診断しないように勧告しており、これは「死別反応の除外」と呼ばれた。DSM第5版(DSM-5)では、大うつ病の診断における死別反応の除外が削除された。[ 31 ]この変更は、弱い立場にある個人の悲嘆は、短期間で大うつ病の発生を早め、潜在的に致死的な場合があることを認識するために加えられた。

DSM-5では、大うつ病エピソードと比較した正常な悲嘆過程の特性を、以下のように注意深く概説している:[ 31 ]

DSM-5は、抑うつは死別の正常な結果であるが、正常な悲嘆過程の状況において大うつ病を診断すべきではないと強調している。DSM-5ではまた、大うつ病はうつ病の症状と特性が認められ、正常な悲嘆過程とは明らかに鑑別可能な場合には、診断可能であり、診断すべきであるとも強調している。DSM-5ではさらに、弱い立場にある個人における長期のおよび複雑性悲嘆反応の存在を認識して、候補となる障害、持続性複雑死別障害を創案した。[ 31 ]この複雑性悲嘆反応は、長期の悲嘆障害として、疾病および関連保健問題の国際統計分類(International Classification of Diseases and Related Health Problems)第11版ICD-11)で認識されている。

複雑性悲嘆のパターン

歴史を通して、多くの著者が病的なまたは複雑性悲嘆と比較した正常な悲嘆のさまざまなパターンを提案している。[ 1 ][ 2 ]一部の著者は、悲嘆のパターンが広範な臨床的観察から導き出されており[ 32 ]、こうした観察はさまざまな理論(例、愛着のパターンと関連する人格特性)により裏付けられていることを提唱している。[ 33 ]

これらのパターンは正常な悲嘆と比較して記述され、正常なパターンからの逸脱を強調している。著者は幅広い多くの理論および異常な悲嘆パターンに対して記述的表示を開発しているが、以下のようにこれらの表示の経験的妥当性は非常に限られている:

経験的レビューでは抑制された悲嘆、悲嘆の不在、または遅発性悲嘆の証拠は明らかにされていないが、代わりにこれらのパターンはヒトの回復力および強さの形態としてよりよく説明できる可能性が強調されている。[ 6 ]証拠から、極小の悲嘆反応の存在-人が顕性の苦痛または機能障害の徴候を全く、またはごくわずかしか経験しないパターンが裏付けられている。この極小の反応は喪失後、最初の1年目または2年目の人の約15%に生じると考えられる。[ 6 ]この極小の反応は、個人との関係が複雑な人、または知的障害あるいは自閉症スペクトラム障害など情動的表現に問題がある人では特に明白な場合がある。[ 34 ]観察された極小の悲嘆反応は、悲嘆の表現が悲嘆の内的経験を十分に反映していない可能性があるため、注意して解釈すべきである。

また、慢性的または複雑性悲嘆(一般的な悲嘆の症状であるが、典型的な1年または2年よりもはるかに長い間、症状を経験する反応のパターン)に対する経験的支持も存在する。慢性的または複雑性悲嘆は遺族の約15~30%に起こると考えられる。[ 6 ]慢性的悲嘆は大うつ病、全般性不安、およびおそらく心的外傷後ストレスに酷似している場合がある。しかしながら、これらの用語は治療側からの支持が得られなくなっており、DSM-5(長期の悲嘆障害)およびICD-11(持続性複雑死別障害)の更新された、より特異的な診断基準に置き換えられている。[ 35 ]

長期の、持続性、または複雑性悲嘆

DSM-5およびICD-11には、次のような診断可能なコードとして死別が含まれている:強い悲嘆が死後6ヵ月間続く場合に長期の悲嘆障害(DSM-5);および強い悲嘆が成人で12ヵ月間および小児で6ヵ月間続く場合に持続性複雑死別障害(ICD-11)。DSM-5のうつ病の診断で、除外基準としての死別が削除され、喪失後2週間経過すると死別に対して投薬が可能となったことには、いくぶん懸念が寄せられている。しかしながら、うつ病と長期の悲嘆は2つの異なる診断であり、治療に対する反応は独特なようである。[ 36 ][ 37 ](詳しい情報については、本要約の治療のセクションを参照のこと。)

複雑性悲嘆は正常なおよび非複雑性悲嘆とは、悲嘆反応の性質ではなく、こうした反応および反応の持続性および広播性を原因とする苦痛および障害の点で異なる。[ 38 ]

以下は、持続性複雑死別障害と呼ばれる長期のおよび複雑性悲嘆反応に対して提案されているDSM-5診断基準である:[ 39 ]

この障害に対するDSMおよびICD診断基準の一部はわずかに異なる一方で、別離の苦痛、故人に強く集中していること、死を受け入れることが困難、未来に向けた目標からの離脱など、多くの重要な領域が重複している。

がん患者の終末期における質への従事は、遺族が長期の悲嘆障害または持続性複雑死別障害を発症する確率を低下させるためにきわめて重要なようである。死の受け入れを達成し、意義のある別れに従事することは、患者の死亡時に遺族が物理的に存在するよりも重要である。[ 40 ]外傷死または予期しない死では、意義のある終末期のコミュニケーションが行えないために、遺族は長期の悲嘆障害または持続性複雑死別障害を発症する可能性が高くなる。[ 41 ]

参考文献
  1. Bonanno GA, Kaltman S: The varieties of grief experience. Clin Psychol Rev 21 (5): 705-34, 2001.[PUBMED Abstract]
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複雑性悲嘆および他の否定的な死別の転帰の危険因子

末期がん患者の介護者248人を対象とした1件の研究[ 1 ]で、死亡前の複雑性悲嘆の存在とその相関が調査された。結果から、より高レベルの死亡前の複雑性悲嘆と関連する以下の変数が明らかにされた。

これらの相関のうち、悲観的な思考とストレスの多い生活上の出来事の重症度は、死亡前の複雑性悲嘆の独立した予測因子であった。

他の研究では、うつ病症状や否定的な健康上の全体的結果といった転帰の予測因子に焦点が当てられている。以下の3つの変数のカテゴリーが調査されている:

ほとんどの研究では配偶者/パートナーの喪失に焦点を当てており、特にがんによる死亡に集中しているわけではない。

状況:予期された死または予期されなかった死

突然の予期されなかった喪失はより難解な悲嘆となることが理論的に示唆されているが、経験的知見は入り混じっている。[ 2 ]予期されなかった喪失の影響は自尊心および統制感により和らげられるようである:自尊心が低いおよび/または人生が統制できないという感覚をもつ遺族の方が、自尊心が高くおよび/または統制感をもつ遺族よりも予期せぬ死後のうつ病または身体的愁訴に苦しむようである。[ 2 ]

個人:性格の特徴

愛着理論[ 3 ]により、人の最も早期の(典型的には両親との)愛着の性質から人が喪失にどのように反応するかが予測されることが示唆されている。愛着のスタイルが安定している遺族は複雑性悲嘆を経験する可能性が最も低い一方で、愛着のスタイルが安定していないか、愛着のスタイルが不安で相反している遺族は否定的な転帰を経験する可能性が最も高い。[ 4 ]

末期疾患の配偶者を介護している59人を対象とした研究において、愛着スタイルの性質および夫婦間の質が評価された。結果から、愛着のスタイルが安定していないか、「安定が増しつつある」夫婦関係にある介護者は複雑性悲嘆の症状を経験する可能性がより高いことが示された。[ 5 ]「熟考する対処」、つまり苦痛の症状に過度に集中するパターンの傾向を有する人もまた、喪失後に長期にわたる抑うつを経験することが示されている。[ 6 ]

個人:宗教的信念

強い宗教的信念および宗教的活動への参加は、以下の2つの異なる機序を介して喪失の苦痛の緩衝材となりうることが理論的に提唱されている。

しかしながら、死に対処する際の宗教の便益に関する経験的結果は入り混じっている傾向があり、プラスの便益を示すものもあれば、便益を全く示さないどころか、信者にとってより大きな苦痛にさえなるものもある。[ 7 ]宗教のプラスの便益を示す研究は、定期的な礼拝のような宗教的活動への参加を測定する傾向があり、参加の便益は社会的支援の増加と関連する傾向があることを明らかにしている。そのため、定期的な礼拝を介した宗教的活動への参加およびその結果としての社会的支援の増加が、宗教が肯定的な悲嘆の転帰と関連する機序であると考えられる。

個人:性別

一般的に、男性の方が女性よりも配偶者を失った後に否定的な結果を経験する。先立たれていない人と比較して先立たれた男性および女性の死亡率は両性で高かった:しかしながら、死亡率における相対的増加は男性の方が女性よりも高かった。男性はまた、女性よりも配偶者の死後、重度のうつ病および重度の否定的な健康上の全体的結果を経験しがちである。[ 2 ]一部の研究者により、この相違の機序は、先立たれた女性と比べて先立たれた男性に対して提供される社会的支援が少ないことであると示唆されている。

個人:年齢

一般的に、比較的若い遺族はより高齢の遺族よりも喪失後に多くの困難を経験する。おそらく比較的若い遺族は予期せぬ突然の喪失を経験する可能性が高いために、こうした困難には、より重度の健康上の結果、悲嘆症状、心理的および身体的症状が含まれる。[ 2 ]しかしながら、若い遺族はより高齢の遺族よりも喪失後の初期には多くの困難を経験するものの、さまざまな種類の資源(例、社会的支援)を利用する機会が多いことから急速に回復することも考えられる。[ 2 ]

人間関係の背景:社会的支援

社会的支援は高度複雑な構造をしており、さまざまな要素(利用可能であることを知ること、ソーシャルネットワーク、支援の情勢/環境、支援の探究)で構成され、さまざまな方法で測定される。しかしながら、上述のように社会的支援の不足は否定的な死別の転帰の危険因子である:社会的支援の不足は否定的な健康上のアウトカムの一般的な危険因子であり、また喪失後の否定的な転帰の死別特異的な危険因子でもある。[ 2 ]例えば、近しい家族(例、配偶者)の死後は、多くの人が所得、生活様式、日課-すべてが重要な社会的支援の側面である-の喪失など多くの関係する喪失(しばしば予期されない)を報告する。

参考文献
  1. Tomarken A, Holland J, Schachter S, et al.: Factors of complicated grief pre-death in caregivers of cancer patients. Psychooncology 17 (2): 105-11, 2008.[PUBMED Abstract]
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医療提供者における悲嘆の経験

悲嘆を調査した研究で、腫瘍学専門家に限定して焦点を当てた研究は比較的少数である。悲嘆の影響に関する1件の経験的研究において、カナダの20人の腫瘍医がそのキャリアの異なる段階で面接を受けた。[ 1 ]研究者らにより、腫瘍医の悲嘆は、患者に対する責任によって特有な影響を受け、悲しみに加えて、無力感、自己不信、罪悪感、および挫折感が含まれたことが明らかにされた。腫瘍医は、区画化の対処戦略のほか、治療の決定への影響および患者からの感情的および身体的な撤退など、否定的な結果を報告した。困難な患者の喪失に関連した関係性要因には、患者と家族との長期の親しい関係、患者との一体感、若い患者年齢、および予期せぬ死亡が含まれた。背景因子には、準備ができていない患者と家族、非現実的な期待、過剰な治療、患者や家族からの非難または自己非難、および混乱した/要求が高い家族が含まれた。文化的問題には、死と臨死を取り巻く社会的烙印(スティグマ)、感情を示すことは弱いと認識されていること、治癒への集中が含まれた。

イスラエルの腫瘍医を対象にした研究でも同様の所見が報告されたが、患者の家族との親しい関係および患者の死亡の子供への影響に対してより注目されていた。[ 2 ]肯定的な側面として、腫瘍医は、患者の死が彼らにとって何が重要であるかを含めて、人生におけるより良い見方、および患者のケアを向上させるための動機付け(例、終末期には過剰な治療を制限する)を与えてくれたと報告している。[ 3 ]

前述のカナダの研究において、男性と女性の両方の医師が、悲嘆の認識と表現は男性の医師よりも女性の医師にとって文化的に受け入れられると感じており[ 4 ]、この所見は別の研究でも示された。[ 5 ]性別の悲嘆反応への影響および腫瘍医における燃え尽きについて調査した1件の研究により、女性の腫瘍医は患者の死亡に対する反応として、悲嘆と情動的苦痛をより多く報告することが示された。[ 6 ]高レベルの燃え尽きを報告した男性と女性の両方で高レベルの悲嘆がより高いレベルの苦痛と関連していたが、この関連は男性では中レベルの燃え尽きでも示されたことから、燃え尽きが認められた男性は女性よりも悲嘆および苦痛に脆弱である可能性が示唆された。

カナダの腫瘍医を対象にした別の研究では、患者の死亡に対処するために、友人や家族と話をするまたは時を過ごす、同僚と話をする、趣味、運動、野外レクリエーション、研究、宗教、および勤務外ではその患者について考えることを回避するなど、多くの戦略が用いられたことが報告された。[ 7 ]患者の死亡に対処する際に腫瘍医が特定した障壁には、家族や専門の社会的支援を受けることが難しいこと、男性では感情を表現することの困難さ、および感情の境界を維持することの困難さが挙げられる。[ 5 ]

参考文献
  1. Granek L, Tozer R, Mazzotta P, et al.: Nature and impact of grief over patient loss on oncologists' personal and professional lives. Arch Intern Med 172 (12): 964-6, 2012.[PUBMED Abstract]
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  5. Granek L, Ariad S, Shapira S, et al.: Barriers and facilitators in coping with patient death in clinical oncology. Support Care Cancer 24 (10): 4219-27, 2016.[PUBMED Abstract]
  6. Granek L, Krzyzanowska MK, Nakash O, et al.: Gender differences in the effect of grief reactions and burnout on emotional distress among clinical oncologists. Cancer 122 (23): 3705-3714, 2016.[PUBMED Abstract]
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治療

以下の情報は、愛する人の死後(必ずしもがんの結果としての死ではない)に起こる悲嘆の治療に関するものである。

正常なまたは一般的な悲嘆反応

正常なまたは一般的な悲嘆反応に医療専門家またはメンタルヘルス専門家による何らかの介入が必要であるかどうかについては、議論が続いている。悲嘆カウンセリングの効力に関して確かな証拠が存在するかどうかについて、研究者の意見は一致していない。[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]ほとんどの遺族は痛ましく、しばしば非常に苦悩を与える情緒的、身体的、および社会的反応を経験する;しかしながら、ほとんどの遺族が時の経過とともに(典型的には最初の6ヵ月から2年以内に)適応するということで大部分の研究者の意見が一致している。したがって、問題は、資源が限られ説明責任の必要性が高い場合に、専門家の時間を正常な悲嘆への介入に充てることが賢明であるかどうかである。

1つのアプローチは、予防から治療、長期の維持治療に至るまで広範囲の介入を用いることである。[ 5 ]このモデルにおいて、予防的介入は以下のいずれかで行われる:

対照的に、遺族の正式な治療は、複雑性または病的な悲嘆反応を経験していると確認された患者にのみ実施される。最後に、比較的長期の維持治療は慢性的悲嘆反応を経験している人に正式に認可される。

もう1つのアプローチは家族に焦点を当てている。[ 6 ][ 7 ]この簡潔な、期限付きのアプローチ(90分のセッションを9~18週間にわたり4~8回行う)では、不良な転帰のリスクが高い家族を同定し、家族の団結、コミュニケーション、衝突解消の改善に重点を置いた介入が実施される。家族の結束を強めるための適応的対処、および家族の力の頻繁な確認が強調されている。

1件のランダム化比較試験において[ 8 ][証拠レベル:I]、スクリーニングを受けた257の家族のうち183家族(71%)が不良な転帰のリスクがあると同定された;リスクがあったこれらの家族のうち81家族(44%)が試験に参加した。家族の機能が以下の5つのグループの1つに分類された:

敵対的(n = 19)、無愛想(n = 21)、または機能が中程度(n = 41)と分類された参加者が、治療群または治療なしの対照群にランダムに割り付けられた。[ 8 ]

結果から、すべての参加者について死亡後13ヵ月経過時の苦痛がわずかに低下し、Brief Symptom InventoryおよびBeck Depression Inventoryでベースラインのスコアが最初に比較的高かった家族において苦痛および抑うつが有意に低下したことが示された。[ 8 ]全体としての広範な家族機能は変化しなかったが、無愛想または機能が中程度に分類された参加者は敵対的と分類された参加者よりも改善を示した。結果から敵対的な家族を扱う際には、家族内での衝突を増加させないように注意が必要であると勧められている。[ 8 ]

複雑性悲嘆の心理社会的治療

複雑性悲嘆(すなわち、長期の悲嘆障害)に対して提案されている診断基準の発展に伴って、的を絞った介入が数件のランダム化比較試験で検証されている。これらの研究は、さまざまな原因(必ずしもがんに関係していない)により愛する人が死亡した遺族に対する介入を扱っている。

複雑性悲嘆は、不適応な思考と行動を特徴とする。心理社会的介入では、複雑性悲嘆のこうした側面に焦点を当て、悲嘆に関連した思考と行動に直接影響するように認知行動戦略を用いる。このような悲嘆に焦点を当てた介入は認知行動療法(CBT)を改造したものであり、曝露療法および認知的再体制化[ 9 ][証拠レベル: II][ 10 ]といった戦略;またはCBTセッションにおける解釈的な治療法[ 11 ][ 12 ]あるいは対人関係療法[ 13 ][証拠レベル:I]の特定の側面の統合を組み込んでいる。

表1では、複数のランダム化比較試験で有望であることが示された介入について記述している。介入はCBTを改造したものであるが、複雑性悲嘆を治療するために特にデザインされている。これらの介入には個別療法、集団療法、およびインターネットを介して提供される治療セッションがある。これらの研究の参加者は、複雑性悲嘆に対する基準を満たした。対照条件には、治療が行われている対照(対人関係療法や支持的カウンセリングなど)または治療が延期された待機リスト対照が含まれた。

表1.複雑性悲嘆に対する介入のランダム化比較試験
文献引用 介入 対照 サンプル 平均年齢(歳) 主要アウトカム評価項目 結果
CBT = 認知行動療法;CGI = Clinical Global Impression(臨床全般印象);CGT = 複雑性悲嘆の治療;CR = 認知的再体制化;ET = 曝露療法;ICG= Inventory of Complicated Grief(複雑性悲嘆質問票);IES = Impact of Event Scale(出来事インパクト尺度);IPT = 対人関係療法;PG-13 = 長期の悲嘆-13;PG-CBT = 長期の悲嘆に対する統合的認知行動療法;SC = 支持的カウンセリング;TRIG = Texas Revised Inventory of Grief。
Shear et al., 2014[ 14 ] 個別療法;CGT:CBT + IPTの要素;16回に及ぶ毎週のマニュアルに基づくセッション IPT;16回に及ぶ毎週のセッション N = 151、比較的高齢の患者のみ(年齢が60歳以上) 66.1 CGI尺度 CGT群の奏効率(70.5%)は、IPT群の奏効率(32.0%)の2倍を超えていた。
Shear et al., 2005[ 13 ] 個別療法;CGT:CBT + IPTの要素;16回に及ぶ毎週のマニュアルに基づくセッション IPT;16回に及ぶ毎週のセッション N = 102 48 CGI尺度 CGT群の奏効率(51%)は、IPT群の奏効率(27%)の2倍であった。
Boelen et al., 2007[ 9 ] 個別療法;CBT + ETの要素、およびCBT + CRの要素;12回に及ぶ毎週のマニュアルに基づくセッション SC;12回に及ぶ毎週のセッション N = 54 44 ICG尺度 両方のCBT群(ETおよびCR)がSC群よりも良好な反応を示した。ETはCRよりも良好であった。
Rosner et al., 2014[ 15 ] 個別療法;PG-CBT:CBT + 長期の悲嘆に対する心理教育 + ETの要素;20~25回に及ぶ毎週のマニュアルに基づくセッション 待機リスト(治療の延期) N = 51 47.5 PG-13尺度 悲嘆および他のアウトカムについて、PG-CBT群は対照群と比較して有意な改善を示した。
Piper et al., 2007[ 12 ] 集団療法;期間が限定された、短期の解釈的な治療法では、喪失に関連する衝突やトラウマについて患者の見識の向上に焦点が当てられた 集団療法;支持的、短期 N = 135 45.2 ICG、IES、およびTRIG 両方の集団が改善を示した。関係が成熟していた患者の割合が高かった集団は、より良好な改善を示した。
Wagner et al., 2006[ 16 ] インターネットベースのCBT + 死別のきっかけへの曝露とCRの要素;2回の毎週のセッションを伴う5週間の介入 待機リスト(治療の延期) N = 55 37 IESおよび適応失敗尺度 インターネットベースのCBT群では対照群と比較してすべてのアウトカムが、治療終了時および治療から3ヵ月経過時に有意に改善した。

死別に関連した抑うつの薬物治療

死別の状況における抑うつ症状に対して薬物治療を提供するかどうかの臨床判断は意見が分かれており、広範囲にわたっては研究されていない。一部の医療専門家は、正常な悲嘆の悲しみおよび苦痛とうつ病の悲しみおよび苦痛とを区別することは困難であり、正常な情動的過程における薬物治療は必要でないと主張している。しかしながら、3件のオープンラベル試験および2件のランダム化比較試験では、抗うつ薬治療で死別に関連したうつ病の総体的症状を改善できることが実証されている(表2を参照のこと)。

オープンラベル試験では、愛する人の死亡後に悲嘆と抑うつ症状を経験している患者において、デシプラミン[ 17 ]、ノルトリプチリン[ 18 ]、および徐放性ブプロピオンが評価された。[ 19 ][証拠レベル:II]

これらの研究のデータにより、抗うつ薬は良好な耐容性を示し、抑うつ症状を改善し、悲嘆強度への影響は限定的であることが示唆されている。これらの研究において、悲嘆の強度は改善したが、抑うつ症状の改善と比較すると改善は実質的に劣っていた。これらの研究の限界としては、オープンラベル治療であったことおよびサンプルサイズが小さかったことが挙げられる。

2件のランダム化比較試験で、併存する抑うつ症状が認められる遺族において、併用療法-悲嘆に向けられた心理療法と併用する抗うつ薬治療-が研究された。[ 20 ][証拠レベル:I];[ 21 ]これらの研究では、併用療法が抗うつ薬単独、プラセボ単独、およびプラセボと併用する心理療法と比較された。どちらの試験も、併用療法では他のすべての治療群よりも全般的な転帰が最良であったことが示された(表2を参照のこと)。

1件のランダム化比較研究[ 20 ][証拠レベル:I]では、死別に関連した大うつエピソードを治療するためにノルトリプチリンとプラセボが比較された。ノルトリプチリンは、他の2つの治療(ノルトリプチリンと対人関係療法[IPT]を併用する治療とプラセボとIPTを併用する治療)と比較された。50歳以上の被験者80人が、4つの治療群:ノルトリプチリン(n = 25)、プラセボ(n = 22)、ノルトリプチリン + IPT(n = 16)、およびプラセボ + IPT(n = 17)の1つにランダムに割り付けられた。

抑うつ症状の評価には、17項目のHamilton Depression Rating Scale(HDRS)が用いられた。寛解は3週間連続して7点以下のスコアと定義された。4群の寛解率は以下の通りであった:ノルトリプチリン単独群で56%;プラセボ単独群で45%;ノルトリプチリン + IPT群で69%;プラセボ + IPT群で29%。ノルトリプチリンは寛解達成においてプラセボよりも優れていた(P < 0.03)。[ 20 ]

ノルトリプチリンとIPT併用群は、寛解率および治療完了率が最も高かった。この研究ではIPTとプラセボ間の差は示されなかったが、これはおそらくIPTが短期間であったこと(平均日数、49.5日)およびサンプルサイズが小さかったことを含めて研究デザインの特質によるものであろう。[ 20 ]プラセボ群の高い寛解率はこの研究のもう1つの重大な限界であった。以前のオープンラベル研究および4群すべてについて、悲嘆強度の改善は一貫して抑うつ症状の改善よりも劣っていた。

別のランダム化比較試験(N = 395)には、複雑性悲嘆が認められる患者が登録され、悲嘆強度と併存する抑うつ症状を治療するための抗うつ薬、シタロプラムと複雑性悲嘆の治療(CGT)の併用が調査された。[ 21 ]次の4つの治療群が比較された:シタロプラム単独(n = 101)、プラセボ単独(n = 99)、シタロプラムとCGTの併用(n = 99)、およびCGTとプラセボの併用(n = 96)。参加者は全員それぞれのプロトコルに続いて薬物療法を受け、CGT群の参加者は同時に16回に及ぶ毎週のセッションでマニュアルに基づくCGTを受けた。主要アウトカム評価項目は複雑性悲嘆に固定されたClinical Global Impression(CGI:臨床全般印象)尺度であった。抑うつ症状は、自己記入式簡易抑うつ症状尺度(Quick Inventory of Depressive Symptomatology-Self-Report[QIDS-SR])質問票を用いて測定された。

4群に対する悲嘆強度の奏効率は以下の通りであった:プラセボ単独群で54.8%;シタロプラム単独群で69.3%;CGTとプラセボの併用群で82.5%;シタロプラムとCGTの併用群で83.7%。CGTとプラセボ併用群の参加者の奏効率は、プラセボ単独群の奏効率よりも実質的に良好であった(82.5% vs 54.8%)ことから、複雑性悲嘆に対する治療としてCGTの効力が示されている。CGTへのシタロプラムの追加は、悲嘆の転帰を有意に改善しなかった(シタロプラムとCGTの併用群 vs CGTとプラセボの併用群、83.7% vs 82.5%)。しかしながら、CGTへのシタロプラムの追加により、CGTとプラセボの併用群よりも同時の抑うつ症状の有意な低下につながった。注目すべきことに、シタロプラムへのCGTの追加は悲嘆強度の転帰を実質的に改善した(シタロプラムとCGTの併用群 vs シタロプラム単独群、83.7% vs 69.3%)ことから、複雑性悲嘆の過程に対する一次治療としてCGTの重要性が示唆されている。[ 21 ]

要約すると、現在までに実施された抗うつ薬の研究から、悲嘆に向けられた治療と抗うつ薬治療の併用は、同時に抑うつ症状がみられる複雑性悲嘆に苦しんでいる患者には特に必要であると示唆されている。抗うつ薬単独では悲嘆強度への効果は限られているが、抑うつ症状の緩和にはきわめて重要である。抗うつ薬と悲嘆に向けられた治療を併用することで、抑うつ症状と悲嘆強度の両方が改善する。

表2.同時に抑うつ症状がみられる複雑性悲嘆に対する薬理学的治療と精神療法の併用を調査したランダム化比較研究
文献引用 介入 被験者 年齢(歳) 治療群 結果
CGT = 複雑性悲嘆の治療;CIT = シタロプラム;IPT = 対人関係療法;NTP = ノルトリプチリン;PLA = プラセボ。
a詳細については、本文を参照のこと。
Reynolds et al., 1999[ 20 ]a NTPおよびIPT 女性58人、男性22人 4群の平均年齢、63.2-69.5 NTP単独 vs PLA単独 vs NTP + IPT vs PLA + IPT NTP + IPT群は寛解率が最も高く、脱落率が最も低かった。
Shear et al., 2016[ 21 ]a CITおよびCGT 女性308人、男性87人 4群の平均年齢、52.1-53.9 CIT単独 vs PLA単独 vs CIT + CGT vs CGT + PLA CIT + CGT群は奏効率が最も高かった。CGTへのCITの追加は、悲嘆強度への追加の効果がごくわずかであったが、抑うつ症状の統計的に有意な低下につながった。
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子供と悲嘆

以前には、小児は大人のミニチュアであり、小児の行動はそうしたものとしてモデル化されると考えられていた。[ 1 ]しかし今日では、小児期とヒトのライフサイクルにおける他の発達段階との発達の差が一層意識されている。小児の悲嘆過程と成人の悲嘆過程との間には差が認められている。現在、悲嘆にくれる小児の真の問題は、悲嘆の有無ではなく、悲嘆と服喪をいかに表すかであると考えられている。[ 1 ]

残されたときの成人と小児の主な違いは、小児は強い情動的表現および行動面での表現が持続しないという点である。小児の悲嘆は成人の悲嘆よりも断続的で短いようにみえることがある;実際には、小児の悲嘆は通常、成人よりも長期に及ぶ。[ 1 ][ 2 ][ 3 ]

小児期の服喪という作業は、さまざまな発達年齢および歴年齢の重要段階で繰り返し対処する必要があることが多い。死別は長期間にわたり持続する過程であるため、特に、大きなライフイベント(例えば、キャンプへ行く、卒業、結婚、子供の誕生)の間に、小児には繰り返し喪失が訪れることになる。小児はこの悲嘆の過程を完了し、最終的に悲嘆を消散させる必要がある。

喪失の経験は唯一性があり、きわめて個人的なものであるものの、以下のようないくつかの要素は小児の悲嘆に影響を及ぼしている:[ 2 ][ 3 ][ 4 ]

小児は成人と同じようには喪失に反応せず、成人が示すようには、感情をありのままに示さないことがある。悲嘆にくれる小児は、言語によるコミュニケーションに加えて、遊戯、芝居、芸術、学校の勉強、物語などを用いることがある。[ 5 ]残された子供は故人のことだけを考えるという行為に引きこもらないことがあり、こうした子供は活動に夢中になることが多い(例えば、ある瞬間は悲しいが、次の瞬間には外で友だちと遊んでいるということがある)。家族はこうした行動を見て、その子が死を本当には理解していない、あるいは死をもう乗り越えたとしばしば誤解する。しかし、いずれも正しい解釈ではなく、小児の心は、自分が処理するには大きすぎる考えや感情から自分を守る。

小児は成人のようには自分のすべての考えと感情を理性的に探ることができないので、悲嘆反応は断続的である。さらに、小児は悲嘆に関する感情を明確に表現することがしばしば困難となる。悲嘆にくれる小児の行動は、口に出せるいかなる言葉よりも大声で話している場合がある。悲嘆にくれる小児の行動には、見捨てられたことや死に対する怒りおよび恐れの強い感情がはっきりと表れていることがある。小児は比較的安全な環境で感情と不安を解決する手段として死のゲームで遊ぶことがよくある。こうしたゲームは子供には馴染みのものであり、感情を表現する安全な機会となる。[ 1 ][ 2 ]

悲嘆と発達段階

死とそれをめぐる出来事の小児の理解は、小児の年齢および発達段階によって異なる(表3を参照のこと)。

幼児

幼児は死を認識しないが、喪失と別離の感情は、発達途上にある死の認識の一部である。母親から引き離され、養育されていない子供は無関心、沈黙、ほほえみや話しかけへの無反応、身体的変化(体重減少など)、活動性の低下および不眠といった変化を示すことがある。[ 6 ]

2~3歳

この年齢では、死を眠りと混同することが多く、多少の不安を経験できる。悲嘆の早期段階では、残された小児は談話喪失および全般性苦痛を示すことがある。[ 3 ][ 6 ]

3~6歳

この年齢の小児は、死を一種の眠りのようなものと考え、その人はある限定された形で生きていると考える。死と生を十分に区別しておらず、故人が(例えば、埋葬された地面の中で)生き続けていると考えることがあり、故人の活動についてしばしば質問する(例えば、死んだ人はどうやってご飯を食べるのか、トイレに行くのか、息をするのか、遊ぶのか)。幼児は肉体の死は認識できるが、一時的または段階的な出来事であり、死は(出かけて帰って来ること、あるいは「いないないばあ」のように)可逆性のものと考え、終結とは考えていない。小児の死の概念には、魔法の力によるという考え、すなわち、自分の考えが作用を引き起こすという考えが含まれることがある。小児は自分が何か悪いことをしたから、あるいは何か悪いことを考えたから愛する人が病気になったにちがいないと考えることもあり、考えや望みのために愛する人が死んだと考えることもある。5歳未満の小児は、死に反応して、摂食、睡眠、排尿・排便コントロールにしばしば障害を来す。[ 3 ][ 6 ]

6~9歳

この年齢の小児では、死について非常に知りたがり、身体が動かなくなったときに何が起きるのか、きわめて具体的な質問をすることは珍しくない。死は、別の人または精神:骸骨、幽霊、死の天使、ブーギーマンとして擬人化される。死は終結で恐ろしいものと認識しているが、普遍的とは考えていない。この年齢の小児は、死が終結で現実であるが(自分たちにではなく)主に高齢者に起こると認識して、妥協的に考えるようになる。悲嘆にくれる小児は、学校恐怖、学習障害、反社会的行動、攻撃的行動を示すこともあれば、心気性不安を呈することもあり、他者から引きこもることもある。また反対に、この年齢の小児は過剰に丁重になり、他者にまとわりつくようになることもある。男児は攻撃的行動および破壊的行動(例えば、抑圧された感情の学校での表現)が多くなることがあり、率直に悲しみを示すのではなく、こうした行動で感情を表現する。片親が死んだとき、残された片親はしばしば自らの悲しみで頭が一杯で子供を感情的に支えることができないため、子供は死んだ親からも生き残っている親からも見捨てられたと感じることがある。[ 3 ][ 6 ]

9歳以上

9歳までには、死が避けられないことを理解し、もはや罰とは考えないようになる。12歳までには、死は終結で普遍的なものと考えるようになる。[ 3 ][ 6 ]

表3.悲嘆と発達段階
年齢(歳) 死の理解 悲嘆の表現
0–2 死をまだ理解できない。 沈黙、不機嫌、活動量低下、睡眠減少、および体重減少。
母親との分離が変化を引き起こす。
2–6 死は眠りに似ている。 多くの質問をする(お母さんはどうやってお風呂に行くの?どうやってご飯を食べるの?)。
食事、睡眠、および排尿・排便コントロールにおける問題。
見捨てられることへの恐れ。
激しい怒り。
故人は何らかの形で生きて機能している。 魔法の力によるというような考え(僕[私]が考えたこと、僕[私]がやったことが原因で死んじゃったの?お前なんか嫌いだとか、お前なんか死んじゃえとか僕[私]が言ったから?)。
死は一時的なもので、終結ではない。
故人は生き返りうる。
6–9 死は、ある人間または精霊(骸骨、幽霊、またはブーギーマン)として擬人化される。 死に対する好奇心。
具体的な質問をする。
学校に対して過大な恐怖を抱くことがある。
死は終結で恐ろしいものである。 攻撃的行動を示すことがある(特に男児)。
架空の疾患に不安を抱くものがいる。
死は他者には起こるが、自分には起こらない。 見捨てられたと思うことがある。
≥9 誰もが死ぬ。 感情的高まり、罪悪感、怒り、恥ずかしさ。
自己の死に対する不安の増大。
気分の動揺。
死は最終的で変えられないものである。 拒絶されることへの恐れ、仲間と違うことを嫌がる。
自分も死ぬ。 食習慣の変化。
睡眠における問題。
退行的行動(戸外の活動への関心喪失)。
衝動的行動。
生存していることの罪悪感(特に、同胞、あるいは仲間の死に対して)。

米国社会では、多くの嘆き悲しむ成人は自分の中に引きこもり、コミュニケーションを制限する。反対に、小児は、反応を見るように、また自分自身の反応を導いてくれる鍵を探すように、周囲の人に(見知らぬ人にも)よく話しかける。小児は返答に困るような質問を繰り返すことも少なくない。例えば、小児は「おじいちゃんが死んだのは知っているけれど、おじいちゃんはいつ家に帰ってくるの?」と尋ねることがある。これは、小児にとっては、現実性を調べる方法であり、死というストーリーを確認していると考えられる。

悲嘆にくれる小児の問題

残された小児の悲嘆の表現には、以下のような3つの重要テーマがある:

  1. 僕(私)のせいで死んじゃったの?
  2. 僕(私)にもそういうことが起こるの?
  3. これからはだれが僕(私)の世話をしてくれるの?[ 2 ][ 7 ]

僕(私)のせいで死んじゃったの?

小児は自分には魔法のような力があると信じていて、魔法によるという考えにしばしば捕らえられている。母親が激怒して「お母さんが死ねばいいと思っているんでしょ?」と言い、その後、この母親が死んだ場合、子供は自分のせいで母親が死んだのではないかと考えることがある。同じように、兄弟姉妹の2人が喧嘩したとき、どちらかが「お前なんか死んじゃえ」と言う(または考える)ことは珍しいことではない。もし言われた方が実際に死んだとすれば、残された兄弟姉妹は自分の考えまたは言葉が本当に死を招いたと考えることがある。

僕(私)にもそういうことが起こるの?

兄弟姉妹または他の子供の死は、小児の同年齢集団に非常に近いため、小児に衝撃を与え、特に厄介な問題となることがある。死が(親や医師によって)防ぐこともできると小児が考えると、自分も死ぬことができると考えることがある。

これからはだれが僕(私)の世話をしてくれるの?

小児は自分の安全と安寧を親などの大人に依存しているため、自分の人生で大切な人の死を悲嘆する小児は、その人がいなくなった後は誰が必要な世話をしてくれるのかを考え始めることがある。

悲嘆にくれる小児への介入

小児の悲嘆過程を手助けし、援助するのに有用な介入は複数ある。

死の説明

死について何も語らないことは(その話題がタブーであることを意味するものであり)小児が喪失に対処する助けにはならない。死について小児と話し合うときには、説明は常に可能な限り簡潔かつ直接的でなければならない。どの子供にも、その年齢と発達段階で理解できる範囲でなるべく詳細に真実を語る必要がある。質問には正直かつ率直に応じるべきである。小児は自分の安全を保証してもらう必要がある(子供は自分も死ぬのではないか、生き残っている親も死んでしまうのではないかと心配していることが多い)。小児の質問に答えるときには、小児がその情報を処理していることを確認すべきである。

正しい言葉

小児に死について教える会話は難しいものであるが、死に関するいかなる話し合いでも正しい言葉(例えば、がん死んだ死亡)を使用しなければならない。婉曲な表現(例えば、「亡くなった」、「眠っている」、「失った」)は小児を混乱させ、誤解につながるので、決して使用してはならない。[ 3 ][ 8 ]

喪の儀式の計画

死別後、小児は喪の儀式の計画に加わり、参列することができ、また、そうすべきである。残された大人と同じく、こうした儀式は小児が愛する人を追悼するのに有効である。小児には喪の儀式への出席や参加を決して強制してはならないが、参加するように勧めるべきである。小児には、葬儀または追悼の活動の快適に感じる部分に参加するように励ますことができる。その子供が葬儀(通夜、追悼式など)に出席を希望した場合には、前もって予測を十分に説明しておくことが重要である。こうした準備段階では、部屋の配置、出席するであろう人たち(例えば、友人や親族)、そこで目にするものごと(例えば、棺、泣いている人)、起こることを説明する必要がある。生き残っている親は自分自身の悲嘆で一杯で子供に必要な注意を払えないことがある。そのため、葬儀の間、悲嘆にくれる子供の世話を頼むため、慣れた大人の友人や親族を探しておくことはしばしば有用である。[ 8 ]

参考文献
  1. O'Toole D, Cory J: Helping Children Grieve and Grow: a Guide for Those Who Care. Burnsville, NC: Compassion Books, 1998.[PUBMED Abstract]
  2. Corr CA, Nabe CM, Corr DM: Death and Dying, Life and Living. 2nd ed. Pacific Grove, Calif: Brooks/Cole Publishing Company, 1997.[PUBMED Abstract]
  3. Fitzgerald H: The Grieving Child: A Parent's Guide. New York: Fireside, 1992.[PUBMED Abstract]
  4. DeSpelder LA, Strickland AL: The Last Dance: Encountering Death and Dying. 4th ed. Palo Alto, Calif: Mayfield Publishing Company, 1996.[PUBMED Abstract]
  5. Goldman A: ABC of palliative care. Special problems of children. BMJ 316 (7124): 49-52, 1998.[PUBMED Abstract]
  6. Burnell GM, Burnell AL: Clinical Management of Bereavement: A Handbook for Healthcare Professionals. New York: Human Sciences Press, Inc., 1989.[PUBMED Abstract]
  7. Worden JW: Children and Grief: When a Parent Dies. New York: The Guilford Press, 1996.[PUBMED Abstract]
  8. Kastenbaum R: Death, Society, and Human Experience. Boston: Allyn and Bacon, 1995.[PUBMED Abstract]
悲嘆と服喪に対する異なる文化の反応

愛する人の死への反応であるか、大切な所有物の喪失への反応または人生の重大な変化に対する反応であるかを問わず、悲嘆はすべての年齢と文化に及ぶ普遍的出来事である。[ 1 ][ 2 ]死と悲嘆に関する態度、信念、および習慣は、多くの文化的背景、神話、幻想をはじめ、異文化間関係を記述した多くのものに従って特徴が明らかになり、説明されている。[ 2 ]

日本の1件の研究では、家族との未完の仕事の概念は、患者の死亡時に患者との未完の仕事が残っていないと感じていた遺族と比べて、抑うつおよび悲嘆のスコアが高くなっていた。[ 3 ]未完の仕事には、家族と死や終末期の希望について話すことは敬遠されるために、そのような話題の話し合いが不十分である場合が含まれる。[ 4 ]

ある人の悲嘆の内面的経験と文化的表現との間に矛盾がある可能性は、悲嘆という言葉(認識した喪失に対して経験している反応のきわめて個人的な過程)と服喪という言葉(社会的または文化的に規定される悲嘆の行動表現)とが、世間一般に(不正確ではあるが)同義で使用されていることから説明がつく。[ 5 ][ 6 ]

いくつかの異なる文化に属する人たちの対象集団の調査結果の解析から、悲嘆の個人的な内面的経験には文化の境界を越えた類似性があることが明らかにされた。被験者が経験した文化的特徴をもつ喪の儀式、伝統および悲嘆の行動表現を考慮しても、こうした類似性の存在は真実である。医療専門家は自分の患者に対して文化に配慮したケアを提供しようとする場合、その人の悲嘆経験全体において服喪に関する文化的習慣が影響する部分を理解する必要がある。[ 1 ]

米国では、死の取り扱い方に大きな影響を及ぼす立法措置、衛生法規、習慣および就業規則はあるものの、死別行為は、その人の文化的背景に深く左右されてさまざまである。愛する人の死への反応を評価する際に、臨床家は、その人の文化から予想されることまたは要求されることを明らかにし、正しく評価すべきである。期待する儀式が実施できなければ、家族にとっては未解決の喪失という経験を招きかねない。[ 7 ]このことは、医療専門家がさまざまな民族の患者の医療に携わる際に、しばしば大変な作業となる。[ 2 ]

愛する人の死への対処を支援することには、その家族の文化的伝統に敬意を示し、故人を追悼する方法を決めるのを援助することが含まれる。愛する人の死の情緒的帰結に対処している人に尋ねる質問で、臨床家が特に重要と考えるのは、以下の5つである:

  1. 死にゆく過程、故人の身体、遺体の処理および死の追悼をやり遂げるのに文化的に規定された儀式は何か。
  2. 死後の世界に関するその家族の信念は何か。
  3. その家族は何がその喪失の情動的表現および統合に適切と考えているか。
  4. その家族が死を取り扱うための性別ルールと考えているものは何か。
  5. ある種の死は社会的烙印(スティグマ)を伴うか(例えば、自殺)、あるいはある種の死はその文化的集団にとって特にトラウマとなるか(例えば、小児の死)。[ 8 ]

死、悲嘆および服喪は普遍的なものであり、人生の過程の自然な側面である。すべての文化は、死に対処する必要性を最大限満たす習慣を発展させてきた。こうした習慣を妨げれば必要な悲嘆の過程を破壊しかねない。こうした習慣を理解することは、臨床家にとって、特殊な悲嘆を示す他文化の患者を治療する方法を明らかにし、発展させる一助となる。[ 9 ]民族人口統計学的傾向を考えれば、医療専門家は、こうした集団に最善のサービスを提供するために、これらの文化差に対応する必要がある。[ 2 ]

参考文献
  1. Cowles KV: Cultural perspectives of grief: an expanded concept analysis. J Adv Nurs 23 (2): 287-94, 1996.[PUBMED Abstract]
  2. Irish DP, Lundquist KF, Nelson VJ, eds.: Ethnic Variations in Dying, Death, and Grief: Diversity in Universality. Washington, DC: Taylor & Francis, 1993.[PUBMED Abstract]
  3. Yamashita R, Arao H, Takao A, et al.: Unfinished Business in Families of Terminally Ill With Cancer Patients. J Pain Symptom Manage 54 (6): 861-869, 2017.[PUBMED Abstract]
  4. Mori M, Yoshida S, Shiozaki M, et al.: Talking About Death With Terminally-Ill Cancer Patients: What Contributes to the Regret of Bereaved Family Members? J Pain Symptom Manage 54 (6): 853-860.e1, 2017.[PUBMED Abstract]
  5. Rando TA: Treatment of Complicated Mourning. Champaign: Research Press, 1993.[PUBMED Abstract]
  6. Cowles KV, Rodgers BL: The concept of grief: a foundation for nursing research and practice. Res Nurs Health 14 (2): 119-27, 1991.[PUBMED Abstract]
  7. McGoldrick M, Hines P, Lee E, et al.: Mourning rituals. Family Therapy Networker 10 (6): 28-36, 1986.[PUBMED Abstract]
  8. McGoldrick M, Almedia R, Hines PM, et al.: Mourning in different cultures. In: Walsh F, McGoldrick M, eds.: Living Beyond Loss: Death in the Family. New York: W.W. Norton & Company, 1991, pp 176-206.[PUBMED Abstract]
  9. Eisenbruch M: Cross-cultural aspects of bereavement. II: Ethnic and cultural variations in the development of bereavement practices. Cult Med Psychiatry 8 (4): 315-47, 1984.[PUBMED Abstract]
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