医療専門家向け 心肺症候群(PDQ®)

ご利用について

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、呼吸困難、悪性胸水、悪性心嚢液貯留、および上大静脈症候群などの心肺症候群の病態生理および治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

CONTENTS 全て開く全て閉じる

概要

がん患者にはしばしば、がん以外の内科疾患が併存している。事実、65歳を超えるがん患者は原疾患で苦しんでいるのみでなく、しばしば慢性閉塞性肺疾患、心疾患、糖尿病、高血圧といった内科疾患の有病率が高い。[ 1 ]地域医療の現場であれがん診療の現場であれ、医師や患者は原因が説明できない症状でしばしば悩む。[ 2 ]多くの進行がんでは病気が胸郭にまで拡がるので、呼吸困難、咳嗽、胸痛、動悸などの症状が、問題の原因究明および適切な介入の展開において課題となる。がんに関連する疲労、食欲不振、抑うつ、呼吸困難などの緒問題へのさまざまなアプローチを記述する証拠に基づく推奨事項が公表されている。[ 3 ]がん患者はまた、肺感染症を発症するリスクが高い。

がん患者をケアする臨床家は、胸部症状の評価および治療に精通しているべきである。加えて、胸部症状、症候群のがん特異的側面についても精通している必要がある。呼吸困難は肺がんなど特定のがんでよくみられる症状であり、また多くの進行がん患者でも一般的である。呼吸困難はしばしば多因子性である。至適治療には、臨床的に適切な治療的介入を指示するため、寄与している病因および病態生理学の理解が必要である。重要な心肺症候群には、悪性胸水、悪性心嚢液貯留、上大静脈症候群、およびがん性リンパ管症が挙げられる。

特に明記していない場合、本要約には成人に関する証拠と治療について記載している。小児に関する証拠と治療は、成人の場合とかなり異なる可能性がある。小児の治療に関する情報が入手できる場合は、小児に関する情報であることを明記した上でその内容を要約する。

参考文献
  1. Yancik R, Ganz PA, Varricchio CG, et al.: Perspectives on comorbidity and cancer in older patients: approaches to expand the knowledge base. J Clin Oncol 19 (4): 1147-51, 2001.[PUBMED Abstract]
  2. Komaroff AL: Symptoms: in the head or in the brain? Ann Intern Med 134 (9 Pt 1): 783-5, 2001.[PUBMED Abstract]
  3. Dy SM, Lorenz KA, Naeim A, et al.: Evidence-based recommendations for cancer fatigue, anorexia, depression, and dyspnea. J Clin Oncol 26 (23): 3886-95, 2008.[PUBMED Abstract]
進行がん患者の呼吸困難

呼吸困難は、呼吸の不快な自覚症状と定義付けられる。呼吸困難は、認識力の質と強度を変調させるたくさんの要素を伴う主観的症状である。肺機能障害、疾病負荷が同程度の患者が、呼吸困難の強度をさまざまに報告することがある。患者は、息切れの感覚を訴えるためにさまざまな語句やフレーズを用いる。圧迫感や息苦しさなどの用語がときに使用される。[ 1 ]

呼吸困難の頻度に関する報告もまた、疾病の度合いや状況によりさまざまである。[ 2 ]ある研究では、一般がん集団の49%が息切れを報告し、20%がその息切れを中等度から重度と評価した。[ 3 ]進行がんの患者は限局期の患者に比べ、より頻繁に、そしてより強くこの症状を経験する。ある研究では、外来緩和ケアクリニックに報告した135人の進行期の患者のうち、75人が中等度から重度の呼吸困難を経験していた。[ 4 ]息切れは、肺がん患者289人の60%において報告時の愁訴であった。[ 5 ]ある大規模研究の結果では、70%の患者が人生最後の6週間に息切れで苦しんでいたことと報告している。[ 6 ]自分の呼吸困難の強度を報告できる患者の約3分の1が、中等度から重度と評価した。別の研究では、進行がん患者の半数が自分の呼吸困難を中等度から重度と評価したと報告している。[ 7 ]

病態生理学および病因

息切れの病態生理学的メカニズムは、多くて複雑である。[ 8 ]機械的、化学的メカニズムだけでなく、末梢および中枢神経系のメカニズムも感覚求心路のさまざまな発生源に関わっている。[ 9 ][ 10 ][ 11 ]

呼吸困難の質は、呼吸努力感、圧迫感、および空気飢餓感として認識されることがある。過度の呼吸努力感の経験は、筋力強化に関連したメカニズムに似た感覚-知覚メカニズムによって引き起こされる。圧迫感は、気管支収縮に伴う気道受容体の刺激によって引き起こされる。強い空気飢餓感および満たされない吸息は、呼吸動因、脳から出力された信号、および呼吸器系の求心神経からのフィードバックの不均衡によって引き起こされる。[ 12 ]

進行がん患者での呼吸困難の直接的原因は多くある;それらを分類することは、病因論的精査に役立つ。1つのアプローチは、直接原因を以下の4つのグループに分けることである:

  1. 原発病巣あるいは転移病巣による、壁在性・壁外性の気道閉塞、胸膜への浸潤、肺実質への浸潤、上大静脈症候群、がん性リンパ管症、心嚢液貯留、閉塞後性肺炎など、腫瘍による直接的影響。
  2. 肺炎や肺動脈塞栓症、片側横隔膜麻痺、筋肉減少症による呼吸筋の筋力低下など、腫瘍による間接的影響。
  3. 放射線療法や化学療法による肺線維症、または化学療法誘発性の心筋症、標的療法による免疫療法関連肺炎など、治療に関連した原因。チェックポイント阻害薬による免疫療法関連肺炎はまれであるが、潜在的に重度または致死的となる可能性がある。[ 13 ][ 14 ]この薬物誘発性の肺炎は除外診断である;感染症や悪化しつつある悪性疾患など、他の鑑別診断を除外する必要がある。
  4. がんに関係しない原因。これらには慢性閉塞性気道疾患やうっ血性心不全、貧血、特定のアシドーシス状態、および気管支痙攣がある。
  5. 機能的原因(例、不安)。

ある研究において、進行がんのために呼吸困難を経験する患者では、中央値で5つの、異なる異常が彼らの息切れの原因となりうることが分かった。[ 7 ]調査を行った100人の患者の93%において、肺気量測定が異常で、5%が閉塞性パターン、41%が拘束性パターン、そして47%が混合性パターンであった;49%の患者が肺がんで、91%が胸部X線検査で異常を示し、65%が肺実質あるいは胸膜への浸潤を有していた。これらの結果は、ある患者サブセットが明らかな肺への浸潤がなくても息切れを自覚することがある、ということを示唆している。治療による是正の可能性がある呼吸困難の原因としては、低酸素血症(40%)、貧血(20%)、気管支攣縮(52%)がある。呼吸障害の型と呼吸困難の程度の間には、有意な関連は見つからなかった。これらの患者の大半が、現在または以前に喫煙をしていた。またほとんどの患者に、最大吸気圧の有意な低下があり、重度の呼吸筋機能不全を示唆した。この知見は他の研究でも再現性を示した。[ 4 ]ホスピス医療施設に入院している患者の34%に心疾患の既往があり、24%に呼吸器疾患の既往があった。[ 6 ]呼吸困難を訴えた末期患者のうち肺または胸膜への浸潤があったのは、たった39%であった。患者の約4分の1において、呼吸困難の病因がはっきりと同定できなかった。他の研究では、肺がん患者の49%が何らかの気道閉塞を呈していた。[ 7 ][ 15 ]

呼吸筋機能不全は、呼吸困難のあまり認識されていない寄与因子である。呼吸筋機能不全の原因には、神経筋疾患、栄養不良、およびカリウム、マグネシウム、無機リン酸の欠乏といったものがある。[ 16 ]酸素化不良、筋疲労、コルチゾールおよびカテコールアミンの異常値、循環サイトカインもまた関与している。

不安が息切れと関連していると一般的に考えられているが、研究者たちは不安と息切れは常に同時に起こるわけではないとした。[ 7 ]ある研究で、がんの肺への浸潤、不安、最大吸気圧の低下は、進行がんの患者における呼吸困難の強度と相関することが実証された。[ 4 ]

評価

呼吸困難の多次元的特質を、この症状の複雑な評価において留意しなければならない。患者が報告するアウトカムは呼吸困難の評価に関するゴールドスタンダードである。呼吸困難を評価するための最良の手段を構成するものに関するコンセンサスはない。ビジュアルアナログや数値的スケールが有用らしく、一般的に使用されている。[ 8 ][ 17 ][ 18 ][ 19 ]ボルグスケールもときに使用される。[ 17 ]Cancer Dyspnea Scaleは多次元的な手段で、肺がん患者向けに日本で最初に開発され、その後スウェーデン語に翻訳された。このスケールは進行した肺がん患者における妥当性および信頼性が高いことが示されている。サブスケールでは呼吸努力感(身体的次元)、呼吸不安感(心理的次元)、呼吸不快感が測定される。[ 20 ]しかしながら、これらのツールは一次元的で、患者の息切れの自覚に対するさまざまな要因の相対的寄与を説明できないため、きわめて限定的である。評価には、患者の機能状態に与える呼吸困難の影響および呼吸困難の動的構成要素-すなわち、運動時呼吸困難の理解を含めるべきである。

頻呼吸や呼吸補助筋の使用などの客観的徴候が、患者の呼吸困難の自覚やそれが引き起こす機能障害の度合いと合致しないことがよくある。心理社会的問題を含め、非常に多くの要因が患者の呼吸困難の自覚に影響を与える。ほぼ例外なく、肺機能検査がこの症候群の評価において果たす役割は限定的なものである。呼吸困難の基となる病態生理学的メカニズムを明確に理解していないことが、効果的に対処しようとする医師の総合的能力の妨げとなる。[ 8 ][ 17 ]

呼吸困難の正確な評価には、包括的な病歴聴取と診察が必須である。[ 8 ][ 17 ]一時的発症か否かや、症状の質、随伴する症状、促進および軽減させるイベントまたは行動、投薬に対する反応をよく調べるべきである。突然の発症は肺塞栓症や呼吸器感染の前兆となることがある一方、段階的発症は、胸水の発現を示唆することがある。閉塞性肺疾患や心疾患の既往は、可能性のある潜在的な原因の解明につながることがある。酸素飽和度測定などの検査は、患者が低酸素血症かどうかを判断するために有用である。進行した根治不能ながんにおいては、動脈血ガス分析の役割は限定的となる。

チェックポイント阻害薬による免疫療法関連肺炎について調査したこの研究における最も一般的な主症状は呼吸困難(53%)および咳嗽(35%)であった一方、患者の1/3は無症状であった。[ 13 ]黒色腫および非小細胞肺がんがこの研究で治療された最も一般的ながんであった。興味深いことに、肺炎が発症するまでの治療期間はきわめて多様であり、発症までの期間中央値は2.8ヵ月(範囲、9日~19ヵ月)であった;さらに、肺炎は併用療法を受けた患者の方が単独療法を受けた患者よりも早期に発症したようである(中央値、2.7ヵ月 vs 4.6ヵ月)。

呼吸困難の病因を判断するのに役立つ検査には、放射線によるX線撮影写真やCT、全血球算定、安静時・運動時の酸素飽和度測定などがあるが、もっと少ない程度では、肺機能検査もある。最大吸気圧(MIP)の測定は、明らかな原因が見つからない場合は特に有用となろう。[ 7 ]MIPは、横隔膜および他の呼吸筋の強度を調べるための信頼できる機能検査である。6分間歩行テストやエルゴメーター負荷試験などの機能的評価もまた、呼吸困難の重症度と影響に関する有益な情報を提供しうる。[ 21 ][ 22 ]

呼吸困難の管理

潜在的原因の管理

すべての症状でそうであるように、可能であれば適宜、呼吸困難の潜在的要因を同定し治療することが必要不可欠である。具体的な潜在要因(それらのいくつかは可逆性である)の例やその治療法を下記に挙げる:

症状管理

呼吸困難の症状管理は、主に酸素療法、呼吸困難緩和のためのオピオイド、および適切な場合に基礎にある原因(例、感染の合併)の治療に基づく。

オピオイドは、がん患者における呼吸困難に対するきわめて効果的な治療である。がん患者の呼吸困難の管理では、副作用を恐れてオピオイドを適切に使用することを避けるべきではない。ほとんどの権威者は、適切に使用されるならば、オピオイドは呼吸困難のがん患者の死を早めるものではなく;むしろ、身体的および精神的苦痛および消耗を減らし、また早期使用はQOLを改善すると考えている。[ 17 ][ 26 ][ 27 ]臨床的に有意なオピオイド療法に伴う換気低下は、それまでのオピオイドへの曝露およびオピオイドの増量速度に左右される。疼痛管理におけるオピオイドの使用同様、オピオイド未使用の患者に対しては、通常の低用量から開始しその後適宜調整するという原則が適用される。呼吸困難に対するオピオイド療法も同様に行い、しばしば疼痛管理のためのオピオイド療法と併用される。利用可能なエビデンスのほとんどが、悪性疾患または非悪性疾患による呼吸困難の緩和のためのオピオイド使用を支持する。[ 28 ][ 29 ][証拠レベル:I];[ 30 ][ 31 ][ 32 ][証拠レベル:II]

逸話的または経験的証拠では、呼吸困難の治療におけるネブライザーを用いたオピオイドの投与の役割を示唆している。[ 33 ][ 34 ][ 35 ]オピオイド受容体は気道の感覚神経末端にある;しかしながら、ネブライザーを用いた方法は非効率的な薬物投与法である。[ 33 ]薬物動態学的研究によれば、ネブライザーによるモルヒネ投与の全身生体内利用率はきわめて不良かつ不安定で、4%から8%まで幅がある。[ 36 ]閉所恐怖症を経験する患者もいる。利用可能な証拠は、ネブライザーを用いたオピオイドの臨床使用を支持していない。この投与法の役割をさらに明確にするためには、さらなる臨床試験が必要である。

大気吸入下で低酸素症を呈する患者は、おそらく化学受容器を介した呼吸中枢および大脳皮質への入力の減少により、酸素療法から恩恵が得られるであろう。2件の対照試験において、クロスオーバーデザインでランダムに割り付けられた呼吸困難のがん患者に、呼吸困難の有意な改善がみられた。[ 37 ][ 38 ][証拠レベル:I]酸素補給の役割もまた大規模ランダム化比較試験において低酸素血症が認められない患者において調査されている。2L/分で投与する酸素補給は大気補給と比較して、呼吸困難を有意に改善しなかった。[ 39 ]したがって、酸素補給は低酸素血症が認められるがん患者には推奨されるが、低酸素血症が認められない患者には推奨されない。

他の研究者らにより、がん患者における呼吸困難に対して、高流量の酸素および二相性陽圧呼吸(BiPAP)を用いる非侵襲的換気法など、他の酸素輸送法の効果が調査されている。高流量の酸素装置では、1分当たり最大40Lの加湿・加熱した酸素を送り、低流量の酸素に反応しない患者における呼吸困難の強度を低下させられる。[ 40 ]BiPAPはまた、数件のランダム化比較試験において、入院したがん患者[ 40 ][ 41 ]、特に換気量が低下した患者における呼吸困難を緩和することが示されている。これらの介入は、低流量の酸素補給を行っているにもかかわらず、低酸素血症および難治性呼吸困難を示す患者に対する妥当な選択肢であろう。

対症療法の選択肢には他に、メチルキサンチン、鎮静薬、トランキライザー、噴霧型局所麻酔薬、抗プロスタグランジン薬がある。がん関連の呼吸困難に対するメチルキサンチンの役割は、明確にされていない。クロルプロマジンおよびプロメタジンは、がん以外の患者では換気に影響を与えることなしに呼吸困難を軽減させるようだが、それらのがん関連の呼吸困難における役割は不明確である。5件のランダム化比較試験のうち4件が、がん患者におけるベンゾジアゼピンの使用に関しいかなる有益性も実証できなかった。[ 17 ][ 42 ][証拠レベル:I]1件のランダム化単盲検試験は、スケジュールに則った2種類の投薬(モルヒネ皮下注およびミダゾラム皮下投注)と破綻的な呼吸困難の発作に必要に応じて用いる投薬(モルヒネ皮下投与)の組み合わせが、破綻的呼吸困難の管理において既に評価された他の組み合わせより有効であることを示唆しており、これについては追試が必要である。[ 43 ][証拠レベル:I]ベンゾジアゼピンの役割は、パニック障害の体性発現と考えられる呼吸困難の治療、または患者が重い不安症を併発している場合の呼吸困難に限られるようである。 患者432人におけるあるランダム化プラセボ比較試験では、中等度から重度の呼吸困難を有するがん患者のプラセボと比較して、非ベンゾジアゼピン抗不安薬ブスピロンによる呼吸困難または不安の改善はみられなかったが、20mgの用量は比較的低かった;[ 44 ][証拠レベル:I]ブスピロンは、がん患者の呼吸困難の治療のために現時点では推奨できない。息切れに対する噴霧型局所麻酔薬の使用を支持する証拠はない。

一般的支持療法

適切な薬物治療に加え、薬物治療以外の多くの手法が推奨されている。これらには、口すぼめ呼吸、横隔膜呼吸と筋力トレーニング、頬全体に向けられる冷気、瞑想、リラクゼーショントレーニング、生体フィードバック療法、心理療法などがある。息切れ緩和のためのこれらの方法の有効性は、可変的なようである。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
  1. Wilcock A, Crosby V, Hughes A, et al.: Descriptors of breathlessness in patients with cancer and other cardiorespiratory diseases. J Pain Symptom Manage 23 (3): 182-9, 2002.[PUBMED Abstract]
  2. Ripamonti C, Fulfaro F, Bruera E: Dyspnoea in patients with advanced cancer: incidence, causes and treatments. Cancer Treat Rev 24 (1): 69-80, 1998.[PUBMED Abstract]
  3. Dudgeon DJ, Kristjanson L, Sloan JA, et al.: Dyspnea in cancer patients: prevalence and associated factors. J Pain Symptom Manage 21 (2): 95-102, 2001.[PUBMED Abstract]
  4. Bruera E, Schmitz B, Pither J, et al.: The frequency and correlates of dyspnea in patients with advanced cancer. J Pain Symptom Manage 19 (5): 357-62, 2000.[PUBMED Abstract]
  5. Muers MF, Round CE: Palliation of symptoms in non-small cell lung cancer: a study by the Yorkshire Regional Cancer Organisation Thoracic Group. Thorax 48 (4): 339-43, 1993.[PUBMED Abstract]
  6. Reuben DB, Mor V: Dyspnea in terminally ill cancer patients. Chest 89 (2): 234-6, 1986.[PUBMED Abstract]
  7. Dudgeon DJ, Lertzman M: Dyspnea in the advanced cancer patient. J Pain Symptom Manage 16 (4): 212-9, 1998.[PUBMED Abstract]
  8. Ripamonti C, Bruera E: Dyspnea: pathophysiology and assessment. J Pain Symptom Manage 13 (4): 220-32, 1997.[PUBMED Abstract]
  9. Widdicombe J: Lung afferent activity: implications for respiratory sensation. Respir Physiol Neurobiol 167 (1): 2-8, 2009.[PUBMED Abstract]
  10. Lee LY: Respiratory sensations evoked by activation of bronchopulmonary C-fibers. Respir Physiol Neurobiol 167 (1): 26-35, 2009.[PUBMED Abstract]
  11. Undem BJ, Nassenstein C: Airway nerves and dyspnea associated with inflammatory airway disease. Respir Physiol Neurobiol 167 (1): 36-44, 2009.[PUBMED Abstract]
  12. Parshall MB, Schwartzstein RM, Adams L, et al.: An official American Thoracic Society statement: update on the mechanisms, assessment, and management of dyspnea. Am J Respir Crit Care Med 185 (4): 435-52, 2012.[PUBMED Abstract]
  13. Naidoo J, Wang X, Woo KM, et al.: Pneumonitis in Patients Treated With Anti-Programmed Death-1/Programmed Death Ligand 1 Therapy. J Clin Oncol 35 (7): 709-717, 2017.[PUBMED Abstract]
  14. Khunger M, Rakshit S, Pasupuleti V, et al.: Incidence of Pneumonitis With Use of Programmed Death 1 and Programmed Death-Ligand 1 Inhibitors in Non-Small Cell Lung Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis of Trials. Chest 152 (2): 271-281, 2017.[PUBMED Abstract]
  15. Congleton J, Muers MF: The incidence of airflow obstruction in bronchial carcinoma, its relation to breathlessness, and response to bronchodilator therapy. Respir Med 89 (4): 291-6, 1995.[PUBMED Abstract]
  16. Mancini DM, LaManca J, Henson D: The relation of respiratory muscle function to dyspnea in patients with heart failure. Heart Fail 8: 183-9, 1992.[PUBMED Abstract]
  17. Dudgeon DJ, Rosenthal S: Management of dyspnea and cough in patients with cancer. Hematol Oncol Clin North Am 10 (1): 157-71, 1996.[PUBMED Abstract]
  18. Bausewein C, Farquhar M, Booth S, et al.: Measurement of breathlessness in advanced disease: a systematic review. Respir Med 101 (3): 399-410, 2007.[PUBMED Abstract]
  19. Dorman S, Byrne A, Edwards A: Which measurement scales should we use to measure breathlessness in palliative care? A systematic review. Palliat Med 21 (3): 177-91, 2007.[PUBMED Abstract]
  20. Henoch I, Bergman B, Gaston-Johansson F: Validation of a Swedish version of the Cancer Dyspnea Scale. J Pain Symptom Manage 31 (4): 353-61, 2006.[PUBMED Abstract]
  21. American Thoracic Society, American College of Chest Physicians: ATS/ACCP Statement on cardiopulmonary exercise testing. Am J Respir Crit Care Med 167 (2): 211-77, 2003.[PUBMED Abstract]
  22. ATS Committee on Proficiency Standards for Clinical Pulmonary Function Laboratories: ATS statement: guidelines for the six-minute walk test. Am J Respir Crit Care Med 166 (1): 111-7, 2002.[PUBMED Abstract]
  23. Mantovani G, Astara G, Manca G, et al.: Endoscopic laser ablation as palliative treatment of endobronchial, nonresectable, or recurrent lung cancer: assessment of its impact on quality of life. Clin Lung Cancer 1 (4): 277-85; discussion 286, 2000.[PUBMED Abstract]
  24. Epler GR, Kelly EM: Systematic review of postradiotherapy bronchiolitis obliterans organizing pneumonia in women with breast cancer. Oncologist 19 (12): 1216-26, 2014.[PUBMED Abstract]
  25. National Cancer Institute: Common Terminology Criteria for Adverse Events (CTCAE), Version 5.0. Bethesda, Md: U.S. Department of Health and Human Services, National Institutes of Health, 2017. Available online. Last accessed April 10, 2019.[PUBMED Abstract]
  26. Bruera E, Ripamonti C: Dyspnea in patients with advanced cancer. In: Berger A, Portenoy RK, Weissman DE, eds.: Principles and Practice of Supportive Oncology. Philadelphia, Pa: Lippincott-Raven Publishers, 1998, pp 295-307.[PUBMED Abstract]
  27. Kloke M, Cherny N; ESMO Guidelines Committee: Treatment of dyspnoea in advanced cancer patients: ESMO Clinical Practice Guidelines. Ann Oncol 26 (Suppl 5): v169-73, 2015.[PUBMED Abstract]
  28. Bruera E, MacEachern T, Ripamonti C, et al.: Subcutaneous morphine for dyspnea in cancer patients. Ann Intern Med 119 (9): 906-7, 1993.[PUBMED Abstract]
  29. Allard P, Lamontagne C, Bernard P, et al.: How effective are supplementary doses of opioids for dyspnea in terminally ill cancer patients? A randomized continuous sequential clinical trial. J Pain Symptom Manage 17 (4): 256-65, 1999.[PUBMED Abstract]
  30. Bruera E, Macmillan K, Pither J, et al.: Effects of morphine on the dyspnea of terminal cancer patients. J Pain Symptom Manage 5 (6): 341-4, 1990.[PUBMED Abstract]
  31. Cohen MH, Anderson AJ, Krasnow SH, et al.: Continuous intravenous infusion of morphine for severe dyspnea. South Med J 84 (2): 229-34, 1991.[PUBMED Abstract]
  32. Boyd KJ, Kelly M: Oral morphine as symptomatic treatment of dyspnoea in patients with advanced cancer. Palliat Med 11 (4): 277-81, 1997.[PUBMED Abstract]
  33. Zeppetella G: Nebulized morphine in the palliation of dyspnoea. Palliat Med 11 (4): 267-75, 1997.[PUBMED Abstract]
  34. Farncombe M, Chater S: Clinical application of nebulized opioids for treatment of dyspnoea in patients with malignant disease. Support Care Cancer 2 (3): 184-7, 1994.[PUBMED Abstract]
  35. Farncombe M, Chater S, Gillin A: The use of nebulized opioids for breathlessness: a chart review. Palliat Med 8 (4): 306-12, 1994.[PUBMED Abstract]
  36. Masood AR, Thomas SH: Systemic absorption of nebulized morphine compared with oral morphine in healthy subjects. Br J Clin Pharmacol 41 (3): 250-2, 1996.[PUBMED Abstract]
  37. Bruera E, de Stoutz N, Velasco-Leiva A, et al.: Effects of oxygen on dyspnoea in hypoxaemic terminal-cancer patients. Lancet 342 (8862): 13-4, 1993.[PUBMED Abstract]
  38. Bruera E, Schoeller T, MacEachern T: Symptomatic benefit of supplemental oxygen in hypoxemic patients with terminal cancer: the use of the N of 1 randomized controlled trial. J Pain Symptom Manage 7 (6): 365-8, 1992.[PUBMED Abstract]
  39. Abernethy AP, McDonald CF, Frith PA, et al.: Effect of palliative oxygen versus room air in relief of breathlessness in patients with refractory dyspnoea: a double-blind, randomised controlled trial. Lancet 376 (9743): 784-93, 2010.[PUBMED Abstract]
  40. Hui D, Morgado M, Chisholm G, et al.: High-flow oxygen and bilevel positive airway pressure for persistent dyspnea in patients with advanced cancer: a phase II randomized trial. J Pain Symptom Manage 46 (4): 463-73, 2013.[PUBMED Abstract]
  41. Nava S, Ferrer M, Esquinas A, et al.: Palliative use of non-invasive ventilation in end-of-life patients with solid tumours: a randomised feasibility trial. Lancet Oncol 14 (3): 219-27, 2013.[PUBMED Abstract]
  42. Moroni M, Porta C, Gualtieri G, et al.: Inhaled sodium cromoglycate to treat cough in advanced lung cancer patients. Br J Cancer 74 (2): 309-11, 1996.[PUBMED Abstract]
  43. Navigante AH, Cerchietti LC, Castro MA, et al.: Midazolam as adjunct therapy to morphine in the alleviation of severe dyspnea perception in patients with advanced cancer. J Pain Symptom Manage 31 (1): 38-47, 2006.[PUBMED Abstract]
  44. Peoples AR, Bushunow PW, Garland SN, et al.: Buspirone for management of dyspnea in cancer patients receiving chemotherapy: a randomized placebo-controlled URCC CCOP study. Support Care Cancer 24 (3): 1339-47, 2016.[PUBMED Abstract]
慢性咳嗽

慢性咳嗽が主な苦痛の原因である患者もいる。[ 1 ]慢性咳嗽は、痛みを引き起こし、睡眠を妨害し、呼吸困難を悪化させ、疲労を高める。咳嗽の原因は呼吸困難の原因と概ね同様に分類される。

緩和ケア患者における慢性咳嗽に対するアプローチの1つは、以下に要約する鑑別診断を検討することである:

慢性咳嗽の最適な治療法は、以下に示す基礎疾患の治療である:

オピオイドなどの鎮咳薬が、一般的に使用される。逸話的証拠では、慎重に、そして控えめに用いるべき噴霧型局所麻酔薬の役割を示唆している;それらの味は不快で、咽頭反射を鈍らせ、また、液剤中の防腐剤に対するアナフィラキシー反応が報告されている。オピオイドやデキストロメトルファンなどの非オピオイド型鎮咳薬は、相乗的に作用する可能性があるが、この仮説の確認にはさらなる研究が必要である。[ 1 ]ガバペンチンはプラセボと比較して難治性慢性咳嗽に対して効力を有することが明らかにされたが、この研究はがん患者に限定して実施されたわけではなかった。[ 2 ]

喀痰の多い症例には、去痰薬や粘液溶解薬が使用されるが、その効果は十分評価されていない。吸入型クロモグリク酸ナトリウムは、肺がんに関連する慢性咳嗽に対する安全な方法として有望視されている。[ 3 ]

参考文献
  1. Dudgeon DJ, Rosenthal S: Management of dyspnea and cough in patients with cancer. Hematol Oncol Clin North Am 10 (1): 157-71, 1996.[PUBMED Abstract]
  2. Ryan NM, Birring SS, Gibson PG: Gabapentin for refractory chronic cough: a randomised, double-blind, placebo-controlled trial. Lancet 380 (9853): 1583-9, 2012.[PUBMED Abstract]
  3. Moroni M, Porta C, Gualtieri G, et al.: Inhaled sodium cromoglycate to treat cough in advanced lung cancer patients. Br J Cancer 74 (2): 309-11, 1996.[PUBMED Abstract]
悪性胸水

意義

悪性胸水は悪性疾患のよくみられる合併症であり、悪性腫瘍が胸水貯留の原因であることも多い。症状のある胸水貯留の原因のざっと40%を悪性疾患が占め、他にはうっ血性心不全および感染がある。[ 1 ]肺がん、乳がん、リンパ腫、白血病が、すべての悪性腫瘍関連の胸水貯留原因のおよそ75%を占める。米国で年間100,000例が悪性胸水と診断され、100,000例の入院に対して43例で悪性胸水が発見されることからも、医療財源の有意義な使用は悪性胸水に左右される。[ 2 ]

発生機序

正常な胸腔には、2g/dLの蛋白を含む約10ccの液体が貯留している。胸水は、臓側胸膜と壁側胸膜の間の液体の異常貯留である。正常では、胸水は、肺静脈毛細血管により(80%-90%)吸収され、一部は胸膜リンパ管からも吸収される。悪性胸水は漏出性よりも滲出性であることが多い。滲出性胸水は以下の特徴の少なくとも1つを呈する:[ 3 ]

これらの滲出性悪性胸水は、一般的に胸膜転移、肺毛細血管内皮の破壊、または腫瘍による胸膜リンパ管の閉塞により引き起こされる。疑似悪性胸水(paramalignant effusion)は、化学療法、放射線療法、無気肺、またはリンパ節転移の結果起こりうる。

評価

悪性胸水に関連する一般的な症状には、呼吸困難、咳嗽、胸部の不快感などがある。約20%の患者が、体重減少や倦怠感を呈する。放射線による評価では、胸部X線が最もよく用いられる。約175ccの胸水でX線上、肋骨横隔膜角の鈍化が確認できる。胸部コンピュータ断層撮影(CT)は、胸部X線よりも感度がよく、被胞化胸水の評価にしばしば用いられる。症例によっては横隔膜下に500ccもの被胞化胸水がみられることがある。[ 1 ]

がん患者で発見される胸水が、すべて悪性胸水と診断されるわけではない。がん患者は、うっ血性心不全や肺炎、肺塞栓症、栄養失調、合併症としての血清アルブミン濃度の低下を起こしやすく、これらにより症候性の胸水貯留を来すことがあるが、その管理は悪性胸水の管理とはかなり異なる。したがって、細胞診による評価が重要となる。胸水の細胞診では、最低250ccのサンプルを要する。胸腔から得られた細胞の形態は、中皮やマクロファージの異常があるため、評価が困難である。胸水細胞診の診断学的感度はおよそ65%で、特異度は97%である。[ 1 ]胸水の評価にフローサイトメトリーが適用可能で、特にリンパ腫の評価では、しばしば有用となる。胸腔鏡検査および胸膜生検が確定診断のために必要とされることはほとんどないが、これらの技術は胸水の場所によってルーチンの胸水採取と評価が困難な場合は有用となろう。胸腔鏡下生検は、一般的に局所麻酔下で行われ、80%を超える収率を有し開胸術より合併症のリスクが低い。

悪性胸水の管理

治療すべきか、せざるべきか

胸水の存在は一般的に、切除不能ながん、進行がん、あるいは病状進行の指標となる。悪性胸水のある患者の生存期間中央値は、約3~4ヵ月である。[ 4 ][ 5 ]肺炎または無気肺の結果として生じる疑似悪性胸水が存在する可能性があるので、主要な治療方針の決定がなされる前に細胞診で確認すべきである。いったん細胞診で確認されると、管理戦略は原発巣およびこれまでの治療の数や種類によって決まる。例えば、未治療の小細胞がんまたは悪性リンパ腫の患者は、全身化学療法に非常に反応しやすいが、;しかしながら、既に化学療法を数レジメン試みられ不応性、あるいは再発性となった胃がんまたは卵巣がん患者では、全身化学療法から有意な緩和が得られにくい。

約4分の3の患者が、咳嗽、呼吸困難、および胸部の不快感などの症状を呈する。これらの患者は、胸水を減らすことにより恩恵を受けることがあり、それはパフォーマンスステータス、期待生存期間、リスク対利益に関する選好に依存する。胸水治療の効力に関する文献は解釈が難しいが、それはランダム化試験が不足していることと、対照のない試験において、効果判定基準および追跡期間やタイミングのばらつきが大きいからである。[ 6 ][ 7 ]一般的に、治療のゴールは、症状の緩和である。成功の指標には、胸水の完全排出、肺の再膨張、胸水の再貯留がないこと(すなわち、反応の持続期間)、および症状緩和の患者自身の報告がある。治療の選択は、患者の予後、機能状態、およびケアの目標により異なる。

胸腔穿刺

胸腔穿刺とは、胸水排出のために針を経皮的に穿刺することである。胸腔穿刺は、問題の永久的解決を期待したものではなく、むしろ激しい急性の症状を緩和するものである。また、胸腔穿刺は、症状が胸水に起因したものかがはっきりしないときに、胸水の排出が有益かどうかを判断する試みとして適切である。

大抵の場合、胸腔穿刺の数日後に胸水が再貯留する。再貯留率は30日目までに約98%である。[ 8 ]胸腔穿刺を繰り返し実行すると、出血、感染、気胸のリスクが高まる。他に起こりうる合併症としては、急速な肺の再膨張による非心原性の肺水腫(通常、1,500cc超の胸水を急速に排出した場合に起こる)、および壁側胸膜の穿通による迷走神経反射に起因した胸膜性のショックがある。これらの合併症のいずれも生命を脅かす可能性があり、特に心肺予備能力が低い患者においてはことさらである。

長期の常用トンネル胸腔カテーテル(tunneled pleural catheter)の留置

胸腔カテーテル留置(IPC)は、悪性胸水を有し、呼吸困難が胸腔穿刺に反応している患者に対して胸膜癒着術の代替となる。IPCは余命が短く、胸膜感染を来しており、多房性の貯留が認められ、乳び胸を有する患者では相対禁忌である。長期の留置型常用トンネル胸腔カテーテルの挿入は、肺膨張不全(trapped lung)を示す患者など、再発性の症状のある悪性胸水に対して有用である。こうしたトンネル胸腔カテーテルにより最大96%の患者で症状改善が達成され、最大44%の患者で自発的な胸膜癒着が起こる。[ 9 ]公表された結果から、IPCを受けた患者では入院期間(1日)がドキシサイクリンを用いる胸膜癒着群(6日)と比較して有意に短かったことが示されている。IPC群では、自発的な胸膜癒着が患者91人中42人で達成された。IPC群とドキシサイクリンを用いる胸膜癒着群の双方とも、QOLおよび呼吸困難のわずかな改善を報告した。[ 10 ]IPCとタルクを用いる胸膜癒着とを比較したランダム化比較試験により、呼吸困難の軽減(100mmの24mm)とQOLは同程度であったことが示された。[ 11 ]IPCを用いた場合の方が最初の入院期間が短く、再治療率が低く、自発的な胸膜癒着率は51%であった。しかしながら、感染症やカテーテル閉塞といった有害作用の割合も高かった。IPCと胸膜癒着術との選択は、患者の好みと施設で利用可能な資源に基づいて決定すべきである。

チェストチューブドレナージ後の胸膜硬化薬の使用

化学硬化薬は、胸腔ドレーンから投与され、炎症を起こして壁側胸膜と臓側胸膜を癒着させ、それにより胸水が胸腔に再び貯留しないようにする。この種の癒着は、胸膜癒着と呼ばれる。胸膜癒着を作り出すために必要な刺激を引き起こすことができる化学硬化薬は、数多く存在する。理想の薬剤は、最小限の費用と最小限の副作用で、効果的な胸膜癒着を作り出すものと言える。これまでに効果が検討されたのは、化学療法薬(ブレオマイシン、シスプラチン、エトポシド、ドキソルビシン、マイトマイシンC、フルオロウラシル)、抗生物質(ドキシサイクリン、ミノサイクリン、テトラサイクリン)、感染性物質(コリネバクテリウム-パルバム)、生物学的製剤(インターフェロンベータ、インターロイキン-2)、ウシ皮由来コラーゲン[ 12 ][証拠レベル:II]、およびその他としてタルク、メチルプレドニゾロンがある。多くのランダム化試験で報告しているように[ 13 ][ 14 ][ 15 ][証拠レベル:II];[ 16 ][ 17 ]、数件の対照をもたない試験とケースシリーズでも、胸膜癒着の効果が報告されている。[ 18 ][ 19 ][ 20 ][ 21 ][ 22 ][ 23 ][ 24 ][証拠レベル:I]1966年から1992年の間に報告された胸膜癒着の研究に関するメタアナリシスでは、約3分の2の患者が胸膜癒着に反応すること、およびテトラサイクリン(または、ドキシサイクリンやミノサイクリンなど、テトラサイクリン代用薬)、ブレオマイシン、タルクが最も有効な薬物のようであると示されている。[ 25 ]33人の悪性胸水の患者を対象にしたタルク vs ドキシサイクリンのビデオ補助胸腔鏡下胸膜癒着術のプロスペクティブ・ランダム化研究では、タルクの方が短期および長期結果が優れていることが示唆されている。[ 26 ][証拠レベル:I]タルクは、少なくともビデオ補助胸腔鏡を用いた吹送ではなくスラリー状で投与される場合は、最も安価な薬物のようである。[ 24 ][証拠レベル:I]しかしながら、胸水の再発予防で米国食品医薬品局に承認されている薬物は、ブレオマイシンだけである。[ 1 ]観察コホート研究により、小房状胸水またはtrapped lungを認める患者48人に対する胸膜内へのウロキナーゼの使用が調査された。約60%の患者で肺の再膨張および呼吸困難の回復が認められたことから、胸膜内へのウロキナーゼは医学的に手術不能ながん患者における小房状胸水またはtrapped lungの治療に有用であることが示唆されている。反応が得られた患者のほとんどでは、ウロキナーゼ後にミノサイクリンを用いる胸膜癒着術を行うと、胸膜癒着の維持に成功した。[ 27 ][証拠レベル:II]

外科的治療

まれではあるが、悪性胸水に対する上述の治療法がうまく行かず、より積極的治療が効果的となる患者がいる。そういった治療法に、胸腔腹腔シャントがある。この手技では、一方向弁のついたシャントを埋め込み、液を胸膜から腹腔に移動させるが、それは腹腔では液による害が少なく、より簡単に吸収されるからである。他の意見としては、胸膜切除もあるが、この手技は全身麻酔を必要とする。他の治療関連の合併症と同様に、急性および慢性疼痛のリスクはほぼ20~25%で、1ヵ月死亡のリスクはほぼ5~10%である。[ 2 ]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
  1. Maghfoor I, Doll DC, Yarbro JW: Effusions. In: Abeloff MD, Armitage JO, Lichter AS, et al., eds.: Clinical Oncology. New York, NY: Churchill Livingstone, 2000, pp 922-49.[PUBMED Abstract]
  2. Fiocco M, Krasna MJ: The management of malignant pleural and pericardial effusions. Hematol Oncol Clin North Am 11 (2): 253-65, 1997.[PUBMED Abstract]
  3. Light RW: Useful tests on the pleural fluid in the management of patients with pleural effusions. Curr Opin Pulm Med 5 (4): 245-9, 1999.[PUBMED Abstract]
  4. Burrows CM, Mathews WC, Colt HG: Predicting survival in patients with recurrent symptomatic malignant pleural effusions: an assessment of the prognostic values of physiologic, morphologic, and quality of life measures of extent of disease. Chest 117 (1): 73-8, 2000.[PUBMED Abstract]
  5. Sahn SA: Malignant pleural effusions. Semin Respir Crit Care Med 22 (6): 607-16, 2001.[PUBMED Abstract]
  6. Tattersall M: Management of malignant pleural effusion. Aust N Z J Med 28 (3): 394-6, 1998.[PUBMED Abstract]
  7. Schafers SJ, Dresler CM: Update on talc, bleomycin, and the tetracyclines in the treatment of malignant pleural effusions. Pharmacotherapy 15 (2): 228-35, 1995 Mar-Apr.[PUBMED Abstract]
  8. Anderson CB, Philpott GW, Ferguson TB: The treatment of malignant pleural effusions. Cancer 33 (4): 916-22, 1974.[PUBMED Abstract]
  9. Tremblay A, Michaud G: Single-center experience with 250 tunnelled pleural catheter insertions for malignant pleural effusion. Chest 129 (2): 362-8, 2006.[PUBMED Abstract]
  10. Putnam JB Jr, Light RW, Rodriguez RM, et al.: A randomized comparison of indwelling pleural catheter and doxycycline pleurodesis in the management of malignant pleural effusions. Cancer 86 (10): 1992-9, 1999.[PUBMED Abstract]
  11. Davies HE, Mishra EK, Kahan BC, et al.: Effect of an indwelling pleural catheter vs chest tube and talc pleurodesis for relieving dyspnea in patients with malignant pleural effusion: the TIME2 randomized controlled trial. JAMA 307 (22): 2383-9, 2012.[PUBMED Abstract]
  12. Akopov AL, Egorov VI, Varlamov VV, et al.: Thoracoscopic collagen pleurodesis in the treatment of malignant pleural effusions. Eur J Cardiothorac Surg 28 (5): 750-3, 2005.[PUBMED Abstract]
  13. Gravelyn TR, Michelson MK, Gross BH, et al.: Tetracycline pleurodesis for malignant pleural effusions. A 10-year retrospective study. Cancer 59 (11): 1973-7, 1987.[PUBMED Abstract]
  14. Markman M, Cleary S, King ME, et al.: Cisplatin and cytarabine administered intrapleurally as treatment of malignant pleural effusions. Med Pediatr Oncol 13 (4): 191-3, 1985.[PUBMED Abstract]
  15. Heffner JE, Standerfer RJ, Torstveit J, et al.: Clinical efficacy of doxycycline for pleurodesis. Chest 105 (6): 1743-7, 1994.[PUBMED Abstract]
  16. Holoye PY, Jeffries DG, Dhingra HM, et al.: Intrapleural etoposide for malignant effusion. Cancer Chemother Pharmacol 26 (2): 147-50, 1990.[PUBMED Abstract]
  17. Ostrowski MJ, Priestman TJ, Houston RF, et al.: A randomized trial of intracavitary bleomycin and Corynebacterium parvum in the control of malignant pleural effusions. Radiother Oncol 14 (1): 19-26, 1989.[PUBMED Abstract]
  18. Martínez-Moragón E, Aparicio J, Rogado MC, et al.: Pleurodesis in malignant pleural effusions: a randomized study of tetracycline versus bleomycin. Eur Respir J 10 (10): 2380-3, 1997.[PUBMED Abstract]
  19. Emad A, Rezaian GR: Treatment of malignant pleural effusions with a combination of bleomycin and tetracycline. A comparison of bleomycin or tetracycline alone versus a combination of bleomycin and tetracycline. Cancer 78 (12): 2498-501, 1996.[PUBMED Abstract]
  20. Zimmer PW, Hill M, Casey K, et al.: Prospective randomized trial of talc slurry vs bleomycin in pleurodesis for symptomatic malignant pleural effusions. Chest 112 (2): 430-4, 1997.[PUBMED Abstract]
  21. Patz EF Jr, McAdams HP, Erasmus JJ, et al.: Sclerotherapy for malignant pleural effusions: a prospective randomized trial of bleomycin vs doxycycline with small-bore catheter drainage. Chest 113 (5): 1305-11, 1998.[PUBMED Abstract]
  22. Yim AP, Chan AT, Lee TW, et al.: Thoracoscopic talc insufflation versus talc slurry for symptomatic malignant pleural effusion. Ann Thorac Surg 62 (6): 1655-8, 1996.[PUBMED Abstract]
  23. Nio Y, Nagami H, Tamura K, et al.: Multi-institutional randomized clinical study on the comparative effects of intracavital chemotherapy alone versus immunotherapy alone versus immunochemotherapy for malignant effusion. Br J Cancer 80 (5-6): 775-85, 1999.[PUBMED Abstract]
  24. Noppen M, Degreve J, Mignolet M, et al.: A prospective, randomised study comparing the efficacy of talc slurry and bleomycin in the treatment of malignant pleural effusions. Acta Clin Belg 52 (5): 258-62, 1997.[PUBMED Abstract]
  25. Walker-Renard PB, Vaughan LM, Sahn SA: Chemical pleurodesis for malignant pleural effusions. Ann Intern Med 120 (1): 56-64, 1994.[PUBMED Abstract]
  26. Kuzdzał J, Sładek K, Wasowski D, et al.: Talc powder vs doxycycline in the control of malignant pleural effusion: a prospective, randomized trial. Med Sci Monit 9 (6): PI54-9, 2003.[PUBMED Abstract]
  27. Hsu LH, Soong TC, Feng AC, et al.: Intrapleural urokinase for the treatment of loculated malignant pleural effusions and trapped lungs in medically inoperable cancer patients. J Thorac Oncol 1 (5): 460-7, 2006.[PUBMED Abstract]
悪性心嚢液貯留

悪性心嚢液貯留はがん患者の最高21%に起こるが、[ 1 ][ 2 ][ 3 ]心タンポナーデの臨床徴候や症状が現れるまで疑われないことが多い。[ 4 ]患者の3分の2は無症状の心嚢液を有し、明らかな心血管性の徴候、症状を伴わない。[ 5 ][ 6 ]心嚢液貯留症例の2分の1は初期に心タンポナーデの症状を呈する。[ 7 ]症例の50%では、心嚢液貯留が悪性腫瘍発見の最初の徴候である。[ 8 ]心嚢液による症状はしばしば、ベースにあるがんに起因する。呼吸困難、疲労や無力症が初期の症状である。[ 9 ]症状を伴う心嚢液貯留はしばしば前終末期のイベントとなる;しかしながら、迅速な診断と管理により、かなりの症状緩和が期待しうる。

悪性心嚢液貯留患者のうち、50%は同時に胸水を伴い、3分の1は肺実質疾患を伴う。[ 4 ]

心膜転移のある患者の3分の1は最終的には心タンポナーデにより死亡する。[ 4 ]心膜への転移は、1962年に報告された1件のシリーズでは、患者の85%における死因であったが、最近のものでは患者46%における死因と減少していた。[ 10 ]診断および治療法の改善が、過去40年間における死亡率低下の理由である。

発生率と有病率

悪性心嚢液貯留は、一般的な悪性疾患を有する患者を対象とした剖検症例の最大21%の割合で発生している。[ 4 ][ 7 ]肺がん患者のうち、33%が剖検時に心膜転移を有しており、心膜転移症例の3分の1が肺がんに起因している。心嚢液貯留の25%は乳がんが原因であり、乳がん患者の約25%が心嚢液貯留を有する。悪性心嚢液貯留症例の15%は、血液の悪性疾患(白血病、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫)が原因である。[ 11 ]

24年間にわたる23,592例の体液貯留を調査した1件のレトロスペクティブ・レビューは、375例の心嚢液貯留のうち、65例(17%)が悪性心嚢液貯留であったと報告している。男性における悪性心嚢液貯留で、肺がんが最も多く発見されたがんであり、女性では乳がんが最も多かった。症例の43%において、心嚢液貯留が最初に検出されたがんの徴候であった。悪性心嚢液貯留と診断された患者のうち、86%が診断から一年以内に死亡し、このうち3分の1近くが最初の1ヵ月間に死亡する。[ 8 ]

がんと心嚢液貯留の両方を有する患者31人を対象とした1件の研究において、悪性心嚢液が58%を占め、32%は良性の特発性心膜炎によるもので、放射線性心膜炎によるものが症例の10%を占めた。[ 11 ][ 12 ]

病態生理学

がんの心膜への浸潤が、心嚢液貯留の最も一般的な原因であり、貯留は心嚢液の静脈・リンパ循環の閉塞から生じる。このような閉塞は、心膜中皮腫のような心膜原発の腫瘍や、血管肉腫、横紋筋肉腫、および悪性線維組織球症などの心臓腫瘍により引き起こされる。また、肺がんや食道がん、胸腺腫、リンパ腫といった悪性腫瘍の直接浸潤もまた、心膜浸潤の原因となる。[ 9 ]心膜へのリンパ行性または血行性転移は、乳がんおよび肺がん、白血病、リンパ腫、黒色腫で最もよく起こる。胸膜または心膜の原発腫瘍は、最近、原発性胸腔内悪性滲出と命名されている。[ 13 ]

心嚢液貯留の悪性疾患以外の原因には、心膜炎、心筋梗塞、尿毒症、甲状腺機能低下症、全身性ループスエリテマトーデス、外傷、術後の心嚢切開後症候群、および心膜内血腫がある。[ 14 ][ 15 ][ 16 ]AIDSもまた心膜炎に伴った心嚢液貯留を引き起こす。[ 17 ]放射線療法または化学療法薬は、心膜浸潤を伴わない心膜炎を引き起こしうる。放射線性心膜炎は通常30Gyを超える心膜窓への照射によって発生し[ 10 ]、ホジキン病または乳がんのために縦隔照射を受けた患者で最も頻繁に起こる。[ 10 ]ドキソルビシンとシクロホスファミドが、心嚢液貯留を伴う急性心膜炎発生の原因となる。[ 11 ][ 12 ]急性心膜炎を引き起こす可能性のある薬物は他に、プロカインアミド、ヒドララジン、イソニアジド、メチセルジド、フェニトイン、および抗凝固薬がある。

心タンポナーデは心膜腔への進行性の心嚢液貯留によって生じ、心膜内圧の上昇、心拍出量、一回拍出量の減少、心拡張期充満の進行性の減少、および治療しなければ死に至る血行動態不全を引き起こす。血行動態不全は、心嚢液の正常量(およそ15ccから50cc)が 200cc から1,800ccに増加したときに起こる。[ 15 ][ 18 ]急速な心嚢液貯留の場合、250ccほどの少ない量でもタンポナーデが起こりうる。[ 11 ][ 19 ]

心嚢液貯留の患者の93%において、呼吸困難が起こる。[ 6 ]咳嗽、胸痛、起座呼吸(横になると呼吸に苦痛を伴う)が一般的な症状である。心嚢液貯留の他の症状には、上腹部充満または下方向性の肝充満による圧迫、横隔膜にかかる圧力によるしゃっくり、または心膜の伸展による胸膜痛(特に横になったとき)がある。心嚢液貯留の徴候には、クスマウル徴候(吸気時の頸静脈怒張)、フライドリッヒ徴候(拡張期の静脈波の急速な下降)、および奇脈(吸気時に拡張期血圧が10mmHg以上減少する)がある。心膜摩擦音および発熱は、悪性疾患が原因の心嚢液貯留よりもそれ以外が原因の心嚢液貯留と関連性が高い。[ 9 ]

心タンポナーデの徴候には、頻脈、奇脈、頸静脈圧の上昇、低血圧がある;しかしながら、患者によってはこのようなことを伴わずにタンポナーデを呈することがある。[ 4 ]

診断

心嚢液の量が250ccを上回る場合[ 20 ]、胸部X線で心陰影の拡大を示すことがある[ 7 ];しかしながら、胸部X線では心機能不全またはタンポナーデの程度を判断することはできない。多房性の心嚢液貯留は、標準的な胸部X線正面像や側面像では判断できないこともある。[ 15 ]

心尖、剣状突起下、および傍胸骨経路の経胸壁心臓超音波検査で、関連する心膜腫瘤や炎症とともに心嚢液貯留との有無や量、質を評価することができる。中等度の心嚢液貯留では、Mモードまたは2次元心エコーにおいて、拡張期に10mmから20mmのエコーフリーの空間が見られ、重度では20mmを超える。[ 21 ][ 22 ]心エコー検査はまた、左右の心機能、および右心室、右心房の拡張期虚脱を判断することができる。[ 7 ]臨床的に意義のある心嚢液貯留を伴わない症例での大量の胸水による左心室虚脱が報告されているが[ 4 ][ 16 ][ 23 ][ 24 ]、経食道超音波心エコー検査は、心房壁が薄くて経胸壁超音波心エコー検査ではっきり見えない心房隣接部位での接着が原因の多胞性胸水に有益である。[ 4 ][ 16 ]

タンポナーデを伴う心嚢液貯留における心エコー検査所見では、右心房または右心室圧迫、あるいは左心房圧迫、左心室容積の減少、および深吸気時の下大静脈虚脱の欠如といったものがある。[ 6 ][ 25 ]心タンポナーデを予測する心エコー検査所見が報告されている。[ 26 ]右心房虚脱の感度は55~60%で、特異度は50~68%である。右心室拡張期虚脱の感度は38~48%と低いが、特異度は84~100%と高い。どちらの所見も100%の感度と特異度というわけではないので、臨床的に症状のある患者は、心エコー検査で決定的な所見がなくても、診断的心嚢穿刺を行うべきである。[ 4 ][ 27 ]ある研究では、右心房虚脱はわずか42%の患者にしか認められず、右心室虚脱は62%にしか認められなかった。[ 27 ]にもかかわらず、悪性心嚢液貯留の患者の80%において心嚢穿刺後に症状が緩和された。

心タンポナーデの診断で最も決定的な検査は、右心カテーテル時の全心腔間における拡張期圧の均等化である。[ 7 ]しかしながら、この侵襲的手技はタンポナーデの診断に不可欠ではない。

心嚢液貯留の患者における心電図所見では、典型的には全誘導においてQRS振幅の減少がみられる。心タンポナーデを呈する大量の心嚢液貯留があるときの古典的だがあまり見られない所見としては、心電図上の連続した拍動におけるP波とQRS波の振幅の変動であり、電気的交互脈と呼ばれる。この所見は、心膜腔内での心臓の動きから生じる。[ 6 ]心電図検査は、心嚢液貯留の診断で十分な感度をもたない。

心嚢液の細胞診は、悪性心嚢液貯留の診断において80~90%の精度を有する。[ 6 ][ 28 ]リンパ腫および中皮腫では、細胞診での偽陰性率が高くなる。[ 6 ][ 29 ]心嚢液の細胞診は、既にがんと診断され心嚢液貯留を有する患者において、最大100%の特異度をもつが、感度は57~100%[ 10 ][証拠レベル:II]と幅がある。心嚢液貯留の悪性疾患以外の原因が、がんと心嚢液貯留の診断を受けた患者の42~62%で認められうるので、心嚢液の細胞診での陰性との結果で、非悪性の原因から悪性を鑑別することはできない。複数の細胞学的評価(サイトスピンによる標本の濃縮や特殊マーカーの使用、またはDNA量の分析)では、単一の評価より診断率が高くなる;しかしながら、215人の患者のレトロスペクティブ研究によると、同じ技術を用いた複数の評価で診断率を有意に高くはならなかった。[ 30 ]80の標本による調査で、フローサイトメトリーによる心嚢液のDNA指数の測定は、ルーチンの細胞診での感度98.5%、特異度92.3%と比較して、感度94.8%で、特異度100%であった。[ 31 ][証拠レベル:II]心膜生検は、悪性疾患に由来する心嚢液貯留の診断の感度を高めうる。しかしながら、心嚢液貯留は通常進行がんで起こり、他の部位への転移病巣よりも、より短い生存期間を予見させるので、評価の範囲および治療方針を決定するに当たり、診断よりもむしろ症状の緩和を優先要素とすべきである。2件の研究では、心嚢液細胞診の結果によって心嚢水貯留がん患者の生存期間に差が示されなかった。[ 10 ][ 32 ]

I期食道がんで放射線および化学療法を受けた患者を対象にした研究において、心嚢液貯留を発症する危険因子としては、高齢、より高い心臓周囲容積30(30Gyを超える照射を受けた心臓容積は41.6%以上であった)、高い肥満指数、および糖尿病が挙げられた。[ 33 ]

治療

悪性心嚢液貯留またはタンポナーデの最適な治療法を実証した大規模ランダム化比較プロスペクティブ臨床試験はない。したがって治療は、症状の緩和を最大限にし、QOLへの影響を最小限にするために、患者個人に応じて行われるべきである。治療法選択肢としては、経皮的心嚢穿刺、経皮的バルーン心膜切開術、心膜硬化、剣状突起下心嚢開窓術、心膜切除術、または開胸術や胸腔鏡下による心嚢切開術がある。治療法の選択にあたっては、タンポナーデの緩和、侵襲を最小限にすること、費用、合併症、安全性、進行がんの患者の入院期間を短くすること、そして患者の予後などを考慮すべきである。[ 34 ][証拠レベル:III]

治療のゴールとして、QOLとのバランスを図った上で生存期間予測が短いために侵襲性の低い保存的アプローチを必要とする状況でなければ、症状のある大量の悪性心嚢液貯留に対してはドレナージが行われる。タンポナーデの治療が必要な場合、緊急性を要する状況では、経皮的剣状突起下心嚢穿刺が選択すべき治療となる。心エコーは、カテーテル挿入時のガイドに使用することが推奨される。[ 6 ][ 35 ]カテーテルドレナージが、大量の心嚢液貯留に対して急速な再貯留とそれによるタンポナーデを予防するため、および患者の予期された生存のために推奨される。

心嚢液の再貯留は、心嚢穿刺後の患者の21%[ 36 ]~50%[ 34 ][ 35 ]でみられる。少数のケースシリーズが、30日時点の心嚢液再貯留の割合を、心膜ドレナージを行っただけの患者では50%を超え、心膜ドレナージに続き硬化薬やリン-コロイドを用いた心膜内治療を行った場合5~33%の範囲となることを示した。[ 34 ][ 35 ]

長期カテーテルドレナージは心嚢液再貯留の回避に有効な場合がある;ただし、そのメカニズムは不明である。1件のシリーズにより、中央値で39日経過時に30%の患者で再貯留が報告された。別のシリーズで、追跡1年以内の心嚢液の再貯留率は13%であったことが報告された。[ 37 ][ 38 ]

長期カテーテルドレナージは数日間継続可能である。[ 38 ][ 39 ]カテーテルは、ドレナージが最小限(24時間で25~50mL未満)から0になるまでその部位に留置すべきである。悪性心嚢液が認められ、心エコーガイド下心嚢穿刺に続き持続的カテーテルドレナージを受けた患者171人の1件のシリーズにおいて、カテーテル排出量が非常に少なくなるまでの平均時間(24時間で50mL未満)は約3日であることが示されている。[ 39 ]再貯留を防ぐ他の治療法選択肢には、心膜腔をなくすための心膜硬化、または心膜腔から排水する心嚢液量を増加させるための心膜切開がある。悪性心嚢液貯留に対する最も効果的な硬化薬は、成功率が最大80%のテトラサイクリンとされてきた[ 6 ];しかしながら、この薬物はもはや静脈内投与には米国で利用できない。使用されている代替硬化薬には、ドキシサイクリン、[ 40 ]ブレオマイシン、チオテパ、[ 35 ][ 41 ][証拠レベル:II]カルボプラチン、[ 42 ][証拠レベル:II]ミトキサントロン、[ 43 ]ドセタキセル、および放射性リン酸クロム(P32)がある。ほとんどの症例では、十分な硬化を達成するために3回以上の処置を必要とする。心膜硬化を受けた患者の16%が、かなりの痛みを報告している。[ 6 ]さまざまな硬化薬の副作用(例、胸痛および不整脈)について配慮が必要である。心膜硬化療法を受けた患者のうち70~80%では、この処置後30日以内の心嚢液の再貯留は生じていない。[ 35 ]

60人の患者において硬化療法を伴う心嚢穿刺と開胸ドレナージとをレトロスペクティブに比較した結果では、両治療群で、治療の合併症、再貯留の発生、治療後の生存期間に関して類似した割合であった。[ 44 ]59人のレトロスペクティブ・レビューでもまた、外科的剣状突起下心嚢開窓術を行われた患者と、心膜硬化療法を伴うまたは伴わない心嚢穿刺が行われた患者で類似した成功率であった。[ 34 ]心嚢穿刺に続き心嚢開窓術を受けた患者の生存期間が最も長く、中央値で6ヵ月であった;しかしながら、その生存期間の長さは、パフォーマンスステータスのよい患者が積極的な外科的治療を受けるという選択バイアスが寄与している可能性がある。この外科手技群の治療費は平均$4,830で、心嚢穿刺が行われた患者の$1,625と比べると有意に高かった。[ 34 ]他の研究で、硬化療法による死亡、再発、生存率が報告されているが、それらは剣状突起下心嚢開窓術や胸腔鏡下手技のそれらと比べ同等かわずかに低いだけである。[ 44 ][ 45 ][ 46 ][証拠レベル:II][ 34 ][証拠レベル:III]進行がんの患者や機能状態が不良な患者においては、硬化療法を伴うまたは伴わない心嚢穿刺を、侵襲性が高い手技の代わりに検討すべきである。[ 47 ]

経皮的バルーン心嚢開窓は、外科的開胸アプローチより侵襲性の少ない技術で、それには剣状突起下心嚢開窓術、心膜胸膜瘻形成を行う開胸術、[ 48 ]および心嚢切除を行う開胸術がある。

ビデオ下心膜腔鏡(pericardioscopy)は、悪性心嚢液の診断について97%の感度を有する。[ 49 ]心膜腔鏡(pericardioscopy)もまた、多房性心嚢液のドレナージに有用である。[ 50 ][証拠レベル:II]胸腔鏡は、より侵襲性の高い外科的処置より望ましく、症状を伴う心嚢液の制御のために心嚢穿刺を繰り返し施行する必要がある患者に検討するべきである。[ 47 ]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

参考文献
  1. Lam KY, Dickens P, Chan AC: Tumors of the heart. A 20-year experience with a review of 12,485 consecutive autopsies. Arch Pathol Lab Med 117 (10): 1027-31, 1993.[PUBMED Abstract]
  2. Silvestri F, Bussani R, Pavletic N, et al.: Metastases of the heart and pericardium. G Ital Cardiol 27 (12): 1252-5, 1997.[PUBMED Abstract]
  3. Galli M, Politi A, Jemoli R, et al.: Transcatheter management of cardiac and pericardial metastatic involvement. G Ital Cardiol 28 (6): 687-90, 1998.[PUBMED Abstract]
  4. Shepherd FA: Malignant pericardial effusion. Curr Opin Oncol 9 (2): 170-4, 1997.[PUBMED Abstract]
  5. Bisel HF, Wroblewski F, Ladue JS: Incidence and clinical manifestations of cardiac metastases. J Am Med Assoc 153 (8): 712-5, 1953.[PUBMED Abstract]
  6. Fiocco M, Krasna MJ: The management of malignant pleural and pericardial effusions. Hematol Oncol Clin North Am 11 (2): 253-65, 1997.[PUBMED Abstract]
  7. DeCamp MM Jr, Mentzer SJ, Swanson SJ, et al.: Malignant effusive disease of the pleura and pericardium. Chest 112 (4 Suppl): 291S-295S, 1997.[PUBMED Abstract]
  8. García-Riego A, Cuiñas C, Vilanova JJ: Malignant pericardial effusion. Acta Cytol 45 (4): 561-6, 2001 Jul-Aug.[PUBMED Abstract]
  9. Warren WH: Malignancies involving the pericardium. Semin Thorac Cardiovasc Surg 12 (2): 119-29, 2000.[PUBMED Abstract]
  10. Wang PC, Yang KY, Chao JY, et al.: Prognostic role of pericardial fluid cytology in cardiac tamponade associated with non-small cell lung cancer. Chest 118 (3): 744-9, 2000.[PUBMED Abstract]
  11. Chiles C, Woodard PK, Gutierrez FR, et al.: Metastatic involvement of the heart and pericardium: CT and MR imaging. Radiographics 21 (2): 439-49, 2001 Mar-Apr.[PUBMED Abstract]
  12. Posner MR, Cohen GI, Skarin AT: Pericardial disease in patients with cancer. The differentiation of malignant from idiopathic and radiation-induced pericarditis. Am J Med 71 (3): 407-13, 1981.[PUBMED Abstract]
  13. Ang P, Tan EH, Leong SS, et al.: Primary intrathoracic malignant effusion: a descriptive study. Chest 120 (1): 50-4, 2001.[PUBMED Abstract]
  14. Guberman BA, Fowler NO, Engel PJ, et al.: Cardiac tamponade in medical patients. Circulation 64 (3): 633-40, 1981.[PUBMED Abstract]
  15. Beauchamp KA: Pericardial tamponade: an oncologic emergency. Clin J Oncol Nurs 2 (3): 85-95, 1998.[PUBMED Abstract]
  16. D'Cruz IA, Kanuru N: Echocardiography of serous effusions adjacent to the heart. Echocardiography 18 (5): 445-56, 2001.[PUBMED Abstract]
  17. White CS: MR evaluation of the pericardium and cardiac malignancies. Magn Reson Imaging Clin N Am 4 (2): 237-51, 1996.[PUBMED Abstract]
  18. Celermajer DS, Boyer MJ, Bailey BP, et al.: Pericardiocentesis for symptomatic malignant pericardial effusion: a study of 36 patients. Med J Aust 154 (1): 19-22, 1991.[PUBMED Abstract]
  19. Hancock EW: Neoplastic pericardial disease. Cardiol Clin 8 (4): 673-82, 1990.[PUBMED Abstract]
  20. Mercé J, Sagristà-Sauleda J, Permanyer-Miralda G, et al.: Correlation between clinical and Doppler echocardiographic findings in patients with moderate and large pericardial effusion: implications for the diagnosis of cardiac tamponade. Am Heart J 138 (4 Pt 1): 759-64, 1999.[PUBMED Abstract]
  21. Weitzman LB, Tinker WP, Kronzon I, et al.: The incidence and natural history of pericardial effusion after cardiac surgery--an echocardiographic study. Circulation 69 (3): 506-11, 1984.[PUBMED Abstract]
  22. Sagristà-Sauleda J, Mercé J, Permanyer-Miralda G, et al.: Clinical clues to the causes of large pericardial effusions. Am J Med 109 (2): 95-101, 2000.[PUBMED Abstract]
  23. Kisanuki A, Shono H, Kiyonaga K, et al.: Two-dimensional echocardiographic demonstration of left ventricular diastolic collapse due to compression by pleural effusion. Am Heart J 122 (4 Pt 1): 1173-5, 1991.[PUBMED Abstract]
  24. Kaplan LM, Epstein SK, Schwartz SL, et al.: Clinical, echocardiographic, and hemodynamic evidence of cardiac tamponade caused by large pleural effusions. Am J Respir Crit Care Med 151 (3 Pt 1): 904-8, 1995.[PUBMED Abstract]
  25. Himelman RB, Kircher B, Rockey DC, et al.: Inferior vena cava plethora with blunted respiratory response: a sensitive echocardiographic sign of cardiac tamponade. J Am Coll Cardiol 12 (6): 1470-7, 1988.[PUBMED Abstract]
  26. Chong HH, Plotnick GD: Pericardial effusion and tamponade: evaluation, imaging modalities, and management. Compr Ther 21 (7): 378-85, 1995.[PUBMED Abstract]
  27. Cooper JP, Oliver RM, Currie P, et al.: How do the clinical findings in patients with pericardial effusions influence the success of aspiration? Br Heart J 73 (4): 351-4, 1995.[PUBMED Abstract]
  28. Meyers DG, Meyers RE, Prendergast TW: The usefulness of diagnostic tests on pericardial fluid. Chest 111 (5): 1213-21, 1997.[PUBMED Abstract]
  29. Thurber DL, Edwards JE, Achor RW: Secondary malignant tumors of the pericardium. Circulation 26: 228-41, 1962.[PUBMED Abstract]
  30. Garcia LW, Ducatman BS, Wang HH: The value of multiple fluid specimens in the cytological diagnosis of malignancy. Mod Pathol 7 (6): 665-8, 1994.[PUBMED Abstract]
  31. Decker D, Stratmann H, Springer W, et al.: Benign and malignant cells in effusions: diagnostic value of image DNA cytometry in comparison to cytological analysis. Pathol Res Pract 194 (11): 791-5, 1998.[PUBMED Abstract]
  32. Okamoto H, Shinkai T, Yamakido M, et al.: Cardiac tamponade caused by primary lung cancer and the management of pericardial effusion. Cancer 71 (1): 93-8, 1993.[PUBMED Abstract]
  33. Tamari K, Isohashi F, Akino Y, et al.: Risk factors for pericardial effusion in patients with stage I esophageal cancer treated with chemoradiotherapy. Anticancer Res 34 (12): 7389-93, 2014.[PUBMED Abstract]
  34. Anderson TM, Ray CW, Nwogu CE, et al.: Pericardial catheter sclerosis versus surgical procedures for pericardial effusions in cancer patients. J Cardiovasc Surg (Torino) 42 (3): 415-9, 2001.[PUBMED Abstract]
  35. Martinoni A, Cipolla CM, Civelli M, et al.: Intrapericardial treatment of neoplastic pericardial effusions. Herz 25 (8): 787-93, 2000.[PUBMED Abstract]
  36. Tsang TS, Seward JB, Barnes ME, et al.: Outcomes of primary and secondary treatment of pericardial effusion in patients with malignancy. Mayo Clin Proc 75 (3): 248-53, 2000.[PUBMED Abstract]
  37. Allen KB, Faber LP, Warren WH, et al.: Pericardial effusion: subxiphoid pericardiostomy versus percutaneous catheter drainage. Ann Thorac Surg 67 (2): 437-40, 1999.[PUBMED Abstract]
  38. Patel N, Rafique AM, Eshaghian S, et al.: Retrospective comparison of outcomes, diagnostic value, and complications of percutaneous prolonged drainage versus surgical pericardiotomy of pericardial effusion associated with malignancy. Am J Cardiol 112 (8): 1235-9, 2013.[PUBMED Abstract]
  39. Lekhakul A, Assawakawintip C, Fenstad ER, et al.: Safety and Outcome of Percutaneous Drainage of Pericardial Effusions in Patients with Cancer. Am J Cardiol 122 (6): 1091-1094, 2018.[PUBMED Abstract]
  40. Vaitkus PT, Herrmann HC, LeWinter MM: Treatment of malignant pericardial effusion. JAMA 272 (1): 59-64, 1994.[PUBMED Abstract]
  41. Colleoni M, Martinelli G, Beretta F, et al.: Intracavitary chemotherapy with thiotepa in malignant pericardial effusions: an active and well-tolerated regimen. J Clin Oncol 16 (7): 2371-6, 1998.[PUBMED Abstract]
  42. Moriya T, Takiguchi Y, Tabeta H, et al.: Controlling malignant pericardial effusion by intrapericardial carboplatin administration in patients with primary non-small-cell lung cancer. Br J Cancer 83 (7): 858-62, 2000.[PUBMED Abstract]
  43. Norum J, Lunde P, Aasebø U, et al.: Mitoxantrone in malignant pericardial effusion. J Chemother 10 (5): 399-404, 1998.[PUBMED Abstract]
  44. Girardi LN, Ginsberg RJ, Burt ME: Pericardiocentesis and intrapericardial sclerosis: effective therapy for malignant pericardial effusions. Ann Thorac Surg 64 (5): 1422-7; discussion 1427-8, 1997.[PUBMED Abstract]
  45. Maher EA, Shepherd FA, Todd TJ: Pericardial sclerosis as the primary management of malignant pericardial effusion and cardiac tamponade. J Thorac Cardiovasc Surg 112 (3): 637-43, 1996.[PUBMED Abstract]
  46. Liu G, Crump M, Goss PE, et al.: Prospective comparison of the sclerosing agents doxycycline and bleomycin for the primary management of malignant pericardial effusion and cardiac tamponade. J Clin Oncol 14 (12): 3141-7, 1996.[PUBMED Abstract]
  47. Lin JC, Hazelrigg SR, Landreneau RJ: Video-assisted thoracic surgery for diseases within the mediastinum. Surg Clin North Am 80 (5): 1511-33, 2000.[PUBMED Abstract]
  48. Olson JE, Ryan MB, Blumenstock DA: Eleven years' experience with pericardial-peritoneal window in the management of malignant and benign pericardial effusions. Ann Surg Oncol 2 (2): 165-9, 1995.[PUBMED Abstract]
  49. Porte HL, Janecki-Delebecq TJ, Finzi L, et al.: Pericardoscopy for primary management of pericardial effusion in cancer patients. Eur J Cardiothorac Surg 16 (3): 287-91, 1999.[PUBMED Abstract]
  50. Millaire A, Wurtz A, de Groote P, et al.: Malignant pericardial effusions: usefulness of pericardioscopy. Am Heart J 124 (4): 1030-4, 1992.[PUBMED Abstract]
上大静脈症候群

概要

上大静脈症候群(SVCS)は、上大静脈(SVC)から右心房への血流に障害が生じることによって発現する一連の症状である。本症候群が直ちに疑われる症状には、呼吸困難、せきおよび顔面、頸部、上半身ならびに四肢の腫脹などがある。患者はまれに嗄声、胸痛、嚥下困難および喀血を訴えることがある。本症候群が発現したときにみられる身体的徴候は、頸静脈怒張、胸静脈怒張、顔面または上肢の浮腫、多血および頻呼吸である。チアノーゼ、ホルネル症候群および声帯麻痺もまれにみられることがある。[ 1 ]

SVCSは通常、局所進行気管支原性肺がんの徴候である。生存は患者の疾患の状態によって異なる。小細胞気管支原性肺がんを化学療法で治療した場合の平均生存期間は、SVCSの有無にかかわらずほぼ差はない(それぞれ42週間または40週間)。24ヵ月生存率は、SVCSを伴わない患者では9%、発症した患者では3%である。悪性腫瘍を放射線療法で治療した場合に症状の軽減が認められる患者は、非小細胞肺がんでは46%、小細胞気管支原性肺がんでは62%である。2年生存率は5%で、両グループともにほぼ同じである。[ 2 ]

SVCSを発症した非ホジキンリンパ腫患者の大部分は、適切な化学療法または集学的レジメンに反応する。

病因および生理

William Hunterが1757年にSVCSを初めて記載して以来、本症の原因疾患の範囲は結核および上行大動脈の梅毒性動脈瘤から悪性疾患に変化している。発表された最新のシリーズに報告されているSVCS症例のうち、ほぼ95%ががんに起因するものである;最も一般的な原因は小細胞気管支原性肺がんであり、次いで肺扁平上皮がん、肺腺がん、非ホジキンリンパ腫、肺大細胞がんの順となっている。[ 3 ]がん患者にSVCSが発症する原因のうち、非悪性の原因として大静脈内カテーテルまたはペースメーカーのワイヤに関連する血栓症がある。[ 4 ]特発性またはヒストプラスマ症による線維化性縦隔炎はまれにSVCSの原因となる。[ 5 ]そのほか、SVCSのまれな原因には、転移性胚細胞新生物、転移性乳がん、結腸がん、カポジ肉腫、食道がん、線維性中皮腫、ベーチェット症候群、胸腺腫、胸骨下甲状腺腫、ホジキンリンパ腫、サルコイドーシスがある。[ 6 ]

本症の発生を理解するためには、SVCの解剖学的構造およびSVCとその周辺リンパ節との位置関係に関する知見が不可欠である。SVCは中縦隔で左右の腕頭静脈が合流する部分に形成されている。SVCは下方に6~8cm走行し、右主気管支の前方を通って上右心房に入り、右主気管支の前方を走行する。SVCはその後部で、右主気管支の上方を越えて曲流している奇静脈と接合し、上行大動脈に対して後方、右側に位置する。縦隔の壁側胸膜はSVCの側方に位置し、狭い空間を作り、SVCは右傍気管、奇静脈、右肺門および気管支分岐部の各種リンパ節群と隣接する。SVC自体は壁が薄く、低圧下で血液が流れている。このため、リンパ節または上行大動脈が拡張すると、SVCは圧迫を受けて血流が緩除となり、完全閉塞の生じることがある。

本症の重症度は、閉塞が発現する速度および閉塞部位によって異なる。閉塞が急であるほど症状が重くなるのは、増大した血流に適応するために静脈側副血行路が拡張する時間がないためである。閉塞部位が奇静脈合流部の上部にある場合は、奇静脈系は容易に拡張して上大静脈からそれた血液に適応することができ、頭部、上肢および胸郭上部の静脈圧があまり上昇しないため、本症は著明ではない。閉塞部位が奇静脈合流部の下部にある場合は、血液は上腹部静脈および下大静脈を経由して心臓に還流しなければならず、それで静脈圧が上昇するため、症状および徴候の勢いが増す。[ 7 ]

SVCが閉塞したままでも、静脈側副血行路が長い時間をかけて広範囲に漸増することによって本症の寛解がみられることが、ある研究により示唆された。[ 8 ]

評価および診断

SVCSが認められたら、直ちに臨床的注意が重要となる。治療開始前に診断が確立されるべき理由は以下の通りである:[ 3 ]

気管閉塞が認められない場合は、SVCSは致死的な腫瘍学的救急ではないと考えられるため、確定診断に先立つ治療は正当化されない。

患者の初回評価としては、縦隔腫瘤および胸水、肺葉虚脱、または心拡大などの関連所見を検索する胸部X線検査を考える。胸郭のコンピュータ断層撮影(CT)スキャンは最も有用な診断情報が得られ、病変が及んだ縦隔リンパ節の解剖学的構造を明らかにできる。静脈の開存性および血栓の存在は、造影および高速スキャン技術により評価する。[ 9 ]施設によっては、閉塞の部位および性状を評価するのに、造影または核種による静脈造影、磁気共鳴画像法および超音波が有用である。

気管支原性肺がんが疑われる場合は、喀痰標本を採取すべきである。喀痰標本が陰性の場合は、最もアクセスしやすい臨床的に病変が及んだ部位から生検標本を採取する。生検法は、診断、腫瘍部位、患者の生理学的状態および施設で利用できる技術により異なる。気管支鏡検査、触知可能な頸部または鎖骨上リンパ節の生検、CTまたは超音波ガイドを利用した肺の腫瘤または縦隔リンパ節の針生検、縦隔鏡検査、縦隔切開、正中胸骨切開、ビデオ補助胸腔鏡検査および従来式の開胸などが含まれる。[ 10 ]生検所見は臨床医が適切な治療計画を立てるのに役立つ。

治療法の選択肢

SVCSの治療は、閉塞の病因、症状の重症度、患者の予後および治療に関する患者の選択ならびに目的によって異なる。閉塞の病因が明らかとなるまで、放射線療法または化学療法を始めるべきではない。ここで考察する治療は、悪性腫瘍に起因するSVCの閉塞に焦点を当てたものである。悪性腫瘍に起因する閉塞の治療は腫瘍の組織所見によって異なるので、組織診断がまだ済んでいない場合は、治療を開始する前にそれを実施すべきである。気道閉塞または脳浮腫がみられない場合は、評価のために治療が遅れても転帰に不利は生じないと考えられる。[ 1 ][ 11 ][ 12 ][ 13 ][ 14 ][ 15 ]SVCSの治療法を以下に挙げる。

内科的管理

側副血行が十分で症状が軽度の患者なら、治療の必要はない。病変が奇静脈上部にある場合、またはSVC閉塞が緩徐で側副血行路を通じて血液が十分循環している場合は、症状および徴候は安定しており、さらなる治療を行わなくても患者は苦痛を感じない。積極的な治療を望まない症状のある患者では、頭部の挙上ならびにコルチコステロイドおよび利尿剤の投与により一時的緩和が得られる。ステロイドは呼吸障害に有用と思われるが、その有効性を証明する決定的な研究はない。利尿薬は浮腫の症状の緩和をもたらすが、最終的には脱水などの全身合併症を引き起こすことがある。[ 9 ][ 16 ]

放射線療法

SVC閉塞の原因が化学療法に感受性を示さない腫瘍である場合は、放射線療法を実施すべきである。速やかな反応を得るには放射線の多分割照射による治療が有益であると考えられている。しかしながら、始めの数回の放射線療法に関しては、これまで考えられていた放射線分割線量を大きくする明白な必要性はないことが、ある研究により示されている。[ 17 ]多くの多分割法が使用されており、線量は10回で30Gyから25回で50Gyである。症状の軽快は小細胞肺がんでは62~80%と報告されているが、非小細胞肺がんでは約46%の患者に症状緩和がみられた。[ 2 ][ 18 ]ある研究では、8Gy/週で総線量24Gyの照射とした3週間のレジメンで、90%を超える患者に部分奏効または完全奏効がみられた。[ 19 ]

化学療法

リンパ腫または小細胞肺がんなど、化学療法に感受性を示すがんは化学療法が治療の選択である。SVCSは独立予後因子ではないと考えられるので、その有無により治療法を変えるべきではない。小細胞肺がん患者のSVCSでは、化学療法を速やかに開始することにより、完全奏効率と部分奏効率との合計を80%以上にすることができる。[ 2 ][ 18 ]

血栓溶解

部分閉塞静脈に血栓が形成されるとSVCSが発現することが示唆されてきた。SVC内に血栓があること明らかにされている患者の治療として、血栓切除術があり、組織プラスミノーゲンアクチベータ、またはストレプトキナーゼ、ウロキナーゼなどの血栓溶解薬を併用したり、しなかったりする。[ 1 ]

ステント留置

閉塞したSVCを再開通するために拡張式血管内留置ステントを使用した小規模な研究が数多く実施されている;しかし、プロスペクティブにデザインされた比較研究は発表されていない。[ 20 ]報告されている奏効率は約90%以上である。[ 21 ][証拠レベル:II]ステント留置後の抗凝固療法の必要性については見解の一致をみていない。治療プロトコルの一部として患者に抗凝固療法を用いたあるシリーズでは、抗凝固療法停止後に再閉塞を来した例が報告された。[ 22 ][証拠レベル:II]しかしながら、がん患者17人に抗凝固療法を実施せずにステント治療を行った別の研究では閉塞はみられなかった。[ 23 ][証拠レベル:II]

手術

閉塞したSVCのバイパス手術は、悪性疾患による閉塞よりも良性疾患による閉塞がある患者に適しているが[ 24 ]、悪性疾患による閉塞がある患者にも用いられている。

心理社会的考察

SVCSによって起こる症状、特に腫脹、嚥下困難、せきおよび嗄声のために、患者および家族はしばしば恐怖や不安を感じる。特に診断期間中は、症状の原因および緩和を得るための一時的処置に関する情報を患者および家族が必要としている。原因疾患が終末期であることを理由に積極的な治療を拒絶した場合には、患者および家族に症状の管理法を教える必要がある。

成人SVCS患者の大部分は肺がんに罹患しているため、SVCSの治療および心理的支援のアプローチでは、患者の予後、精神状態、ケアの目標および肺がんに起因した他の症状を考慮に入れるべきである。[ 25 ]

小児科的考察

本要約の他のセクションに記載したように、SVCSはSVCの圧迫または閉塞が原因となる症候群である;気管の圧迫は上縦隔症候群(SMS)と呼ばれる。小児SVCS患者ではSMSおよびSMSに起因する呼吸障害を起こすことがよくあるので、2つの症候群は小児診療ではほぼ同義となっている。[ 26 ][ 27 ]成人では気管および右主気管支は上大静脈よりは堅い構造物であるが、小児ではこの2つの構造物は圧迫をより受けやすい。加えて、小児の気管および気管支の比較的小さい管内径は少ししか浮腫に耐えられず、呼吸器症状が発現する。こうした呼吸器の問題が伴うため、小児のSVCSは成人のそれとは異なり、重篤な医学的緊急となる。

小児のSVCSに最もよくみられる症状は成人とほぼ同じであり、せき、嗄声、呼吸困難、起坐呼吸および胸痛である。症状として頻度は低いが重篤度は高いものに、不安、錯乱、無気力、頭痛、視力障害、耳閉感、特に失神が挙げられる。[ 26 ]

SVCSは小児ではまれで、悪性縦隔腫瘍のある小児患者のうち、12%に発現すると思われる。[ 28 ][ 29 ]小児SVCSの病因、診断および治療は成人とは異なる。成人SVCSの最も多い原因は気管支原性肺がんであるが[ 3 ]、小児SVCSの最も多い悪性の原因は非ホジキンリンパ腫である。成人と同様に、良性疾患の頻繁な原因は、カテーテルの静脈挿入に起因する血栓症である。[ 26 ]

SVCSの診断を確立するには、身体診察、胸部X線撮影および患者の病歴で通常は十分である。リンパ腫または他の悪性疾患が疑われる場合は、診断用に組織標本を採取することが望ましい。しかしながら、標本を採取する処置は重大なリスクを伴い臨床的に実行性がないことがある。小児SVCS患者の全身麻酔に対する耐容性は、それに伴う心血管または肺の変化がSVCSを悪化させ挿管がしばしば不可能になるために、不良である。また、抜管が困難、または不可能であるために、長期にわたる気道確保(挿管)が必要となる。麻酔リスクを評価するには、気管の寸法を測定する胸部CTスキャン、立位および仰臥位での超音波心臓検査および流量ループが役立つ。麻酔は重大なリスクを伴うため、診断には可能な限り侵襲性の低い手段を用いるべきである。[ 30 ]段階的に診断を進める方法を示唆する報告が発表されている。[ 26 ]

悪性腫瘍が原因のSVCSは、組織診断を確立する機会のない医学的緊急の状況となることがある。このような症例では、生検の前に経験的治療を開始することが最も適切なコースである。伝統的な経験的治療はX線照射で、腫瘍の推定放射線感受性により日線量を決める。小児の管腔は細く浮腫に適応できないため、また小児がんは急速に進行するために発現時の浮腫が大きいことから、放射線照射後に明らかな気管腫脹から呼吸減弱を呈することがある。これらの状況では、体表面積平方メートル当たり10mgのプレドニゾンの1日4回投与コースが必要であろう。[ 26 ]

放射線療法のほかに、ステロイド、シクロホスファミドまたは両剤をアントラサイクリンおよびビンクリスチンと併用する化学療法がSVCSの経験的療法となっている。[ 26 ]腫瘍が反応しない場合は、良性病変のことがある。

手術が必要な場合は、患者にセミファウラー位をとらせた上で、外科医に患者の体位を側位または腹臥位に速やかに変更させて施行すべきである。人工心肺装置および硬性気管支鏡が直ちに利用できる能力がなければならない。[ 30 ]

参考文献
  1. Gauden SJ: Superior vena cava syndrome induced by bronchogenic carcinoma: is this an oncological emergency? Australas Radiol 37 (4): 363-6, 1993.[PUBMED Abstract]
  2. Urban T, Lebeau B, Chastang C, et al.: Superior vena cava syndrome in small-cell lung cancer. Arch Intern Med 153 (3): 384-7, 1993.[PUBMED Abstract]
  3. Yellin A, Rosen A, Reichert N, et al.: Superior vena cava syndrome. The myth--the facts. Am Rev Respir Dis 141 (5 Pt 1): 1114-8, 1990.[PUBMED Abstract]
  4. Gray BH, Olin JW, Graor RA, et al.: Safety and efficacy of thrombolytic therapy for superior vena cava syndrome. Chest 99 (1): 54-9, 1991.[PUBMED Abstract]
  5. Goodwin RA, Nickell JA, Des Prez RM: Mediastinal fibrosis complicating healed primary histoplasmosis and tuberculosis. Medicine (Baltimore) 51 (3): 227-46, 1972.[PUBMED Abstract]
  6. Yahalom J: Oncologic emergencies: superior vena cava syndrome. In: DeVita VT, Hellman S, Rosenberg SA, eds.: Cancer: Principles and Practice of Oncology. Philadelphia: JB Lippincott Company, 4th Edition, 1993, pp 2111-2118.[PUBMED Abstract]
  7. Netter FH: Superior vena cava syndrome. In: Netter FH: The CIBA Collection of Medical Illustrations: Respiratory System. Newark, NJ: CIBA Pharmaceutical Company, 1980, pp 164.[PUBMED Abstract]
  8. Ahmann FR: A reassessment of the clinical implications of the superior vena caval syndrome. J Clin Oncol 2 (8): 961-9, 1984.[PUBMED Abstract]
  9. Abner A: Approach to the patient who presents with superior vena cava obstruction. Chest 103 (4 Suppl): 394S-397S, 1993.[PUBMED Abstract]
  10. Hsu JW, Chiang CD, Hsu WH, et al.: Superior vena cava syndrome in lung cancer: an analysis of 54 cases. Gaoxiong Yi Xue Ke Xue Za Zhi 11 (10): 568-73, 1995.[PUBMED Abstract]
  11. Chen JC, Bongard F, Klein SR: A contemporary perspective on superior vena cava syndrome. Am J Surg 160 (2): 207-11, 1990.[PUBMED Abstract]
  12. Stanford W, Doty DB: The role of venography and surgery in the management of patients with superior vena cava obstruction. Ann Thorac Surg 41 (2): 158-63, 1986.[PUBMED Abstract]
  13. Salsali M, Cliffton EE: Superior vena caval obstruction with lung cancer. Ann Thorac Surg 6 (5): 437-42, 1968.[PUBMED Abstract]
  14. Schraufnagel DE, Hill R, Leech JA, et al.: Superior vena caval obstruction. Is it a medical emergency? Am J Med 70 (6): 1169-74, 1981.[PUBMED Abstract]
  15. Shimm DS, Logue GL, Rigsby LC: Evaluating the superior vena cava syndrome. JAMA 245 (9): 951-3, 1981.[PUBMED Abstract]
  16. Baker GL, Barnes HJ: Superior vena cava syndrome: etiology, diagnosis, and treatment. Am J Crit Care 1 (1): 54-64, 1992.[PUBMED Abstract]
  17. Chan RH, Dar AR, Yu E, et al.: Superior vena cava obstruction in small-cell lung cancer. Int J Radiat Oncol Biol Phys 38 (3): 513-20, 1997.[PUBMED Abstract]
  18. Würschmidt F, Bünemann H, Heilmann HP: Small cell lung cancer with and without superior vena cava syndrome: a multivariate analysis of prognostic factors in 408 cases. Int J Radiat Oncol Biol Phys 33 (1): 77-82, 1995.[PUBMED Abstract]
  19. Rodrigues CI, Njo KH, Karim AB: Hypofractionated radiation therapy in the treatment of superior vena cava syndrome. Lung Cancer 10 (3-4): 221-8, 1993.[PUBMED Abstract]
  20. Tanigawa N, Sawada S, Mishima K, et al.: Clinical outcome of stenting in superior vena cava syndrome associated with malignant tumors. Comparison with conventional treatment. Acta Radiol 39 (6): 669-74, 1998.[PUBMED Abstract]
  21. Nicholson AA, Ettles DF, Arnold A, et al.: Treatment of malignant superior vena cava obstruction: metal stents or radiation therapy. J Vasc Interv Radiol 8 (5): 781-8, 1997 Sep-Oct.[PUBMED Abstract]
  22. Dyet JF, Nicholson AA, Cook AM: The use of the Wallstent endovascular prosthesis in the treatment of malignant obstruction of the superior vena cava. Clin Radiol 48 (6): 381-5, 1993.[PUBMED Abstract]
  23. Irving JD, Dondelinger RF, Reidy JF, et al.: Gianturco self-expanding stents: clinical experience in the vena cava and large veins. Cardiovasc Intervent Radiol 15 (5): 328-33, 1992 Sep-Oct.[PUBMED Abstract]
  24. Doty DB: Bypass of superior vena cava: Six years' experience with spiral vein graft for obstruction of superior vena cava due to benign and malignant disease. J Thorac Cardiovasc Surg 83 (3): 326-38, 1982.[PUBMED Abstract]
  25. Holland JC: Lung Cancer. In: Holland JC, Rowland JH, eds.: Handbook of Psychooncology: Psychological Care of the Patient With Cancer. New York, NY: Oxford University Press, 1989, pp 180-187.[PUBMED Abstract]
  26. Lange B, O'Neill JA, D'Angio G, et al.: Oncologic emergencies. In: Pizzo PA, Poplack DG: Principles and Practice of Pediatric Oncology. 2nd ed. Philadelphia, Pa: JB Lippincott, 1993, pp 951-972.[PUBMED Abstract]
  27. Ingram L, Rivera GK, Shapiro DN: Superior vena cava syndrome associated with childhood malignancy: analysis of 24 cases. Med Pediatr Oncol 18 (6): 476-81, 1990.[PUBMED Abstract]
  28. Pokorny WJ, Sherman JO: Mediastinal masses in infants and children. J Thorac Cardiovasc Surg 68 (6): 869-75, 1974.[PUBMED Abstract]
  29. King RM, Telander RL, Smithson WA, et al.: Primary mediastinal tumors in children. J Pediatr Surg 17 (5): 512-20, 1982.[PUBMED Abstract]
  30. Neuman GG, Weingarten AE, Abramowitz RM, et al.: The anesthetic management of the patient with an anterior mediastinal mass. Anesthesiology 60 (2): 144-7, 1984.[PUBMED Abstract]
本要約の変更点(06/25/2019)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

進行がん患者の呼吸困難

進行がん患者において呼吸困難の原因となる腫瘍による直接的影響として、閉塞後性肺炎が追加された。

本文に、進行がん患者における呼吸困難の原因として免疫療法関連肺炎に関する記述が追加された(引用、参考文献13としてNaidoo et al.および参考文献14としてKhunger et al.)。

本文に、抗プログラム細胞死-1および抗プログラム死リガンド1モノクローナル抗体で治療された患者における肺炎の研究に関する記述が追加された。

呼吸困難の潜在的要因である腫瘍による閉塞の例として、閉塞後性肺炎が追加された。

呼吸困難の潜在的要因としてチェックポイント阻害薬による免疫療法関連肺炎が追加された(引用、参考文献25としてNational Cancer Institute)。

慢性咳嗽

がん以外の咳嗽の原因として、後鼻漏が追加された。

悪性心嚢液貯留

治療のサブセクションは、広範囲にわたって改訂された。

本要約はPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、呼吸困難、悪性胸水、悪性心嚢液貯留、および上大静脈症候群などの心肺症候群の病態生理および治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Supportive and Palliative Care Editorial Board.PDQ Cardiopulmonary Syndromes.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/cardiopulmonary-hp-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389275]

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

免責条項

これらの要約内の情報は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。