ご利用について
このPDQがん情報要約では、がん患者さんに対する治療での714-Xの使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- 概要
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注:この要約の情報は現在更新されておらず、参照用としてのみご利用いただけます。
- 714-Xに関する質問と回答
- 1.714-Xとはどのようなものですか。
714-Xの主成分は、クスノキの木部や樹皮から得られる天然物質である樟脳と化学物質を結合させた化合物です。714-Xは樟脳にアンモニアと塩を加えて製造されます。
- 2.714-Xはどのような経緯で発見され、がんの補完代替医療として使用されるようになったのですか。
714-Xは1960年代にカナダで開発され、今もカナダで製造されています。カナダの患者さんは、特例使用(患者さんに生命を脅かす疾患があり、治療に用いる薬物や治療法が他にない場合に、まだ承認されていない何らかの治療を行うこと)として医師からのみ714-Xを入手することができます。714-Xはメキシコと西欧のいくつかの国で使用されています。714-Xの米国での使用は、米国食品医薬品局(FDA)によって承認されていません(詳しくは質問8を参照してください)。
- 3.714-Xががんの治療に役立つという主張の背景にはどのような理論がありますか。
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714-Xの開発は、ソマチッドと呼ばれるごく小さな生命体が血液の中に存在するという理論に基づいています。この理論によると、ある種のソマチッドはがんやその他の重篤な疾患の患者さんの血液にのみ含まれているということです。このような種類のソマチッドは、細胞を制御なく増殖させる成長ホルモンを作ると言われています。714-Xの製造者は、血液に含まれるソマチッドの数と種類を調べれば、医師はがんが形成され始めているかどうかを把握したり、がんを診断して今後転移する場所を予測したりすることができると述べています。
この理論によると、がん細胞は正常な細胞に必要な窒素を取り込み、免疫系を弱める有毒物質を作り出します。714-Xは次のように体ががん細胞と戦うのを助けると報告されています:
一部の調査研究の結果は科学雑誌に発表されます。ほとんどの科学雑誌では、個々の研究報告を発表する前に専門家による評価が行われ、その証拠および結論が妥当なものであるかどうかが確認されます。このプロセスは査読と呼ばれます。査読済み科学雑誌に発表された研究は、より質の高い科学的証拠とみなされます。がんの発生におけるソマチッドの理論を裏付ける研究は、査読済み科学雑誌に発表されていません。714-Xのがんの治療法としての使用に関する研究については、質問5および質問6で述べています。
- 4.714-Xはどのように投与されますか。
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714-Xは通常、鼠径部のリンパ節の近くに注射して投与します。肺がんまたは口腔がんの一部の患者さんには、ネブライザー(液体を細かい霧状に変える機器)を使って鼻の中にスプレーすることもあります。714-Xの製造者は、静脈への(静脈内の)注射や経口投与を推奨していません。
714-Xの製造者は以下の内容を示唆しています:
- 5.714-Xを使用した前臨床研究(基礎研究や動物での研究)は実施されていますか。
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研究室での研究や動物を使った試験は、ある薬物、処置、治療法などがヒトにおいて役に立つ可能性があるかどうかを明らかにするために行われます。動物の腫瘍モデルを使って、がんの進行のしかたを調べたり、新しい治療法を試したりします。こうした前臨床研究は、ヒトを対象とした試験が開始される前に実施されます。
714-Xの安全性や有効性に関する基礎研究は、査読済み科学雑誌に発表されていません。少数の動物実験が実施されていますが、これらの実験の結果は科学雑誌に報告されていません。動物での研究ではラットのリンパ肉腫の腫瘍モデルと、イヌおよびウシのリンパ腫の腫瘍モデルが使われました。これらの試験では、714-Xががんに対して有効であることは明らかにされませんでした。
- 6.714-Xの臨床試験(ヒトに対する調査研究)は実施されていますか。
714-Xの安全性や有効性を裏付けるような、がんの患者さんに対する臨床試験などの試験は、査読済み科学雑誌に発表されていません。多数の逸話的な報告(一人またはそれ以上の患者さんの、完全には記述されていない医療や治療の経緯)や推奨型情報(その商品によって助けられた、あるいは治癒したと主張する人々の個人的な報告)が新聞や医学的でない文献に掲載されています。米国国立がん研究所(NCI)は714-Xを使用した一部のがんの患者さんの記録を調査しました。この検討は、NCIがこの製品の臨床試験を始めるべきかどうかを決めるために行われたものです。試験の推奨を裏付けるに足るだけの情報は得られませんでした。
- 7.714-Xの副作用やリスクは報告されていますか。
714-Xの製造者は、714-Xはヒトに害がないと主張しています。714-Xを用いた治療の副作用としては、注射した部位の発赤、圧痛、腫れが報告されています。
- 8.FDAは、米国で714-Xをがんの治療薬として使用することを承認していますか。
FDAは714-Xの米国での使用を承認していません。
- 本PDQ要約について
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PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、がん患者さんに対する治療での714-Xの使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。
本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Board.PDQ 714-X. Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/cam/patient/714-x-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389214]
本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。
免責事項
PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。
お問い合わせ
Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。
- 補完代替医療(CAM)についての一般的な情報
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補完代替医療(CAM)は、統合的医療とも呼ばれ、ヒーリングに関する原理やアプローチ、治療法などを幅広く意味します。従来の治療に加えて実施する場合は補完療法と呼ばれ、また、従来の治療の代わりに実施する場合は、よく代替療法と呼ばれます(従来の治療とは医学界で広く受け入れられ、かつ主流となっている治療を意味します)。どのように用いられるかによって、補完療法とみなされる場合と、代替療法とみなされる場合があります。補完代替療法は、病気の予防やストレスの軽減、副作用や症状の予防と軽減、そして疾患の管理や治癒を目的として用いられます。
がんの従来の治療とは異なり、補完代替療法は保険が適用されないことが多くあります。患者さんは加入保険会社に、補完代替医療が保険の適用対象となっているかどうかを確認することをお奨めします。
補完代替療法を検討されているがん患者さんは、どんな治療法でも必ず、担当医や看護師、薬剤師と相談して意思決定を行ってください。補完代替療法の中には、標準治療を妨げるものや、従来の治療と併用した場合に有害となるものがあります。
- 補完代替医療(CAM)の治療法の評価
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CAM療法は、従来の治療に対する検証と同じように、科学的な方法で検証することが重要です。米国国立がん研究所および米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は医療施設において、がんに対するCAM療法の検証を行うための臨床試験(調査研究)を数多く主催しています。
一般的に、がんの治療における従来のアプローチは、多数の患者さんを対象とした臨床試験の実施など、科学的プロセスを経て、安全性や有効性が検討されています。それに比べ、補完代替医療の安全性や有効性についてはあまり知られていません。ほとんどのCAM療法は厳密な科学的方法で検証されていません。純粋に代替アプローチとみなされていた少数のCAM療法は、治癒を目指すものではなく、患者さんをより楽にし回復を早めるための補完医療として、がんの治療で用いられつつあります。1つの例が鍼療法です。1997年11月に開催された米国国立衛生研究所(NIH)の専門家委員会によると、鍼療法は化学療法に関連した吐き気や嘔吐、そして手術に関連した疼痛の管理を助けることがわかりました。一方で、レートリルの使用などのいくつかのアプローチは、検討の結果、効果がないか、または有害となりうることがわかりました。
1991年に始まったNCIのBest Case Series Programは、臨床で用いられているCAMアプローチの評価を行うプログラムの1つです。このプログラムはNCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)の監視下で進められています。がん代替医療を行う医療専門家は、患者さんのカルテや関連資料をOCCAMに提出します。OCCAMはこれらの資料を慎重に検討し、さらに調査を行う価値があるかどうかを判断します。
- 補完代替医療(CAM)について医療提供者に質問すべきこと
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補完代替療法を受けることを考えている場合、患者さんは主治医などの医療提供者に次の質問を行ってください。
- 補完代替医療(CAM)についてさらに知るには
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米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)
米国国立衛生研究所(NIH)の国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、補完代替医療の研究および評価を促進し、医療専門家や一般の方を対象に様々なアプローチについての情報を提供しています。
CAM on PubMed
NCCIHおよびNIH国立医学図書館(NLM)は共同でCAM on PubMedを開発し、CAMに関連するジャーナルの記載内容を無料かつ簡単に検索できる機能を提供しています。NLMの図書目録データベースのサブセットとして、CAM on PubMedには様々な科学ジャーナルのCAMに関連する論文から、230,000を超える文献や抄録が登録されています。このデータベースはさらに、1,800を超えるジャーナルにリンクしており、ユーザーが論文全文を参照できるようになっています(論文全文を参照するには、購読料などの費用が発生する場合があります)。
がん補完代替医療オフィス
NCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)は、補完代替医療(CAM)の分野におけるNCIの活動をコーディネートしています。OCCAMはCAMのがん研究をサポートし、がんに関連するCAMについての情報を、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトを通して医療提供者や一般の方に提供しています。
米国国立がん研究所(NCI)のがん情報サービス
米国にお住まいの方は、NCIがん情報サービスフリーダイヤル+1-800-4-CANCER(+1-800-422-6237)に電話をすることができます(月曜日から金曜日の午前8時から午後8時まで)。訓練を受けたがん情報スペシャリストが質問にお答えします。
食品医薬品局
食品医薬品局(FDA)は、薬物や医療機器を規制し、それらの安全性と有効性を確保しています。
連邦取引委員会
連邦取引委員会(FTC)は消費者保護法を施行しています。FTCから入手可能な出版物は以下の通りです: