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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

人生の最後の数日間(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2011-07-19
    翻訳更新日 : 2013-01-07

概要

終末期に関する計画を立てることは、それだけの意義が得られる場合もあれば、困難に直面する場合もあります。

終末期(人生の最後の時期)について考え計画を立てることは、患者さんやその家族にとって困難な時間となる場合があります。人にはそれぞれ固有のニーズがあり、対処方法もそれぞれで異なります。患者さん、家族、医療提供者の間で終末期について率直な話し合いがなされていれば、この過程も比較的容易なものとなります。多くの患者さんや家族にとって、この過程は人間的な成長の時間にもなりえます。こうした出来事は、当事者が自身について新たな発見をしたり、自分にとって最も大切なことが何であるかを認識したりするよい機会となります。

本稿では、人生の最後の数日間から数時間に実施されるケアについて述べられており、さらに、よくみられる症状に対する治療法や発生しうる倫理的問題についても扱われています。これらの情報は、この時期に必要となるかもしれない意思決定について準備をしている患者さんや家族の方にとって有用です。

本要約は、成人のがん患者における終末期について書かれたもので、小児については注記されています。

終末期の計画を立てておけば、患者さんとその家族の双方のストレスを軽減できます。

治療法の選択肢と計画に関する話し合いを終末期になる前に行っておけば、患者さんとその家族にかかるストレスを軽減することができます。家族には極めて感情的な状況下で患者さんに関する重大な決断を迫られる場合がありますが、患者さんの希望を知っておくことで、そうした判断が容易になることもあります。これは、終末期に関する計画と意思決定が診断直後から始められて、疾患の経過中も続けられる場合に最も有用です。こうした決定事項を書面にしておけば、家族と医療チームの双方に対して患者さんの希望を明確にすることができます。終末期疾患を患っているのが小児の患者さんである場合、こうした内容を主治医と話し合っておくと、患者さんが病院で過ごす期間を短縮することができ、両親がお子さんの終末期に対する心の準備を行うための助けとなるでしょう。

終末期に関する計画には、通常、以下の事項が含まれます:


  • ケアの目標(例えば、最後の数日間に特定のを使用するかどうか)。

  • 患者さんは最後の数日間をどこで過ごしたいと望んでいるか。

  • 患者さんは終末期のケアとしてどのような治療を望んでいるか。

  • 患者さんはどのような緩和ケアホスピスケアを望んでいるか。

緩和ケアは、症状を軽減し、患者さんとその家族の生活の質を改善することができます。

緩和ケアの目標は、苦痛を未然に防いだり軽減したりすることによって、患者さんとその家族の生活の質を改善することにあります。具体的には、痛みなどの身体症状の治療と情緒的、社会的、霊的な不安への対応が含まれます。

終末期に緩和的治療が行われる場合には、患者さんが望む治療法についての希望が必ず尊重されるように特別の配慮がなされます。

ホスピスプログラムでは、終末期の問題を扱う専門家によるケアが提供されます。

ホスピスとは、終末期を間近に控えてがんの治癒や制御を目的とした治療をとり止めた人々に対してケアを提供するプログラムです。ホスピスケアは通常、6ヵ月以上の生存が期待できない患者さんが対象です。ホスピスケアでは、余命の長さではなく、むしろ生活の質に焦点が当てられます。ホスピスの目標は、快適な状態を保ち、症状を軽減することによって、患者さんがその日その日をできるだけ豊かに過ごせるよう手助けすることにあります。このケアには、痛みやその他の症状をコントロールするための緩和ケアが含まれ、これにより、できるだけ患者さんが意識を保ち、快適な状態でいられるようにします。患者さんとその家族の情緒的、社会的、霊的なニーズに対する援助や支援といったサービスもまた、ホスピスケアの重要な一部分です。

ホスピスプログラムは患者さんと家族が自宅で過ごせるように計画されるものですが、ホスピスセンターや一部の病院、療養施設などでサービスが提供される場合もあります。ホスピスケアのチームには、看護師、霊的問題の専門家、ソーシャルワーカー栄養士、ボランティアなどが参加します。チームのメンバーは、終末期に生じる問題についての専門的な訓練を受けています。患者さんが亡くなった後もホスピスプログラムは継続され、悲嘆死別に関するカウンセリングなどの支援が提供されます。

(在宅ケアのニーズに関する詳しい情報については、PDQ移行期のケア計画に関する要約をご覧ください。)

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症状の管理

終末期によくみられる症状としては、痛み、極度の疲労感、咳、息切れ、死前喘鳴せん妄発熱などがあります。また出血が起きることもあります。

痛み
鎮痛薬にはいくつかの投与方法があります。

最後の数日間になると、患者さんが鎮痛用の医薬品を飲み込むことができない場合があります。患者さんが薬を飲み込むことができない場合は、鎮痛剤を舌の下か直腸の中に留置する、注射または点滴する、皮膚パッチとして皮膚に貼り付ける、などの投与方法が用いられます。これらの方法は、医師の指示の下で、自宅で行うことも可能です。

最後の数時間の痛みは通常、制御することができます。

痛みを緩和するのにはオピオイド 鎮痛薬が非常に有効で、終末期の患者さんにはこの種の薬がよく用いられます。オピオイド薬を使用すると死期が早まると心配している患者さんもいるようですが、研究によってオピオイド薬の使用と早期の死との間に関連性が示されたことは一切ありません。

(オピオイド薬に関する詳しい情報については、PDQ疼痛に関する要約をご覧ください。)

ミオクローヌスはオピオイド薬の副作用である可能性があります。

ミオクローヌスとは、筋肉が突然ピクピクと動く症状で、本人の意思では制御できない現象です。しゃっくりもミオクローヌスの一種です。ミオクローヌスは手や足に多くみられます。非常に多くの用量のオピオイド薬を長期間にわたって使用すると、この症状が副作用として生じることがありますが、原因はこのほかにも存在します。オピオイド薬を使用している患者さんでは、このような痙攣が時々起こるようになる場合があり、その後より頻繁に発生するようになる場合もあります。まれに、全身の様々な筋肉群が絶えず痙攣するようになる場合もあります。

オピオイド薬がミオクローヌスの原因となっている場合は、別の種類のオピオイド薬に変更するのが有用となりえます。オピオイド薬への反応性は患者さんごとに異なるため、人によっては、ある特定のオピオイドが他のオピオイドよりミオクローヌスの原因になりやすい場合があります。

死を間近にした患者さんには、オピオイド薬を変更する代わりに、ミオクローヌスを止めるための薬が投与されることもあります。ミオクローヌスが重度の場合は、患者さんを落ち着かせ、不安を軽減し、睡眠を助けることを目的としてを使用することもあります。

疲労

終末期には疲労(強い倦怠感)を生じさせる原因が数多く存在します。具体的には、身体的変化や精神的変化、治療の副作用などが挙げられます。脳の活動性、覚醒度、注意力、活力などを高める薬が有用です。(詳しい情報については、PDQの疲労に関する要約をご覧ください。)

息切れ
最後の数日間や数週間になると、息切れを感じることが多くなります。

息切れがする、通常の呼吸状態に戻れないなどの症状は、しばしば進行がんが原因で生じます。その他の原因には以下のものがあります:


オピオイド薬の使用やその他の方法によって患者さんの呼吸を楽にすることができます。

鎮痛薬としてオピオイド薬を使用していない患者さんの場合、非常に少ない用量のオピオイド薬で息切れを軽減できる可能性があります。鎮痛薬としてオピオイド薬を使用している患者さんや、息切れが重度の患者さんでは、より多くの用量が必要になってきます。

息切れを感じている患者さんに対して有用となりうるその他の方法としては以下のものがあります:


  • 息切れによる不安を治療する。

  • 患者さんの顔に扇風機の風を当てる。

  • 患者さんの体を起こす。

  • 可能であれば、患者さんに呼吸訓練やリラクゼーション法を行ってもらう。

  • 鍼療法指圧を行う。

  • 息切れの原因が感染の場合は、抗生物質を投与する。

  • 息切れの原因が低酸素血症の場合は、酸素の投与を行う。

まれに、これらのどの治療法を行っても息切れを軽減できない場合があります。患者さんの感じる苦痛を軽減するために、薬による鎮静が必要になることもあります。

患者さんによっては、息切れに伴って内部の気道に痙攣が起きることがあります。こうした痙攣は気管支拡張薬(肺の中の細い気道を拡げる薬)かステロイド薬(腫れと炎症を鎮める薬)で軽減できることがあります。


終末期に生じる慢性の咳によって患者さんの不快感が増強することがあります。咳を繰り返すことよって、痛みが生じたり、睡眠が妨げられたり、疲労感が高まったり、息切れが悪化したりする可能性があります。終末期には、その原因を特定し治療するのではなく、咳という症状自体を治療するという選択がなされる場合もあります。以下のような薬を使用することによって、患者さんの状態をできるだけ快適にすることが可能です:


また、一部の薬(高血圧や心不全に対して用いられるACE阻害薬など)は咳を引き起こすことがあるため、医師はすでに使用されている薬の種類に注意を払います。

(詳しい情報については、PDQの心肺症候群に関する要約をご覧ください。)

死前喘鳴
咽頭や上気道の内部に唾液などの液体が溜まると、喘鳴が聞かれます。

咳払いができないほどに衰弱した患者さんでは、咽頭や気道の内部に唾液などの液体が溜まってくると、ゴロゴロといった音(喘鳴)が聞かれます。喘鳴には2種類のものがあります。死前喘鳴は、咽頭の後方部分での唾液の貯留が原因で起こります。もう一種の喘鳴は、感染や腫瘍、身体組織内での水分の過剰などが原因で、気道内に液体が貯留することによって生じます。

口腔内の唾液の量を低下させたり、上気道を乾燥させたりするために、薬を投与することもあります。喘鳴のある患者さんのほとんどは薬を飲み込むことができないため、これらの薬は通常、皮膚に貼るパッチ剤か点滴剤として投与されます。

薬を使用しない喘鳴の治療としては、患者さんの姿勢を変える、水分の摂取量を少なくするなどの方法があります。

ベッドの頭側を起こす、枕で患者さんの体を支える、患者さんを横に向かせる、などの方法が喘鳴の軽減に有用となりえます。喘鳴の原因が咽頭後方部分に貯留した液体である場合は、口から吸引チューブを入れて余分な液体を優しく除去することが可能です。喘鳴の原因が気道内に貯留した液体である場合は、吸引による液体の除去は通常行われません。吸引によって患者さんに身体的および精神的ストレスがかかるためです。

終末期になると、体が必要とする食物や水分の量が少なくなります。食物と水分の摂取量を減らすことで、体内の過剰な液体の量を減らして、喘鳴を大幅に緩和することができます。

死前喘鳴は死が近いことを示す徴候です。

死前喘鳴は、数時間ないし数日間で死に至る可能性があるということを示す徴候です。喘鳴は患者さんのそばにいる人にとっては衝撃的な出来事ともなりえます。しかし患者さんにとっては苦痛ではないようです。

せん妄
終末期にはせん妄がよくみられます。

最後の数日間になると、せん妄がよくみられます。患者さんによっては、錯乱状態や神経質になったり、落ち着きがなくなったりすることもあれば、幻覚(現実には存在しないものを見たり聞いたりすること)が生じることもあります。寡黙になって内にこもる患者さんもいます。(詳しい情報については、PDQの認知障害およびせん妄に関する要約をご覧ください。)

せん妄は、脳における腫瘍の増殖といった、がんの直接的な作用が原因で生じることがあります。その他の原因には以下のものがあります:


  • 心臓、腎臓神経、筋肉などの機能を正常に保つ働きのある特定の化学物質の中量の異常高値または異常低値。

  • 薬の副作用薬物相互作用(特定の薬、生薬、食物などを一緒に摂取した場合にみられる体内での薬の効き方の変化)。

  • 特定の薬の使用やアルコール摂取の中止。

  • 脱水(必要な水分が体外へと失われた状態)。

  • 膀胱の充満や便秘

  • 息切れ。

せん妄は、その原因を特定して治療することで制御できる可能性があります。

治療法としては、せん妄の原因に応じて以下のものがあります:


  • 特定の化学物質の血中量を是正するために薬を投与する。

  • せん妄の原因となっている薬を中止または減量する。

  • 薬物相互作用を引き起こしている可能性があって終末期にはもはや有用ではない薬の使用を中止する(コレステロール値を下げる薬など)。

  • 血流に水分を補充することによって脱水状態を治療する。

最後の数時間にある患者さんに対しては、せん妄という症状自体への治療だけを行って、できるだけ快適な状態を維持するという決定が下される場合もあります。 これらの症状を非常によく軽減できる薬があります。

終末期には、せん妄とは無関係の幻覚もしばしば発生します。

亡くなる間際の患者さんでは、すでに亡くなった愛する人に関する幻覚を体験することがよくあります。このような幻覚を体験している患者さんを見て、家族の方が苦痛を感じるのは正常なことです。聖職者チャプレンなどの、宗教的な相談を受ける専門家と話をすることがしばしば助けとなります。

発熱

終末期には発熱や感染症が多くみられます。終末期の患者さんでは医学的な問題が多数並存している場合が多いため、発熱の原因を特定するのが難しい場合や、治療を行うことがその患者さんにとって有益となるかを判断することが難しい場合があります。死を間近に控えた患者さんのなかには、発熱の原因に対する治療は受けずに、アセトアミノフェンの投与など、苦痛を和らげる処置だけを受けることを選ぶ人もいます。

出血
特定のがんや病態のある患者さんでは、突然(強い)出血が起きることがあります。

出血(短時間での大量の出血)はまれな現象ですが、最後の数時間から数分間に発生することがあります。特定のがんやがん治療では血管が損傷を受けることがあります。例えば、放射線療法では治療対象の部分の血管が脆くなることがあります。腫瘍もまた血管に損傷を与えることがあります。以下の病態のある患者さんでは、この症状の起きるリスクが高くなります:


出血の可能性について何らかの不安がある場合は、患者さんはそのことについて医師に話しておくべきです。

終末期に出血が起きた場合には、患者さんの状態を快適にしていくことがケアの目標となります。

がんに対する治療を行っている間に出血が起きた場合は、包帯や薬による治療が施されるか、あるいは放射線療法、外科手術輸血などの治療法が用いられます。しかし、終末期に突然の出血が起きた場合には通常、患者さんはすぐに亡くなります。心肺蘇生(心臓の拍動を再開させようとする処置)は、たいていの場合、うまくいきません。ケアの主要な目標は、患者さんを落ち着かせて苦痛を取り除くことと、患者さんの家族への精神的なサポートです。出血が起きた場合、それは患者さんの家族にとって非常に衝撃的な出来事にもなりえます。こうしたケアは、家族の方がこの出来事によって生じた感情について話をし、それについて質問をする場合に有用です。

最後の数時間に出血が起きた場合には以下のような措置がとられます:


  • 濃い色のタオルで出血部を覆って血液が見えないようにする。

  • 出血部をきれいに保つためにタオルを交換する。

  • 患者さんとその家族に穏やかに話しかける。

  • 愛する人がその場にいることを患者さんに知らせる。

この時期には、患者さんの気持ちを落ち着かせるのに、即効性の薬が役立つことがあります。

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倫理的問題

終末期のケアや治療に関する選択は、患者さんに決断する能力が残っている間に行っておくべきです。

終末期の諸症状に対する治療法についての決定だけでなく、そうした治療を中止するかどうかや中止する時期を決めておくことも、患者さんにとって有益です。可能な限りすべての治療を受けたいと希望する患者さんもいれば、一部の治療法だけを望む患者さんや、一切の治療を望まない患者さんもいます。これらの決定事項は、前もって事前指示書リビングウィルもその一種)という書面にすることができます。事前指示書とは、一定の種類の法的書類を総称した用語で、ある人が自分の意思を表明できなくなったときに受けたいあるいは受けたくないと望む治療法やケアを記載するものです。

また、自分で意思決定ができなくなったときに代わりにそれを行う人として、患者さんが医療代理人を指名することもできます(医療委任状)。事前指示書を作成しておけば、栄養サポートや心肺蘇生、人工呼吸器の使用、鎮静薬の投与などを行うかどうかなど、最後の数日間に家族や医療提供者が下さなければならない非常に重要な決断を容易にすることができます。

終末期のケアについて選択を行っておらず、自身の決定を家族、医療委任状、医療チームに伝えてもいない患者さんには、死を間近にし、患者さんの意思に反した治療がなされることもあります。結果として、患者さんの生活の質がさらに悪化し、家族の方々の悲嘆過程がよりつらいものになるということが複数の研究から示されています。

研究によると、主治医との間で終末期についての話し合いを行ったがんの患者さんは、心肺蘇生や人工呼吸器の使用などの処置を選択することが少なくなるようです。また、集中治療を受けることも少なくなり、最後の数週間の医療コストは低くなる傾向にあります。介護者からの報告によれば、こうした患者さんは、より多くの処置を選択した患者さんと同程度の期間にわたって生存し、最後の数日間の生活の質はより高いものになるそうです。

栄養サポート
最後の数日間の患者さんに対する栄養サポートの目標は、がん治療を行っている期間における目標とは異なります。

がん治療を行っている間は、栄養サポートを行うことで健康状態を改善させたり、治癒を促進させたりすることができます。最後の数時間における栄養療法の目標は、積極的ながん治療を受けている患者さんや回復過程にある患者さんの場合の目標とは異なります。最後の数日間になると、飲食に関する願望がなくなることがしばしばあり、出された食べ物や水分の摂取を患者さんが拒否することもあります。また、栄養チューブを留置するための手技や、この種の栄養法に伴って起きうる諸問題が、患者さんの負担となる場合もあります。

最後の数日間における栄養サポートについて計画を立てておくことが有益です。

終末期ケアの目標は、苦痛を未然に防ぎ、症状を緩和していくことにあります。栄養サポートが原因で生じる苦痛の程度がその有益性を上回る場合には、それ以降から終末期の栄養サポートは中止されることがあります。栄養サポートを行うかどうかについては、その患者さんのニーズと最善の利益が決定の指針となります。患者さんが栄養サポートに関する意思決定と計画を行っておけば、医師と患者さんの家族は、自分たちが患者さんの希望に沿ったことをやっていると確信することができます。

栄養サポートには一般に2種類の方法が用いられます。

患者さんが物を飲み込むことができない場合には、一般に以下の2種類の栄養サポートの方法が用いられます:


どちらの栄養サポートにも有益な点とリスクがあります。(詳しい情報については、PDQがん医療における栄養に関する要約をご覧ください。)

蘇生

患者さんが決定しておくべき重要な事柄のひとつに、心肺蘇生(CPR)(停止した心臓の拍動と呼吸を再開させようとする行為)を行うかどうかがあります。CPRに関する希望については、できるだけ早いうち(例えば、入院するときや、積極的ながん治療を中止するとき)に家族、医師、介護者と話し合っておくのが最善です。他の医療従事者が死の瞬間にCPRを行わないように(そうして患者さんが自然な死を迎えられるように)するために、医師によって蘇生処置拒否(DNR)指示が書かれます。希望する場合には、患者さんは医師にDNR指示を書くよう依頼することができます。また患者さんはいつでもDNR指示の変更や撤回を依頼することができます。

人工呼吸器の使用
人工呼吸器を使用すれば、正常な呼吸が停止した後も患者さんの生命を維持することができます。

人工呼吸器は患者さんの呼吸を補助するための機械です。ときとして、人工呼吸器を使用しても患者さんの状態は改善されず、延命だけにつながる場合があります。ケアの目標が患者さんの余命を延ばすことである場合には、患者さんの希望に応じて、人工呼吸器が使用されることがあります。人工呼吸器の使用が患者さんにとって有益でなくなった場合や、それがもはや患者さんの希望に沿わなくなった場合には、患者さんや家族、医療チームによって、人工呼吸器を停止するという決断が下されることがあります。

患者さんによっては、呼吸が困難になったり停止したりしたときにはそのまま死なせてほしいと望む人もいます。人工呼吸器による延命についての希望を呼吸が難しくなる前に家族と医療提供者に伝えておくことが、患者さんにとって重要です。

人工呼吸器を停止する場合には、それに先立って患者さんの家族に、それから起こりうる出来事についての説明が行われます。

患者さんの家族には、人工呼吸器を外したときに患者さんにどのような反応がみられるかの説明と、患者さんの苦痛を取り除くために行う鎮痛や鎮静に関する説明が行われます。患者さんの家族が、看取りを希望する患者さんの愛する人たちに連絡を取れるように、一定の時間が設けられます。家族に対する支援を提供するためにチャプレンソーシャルワーカーが呼ばれることもあります。

鎮静

終末期の患者さんに鎮静を行うかどうかは難しい決断です。鎮静は、患者さんの苦痛を取り除くため、あるいは制御できない痛みなどの身体的な問題に対処するために検討されます。緩和目的の鎮静は一時的である場合があります。終末期の鎮静に対する考え方や感じ方は、患者さんの属する文化や信念に大きく依存することがあります。死に直面して不安になる患者さんのなかには、鎮静を受けることを望む人もいます。一方で、死の直前には鎮静を含めて一切の処置を行ってほしくないと望む患者さんもいます。

終末期の鎮静についての希望を家族と医療提供者に伝えておくことが、患者さんにとって重要です。鎮静についての希望を患者さんが前もって明確にしておけば、医師と家族は、自分たちが患者さんの希望に沿ったことをやっていると確信することができます。緩和的鎮静の使用時に、医療チームやメンタルヘルス専門家の支援を必要とする家族もあります。

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最後の数時間のケア

最後の数日間から数時間に予測される出来事を知っておくことで、患者さんの家族が感じる苦痛が軽減されます。

ほとんどの人は死の間際にみられる徴候を見慣れていません。予測されることを知っておけば、愛する人の死に対する覚悟ができ、ストレスや混乱を軽くすることができます。医療提供者は、最後の数時間に患者さんに起こりうる変化について、そして、そのときに愛する人に対して何ができるかについて、患者さんの家族に情報を提供することができます。

最後の数日間から数時間になると、何かを食べたり飲んだりしたいという願望がなくなることがしばしばあります。

最後の数日間から数時間になると、何かを食べたり飲んだりしたいという願望がなくなることがしばしばあり、出された食べ物や水分の摂取を患者さんが拒否することもあります。患者さんの家族には、氷のかけらを口に含ませたり綿棒で口の中や唇をぬぐったりすることで、それらの乾燥を防ぐことができます。食べ物や飲み物を無理に与えようとすると、患者さんを不快にしたり、窒息を起こさせたりする可能性があります。家族が患者さんに対する愛情を示すには、マッサージなどの別の方法もあります。

死を間近に控えた患者さんは呼びかけに反応しないことがあります。

内に引きこもってしまい、多くの時間を寝て過ごすようになることもあります。質問しても返答が遅くなったり、まったく返答がなくなったり、錯乱しているように見えたり、周囲の環境にほとんど関心を示さなくなったりします。ほとんどの患者さんは、しゃべれなくなった後も音を聞くことはできます。たとえ患者さんが返事をしない場合でも、家族が患者さんの体を触れ、話しかけ続けるようにすれば、苦痛をいくらか取り除くことができます。

死を間近に控えた患者さんでは、多くの身体的な変化がみられるのが一般的です。

終末期の患者さんでは以下のような身体的な変化がいくつか現れてきます:


  • 疲労感や虚弱感を覚える。

  • 尿の量が少なくなり、色が濃くなる。

  • 手や足にしみができ、冷たくなり、蒼白になる。毛布を用いて患者さんの体温を維持することができます。電気毛布やアンカは使用すべきではありません。

  • 心拍数が増減したり、不規則になったりする。

  • 血圧は通常低下する。

  • 呼吸が不規則になり、非常に浅い呼吸、短時間の呼吸停止、深く速い呼吸が混在してみられる。

患者さんやその家族によっては、臨終の際に重要となる文化的または宗教的信念や習慣をもっていることがあります。

患者さんが亡くなった後も、患者さんの家族や介護者がしばらくその場にいることを望む場合があります。この時期に患者さんや家族にとって重要となる特定の習慣や儀式がある場合もあります。具体的には、死に対処するための儀式、患者さんの遺体を扱う儀式、遺体に最後の処置を施すための儀式、故人に敬意を表すための儀式などがあります。患者さんが亡くなった後に行いたい習慣や儀式があるなら、患者さんと家族は医療チームにそのことを知らせておくべきです。

葬儀社への連絡など、患者さんが亡くなった後に必要となる事柄については、医療提供者、ホスピススタッフ、ソーシャルワーカー霊的指導者などに説明してもらうことが可能です。

(詳しい情報については、PDQがん医療における霊性に関する要約をご覧ください。)

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悲嘆と喪失

悲嘆は、愛する人を失ったことに対する正常な反応です。喪失に対処できないと感じている人には、訓練を受けた専門家による悲嘆カウンセリング悲嘆療法が助けとなることがあります。(詳しい情報については、PDQ悲嘆、死別、喪失への対処に関する要約をご覧ください。)

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