患者さん向け ほてりおよび寝汗(PDQ®)

ご利用について

このPDQがん情報要約では、ほてりおよび寝汗に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

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がん患者さんとがん生存者のほてりと寝汗の原因

ほてりと寝汗はがんの患者さんや生存者の方によくみられます。

ほてりは顔から首、胸部にかけて突然発生する温感で、汗をかいたり顔面が赤くなったりすることもあります。発汗は、皮膚から熱を放散させて体温を下げる体の機能です。睡眠中の発汗を伴うほてりは、多くの場合、寝汗またはほてりと呼ばれます。ほてりと寝汗は、がんの治療を受けている患者さんによく発生します。患者さんによっては、がんの治療が終わった後もほてりや寝汗が続くことがあります。

男性でも女性でも、手術や放射線療法、または特定の薬物の使用によって、ほてりや寝汗が引き起こされることがあります。

女性

卵巣エストロゲンが作られなくなると、閉経期に入ります。ほてりと寝汗は閉経期によくみられる症状です。早発閉経は通常より若い年齢で卵巣がエストロゲンの産生を停止した場合に起きる状態です。がんの発生確率を下げるための両側卵巣摘除術やがん治療としての子宮摘出術といった、両側の卵巣を摘出する手術を受けると、早発閉経が発生することがあります。

ほてりや寝汗の原因になる他の治療には以下のようなものがあります:

乳がんの患者さんにみられる重度のほてりは、以下のような問題に関連しています:

閉経前の乳がん生存者にみられるほてりや寝汗は抑うつに関連しています。

男性

男性の精巣ではテストステロンが作られます。前立腺がんの治療として片側または両側の精巣を摘出する手術は、ほてりや寝汗などの症状を引き起こすことがあります。ゴナドトロピン放出ホルモンまたはエストロゲンによるホルモン療法も、男性にこれらの症状を引き起こすことがあります。

オピオイド、三環系抗うつ薬、ステロイドといった他の薬物を使用する療法も、ほてりや寝汗を引き起こすことがあります。

がん患者さんとがん生存者のほてりと寝汗に対する薬物治療

ほてりと寝汗は、エストロゲン補充療法で制御される場合があります。

自然閉経や治療に伴う閉経後のほてりや寝汗は、エストロゲン補充療法で制御できます。しかし、エストロゲン補充を受けられない女性(乳がんの女性、または過去に乳がんを経験した女性など)も多く存在し、そうした女性にはエストロゲンが含まれていない薬物の使用も検討されます。エストロゲンとプロゲスチンを併用するホルモン補充療法では、乳がんの発生や再発のリスクが高まる可能性があります。

前立腺がんの治療を受けている男性のほてりの治療薬には、エストロゲン、プロゲスチン、抗うつ薬抗痙攣薬などがあります。

患者さんによっては、他の薬物が有用です。

乳がんの個人歴がある女性のほてりに対する非エストロゲン薬の研究では、多くの薬物はエストロゲン補充に匹敵する効果を示さない、または副作用を生じると報告されています。メゲストロールおよびメドロキシプロゲステロンプロゲステロンに似た薬物)、特定の抗うつ薬、抗痙攣薬、クロニジン高血圧の治療に用いられる薬物)は、ほてりの制御に用いられる非エストロゲン薬です。

ほてりと寝汗に対する薬物治療では、副作用が起こることがあります。

ホルモン療法では以下のような副作用が起こることがあります:

薬物療法の副作用は人によって様々であるため、患者さんごとに治療法や用量は異なります。1つの薬剤によって症状が改善されないときは、他の薬剤に切り替えることが有用な場合があります。

がん患者さんとがん生存者のほてりと寝汗に対する薬物を使用しない治療

患者さんのストレスや不安への対処を支援する治療法が、ほてりの管理に役立つことがあります。

患者さんや生存者の方がストレス不安、否定的な感情に対処する方法を変化させる治療法は、ほてりの管理に役立つことがあります。例えば、認知行動療法リラクゼーション療法、呼吸法などがあります。これらの対処法を活用することで、症状に対するコントロールの感覚が得られ、症状を管理するための対処技術が養われます。

催眠もほてりの治療に用いられています。催眠はトランスに近い状態であり、この状態にある人は注意が亢進し、集中が高まり、深くリラックスして暗示にかかりやすくなっています。催眠状態の人は、特定の思考や感覚に対して注意を逸らさず明確に集中できます。施術者は患者さんを十分にリラックスさせ、体が冷えていくという想念に集中するよう促します。これにより、緊張が緩和され、体温が調整されるほか、心拍と呼吸数が落ち着くことがあります。

認知行動療法やリラクゼーション療法、呼吸法、催眠は、薬物療法と併用した場合に、ほてりとそれに関連する問題の有効な対処法となることがあります。

緩和的処置はほてりや寝汗の軽減につながることがあります。

がんの治療に関連するほてりや寝汗の治療に、緩和的処置が用いられることがあります。ほてりに先立って体温が上昇するため、以下の方法で体温を調節すると、症状の制御に役立つ場合があります:

生薬と栄養補助食品は慎重に使用するようにします。

医療提供者は、患者さんや生存者の方が薬物と併用している栄養補助食品大豆ハーブなど)を全て把握しておくことが重要です。

ほてりの緩和に関するビタミンEの研究では、ビタミンEの効果はプラセボ(何の効果も及ぼさない丸薬や処置)よりもわずかに高い程度であることが示されています。大豆とブラック・コホッシュについてのほとんどの研究では、ほてりの軽減に関してプラセボ以上に有効ではないことが示されています。大豆にはエストロゲン様の物質が含まれていますが、それが体内で細胞にどのような影響を及ぼすかは不明です。ほてりの治療に亜麻子粉や酸化マグネシウムを使用する研究では、相反する結果が示されています。

他にも、ほてりの治療効果を主張している植物由来または天然の製品がいくつか存在しています。ドンクアイオオアザミアカツメクサ甘草抽出物チェストツリーベリーなどがその一例です。しかし、これらの製品がどのように作用するか、または乳がんのリスクに影響を及ぼすかどうかはほとんど判明していないため、これらの製品を使用する前に担当医に相談してください。

ほてりの治療法として鍼療法が研究されています。

鍼療法パイロットスタディのほか、ほてりのある患者さんを対象として本物の鍼療法と擬似療法(プラセボ)を比較したランダム化臨床試験が実施されましたが、一貫した結果は得られていません。多くの研究を包括的に検討したレビューでは、鍼療法は乳がんの患者さんのほてりにほとんど、または全く効果がなかったことが示されました。対照的に、このレビューに含まれていない1件のランダム化臨床試験においては、鍼療法の施術を受けた乳がん患者さんにほてりの発症が少なかったことが示されました。また別のランダム化臨床試験では、電気鍼療法を受けた乳がん生存者にほてり症状の減少が認められました。(詳しい情報については、鍼灸に関するPDQの医療専門家向けの要約の血管運動神経症状のセクションをご覧ください。)

現在実施中の臨床試験

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、ほてりおよび寝汗に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Supportive and Palliative Care Editorial Board.PDQ Hot Flashes and Night Sweats.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/hot-flashes-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389162]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、3,000以上の科学関連の画像が収載されています。

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