患者さん向け ゴンザレスレジメン(PDQ®)

    • 原文更新日:2015-09-04
    • 翻訳更新日:2020-03-12

ご利用について

このPDQがん情報要約では、がん患者さんの治療におけるゴンザレスレジメンの使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

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概要

注:この要約の情報は現在更新されておらず、参照用としてのみご利用いただけます。

ゴンザレスレジメンについての質問と回答
1.ゴンザレスレジメンとはどのようなものですか。

ゴンザレスレジメンとは、酵素ビタミンミネラルやその他の食物因子の役割に基づいた複雑な治療計画です。レジメンの開発者であるニコラス-ゴンザレス博士は、それを進行膵がんの治療法として奨励しています。ゴンザレスレジメンは、現在は1件の実地臨床の場における患者さんに対してのみ行われています。ゴンザレスレジメンの支持者は、以下のような方法でレジメンががんを撃退すると述べています:

そのレジメンの重要な要素は以下の通りです:

2.がんの補完代替治療としての、ゴンザレスレジメン開発と使用の経緯はどのようなものですか。

1902年、ジェームス-ビアードというスコットランドの内科医は、膵酵素ががん細胞を制御し死滅させるかもしれないと示唆しました。その後、ウイリアム-ケリーという歯科医師は、ビアード博士のアイデアを更に発展させて彼自身の診療での成果を発表しました。これらの結果に感銘を受けたゴンザレス博士は、ケリー博士と密接な協力を開始しました。ゴンザレスレジメンは、ゴンザレス博士とケリー博士の取り組みに、マックス-ゲルソン博士の理論と実践的手法を組み合わせたものです。ゲルソン博士もまた、食事と栄養補助食品でがんを治療していました。

3.ゴンザレスレジメンががんの治療に有効であるという主張の背景にある理論とは、どのようなものですか。

ゴンザレスレジメンの支持者は、環境および加工食品に含まれる毒素(有害物質)が体内でがんの形成を引き起こすと考えています。これらの毒素は、体の組織に蓄積し、重要な身体的プロセスが正常に働くことを妨害してがんが進行するといわれています。その理論は、もしこれらの毒素が破壊されて体から除去されれば、がんの増殖が止まるというものです。

膵臓は食物の消化を助ける酵素である蛋白質を分泌します。ゴンザレスレジメンは、膵酵素もがんを発生させる毒素を体から除去するという理論に基づいています。コーヒー浣腸を追加するのは、体から毒素を除去する肝臓の能力を高めると考えられているためです。

ゴンザレスレジメンで摂取する食事は、各患者さんの代謝タイプによって計画されます。代謝タイプは人間はその人の健康維持のために体が必要とする主要な食物(蛋白質炭水化物、または混合)のタイプに基づいた3つのグループのいずれか1つに分類されるという理論に基づくものです。患者さんの代謝タイプを決定するために、患者さんの頭髪の顕微鏡観察など、特定の検査を行います。患者さんの代謝タイプに合った適切な食事が、体の健康を維持してがんを防いだり、またはがんと闘ったりすることを可能にするという理論です。

4.ゴンザレスレジメンはどのように用いられますか。

膵酵素はカプセルで経口摂取します。他の栄養補助食品は130から160錠の用量で連日経口摂取します。患者さんはまた、特別食を摂って1日2回コーヒー浣腸を行います。

5.これまでにゴンザレスレジメンを用いた前臨床研究(基礎研究や動物試験)は実施されていますか。

研究室での研究や動物を使った試験は、ある薬物、処置、治療法などがヒトにおいて役に立つ可能性があるかどうかを明らかにするために行われます。こうした前臨床研究は、ヒトを対象とした試験が開始される前に実施されます。ゴンザレスレジメンの動物での研究では、がん治療における膵酵素の作用に注目しましたが、レジメン全体を検証したわけではありません。膵酵素の作用に関する前臨床研究は、数種のがんにおいて行われています:

6.ゴンザレスレジメンの臨床試験(ヒトでの調査研究)は実施されていますか。

ニューヨークの内科医であるニコラス-ゴンザレスは、初めに進行膵がんの患者さん11名で彼のレジメンを検証しました。1993年、その試験から選んだ結果を米国国立がん研究所(NCI)に報告しました。ゴンザレスレジメンの治療を受けた患者さんは中央値で17ヵ月生存し、この結果はこの病気の患者さんの通常の生存期間より長いと言えます。ほとんどの場合、進行膵がんの患者さんの生存期間は1年未満です。

試験を受けた患者さんが少数であったことや他の理由によって、NCIと代替医療事務局(OAM:Office of Alternative Medicine)は、その結果は明確ではないと判断し、前向き研究を推奨しました。そして、前向き研究で患者さんは追跡調査されることになりました。NCIおよび米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、前回よりはるかに多くの患者さんで行った2回目の研究のスポンサーを務めました。これは、7年にわたる臨床研究で、手術で摘出できなかったII期III期、またはIV期の膵がん患者さんを対象にしたものでした。

この研究では、患者さんの1つのグループがゴンザレスレジメンに従い、別のグループが標準治療化学療法)を受けました。この2つのグループの結果は、ゴンザレスレジメンが標準治療よりも効果があるか、および有害な副作用がないかどうかを調べるために比較されました。研究の結果は、査読済み科学雑誌Journal of Clinical Oncology』の2010年4月号で報告されました。標準化学療法による治療を受けた患者さんは中央値で14ヵ月生存したのに対し、ゴンザレスレジメンによる治療を受けた患者さんは中央値で4.3ヵ月生存しました。生活の質(QOL)は、化学療法による治療を受けた患者さんの方がゴンザレスレジメンによる治療を受けた患者さんよりも高くなっていました。ゴンザレス博士は、自身のホームページにコメントを掲載し、この試験の実施方法について懸念を表明しました。懸念事項の1つは、ゴンザレスレジメン群の患者さんが実際にどの程度レジメンの指示に従ったかというものでした。

7.ゴンザレスレジメンの副作用やリスクは報告されていますか。

報告されたゴンザレスレジメンを用いた治療の副作用は以下の通りです:

1日に2回注入するコーヒー浣腸の副作用に関する情報はありません。どのタイプの浣腸でも、多く使用しすぎると、正常な血液の化学成分(体内で自然に発生し、筋肉、心臓やその他の器官の働きを適切に維持する化学物質)に変化を引き起こす可能性があります。

8.米国食品医薬品局(FDA)は、米国でがん治療としてのゴンザレスレジメンの使用を承認していますか。

FDAは、がん治療としてゴンザレスレジメンまたはその全ての成分を承認していません。

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、がん患者さんの治療におけるゴンザレスレジメンの使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Board.PDQ Gonzalez Regimen.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/cam/patient/gonzalez-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389246]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

補完代替医療(CAM)についての一般的な情報

補完代替医療(CAM)は、統合的医療とも呼ばれ、ヒーリングに関する原理やアプローチ、治療法などを幅広く意味します。従来の治療に加えて実施する場合は補完療法と呼ばれ、また、従来の治療の代わりに実施する場合は、よく代替療法と呼ばれます(従来の治療とは医学界で広く受け入れられ、かつ主流となっている治療を意味します)。どのように用いられるかによって、補完療法とみなされる場合と、代替療法とみなされる場合があります。補完代替療法は、病気の予防やストレスの軽減、副作用や症状の予防と軽減、そして疾患の管理や治癒を目的として用いられます。

がんの従来の治療とは異なり、補完代替療法は保険が適用されないことが多くあります。患者さんは加入保険会社に、補完代替医療が保険の適用対象となっているかどうかを確認することをお奨めします。

補完代替医療の中には、標準治療を妨げたり、従来の治療と併用した場合に有害となりうるものがあるため、補完代替療法を検討されているがん患者さんはどんな治療法でも必ず、担当医や看護師、薬剤師と相談して意思決定を行ってください。

補完代替医療(CAM)のアプローチの評価

補完代替医療の治療についても、従来の治療の評価と同様、厳格な科学的評価を行うことが重要です。米国国立がん研究所および米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は医療施設において、がんに対するCAM療法の評価を行うための臨床試験(調査研究)を数多く主催しています。

一般的に、がんの治療における従来のアプローチは、多数の患者さんを対象とした臨床試験の実施など、厳格な科学的プロセスを経て、安全性や有効性が検討されています。それに比べ、補完代替医療の安全性や有効性についてはあまり知られていません。厳格な評価を経たCAM療法はごくわずかです。はじめは純粋に代替アプローチとみなされていた少数のCAM療法が、治癒を求めるものではなく、患者さんをより楽にし回復を早める手助けとなる補完医療として、がんの治療で用いられつつあります。1つの例が鍼療法です。1997年11月に開催された米国国立衛生研究所(NIH)の専門家委員会会議によると、鍼療法は化学療法に関連した吐き気や嘔吐、そして手術に関連した疼痛の管理に有効であることがわかりました。対照的に、レートリルの使用などのいくつかのアプローチは、検討の結果、無効であるか、または有害となりうることがわかりました。

1991年に始まったNCIのBest Case Series Programは、臨床で用いられているCAMアプローチの評価を行うプログラムの1つです。このプログラムはNCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)の監視下で進められています。がん代替医療を行う医療専門家は、患者さんのカルテや関連資料をOCCAMに提出します。OCCAMではそれらの資料を厳密に精査し、NCI主導の研究を正当化するであろう治療アプローチについては、フォローアップ研究の戦略を立てています。

補完代替医療(CAM)について医療提供者に質問すべきこと

補完代替療法を受けることを考えている場合、患者さんは主治医などの医療提供者に次の質問を行ってください。

補完代替医療(CAM)についてさらに知るには

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)

米国国立衛生研究所(NIH)の国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、補完代替医療の研究および評価を促進し、医療専門家や一般の方を対象に様々なアプローチについての情報を提供しています。

CAM on PubMed

NCCIHおよびNIH国立医学図書館(NLM)は共同でCAM on PubMedを開発し、CAMに関連するジャーナルの記載内容を無料かつ簡単に検索できる機能を提供しています。NLMの図書目録データベースのサブセットとして、CAM on PubMedには様々な科学ジャーナルのCAMに関連する論文から、230,000を超える文献や抄録が登録されています。このデータベースはさらに、1,800を超えるジャーナルにリンクしており、ユーザーが論文全文を参照できるようになっています(論文全文を参照するには、購読料などの費用が発生する場合があります)。

がん補完代替医療オフィス

NCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)は、補完代替医療(CAM)の分野におけるNCIの活動をコーディネートしています。OCCAMはCAMのがん研究をサポートし、がんに関連するCAMについての情報を、NCIのウェブサイトを通して医療提供者や一般の方に提供しています。

米国国立がん研究所(NCI)のがん情報サービス

米国にお住まいの方は、NCIがん情報サービスフリーダイヤル+1-800-4-CANCER(+1-800-422-6237)に電話をすることができます(月曜日から金曜日の午前8時から午後8時まで)。訓練を受けたがん情報スペシャリストが質問にお答えします。

食品医薬品局

食品医薬品局(FDA)は、薬物や医療機器を規制し、それらの安全性と有効性を確保しています。

連邦取引委員会

連邦取引委員会(FTC)は消費者保護法を施行しています。FTCから入手可能な出版物は以下の通りです: