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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

前立腺がん、栄養、栄養補助食品(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-06-10
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、前立腺がんの発生リスクを低下させるための、あるいは前立腺がんを治療するための栄養補助食品の使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

CAM栄養療法 前立腺がん

はじめに

米国では、前立腺がんにかかる男性の数が、皮膚がんを除くその他のがんになる男性の数を上回っています。前立腺がんは主に高齢男性にみられます。米国では男性の5人に1人が前立腺がんと診断されます。前立腺がんと診断された大部分の男性は、それが原因では死亡しません。

補完代替医療(CAM)は標準治療に追加して(補完)またはその代わりに(代替)用いられる治療法です。一般的に、CAMの治療法は標準的な医学的アプローチとは考えられていません。標準治療は長期にわたる慎重な研究過程を経て安全性と有効性が証明されていますが、大半のCAMではそれらの点があまり明らかになっていません。

前立腺がんの患者さんの間では、CAMの使用が一般的であることが報告されています。前立腺がんの患者さんに利用されているCAMには、特定の食品、栄養補助食品ハーブビタミンミネラルなどがあります。

CAMに関する本PDQ要約では、前立腺がんの発生リスクを低下させるための、あるいは前立腺がんやその症状、治療の副作用に対処するための食品と栄養補助食品の利用に関する一般情報を提示します。さらに、本要約には以下の特定の食品または栄養補助食品についてのセクションがあります:


さらに、トピックが随時追加される予定です。これらのセクションでは、食品や栄養補助食品ごとに、以下の情報を記載しています:


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前立腺がんにおけるCAM使用の概要

前立腺がんの治療を目的としたCAM使用についての研究では、次のような点が示されています:


  • 前立腺がんを患っている男性は、そうでない男性より多くの栄養補助食品を摂取する傾向にあります。

  • 最大限の健康的食事習慣(野菜やオメガ3脂肪酸が豊富な魚をたくさん食べるなど)を実践している前立腺がんの患者さんには、栄養補助食品を摂取している傾向が強くみられます。

  • 前立腺がんの患者さんがCAMによる治療を利用する理由には、免疫系の活性化、生活の質の改善、がんの再発リスクの低減などがあります。

前立腺がんのリスク低下や再発予防を目的としたCAM使用についての研究により、次のような点が示されています:


  • 前立腺がんの家族歴を有する男性についての研究によると、半数以上の男性がビタミンやその他の栄養補助食品を利用しており、その中には前立腺の健康維持やがんの予防用として販売されている製品など、本要約で言及されている栄養補助食品も含まれています。

  • 前立腺がんのスクリーニング検診を受けた男性を対象とした研究では、半数を大きく超える人が複合ビタミン剤を服用しており、ハーブのサプリメントを使用していた人は少数でした。

  • 前立腺がんの生存者を対象とした研究では、最大で生存者の3分の1が、ビタミンまたはミネラルを服用していたことが明らかになりました。

  • 多くの前立腺がんの患者さんがCAM療法を利用していますが、CAMの利用を医師に報告している人は、そのうちの約半数に過ぎません。

前立腺がんの患者さんがCAMを利用する理由、または利用しない理由についての研究によると、患者さんの選択は多くの要因、例えば、自身の病歴や、標準治療と比較したCAMの安全性と副作用に対する考え、さらには治療が自分の管理下にあるという感覚の必要性などに基づきます。

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カルシウムに関する質問と回答

1.

カルシウムとは何ですか。

 

  カルシウムは、血管や筋肉、神経の基本的な機能や、細胞間シグナル伝達ホルモン分泌に必須のミネラルです。体内に最も多く存在するミネラルです。体は主に骨組織にカルシウムを蓄えます。一部の食品にはカルシウムが元々含まれており、カルシウムを含まない食品に添加されることもあります。栄養補助食品として摂取することもできます。

2.

カルシウムの投与または摂取方法はどのようなものですか。

 

 米国式の食事では、カルシウムは主に食品と栄養補助食品に含まれています。食事で摂取するカルシウムの約3分の1は、牛乳やチーズまたはヨーグルトなどの乳製品に由来します。野菜の摂取源には、ハクサイ、ケール、ブロッコリーなどがあります。ホウレンソウもカルシウムを含みますが、体に吸収されやすい形になっていません。カルシウムが添加されている食品には、各種フルーツジュースなどの飲み物、豆腐、シリアルなどがあります。

 米国では、人口のほぼ半分がカルシウムを含有する栄養補助食品を利用しています。しかし、カルシウムと前立腺がんのリスクに関するほとんどの研究は、食事で摂られるカルシウムのみを対象としており、栄養補助食品で摂取されるカルシウムを検討していません。

3.

これまでにカルシウムを使用した前臨床研究(基礎研究や動物での研究)は実施されていますか。

 

 前立腺がんを対象にカルシウムの効果について研究する基礎研究動物での研究が実施されています。

 カルシウムの基礎研究では、以下のような結果が示されています:


  • 2011年に行われたある研究では、前立腺がん細胞に対して、牛乳、アーモンドミルク、乳、カゼイン、乳糖による処置を行いました。牛乳による処置を加えた場合に、前立腺がん細胞(LNCaP)の増殖が刺激されました。豆乳による処置は前立腺がん細胞の増殖に影響を及ぼしませんでしたが、アーモンドミルクによる処置は前立腺がん細胞の増殖を遅らせました。

 前立腺がんの動物モデルを用いたカルシウムの研究では、以下のような結果が示されています:


  • ヒトと同様の前立腺がんが発生した系統のマウスに、低カルシウムの餌か高カルシウムの餌のいずれかを与える研究が行われました。低カルシウムの餌または高カルシウムの餌を与えられたマウスのどちらにも、前立腺がんの増殖が同程度に認められました。

  • 食物性ビタミンDとカルシウムについて調べるために、前立腺がん細胞を注射したマウスに特定の餌(高カルシウム+ビタミンDの投与、またはカルシウムは通常でビタミンDなしなど)を与える研究が行われました。通常のカルシウムを含むビタミンDなしの餌を与えられたマウスでは、他の餌を与えられたマウスよりも前立腺がんの増殖が多くみられました。

4.

これまでにカルシウムの臨床試験(ヒトを対象とした研究)は実施されていますか。

 

 乳製品やカルシウムと前立腺がんのリスクとの関連を明らかにするため、ヒトを対象とした研究が世界各地で行われています。

  集団研究

  集団研究では、大規模な集団を対象として、リスク因子と疾患の管理方法を調査します。

  乳製品や食物性カルシウムと前立腺がんのリスクについての集団研究では、一貫した結果が得られていません。これらの研究は、乳製品に含まれる脂肪などの他の主要栄養素と年齢や肥満指数などの因子が考慮されていないため、解釈が難しいところがあります。

 しかし、複数の研究を総合的にみると、カルシウムの総摂取量が多い場合は、摂取量が少ない場合に比べて、進行または転移した前立腺がんの発生リスクが高くなる傾向があるようです。さらに研究を行って、カルシウムや乳製品が前立腺がんリスクに及ぼす影響を調べ、それが体内でどのように発生するかを明らかにする必要があります。

  前立腺がんの予防に関する臨床試験

 2005年に報告された1件のランダム化臨床試験では、4年間にわたって男性にカルシウム(1200mg/日)またはプラセボを投与し、12年間の追跡調査を行いました。最初の6年間にカルシウム群で発生した前立腺がんは、プラセボ群よりもはるかに少数でした。しかし10年経過後は、カルシウム群とプラセボ群の間で前立腺がんの発生数に有意味な差は認められませんでした。

  多くの研究に対する包括的レビュー

 多数の研究を包括的に検討したいくつかのレビューによると、カルシウムと乳製品の摂取が前立腺がんのリスクに影響を及ぼすかどうかについて、一貫した結果は得られていません:


  • 多くの研究に対する2005年のレビューで、前立腺がんのリスクと乳製品やカルシウムを多く含む食事とが関連する可能性が明らかになりました。詳しい情報については、前立腺がんの予防に関するPDQ要約をご覧ください。

  • 45件の観察研究を検討した2008年のレビューでは、乳製品の摂取と前立腺がんリスクの間に関連はみられませんでした。

  • 1996~2006年に発表されたコホート研究のレビューでは、牛乳と乳製品の摂取によって前立腺がんリスクが増大したことが示されました。

  • 米国予防医学専門委員会の2013年のレビューによると、ビタミンDやカルシウムの栄養補助食品の摂取は、前立腺がんを含むがんの発生率やがんによる死亡率に総合的な影響を及ぼしませんでした。

  • 32件のコホート研究を検討した2015年のレビューによると、牛乳、低脂肪乳、チーズの摂取量や、食事からのカルシウムの総摂取量、乳製品に含まれるカルシウムの摂取量が多いと、前立腺がんのリスクが高まる可能性があります。カルシウムの栄養補助食品と乳製品以外のカルシウムは、前立腺がんのリスク増大に関連していませんでした。カルシウムの栄養補助食品は前立腺がんによる死亡リスクの増大に関連があったため、さらなる研究が必要と考えられます。

5.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国でカルシウムをがんの治療薬として使用することを承認していますか。

 

  米国食品医薬品局は、カルシウムをがんやその他の病態の治療薬として使用することを承認していません。

 米国では、カルシウムは食品または栄養補助食品から摂取することができます。栄養補助食品は食事に追加して用いることを想定した製品です。これらは薬物ではなく、病気の治療や予防、治癒を目的としていません。製造者は、製品が安全であること、および正確かつ誤解を招かないラベル表示を記載することに責任を負います。FDAは栄養補助食品の安全性と有効性に関する販売前承認を行いません。

現在実施中の臨床試験

NCI支援のがん臨床試験リストから、現在患者さんの登録を行っている前立腺がんに対する炭酸カルシウム前立腺がんに対するクエン酸カルシウムCAM臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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緑茶に関する質問と回答

1.

緑茶とは何ですか。

 

 古代よりアジアではお茶が飲まれてきました。初めてお茶が英国に伝わったのは17世紀です。水を除けば、世界で最も広く飲まれている飲み物がお茶です。お茶はチャノキ(Camellia sinensis)という植物から作られます。この植物の葉を処理する方法によって、生産されるお茶の種類が決まります。

 緑茶で研究されている健康に有益と考えられるものの多くがポリフェノールと呼ばれる成分に由来すると考えられています。ポリフェノールは植物由来化学物質の大きなグループの1つで、その中にはカテキンフリーラジカルにより被る損傷から細胞を保護する働きがある抗酸化物質)も含まれています。

 緑茶に含まれるポリフェノールのほとんどがカテキンです。緑茶カテキン(GTC)には以下のようなものがあります:


  • (−)-エピガロカテキン-3-ガレート(EGCG)。

  • (−)-エピカテキン(EC)。

  • (−)-エピガロカテキン(EGC)。

  • (−)-エピカテキン-3-ガレート(ECG)。

 EGCGは緑茶の中で最も活性の高いカテキンで、幅広く研究されています。基礎研究動物試験、早期相の臨床試験では、EGCGが前立腺がん細胞の増殖に関係する経路の阻害において高い活性を持つことが明らかになっています。

 緑茶を作るためにお茶の葉を鍋で焙煎する(歴史的には蒸す)ことで、カテキンが温存され、新鮮さが保たれます。紅茶は、お茶の葉に含まれるカテキンやその他の成分を酸化する工程を使用して作られており、色の濃いお茶ができます。ウーロン茶は、部分的に酸化した葉から作られています。

 緑茶には心血管疾患や前立腺がんを含む一部のがんに対する保護作用がある可能性を示唆する研究がいくつかあります。緑茶が前立腺がんの治療に有用かどうかについて研究するようにデザインされた臨床試験が初期の段階で実施されています。緑茶が前立腺がんの治療に有用かどうかを示す証拠は十分ではありません。

2.

緑茶の投与または摂取方法はどのようなものですか。

 

 緑茶は飲み物として摂取したり、栄養補助食品の形で服用したりすることができます。

3.

これまでに緑茶を使用した前臨床研究(基礎研究や動物での研究)は実施されていますか。

 

 前立腺がんを対象に緑茶の効果について研究する基礎研究動物での研究が実施されています。

 緑茶の基礎研究では、以下のような結果が示されています:


  • EGCGは、ヒト前立腺 腫瘍に対するアンドロゲン(男性ホルモン)の刺激作用を阻止すること、腫瘍の増殖速度を抑えること、細胞死を増加させることが分かっています。

  • EGCGまたはEGCGを含むナノ粒子のいずれかで前立腺がん細胞が処理されました。いずれの処理でも細胞の増殖速度が低下し細胞死が増加しましたが、低量ではナノ粒子による処理の方が効果が高く、この種のEGCGデリバリーシステムの方が、体の利用効率が高くなり、EGCGの抗がん作用が強くなる可能性が示唆されます。

  • 緑茶ポリフェノールは、前立腺がんも含めて、がん細胞の中に大量に認められるヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)を阻止することによって抗がん作用を発揮すると考えられます。緑茶ポリフェノールにより前立腺がん細胞を処理すると、HDACの活性が低下し、細胞死を引き起こします。

 前立腺がんの動物モデルを用いた緑茶の研究では、次のような結果が示されています:


  • ヒトと同様の前立腺がんが発生するよう開発された系統のマウスに対して、普通の水または緑茶ポリフェノールを加えた水(ヒトでは1日当たり緑茶6カップ[約1.5L]に相当)のいずれかを与えました。24週間後、普通の水が与えられたマウスは前立腺がんを発症しましたが、緑茶ポリフェノールを加えた水が与えられたマウスでは、前立腺上皮内腫瘍(PIN)の病変のみが認められました。この結果から、緑茶ポリフェノールには、がん増殖に関与している蛋白質を阻止することで、前立腺がんの発生を遅らせる作用がある可能性が示唆されました。

  • あるEGCGの研究では、マウスに前立腺がんが移植され、EGCGまたはプラセボが1週間に3回注射されました。EGCGを投与されたマウスでは、アンドロゲン活性に必要な蛋白質の量がプラセボを投与されたマウスより低くなりました。この結果から、EGCGは腫瘍細胞に対するアンドロゲンの刺激作用を妨げるため、ホルモン療法による治療が可能な前立腺がんに加え、ホルモン療法に反応を示さない前立腺がんにも有用な可能性があることが示唆されました。

  • 別のEGCGの研究では、ヒトと同様の前立腺がんが発生するよう開発された系統のマウスに対して、飲料水に加えたEGCG(ヒトでは1日当たり緑茶6カップ[約1.5L]に相当)の投与が生後12週または生後28週のいずれかで開始されました。EGCGの投与が生後12週で開始されたマウスでは、高悪性度のPIN病変が防止されましたが、生後28週で投与が開始されたマウスでは防止されませんでした。

  • ある緑茶ポリフェノールの研究では、前述の系統のマウスに対して、飲料水に加えたポリフェノールの投与が様々な週齢(前立腺がんの様々な病期に相当)で開始されました。緑茶が与えられた全てのマウスでは、普通の水が与えられた対照のマウスより長く腫瘍が発生せず、緑茶が最も早く与えられたマウスに最も大きな効果がみられました。

  • 別の緑茶ポリフェノールの研究では、前述の系統のマウスに対して、ポリフェノール(ヒトでは1日当たり緑茶6カップ[約1.5L]に相当)が経口で投与されました。MRIにより経時的に測定したところ、ポリフェノールが与えられたマウスでは、普通の水が与えられたマウスより腫瘍の発生が遅く、腫瘍の増殖速度もゆっくりでした。さらに、ポリフェノールにより細胞死が多く発生し、がんが他の遠隔部位に転移することが抑えられる可能性があります。

  • イヌを用いてポリフェノンE(カテキン混合物を含む緑茶抽出物)を様々な用量で経口投与する安全性試験が実施されています。緑茶抽出物は、餌を与えたイヌに比べて、絶食させたイヌでより有害な副作用を引き起こしました。

  • ある研究で、ポリフェノンEが前立腺がん腫瘍の転移を予防するかどうかが調べられました。その研究では、ヒトのがんと同様に活動する前立腺がんを発生させたマウスに、多量のポリフェノンEを与えました。その結果ポリフェノンEを与えたマウスでは、与えなかったマウスに比べて、前立腺がん腫瘍の数がはるかに少なく、サイズも明らかに小さいという結果が得られました。マウスを用いたポリフェノンEの安全性試験では、有害な副作用は確認されていません。

4.

これまでに緑茶の臨床試験(ヒトを対象とした研究)は実施されていますか。

 

 緑茶が前立腺がんの予防または治療に有用かどうかを明らかにするために、集団研究や臨床試験が実施されています。

  集団研究

 集団研究では、大規模な集団を対象として、リスク因子と疾患の管理方法を調査します。

 主にアジアで実施された多くの集団研究の包括的レビューでは、緑茶に前立腺がんリスクに対する予防効果があるか否かについて、相反する結果が示されました。これらの相反した結果には多くの因子が関与している可能性があり、その中には、試験実施地域、タバコの使用およびアルコール摂取、その他の食事習慣の違いがあります。紅茶では前立腺がんリスクに影響がみられないことが明らかになっています。

 全体として、アジア系の集団では前立腺がんに対する予防に緑茶が役立っている可能性が集団研究により示唆されます。前立腺がんによる死亡が世界で最も少ない地域です。米国を含めて、世界で緑茶を飲む人が増えるに従って、今後の集団研究により、緑茶または緑茶カテキンに前立腺がんに対する予防作用があるかどうかということについて情報が増えることが予想されます。

  前立腺がんの予防に関する臨床試験

 高悪性度前立腺上皮内腫瘍(HGPIN)の男性を対象とした2件のランダム化臨床試験では、緑茶カテキンによる治療を受けた男性の方が、プラセボによる治療を受けた男性よりも前立腺がんの発生率が低くなりました。これらの研究結果から、前立腺がんのリスクが高い人では、緑茶カテキンにより前立腺がんのリスクが低下する可能性が示唆されます。

  前立腺がんの治療に関する臨床試験

  緑茶が前立腺がんの治療に有用かどうかを調べる臨床試験では、次のような結果が示されています:

  根治的前立腺全摘除術を受ける予定の患者さんを、緑茶、紅茶、炭酸飲料のいずれかに割り付け、1日5回、5日間にわたって飲んでもらいました。緑茶または紅茶のいずれかを飲んでもらった患者さんの前立腺組織サンプルで、お茶ポリフェノールが生物学的に利用可能なことが明らかになりました。さらに、お茶を飲んだ後の患者さんから採取した血液で処理した前立腺がん細胞では、お茶を飲む前の患者さんから採取した血液で処置した細胞より、成長や分裂が遅いことが認められました。

 根治的前立腺全摘除術を受ける予定の患者さん50人を、ポリフェノンE(800mg EGCG)またはプラセボのいずれかに割り付け、1日1回、3~6週間にわたって服用してもらいました。ポリフェノンEによる治療を受けた患者さんでは、前立腺特異抗原(PSA)とインスリン様成長因子-1(前立腺がんのリスク増加と関連する蛋白質)の血中濃度がプラセボを服用した患者さんより低くなりましたが、意味のある差とは言えませんでした。この研究結果から、緑茶ポリフェノールの抗がん作用の可能性については、長期の治療試験で研究する必要があることが示唆されます。

  根治的前立腺全摘除術を受ける予定の患者さんを、緑茶、紅茶、水のいずれかを飲むグループに割り付けました。この研究では、緑茶を飲んだ男性にPSA値の低下とNF-κB値の低下がともに認められました。

 少数グループのホルモン不応性前立腺がんの患者さんに対して、緑茶抽出物カプセル(ポリフェノール換算で375mg/日)が最大5ヵ月にわたって投与されました。この研究では、緑茶による治療に対してほとんどの患者さんが良好な忍容性を示しました。しかし、PSA値に意味のある減少が認められた患者さんはおられず、1~5ヵ月以内に19人全ての患者さんが疾患進行を示しました。

  アンドロゲン非依存性の前立腺がんが他の部位に転移した患者さんに、粉末緑茶抽出物を飲んでもらいました(6グラム/日を最大4ヵ月)。参加者42人のうち1人の血中PSA値に意味のある減少が認められましたが、持続期間は2ヵ月以下でした。試験に参加した患者さんのほとんどが緑茶エキスに対して良好な忍容性を示しました。しかし、重篤な副作用の報告が6件あり、その中には不眠症錯乱疲労が含まれていました。これらの研究結果から、進行した前立腺がんの患者さんでは、緑茶エキスによる有益性が乏しいことが示唆されます。

5.

緑茶について副作用や何らかの危険性は報告されていますか。

 

 複数の第I/II相臨床試験で、1日に最大1000mgのEGCGを最長1年摂取してもほとんど副作用がみられないことが明らかになりました。固形腫瘍を有する患者さんを対象に経口の緑茶抽出物を調査した試験では、緑茶7~8杯(120ml/杯)分の量を1日3回に分けて6ヵ月間摂取しても、安全な用量であることが報告されました。カフェインによる副作用がありましたが、EGCGによる副作用はみられませんでした。

 健康な被験者を対象にポリフェノンEを単回投与または反復投与した第I相臨床試験が4件実施されました。ポリフェノンEは、一定の範囲の用量が投与され、忍容性は良好なことが示されました。副作用はおおむね軽度で、重篤な副作用は報告されませんでした。主に多く報告された薬物に関連があると考えられる副作用として、頭痛、吐き気痛、下痢のむかつき、めまい、筋力低下がありました。消化管の副作用は一般に軽度で、空腹時に最大量のポリフェノンEを服用した患者さんに最も多くみられました。

 前立腺がんの患者さんを対象とした数件の安全性試験で、90日以内という短期間の緑茶の使用は、患者さんにとって十分に耐えられるものでした。緑茶で最も多く報告された副作用は、消化管症状であったことが1件の研究で報告されました。これらの症状は、重度の食欲不振と中等度の呼吸障害の2件の報告を除いて軽度でした。

 数件の臨床試験で、前立腺がんの予防を目的とした緑茶化合物の長期使用の安全性が報告されています。1件の米国の試験では、前立腺がんのリスクがある男性に1年間にわたってポリフェノンE 400mgかプラセボを投与しました。その結果、ポリフェノンEを投与された群でより多くの副作用がみられました。これらは肝機能検査などの検査で見つかった軽微な副作用であり、それらの男性の間で報告された症状はありませんでした。

  FDAのDivision of Drug Oncology Products(抗腫瘍薬製品担当部門)では、臨床試験で患者さんはポリフェノンEを食事と一緒に服用すること、治療中は肝機能検査を実施することを勧告しています。

 ここ数年で肝臓に障害が認められた数症例では、経口摂取する緑茶抽出物の様々な種類や用量が関係していました。影響が認められた人のほとんどが女性で、多くが体重の減量のために緑茶抽出物を服用していました。ほとんどの患者さんが緑茶抽出物を停止してから4ヵ月以内に回復しました。しかし、急性肝不全になり、その後に肝移植が必要になった女性の症例報告が1件あります。担当医によると、この疾患は、体重の減量に用いた市販薬の緑茶抽出物カプセルが原因である可能性が高いと判断されました。

6.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国で緑茶をがんの治療薬として使用することを承認していますか。

 

  米国食品医薬品局は、緑茶をがんやその他の疾患の治療薬として使用することを承認していません。

 米国では、緑茶は食品または栄養補助食品から摂取することができます。栄養補助食品は食事に追加して用いることを想定した製品です。これらは薬物ではなく、病気の治療や予防、治癒を目的としていません。製造者は、製品が安全であること、および正確かつ誤解を招かないラベル表示を記載することに責任を負います。FDAは栄養補助食品の安全性と有効性に関する販売前承認を行いません。

現在実施中の臨床試験

NCI支援のがん臨床試験リストから、現在患者さんの登録を行っている前立腺がんに対する緑茶前立腺がんに対する緑茶抽出物CAM臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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リコピンに関する質問と回答

1.

リコピンとは何ですか。

 

  リコピンカロテノイド(植物により作られる天然の色素)の一種です。リコピンは植物を光に関連するストレスから守るほか、植物が太陽エネルギーを利用して栄養素を作る働きに関係しています。リコピンはトマトやアプリコット、グァバ、スイカなどの果物や野菜に含まれています。

 米国式の食事でリコピンを多く含む主な食品は、トマトベースの製品です。生のトマトよりも、トマトペーストやピュレーなどの加工食品に含まれるリコピンのほうが、生物学的に利用可能な(体内で用いられやすい)状態になっています。

 リコピンなどのカロテノイドは、食物脂肪とともに摂取すると吸収されやすくなります。例えば、ある研究では、トマトをさいの目に切り、オリーブオイルで調理すると、オリーブオイルを使用しない場合よりも多くのリコピンが吸収されることが明らかになりました。

 食事に含まれるリコピンは、抗酸化作用と細胞間の情報伝達に影響すると考えられています。基礎研究および動物試験で、リコピンが前立腺がん、皮膚がん、がん、がん、肝がんのリスクを低下させる可能性があることが示されています。しかし、リコピンががんのリスクを下げるかどうかを調べた臨床試験では、一貫した結果が得られていません。

2.

リコピンの投与または摂取方法はどのようなものですか。

 

  リコピンは食事から摂取するか、栄養補助食品を使用して摂取します。

3.

これまでにリコピンを使用した前臨床研究(基礎研究や動物での研究)は実施されていますか。

 

 リコピンが前立腺がんの予防または治療に有用かどうかを明らかにするため、数件の基礎研究と動物試験が実施されました。

 リコピンの基礎研究では、次のような結果が示されています:


  • リコピンによる治療を受けた前立腺がん細胞では、分裂サイクルの変化がみられ、がん細胞の増殖が抑えられました。

  • リコピンによる治療を受けた前立腺がん細胞では、コレステロール値が低下し、がん細胞の増殖が抑えられたうえ、より多くのがん細胞に損傷がみられました。

  • リコピンで前立腺がん細胞を治療すると、アンドロゲン(男性ホルモン)が細胞に取り込まれ使用される方法が変化し、それによってがん細胞の増殖が抑制される可能性があります。

  • リコピンと標準的な抗がんを併用すると、薬剤を単体で使用する場合よりも、効果的に様々な種類の前立腺がん細胞の拡がりを抑止できる可能性があります。抗がん剤と併用した場合、リコピンはインスリン様成長因子(IGF)が細胞に取り込まれる過程を阻害し、がん細胞の拡がりを抑止できる可能性があります。

 リコピンを使用した前立腺がんの治療に関する動物モデルの研究では、次のような結果が示されています:


  • ある研究では、ヒトと同様の前立腺がんが発生するよう開発された系統のマウスに、リコピンのビードレット(顆粒)かトマトペーストのいずれかを加えた餌を与えました。リコピンビードレット入りの餌を与えられたマウスは、トマトペースト入りの餌を与えられたマウスよりも前立腺がんの発生率が低くなりました。この結果は、リコピンのがんに対する防御効果はトマトペーストよりも高いという可能性を示唆しています。

  • リコピンと乾燥トマトに含まれる物質(FruHis)を併用すると、それぞれを単独使用した場合よりもラットの前立腺がん細胞の増殖が遅くなりました。

  • ヒトの前立腺がん細胞を注射されたマウスによる研究では、リコピンまたはβカロチンのサプリメントで治療されたマウスにおいて、腫瘍の増殖が抑制されました。

  • ヒトの前立腺がん細胞を注射され、特定の化学療法薬またはリコピン、もしくはその両方による治療を受けたマウスの研究では、化学療法薬のみを投与されたマウスに比べ、化学療法薬とリコピンを投与されたマウスはより長生きし、発生した腫瘍はより小さいものでした。

4.

これまでにリコピンの集団研究や臨床試験(ヒトを対象とした調査研究)は実施されていますか。

 

 リコピンが前立腺がんの予防または治療に有用かどうかを明らかにするため、数件の集団研究と臨床試験が実施されました。

  集団研究

 集団研究では、大規模な集団を対象として、リスク因子と疾患の管理方法を調査します。前立腺がんのリスクについての集団研究では、一貫した結果が得られていません:


  • 男性を対象とした集団研究では、食事に含まれるリコピンが多いと、前立腺がんの発症リスクが低下するという関連性が認められています。

  • がん患者さんの血液中および組織中のリコピンの量は、がんではない人より少ないことがいくつかの研究で示されています。しかし、これが確認されなかった研究もいくつかあります。

  • 複数の研究に対する2013年の包括的レビューでは、生のトマトや調理したトマトを多く食べる男性は、前立腺がんのリスクがわずかに低くなることが示されました。

  • 1件の研究では、全体集団において、食事に含まれるリコピンおよびトマトと前立腺がんのリスクとの関連性は示されませんでした。しかし、このがんの家族歴を持つ男性においては、リコピンを多く含む食事と前立腺がんのリスク低下との間に関連性がみられました。同じ男性集団を対象とした別の研究では、健康な男性と前立腺がんの男性の血中リコピン濃度に差はみられませんでした。

 このような相反する研究結果には、リコピンの供給源や種類、他の食事の違い、肥満、タバコの使用やアルコール摂取、遺伝的リスク因子など、多くの問題が関与している可能性があります。

  前立腺がんの予防に関する臨床試験

 リコピンが前立腺がんの予防に有用かどうかを調べる臨床試験では、次のような点が示されています:


  • 良性前立腺過形成(BPH)または前立腺がんの男性に対し、前立腺の除去手術前の3週間にわたって、トマトソースを使った食事を摂ってもらう試験が実施されました。この試験では、トマトソースを使った食事を摂った男性の方が、摂らなかった男性のグループよりも前立腺特異抗原(PSA)の値が著しく低下し、前立腺がん細胞がより多く死滅していることが、手術後の検査で認められました。

  • 高悪性度前立腺上皮内腫瘍(HGPIN)を患っている男性40人を対象とした試験では、2年間リコピンサプリメントを摂取した男性において、摂取しなかった男性よりもPSA値がはるかに低く、前立腺がんの発生数が少ないという結果が得られました。この結果は、HGPINから前立腺がんへの進行の予防にリコピンが有用である可能性を示唆しています。前立腺がんのリスクが高い男性(HGPINの男性など)を対象とした別の試験では、4ヵ月間、毎日マルチビタミン(リコピンは含まない)を摂取した男性と、マルチビタミンに加えてリコピン(30mg/日)を摂取した男性にPSA値の差はみられませんでした。

  前立腺がんの治療に関する臨床試験

 リコピンが前立腺がんの治療に有用かどうかを調べる臨床試験では、次のような点が示されています:


  • 転移していない前立腺がんの男性に、前立腺の除去手術前の3週間にわたって、リコピンサプリメント(30mg/日)が与えられました。リコピンサプリメントを摂取した男性では、そうでない男性と比べて腫瘍が小さく、PSA値は低くなりました。この試験は、前立腺がんの治療にリコピンが有用である可能性を示唆しています。転移していない前立腺がんの男性を対象とした別の試験では、リコピンサプリメント(10mg/日を1年間)を摂取した男性は、治療後のPSA進行速度(時間とともに血液中のPSA値が上昇する速度)が遅くなることが示されました。

  • 前立腺がんの生化学的再燃(手術または放射線による治療後に起こった血中PSA値の上昇)が生じた男性に、1年間、異なる用量のリコピンサプリメント(15~120mg/日)を投与する試験が実施されました。この試験では、リコピンは安全で副作用もないと考えられる結果が得られましたが、生化学的に再燃した前立腺がんのPSA値は変化しませんでした。

  • ホルモン不応性前立腺がん(HRPC)(ホルモンによる治療に反応しない腫瘍)の男性を対象とした2件の試験では、3ヵ月または6ヵ月間にわたって、リコピンサプリメントの投与が行われました。これらの試験では、HRPCの男性におけるPSA値の低下について一貫しない結果が示されました。

  • アンドロゲン非依存性の前立腺がん(増殖にアンドロゲンを必要としない腫瘍)の男性に、4ヵ月間、毎日トマトペーストまたはトマトジュースを摂取してもらう試験が実施されました。その結果、アンドロゲン非依存性のがんでは、リコピンはPSA値を低下させる効果がない可能性が示唆されました。

5.

リコピンについて副作用や何らかの危険性は報告されていますか。

 

 多くの臨床試験で前立腺がんの患者さんがリコピンを摂取し、ごく少数の副作用がみられました。10~120mg/日の用量では、時折の消化管症状(例えば、下痢吐き気嘔吐腹部膨満、ガスがたまる、炎など)しか発生していません。1件の研究では、リコピンを食事とともに摂取すると症状は消失しました。

6.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国でリコピンをがんの予防薬または治療薬として使用することを承認していますか。

 

  米国食品医薬品局は、リコピンをがんやその他の病の治療薬として使用することを承認していません。

 米国では、リコピンは食品または栄養補助食品から摂取することができます。栄養補助食品は食事に追加して用いることを想定した製品です。これらは薬物ではなく、病気の治療や予防、治癒を目的としていません。製造者は、製品が安全であること、および正確かつ誤解を招かないラベル表示を記載することに責任を負います。FDAは栄養補助食品の安全性と有効性に関する販売前承認を行いません。

現在実施中の臨床試験

NCI支援のがん臨床試験リストから、現在患者さんの登録を行っている前立腺がんに対するリコピンCAM臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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調整シトラスペクチンに関する質問と回答

1.

調整シトラスペクチンとは何ですか。

 

 ペクチンは多糖類(多数の小さな糖分子が化学的に結合した炭水化物)の一種です。ペクチンはほとんどの植物の細胞壁に認められ、ゲル状の性質を持ち、多くの種類の食品や医薬品を製造する上で有用です。

 シトラスペクチンはオレンジやグレープフルーツ、レモン、ライムなど、柑橘系の果物の皮と果肉に含まれます。高いpHと熱でシトラスペクチンを処理し、その分子を細かく分解することができます。調整シトラスペクチン(MCP)は体内で消化、吸収されます。

2.

MCPの投与または摂取方法はどのようなものですか。

 

  MCPは粉末またはカプセルの形で服用します。

3.

これまでにMCPを使用した前臨床研究(基礎研究や動物での研究)は実施されていますか。

 

  ある前立腺がんの研究では、3種類のペクチン(シトラスペクチン、PectaSol [MCPを含む栄養補助食品]、ペクチン画分粉末)が比較されました。ペクチン粉末による治療を受けた前立腺がん細胞には、シトラスペクチンまたはPectaSolでの治療を受けたがん細胞よりも多くの損傷がみられました。しかし、熱で処理されたシトラスペクチンの場合には、前立腺がん細胞の損傷はペクチン粉末と同程度でした。

  がん動物モデルにおけるMCPの効果を報告した研究は数件しかありませんが、そのうちの1件が前立腺がんに関する研究です。この研究では、ラットに前立腺がん細胞を注射し、MCPにより治療を行ったところ、がんの転移は少なくなったものの、最初にがんが発生した部位での腫瘍の増殖には影響がみられませんでした。

4.

これまでにMCPの集団研究や臨床試験(ヒトを対象とした調査研究)は実施されていますか。

 

 前立腺がんの患者さんを対象とした数件の研究が、MCPに多少の抗がん作用がある可能性を示唆しています。

 前立腺がんを含む進行性の固形腫瘍の患者さんを対象とした1件の研究では、水に溶かしたMCP粉末を1日に3回、8週間以上にわたって投与しました。その結果、身体活動、健康全般、疲労、痛み、不眠に関する生活の質に多少の改善がみられました。約4分の1の患者さんには、8週間の治療後に不変(疾患が安定している)状態が確認され、さらに少数の患者さんでは24週以上にわたって疾患が安定しました。この研究では、MCPを投与しない患者さんの群が比較用に設定されていないため、これらの変化がMCPの投与に起因するのか否かを判定できませんでした。この研究の主要な目標は、がん患者さんにとってMCPは十分に耐えられるものか否かを調べることであり、研究の結果、耐えられることが示されました。

  前立腺特異抗原(PSA)の倍加時間血液中のPSA値が2倍になるまでの時間)に対するMCPの影響を調べる研究では、PSA値が上昇している前立腺がんの患者さんにPectaSolカプセル6錠を1日3回、12ヵ月間投与しました。治療後、10人中7人の患者さんでPSA倍加時間が遅くなりました。

5.

MCPについて副作用や何らかの危険性は報告されていますか。

 

 MCPについての2件の研究は、大半の患者さんでほとんど副作用がみられなかったことを示しています。1件の研究で、かゆみやの不調、ガスがたまるという副作用が報告されています。また、別の研究では、3人の患者さんに腹部の痙攣と下痢がみられましたが、治療を中止すると、それらの症状は消失しました。

6.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国でMCPをがんの予防薬または治療薬として使用することを承認していますか。

 

  米国食品医薬品局は、MCPをがんやその他の病の治療薬として使用することを承認していません。

 米国では、MCPは食品または栄養補助食品から摂取することができます。栄養補助食品は食事に追加して用いることを想定した製品です。これらは薬物ではなく、病気の治療や予防、治癒を目的としていません。製造者は、製品が安全であること、および正確かつ誤解を招かないラベル表示を記載することに責任を負います。FDAは栄養補助食品の安全性と有効性に関する販売前承認を行いません。

現在実施中の臨床試験

NCI支援のがん臨床試験リストから、現在患者さんの登録を行っている前立腺がんに対する調整シトラスペクチンCAM臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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ザクロに関する質問と回答

1.

ザクロとは何ですか。

 

  ザクロPunica granatum L.)は、アジア原産の果物で、地中海沿岸、東南アジア、東インド諸島、アフリカ、米国の全域に分布しています。ザクロは古代より医療に利用されてきました。

 ザクロの果実は各部に生理活性化合物(体内で健康を促進する作用がある少量の化学物質)を含んでいます。次のような成分が含まれています:


  • 果実の半分を構成する皮には、フェノール類、フラボノイド、エラジタンニン(抗酸化物質の主な活性原)などの生理活性化合物が含まれています。

  • 種子には、プニカ酸、オメガ-5脂肪酸が含まれています。さらに、

  • 仮種皮(種子の周囲を包む外層)には、フェノール類とアントシアニン(ザクロの果実と果汁の赤色成分)などのフラボノイドが含まれています。

2.

ザクロの投与または摂取方法はどのようなものですか。

 

  ザクロは食事から摂取するか、栄養補助食品を使用して摂取します。

3.

これまでにザクロを使用した前臨床研究(基礎研究や動物での研究)は実施されていますか。

 

  がん 細胞株を用いたザクロの基礎研究には、次のようなものがあります:


  • ザクロに含まれる13種類の化合物の研究では、いくつかの化合物に前立腺がん 細胞の増殖と転移を遅らせ、細胞の死を引き起こす働きがあることが示されました。高用量であるほど、高い効果が認められました。細胞死を引き起こす効果が最も強かった物質は、プニカ酸(ザクロの種子に含まれる生理活性化合物)でした。

  • 3種類の前立腺がん細胞株に対して、ザクロの抽出物、ザクロ果汁、またはザクロに含まれる2種類の生理活性化合物による治療を行う研究が実施されました。ザクロを使用した治療法は、いずれも細胞死を増やすとともにがん細胞の転移を減らし、その効果は用量を増やすほど高くなることが示されました。アンドロゲン(男性ホルモン)に依存して増殖する細胞株では、どの治療法もアンドロゲンが取り込まれ使用される方法に影響を及ぼしました。

  • がん細胞株を用いた他の研究では、インスリン様成長因子(IGF)系などの、がんに関係する特定の酵素と経路に影響を及ぼすなど、ザクロの抗がん作用が認められました。

 前立腺がんの動物モデルの研究で、動物にザクロを投与したところ、次のような結果が得られました:


  • 前立腺腫瘍を形成する細胞を注射されたマウスに対する研究では、マウスにザクロ抽出物を溶かした水を与えると、普通の水を与えた場合よりも腫瘍のサイズは小さくなり、腫瘍発生までの時間は長くなりました。

  • ヒトと同様の前立腺がんが発生するよう開発された系統のマウスを用いた研究では、28週間にわたって普通の水を与えられた全てのマウスに腫瘍が発生しました。一方、ザクロ抽出物を溶かした水を与えられたマウスでは、5分の1~3分の1にしか腫瘍が発生せず、最も多量のザクロ抽出物を投与されたマウスでは腫瘍の発生が最少でした。

4.

これまでにザクロの臨床試験(ヒトを対象とした研究)は実施されていますか。

 

  手術または放射線療法後に前立腺特異抗原(PSA)値の上昇がみられる48人の患者さんを対象とした試験では、最長で33ヵ月間、毎日8オンス(約240cc)のザクロ果汁を飲んでもらいました。ザクロ果汁の飲用は、PSAの倍加時間血液中のPSA値が2倍になるまでの時間)に関連していました。さらに、試験の前後に被験者の血液を用いて、研究室で培養されている前立腺がん細胞(LNCaP)の治療を行ったところ、ザクロによる治療後は細胞の増殖が緩やかになり、細胞死が増加しました。

  限局性前立腺がんに対する治療後にPSA値の上昇がみられる患者さんを対象とした第II相研究では、1グラムまたは3グラムのザクロ抽出物を飲んでもらいました。ザクロ抽出物のいずれの用量でも、PSA倍加時間が遅くなり、有害作用は認められませんでした。

 1件の第III相 プラセボ対照 臨床試験で、PSA値が上昇している患者さん183人にザクロ果汁、ザクロ抽出物、プラセボのいずれかを投与したところ、異なる結果が報告されました。この試験では、3群のPSA倍加時間に差はみられませんでした。

5.

ザクロについて副作用や何らかの危険性は報告されていますか。

 

 前立腺がんまたは勃起不全の患者さんを対象としたザクロ果汁についての2件の研究では、深刻な副作用は報告されていません。

6.

ザクロ果汁を避けるべき理由はありますか。

 

 一部のザクロ製品には、過剰な糖分を含んでいるものがあります。米国がん研究協会(American Institute for Cancer Research、AICR)などの一部のグループは、糖分を含んだ飲み物を避けるよう推奨しています。詳しい情報については、AICRのウェブサイトをご覧ください。

7.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国でザクロをがんの予防薬または治療薬として使用することを承認していますか。

 

  米国食品医薬品局は、ザクロをがんやその他の病の治療薬として使用することを承認していません。

 米国では、ザクロは食品または栄養補助食品から摂取することができます。栄養補助食品は食事に追加して用いることを想定した製品です。これらは薬物ではなく、病気の治療や予防、治癒を目的としていません。製造者は、製品が安全であること、および正確かつ誤解を招かないラベル表示を記載することに責任を負います。FDAは栄養補助食品の安全性と有効性に関する販売前承認を行いません。

現在実施中の臨床試験

NCI支援のがん臨床試験リストから、現在患者さんの登録を行っている前立腺がんに対するザクロ抽出物の錠剤前立腺がんに対するザクロ果汁前立腺がんに対するザクロ抽出液CAM臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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セレンに関する質問と回答

1.

セレンとは何ですか。

 

  セレンは微量ミネラル(人体にわずかな量だけ必要な栄養素)です。セレンは、生殖や免疫などの多くの身体機能で活発に働く特定の蛋白に含まれています。セレンを含む食物には、肉、野菜、ナッツ類などがあります。食物に含まれるセレンの量は、食物が成長した土壌のセレン含有量に左右されます。セレンは甲状腺肝臓膵臓下垂体腎臓に蓄えられます。

 セレンはグルタチオンペルオキシダーゼと呼ばれる酵素に含まれ、この酵素は抗酸化物質として作用します。しかし、高用量になると、セレンは酸化促進物質細胞に損傷を与えうる酸素副産物を作る物質)として作用することがあります。

 セレンは、がんなどの多くの疾患において、何らかの役割を果たすと考えられます。複数の動物研究や集団研究は、食事に加えてセレンによる栄養補助を行うと、がんのリスクが低下する可能性があることを示しています。栄養によるがん予防試験(Nutritional Prevention of Cancer Trial、NPC)の結果によると、セレンの栄養補助食品は皮膚がんのリスクに影響を及ぼしませんでしたが、がん、大腸がん、前立腺がんの発生率を大きく低下させました。しかし、血液中のセレン濃度が前立腺がんの発生リスクに及ぼす影響についての研究では、一貫した結果が得られていません。米国国立がん研究所後援の大規模なセレンとビタミンEによるがん予防試験(Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial、SELECT)の結果から、前立腺がんの男性はセレンの栄養補助食品の使用に注意する必要があるほか、他の複数の研究でも、男性は食事での推奨摂取を超えてセレンを補給しないようにすべきという結論が出ています。

2.

セレンの投与または摂取方法はどのようなものですか。

 

  セレンは食事から摂取するか、栄養補助食品を使用して摂取します。成人の場合、推奨される1日のセレン許容量は、55μg/日です。

3.

これまでにセレンを使用した前臨床研究(基礎研究や動物での研究)は実施されていますか。

 

 セレンが前立腺がんの予防または治療に有用かどうかを明らかにするため、数件の基礎研究が実施され、次のような結果が示されました:


  • いくつかの形態のセレンが、前立腺がん細胞の増殖と転移を遅らせることが示されました。

  • セレンのナノ粒子は他のセレン化合物よりも正常組織に対する毒性が低いようです。

 前立腺がんの動物モデルを用いたセレンの研究では、以下のような結果が示されています:


  • 1件のマウスを使った研究では、異なる週齢から開始される前立腺がん予防に、餌中のセレンがもたらす効果が調査されました。大人のマウスと若年のマウスに、セレンを豊富に含む食事か一切含まない食事を6ヵ月間または4週間与えた後、ヒト前立腺がん細胞を注射しました。セレンを含む餌を食べた大人のマウスは、セレンを含まない餌を与えられた大人のマウスに比べ、腫瘍の発生が少ないという結果が得られました。しかし、若年のマウスでは、餌に含まれるセレンは腫瘍の発生に影響を及ぼしませんでした。

  • ヒトのがんと同様の活動を示す前立腺がんが発生した系統のマウスに対し、MSeAとメチルセレノシステイン(MSeC)という2種類の形態のセレン、または水のみによる治療が行われました。セレンによる治療を受けたマウスでは、水による治療を受けたマウスに比べて、前がん性 病変の増殖が遅くなり、がん細胞の死が増加しました。MSeAによる治療も、研究対象のマウスの生存期間を延長しました。10週齢時点でMSeAによる治療を開始したマウスでは、16週齢で治療を開始したマウスに比べ、前立腺がんの侵攻性が弱かったため、MSeAによる早期治療は、より遅い時期の治療よりも有効であると考えられます。

4.

これまでにセレンの集団研究や臨床試験(ヒトを対象とした調査研究)は実施されていますか。

 

 セレンが前立腺がんの予防または治療に有用かどうかを明らかにするために、集団研究や臨床試験が実施されています。

  集団研究

 集団研究では、大規模な集団を対象として、リスク因子と疾患の管理方法を調査します。

 血液中のセレン濃度が前立腺がんの発生リスクに及ぼす影響についての研究では、一貫した結果が得られていません。1件の研究で被験者を最長で10年間追跡したところ、血中のセレン濃度が高い男性は前立腺がんのリスクが低いことが明らかになりました。別の研究で、前立腺がんの患者さんは、健康な男性よりも全血中のセレン濃度が低いことが認められました。しかし、前立腺がんの患者さんを対象とした2009年の研究では、血液中のセレン濃度が高い男性は、侵攻性の前立腺がんと診断されるリスクが高いことが明らかになりました。これらの結果の相違は、個々の患者さんにみられる遺伝的な多様性が原因と考えられます。

  前立腺がんの予防と治療に関する臨床試験

  前立腺特異抗原(PSA)値または前立腺がんの発生に対するセレンの効果を調べた臨床試験の結果は、以下のように一貫していません:


  • 2013年に報告された1件の研究では、前立腺がんのリスクが高い男性に対して、毎日、セレンを多く含む酵母(200μgまたは400μg)またはプラセボの投与を最長で5年間実施しました。セレンの投与を受けた男性とプラセボを投与された男性との間で、前立腺がんの発生率またはPSA進行速度に違いはみられませんでした。

  • それよりも前に実施された1件の研究では、高悪性度前立腺上皮内腫瘍(HGPIN)の男性に、セレンの栄養補助食品(200μg/日)またはプラセボのいずれかを3年間または前立腺がんと診断されるまでの間、投与しました。その結果、セレンの栄養補助食品は前立腺がんのリスクに何の影響も及ぼさなかったことが示されました。

  • ある研究では、男性60人に対して、グリシン酸セレン(200μg/日)またはプラセボを6週間投与しました。研究の開始時および終了時に、血液サンプルが採取されました。セレンの栄養補助食品を投与された男性は、プラセボ群と比較して、研究終了時の血液中でセレンを含む2種類の酵素の活性が高く、PSA値が低いことが示されました。

  • 医療従事者追跡調査(Health Professionals Follow-Up Study)には、転移していない前立腺がんと診断された男性4,459人が参加しました。この研究によると、診断後にセレンの栄養補助食品を摂取(140μg以上/日)すると前立腺がんによる死亡リスクが増大する可能性があるため、前立腺がんの男性はセレンの栄養補助食品の使用に関して注意することが推奨されます。

  セレンとビタミンEによるがん予防試験(Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial、SELECT)

  セレンとビタミンEによるがん予防試験(Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial、SELECT)は、2001年に米国国立衛生研究所が開始した大規模な臨床試験であり、前立腺がんの発生に対するセレンやビタミンEの効果を調査しています。50歳以上の男性35,000人以上が、以下の組み合わせのいずれかを毎日、7~12年間投与される群にランダムに割り付けられました:


  • ビタミンE(酢酸α-トコフェロール、400IU/日)とプラセボ;

  • セレン(L-セレノメチオニン、200mcg/日)とプラセボ;

  • ビタミンEとセレン;または

  • 2種類のプラセボ

 2009年に報告されたSELECTの最初の結果では、4つの群の間で前立腺がん発生率に有意な差はみられませんでした。ビタミンE単独の群では、前立腺がんの発生率がわずかに上昇し、セレン単独の群では糖尿病の発生率がわずかに高くなりました。これらの変化の原因が栄養補助食品であるかどうかは不明ですが、研究に参加した男性には、研究対象の栄養補助食品の使用を中止するよう助言が行われました。

 2011年に更新されたSELECTの結果では、セレンの栄養補助食品は前立腺がんのリスクに意味のある影響を及ぼさなかったことが示されました;しかし、ビタミンEを単独で投与された男性ではプラセボ群に比べて前立腺がんのリスクが17%高くなりました。

 2014年に発表されたその後のSELECTの結果では、試験開始時点でセレンが低値だった男性に対するセレンの栄養補助食品の投与は、前立腺がんのリスクに影響しないことが明らかになりました;一方で、試験開始時点でセレンが高値だった男性に対するセレンの栄養補助食品の投与は、高悪性度の前立腺がんのリスクを高めました。

 ビタミンEの用量やセレンの形態など、複数の因子が研究結果に影響したと考えられます。著者らは、男性は食事での推奨摂取量を超えてセレンを補給しないようにすべきであると結論付けています。

5.

セレンの栄養補助食品の摂取に何らかの危険性や副作用は報告されていますか。

 

 セレンの栄養補助食品は多くの臨床試験で良好な忍容性を示しました。いくつかの臨床試験で患者さんに対し、試験基準の範囲内で密接な監視と特定の投与が実施されました。2件の発表された試験では、プラセボ群または治療群の間で有害作用に差がみられませんでした。しかしSELECT試験では、セレンの栄養補助食品の使用(L-セレノメチオニン、200μg/日)が糖尿病の発生率のわずかな上昇に関連していました。

6.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国でセレンをがんの治療薬として使用することを承認していますか。

 

  米国食品医薬品局は、セレンの栄養補助食品をがんやその他の病態の治療または予防目的で使用することを承認していません。

 米国では、セレンは食品または栄養補助食品から摂取することができます。栄養補助食品は食事に追加して用いることを想定した製品です。これらは薬物ではなく、病気の治療や予防、治癒を目的としていません。製造者は、製品が安全であること、および正確かつ誤解を招かないラベル表示を記載することに責任を負います。FDAは栄養補助食品の安全性と有効性に関する販売前承認を行いません。

現在実施中の臨床試験

NCI助成がん臨床試験リストから、現在患者さんの登録を行っている前立腺がんに対するセレンCAM臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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大豆に関する質問と回答

1.

大豆とは何ですか。

 

  ダイズはアジア原産の植物で、古代より食物として利用されてきました。18世紀になって、ダイズはヨーロッパと北アメリカにもたらされました。ダイズからとれる大豆は、豆乳、味噌、豆腐、大豆粉、油など様々な製品に加工されています。

 大豆食品は健康に有益な植物性化学物質を多く含んでいます。イソフラボンは大豆に含まれる化合物のなかで、一番広く研究されている成分です。大豆に含まれる主なイソフラボンには、ゲニステイン(最も生理活性が高いと考えられるイソフラボン)、ダイゼイン、グリシタインがあります。イソフラボンにはダイズ植物をストレスから保護する働きや、抗酸化作用、抗菌作用、抗真菌作用もあります。

 イソフラボンは細胞内のエストロゲン受容体に結合するフィトエストロゲン(植物に含まれるエストロゲン様の物質)です。ゲニステインはがんの増殖と転移に関連する前立腺がん細胞内の多くの経路に影響を及ぼすことが示されています。

2.

大豆の投与または摂取方法はどのようなものですか。

 

  大豆は食事から摂取するか、栄養補助食品を使用して摂取します。

3.

これまでに大豆を使用した前臨床研究(基礎研究や動物での研究)は実施されていますか。

 

 大豆が前立腺がんの予防または治療に有用かどうかを明らかにするため、数件の基礎研究動物試験が実施されました。

 大豆の基礎研究では、以下のような結果が示されています:


  • 数件の基礎研究で、イソフラボン(ゲニステインまたはダイゼイン)によるヒト前立腺がん細胞の治療は、炎症やがんの増殖と転移に関連する前立腺がん細胞内の経路を阻害することが示されました。

  • 数件の基礎研究で、前立腺がん細胞の治療に丸大豆の抽出物(主要なイソフラボンを全て含む)を用いた方法、または他の植物由来の化合物とイソフラボンを併用した方法は、イソフラボン単体による治療よりも高い抗がん作用を示しました。また、1件の研究では、ヒト前立腺がん細胞の治療に大豆イソフラボンを用いた場合、またはクルクミン(香辛料のターメリックに含まれる黄色の色素で、がん予防に関して研究されている物質)を用いた場合、もしくはこれら2つの化合物を併用した場合が比較されました。その結果、クルクミンとイソフラボンを組み合わせた治療法は、それぞれの化合物単体の場合よりも、前立腺特異抗原(PSA)値を低下させる効果が高いことが示されました。

 大豆を使用した前立腺がんの治療に関する動物モデルの研究では、一貫しない結果が得られています:


  • ヒトと同様の前立腺がんが発生するよう開発された系統のマウスに、ゲニステインを含む餌または対照用の餌を与える研究が行われました。対照用の餌を与えられたマウスに比べ、ゲニステインを含む餌を食べていたマウスでは前立腺がん細胞の増殖が遅く、増殖を促進する蛋白の値も低くなりました。

  • 前立腺がんが発生するよう遺伝子組み換え処理が行われたマウスを対象とした研究では、高用量のゲニステインを含む餌もしくはゲニステインを含まない餌を与えられたマウスよりも、低用量のゲニステインを含む餌を与えられたマウスにがんの転移が多く発生しました。この結果は、前立腺がんに対するゲニステインの影響が、用量と投与時期の早さによって異なる可能性があることを示唆しています。

  • 進行性のヒト前立腺がんを移植されたマウスを用いた研究では、ゲニステインを含む落花生油を毎日投与されたマウスのほうが、ゲニステインを含まない落花生油を与えられたマウスに比べ、体の他の部位により多くの腫瘍が発生しました。

  • 放射線療法と大豆イソフラボンの併用に関する研究では、前立腺がん細胞を移植されたマウスに対して、ゲニステイン、混合イソフラボン(ゲニステイン、ダイゼイン、グリシタイン)、放射線、もしくはこれらの併用による治療が行われました。混合イソフラボンは、ゲニステインよりも前立腺腫瘍の増殖を遅らせる効果が高いことが示されました。また、混合イソフラボンと放射線療法の併用は、腫瘍の増殖を遅らせる効果が最も高いことが示されました。

4.

これまでに大豆の集団研究や臨床試験(ヒトを対象とした調査研究)は実施されていますか。

 

 大豆が前立腺がんの予防または治療に有用かどうかを明らかにするため、多くの集団研究臨床試験が実施されています。研究対象となった大豆製品は、栄養補助食品、飲料、パンなどです。

  集団研究

 集団研究では、大規模な集団を対象として、リスク因子と疾患の管理方法を調査します。大豆の摂取と前立腺がんのリスクについての集団研究では、以下のように一貫した結果が得られていません:


  • 多数の研究に対する2009年の包括的レビューにより、発酵していない大豆食品(豆腐や豆乳など)を多く摂取している男性は、前立腺がんのリスクが低いことが示されました。大豆発酵食品(味噌など)の多量摂取が前立腺がんのリスクに及ぼす影響は確認されませんでした。

  • 2013年のレビューでは、大豆による治療を受けた男性とそうした治療を受けなかった男性との間で、PSA値と性ホルモン値に大きな差は認められませんでした。

  前立腺がんの予防に関する臨床試験


  • 前立腺生検を受けた、がんを患っていない日本人男性を対象とした試験で、一部の男性に毎日大豆イソフラボンのサプリメント(40mg)とクルクミン(100mg)が投与され、他の男性にはプラセボが投与されました。6ヵ月後、サプリメントの投与を受けた群とプラセボ群のPSA値には全体的に差がみられませんでした。しかし、開始時点でPSA値が高かった患者さんに限定すると、サプリメント群の患者さんのPSA値はプラセボ群の患者さんに比べ、有意に低下していました。

  • 1件の試験で、アジアで標準的な大豆を含む食事を続けることが、ヨーロッパの男性にとって現実的かどうかが調べられました。健康な男性が大豆を多く含む食事(1日2サービングの大豆)か、あまり含まない(通常の)食事のいずれかを3ヵ月間続け、その後にもう一方の食事に切り替えました。大豆を多く含む食事を摂った場合、PSA値は低くなりました。この結果は、試験ボランティアが大豆を多く含む食事を継続できたことを示しています。

  • 前立腺がんのリスクがある男性、または低悪性度の前立腺がんを患っている男性に、大豆蛋白、アルコール洗浄した大豆蛋白(イソフラボンの含有量が少ない)、牛乳蛋白(イソフラボンを含まない)のいずれかを6ヵ月間にわたって投与する試験が実施されました。3ヵ月あるいは6ヵ月の時点では、各群のPSA値に差はみられませんでした。6ヵ月以降の前立腺がん発生数は、いずれかの大豆蛋白を摂取した男性の方が、牛乳蛋白を摂取した男性に比べて少なくなりました。

  前立腺がんの治療に関する臨床試験


  • 大豆イソフラボンに関する試験では、PSA値が上昇している前立腺がんの患者さんで、放射線療法による治療を受けたことのある人が、6ヵ月間にわたって毎日、大豆飲料を摂取しました。この大豆飲料には65~90mgのイソフラボンが含まれていました。結果として、大豆飲料には副作用がほとんどみられず、PSAの倍加時間血液中のPSA値が2倍になるまでの時間)を遅らせる効果が示されました。これらの知見は、大豆飲料の摂取が前立腺がんの進行を遅らせる可能性を示唆しています。

  • ゲニステイン(主要なイソフラボン)の試験では、根治的前立腺全摘除術を予定している前立腺がんの患者さんに、手術前の3~6週間にわたって、プラセボまたはゲニステイン(30mg/日)を投与しました。ゲニステインの投与を受けた患者さんのPSA値はわずかに低下し、プラセボ群の患者さんではわずかに上昇しました。

  • 1件の大豆イソフラボンに関する試験で、前立腺摘除術が予定されている前立腺がんの患者さんが、手術前にカプセル(イソフラボン80mg/日を含有)またはプラセボの投与を最長で6週間受けました。2つの群の間でPSA値、テストステロン値、コレステロール値の変化に差はみられませんでした。

  • 早期前立腺がんの患者さんを対象に、大豆蛋白サプリメント(60mg/日)の試験が実施されました。12週間にわたりサプリメントを摂取した患者さんでは、プラセボを投与された患者さんに比べ、PSA値とテストステロン値の低下幅がわずかに大きくなりました。

  • 前立腺の除去手術を予定している男性を対象に、丸大豆に関する試験が実施されました。1件の試験では、手術前の2週間に大豆サプリメントを摂取した患者さんについて、前立腺組織内のイソフラボン値が血液中よりもはるかに高いことが示されました。また、別の試験では、フィトエストロゲンを豊富に含むパン(大豆、または大豆と亜麻仁を含む)を食べた患者さんは、小麦粉のパンを食べた患者さんよりも、PSA値の低下幅が大きくなりました。

  • 抗アンドロゲン療法を受けている前立腺がんの患者さんを対象に、大豆イソフラボンサプリメントの試験が2件行われました。抗アンドロゲン療法の副作用には、性的機能障害生活の質の低下、精神機能の変化などがあります。いずれの試験でも、12週間にわたりイソフラボンサプリメント(160mg/日)を摂取した患者さんと、プラセボ群の患者さんを比較したところ、抗アンドロゲン療法の副作用に改善はみられませんでした。

5.

大豆について副作用や何らかの危険性は報告されていますか。

 

 多くの臨床試験で前立腺がんの患者さんが大豆製品とイソフラボンを摂取し、ごく少数の副作用がみられました。最もよく報告された副作用は、軽い消化管 症状です。

6.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国で大豆をがんの予防薬または治療薬として使用することを承認していますか。

 

  米国食品医薬品局は、大豆をがんやその他の病の治療薬として使用することを承認していません。

 米国では、大豆は食品または栄養補助食品から摂取することができます。栄養補助食品は食事に追加して用いることを想定した製品です。これらは薬物ではなく、病気の治療や予防、治癒を目的としていません。製造者は、製品が安全であること、および正確かつ誤解を招かないラベル表示を記載することに責任を負います。FDAは栄養補助食品の安全性と有効性に関する販売前承認を行いません。

現在実施中の臨床試験

NCI支援のがん臨床試験リストから、現在患者さんの登録を行っている前立腺がんに対する大豆イソフラボン前立腺がんに対する大豆蛋白分離物CAM臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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ビタミンDに関する質問と回答

1.

ビタミンDとは何ですか。

 

  ビタミンD(カルシポトリオール、コレカルシフェロール、エルゴカルシフェロール)は、栄養強化された乳製品、脂がのった魚、魚類肝油、卵に含まれる脂溶性ビタミンです。

 ビタミンDは体内で次のような数多くの役割を果たします:


 ビタミンDは骨の成長に必要な物質であり、成人の骨粗鬆症を防ぎます。通常、ビタミンDの値は、血液中の25-ヒドロキシビタミンDの量を測定して調べます。

2.

ビタミンDの摂取源は何ですか。

 

 ビタミンDは、日光を浴びると体内で自然に作られます。 また、ビタミンDは、食事または栄養補助食品から摂取される場合もあります。

3.

これまでにビタミンDを使用した前臨床研究(基礎研究や動物での研究)は実施されていますか。

 

 基礎研究と動物での調査研究によると、ビタミンDは各種の経路で前立腺がん 細胞に影響を及ぼすようです。

 前立腺がんにおけるビタミンDの前臨床試験で、以下のような結果が示されています:


  • ある型のビタミンDについての1件の研究では、血管リンパ管、体の内壁を覆う薄い細胞の層である内皮に前立腺がんが固着するのを防ぐ可能性があることが示されました。

  • 2011年の1件の研究では、マウスに十分なビタミンDを含む餌またはビタミンDを欠乏させた餌を与え、骨髄または軟部組織に前立腺がん細胞を注射しました。ビタミンDが欠乏したマウスでは、十分な量のビタミンDを摂取したマウスに比べ、骨の腫瘍が大きく、より速く増殖しました。しかし、軟部組織の腫瘍については、ビタミンDの値が異なるマウスの間で差がみられませんでした。この研究の結果から、ビタミンDの欠乏は骨における前立腺がん細胞の増殖に関連するものの、軟部組織では関連していないことが明らかになりました。

  • ある研究では、補助療法(他の治療法の効果を向上させる療法)として凍結療法(病変を凍らせて破壊する療法)と併用されるビタミンDの検証が行われました。前立腺がん細胞を注射したマウスに対して、カルシトリオールによる治療が単独で、または凍結療法との併用で実施されました。カルシトリオールと凍結療法の併用による治療を受けたマウスでは、カルシトリオール単独または凍結療法単独での治療を受けたマウスに比べ、がん細胞の死が多く、がん細胞の拡がりも小さいことが認められました。

4.

これまでにビタミンDの集団研究や臨床試験(ヒトを対象とした調査研究)は実施されていますか。

 

 ビタミンDが前立腺がんの予防または治療に有用かどうかを明らかにするため、多くの集団研究臨床試験が実施されています。

  集団研究

 集団研究では、大規模な集団を対象として、リスク因子と疾患の管理方法を調査します。ビタミンDと前立腺がんのリスクについての集団研究では、以下のように一貫した結果が得られていません:


  • 転移していない前立腺がんの患者さんを対象として、5年間にわたり毎年、ビタミンDの値を測定する調査が行われました。この研究全体を通じて、これらの患者さんに一般的にみられたのは、ビタミンDの欠乏でした。

  • 前立腺がんの患者さんに対する別の研究では、血液中のビタミンD濃度が中程度から高い値の患者さんのほうが、低値の患者さんよりも転帰が良好である傾向がみられました。これらの結果は、ビタミンD濃度が、疾患が悪化するか否かに何らかの役割を果たしていると考えられ、前立腺がんの患者さんの転帰を予測する因子になりうることを示しています。

  • α-トコフェロール、βカロチンによるがん予防研究(Alpha-Tocopherol, Beta-Carotene Cancer Prevention Study)では、前立腺がんの患者さん1000人と対照群の患者さん1000人について、最長で20年の追跡調査が行われました。その結果、ビタミンDの血中濃度が高い男性は、ビタミンD濃度が低い男性よりも前立腺がんの発生リスクが高いことが示されました。

  • セレンとビタミンEによるがん予防試験(Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial、SELECT)に基づく1件のケースコホート解析では、ビタミンDの血中濃度が中等度(45~70nmol/L)の男性は、ビタミンDの血中濃度が低いまたは高い男性に比べ、侵攻性の前立腺がんのリスクが著しく低いことが示されました。

  • 日光を浴びることで作られるビタミンDが前立腺がん発生率に及ぼす影響について、研究が行われました。2006年の1件の研究で、1年のうち春と夏は他の季節よりもPSA値の上昇速度が緩やかであることが明らかになり、春と夏では体内のビタミンD値が高くなることがその原因ではないかと考えられています。別の研究によると、日光を浴びる量が少ない男性ではあらゆる前立腺がんのリスクが増大しましたが、そうした日光を浴びる量が少ない前立腺がん患者さんは進行がんのリスクが低いことも明らかになりました。

  • 1950~1994年の米国における死亡者の地理的な分布から、日光による紫外線の量が低い地域で、前立腺がんの死亡率が高いことが示されています。この効果は、北緯40度より北の、冬季の数ヵ月間に日照量が非常に少なくなる地域で最も強くみられました。これらの知見は、ビタミンDの欠乏が前立腺がんのリスクを高めるという説を裏付けています。

  多くの集団研究に対する包括的レビュー

 45件の観察研究を包括的に検討した2008年のレビューでは、ビタミンDの摂取と前立腺がんリスクの間に関連はみられませんでした。

 25件の研究を包括的に検討した2011年のレビューでは、食事に含まれるビタミンDまたはビタミンDの血液中の濃度と前立腺がんリスクとの間に関連はみられませんでした。

 21件の研究を包括的に検討した2014年のレビューでは、ビタミンDの高血中濃度は前立腺がんの高リスクに関連する可能性が示されました。高収入層の男性はビタミンD濃度が高くPSA検査を受ける率も高いので前立腺がんの報告率が上がる、といくつかの研究で指摘されていることもあり、このレビューの発見には多くの要因が関係していると考えられます。

  前立腺がんの治療に関する臨床試験

 前立腺がんの患者さんを対象とした臨床試験では、次のような結果が示されています:


  • 1件の臨床試験では、治療後に再発(再びがんが発生)した前立腺がんの患者さんに対し、カルシトリオール(ビタミンDの活性型)とナプロキセンを1年間投与しました。その結果、カルシトリオールとナプロキセンの併用はPSA値の上昇速度を緩やかにする効果が明らかになり、疾患進行を遅らせることができる可能性が示されました。

  • 2010年の1件の研究では、ホルモン療法反応しない前立腺がんの患者さんに対し、カルシトリオールとデキサメタゾンによる治療が施されました。この結果、治療の忍容性は十分であったものの、研究対象となった患者さんのPSA値には影響がありませんでした。

  • 2009年の1件の研究では、局所進行または転移性の前立腺がんの患者さんに対し、ビタミンDによる治療が行われました。この研究によると、ビタミンDの投与を受けた患者さんの5人に1人がPSA値の改善を示し、進行した前立腺がんの患者さんにビタミンDが有効な療法である可能性が示唆されました。

5.

ビタミンDについて副作用や何らかの危険性は報告されていますか。

 

 ビタミンDは長年にわたって大(10,000~50,000IU/日)に摂取すると有毒な場合があります。多量のビタミンDを摂取すると、から過剰な量のカルシウムが吸収され、血中カルシウム濃度が急激に上昇することがあります。この病態高カルシウム血症と呼ばれます。

 高カルシウム血症の徴候症状には、頻尿や多尿、極端なのどの乾き、腎機能の低下、軟部組織でのカルシウムの蓄積などがあります。うつ病拒食症など、脳に対する影響もあります。

 26件の研究を対象としたレビューで、ビタミンDの安全性と有効性、および前立腺がんや他の腫瘍の治療に用いられる薬物との相互作用の有無が検討されました。これらの研究で最もよくみられたビタミンDの形態はカルシトリオールでした。このレビューでは、カルシトリオールの大量投与で予想される有害作用を上回る問題は認められず、薬物相互作用のリスクは低いことが明らかになりました。

  数件の研究で、アンドロゲン非依存性の前立腺がんを患う男性の治療に高用量のカルシトリオールと化学療法ドセタキセル)を併用する療法の安全性と有効性が検討されました。ドセタキセル単独より高い毒性は認められませんでした。

6.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国でビタミンDをがんの治療薬として使用することを承認していますか。

 

  米国食品医薬品局は、ビタミンDをがんやその他の病態の治療薬として使用することを承認していません。

 米国では、ビタミンDは食品または栄養補助食品から摂取することができます。栄養補助食品は食事に追加して用いることを想定した製品です。これらは薬物ではなく、病気の治療や予防、治癒を目的としていません。製造者は、製品が安全であること、および正確かつ誤解を招かないラベル表示を記載することに責任を負います。FDAは栄養補助食品の安全性と有効性に関する販売前承認を行いません。

現在実施中の臨床試験

NCI助成がん臨床試験リストから、現在患者さんの登録を行っている前立腺がんに対するビタミンDCAM臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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ビタミンEに関する質問と回答

1.

ビタミンEとは何ですか。

 

  ビタミンEは、心血管疾患などの慢性疾患から体を保護する働きがあると考えられる栄養素です。ビタミンEはいくつかの種類のがん予防する目的で研究されています。

 ビタミンEには8つの種類があり、そのうちの4種類はトコフェロール(α-、β-、γ-、δ-)、あとの4種類はトコトリエノール(α-、β-、γ-、δ-)です。トコフェロールのなかでも、α-トコフェロール栄養補助食品に多く含まれるビタミンEの一形態)は体内に存在する量が多く、最も活性の高いビタミンEです。食事に含まれるビタミンEは、ほとんどがγ-トコフェロールに由来します。ビタミンEを含む食品には、植物油、ナッツ類、卵黄などがあります。

  ビタミンEが健康にもたらす利益の多くが、抗酸化物質としての働きによるものです。ビタミンEは強力な抗酸化物質であり、フリーラジカルによる損傷から細胞 を保護します。ビタミンEには細胞内の信号伝達経路や遺伝子発現に関係する他の機能もあります。

2.

ビタミンEの投与または摂取方法はどのようなものですか。

 

  ビタミンEは食事から摂取するか、栄養補助食品を使用して摂取します。

3.

これまでにビタミンEの臨床試験(ヒトを対象とした研究)は実施されていますか。

 

 ビタミンEが前立腺がんの予防または治療に有用かどうかを明らかにするため、集団研究臨床試験が実施されています。

  集団研究

 集団研究では、大規模な集団を対象として、リスク因子と疾患の管理方法を調査します。ビタミンEと前立腺がんのリスクについての集団研究では、次のような結果が示されています:


  • NIH-AARP食事健康調査(NIH-AARP Diet and Healthy Study)では、参加者が摂取する栄養補助食品や食事に含まれるビタミンEが前立腺がんを予防するかどうかが調べられました。5年後に、ビタミンEの栄養補助食品と前立腺がんリスクの間には関連がないことが明らかになりました。しかし、ビタミンEの1種(γ-トコフェロール)を多く摂取した人では、進行性の前立腺がんのリスク低下が認められました。

  • 2010年の1件の研究では、前立腺がんの患者さんと前立腺がんを患っていない人の血液中の微量元素とビタミンEの濃度を測定したところ、患者さんの血液中のビタミンE濃度は、前立腺がんを患っていない人よりも大幅に低いことが示されました。さらに、PSA値が高い人では、血液中のビタミンE濃度が低いことも示されました。

  • 前立腺がん、肺がん、大腸がん、卵巣がん(PLCO)のスクリーニング試験(Prostate, Lung, Colorectal and Ovarian Screening Trial)で、α-トコフェロールとγ-トコフェロールの血中濃度と前立腺がんリスクが調べられました。α-トコフェロールの値が高い男性では前立腺がんの発症率が低かったものの、これは現喫煙者と最近禁煙した人についてのみ示された結果です。

  • 数ヵ国の男性のべ370,000人が参加した多数の研究に対する包括的レビューでは、α-トコフェロールの高血中濃度が、喫煙者だけでなく全ての患者さんにおいて、前立腺がんのリスク低下に関連していました。

  前立腺がんの予防と治療に関する臨床試験


  • 医師の健康研究II(Physicians' Health Study II)では、ビタミンEの栄養補助食品(合成α-トコフェロール、400IUを隔日)またはビタミンCの栄養補助食品(合成アスコルビン酸500mgを毎日)、もしくはその両方を男性に投与し、その後、平均8年間の追跡調査を行いました。前立腺がんの全発生率は、ビタミンEの栄養補助食品を投与された男性とそうでない男性の間で非常に類似しており、ビタミンEが前立腺がんを予防しない可能性が示唆されました。さらに、ビタミンEはこれらの参加者の全がん発生率または死亡率に影響を及ぼしませんでした。

  • α-トコフェロール、βカロチンによるがん予防研究(Alpha-Tocopherol, Beta-Carotene Cancer Prevention Study、ATBC)では、男性に対して最長19年の追跡調査を行い、血液中のα-トコフェロール濃度と食事でのビタミンEの摂取量を測定しました。食事に含まれるビタミンEと前立腺がんの関連はありませんでしたが、血液中のα-トコフェロール濃度の高値が、進行性前立腺がんの低リスクに関連する可能性が示されました。

  • ATBC試験では、前立腺がんを患っている男性について、血清α-トコフェロール濃度が生存期間に影響を及ぼすかどうかを明らかにする研究が行われました。診断時と3年経過時の両方で、血清α-トコフェロール濃度が高いことが前立腺がんの生存率の改善に関連していました。

  • カロテンおよびレチノールの有効性試験(Carotene and Retinol Efficacy Trial、CARET)に参加した男性を対象とした2011年の研究で、現在喫煙者では、濃度の高い血清α-トコフェロールとγ-トコフェロールが侵攻性前立腺がんの低リスクに関連することが示されました。

  セレンとビタミンEによるがん予防試験(Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial、SELECT)

  セレンとビタミンEによるがん予防試験(Selenium and Vitamin E Cancer Prevention Trial、SELECT)は、2001年に米国国立衛生研究所が開始した大規模な臨床試験であり、前立腺がんの発生に対するセレンやビタミンEの効果を調査しています。50歳以上の男性35,000人以上が、以下の組み合わせのいずれかを毎日、7~12年間投与される群にランダムに割り付けられました:


  • ビタミンE(酢酸α-トコフェロール、400IU/日)とプラセボ

  • セレン(L-セレノメチオニン、200mcg/日)とプラセボ;

  • ビタミンEとセレン;または

  • 2種類のプラセボ

 2009年に報告されたSELECTの最初の結果では、4つの群の間で前立腺がん発生率に有意な差はみられませんでした。ビタミンE単独の群では、前立腺がんの発生率がわずかに上昇し、セレン単独の群では糖尿病の発生率がわずかに高くなりました。これらの結果に基づいて、研究に参加した男性に対し、研究対象の栄養補助食品の使用を中止するよう助言が行われました。

 その後、2011年に更新されたSELECTの結果では、セレンの栄養補助食品は前立腺がんのリスクに意味のある影響を及ぼさなかったことが示されました;しかし、ビタミンEを単独で投与された男性ではプラセボ群に比べて前立腺がんのリスクが17%高くなりました。

 2014年に発表されたその後のSELECTの結果では、ビタミンEの栄養補助食品の投与は、試験開始時点でセレンが高値だった男性の前立腺がんリスクに影響しないことが明らかになりました;一方で、ビタミンEの栄養補助食品の投与は、試験開始時点でセレンが低値だった男性の低悪性度および高悪性度の前立腺がんリスクを高めました。

  ビタミンEの用量やセレンの形態など、複数の因子が研究結果に影響したと考えられます。

4.

ビタミンEについて副作用や何らかの危険性は報告されていますか。

 

 α-トコフェロールは、米国食品医薬品局によって一般に安全と認められています(Generally Recognized as Safe)。

 医師の健康研究II(Physicians' Health Study II)では、ビタミンE(α-トコフェロール、400IUを隔日)を投与された男性とプラセボを投与された男性の間に、消化管 症状疲労、眠気、皮膚の変色または発疹、片頭痛の発生率に明らかな差はみられませんでした。しかし、ビタミンEを投与された男性では、プラセボを投与された男性よりも出血性脳卒中が多く発生しました。α-トコフェロール、βカロチンによるがん予防研究(Alpha-Tocopherol, Beta-Carotene Cancer Prevention Study、ATBC)でも、ビタミンE(α-トコフェロール、50mg/日)を投与された群の男性の間で出血性脳卒中が増加しました。

 SELECT試験の早期結果では、ビタミンE(all-rac-α-トコフェロール、400IU/日)の投与を受けた群と他の治療群との比較で、比較的軽度の有害作用(脱毛、皮膚の炎症吐き気など)の発生率に明らかな差がみられませんでした。SELECT参加者に対するその後の経過観察で、ビタミンEのみの投与を受けた群の男性に前立腺がんリスクの増大が認められました。

5.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国でビタミンEをがんの治療薬として使用することを承認していますか。

 

  米国食品医薬品局は、ビタミンEをがんやその他の病態の治療薬として使用することを承認していません。

 米国では、ビタミンEは食品または栄養補助食品から摂取することができます。栄養補助食品は食事に追加して用いることを想定した製品です。これらは薬物ではなく、病気の治療や予防、治癒を目的としていません。製造者は、製品が安全であること、および正確かつ誤解を招かないラベル表示を記載することに責任を負います。FDAは栄養補助食品の安全性と有効性に関する販売前承認を行いません。

現在実施中の臨床試験

NCI助成がん臨床試験リストから、現在患者さんの登録を行っている前立腺がんに対するビタミンECAM臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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併用療法

ザクロ、緑茶、ブロッコリー、ウコン

ポリフェノールは多くの植物に含まれ、花や果実、野菜を色づける化合物です。ポリフェノールには、フリーラジカルによる損傷から細胞を保護する抗酸化作用があります。

転移していない前立腺がんの男性の集団を対象として、ポリフェノールを多く含む栄養補助食品の研究が行われました。この栄養補助食品の成分として、以下の組み合わせを使用しました:


これらの成分は生の植物や乾燥した植物に由来する粉末であり、いずれも規格化されていませんでした(規格化されたハーブサプリメントは1種類以上の有効成分を一定量含んでいるため、製品は異なるバッチ間で同一です)。

あるランダム化臨床試験で、男性199人に栄養補助食品かプラセボのいずれかを6ヵ月にわたって投与しました。この試験を開始する前に、半数足らずの男性は局所療法後に前立腺特異抗原(PSA)値の上昇を経験し、半数と少しの男性は積極的サーベイランスを受けていました(つまり未治療でした)。栄養補助食品を摂取した群では、プラセボ群に比べ、PSA中央値の上昇がはるかに小さいという結果が得られました。栄養補助食品は忍容性が良好で、栄養補助食品群とプラセボ群の間には、有害事象に関する顕著な差は報告されませんでした。ただし、栄養補助食品群の患者さんには消化管の 症状が発生しやすいという傾向(ガスや軟便の発生が多いなど)が認められました。

Zyflamendに関する質問と回答

1.

Zyflamendとは何ですか。

 

 Zyflamendは、以下に挙げる10種類のハーブ抽出物をオリーブオイルに入れた栄養補助食品です:


  • ローズマリー。

  • ウコン

  • ショウガ

  • ホーリーバジル(カミメボウキ)。

  • 緑茶

  • イタドリ(Polygonum cuspidatum)。

  • 中国オウレン。

  • メギ(バーベリー)。

  • オレガノ。

  • コガネバナ。

 Zyflamendにみられるこれらの抽出物には、抗炎症性作用に加え、抗がん作用の可能性もあります。腫瘍の増殖に対してZyflamendがどのように作用するかについては、証拠が限られています。Zyflamendは、炎症の発生に関与するとともに、がんの発生にも関与している可能性があるCOX-1およびCOX-2酵素活性を妨げることが示されています。また、Zyflamendは、腫瘍の増殖を刺激する蛋白であるNF-κBやリポキシゲナーゼ(LOX)ファミリーにも作用する可能性があります。

2.

Zyflamendの投与または摂取方法はどのようなものですか。

 

 Zyflamendは、カプセル剤の栄養補助食品として服用します。

3.

これまでにZyflamendを使用した前臨床研究(基礎研究や動物での研究)は実施されていますか。

 

 がんにおけるZyflamendの効果について研究する基礎研究動物での研究が最近実施されています。

 Zyflamendの基礎研究では、以下のような結果が示されています:


  • ヒト前立腺がん 細胞を様々な用量のZyflamendで処理したところ、アンドロゲン(男性ホルモン受容体前立腺特異抗原(PSA)の値が、対照物質で処理した細胞と比べて低下し、Zyflamendの用量が大きいほど高い効果が認められました。Zyflamendとビカルタミド(非ステロイド系抗アンドロゲン )を併用して処理した前立腺がん細胞では、細胞増殖、PSA、およびがん生存蛋白の量が、Zyflamendまたはビカルタミドのいずれか単独で処理した前立腺がん細胞より低下することが示されました。

  • ヒト前立腺がん細胞を用いた1件の研究では、高濃度のZyflamendはCOX-1とCOX-2の両方の活性を阻害することが明らかになりました;また、低濃度のZyflamendはCOX-2活性を阻害しましたが、COX-1には効果が小さいことが示されました。また、Zyflamendは前立腺がん細胞の増殖を抑えることも明らかになりました。しかし、この研究で使用した前立腺がん細胞は、COX-2の値が高くなかったことから、ZyflamendはCOX活性に依存してない前立腺がん細胞に対して効果がある可能性が示唆されます。

  • 前立腺がん細胞をインスリン様成長因子-1(IGF-1、前立腺がんのリスク増加に関連している蛋白質)単独またはZyflamendとの併用で処理した試験が行われました。IGF-1単独で処理した細胞は増殖して拡がりましたが、IGF-1とZyflamendを併用して処理した細胞の増殖や拡大はそれより小さくなりました。また、Zyflamendは、前立腺がん細胞のIGF-1受容体やアンドロゲン受容体の量を減少させることも示されています。

 がんの動物モデルを用いたZyflamendの研究では、以下のような結果が示されています:


  • 膵腫瘍細胞を移植したマウスに対して、Zyflamendまたは対照治療薬が投与されました。Zyflamendを投与したマウスでは、対照群のマウスよりがん生存蛋白質の量が低下し、抗がん作用が高まりました。

  • 膵腫瘍細胞を移植したマウスに対して、Zyflamend、ゲムシタビン、またはその両方が投与されました。Zyflamendとゲムシタビンを同時に投与したマウスから採取した腫瘍細胞では、腫瘍増殖においてZyflamendまたはゲムシタビンを単独で投与したマウスから採取した腫瘍細胞よりもはるかに大きな低下が認められました。このような研究結果から、Zyflamendにはゲムシタビンによる治療に対する膵腫瘍の感受性を高める作用がある可能性が示唆されます。

4.

これまでにZyflamendの臨床試験(ヒトを対象とした研究)は実施されていますか。

 

  高悪性度 前立腺上皮内腫瘍(HGPIN)で、Zyflamendを1日3回、18ヵ月にわたって服用した1人の患者さんの報告では、PSA値に影響はみられませんでした。しかし、18ヵ月の治療終了時点で再度実施した前立腺 生検では、HGPINもがんも認められませんでした。

  Zyflamendの第I相安全性試験では、HGPINの患者さんがZyflamend(780mg)を1日3回、18ヵ月にわたって服用し、同時に栄養補助食品(プロバイオティクスサプリメント、マルチビタミン、緑茶抽出物と白茶抽出物、コガネバナ、ドコサヘキサエン酸、ホーリーバジル、ウコン)も服用しました。Zyflamendとその他の栄養補助食品は忍容性良好で、重篤な副作用はみられませんでした。18ヵ月の治療終了時点で実施した生検の結果では、過半数の患者さんが良性で、約4分の1の患者さんがHGPIN、約8分の1の患者さんが前立腺がんでした。

5.

Zyflamendについて副作用や何らかの危険性は報告されていますか。

 

 Zyflamendの第I相安全性試験(前述)では、毒性や重篤な副作用は報告されませんでした。一部の患者さんに軽度の胸やけがみられましたが、Zyflamendを食事と同時に服用することで消失しました。

6.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国でZyflamendをがんの予防薬または治療薬として使用することを承認していますか。

 

  米国食品医薬品局は、Zyflamendをがんやその他の疾患の治療薬として使用することを承認していません。

 米国では、Zyflamendを栄養補助食品として入手することができます。栄養補助食品は食事に追加して用いることを想定した製品です。これらは薬物ではなく、病気の治療や予防、治癒を目的としていません。製造者は、製品が安全であること、および正確かつ誤解を招かないラベル表示を記載することに責任を負います。FDAは栄養補助食品の安全性と有効性に関する販売前承認を行いません。

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前立腺の健康に関するその他の栄養補助食品

概要

多種多様な栄養補助食品が、前立腺の健康をサポートする目的で市販されています。アフリカミカン(pygeum africanum)とβ-シトステロールという2種類の関連する栄養補助食品が、前立腺がんの治療法として研究されています。

アフリカミカン/P. africanum

アフリカミカンまたはPygeum africanumは熱帯気候の地域で生育する樹木です。ケニア、マダガスカル、ウガンダ、ナイジェリアなど、多数のアフリカの国々に分布しています。P. africanumの樹皮は、アフリカの部族によって泌尿器症状痛を軽減するために用いられていました。18世紀にヨーロッパ人の旅行者が、南アフリカの部族の人々から、P. africanum膀胱の不快感と「高齢男性の病気」(前立腺腫大)に効くと教わりました。

1969年以降、ヨーロッパでP. africanumの樹皮の抽出物処方 として利用できるようになり、良性前立腺過形成(BPH)の治療に広く用いられています。樹皮には、脂肪酸やフィトステロール(β-シトステロールなど)をはじめ、いくつもの化合物が含まれています。樹皮に処理が施され、抽出物として精製されます。

基礎研究および動物試験で、P. africanumの樹皮から抽出された2つの物質に、細胞アンドロゲン取り込みを阻害する働きがあることが示されました。このP. africanum抗アンドロゲン活性は、フルタミド(抗がん剤)の抗アンドロゲン活性に比べて、はるかに低濃度で認められます。

β-シトステロール

β-シトステロールは、植物性化学物質 フィトステロールの一種で、多種多様な植物に含まれ、量も様々です。アフリカミカン(Pygeum africanum)、ノコギリヤシSerenoa repens)、様々なナッツ類、豆類、種子に含まれます。この物質はフィトステロール(植物ステロール)の一種であり、化学構造がコレステロールに類似しています。β-シトステロールなどのフィトステロールには、食事から吸収できるコレステロールの量を制限する働きがあり、心血管疾患から体を防護する作用について研究が行われています。β-シトステロールは体に非常に吸収されにくい物質です。

いくつかの研究はフィトステロールに抗がん活性がある可能性を指摘していますが、正確な作用は不明です。フィトステロールは、免疫系やホルモンの分泌系に影響を及ぼしたり、細胞周期を直接標的にして、腫瘍の細胞死を引き起こしたりする場合があります。

複数の基礎研究で、高濃度のβ-シトステロールが前立腺がん細胞の増殖を大幅に遅らせ、がん細胞の死を引き起こすことが示されました。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、前立腺がんの発生リスクを低下させるための、あるいは前立腺がんを治療するための栄養補助食品の使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Board. PDQ Prostate Cancer, Nutrition, and Dietary Supplements. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/cam/patient/prostate-supplements-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389501]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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補完代替医療(CAM)についての一般的な情報

補完代替医療(CAM)は、統合的医療とも呼ばれ、ヒーリングに関する原理やアプローチ、治療法などを幅広く意味します。従来の治療に加えて実施する場合は補完療法と呼ばれ、また、従来の治療の代わりに実施する場合は、よく代替療法と呼ばれます(従来の治療とは医学界で広く受け入れられ、かつ主流となっている治療を意味します)。どのように用いられるかによって、補完療法とみなされる場合と、代替療法とみなされる場合があります。補完代替療法は、病気の予防やストレスの軽減、副作用や症状の予防と軽減、そして疾患の管理や治癒を目的として用いられます。

がんの従来の治療とは異なり、補完代替療法は保険が適用されないことが多くあります。患者さんは加入保険会社に、補完代替医療が保険の適用対象となっているかどうかを確認することをお奨めします。

補完代替医療の中には、標準治療を妨げたり、従来の治療と併用した場合に有害となりうるものがあるため、補完代替療法を検討されているがん患者さんはどんな治療法でも必ず、担当医や看護師、薬剤師と相談して意思決定を行ってください。

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補完代替医療(CAM)のアプローチの評価

補完代替医療の治療についても、従来の治療の評価と同様、厳格な科学的評価を行うことが重要です。米国国立がん研究所および米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は医療施設において、がんに対するCAM療法の評価を行うための臨床試験(調査研究)を数多く主催しています。

一般的に、がんの治療における従来のアプローチは、多数の患者さんを対象とした臨床試験の実施など、厳格な科学的プロセスを経て、安全性や有効性が検討されています。それに比べ、補完代替医療の安全性や有効性についてはあまり知られていません。厳格な評価を経たCAM療法はごくわずかです。はじめは純粋に代替アプローチとみなされていた少数のCAM療法が、治癒を求めるものではなく、患者さんをより楽にし回復を早める手助けとなる補完医療として、がんの治療で用いられつつあります。1つの例が鍼療法です。1997年11月に開催された米国国立衛生研究所(NIH)の専門家委員会の会合によると、鍼療法は化学療法に関連した吐き気や嘔吐、そして手術に関連した疼痛の管理に有効であることがわかりました。対照的に、レートリルの使用などのいくつかのアプローチは、検討の結果、無効であるか、または有害となりうることがわかりました。

1991年に始まったNCIのBest Case Series Programは、臨床で用いられているCAMアプローチの評価を行うプログラムの1つです。このプログラムはNCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)の監視下で進められています。がん代替医療を行う医療専門家は、患者さんのカルテや関連資料をOCCAMに提出します。OCCAMではそれらの資料を厳密に精査し、NCI主導の研究を正当化するであろう治療アプローチについては、フォローアップ研究の戦略を立てています。

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補完代替医療(CAM)について医療提供者に質問すべきこと

補完代替療法を受けることを考えている場合、患者さんは主治医などの医療提供者に次の質問を行ってください。


  • どのような副作用が予想されますか。

  • この治療に伴うリスクは何ですか。

  • 既知の有益性はそれらのリスクに勝っていますか。

  • この治療からどのようなメリットが期待できますか。

  • この治療は従来の治療の妨げになりますか。

  • この治療は臨床試験の一部として実施されますか。

  • もしそうなら、誰がその試験を主催しますか。

  • この治療には健康保険が適用されますか。

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補完代替医療(CAM)についてさらに知るには

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)

米国国立衛生研究所(NIH)の国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、補完代替医療の研究および評価を促進し、医療専門家や一般の方を対象に様々なアプローチについての情報を提供しています。


    NCCIH Clearinghouse
    Post Office Box 7923 Gaithersburg, MD 20898–7923
    電話:+1-888-644-6226 (フリーダイヤル)
    テレタイプライター付の電話(耳が聞こえないか聴覚に障害のある方用):+1-866-464-3615
    E-mail:info@nccih.nih.gov
    ウェブサイト:https://nccih.nih.gov

CAM on PubMed

NCCIHおよびNIH国立医学図書館(NLM)は共同でCAM on PubMedを開発し、CAMに関連するジャーナルの記載内容を無料かつ簡単に検索できる機能を提供しています。NLMの図書目録データベースのサブセットとして、CAM on PubMedには様々な科学ジャーナルのCAMに関連する論文から、230,000を超える文献や抄録が登録されています。このデータベースはさらに、1,800を超えるジャーナルにリンクしており、ユーザーが論文全文を参照できるようになっています(論文全文を参照するには、購読料などの費用が発生する場合があります)。

がん補完代替医療オフィス

NCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)は、補完代替医療(CAM)の分野におけるNCIの活動をコーディネートしています。OCCAMはCAMのがん研究をサポートし、がんに関連するCAMについての情報を、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトを通して医療提供者や一般の方に提供しています。

米国国立がん研究所(NCI)のがん情報サービス

米国にお住まいの方は、NCIがん情報サービスフリーダイヤル+1-800-4-CANCER(+1-800-422-6237)に電話をすることができます(月曜日から金曜日の午前8時から午後8時まで)。訓練を受けたがん情報スペシャリストが質問にお答えします。

食品医薬品局

食品医薬品局(FDA)は、薬物や医療機器を規制し、それらの安全性と有効性を確保しています。


    食品医薬品局
    10903 New Hampshire Avenue
    Silver Spring, MD 20993
    電話:+1-888-463-6332 (フリーダイヤル)
    ウェブサイト:http://www.fda.gov

連邦取引委員会

連邦取引委員会(FTC)は消費者保護法を施行しています。FTCから入手可能な出版物は以下の通りです:


  • Who Cares: Sources of Information About Health Care Products and Services

  • Fraudulent Health Claims: Don't Be Fooled


    消費者センター
    連邦取引委員会
    600 Pennsylvania Avenue, NW
    Washington, DC 20580
    電話:+1-877-FTC-HELP(+1-877-382-4357)(フリーダイヤル)
    テレタイプライター付の電話(耳が聞こえないか聴覚に障害のある方用):202-326-2502
    ウェブサイト:http://www.ftc.gov
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