患者さん向け 小児口腔がん(PDQ®)

ご利用について

このPDQがん情報要約では、小児口腔がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

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小児口腔がんとは

小児口腔がんは、口(口腔)の中で発生する、まれな種類のがんです。小児の口の中にできる腫瘍の大半(90%以上)はがんではありません。

小児に発生する口腔がんの種類としては、リンパ腫肉腫が一般的です。口の中にできる腫瘍は、その種類を問わず、ものを食べたり話をしたりする動作に影響を及ぼす可能性があるため、治療が必要です。

口腔は以下の部分に分けられます:

口腔の解剖図:この図は口唇、硬口蓋、軟口蓋、臼後三角、舌の前側3分の2、歯肉、頬粘膜、口腔底を示している。歯、口蓋垂、扁桃も示している。

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口腔の解剖図。口腔には、口唇、硬口蓋(口の天井前方の骨のある部分)、軟口蓋(口の天井後方の筋肉部分)、臼後三角(智歯[親知らず]の後方にある領域)、舌の前方3分の2、歯肉(歯ぐき)、頬粘膜(頬と口唇の内側を覆っている組織)、舌の下側にある口の底部が含まれます。
小児口腔がんの原因とリスク因子

口腔がんは、口腔内の細胞の挙動、特に成長して新しい細胞に分裂する過程での挙動が変化することによって発生します。そうした細胞の変化が生じる正確な原因は多くの場合、不明です。がんの発生の詳細については、がんとは何か(英語)をご覧ください。

リスク因子とは、疾患が発生する可能性を増大させるあらゆる要因のことです。リスク因子をもっている全ての小児が口腔がんを発症するわけではありません。また、リスク因子が認められない小児が発症することもあります。

小児と青年の口腔がんのリスク因子には以下のものがあります:

HPVワクチンを接種することで、HPVの感染を予防して、HPV感染症と他の多くの種類のがんのリスクを低下させることができます。詳細については、HPVとがん(英語)をご覧ください。

お子さんにリスクがあるかもしれないと思われる場合は、担当の医師に相談してください。

小児口腔がんの症状

口腔がんの症状は感染症の症状と似ていることがあります。以下の症状がみられる場合は、お子さんの担当医に相談するべきです:

これらの症状は、口腔がん以外の病態によって引き起こされることもあります。状況を把握する唯一の方法は、担当医の話を聞くことです。

小児口腔がんの診断に用いられる検査

小児に口腔がんを示唆する症状がみられる場合、それらの原因ががんなのか、それとも別の問題なのかを医師が確認する必要があります。医師は症状がいつから始まり、どのくらいの頻度で起きているかを質問します。医師はまた、保護者に小児の病歴家族歴をたずね、身体診察を行います。それらの結果に応じて、ほかの検査を勧めることもあります。それらの検査の結果は、口腔がんと診断された場合に保護者と担当医で治療計画を立てるのに役立ちます。

このほかに口腔がんの診断に用いられることがある検査として、以下のものがあります:

口腔診察

口腔診察では、医師または歯科医師が口の中に異常な部分がないかを調べます。この診察は麻酔下で行われることがあります。医師または歯科医師が手袋をはめ、指で口の中を全体にわたって触診し、長い柄の付いた小さな鏡とライトまたは光ファイバー機器を用いて口腔内を調べます。ここでは、頬や唇の内側、歯ぐき、口腔の底部と天井部分、舌の上面、下面、側面を調べます。また頸部を触診して、リンパ節の腫れがないか確認します。歯科診察も行われることがあります。

X線検査

X線は放射線の一種で、これを人の体を通して、体内の写真を撮影することができます。

MRI(磁気共鳴画像)検査

MRI検査は、磁気、電波、コンピュータを用いて頭部と頸部など体の一部分の精細な連続画像を作成する検査法です。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

MRI(磁気共鳴画像)スキャン:この図は、患者さんが横たわった台がMRI装置内を水平に移動している間に体内領域の精細な画像が連続して撮影されている様子を示している

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MRI(磁気共鳴画像)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がMRI装置の中を水平に移動する間に、体内の精細な画像が連続で撮影されます。台の上で患者さんがとる姿勢は、撮影する体の部位によって異なります。

CTスキャン

CTスキャンは、X線装置に接続したコンピュータを用いて体内の領域の精細な連続画像を作成する検査法です。様々な角度から画像が撮影され、それらを用いて組織と臓器の3次元画像が作成されます。組織や臓器をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影とも呼ばれます。詳細については、CTスキャンとがん(英語)をご覧ください。

頭頸部のCT(コンピュータ断層撮影)スキャン:この図は、患者さんが横たわった台がCT装置内を水平に移動している間に頭頸部の精細なX線写真が連続して撮影されている様子を示している。

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頭頸部のCT(コンピュータ断層撮影)スキャン。患者さんが台の上に横たわり、その台がCT装置の中を水平に移動する間に、頭頸部の精細なX線画像が連続で撮影されます。

PET(陽電子放射断層撮影)スキャン

PETスキャンでは、少量の放射性グルコース(放射線を放出するブドウ糖)を静脈内に注射します。その後、撮影装置を用いて、グルコースが取り込まれた体内領域の精細なコンピュータ画像を作成します。がん細胞は正常な細胞よりグルコースを多く取り込むことが多いため、得られた画像を用いて、体内にあるがん細胞を探すことができます。

PET(陽電子放射断層撮影)スキャン:この図は、患者さんが横たわった台がPETスキャナの中を水平に移動している様子を示している。

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PET(陽電子放射断層撮影)スキャン。患者さんが横たわった台がPETスキャナの中を水平に移動していきます。ヘッドレストと白いストラップは患者さんの動きを制止するためのものです。少量の放射性グルコース(ブドウ糖)を患者さんの静脈に注射してから、体内でグルコースが消費されている領域の画像をスキャナを用いて撮影します。がん細胞は正常な細胞よりもグルコースを多く取り込むため、この画像では腫瘍が周囲より明るく描き出されます。

生検

生検とは、腫瘍から組織のサンプルを採取する手技のことで、採取されたサンプルは病理医が顕微鏡で観察して、がんの徴候がないか調べます。

セカンドオピニオンを受ける

小児のがんの診断を確定して治療計画を立てるにあたって、保護者はセカンドオピニオンを求めることができます。セカンドオピニオンを求めるときは、最初の担当医に医学的検査の結果と報告書を提供してもらい、それらを別の医師に見せる必要があります。2人目の医師は、病理報告書、スライド、検査画像を確認します。そして、最初の医師の見解に同意するか、治療計画の変更を提案したり、患者さんのがんについて新たな情報を提供したりします。

医師を選んでセカンドオピニオンを受けるプロセスの詳細については、がん治療の医療機関を探す(英語)をご覧ください。セカンドオピニオンを提供できる医師や病院の情報については、NCIのCancer Information Serviceまで、チャット、電子メール、電話(英語とスペイン語に対応)でお問い合わせください。受診時に聞いておくとよい質問については、がんについて主治医に尋ねるべき質問(英語)をご覧ください。

口腔がんの小児の治療を担う医療従事者

小児口腔がんの治療は、小児がんの治療を専門とする小児腫瘍医が監督します。小児腫瘍医は、小児がんの治療に精通しつつ、同時に特定の医療分野を専門とする他の医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。その他の専門職としては以下のものがあります:

小児口腔がんの治療

小児の口腔がんに対する治療法には様々なものがあります。保護者と担当のがん治療チームが協力して、治療法を決定します。がんの位置、年齢、全体的な健康状態など、数多くの要因が検討されます。

小児の治療計画では、腫瘍についての情報、治療の目標、治療選択肢、起こりうる副作用などが検討対象に含まれます。これは、治療に先立って担当の治療チームと今後の見通しを話し合う上で役に立ちます。実際の進め方については、NCIのがんの小児:ご両親のための手引き(英語)をご覧ください。

小児の口腔がんに対する治療法には以下のようなものがあります:

臨床試験

臨床試験に参加することが選択肢の1つになる場合もあります。小児がんを対象とする臨床試験にはいくつかの種類があります。例えば、治療の臨床試験では、新しい治療法や既存の治療法の新しい利用方法を検証します。支持療法や緩和ケアの臨床試験では、生活の質を改善する方法が検討され、特にがんの影響やその治療による副作用がみられる人が対象になります。

臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。この検索では、がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて試験を絞り込むことができます。

詳細については、患者さんと介護者のための臨床試験情報(英語)をご覧ください。

フォローアップケア

治療を進めるにつれて、フォローアップ検査または定期検査が行われます。がんの診断のために実施された検査の中には、治療の効果を確認するために繰り返し行われるものもあります。治療の継続、変更、中止などの決定がそれらの検査結果に基づいて判断されることもあります。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。それらの検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんが再発したかどうかを知ることができます。

子どものがんへの対処

小児ががんを発症すると、そのご家族全員に対してサポートが必要になります。この困難な時期には、保護者が自分自身のことに気を配ることも重要になります。担当の治療チームやご家族や地域の人々に助けを求めましょう。詳細については、小児がん患者さんのご家族のためにという記事と、がんの小児:ご両親のための手引き(英語)という冊子をご覧ください。

関連資料

小児がんに関するさらなる情報とがん全般に関するその他の資料については、以下をご覧ください:

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、小児口腔がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。詳しい情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board. PDQ Childhood Oral Cavity Cancer. Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/head-and-neck/patient/child/oral-cavity-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、3,000以上の科学関連の画像が収載されています。

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PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

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