ページの先頭へ

最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

ヤドリギエキス(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2015-03-24
    翻訳更新日 : 2017-02-17

概要


  • ヤドリギは、リンゴ、オーク、カエデ、ニレ、マツ、カバノキなど数種類の木の上で成長する半寄生植物です。ヤドリギエキスは、古くから様々な病気の治療に用いられてきました(詳しくは質問1を参照してください)。

  • ヤドリギは、がんの患者さんを対象に補完代替医療治療法として最も広く研究されてきたものの1つです。ヨーロッパの一部の国では、オウシュウヤドリギから作られた製薬が、がんの患者さんに対して最もよく処方されているの1つです(詳しくは質問1を参照してください)。

  • 基礎研究では、ヤドリギエキスはがん細胞を死滅させ、免疫系に影響することが示されています。しかし、ヤドリギが免疫系に与える影響が、体ががんと戦うのに役立つということを示す証拠は限られています(詳しくは質問2質問3を参照してください)。

  • ヤドリギエキスは通常、皮膚の下に注射しますが、頻度は低くなるものの、静脈胸膜腔または腫瘍に注射することもあります。(質問4を参照してください)。

  • 動物での研究からは、ヤドリギは化学療法放射線療法など、標準抗がん治療副作用を少なくするのに役立つ可能性があることが示唆されています(詳しくは質問5を参照してください)。

  • 1960年代初頭以降、ヒトを対象としてヤドリギをがんの治療に用いる試験は多数実施されていますが、こうした試験の多くには重大な問題点があるため、その結果には疑問が持たれています(詳しくは質問6を参照してください)。

  • ヤドリギエキス製品の使用による有害な副作用は、ほとんど報告されていません(詳しくは質問7を参照してください)。

  • 米国食品医薬品局(FDA)は、がんやその他の何らかの病状の治療法としてヤドリギを承認していません(詳しくは質問8を参照してください)。

  • FDAは、臨床研究の用途以外には、注射用ヤドリギの輸入、販売、使用を認めていません(詳しくは質問8を参照してください)。

 | 

ヤドリギに関する質問と回答

1.

ヤドリギとはどのようなものですか。

 

  ヤドリギは、リンゴ、オーク、カエデ、ニレ、マツ、カバノキなど数種類の木の上で成長する半寄生植物です。ヤドリギは何百年にもわたり、てんかん高血圧、頭痛、更年期 症状不妊症関節炎リウマチなどの病状の治療に使用されてきました。

 ヤドリギは、がんに対する補完代替医療治療法として最も広く研究されてきたものの1つです。ヨーロッパの一部の国では、オウシュウヤドリギから作られたエキスが、がんの患者さんに対して最もよく処方されている治療法の1つです。こうした製品は、次のような商品名で製造、販売されています:


  • Iscador(Iscarとも呼ばれます)。

  • Helixor。

  • Iscucin。

  • Lektinol(Plenosolとも呼ばれます)。

  • abnobaVISCUM。

 Eurixor、Isorel、Vysorelという商品名の製品は、現在販売されていません。

  本要約では主に、このヤドリギ種を使ってヨーロッパで行われた研究について説明しています。

 ヤドリギ製品の化学組成は以下のような多くの要素によって異なります:


  • ヤドリギが生育する宿主の木の種類。

  • ヤドリギを採取する季節。

  • ヤドリギの種。

  • エキスを発酵させるか、させないか。

  • エキスがホメオパシーの方法で作られるかどうか。

  • 製品を製造する会社。

 ヤドリギエキスは水性の溶液または水とアルコールの溶液として作られます。ヤドリギ製品には、ヤドリギが生育する宿主の木の種類によって名前が決められるものもあります。例えば、IscadorMはリンゴの木、IscadorPはマツの木、IscadorQuはオークの木、IscadorUはニレの木から取ったものです。一部の使用者は、患者さんの腫瘍の種類と性別によって、選択するヤドリギエキスの種類を決めるべきだと信じています。

2.

がんに対する補完代替医療としてのヤドリギの発見と使用には、どのような経緯があったのですか。

 

 ヤドリギはドルイド僧や古代ギリシャ人によって使われており、万能薬、つまり「何にでも効く薬」として伝説や民間伝承に登場します。がんの治療法の候補として現在のようなヤドリギへの関心が生まれたのは1920年代のことです。

 ヤドリギのエキスは実験室でがん細胞を死滅させ、免疫系感染を始めとする疾患から体を守っている臓器および細胞の複雑な集合体)を強めます。このため、ヤドリギは生物学的反応修飾物質(感染や疾患に対する身体の反応を刺激する物質)の一種として分類されています。ヤドリギのエキスは実験室では、腫瘍の増殖に必要な新しい血管の成長を阻止することが示されています。

 がんの治療における有用性が研究されているヤドリギの成分には、次のようなものがあります:


3.

ヤドリギががんの治療に有用であるという主張の背景にはどのような理論があるのですか。

 

 ヤドリギエキスが抗がん剤の候補として研究されているのは、以下のようなことが示されているためです:


  • 免疫系に影響すること。

  • 実験室でマウス、ラット、ヒトのがん細胞を死滅させること。

  • 実験室で、DNAに損傷を与える化学療法 に曝された細胞を含め、白血球のDNAを保護すること。

 理論に関する詳しい情報については、PDQヤドリギエキスに関する専門家向けの要約をご覧ください。

4.

ヤドリギはどのように投与されますか。

 

 ヤドリギエキスは通常、皮膚の下(皮下)に注射して投与します。それよりも頻度は低いものの、経口投与、静脈の中(静脈内、IV)、胸膜腔、腫瘍への注射などの方法でヤドリギを投与することもあります。報告されている研究のほとんどでは、皮膚の下への注射が週2~3回、様々な期間にわたって行われました。

5.

ヤドリギを使ってどのような前臨床研究(基礎研究や動物での研究)が実施されていますか。

 

 ヤドリギを単独で用いる、または他の薬剤と併用する基礎研究および動物での研究が、多数実施されています。基礎研究からは、ヤドリギは様々な種類の白血球の数を増やし、働きを高めて免疫系をサポートする可能性があることが示唆されています。 2004年の基礎研究で使用されたオウシュウヤドリギの一種(IscadorQu)で、特定の種類のがん細胞に強い抗がん作用が認められましたが、別の種類のがん細胞では抗がん作用はみられませんでした。1件の基礎研究で、ヤドリギエキスは数種類のヒトのがん細胞の増殖を速めたと報告されましたが、これは最近の他の基礎研究では確認されませんでした。

 ヤドリギががん細胞の増殖を阻止する能力を動物で検証する試験から得られた結果は、使用されたエキス、検証された用量、投与方法、研究されたがんの種類などによって様々で、一貫性がありません。数件の動物での研究の結果からは、ヤドリギは、化学療法や放射線療法など標準の抗がん治療副作用を少なくするのに役立つ可能性があること、コルチゾンなど免疫系を抑制するために使用する薬物の効果を抑えることが示唆されています。

6.

ヤドリギを使った臨床試験(ヒトに対する調査研究)は実施されていますか。

 

 ヤドリギをがんの治療に使った臨床試験は、ほとんどがヨーロッパで実施されています。試験の結果の大半はドイツで発表されています。こうした試験の多くにおいてヤドリギは有効であると報告されているものの、ほぼ全ての試験に大きな問題点があるため、その結果については疑問が持たれています。こうした問題点としては、患者さんの数が少ない、患者さんのデータが不完全である、ヤドリギの用量に関する情報がない、試験の設計に問題があるなどの点が挙げられます。

 多くの研究が、がんの患者さんに対する補助療法としてのヤドリギの利用に関与しています。欧州で1993~2000年に実施された1件の後ろ向きコホート研究では、転移が認められなかった大腸がんに対して化学療法や放射線療法を受けた800人の患者さんを対象に、長期の補助療法としてのヤドリギエキス(Iscador)の使用が調査されました。この研究から、補助療法としてIscadorによる治療を受けた患者さんでは、受けなかった患者さんと比べて有害事象が少なく、症状緩和が良好で、無病生存期間が延びたことが明らかになりました。

 2013年に発表された1件のヨーロッパの研究では、進行または転移性 膵がんに対するIscadorQuの使用が調査されました。患者さんは最適な支持療法を受け、IscadorQu群または抗がん治療を受けない群にランダムに割り付けられました。Iscadorによる治療を受けた患者さん220人では、IscadorQuの投与を受けなかった患者さんよりも生存率が高くなり、疾患関連の重篤な症状(疼痛、体重減少、疲労吐き気下痢不安)が少なくなりました。

 1978~1987年に行われた1件のヨーロッパの研究では、手術で治療できない非小細胞肺がんに対するIscadorUとIscadorQuの使用が調査されました。患者さんは、以下の3種類の治療法のいずれかにランダムに割り付けられました:(1)Iscadorの注射、(2)Polyerga Neuの注射(免疫系を刺激し抗腫瘍効果があるとされるヒツジの脾臓を用いた製剤)、(3)ビタミンB混合液のプラセボ注射。その結果、患者さん312人を振り分けた3群の間で、生存率と腫瘍反応に差はみられませんでした。ただし、Iscador群の患者さんでは、他の群の患者さんに比べて幸福感が高かったことが報告されています。

 米国で薬に関する臨床試験を実施するためには、研究者は事前に治験薬(IND)申請書を米国食品医薬品局(FDA)に提出しなければなりません。INDの申請や承認についての情報は、FDAから公表されることはなく、申請者によってのみ公開される場合があります。過去10年間で、少なくとも2人の米国の研究者が、ヤドリギをがん患者さんの治療法として研究する臨床試験の実施承認を得ています。これらの臨床試験はすでに終了しました。

 2002年に米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は米国国立がん研究所(NCI)と協力して、進行 固形腫瘍の患者さんを対象とするヤドリギエキス(Helixor A)とゲムシタビン第I相臨床試験に患者さんを参加させ始めました。この併用療法は毒性が弱いことが明らかになっており、植物由来の薬物による薬物相互作用は報告されていません。

  多数の臨床試験に対する包括的なレビュー

 がん患者さんにヤドリギエキスを使用した50件以上の臨床試験の知見が発表されています。多くの研究を総合的に再検討した最近の複数のレビューによると、多様ながんにおける生活の質生存率、症状の緩和にヤドリギが有効でした:


  • 26件のランダム化臨床試験を対象とした1件のレビューで、生活の質に対する評価が実施されました。そのうち22件の試験で、患者さんの生活の質に改善がみられました。検討の対象となった10件の非ランダム化 対照臨床試験の全てにおいても、同じ利益が報告されました。化学療法に関連する疲労吐き気嘔吐うつ病、精神的な健全性、集中力が改善しました。これらの研究の一部は適切にデザインされていましたが、問題点が認められる研究もあります。

  • 様々な種類のがんの患者さんを対象とした21件のランダム化臨床試験に関する1件のレビューで、腫瘍反応、生活の質、心理的な 苦悩の評価が行われました。多様なヤドリギエキスが単独、化学療法との併用、放射線療法との併用のいずれかで使用されました。ほとんどの研究が患者さんの利益を報告していましたが、このレビューには研究デザインと規模の面で問題があります。

  • 様々な種類のがんの患者さんに多様なヤドリギエキスを使用した10件のランダム化臨床試験を再検討した1件のレビューで、生活の質と生存率の評価が行われました。ヤドリギエキスの投与を受けた患者さんとそうでない患者さんとの間で、生存率と生活の質に違いはみられませんでした。

7.

ヤドリギの副作用やリスクは報告されていますか。

 

 ヤドリギエキス製品の使用による重大な副作用は、ほとんど報告されていません。よくみられる副作用としては、注射した部分のヒリヒリする痛みや炎症、頭痛、発熱、悪寒などがあります。

 あるレビューで、動物またはヒトにオウシュウヤドリギとヤドリギレクチンを使用した多くの研究の調査が行われました。ヤドリギの投与は、様々な用量と投与方法で行われていました。治療は免疫系の反応を弱めることが示されました。一部の症例では、高用量のヤドリギレクチンにより、肝臓に損傷が生じました;この損傷は回復可能なものでした。複数の臨床試験に対する別のレビューでは、循環系の問題、血栓静脈炎リンパ節の腫れ、アレルギー反応などの有害事象が報告されました。

  アナフィラキシーショックを含む重度のアレルギー反応が少数報告されています。

8.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国でヤドリギをがんの治療法として使用することを承認していますか。

 

 米国食品医薬品局(FDA)は、がんやその他の何らかの病態の治療法としてのヤドリギの使用を承認していません。FDAは、臨床研究の用途以外に注射用ヤドリギエキスの輸入や使用を認めていません。

 | 

現在実施中の臨床試験

NCIのがん臨床試験リストから、現在患者さんの登録を行っているヤドリギエキスに関するがんCAM臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

臨床試験に関する一般的な情報は、NCIのウェブサイトから利用可能です。

 | 

本要約の変更点(03/24/2015)

PDQ がん情報要約は定期的に見直され、新しい情報が利用可能になり次第更新されます。本セクションでは、上記の日付における本要約の最新変更点を記述しています。

本要約には編集上の変更が行われました。

 | 

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、がん患者さんに対する治療でのヤドリギエキスの使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Cancer Complementary and Alternative Medicine Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

National Cancer Institute: PDQ® Mistletoe Extracts. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Date last modified <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/cam/patient/mistletoe-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

 | 

補完代替医療(CAM)についての一般的な情報

補完代替医療(CAM)は、統合的医療とも呼ばれ、ヒーリングに関する原理やアプローチ、治療法などを幅広く意味します。従来の治療に加えて実施する場合は補完療法と呼ばれ、また、従来の治療の代わりに実施する場合は、よく代替療法と呼ばれます(従来の治療とは医学界で広く受け入れられ、かつ主流となっている治療を意味します)。どのように用いられるかによって、補完療法とみなされる場合と、代替療法とみなされる場合があります。補完代替療法は、病気の予防やストレスの軽減、副作用や症状の予防と軽減、そして疾患の管理や治癒を目的として用いられます。

がんの従来の治療とは異なり、補完代替療法は保険が適用されないことが多くあります。患者さんは加入保険会社に、補完代替医療が保険の適用対象となっているかどうかを確認することをお奨めします。

補完代替医療の中には、標準治療を妨げたり、従来の治療と併用した場合に有害となりうるものがあるため、補完代替療法を検討されているがん患者さんはどんな治療法でも必ず、担当医や看護師、薬剤師と相談して意思決定を行ってください。

 | 

補完代替医療(CAM)のアプローチの評価

補完代替医療の治療についても、従来の治療の評価と同様、厳格な科学的評価を行うことが重要です。米国国立がん研究所および米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は医療施設において、がんに対するCAM療法の評価を行うための臨床試験(調査研究)を数多く主催しています。

一般的に、がんの治療における従来のアプローチは、多数の患者さんを対象とした臨床試験の実施など、厳格な科学的プロセスを経て、安全性や有効性が検討されています。それに比べ、補完代替医療の安全性や有効性についてはあまり知られていません。厳格な評価を経たCAM療法はごくわずかです。はじめは純粋に代替アプローチとみなされていた少数のCAM療法が、治癒を求めるものではなく、患者さんをより楽にし回復を早める手助けとなる補完医療として、がんの治療で用いられつつあります。1つの例が鍼療法です。1997年11月に開催された米国国立衛生研究所(NIH)の専門家委員会によると、鍼療法は化学療法に関連した吐き気や嘔吐、そして手術に関連した疼痛の管理に有効であることがわかりました。対照的に、レートリルの使用などのいくつかのアプローチは、検討の結果、無効であるか、または有害となりうることがわかりました。

1991年に始まったNCIのBest Case Series Programは、臨床で用いられているCAMアプローチの評価を行うプログラムの1つです。このプログラムはNCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)の監視下で進められています。がん代替医療を行う医療専門家は、患者さんのカルテや関連資料をOCCAMに提出します。OCCAMではそれらの資料を厳密に精査し、NCI主導の研究を正当化するであろう治療アプローチについては、フォローアップ研究の戦略を立てています。

 | 

補完代替医療(CAM)について医療提供者に質問すべきこと

補完代替療法を受けることを考えている場合、患者さんは主治医などの医療提供者に次の質問を行ってください。


  • どのような副作用が予想されますか。

  • この治療に伴うリスクは何ですか。

  • 既知の有益性はそれらのリスクに勝っていますか。

  • この治療からどのようなメリットが期待できますか。

  • この治療は従来の治療の妨げになりますか。

  • この治療は臨床試験の一部として実施されますか。

  • もしそうなら、誰がその試験を主催しますか。

  • この治療には健康保険が適用されますか。

 | 

補完代替医療(CAM)についてさらに知るには

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)

米国国立衛生研究所(NIH)の国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、補完代替医療の研究および評価を促進し、医療専門家や一般の方を対象に様々なアプローチについての情報を提供しています。


    NCCIH Clearinghouse
    Post Office Box 7923 Gaithersburg, MD 20898–7923
    電話:+1-888-644-6226(フリーダイヤル) 301-519-3153(海外からの場合)
    テレタイプライター付の電話(耳が聞こえないか聴覚に障害のある方用):+1-866-464-3615
    Fax:+1-866-464-3616
    E-mail:info@nccih.nih.gov
    ウェブサイト:https://nccih.nih.gov/

CAM on PubMed

NCCAMおよびNIH国立医学図書館(NLM)は共同でCAM on PubMedを開発し、CAMに関連するジャーナルの記載内容を無料かつ簡単に検索できる機能を提供しています。NLMの図書目録データベースのサブセットとして、CAM on PubMedには様々な科学ジャーナルのCAMに関連する論文から、230,000を超える文献や抄録が登録されています。このデータベースはさらに、1,800を超えるジャーナルにリンクしており、ユーザーが論文全文を参照できるようになっています(論文全文を参照するには、購読料などの費用が発生する場合があります)。CAM on PubMedはNCCIHのウェブサイトから利用可能です。NLMのPubMed図書目録データベースからもCAM on PubMedにアクセスできます(「Limits」タブ → 「Complementary Medicine」を選択してください)。

がん補完代替医療オフィス

NCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)は、補完代替医療(CAM)の分野におけるNCIの活動をコーディネートしています。OCCAMはCAMのがん研究をサポートし、がんに関連するCAMについての情報を、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトを通して医療提供者や一般の方に提供しています。

米国国立がん研究所(NCI)のがん情報サービス

米国にお住まいの方は、NCIがん情報サービスフリーダイヤル+1-800-4-CANCER(+1-800-422-6237)に電話をすることができます(月曜日から金曜日の午前8時から午後8時まで)。訓練を受けたがん情報スペシャリストが質問にお答えします。

食品医薬品局

食品医薬品局(FDA)は、薬物や医療機器を規制し、それらの安全性と有効性を確保しています。


    食品医薬品局
    5600 Fishers Lane
    Rockville, MD 20857
    電話:+1-888-463-6332 (フリーダイヤル)
    ウェブサイト:http://www.fda.gov/

連邦取引委員会

連邦取引委員会(FTC)は消費者保護法を施行しています。FTCから入手可能な出版物は以下の通りです:


  • Who Cares: Sources of Information About Health Care Products and Services

  • Fraudulent Health Claims: Don't Be Fooled


    消費者センター
    連邦取引委員会
    CRC-240
    Washington, DC 20580
    電話:+1-877-FTC-HELP(+1-877-382-4357)(フリーダイヤル)
    テレタイプライター付の電話の場合(耳が聞こえないか聴覚に障害のある方用):202-326-2502
    ウェブサイト:http://www.ftc.gov/
 |