患者さん向け ヤドリギエキス(PDQ®)

    • 原文更新日:2023-06-21
    • 翻訳更新日:2024-03-25

ご利用について

このPDQがん情報要約では、がん患者さんに対する治療でのヤドリギエキスの使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

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概要
ヤドリギに関する質問と回答
1.ヤドリギとはどのようなものですか。

ヤドリギは、リンゴ、オーク、カエデ、ニレ、マツ、ポプラなど多くの種類の樹木の上で生育する半寄生植物です。ヤドリギは何百年にもわたり、てんかん喘息高血圧、頭痛、更年期症状不妊症皮膚炎関節炎リウマチなどの病態の治療に使用されてきました。

ヤドリギエキスは、がんに対する補完代替医療治療法として最も広く研究されてきたものの1つです。ヨーロッパでは、ヤドリギエキスはがんの患者さんに対して最もよく処方されている治療法の1つです。

ヤドリギ製品の内容物は、以下の要素に基づき異なります:

ヤドリギエキスは水性の溶液または水とアルコールの溶液として作られます。ヤドリギ製品には、ヤドリギが生育する樹木の種類によって名前が決められるものもあります。例えば、IscadorMはリンゴの木、IscadorPはマツの木、IscadorQuはオークの木、IscadorUはニレの木から取ったものです。

2.ヤドリギエキスはどのように投与されますか。

ヤドリギエキスは通常、皮膚の下に注射して投与します。ヤドリギエキスのあまり一般的でない投与方法としては、経口投与、静脈内投与、胸膜腔内への投与、腫瘍内への投与などがあります。

3.ヤドリギエキスを使用して、どのような基礎研究や動物試験が実施されていますか。

基礎研究では、腫瘍 細胞を用いて、特定の物質に抗がん作用があるかどうかを調べます。動物試験では、 特定の薬物、手技、治療法がマウスやその他の動物で安全であり有効であるかどうかを調べます。基礎研究や動物試験は、ヒトを対象とした試験に先立って行われます。

基礎研究と動物試験で、ヤドリギエキスの効果が検証されています。ヤドリギエキスを使用した基礎研究と動物試験の詳細については、本要約の医療専門家版で、Laboratory/Animal/Preclinical Studies(基礎研究/動物試験/前臨床研究)を参照してください。

4.がんの患者さんを対象としたヤドリギエキスの研究は行われていますか。

ヤドリギエキスをがんの治療に使った臨床試験は、ほとんどがヨーロッパで実施されています。多くの試験で、ヤドリギ製品はがんの患者さんに対する補助療法として研究されています。いくつかの研究で、ヤドリギエキスのがんに対する作用が示されているものの、これらの知見については、一部の研究における以下の理由から注意深く解釈する必要があります:

多数の患者さんを対象とした試験で、以下が報告されています:

臨床試験に対する包括的なレビュー

複数のレビューによると、様々な種類のがんにおける生活の質、生存率、症状の緩和にヤドリギエキスが有効でした。適切にデザインされていて患者さんの利益が報告された研究もあれば、そうでない研究もありました。少数の研究で、ヤドリギエキスの投与を受けた患者さんとそうでない患者さんとの比較において生存率や生活の質に差があることが報告されました。

ヤドリギエキスの研究に関する詳しい情報については、ヤドリギエキスに関する医療専門家向けの要約をご覧ください。

5.ヤドリギエキスの副作用やリスクは報告されていますか。

ヤドリギエキスの使用による副作用には、注射した部分のヒリヒリする痛みや炎症、頭痛、発熱、悪寒、吐き気、ひどい疲労感などがあります。アナフィラキシーショックを含む重度のアレルギー反応が少数報告されています。

あるレビューでは、ヤドリギエキスによる治療では免疫系の反応は低下しなかったことが報告されています。一部の症例で、高用量のヤドリギエキスにより、肝臓の損傷が生じましたが、この損傷は修復可能なものでした。別のレビューでは、循環系の問題、血栓静脈炎リンパ節の腫れ、アレルギー反応などの有害事象が報告されました。

ある観察コホート研究では、3種類のヤドリギエキス(Iscador、Helixor、およびabnobaVISCUM)が自己免疫疾患を有するがん患者の少人数のグループで、安全であることが明らかになりました。

6.米国食品医薬品局(FDA)は、米国でヤドリギエキスをがんの治療法として使用することを承認していますか。

FDAは、がんや他の病態に対する治療法としてヤドリギエキスを使用することを承認していません。

現在実施中の臨床試験

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

本要約の変更点(06/21/2023)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新しい情報が利用可能になり次第更新されます。本セクションでは、上記の日付における本要約の最新変更点を記述しています。

医療専門家向けの版に対する変更に合わせて、本要約も変更されました。

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、がん患者さんに対する治療でのヤドリギエキスの使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Board.PDQ Mistletoe Extracts.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/cam/patient/mistletoe-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389415]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、3,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

補完代替医療(CAM)についての一般的な情報

補完代替医療(CAM)は、統合的医療とも呼ばれ、ヒーリングに関する原理やアプローチ、治療法などを幅広く意味します。従来の治療に加えて実施する場合は補完療法と呼ばれ、また、従来の治療の代わりに実施する場合は、よく代替療法と呼ばれます(従来の治療とは医学界で広く受け入れられ、かつ主流となっている治療を意味します)。どのように用いられるかによって、補完療法とみなされる場合と、代替療法とみなされる場合があります。補完代替療法は、病気の予防やストレスの軽減、副作用や症状の予防と軽減、そして疾患の管理や治癒を目的として用いられます。

がんの従来の治療とは異なり、補完代替療法は保険が適用されないことが多くあります。患者さんは加入保険会社に、補完代替医療が保険の適用対象となっているかどうかを確認することをお奨めします。

補完代替療法を検討されているがん患者さんは、どんな治療法でも必ず、担当医や看護師、薬剤師と相談して意思決定を行ってください。補完代替療法の中には、標準治療を妨げるものや、従来の治療と併用した場合に有害となるものがあります。

補完代替医療(CAM)の治療法の評価

CAM療法は、従来の治療に対する検証と同じように、科学的な方法で検証することが重要です。米国国立がん研究所および米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は医療施設において、がんに対するCAM療法の検証を行うための臨床試験(調査研究)を数多く主催しています。

一般的に、がんの治療における従来のアプローチは、多数の患者さんを対象とした臨床試験の実施など、科学的プロセスを経て、安全性や有効性が検討されています。それに比べ、補完代替医療の安全性や有効性についてはあまり知られていません。ほとんどのCAM療法は厳密な科学的方法で検証されていません。純粋に代替アプローチとみなされていた少数のCAM療法は、治癒を目指すものではなく、患者さんをより楽にし回復を早めるための補完医療として、がんの治療で用いられつつあります。1つの例が鍼療法です。1997年11月に開催された米国国立衛生研究所(NIH)の専門家委員会によると、鍼療法は化学療法に関連した吐き気や嘔吐、そして手術に関連した疼痛の管理を助けることがわかりました。一方で、レートリルの使用などのいくつかのアプローチは、検討の結果、効果がないか、または有害となりうることがわかりました。

1991年に始まったNCIのBest Case Series Programは、臨床で用いられているCAMアプローチの評価を行うプログラムの1つです。このプログラムはNCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)の監視下で進められています。がん代替医療を行う医療専門家は、患者さんのカルテや関連資料をOCCAMに提出します。OCCAMはこれらの資料を慎重に検討し、さらに調査を行う価値があるかどうかを判断します。

補完代替医療(CAM)について医療提供者に質問すべきこと

補完代替療法を受けることを考えている場合、患者さんは主治医などの医療提供者に次の質問を行ってください。

補完代替医療(CAM)についてさらに知るには

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)

米国国立衛生研究所(NIH)の国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、補完代替医療の研究および評価を促進し、医療専門家や一般の方を対象に様々なアプローチについての情報を提供しています。

CAM on PubMed

NCCIHおよびNIH国立医学図書館(NLM)は共同でCAM on PubMedを開発し、CAMに関連するジャーナルの記載内容を無料かつ簡単に検索できる機能を提供しています。NLMの図書目録データベースのサブセットとして、CAM on PubMedには様々な科学ジャーナルのCAMに関連する論文から、230,000を超える文献や抄録が登録されています。このデータベースはさらに、1,800を超えるジャーナルにリンクしており、ユーザーが論文全文を参照できるようになっています(論文全文を参照するには、購読料などの費用が発生する場合があります)。

がん補完代替医療オフィス

NCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)は、補完代替医療(CAM)の分野におけるNCIの活動をコーディネートしています。OCCAMはCAMのがん研究をサポートし、がんに関連するCAMについての情報を、NCIのウェブサイトを通して医療提供者や一般の方に提供しています。

米国国立がん研究所(NCI)のがん情報サービス

米国にお住まいの方は、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)にフリーダイヤル+1-800-4-CANCER(+1-800-422-6237)で電話をすることができます(月曜日から金曜日の午前9時から午後9時まで)。訓練を受けたがん情報スペシャリストが質問にお答えします。

食品医薬品局

食品医薬品局(FDA)は、薬物や医療機器を規制し、それらの安全性と有効性を確保しています。

連邦取引委員会

連邦取引委員会(FTC)は消費者保護法を施行しています。FTCから入手可能な出版物は以下の通りです: