患者さん向け PC-SPES(PDQ®)

    • 原文更新日:2015-01-07
    • 翻訳更新日:2023-03-27

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概要

注:この要約の情報は現在更新されておらず、参照用としてのみご利用いただけます。

PC-SPESについての質問と回答
1.PC-SPESとはどのようなものですか。

PC-SPESとは、前立腺がんに対する補完代替医療(CAM)の治療法として販売されていたハーブのブレンドです。このブレンドには次の8種類のハーブが含まれています:

PC-SPESのいくつかのロットで、ハーブのほかに処方箋を必要とするも含まれていることが判明したため、PC-SPESは市場から撤去されました。進行中であったPC-SPESの臨床試験は中止されました。PC-SPESの代用品として現在販売されている製品はありますが、それらの製品は同じブレンドではありません。PC-SPESの製造を許可された唯一の会社ももはや事業を行っておらず、法律によりPC-SPESは米国内で利用できません。

2.PC-SPESが、がんに対する補完代替療法として発見され使用されてきた経緯はどのようなものですか。

PC-SPESに含まれるほとんどのハーブは、前立腺の異常などの多くの健康問題に対して中国伝統医学(TCM)で数百年もの間用いられています。ニューヨークのある化学者と中国のある医師/漢方医が共同で、このブレンドの作成に取り組みました。1997年、PC-SPESの製造と米国において処方箋なしで販売を行う会社が設立されました。PC-SPESへの関心が高まり、研究者が注目し始めました。試験が行われ、PC-SPESのいくつかのロットに、天然成分ではない以下の薬物が1つ以上含まれていることが明らかになりました:

これらの薬物は処方箋がある場合にのみ用いられ、一部の人には有害である可能性もあるため、PC-SPESは2002年に市場から撤去されました。

3.がん治療にPC-SPESが役立つという主張の背景にある理論はどのようなものですか。

実験室における試験で、PC-SPESに使用されるそれぞれのハーブは、がん細胞の増殖の阻害、またはがんやその他の病気の原因となる細胞損傷の防止に役立つことが報告されています。

PC-SPESが前立腺がんの増殖を遅くするという報告はありますが、前立腺がんが治癒したわけではありませんでした。PC-SPESが体内でどのように作用するかは知られていません。ブレンドに用いられるいくつかのハーブにはフィトエストロゲンが含まれていますが、これはエストロゲンに似た物質であり植物でみられるものです。エストロゲンは、一部の前立腺がんを増殖させるテストステロン精巣での生産を停止させる可能性があります。PC-SPESに対する患者さんの反応は、DESを使用したエストロゲン療法に対する反応と似ていました。しかし、PC-SPESの一部のロットで見つかったDESは、このブレンドの使用者に見られたエストロゲンに類似の作用を全て引き起こすには十分でない可能性があります。このブレンドはDESとは異なる方法で作用すること、およびPC-SPES単独で(DESを含まなくても)前立腺がんと戦いうることについて、いくつかの証拠があります。

PC-SPESはまた、テストステロンに依存しない前立腺がんやその他の種類のがんに対する抗がん作用も示しています。これは、PC-SPESがエストロゲンに似た作用の他にも抗がん性を有する可能性があることを示唆しています。

4.PC-SPESはどのように用いますか。

PC-SPESはカプセルで経口投与されます。

5.PC-SPESを用いた前臨床研究(基礎研究または動物での研究)は実施されていますか。

試験管内およびラットにおけるPC-SPESの研究では、PC-SPESががん細胞の増殖を阻害しうることが示されました。しかし、これらの研究が実施されたのは、リストに載っていない処方薬が製品ロットの一部に含まれていることが判明する前でした。また、製品は規格化されていませんでした(PC-SPESの様々なロットに異なる強度のハーブ成分が含まれていることが判明しました)。これらの理由によって、この実験室での試験と動物での研究の結果は、確かな証拠とは見なされていません。

6.PC-SPESの臨床試験(ヒトに対する調査研究)は実施されていますか。

PC-SPESの臨床試験は、製品が市場から撤去される前に開始されました。これらの試験で、PC-SPESは前立腺がんの患者さんの生活の質を改善し、疼痛を軽減し、PSA(前立腺特異抗原)値を下げることが報告されました。PSA値の上昇は、前立腺がんの増殖の徴候となりえます。

PC-SPESの一部のロットに処方薬が含まれていることが判明した後、実施されていた研究は中止され、以前の研究結果が疑問視されるようになりました。研究で報告された反応は、ハーブ成分によって生じたという可能性のほかに、PC-SPESに含まれていた処方薬によって生じた可能性もあります。また、PC-SPESは様々なロットに異なる成分が含まれていたため、研究同士を容易に比較することができません。

7.PC-SPESの副作用またはリスクは報告されていますか。

よくみられる副作用は、エストロゲン療法で報告されているものと同じです:

その他に次のようなまれに見られる副作用もあります:

PC-SPESは、抗がん剤などの薬が体内で作用する方法を変化させる可能性もあります。薬の有効性を向上または低減させたり、身体に予期せぬ作用を引き起こしたりする可能性もあります。

8.米国食品医薬品局(FDA)は、米国においてPC-SPESをがんの治療薬として使用することを承認していますか。

米国食品医薬品局は、がん治療でのPC-SPESの使用を承認していません。法律により、PC-SPESは米国内で販売されていません。

本要約の変更点(01/07/2015)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新しい情報が利用可能になり次第更新されます。本セクションでは、上記の日付における本要約の最新変更点を記述しています。

医療専門家向けの版に対する変更に合わせて、本要約も変更されました。

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、がん患者さんに対する治療でのPC-SPESの使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Cancer Complementary and Alternative Medicine Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

National Cancer Institute: PDQ® PC-SPES.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Date last modified <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/cam/patient/pc-spes-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

補完代替医療(CAM)についての一般的な情報

補完代替医療(CAM)は、統合的医療とも呼ばれ、ヒーリングに関する原理やアプローチ、治療法などを幅広く意味します。従来の治療に加えて実施する場合は補完療法と呼ばれ、また、従来の治療の代わりに実施する場合は、よく代替療法と呼ばれます(従来の治療とは医学界で広く受け入れられ、かつ主流となっている治療を意味します)。どのように用いられるかによって、補完療法とみなされる場合と、代替療法とみなされる場合があります。補完代替療法は、病気の予防やストレスの軽減、副作用や症状の予防と軽減、そして疾患の管理や治癒を目的として用いられます。

がんの従来の治療とは異なり、補完代替療法は保険が適用されないことが多くあります。患者さんは加入保険会社に、補完代替医療が保険の適用対象となっているかどうかを確認することをお奨めします。

補完代替医療の中には、標準治療を妨げたり、従来の治療と併用した場合に有害となりうるものがあるため、補完代替療法を検討されているがん患者さんはどんな治療法でも必ず、担当医や看護師、薬剤師と相談して意思決定を行ってください。

補完代替医療(CAM)のアプローチの評価

補完代替医療の治療についても、従来の治療の評価と同様、厳格な科学的評価を行うことが重要です。米国国立がん研究所および米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は医療施設において、がんに対するCAM療法の評価を行うための臨床試験(調査研究)を数多く主催しています。

一般的に、がんの治療における従来のアプローチは、多数の患者さんを対象とした臨床試験の実施など、厳格な科学的プロセスを経て、安全性や有効性が検討されています。それに比べ、補完代替医療の安全性や有効性についてはあまり知られていません。厳格な評価を経たCAM療法はごくわずかです。はじめは純粋に代替アプローチとみなされていた少数のCAM療法が、治癒を求めるものではなく、患者さんをより楽にし回復を早める手助けとなる補完医療として、がんの治療で用いられつつあります。1つの例が鍼療法です。1997年11月に開催された米国国立衛生研究所(NIH)の専門家委員会によると、鍼療法は化学療法に関連した吐き気や嘔吐、そして手術に関連した疼痛の管理に有効であることがわかりました。対照的に、レートリルの使用などのいくつかのアプローチは、検討の結果、無効であるか、または有害となりうることがわかりました。

1991年に始まったNCIのBest Case Series Programは、臨床で用いられているCAMアプローチの評価を行うプログラムの1つです。このプログラムはNCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)の監視下で進められています。がん代替医療を行う医療専門家は、患者さんのカルテや関連資料をOCCAMに提出します。OCCAMではそれらの資料を厳密に精査し、NCI主導の研究を正当化するであろう治療アプローチについては、フォローアップ研究の戦略を立てています。

補完代替医療(CAM)について医療提供者に質問すべきこと

補完代替療法を受けることを考えている場合、患者さんは主治医などの医療提供者に次の質問を行ってください。

補完代替医療(CAM)についてさらに知るには

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)

米国国立衛生研究所(NIH)の国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、補完代替医療の研究および評価を促進し、医療専門家や一般の方を対象に様々なアプローチについての情報を提供しています。

CAM on PubMed

NCCAMおよびNIH国立医学図書館(NLM)は共同でCAM on PubMedを開発し、CAMに関連するジャーナルの記載内容を無料かつ簡単に検索できる機能を提供しています。NLMの図書目録データベースのサブセットとして、CAM on PubMedには様々な科学ジャーナルのCAMに関連する論文から、230,000を超える文献や抄録が登録されています。このデータベースはさらに、1,800を超えるジャーナルにリンクしており、ユーザーが論文全文を参照できるようになっています(論文全文を参照するには、購読料などの費用が発生する場合があります)。CAM on PubMedはNCCIHのウェブサイトから利用可能です。NLMのPubMed図書目録データベースからもCAM on PubMedにアクセスできます(「Limits」タブ → 「Complementary Medicine」を選択してください)。

がん補完代替医療オフィス

NCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)は、補完代替医療(CAM)の分野におけるNCIの活動をコーディネートしています。OCCAMはCAMのがん研究をサポートし、がんに関連するCAMについての情報を、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトを通して医療提供者や一般の方に提供しています。

米国国立がん研究所(NCI)のがん情報サービス

米国にお住まいの方は、NCIがん情報サービスフリーダイヤル+1-800-4-CANCER(+1-800-422-6237)に電話をすることができます(月曜日から金曜日の午前8時から午後8時まで)。訓練を受けたがん情報スペシャリストが質問にお答えします。

食品医薬品局

食品医薬品局(FDA)は、薬物や医療機器を規制し、それらの安全性と有効性を確保しています。

連邦取引委員会

連邦取引委員会(FTC)は消費者保護法を施行しています。FTCから入手可能な出版物は以下の通りです: