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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

統合、代替、補完療法に関するトピック(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-04-08
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、他のPDQ各論やNCIファクトシートに掲載されている補完代替医療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

補完代替医療の方法 代替医療の方法

概要

補完代替医療(CAM)は、様々な療法から、植物由来の製品や栄養補助食品、各種の実践に至るまで、多岐にわたる方法によって行われます。統合医療は標準治療とCAMの方法を結びつけます。2007年の全米聞き取り調査(2007 National Health Interview Survey)によると、10人のうち約4人の成人が1種類のCAM療法を利用したことがあり、なかでも多く用いられていたのは天然物と深呼吸訓練による療法でした。

ある大規模な調査では、がんの生存者による補完療法の利用状況が報告されています。最もよく利用された治療法は、祈りと霊的実践、リラクゼーション、信仰療法と霊的な癒し、そして栄養補助食品とビタミンの摂取でした。CAM療法は、臨床試験の期間中と期間外の両方で小児のがん患者さんによって頻繁に利用されています。CAM療法は、がんまたはがん治療によって生じる副作用の管理に利用されています。

本がん情報要約では、PDQがん情報要約や米国国立がん研究所(NCI)のファクトシートに記載されている統合、代替、補完療法について、その概要を提示します。それぞれの話題に関する詳しい情報の入手先として、特定のPDQ要約またはNCIファクトシートにリンクを張っています。また、NCIのがん補完代替医療オフィス(Office of Cancer Complementary and Alternative Medicine)のページには、他の資料へのリンクがあります。

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鍼灸

鍼灸は中国伝統医学の一療法で、中国とその他のアジア諸国で数千年にわたって使用されています。がん患者さんを対象とする場合、鍼灸は一般的に症状の緩和、療法により生じる副作用の治療、生活の質の向上を目的として用いられます。この療法は、免疫系の働きの改善や、化学療法で生じる吐き気と嘔吐の管理に有効である可能性があるほか、がんによる痛みの緩和にも効果があると考えられています。鍼灸は、体重減少、不安、うつ病、不眠、食欲不振、消化管の症状(便秘や下痢)の治療に役立つことがあります。


  • 詳しい情報については、PDQの鍼灸に関する患者さん向け要約をご覧ください。

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植物由来製品/ハーブ製品

ブラック・コホッシュ

ブラック・コホッシュは北アメリカ産の多年生ハーブです。この植物の根に含まれる物質は、一部の文化で多くの病態に対する治療に用いられてきました。これまでに、ブラック・コホッシュがほてりを軽減する効果についての研究が行われています。しかし、このハーブの使用に関する数件のランダム化プラセボ対照臨床試験では、ブラック・コホッシュがほてりを緩和する効果はプラセボ以上でないことが示されました。


大麻(カンナビス)とカンナビノイド(マリファナとも呼ばれる)

カンナビス(大麻草)は中央アジア原産の植物で、現在では世界各地に分布しています。米国では、大麻は規制薬物としてSchedule I(スケジュールI)の薬物(乱用の危険性が高く、医療用として一般に認められていない薬物)に分類されています。カンナビスのハーブは、カンナビノイドという化学物質を活性成分として含む樹脂を分泌します。カンナビノイドは中枢神経系と免疫系を含む全身に薬物様の効果を引き起こします。がんを抱えている患者さんに医療用大麻がもたらす利点には、吐き気と嘔吐の管理、食欲増進、痛みの軽減、睡眠改善などがあります。


エイジアック/フローエッセンス

エイジアック/フローエッセンスは、カナダで最初に開発された配合済みハーブティーです。栄養補助食品として世界中で販売されています。エイジアック/フローエッセンスの支持者は、これらの製品に体の解毒を促す、免疫系を強くする、がんに対する抵抗を補助するといった効能があると主張しています。エイジアック/フローエッセンスががん患者さんの治療に有効である可能性は、臨床試験で明らかにされていません。


亜麻子油

亜麻子油はアマという植物から採られます。オメガ3脂肪酸、繊維、リグニンという化合物が豊富に含まれます。数種のがんの予防の分野で研究されています。また、ほてりに対する亜麻子油の効果も研究されています。


生姜

生姜は料理に用いられるハーブで、一部の文化では吐き気などの病態の治療に使用されています。生のままや乾燥した状態、あるいは粉末で用いられるほか、ジュースやオイルとして利用されます。生姜は、がん患者さんの吐き気と嘔吐を緩和する効果について研究が行われています。


  • がん患者さんに対する生姜の使用を検討したランダム化比較試験については、PDQの吐き気と嘔吐に関する医療専門家向け要約の生姜のセクションをご覧ください。

ニンジン

ニンジンは疲労の治療に使用されるハーブです。ニンジンの根を含むカプセル剤が服用される場合もあります。がんの治療中または治療後の患者さんを対象とした、ニンジンについての研究が数件実施されています。ニンジンの投与を受けた患者さんでは、プラセボ(何の作用もない物質)を投与された患者さんよりも疲労が軽くなりました。


  • 詳しい情報については、PDQの疲労に関する医療専門家向け要約の介入のセクションをご覧ください。

L-カルニチン

L-カルニチンは、がんに関連する疲労の治療に有用と考えられている栄養補助食品です。L-カルニチンは、体内でエネルギーを作る働きに関与し、疲労に関連しうる炎症を軽減する作用があります。


  • 詳しい情報については、PDQの疲労に関する要約の介入のセクションをご覧ください。

マリファナ

詳しい情報については、本要約の大麻(カンナビス)とカンナビノイドに関するセクションをご覧ください。

オオアザミ

オオアザミは、肝臓と胆管の疾患の治療薬として、2000年以上にわたり、その果実と種が用いられてきた植物です。オオアザミに含まれる薬用成分はシリマリンです。複数の基礎研究によると、シリマリンには肝臓組織の修復を促し、抗酸化物質として細胞を損傷から保護する作用があります。特定のがん細胞の増殖を遅らせるとともに、一部の化学療法の毒性を抑えて効果を高める作用があります。


  • 詳しい情報については、PDQのオオアザミに関する患者さん向け要約をご覧ください。

ヤドリギエキス

ヤドリギは古くから様々な病気の治療に用いられてきた半寄生植物です。ヨーロッパで広く使用され、多種多様な抽出物が注射用処方薬として製造および販売されています。FDAは、米国内でこれらの注射用薬剤の販売を許可しておらず、がんの患者さんに対する治療薬としても承認していません。


  • 詳しい情報については、PDQのヤドリギエキスに関する患者さん向け要約をご覧ください。

PC-SPES

PC-SPESは8種類のハーブを調合した特許取得済みの製品です。PC-SPESに使用されるそれぞれのハーブは、抗炎症作用や抗酸化作用、または抗がん特性を持つことが報告されています。PC-SPESは、それらのハーブに加えて処方薬が配合されていることが明らかになり、市場から撤去されました。製造元は現在、操業しておらず、PC-SPESの製造は行われていません。


  • 詳しい情報については、PDQのPC-SPESに関する患者さん向け要約をご覧ください。

セントジョンズワート

セントジョーンズワート(Hypericum perforatum [セイヨウオトギリソウ])はうつ病の治療用に市販されているハーブです。セントジョーンズワートが標準的な抗うつ薬より高い効果をもつことは実証されていません。多くの研究でセントジョンズワートと標準的な抗うつ薬、プラセボ薬(何の作用もない物質)、またはその両方との比較が行われましたが、一貫した結果は得られていません。

セントジョンズワートを服用する前に、必ず担当医に相談してください。セントジョンズワートは、抗がん剤など、患者さんが使用する他の薬剤の作用を変える可能性があります。さらに、セントジョンズワートを製造する会社向けの規格が存在しないため、製品によって有効成分の量が様々です。

Selected Vegetables/Sun's Soup

「Selected Vegetables」と「Sun's Soup」は、がんの治療薬として研究されてきた野菜とハーブを様々にブレンドした製品です。Selected Vegetablesを乾燥または凍結した製品は、米国では栄養補助食品として販売されています。Selected Vegetables/Sun's Soupに入っている野菜とハーブには、がん細胞の増殖を阻害する物質や、体の免疫系ががん細胞を殺傷する働きを助ける物質が含まれていると考えられています。Selected Vegetables/Sun's Soupががんの治療に有用であることを示す証拠は限られており、ランダム化臨床試験または対照臨床試験は実施されていません。


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心身療法とマッサージ

アロマセラピーと精油

アロマセラピーでは、植物(花、ハーブ、木)から抽出された精油を治療に使用して、身体的、情緒的、霊的な健康を高めます。がん患者さんはストレスや不安の軽減など、主に生活の質の向上を目的とした支持療法としてアロマセラピーを利用します。アロマセラピーは他の補完療法(マッサージや鍼治療など)や標準治療と併用されることがあります。


認知的行動療法(CBT)

認知的行動療法(CBT)は心理療法の一種で、患者さんが抱いている特定の事物についての考え方や感じ方を変えることにより、行動の変化を促します。CBTは、がんやがん治療から生じる様々な副作用の治療で役立つことがあります。

思考面と行動面の介入では、否定的な考えや行動の代わりに、肯定的な思考やイメージに注目します。患者さんは、疾患とその症状をコントロールしているという感覚をつかみ、それらに対処する技術を養います。こうした介入は、がん患者さんの不眠症の治療にも有望であることが示されています。


  • がん患者さんに対する睡眠試験については、PDQの睡眠障害に関する医療専門家向け要約の管理のセクションをご覧ください。

リラクゼーションとイメージ法は、短期間の痛みや不快感(手技の実施中など)に利用できます。重度の疼痛、強い不安、疲労などのために患者さんの集中力が低下している場合には、迅速で単純な方法が有用です。


CBTはがんの患者さんにおけるうつ病に有効な場合があります。うつ病に対するカウンセリングやトークセラピーのプログラムは、大半が個人セッションと少人数によるセッションの両方の形式で実施されます。さらにCBTは、がんに関連し疲労を悪化させる要因に働きかけて、がん患者さんの疲労の軽減を促します。


  • トークセラピーとカウンセリングの詳しい情報については、PDQのうつ病に関する患者さん向け要約のうつ病の治療のセクションをご覧ください。

  • 詳しい情報については、PDQの疲労に関する患者さん向け要約のトークセラピーのセクションをご覧ください。

CBTはがんの患者さんにおける心的外傷後ストレス障害の症状に有効な場合があります。この治療法では、問題の解決と対処技術の教示、それに支持的な環境の提供に重点が置かれます。


催眠

催眠はトランス様の状態であり、この状態にある人は意識や集中が高まり、暗示にかかりやすくなっています。催眠状態にある人は、特定の思考、感情、感覚に対して気を逸らさず深く集中することができます。


用手的リンパ浮腫療法

用手的リンパ浮腫療法では、腫れた腕や脚のリンパ液を正常なリンパ節に流して排出するマッサージを行います。


気功

気功は中国伝統医学の一方法で、動作、瞑想、意識的な呼吸を組み合わせて行われます。生命エネルギーや生命力を亢進させ、人の霊的、情動的、精神的、身体的な健康のバランスを保つことを目的とします。少数のがん患者さんを対象としたものが大半ながら、いくつかの臨床試験では、気功が生活の質を改善し、がん関連の疲労を軽減しうることが示されています。


  • がんに関連する疲労の分野で行われている気功の研究については、PDQの疲労に関する患者さん向け要約の運動のセクションをご覧ください。

霊性

宗教的な価値ならびに霊的な価値は、大半のアメリカ人にとって重要な意味を持つことが、数件の研究で示されています。がんの患者さんでは、自身の病気に対処していく上で霊的または宗教的な信条や実践を拠り所とする人が多いようです。医療提供者の側では、霊的幸福や宗教的幸福を補完代替医療の一側面と捉えることがあります。


  • 宗教と霊性、霊的な幸福、健康の情報については、PDQの霊性に関する患者さん向け要約をご覧ください。

太極拳

太極拳は中国の伝統的な心身運動と瞑想の一形態であり、ゆっくりした一連の動作と呼吸のコントロールを行います。太極拳は、体のバランス、柔軟性、筋力、全体的な健康を向上させるために実施します。少数のがん患者さんを対象としたものが大半ながら、いくつかの臨床試験では、太極拳が生活の質を改善し、がん関連の疲労を軽減しうることが示されています。


  • がんに関連する疲労の分野で行われている太極拳の研究については、PDQの疲労に関する患者さん向け要約の運動のセクションをご覧ください。

ヨガ

ヨガは、運動、瞑想(思考の集中)、呼吸や感情の制御などを通して精神と身体のバランスを整えることを目的とした、古代より続く実践体系です。がん患者におけるストレスの軽減法や睡眠障害の治療法として研究されています。


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栄養療法

抗酸化物質とがん予防

抗酸化物質とは、フリーラジカルと呼ばれる不安定な分子による損傷から、細胞を保護する働きのある物質です。フリーラジカルが引き起こす損傷はがんにつながる可能性があります。抗酸化物質には、βカロチン、リコピン、ビタミンC、E、Aなどの物質があります。

抗酸化物質が化学療法と放射線療法の効果を低下させる可能性について、多少の懸念が抱かれています。


コエンザイムQ10

コエンザイムQ10は人体で自然に作られます。コエンザイムQ10は細胞のエネルギー産生を促すほか、抗酸化物質としても作用します。複数の研究で、コエンザイムQ10が免疫系の働きを高め、特定の化学療法薬による損傷から心臓を保護しうることが示されています。がんの治療にコエンザイムQ10を使用したランダム化臨床試験の報告は、これまでに査読済み科学雑誌に発表されていません。


  • 詳しい情報については、PDQのコエンザイムQ10に関する患者さん向け要約をご覧ください。

栄養補助食品

前立腺がんの患者さんの間で一般的に補完代替医療が使用されていること、ならびにこれらの患者さんからビタミン剤や栄養補助食品、特別な食事の摂取が頻繁に報告されていることが、多くの研究で明らかになっています。


  • 前立腺がんの患者さんが使用する緑茶、リコピン、調整シトラスペクチン、ザクロ、大豆、Zyflamendサプリメントに関する情報については、PDQの前立腺がん、栄養、栄養補助食品に関する患者さん向け要約をご覧ください。

ゲルソン療法

ゲルソン療法は、食事と栄養摂取の変更を基礎とするがん治療法として、一部の医療提供者に用いられています。有機野菜を使用した菜食主義の食事と、栄養面や生物学的側面からの補助食品の使用、膵酵素の摂取、コーヒーなどの浣腸が、ゲルソン療法の主な特徴です。ゲルソン療法を対象とした臨床試験の結果は、ほとんど発表されていません。


  • 詳しい情報については、PDQのゲルソン療法に関する患者さん向け要約をご覧ください。

ゴンザレスレジメン

ゴンザレスレジメンは、療法の提供者がそれぞれの患者さんに合わせて組み立てるがん治療法であり、現在はレジメンの開発者が担当する患者さんに対してのみ実施されています。この療法では、抗がん作用を有すると考えられている特定の膵酵素が投与されます。特定の食事、ビタミン剤やミネラルのサプリメント、動物の臓器から得られた抽出物、コーヒー浣腸なども使用されます。


リコピン

リコピンはカロテノイド(植物により作られる天然の色素)の一種です。この物質は、アプリコット、グァバ、スイカなど、多くの果物や野菜に含まれています。米国式の食事でリコピンを多く含む主な食品は、トマトベースの製品です。リコピンには抗酸化作用があると考えられています。心血管系疾患やがんなどの慢性疾患においてリコピンの果たす役割が研究されています。


メラトニン

メラトニンは夜間に松果体で作られるホルモンです。睡眠と覚醒のサイクルに重要な役割を担います。腎がん、乳がん、結腸がん、肺がん、脳腫瘍を対象とした臨床試験で、メラトニンが化学療法と放射線療法の効果を高める可能性があることが示唆されています。ただし、ランダム化二重盲検による試験でこの結果を裏付ける必要があります。


調整シトラスペクチン

シトラスペクチンはオレンジやグレープフルーツ、レモン、ライムなど、柑橘系の果物の皮と果肉に含まれます。シトラスペクチンは、体で消化、吸収されるよう、高いpHと熱で調整することができます。調整シトラスペクチン(MCP)は、がんの増殖と転移に影響を及ぼす可能性があります。いくつかの研究は、MCPに結腸がん、肺がん、前立腺がんなど様々な種類のがんから体を保護する働きがあることを示唆しています。


ザクロ

ザクロ(Punica granatum L.)はアジア原産で、世界の多くの場所に分布しています。ザクロの果実は、皮に抗酸化物質が含まれているなど、各部に健康維持に役立つ生理活性化合物を含んでいます。特定のザクロ抽出物に前立腺がん細胞の増殖と転移を遅らせて細胞死を引き起こす働きがあることが、基礎研究で示されています。


プロバイオティクス

プロバイオティクス(腸内有益菌)は、消化や腸機能を整える目的で栄養補助食品として用いられる生きた微生物です。ヨーグルトに含まれるLactobacillus acidophilus(ラクトバチルス・アシドフィルス)という細菌は、代表的なプロバイオティクスです。下痢や腸関門障害、炎症反応に関連する病態に対して、プロバイオティクスの使用が推奨されることがあります。


セレン

セレンは微量ミネラル(人体にごく少量だけ必要な栄養素)です。セレンは生殖や免疫など、多数の身体機能に関与する特定の蛋白に含まれます。現在、がんに対するセレンの役割が研究されています。


大豆

ダイズはアジア原産の植物で、その実は多くの食品に使用される大豆です。大豆食品(豆乳、味噌、豆腐、大豆粉など)は、健康に有益な植物性化学物質を含んでいます。イソフラボンは大豆に含まれる化合物のなかで、一番広く研究されている成分です。大豆は、がん、閉経期のほてり、骨粗鬆症(骨密度の低下)を予防する効果について研究が行われています。


茶は長い間、健康に有益であるとされてきた経緯があり、茶にがんのリスクを低下する働きがあるという考えが広まっています。茶には、フリーラジカルによる損傷から細胞を保護する作用のある、カテキンなどのポリフェノール化合物が含まれています。


複数の研究は、緑茶に心血管系の疾患に対する防御効果があることを示唆しています。また、緑茶が各種のがんに対する防御作用を持つことについての証拠も得られています。


ビタミンC、高用量

ビタミンC(アスコルビン酸)は、ヒトが体内で作ることができないため、食品や栄養補助食品から摂取しなければならない栄養素です。ビタミンCは抗酸化物質であり、酸化ストレスの予防に寄与します。また、酵素とともに、コラーゲンの産生にも主要な役割を果たします。高用量ビタミンCは、がんの患者さんに対する治療薬として研究されています。


  • 詳しい情報については、PDQの高用量ビタミンCに関する患者さん向け要約をご覧ください。

ビタミンD

ビタミンDは、健康に欠かせない多数の機能に関係している栄養素です。皮膚が日光に曝されると、ビタミンDが産生されます。また、ビタミンDは食事で摂ることもできますが、天然のままでビタミンDを含んでいる食品は非常に少数です。脂肪の多い魚や、魚肝油、卵に含まれています。


ビタミンE

ビタミンEは、健康や通常の身体機能を維持するために少量だけ必要とされる栄養素です。脂溶性(脂肪や油に溶ける)であり、種子、木の実、緑色葉野菜、植物油に含まれています。ビタミンEは免疫系の機能を促進し、血餅形成の予防を促します。また、フリーラジカル(体内に存在する不安定な分子)による細胞の損傷を予防する働きもあります。ビタミンEは数種類のがんの予防薬および治療薬として研究されています。抗酸化物質の一種です。


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薬物治療

714-X

714-Xは、クスノキの木部や樹皮から得られる天然物質である樟脳を含有する化合物です。714-Xは樟脳に窒素、水、塩類を加えて製造されます。714-Xは、免疫系を保護し、がんに対する体の抵抗力を補助するとされています。がんの治療における714-Xの安全性や有効性を示す試験は、これまでに査読済み科学雑誌に発表されていません。


  • 詳しい情報については、PDQの714-Xに関する患者さん向け要約をご覧ください。

アンチネオプラストン

アンチネオプラストンは、尿および血液に自然に含まれている化合物で作られる薬物です。アンチネオプラストン療法は、特定のがん細胞の分裂を防ぎ、健康な細胞には影響を及ぼさないと主張されています。


Cancell/Cantron/Protocel

Cancell/Cantron/Protocelは、1930年代後半から、様々な形態で製造されている液体です。Cancellは、Sheridan's Formula、Jim's Juice、JS-114、JS-101、126-F、「Cancell類似」製品(CantronおよびProtocel)などの名称でも知られています。Cancell/Cantron/Protocelの正確な成分は明らかにされておらず、どの種類のがんに対しても治療効果はありません。


  • 詳しい情報については、PDQのCancell/Cantron/Protocelに関する患者さん向け要約をご覧ください。

軟骨(ウシおよびサメ)

ウシ軟骨とサメ軟骨は、30年間以上にわたり、がんや他の病態の患者さんの治療薬として研究されてきました。ウシ軟骨とサメ軟骨には、腫瘍の増殖に必要とされる新しい血管の生成を妨げる物質が含まれています。しかし、これらの物質が正常な細胞や腫瘍細胞の増殖に及ぼす影響は明らかにされていません。


硫酸ヒドラジン

硫酸ヒドラジンは、がんの治療薬として研究されてきた化学物質であり、がんに伴って生じる衰弱(悪液質)の治療薬としても研究されています。硫酸ヒドラジンは、腫瘍によるグルコース(腫瘍細胞の増殖に必要となる糖類の一種)の取り込みを抑制するといわれています。


  • 詳しい情報については、PDQの硫酸ヒドラジンに関する患者さん向け要約をご覧ください。

レートリル/アミグダリン

レートリル(Laetrile)は、多くの果物の種や多種多様な植物に含まれているアミグダリンという化学物質の別名です。レートリルの抗がん活性成分はシアン化物であると考えられています。レートリルは動物試験で抗がん活性がほとんど示されず、ヒト臨床試験でも抗がん活性は一切認められていません。


ニューカッスル病ウイルス(NDV)

ニューカッスル病ウイルス(NDV)は一般に鳥類のウイルスと考えられていますが、ヒトにも感染します。鳥類に感染すると、がん性ではない疾患(ニューカッスル病)を引き起こし、死に至る可能性もありますが、ヒトでは軽い疾患しか引き起こしません。NDVは、ヒトの体内において、正常細胞よりもがん細胞で多く増殖することが知られており、抗がん作用があると考えられています。


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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、他のPDQ各論やNCIファクトシートに掲載されている補完代替医療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Board. PDQ Topics in Integrative, Alternative, and Complementary Therapies. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/cam/patient/cam-topics-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389508]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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補完代替医療(CAM)についての一般的な情報

補完代替医療(CAM)は、統合的医療とも呼ばれ、ヒーリングに関する原理やアプローチ、治療法などを幅広く意味します。従来の治療に加えて実施する場合は補完療法と呼ばれ、また、従来の治療の代わりに実施する場合は、よく代替療法と呼ばれます(従来の治療とは医学界で広く受け入れられ、かつ主流となっている治療を意味します)。どのように用いられるかによって、補完療法とみなされる場合と、代替療法とみなされる場合があります。補完代替療法は、病気の予防やストレスの軽減、副作用や症状の予防と軽減、そして疾患の管理や治癒を目的として用いられます。

がんの従来の治療とは異なり、補完代替療法は保険が適用されないことが多くあります。患者さんは加入保険会社に、補完代替医療が保険の適用対象となっているかどうかを確認することをお奨めします。

補完代替医療の中には、標準治療を妨げたり、従来の治療と併用した場合に有害となりうるものがあるため、補完代替療法を検討されているがん患者さんはどんな治療法でも必ず、担当医や看護師、薬剤師と相談して意思決定を行ってください。

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補完代替医療(CAM)のアプローチの評価

補完代替医療の治療についても、従来の治療の評価と同様、厳格な科学的評価を行うことが重要です。米国国立がん研究所および米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は医療施設において、がんに対するCAM療法の評価を行うための臨床試験(調査研究)を数多く主催しています。

一般的に、がんの治療における従来のアプローチは、多数の患者さんを対象とした臨床試験の実施など、厳格な科学的プロセスを経て、安全性や有効性が検討されています。それに比べ、補完代替医療の安全性や有効性についてはあまり知られていません。厳格な評価を経たCAM療法はごくわずかです。はじめは純粋に代替アプローチとみなされていた少数のCAM療法が、治癒を求めるものではなく、患者さんをより楽にし回復を早める手助けとなる補完医療として、がんの治療で用いられつつあります。1つの例が鍼療法です。1997年11月に開催された米国国立衛生研究所(NIH)の専門家委員会の会合によると、鍼療法は化学療法に関連した吐き気や嘔吐、そして手術に関連した疼痛の管理に有効であることがわかりました。対照的に、レートリルの使用などのいくつかのアプローチは、検討の結果、無効であるか、または有害となりうることがわかりました。

1991年に始まったNCIのBest Case Series Programは、臨床で用いられているCAMアプローチの評価を行うプログラムの1つです。このプログラムはNCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)の監視下で進められています。がん代替医療を行う医療専門家は、患者さんのカルテや関連資料をOCCAMに提出します。OCCAMではそれらの資料を厳密に精査し、NCI主導の研究を正当化するであろう治療アプローチについては、フォローアップ研究の戦略を立てています。

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補完代替医療(CAM)について医療提供者に質問すべきこと

補完代替療法を受けることを考えている場合、患者さんは主治医などの医療提供者に次の質問を行ってください。


  • どのような副作用が予想されますか。

  • この治療に伴うリスクは何ですか。

  • 既知の有益性はそれらのリスクに勝っていますか。

  • この治療からどのようなメリットが期待できますか。

  • この治療は従来の治療の妨げになりますか。

  • この治療は臨床試験の一部として実施されますか。

  • もしそうなら、誰がその試験を主催しますか。

  • この治療には健康保険が適用されますか。

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補完代替医療(CAM)についてさらに知るには

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)

米国国立衛生研究所(NIH)の国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、補完代替医療の研究および評価を促進し、医療専門家や一般の方を対象に様々なアプローチについての情報を提供しています。


    NCCIH Clearinghouse
    Post Office Box 7923 Gaithersburg, MD 20898–7923
    電話:+1-888-644-6226 (フリーダイヤル)
    テレタイプライター付の電話(耳が聞こえないか聴覚に障害のある方用):+1-866-464-3615
    E-mail:info@nccih.nih.gov
    ウェブサイト:https://nccih.nih.gov

CAM on PubMed

NCCIHおよびNIH国立医学図書館(NLM)は共同でCAM on PubMedを開発し、CAMに関連するジャーナルの記載内容を無料かつ簡単に検索できる機能を提供しています。NLMの図書目録データベースのサブセットとして、CAM on PubMedには様々な科学ジャーナルのCAMに関連する論文から、230,000を超える文献や抄録が登録されています。このデータベースはさらに、1,800を超えるジャーナルにリンクしており、ユーザーが論文全文を参照できるようになっています(論文全文を参照するには、購読料などの費用が発生する場合があります)。

がん補完代替医療オフィス

NCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)は、補完代替医療(CAM)の分野におけるNCIの活動をコーディネートしています。OCCAMはCAMのがん研究をサポートし、がんに関連するCAMについての情報を、NCIのウェブサイトを通して医療提供者や一般の方に提供しています。

米国国立がん研究所(NCI)のがん情報サービス

米国にお住まいの方は、NCIがん情報サービスフリーダイヤル+1-800-4-CANCER(+1-800-422-6237)に電話をすることができます(月曜日から金曜日の午前8時から午後8時まで)。訓練を受けたがん情報スペシャリストが質問にお答えします。

食品医薬品局

食品医薬品局(FDA)は、薬物や医療機器を規制し、それらの安全性と有効性を確保しています。


    食品医薬品局
    10903 New Hampshire Avenue
    Silver Spring, MD 20993
    電話:+1-888-463-6332 (フリーダイヤル)
    ウェブサイト:http://www.fda.gov

連邦取引委員会

連邦取引委員会(FTC)は消費者保護法を施行しています。FTCから入手可能な出版物は以下の通りです:


  • Who Cares: Sources of Information About Health Care Products and Services

  • Fraudulent Health Claims: Don't Be Fooled


    消費者センター
    連邦取引委員会
    600 Pennsylvania Avenue, NW
    Washington, DC 20580
    電話:+1-877-FTC-HELP(+1-877-382-4357)(フリーダイヤル)
    テレタイプライター付の電話(耳が聞こえないか聴覚に障害のある方用):202-326-2502
    ウェブサイト:http://www.ftc.gov
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