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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

甲状腺がんのスクリーニング(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2018-02-07
    翻訳更新日 : 2019-03-11

 このPDQがん情報要約では、甲状腺がんのスクリーニングに関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Screening and Prevention Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

スクリーニングとは

スクリーニングとは、症状が現れてくる前にがんを発見しようとする試みのことです。実際にがんの早発見に役立つ場合もあります。異常 組織やがんも、早期に発見されれば治療が容易になる場合があります。症状が現れる頃には、がんが増殖し拡がり始めていることもあります。

ある種類のがんにかかりやすいのはどのような人々なのか、ということをより深く理解しようと科学者たちは挑み続けています。さらに、がんの原因となりうる生活習慣や環境についても研究が重ねられています。こうして得られた情報は、どういった人ががんのスクリーニングを受けるべきか、どのスクリーニング検査を用いるべきか、そしてその検査をどのくらいの頻度で受けるべきかについて、医師が患者さんに助言をしていく際に役立てられています。

担当の医師からスクリーニング検査を勧められたとしても、必ずしもがんの存在を疑ってそうしているわけではないということを覚えておくことが重要です。スクリーニング検査はがんの症状が現れる前に実施されるものなのです。

スクリーニング検査の結果が異常であれば、がんの存在を確認するために、さらなる検査が必要になる場合もあります。こうした検査は診断検査と呼ばれます。

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甲状腺がんについての一般的な情報

甲状腺がんは、甲状腺の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

甲状腺は、咽頭の最下部の気管の近くに位置する内分泌です。蝶のような形状であり、右と左葉で構成されています。これら2つの葉は峡部(中間部の細くなった部分)と呼ばれる組織によってつながれています。正常な甲状腺はクルミほどの大きさです。通常は皮膚の上から触知することはできません。



甲状腺と副甲状腺の解剖図:図は咽頭基部の気管付近に位置する甲状腺を示している。拡大図は甲状腺の正面図と背面図である。正面図からは甲状腺が蝶のような形状であること、右葉と左葉が峡部という細い組織で連結されていることがわかる。背面図は4つの豆粒大の副甲状腺を示している。喉頭も示されている。



甲状腺と副甲状腺の解剖図。甲状腺は咽頭基部の気管付近に位置しています。蝶のような形状で、右葉と左葉が峡部という細い組織で連結されています。副甲状腺は4つの豆粒大の器官で、頸部の甲状腺の近くに存在します。甲状腺と副甲状腺はホルモンを産生します。



甲状腺はヨウ素(一部の食品やヨウ化物に含まれるミネラルの一種)を材料にして数種類のホルモンを生産しています。甲状腺ホルモンには、以下のような作用があります:


甲状腺がんに関する詳しい情報については、PDQ甲状腺がんの治療(成人)に関する要約をご覧ください。

甲状腺がんは女性により多くみられます。

甲状腺がんは、45~54歳の男性と女性において、最も多く診断されます。また、20~34歳の女性が診断されるがんのなかで、最もよくみられるがんです。女性は男性よりも約3倍、甲状腺がんにかかりやすい傾向があります。

米国で甲状腺がんと診断される人の数は、40歳以上の人で増加していますが、甲状腺がんによる死亡数は、横ばいかわずかに減少しています。甲状腺がんのほとんどの症例は治療に反応し、通常は治癒します。

放射線に曝されると、甲状腺がんのリスクが高まります。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子をもっていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子をもっていなければがんにならないというわけでもありません。リスクが高いと思う人は、そのことについて担当の医師と話し合ってください。

甲状腺がんのリスク因子には以下のものがあります:


  • 乳児期または小児期に頭頸部が放射線に曝される、または原子爆弾の放射線に曝される。放射線に曝されてから5年ほどで、がんが発生することがあります。

  • 甲状腺疾患または甲状腺がんの家族歴がある。

  • 甲状腺腫(甲状腺腫大)の病歴がある。

  • RET遺伝子の変異により引き起こされる、多発性内分泌腫瘍2型症候群(MEN2)などの遺伝的 状態を有している。

  • 女性である。

  • アジア系人種である。

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甲状腺がんのスクリーニング

様々な種類のがんを発見するために複数の検査法が用いられます。

スクリーニング検査の中には、がんの早期発見に有効で、かつそのがんによる死亡の可能性を低減できるということが明らかであるために、実施されているものがあります。一方で、一部の人々の間でがんを発見できたことから実施されている検査法もありますが、こうした検査法にがんによる死亡リスクを低下させる効果があるのかどうかについては、臨床試験での証明が得られていません。

最も害が少なく最も有益な方法を発見するため、科学者によりスクリーニング検査の研究が行われています。また、がんスクリーニングの臨床試験を行う目的には、早期発見(症状が現れる前にがんを発見すること)によってがんによる死亡リスクが低減できるかどうかを明らかにすることも含まれています。一部の種類のがんでは、早のうちに発見し治療することで、回復の見込みが高まる場合があります。

がんのスクリーニング方法を研究するための臨床試験が米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

甲状腺がんのスクリーニング検査には、標準的なものや決まって行われるものはありません。

甲状腺がんを早期発見するためのスクリーニング検査にも、標準的なものや決まって行われるものはありません。症状を引き起こしていない甲状腺がんが、次の検査や手技の間に見つかることがあります:


  • 通常の身体診察。医師が患者さんの頸部にしこり(小結節)がないか、または頸部、喉頭リンパ節などの部位に通常は見られない腫れがないかを調べます。

  • 他の病態に対して行われる手術

  • 他の病態に対して行われる超音波検査。

甲状腺がんのスクリーニングを行っても患者さんの余命の延長にはつながらない可能性があります。

複数の研究で、甲状腺がんのスクリーニングはこのがんによる死亡の可能性を低下させないという結果が示されています。頸部の検査、超音波検査、またはその他のスクリーニング検査が甲状腺がんによる死亡のリスクを低下させるかどうかを調べるランダム化臨床試験は、これまでに米国で行われていません。

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甲状腺がんのスクリーニングのリスク

スクリーニング検査にはリスクが伴います。

スクリーニング検査に関する判断は難しくなる可能性があります。全てのスクリーニング検査が役に立つわけではなく、ほとんどはリスクを伴います。スクリーニング検査を受けようとする場合は、その前に検査について担当の医師とよく話し合っておくのがよいでしょう。検査に伴うリスクを把握し、さらにがん死亡のリスク低減という効果が実際に証明されているのかを知っておくことが重要です。

甲状腺がんのスクリーニング検査に伴うリスクとしては以下のものがあります:
甲状腺がんは過剰診断される可能性があります。

スクリーニング検査の結果、症状を引き起こすことも命を脅かすこともなかったであろう疾患が診断され、その治療が行われることになった場合、これを過剰診断と呼びます。診断検査穿刺吸引生検など)とがん治療(手術放射性ヨウ素 療法など)には、身体面と精神面の両方について深刻なリスクを伴う場合があります。

偽陰性の検査結果が出る可能性もあります。

実際には甲状腺がんが存在しているにもかかわらず、スクリーニング検査の結果が正常と出る場合もあります。偽陰性の検査結果(実際にはがんが存在しているのに存在しないと判定された検査結果)を受けた人では、たとえ症状が現れていても、医師の診察を受けるのが遅くなる場合があります。

偽陽性の検査結果が出る可能性もあります。

実際にはがんが存在していないにもかかわらず、スクリーニング検査の結果が異常となる場合もあります。偽陽性の検査結果(実際にはがんは存在しないのに存在すると判定された検査結果)は不安の原因となる可能性もあり、さらに、その後も検査や手技(穿刺吸引生検など)が通常は引き続き実施されるため、そうした検査によるリスクも生じてきます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、甲状腺がんのスクリーニングに関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Screening and Prevention Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Screening and Prevention Editorial Board.PDQ Thyroid Cancer Screening.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/thyroid/patient/thyroid-screening-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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