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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

小児の支持療法(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2010-08-31
    翻訳更新日 : 2011-12-19

概要

注:今後本要約に、治療への身体的適応、身体・認知発達に伴う諸問題、およびがん治療後の生活に関する情報を追加します。

支持療法の目的は、若年のがん患者さんとその家族の生活の質を向上させることです。

がんにかかっている小児のほとんどは、治癒可能です。しかしながら、若年の患者さんに対するがん治療では、治療中および治療後に望ましくない副作用や他の問題が生じることがあります。がんの症状および治療による副作用を早期に対処することで、患者さんはより快適になり、しっかりとして、治療後の生活に対応できるようになります。支持療法は患者さんの身体的、心理的、社会的、および精神的生活の質を向上させます。

支持療法は、乳児、小児、青年、および若年成人を含む全年齢のお子さんに対して行われます。

小児がんは成人のがんとは異なります。

小児および若年成人のがんは、後年に発症するがんとは異なります。小児がんは通常、成人のがんのようにはふるまわないので、同じ方法では治療できません:


  • 治療

     一般に小児がんの治療には、成人に用いるよりも高用量化学療法および高線量の放射線療法を行います。また、これらの治療は成人の治療よりも短期間に行われる傾向があります。これは、重い副作用が生じるまでの間に、子供は大人よりも集中的な治療(短期間で高用量)を受け入れられるからです。


  • 副作用

     治療における望ましくない副作用のなかには、成人よりも小児においてより有害なものがあります。これは、子供の身体がまだ成長・発達中なため、がんおよびその治療が発達中の臓器により影響しやすいからです。

     化学療法や放射線療法の副作用は直後に現れることもありますが、治療から数週間後もしくは数年後に現れることもあります。また、がん治療は子供の成長に影響したり、二次がんを形成させたりすることもあります。治療から数週間後または数年後に現れる問題を晩期障害と呼びます。晩期障害の可能性があるので、小児がん生存者の方々には、生涯にわたる経過観察が必要です。(詳しい情報については、PDQ小児がん治療の晩期障害に関する要約をご覧ください。)


  • 支持療法

     小児に対する支持療法の種類は、成人のものとは異なる場合があります。例えば、成人において症状のコントロールに用いられる特定の医薬品が、小児では安全でないことがあります。


年齢が異なれば、必要となる治療法および支持療法も異なります。

治療法および支持療法は年齢によって異なるので、子供の成長と発達に合わせて変化していきます。がんによっては、予後(回復の見込み)や晩期障害の危険性が、診断時または治療時の子供の年齢によって変わる場合もあります。年齢別の治療法および支持療法に関する詳しい情報は、CureSearch(英語)をご覧ください。

子供にとっての家族や友人の輪は、通常、大人にとってのそれよりも大きいものです。

がんと診断されてからも、その子はまだ学校に行き、友達や家族と時間を共有し、そしてがんになる前から生活の一部となっていた多くの活動を楽しむことでしょう。子供の家族や友達の輪は大きいものです。両親、兄弟姉妹に加えて、多くの人達がその子の毎日の生活に密接にかかわっているでしょう。この輪には、祖父母、叔母、叔父、いとこ、先生、同級生、そして友達が含まれます。子供を取り巻く家族や友達の輪の中にいる全員が、その子のがんの診断や治療、また起こりうる治療の副作用に影響を受けます。

ケアに関する大多数の決断は、子供の親または後見人によって行われます。

18歳未満の子供には、治療に関して自ら決断する法的権利がありません。彼らの親または後見人が、子供に代わって法的に決断を行うのです。このため、治療に関する決断が難しいことがあります。インフォームドコンセント(治療を決断する前に、可能な治療法およびその危険性と有益性に関する情報を与える過程)について、倫理的な懸念があります。小児治療では、親に情報が提供され、親が治療に関する許可を下します。可能であれば、その子が治療に関する決断に関与し、同意することが最善です。

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心理的な適応

がんにかかっている大多数の子供達は、うまく適応します。

がん治療は子供およびその家族にとって非常にストレスとなります。しかし研究によって、がん治療を受けた大多数の子供達、およびがんの長期生存者の子供達には、深刻な心理的な問題がほとんどないことが示されています。

通常、治療開始からの数日間というのは入院していることが多い時期ですが、その頃がその子や家族にとって最もストレスが高くなります。家から離れ新しい治療を受けることに、子供は不安を感じることがあります。この不安は普通、時間と共に薄れていきます。研究では、自尊心、希望、うつ病、不安、または孤独感において、一般にがんの治療を受けている子供達と他の子供達との間に違いはないと報告されています。

家族から多くの支援を受けている子供では、適応に関する問題が起きにくい傾向があります。

がんの種類と用いる治療法が適応に影響することがあります。

社会面、感情面、または行動面の問題が起きる危険性が増す要因には、以下が含まれます:


  • 白血病またはリンパ腫にかかっている場合、または中枢神経系(脳と脊髄)に影響するがんにかかっているかもしくは治療を受けている場合。

  • 幹細胞移植を受けた場合。

  • 家族に問題がある場合。

  • 治療中の年齢が学童年齢より低い場合。

うつ病と自殺
少数ですが、子供がうつ病や自殺につながる問題を抱えることがあります。

複数の研究で、ある種の小児がん生存者において、がんおよびその治療に関連する身体的・感情的苦痛メンタルヘルス面の問題を引き起こす可能性があることが示されています。これらの問題には、うつ病があり、この病気は自殺につながる可能性があります。うつ病の徴候には以下が含まれます:


  • むなしい、価値がない、愛されていない、人生は生きるに値しないと感じる。

  • 神経質になる、落ち着きがなくなる、いらだちやすくなる。

  • 食欲の変化。

  • 精力の減退。

  • 睡眠障害。

  • 活動への興味の低下。

  • よく泣くようになる。

詳しい情報については、小児のうつ病に関するPDQの支持療法の要約をご覧ください。

特定の抗うつ薬は、小児や若者、若年成人の自殺思考や自殺行動を引き起こすことがあります。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)と呼ばれる薬物は若年者のうつ病を減少させることが分かっています。通常、SSRIにはほとんど副作用がありませんが、SSRIは若年者(小児や若者、若年成人)の自殺思考や自殺行動を引き起こすことがあります。米国食品医薬品局(FDA)は、SSRIを服用している25歳までの若年者にうつ病の悪化の徴候(特に自殺思考や自殺行動)がないか注意深く観察すべきであると警告しています。注意深い観察が特に重要なのは、治療開始後の4~8週間です。患者さんや家族、医療提供者は、うつ病の治療にSSRIを用いることの危険性と有益性について話し合うべきです。

がんの小児、青年、または若年成人におけるSSRIの副作用は研究されていません。

小児がん生存者の方々は、経過観察の一部として、メンタルヘルスに関する定期検査を受けることが重要です。

がんの経過観察は、がん治療担当医が行いますが、主な提供者としてかかりつけの医者が行っても構いません。メンタルヘルスに関する定期検査が経過観察の一部になることが重要です。経過観察中にうつ病または他のメンタルヘルス面の徴候を示す患者さんは、療法士または他のメンタルヘルス専門家に紹介されることがあります。多くの生存者の方々が、がんから回復中の人々を助ける専門家である療法士の支援を受けています。

心的外傷後ストレス障害と症状
心的外傷後ストレス障害(PTSD)とは、重度の身体的損傷または深刻な精神的・感情的な苦痛の後に生じる不安障害のことです。

生命を脅かす病気と診断され、その治療を受けることは、しばしば心的外傷となります。このような心的外傷は、心的外傷後ストレス障害(PTSD)と呼ばれる一連の症状を引き起こすことがあります。PTSDは、死や死の恐怖、重篤な損傷、自分自身や他人への恐怖といったストレスを強く感じる出来事を経験した後に特定の症状を認めること、と定義されています。

戦闘や天災など、極めて強いストレスを感じる状況から助かった人々も、PTSDを発症することがあります。PTSDはがん生存者の方々に対して次のような影響を与えます:


  • がんの診断当時や治療当時のことが悪夢やフラッシュバックとして蘇り、頭から離れない。

  • がんの体験が蘇るような場所やイベント、人との接触を避ける。

  • 常に興奮過剰、恐怖を感じている、過敏である、眠れない、または集中できない状態である。

家族に問題がある場合や、家族や友人からの社会的支援が少ない、もしくは全くない場合、またがんとは関係ないストレスがある場合は、PTSDの発症率が高くなります。

がんにまつわる場所や人との接触を避けることがPTSDの症状のひとつであるため、PTSDを発症した生存者の方々は、必要な治療を受けないことがあります。

PTSDと診断された小児がん生存者の方々はうつ病になりやすく、また学校生活、社会活動への参加、およびキャリア目標の達成など早期成人期によくある局面で困難を伴う傾向があります。

がんにかかっている子供達および10代の方々だけでなく、親や兄弟姉妹も心的外傷後ストレス障害になる危険性があります。

がんにかかっている子供達および10代の方々では、治療中または治療終了後にPTSDの症状が生じることがあります。病気や将来に関して確信がもてないという不安が大きい人に、PTSDの症状は出やすいようです。小児がん生存者の方々の親や兄弟姉妹もまた、PTSDになる危険性が高いと考えられています。

がんの生存者およびその家族は、自らのがん体験が心理的に影響する可能性について、またPTSD症状の早期治療について情報を入手することが重要です。

がんの経過観察は、がんの治療を行った医師、または主な医療提供者であるかかりつけのお医者さんが行うこともあります。メンタルヘルスに関する定期検査が経過観察の一部になることが重要です。経過観察中にPTSDまたは他のメンタルヘルス面の徴候を示す患者さんは、療法士または他のメンタルヘルス専門家に紹介されることがあります。多くの生存者の方々が、がんから回復中の人々を助ける専門家である療法士の支援を受けています。

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家族

子供ががんになると、家族全員が影響を受けます。

子供が生命を脅かす病気であると診断されると、親は非常に大きな苦痛を感じます。時間と共に、苦痛のレベルは軽減するかもしれません。家族一人一人への影響はそれぞれ異なり、また、それに対する反応も異なるでしょう。

家族の苦痛レベルが上がる要因としては以下のものがあります:


  • そのがんの患者さんが診断時に若年である場合。

  • がん治療が長期間継続する場合。

  • がんにかかった子供が死亡した場合。

例えば、親が子供の治療に対処したり、情報を探したり、また兄弟姉妹らの世話もしなければならないように、家族全体で日常生活における変化に適用していかなくてはなりません。親の注意はがんにかかった子供に集中します。

がん患者さんの兄弟や姉妹には、自身の不安、孤独感、および恐怖の感情に対処する助けが必要です。がん患者さんへの骨髄幹細胞)ドナーとなった兄弟姉妹も不安を抱くことがあります。骨髄ドナーではない兄弟姉妹でも、学校に関係する問題が生じることもあります。

小児がんの患者さんの兄弟姉妹では、ストレス関連の症状はよくあることですが、彼らは時に、自らの経験によってより哀れみ深くなったこと、また、がんの経験が家族同士の絆を強めたことを報告しています。

このような家族の苦痛を軽減するのに、社会的支援が役立つことがあります。

働いている親、また家族や友人、医療チームから支援を受けている親は、通常苦痛のレベルが低く、自分達の子供の経験について、より前向きな気持ちを持っています。支援団体やサマーキャンプなど、社会的支援プログラムによって、兄弟姉妹はより簡単に障害に対処できるようになります。

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終末期ケア

親は、医師と協力しながら子供の終末期ケアに関する判断を下します。

新しい、より良い治療法によって治癒寛解の可能性は高まってきましたが、それでも一部の種類の小児がんは良くなりません。子供のがんが良くならないか再発した場合、親は治療を続けるべきかどうか、また続ける場合はどのような種類の治療が適切であるか分からなくなることがあります。

終末期に子供のケアを行っている親は、家族や子供の医療チームなどから多くの支援を必要とします。医療チームは、各種の治療法によって子供の生活の質(QOL)にどのような影響があるかを親が理解できるように手助けします。親は、がんへの影響が見込まれなくても子供に対する治療を続けるべきか判断を下すべきです。また、終末期ケアに関する判断を子供と共に行うかどうかも決めるべきです。

がん治療担当医からの支援として、親が最も評価しているのは以下の点です:


  • 分かりやすい情報を提供する。

  • 思いやりと配慮のあるコミュニケーションを取る。

  • 必要に応じて直接子供とコミュニケーションを取る。

  • 子供の死期が近づくにつれて生じることを親に伝え、それに対する心構えができるように手助けをする。

子供の終末期ケアに役立つサービスを利用できることがあります。

小児のがん医療を専門とする医療センターのなかには、緩和ケアや終末期ケアに役立つサービスを提供しているところがあります。これらの支援サービスには以下のものがあります:


この他、数は少ないものの役立つサービスとして、以下のものがあります:


  • 終末期ケアを受けている子供の同胞向けのプログラム。

  • まだ化学療法を受けている子供を受け入れるホスピスプログラム。

  • 補完代替治療と標準治療を併用する臨床試験

緩和ケアや終末期ケアの支援サービスが利用できない場合でも、親はがん治療担当医から他の選択肢について提案を受けられることがあります。在宅医療サポートが利用可能であれば、多くの場合、親が自宅で子供の終末期ケアを計画して行うことができます。これにより、以下のような効果が得られることがあります:


  • 子供の入院回数を減らせる可能性があります。

  • 親は子供の面倒をよりよくみていると感じ、子供の死をよりうまく受け入れることができます。

  • 子供が実際に病院で亡くなる場合、侵襲的治療がしばしば行われる集中治療室で亡くなる可能性が低くなります。

子供の終末期ケアを改善するための重要な方法が多数あります。

子供の死期が近づいてくると、家族全体が思いやりのある医学的、霊的、感情的、そして実際的な支援を必要とします。これには以下のような種類の支援が含まれます:


  • 子供とその家族のニーズに配慮した、思いやりのあるコミュニケーション。コミュニケーションは子供の年齢と発達段階に基づいているべきです。

  • 終末期にみられる痛みなどの症状を管理する方法を含む緩和ケア。医薬品や非薬物を用いた治療により、痛み、激越、かゆみ、吐き気嘔吐痙攣発作を緩和することができます。出血を防ぐために血小板輸血が行われる場合があります。

  • 家族一人一人の違いや家族の文化的な信条に基づいた、子供とその家族の感情的・霊的ニーズへの支援。

  • アルバムや手形など、家族と子供の思い出作りを手助けするような内容を含む死別ケア。家族が死亡時とその後の数日間、数週間、数ヵ月間に起きることを知る手助けにもなります。子供の死亡後に死別支援の話し合いが行われる場合があります。詳しい情報については、PDQ悲嘆、死別、喪失への対処に関する要約をご覧ください。

  • 家族が以下の判断を下すのに役立つ事前ケア計画:
    • 用いる治療の種類。

    • 家族が子供の最後を自宅で看取るかどうか。

    • 家族がホスピスケアを希望するかどうか。

    • 葬儀の手配。

    • 蘇生処置拒否指示(DNR)を行うかどうか。

    • 意思決定への参加が子供にとって良いかどうか。


  • 医学的問題、倫理的問題、および法的問題に関する医療チームからの情報や助言。

望ましい終末期ケアは、子供とその家族の特別なニーズに基づいた、各人の生活の質を向上させる治療と支援を含んだものになります。

詳しい情報については、PDQの人生の最後の数日間に関する要約をご覧ください。

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