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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

小児がん治療の晩期障害(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-05-26
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Pediatric Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、小児がん治療の晩期障害に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

がんの治療が小児に及ぼす長期的な影響 小児がんの晩期障害 小児がん生存者の晩期障害 小児がんの晩期障害 小児がん治療の晩期障害

晩期障害についての一般的な情報

晩期障害とは、治療の終了後、数ヵ月ないし数年が経過して現れる健康障害のことです。

がん治療は、いったん成功を収めても、その数ヵ月~数年後に小児がん生存者の健康障害を引き起こすことがあります。がん治療は体内の臓器組織、骨に障害を及ぼし、後年になって健康障害を引き起こすことがあります。このような健康障害は、晩期障害と呼ばれます。

次のような治療は、晩期障害の原因になります:


医師はがん治療によって引き起こされる晩期障害について研究しています。そのなかで、がんの治療法を改良し、晩期障害を防止または軽減するための取り組みが行われています。ほとんどの晩期障害は命にかかわるものではありませんが、健康や生活の質(QOL)に影響を及ぼす深刻な問題を引き起こすことがあります。

小児がん生存者における晩期障害は、肉体と精神に影響を及ぼします。

小児がん生存者における晩期障害では、以下のものが影響を受けることがあります:


  • 臓器、組織、身体機能。

  • 成長、発達。

  • 気分、感情、行動。

  • 思考、学習、記憶。

  • 社会的適応、心理的適応。

  • 二次がんのリスク。

晩期障害のリスクに影響を及ぼす重要な因子が3つあります。

多くの小児がん生存者に晩期障害が現れます。晩期障害のリスクは、腫瘍や治療、あるいは患者さん自身に関連する因子に左右されます。具体的には以下のものがあります:


  • 腫瘍に関連する因子
    • がんの種類。

    • 腫瘍ができた場所。

    • 腫瘍が組織や臓器の機能にどの程度の影響を及ぼしたか。


  • 治療に関連する因子

  • 患者さんに関連する因子
    • 小児の性別。

    • がんの診断前に小児が抱えていた健康障害。

    • 診断時および治療時の小児の年齢と発達段階

    • 診断および治療からの経過時間。

    • ホルモン濃度の変化。

    • 健康な組織の自己修復能力に対するがん治療の影響。

    • 小児の遺伝子における特定の変異。

    • がんまたはその他の疾患家族歴

    • 健康習慣。


晩期障害が生じる可能性は、時間経過とともに高くなっていきます。

小児がんに対する新しい治療法のおかげで、原発がんによる死亡数は減少しています。小児がん生存者の寿命が延びているため、がん治療後の晩期障害も増加しています。生存者は、がんにならなかった人ほど長く生きられない可能性があります。小児がん生存者において最も多い死亡原因は次のものです:


  • 原発がんの再発。

  • 二次(異なった種類の)原発がんの発生。

  • 心臓やの障害。

晩期障害の原因に関する研究により、治療法が変更されるようになってきています。このことは、がん生存者の生活の質(QOL)を改善するもので、晩期障害による疾患や死亡の予防に役立っています。

定期的なフォローアップは小児がん生存者にとって極めて重要です。

小児がん生存者の長期的な健康には、晩期障害の発見や治療に熟練した医療専門家による定期的なフォローアップが重要です。がん治療を受けた生存者に対するフォローアップケアは、人によって異なります。ケアの種類は、がんの種類、治療法、遺伝性因子、患者さんの全般的健康状態や健康習慣によって決まります。フォローアップのケアでは、晩期障害の徴候症状がみられないか確認したり、晩期障害を予防または軽減する方法についての保健教育を実施したりします。

小児がん生存者は、少なくとも年に1回は検査を受けることが重要です。その検査は、生存者の晩期障害のリスクを理解し、晩期障害の早期徴候に気付くことができる医療専門家が実施すべきです。血液検査や画像検査を実施することもあります。

長期のフォローアップは、がん生存者の健康と生活の質を向上させることがあります。また、がん治療の晩期障害を研究する上でも役立ち、そのおかげで、がんと診断された小児を今よりも安全に治療できるようになるかもしれません。

小児がん生存者にとっては、良好な健康習慣も重要です。

がん生存者の生活の質は、健康や快適な暮らしを促進する習慣によって向上すると考えられます。そのような習慣には、健康的な食事と運動、定期的な医療検診や歯科検診などがあります。がん生存者は治療に関係する健康障害のリスクが高いため、こうしたセルフケアを行うことが特に大切です。健康的な生活行動により、晩期障害の程度が軽くなり、他の病気に対するリスクも低くなる可能性があります。

健康を害する生活行動を避けることも重要です。喫煙、過度のアルコール摂取(飲酒)、違法薬物の使用、日焼け、運動不足は、治療に関連する臓器障害を悪化させることがあり、二次がんのリスクを高める可能性もあります。

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二次がん

小児がん生存者は、後年になって二次がんのリスクが高くなります。

がん治療が終了して2ヵ月以上経過してから発生する別の原発がんは、二次がんと呼ばれます。治療完了後、数ヵ月ないし数年経過してから二次がんが発生することもあります。発生する二次がんの種類は、最初のがんの種類やそのがんに対する治療法に、ある程度左右されます。良性腫瘍(がんではない腫瘍)が生じることもあります。

がん治療後に発生する二次がんには、以下のものがあります:


以下のような固形腫瘍が、原発がんの診断や治療から10年以上後に現れることがあります:


ホジキンリンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、または肉腫といった原発がんの診断、および以下のいずれかを含む化学療法による治療から10年以内に、骨髄異形成症候群や急性骨髄性白血病が現れることがあります:


特定の遺伝型または遺伝性症候群があると、二次がんのリスクが高くなる可能性があります。

小児がん生存者の中には、がんの家族歴、またはリー-フラウメニ症候群のような親から引き継いだ遺伝性がん症候群があるために、二次がんを発症するリスクが高い人もいます。細胞内におけるDNAの修復過程や、体内における抗がんの作用機序に関連する障害によって、二次がんのリスクが左右される場合もあります。

がん治療を受けた患者さんは、定期的にスクリーニング検査を受けて、二次がんが発生していないか確認すべきです。

がん治療を受けた患者さんにとって、症状が現れる前に、二次がんが発生していないか確認することが重要です。このような方法は、二次がんに対するスクリーニングと呼ばれ、二次がんを初の段階で発見するのに役立ちます。異常な 組織やがんが早期発見された場合は、治療が容易です。症状が現れるまでに、がんが拡がり始めている場合もあります。

お子さんの主治医がスクリーニング検査を勧めた場合でも、必ずしもがんを疑っているわけではないことに留意することが重要です。スクリーニング検査が実施されるのは、お子さんにがんの症状が認められない場合です。 スクリーニング検査の結果に異常が認められた場合、お子さんが二次がんであるかどうか確認するために、さらに詳しい検査を受ける必要が生じることもあります。このような検査を診断検査と呼びます。

二次がんのスクリーニングに使用される検査方法は、患者さんが過去に受けたがん治療の種類によって多少異なります。

がん治療を受けた患者さんは、必ず年に1回、身体診察病歴聴取を受けるべきです。身体診察を行って、しこりや皮膚の変化、または通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べます。病歴を聴取して、患者さんの健康習慣、過去の病歴や治療歴について調べます。

患者さんが過去に放射線療法を受けていた場合は、以下の検査や処置を実施して、皮膚がん、乳がん、大腸がんについて調べることがあります:


  • 皮膚の診察:医師または看護師が皮膚の各部を調べ、特に放射線が照射された部分に、色や大きさ、形状、質感などが正常でないできものや斑点がないかを確かめます。皮膚がんの徴候がないかチェックするために、年に1回は皮膚の検査を実施することが推奨されます。

  • 乳房自己検査 :患者さん自身が乳房を調べる検査法。患者さん自身が乳房とわきの下の触診を入念に行って、しこりなどの異常がないかを調べます。胸部に高線量の放射線療法を受けた女性は、思春期から25歳まで、月1回は乳房自己検査を行うことが推奨されます。胸部に低線量の放射線照射を受けた女性は、思春期に乳がん検査を開始しなくてもよい場合があります。乳房自己検査を始めるべき時期について、主治医と話し合ってください。

  • 臨床的乳房検査(CBE):医師またはその他の医療専門家が実施する乳房の検査法。医師が乳房とわきの下の触診を入念に行って、しこりなどの異常がないかを調べます。 胸部に高線量の放射線療法を受けた女性は、思春期から25歳まで年1回の臨床的乳房検査を受けることが推奨されます。25歳以降または放射線療法終了から8年が経過した後(どちらか早いほう)は、6ヵ月ごとに臨床的乳房検査を行います。胸部に低線量の放射線照射を受けた女性は、思春期に乳がん検査を開始しなくてもよい場合があります。臨床的乳房検査を始めるべき時期について、主治医と話し合ってください。

  • 乳腺X線撮影 :乳房のX線検査。乳腺X線撮影は、胸部に高線量の放射線療法を受けたことがあり、乳房の密度が濃くない女性を対象に実施されることがあります。 このような女性は、治療終了から8年後または25歳になった時点のいずれか遅い方から、年に1回は乳腺X線撮影を受けることが推奨されます。乳腺X線撮影による乳がんの検査を始めるべき時期について、主治医と話し合ってください。

  • 乳房MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、乳房の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。MRI検査は、胸部に高線量の放射線療法を受けたことがあり、乳房の密度が濃い女性を対象に実施されることがあります。このような女性は、治療終了から8年後または25歳になった時点のいずれか遅い方から、年に1回はMRI検査を受けることが推奨されます。胸部に放射線照射を受けたことのある患者さんは、MRIによる乳がんの検査を受ける必要があるかどうか、主治医と話し合ってください。

  • 結腸鏡検査 直腸および結腸内部にポリープ、異常な領域、がんなどがないかを調べる検査法。この検査では、結腸鏡が直腸から結腸内部へと挿入されます。結腸鏡は、観察用の光源とレンズが付いた細い管状の器具です。ポリープや組織のサンプルを採取するための器具が付いているものもあり、その器具によって切除された組織は、顕微鏡で観察して、がんの徴候がないか調べられます。腹部、骨盤、または脊椎に対して高線量の放射線療法を受けた小児がん生存者は、5年ごとに結腸鏡検査を受けることが推奨されます。35歳になった時点または治療終了から10年後のいずれか遅い方から、結腸鏡検査を開始します。腹部、骨盤、脊椎に放射線照射を受けたことのある患者さんは、大腸がんの結腸鏡検査を開始するべき時期について主治医と話し合ってください。

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心血管系

特定の小児がんに対する治療を受けると、心臓や血管の晩期障害が現れやすくなります。

次に示す小児がんなどでは、その治療が心臓や血管晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


胸部に対する放射線療法や特定の化学療法を受けると、心臓や血管の晩期障害のリスクが高くなります。

心臓や血管に関わる健康障害のリスクは、以下の治療を受けると高くなります:


心臓や血管に対する放射線療法と特定の種類の化学療法を受けた小児がん生存者では、リスクがきわめて高くなります。

照射する放射線量を抑え、より低用量の化学療法を行う新しい治療法では、心臓や血管の晩期障害のリスクが従来の治療法より低くなる場合があります。

以下の項目に該当する場合も、心臓や血管の晩期障害のリスクが高くなる可能性があります:


心臓や血管に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

放射線療法または特定の化学療法を受けた小児がん生存者は、心臓や血管の晩期障害や関連する健康障害のリスクが高くなります。具体的には以下のものがあります:


心臓や血管の晩期障害で考えられる徴候や症状には、呼吸困難や胸痛などがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候症状が心臓や血管の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 呼吸困難(特に横になっているとき)。

  • 心拍が異常に遅い、異常に速い、または心臓の正常なリズムと異なる。

  • 胸痛。

  • 足、足首、脚、または腹部の腫れ。

  • 冷気に触れたり、強い感情が起きたりした際に、手足の指、耳、または鼻が白くなった後に青ざめる。これが指先に現れた場合は、痛みやしびれを伴うこともある。

  • 顔、腕、または脚の突然の知覚麻痺や脱力(特に体の片側に現れる)。

  • 突然の錯乱、発話障害、または会話が理解できない。

  • 突然の片眼または両眼の視覚障害。

  • 突然の歩行障害またはめまい。

  • 突然の平衡感覚障害または協調動作障害。

  • 突然の原因不明で重度の頭痛。

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

心臓や血管における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下のような検査や処置などが、心臓や血管の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:異常な心拍や高血圧などの通常みられない心臓の疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 心電図(EKG):心臓内を流れる電流の変化を線グラフで記録して心拍数と心拍リズムを確認する検査法。まず患者さんの胸部、腕、脚に小さな電極をいくつか貼り付け、それらを導線によって心電計と呼ばれる装置に接続します。そうして心臓の電気的な活動を折れ線グラフにして紙に記録していきます。電気的活動が正常よりも速い場合や遅い場合は、心臓の疾患や障害の徴候である可能性があります。

  • 心臓超音波検査 :高エネルギーの音波(超音波)を心臓や周辺の組織または臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。血液が心臓から送り出されるときの心臓や心臓弁の動きが撮影されます。

  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や肝臓などの臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。

  • 脂質組成検査:採取した血液を調べて、血液中のトリグリセリド、コレステロール、低密度および高密度リポ蛋白コレステロールの量を測定する検査法。

お子さんに心臓や血管の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

小児がん生存者にとって、心臓や血管の健全性を高める健康習慣が重要です。

心臓や血管の晩期障害がある小児がん生存者は、以下の点に注意して、健康を保つようにすべきです:


  • 健康的な体重を維持する。

  • 心臓の健康に配慮した食事を摂る。

  • 定期的に運動をする。

  • 激しい運動プログラムを開始する前には、主治医に相談する。

  • 禁煙する。

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中枢神経系

特定の小児がんに対する治療を受けると、脳や脊髄の晩期障害が現れやすくなります。

次に示す小児がんなどでは、その治療が脳や脊髄晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


脳に対する放射線による治療を受けると、脳や脊髄の晩期障害のリスクが高くなります。

以下の治療を受けると、脳や脊髄に影響を及ぼす健康障害のリスクが高くなります:


脳に対する放射線療法と髄腔内化学療法を同時に受けると、脳や脊髄の晩期障害のリスクが高くなります。

以下の項目に該当する場合も、脳や脊髄の晩期障害のリスクが高くなる可能性があります:


  • 治療時におよそ5歳かそれ未満である。

  • 女性であること。

  • 水頭症で、脳室から過剰な液体を排出するためにシャントを設置している。

  • 聴覚障害がある。

  • 手術で脳腫瘍を摘出した後に小脳性無言症がある。小脳性無言症では、発語障害、協調動作や平衡感覚の障害、気分の変動、過敏、甲高い泣き声などがみられます。

  • 脳卒中個人歴がある。

中枢神経系の晩期障害は、脳や脊髄内で腫瘍が発生した部位にも左右されます。

脳や脊髄に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

脳や脊髄に対する放射線療法、特定の種類の化学療法、または手術を受けた小児がん生存者は、脳や脊髄の晩期障害や関連する健康障害のリスクが高くなります。具体的には以下のものがあります:


  • 頭痛。

  • 協調動作障害や平衡感覚障害。

  • てんかん発作。

  • 脳の神経 線維を覆っているミエリン鞘の消失。

  • 脚や眼、または発声や嚥下能力に影響を及ぼす運動障害

  • 手足の神経障害。

  • 脳卒中。脳に放射線照射を受けた生存者、高血圧個人歴がある生存者、または脳卒中の初回発生時に40歳以上だった生存者では、二次脳卒中が起こる可能性が高くなります。

  • 水頭症。

  • 膀胱または、あるいはその両方の失調。

  • 海綿腫(異常のある血管の塊)。

  • 背部痛。

思考、学習、記憶、感情、行動に影響を及ぼす晩期障害が生存者にみられることもあります。

より狭い範囲に低線量の放射線を照射する新しい方法を利用して、脳や脊髄に晩期障害が生じるリスクを下げることができます。

脳や脊髄の晩期障害で考えられる徴候や症状には、頭痛、協調運動障害、てんかん発作などがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候症状が脳や脊髄の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 頭痛(嘔吐することで消失することがある)。

  • てんかん発作。

  • 平衡感覚障害、協調運動障害、または歩行困難。

  • 発話障害や嚥下障害。

  • 眼球協調運動障害。

  • 手足のしびれやチクチクとした痛み、脱力。

  • 足首を曲げて足を上げることができない。

  • 顔、腕、または脚の突然の知覚麻痺や脱力(特に体の片側に現れる)。

  • 異常な眠気や活動水準の変化。

  • 性格や行動の異常な変化。

  • 排便習慣の変化や排尿困難。

  • 頭のサイズが大きい(乳児)。

  • 突然の錯乱、発話障害、または会話が理解できない。

  • 突然の片眼または両眼の視覚障害。

  • 突然の原因不明で重度の頭痛。

その他の徴候や症状には以下のようなものがあります:


  • 記憶障害。

  • 注意力低下。

  • 問題解決能力低下。

  • 考えや作業を整理する能力の低下。

  • 新しい情報の学習や運用の遅れ。

  • 読み書き、または計算能力の低下。

  • 目や手、その他の筋肉の協調運動障害。

  • 正常な発達の遅延。

  • 社会的引きこもりや他人との協調に関する問題。

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

脳や脊髄における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下のような検査や処置などが、脳や脊髄の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 神経学的検査 :脳と脊髄および神経の機能を調べる目的で行われる一連の問診と検査のこと。この検査のチェック項目には、精神状態、協調運動、歩行能力、それに筋肉や感覚、反射がどの程度機能しているかなどが含まれます。この検査は神経検査や神経学的診察と呼ばれることもあります。場合によっては、神経内科医神経外科医が、より綿密な検査を行うこともあります。

  • 神経心理学的評価 :患者さんの精神的な変化や挙動を調べる一連の検査法。通常チェックされるのは、以下の領域です:
    • 自分が誰で、どこにいて、今日が何曜日か理解しているか。

    • 新しい情報の学習能力や記憶能力。

    • 知能。

    • 問題解決能力。

    • 口頭言語や文字言語の使用。

    • 眼と手の協調。

    • 情報や作業の整理能力。


お子さんに脳や脊髄の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

小児がん生存者は、がんに関連して、不安や抑うつ状態になることがあります。

小児がん生存者は、身体的変化、痛み、自身の外見、がんの再発に対する恐怖などに関連して、不安抑うつ状態になることがあります。このため、人との関わりや教育、雇用、健康上の問題が生じ、自殺を考えるようになることがあります。これらの問題がある生存者は、成人として自立した生活を送りにくくなる場合があります。

小児がん生存者のフォローアップ検査には、不安や抑うつ、自殺願望などの想定される心理的 苦悩に対するスクリーニングと治療を含めるべきです。

小児がん生存者の中には、心的外傷後ストレス障害がみられる人もいます。

命にかかわる病気と診断され、その治療を受けることは、心的外傷となる可能性があります。このような心的外傷が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の原因となることがあります。PTSDは、死や死の恐怖、重篤な損傷、自分自身や他人への恐怖といったことに関連して、ストレスを強く感じる出来事を経験した後に特定の行動を認めることと定義されています。

PTSDはがん生存者に対して次のような影響を与えます:


  • がんの診断当時や治療当時のことが悪夢やフラッシュバックとして蘇り、頭から離れない。

  • がんの体験が蘇るような場所やイベント、人との接触を避ける。

ある程度は患者さんやその両親の対処スタイルにもよりますが、一般に小児がん生存者が示すPTSDの程度は低くなります。頭部に対する放射線療法を4歳未満で受けた生存者、または強力な治療を受けた生存者は、PTSDのリスクが高くなる可能性があります。家族に問題がある、家族や友人からの社会的支援が少ない、もしくは全くない、がんとは関係ないストレスがあるといった場合は、PTSDになる可能性が高くなることがあります。

がんにまつわる場所や人との接触を避けることがPTSDの症状の1つと考えられるため、PTSDを抱える生存者は、医学的に必要な治療を受けようとしないことがあります。

青年期にがんの診断を受けた場合は、後年になって社会的障害がみられることがあります。

青年期にがんの診断を受けると、そうでなかった場合と比べ、社会的に重要な段階を達成することがほとんどできなかったり、遅れたりすることがあります。社会的に重要な段階には、初めてボーイフレンドやガールフレンドができる、結婚する、出産するといったことがあります。10代でがんの診断を受けた人は、他の人とうまくやることができないとか、同世代の人から好かれていないように感じる場合もあります。

この年齢層のがん生存者は、がんではない同年齢の人と比べて、一般に自身の健康や生活への満足度が低いと報告しています。青年または若年成人のがん生存者は、心理的支援、教育支援、および職業支援を提供する特別なプログラムを必要としています。

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消化器系

歯と顎
特定の小児がんに対する治療を受けると現れやすくなる晩期障害が、歯や顎の障害です。

次に示す小児がんなどでは、その治療が歯や顎が問題となる晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


頭頸部への放射線やある種の化学療法を受けると、歯や顎の晩期障害のリスクが高くなります。

以下の治療を受けると、歯や顎に影響を及ぼす健康障害のリスクが高くなります:


治療時の年齢が5歳未満であった生存者では永久歯が完全に形成されていないため、この場合もリスクが高くなります。

歯や顎に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

歯や顎の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


歯や顎の晩期障害で考えられる徴候や症状には、虫歯(の穴)や顎の痛みなどがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候症状が歯や顎の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 歯が小さいか、一般的な形と異なる。

  • 永久歯の欠損。

  • 永久歯の生える時期が一般的な年齢より遅い。

  • 歯のエナメル質が通常より少なくなる。

  • 虫歯(の穴)や歯周病が通常より多い。

  • ドライマウス。

  • 噛む、飲み込む、話す動作の障害。

  • 顎の痛み。

  • 通常の顎の開閉ができない。

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

口内や顎における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下のような検査や処置などが、歯や顎の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 歯科検診と病歴聴取:虫歯の穴などの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に歯、口、顎を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。これは、歯科検診と呼ばれることもあります。

  • Panorex X線検査:全ての歯や歯根をX線でパノラマ撮影する検査法。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • 顎のX線検査:顎をX線で撮影する検査法。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • CTスキャン(CATスキャン):頭部や頸部などの体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

  • MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、頭部や頸部などの体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

  • 生検 :顎から骨細胞を採取する手技のことで、採取されたサンプルは、顕微鏡で観察され、放射線療法後に骨壊死の徴候がないか調べられます。

お子さんに歯や顎の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

小児がん生存者にとっては、定期的な歯科治療が極めて重要です。

医師は小児がん生存者に、6ヵ月ごとの歯科検診、クリーニング、フッ化物による処置を推奨します。口腔への放射線療法を受けた小児は、矯正歯科医が診察することもあります。

消化管
特定の小児がんに対する治療を受けると、消化管の晩期障害が現れやすくなります。

次に示す小児がんなどでは、その治療が消化管食道小腸大腸直腸肛門)の晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


膀胱、前立腺、精巣に対する放射線や特定の化学療法による治療を受けると、消化管の晩期障害のリスクが高くなります。

以下の治療を受けると、消化管に影響を及ぼす健康障害のリスクが高くなります:


次の場合も、消化管の晩期障害のリスクが高くなることがあります:


  • 診断時または治療開始時に年長であること。

  • 化学療法と放射線療法の併用。

  • 慢性 移植片対宿主病の既往。

消化管に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

消化管の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


  • 食道またはの狭窄。

  • 下痢便秘閉塞。

  • 腸穿孔(腸に穴が開く)。

  • 腸の炎症

  • 腸の一部の壊死。

  • 腸で食物からの栄養素を吸収できなくなる。

消化管の晩期障害で考えられる徴候や症状には、腹痛や下痢などがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候や症状が消化管の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 飲み込みが困難、また、食べ物がに詰まるような感じがする。

  • 胸やけ。

  • 発熱とともに、腹部に重度の痛みや吐き気を伴う。

  • 腹痛。

  • 排便習慣の変化(便秘または下痢)。

  • 吐き気や嘔吐

  • 頻繁なガスによる痛み、鼓脹、膨満感、激しい腹痛。

  • 痔核

  • 逆流

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

消化管における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、消化管の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:腹部圧痛などの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 直腸指診 :直腸を調べる診察法。医師または看護師が、手袋をはめて潤滑剤を塗った指を直腸内に挿入し、しこりや異常な部分がないかを指の感触で調べていきます。

  • 血液生化学検査 :採取した血液を調べて、体内の臓器組織から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。

  • X線:X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。腹部、腎臓尿管、膀胱などのX線写真を撮影し、疾患の徴候がないか調べることがあります。

お子さんに消化管の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

肝臓と胆管
特定の小児がんに対する治療を受けると、肝臓や胆管の晩期障害が現れやすくなります。

次に示す小児がんなどでは、その治療が肝臓胆管の晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


特定の化学療法や肝臓または胆管への放射線療法を受けると、晩期障害のリスクが高まります。

次のいずれかの治療を受けた小児がん生存者では、肝臓または胆管の晩期障害のリスクが高くなる可能性があります:


  • 肝臓の一部を摘出する手術、または肝移植

  • 幹細胞移植の一部として実施した高用量のシクロホスファミド(薬剤詳細へ)を含む化学療法。

  • 6-メルカプトプリン、6-チオグアニンメトトレキサートなどによる化学療法。

  • 肝臓や胆管に対する放射線療法。この場合のリスクは、次の因子によって左右されます:
    • 放射線の線量と照射された肝臓の容積。

    • 治療時の年齢(年齢が低いほど、リスクが高い)。

    • 肝臓の一部を摘出する手術を受けたどうか。

    • ドキソルビシン(薬剤詳細へ)やダクチノマイシン(薬剤詳細へ)などによる化学療法と放射線療法を併用したかどうか。


  • 幹細胞移植(および慢性移植片対宿主病の既往)。

肝臓や胆管に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

肝臓や胆管の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


肝臓や胆管の晩期障害で考えられる徴候や症状には、腹痛や黄疸などがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候や症状が肝臓や胆管の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 体重の増加または減少。

  • 腹部の腫れ。

  • 吐き気や嘔吐。

  • 腹痛。肋骨の近くの痛み(右側に多い)、または脂肪を多く含む食事をとった後の腹痛。

  • 黄疸(皮膚と白眼の部分が黄色くなる)。

  • 淡い色の排便。

  • 濃い色の尿

  • 大量のガス。

  • 食欲不振。

  • 疲労感や脱力感。

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

肝臓や胆管の晩期障害には、徴候や症状がみられず治療が不要なものもあります。

肝臓や胆管における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、肝臓や胆管の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 血液生化学検査:採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。例えば、肝臓に損傷があると、体内のビリルビンの濃度が高くなることがあります。

  • フェリチン濃度:採取した血液を調べて、フェリチンの濃度を測定する検査法。フェリチンは、鉄と結合する蛋白で、体内で使用するために鉄を貯蔵しておく働きがあります。幹細胞移植後にフェリチン濃度が高いと、肝臓疾患の徴候となる場合があります。

  • 血液凝固機能を調べる血液検査:採取した血液を調べて、体内の血小板の数や血液凝固に必要な時間を測定する検査法。

  • 肝炎 検査 :採取した血液を調べて、肝炎ウイルスの断片がないか調べる検査法。血液中に存在する肝炎ウイルスの量を測定するために血液サンプルが使用されることもあります。1972年以前に輸血を受けた患者さんは全員、B型肝炎のスクリーニング検査を受けるべきです。また、1993年以前に輸血を受けた患者さんは、C型肝炎のスクリーニング検査を受けるべきです。

  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や胆嚢などの臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。

  • 生検:肝臓から細胞や組織を採取する手技のことで、採取されたサンプルは顕微鏡で観察され、脂肪肝の徴候がないか調べられます。

お子さんに肝臓や胆管の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

小児がん生存者にとって、肝臓の健全性を高める健康習慣が重要です。

肝臓の晩期障害がある小児がん生存者は、以下の点に注意して、健康を保つようにすべきです:


  • 健康的な体重を維持する。

  • アルコール摂取を止める。

  • A型肝炎とB型肝炎に対するワクチンを接種する。

膵臓
放射線療法は膵臓の晩期障害のリスクを高めます。

次のいずれかの治療を受けた小児がん生存者では、膵臓の晩期障害のリスクが高くなる可能性があります:


  • 腹部に対する放射線療法。

  • 幹細胞移植の一部として実施した全身照射(TBI)。

膵臓に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

膵臓の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


  • インスリン抵抗性:体内でインスリンを産生するが、それをうまく使用できない状態。インスリンは、ブドウ糖(糖の一種)の量を調節するために必要です。インスリンが正常に機能しないため、ブドウ糖や脂質の量が上昇します。

  • 糖尿病 :体内で十分なインスリンが産生されないかインスリンが正常に機能しない疾患。十分なインスリンが産生されない場合、血中のブドウ糖の量が増加し、腎臓で大量の尿が生成されます。

膵臓の晩期障害で考えられる徴候や症状には、頻尿や喉の渇きなどがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候や症状が膵臓の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 頻尿。

  • 激しい喉の渇き。

  • 激しい空腹感。

  • 原因不明の体重減少。

  • ひどい疲労感。

  • 特に皮膚、歯ぐき、膀胱における頻繁な感染。

  • 目のかすみ。

  • 切り傷やあざの治りが遅い。

  • 手足のしびれやチクチクとした痛み。

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

膵臓における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、膵臓の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 糖化ヘモグロビン(A1C)検査:血液サンプルを採取して、赤血球に結合しているブドウ糖の量を測定する検査法。赤血球に結合しているブドウ糖の量が正常値より高いと、糖尿病の徴候である可能性があります。

  • 空腹時血糖値検査:採取した血液を調べて、ブドウ糖の血中濃度を測定する検査法。この検査は、一夜なにも食べていない状態で実施されます。ブドウ糖の血中濃度が正常値より高いと、糖尿病の徴候である可能性があります。

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内分泌系

甲状腺
特定の小児がんに対する治療を受けると、甲状腺の晩期障害が現れやすくなります。

次に示す小児がんなどでは、その治療が甲状腺晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


頭頸部に対する放射線療法を受けると、甲状腺の晩期障害のリスクが高くなります。

次のいずれかの治療を受けた小児がん生存者では、甲状腺の晩期障害のリスクが高くなる可能性があります:


女性、治療時の年齢が低かった生存者、および放射線線量が高かった生存者でもリスクが高くなり、さらに診断や治療からの経過時間が長くなるにつれてリスクが高くなります。

甲状腺に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

甲状腺の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


  • 甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが十分に産生できない):これは最も多くみられる甲状腺の晩期障害です。通常は治療終了から2~5年後に発生しますが、これより遅れることもあります。男児より女児に多くみられます。

  • 甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが過剰に産生される):通常は治療終了から3~5年後に発生します。

  • 甲状腺腫 (甲状腺の肥大)。

  • 甲状腺のしこり:通常は治療終了から10年以上後に発生します。男児より女児に多くみられます。これらの増殖物は良性の(がんではない)場合も悪性(がん)の場合もあります。

甲状腺の晩期障害の徴候や症状は、体内の甲状腺ホルモンが過剰に少ないか多いかによって異なります。

これらに加え、以下のような別の徴候症状が甲状腺の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:

甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンが過剰に少ない)。
  • 疲労感や脱力感。

  • 風邪をひきやすい。

  • 青白く、乾燥した皮膚。

  • 毛が固く、薄毛。

  • 爪がもろい。

  • しわがれ声。

  • 顔のむくみ。

  • 筋肉や関節の痛みやこわばり。

  • 便秘

  • 通常より重い月経

  • 原因不明の体重増加。

  • 抑うつ、記憶障害、または集中できない。

まれに、甲状腺機能低下症で症状が現れないことがあります。

甲状腺機能亢進症(甲状腺ホルモンが過剰に多い)。
  • 落ち着きがない、不安、またはふさぎ込み。

  • 睡眠障害。

  • 疲労感や脱力感。

  • 手が震える。

  • 心拍が速い。

  • 皮膚が赤く熱を持つ(痒みを伴うこともある)。

  • 髪が細くて柔らかい(抜け落ちる)。

  • 排便(の運動)が頻繁またはゆるい。

  • 原因不明の体重減少。

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

甲状腺における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、甲状腺の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 血液 ホルモン検査:採取した血液を調べて、体内の臓器組織から血液中に放出される特定のホルモンの濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、その物質を作り出している臓器や組織における疾患の徴候である可能性があります。採取した血液で、甲状腺刺激ホルモン(TSH)または遊離型チロキシン(T4)の値が異常ではないか調べることもあります。

  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。この検査法により、甲状腺の大きさや、甲状腺に小結節(しこり)がないかを確認することができます。

お子さんに甲状腺の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

下垂体
特定の小児がんに対する治療を受けると、神経内分泌系の晩期障害が現れることがあります。

神経内分泌系では、神経系内分泌系が共同で機能しています。

次に示すような小児がんなどでは、その治療が神経内分泌系の晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


  • 脳腫瘍および脊髄腫瘍。

  • 急性リンパ芽球性白血病(ALL)。

  • 上咽頭がん

  • 幹細胞移植の前に全身照射(TBI)を行ったがん。

視床下部または下垂体に影響を及ぼす治療を受けると、神経内分泌系の晩期障害のリスクが高くなります。

小児がん生存者は、神経内分泌系の晩期障害のリスクが高い状態です。これらの障害は、脳の視床下部の領域に対する放射線療法によって引き起こされます。視床下部は、下垂体で作られ血液中に放出されるホルモンを調節します。放射線療法は、視床下部の近くにあるがんを治療する場合や、幹細胞移植の前の全身照射(TBI)として実施されることがあります。視床下部や下垂体で行われる手術も、同様の障害を引き起こします。

神経内分泌系の晩期障害が生じた小児がん生存者では、下垂体で作られ血液中に放出される以下のホルモンのいずれかが低濃度になることがあります:


視床下部に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

神経内分泌系の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


  • 成長ホルモン欠乏症:成長ホルモンの濃度が低下する病態で、小児がん生存者では脳に対する放射線による晩期障害として多くみられます。放射線の照射線量が高いほど、また、治療後の経過時間が長いほど、この晩期障害のリスクが高くなります。脳や脊髄に対する放射線療法や化学療法を受け、幹細胞移植を受けた小児ALLの生存者でも、成長ホルモンの濃度が低下することがあります。

     小児で成長ホルモンの濃度が低下すると、成人になったときの身長が通常より低くなります。小児の骨が成長途中である場合は、治療が終了した1年後に成長ホルモン補充療法を行って、成長ホルモンの低濃度を治療することがあります。


  • 副腎皮質刺激ホルモン欠乏症 :副腎皮質刺激ホルモンの濃度が低下する、まれな晩期障害。この病態は、小児脳腫瘍生存者、成長ホルモンの濃度が低い生存者、中枢性甲状腺機能低下症の生存者、脳に対する放射線療法を受けた生存者に生じることがあります。

     欠乏症の症状は重度でないこともあり、自覚されないケースもあります。副腎皮質刺激ホルモン欠乏症の徴候や症状には、以下のものがあります:


     副腎皮質刺激ホルモンの濃度が低い場合は、ヒドロコルチゾン療法で治療することがあります。


  • 高プロラクチン血症:プロラクチンというホルモンの濃度が高い病態で、脳に対する高線量放射線、または下垂体部分に影響を及ぼす手術後に発生することがあります。プロラクチンの濃度が高くなると、以下の問題が発生する可能性があります:
    • 思春期が通常の年齢より遅れる。

    • 妊娠中または授乳期間中ではない女性に母乳の分泌がみられる。

    • 月経頻度の減少、無月経、または出血が非常に少ない月経。

    • ほてり(女性)。

    • 不妊。

    • セックスが可能な勃起ができない。

    • 性欲減退(男女とも)。

    • 骨減少症(骨塩量の低下)。

     徴候や症状がみられない場合もあります。治療が必要になることはまれです。


  • 甲状腺刺激ホルモン欠乏症(中枢性甲状腺機能低下症):甲状腺ホルモンの濃度が低い病態で、脳に対する放射線療法後に非常にゆっくりと進行することがあります。

     ときには甲状腺刺激ホルモン欠乏症の症状に気づかない場合もあります。甲状腺ホルモンの濃度が低いと、その他の症状と同様に、成長の遅れや思春期の遅れがみられることもあります。甲状腺ホルモンの濃度が低い場合は、甲状腺ホルモン補充療法で治療することがあります。


  • 黄体形成ホルモンまたは卵胞刺激ホルモン不全症:これらのホルモンの濃度が低い病態で、様々な健康障害が現れる可能性があります。どのような障害が現れるかは、放射線の線量によって異なります。

     低線量の放射線を脳に照射する治療を受けた小児がん生存者は、中枢性思春期早発症(女児で8歳以前、男児で9歳以前に思春期が始まる病態)を発症することがあります。この病態では、思春期を遅らせて小児の成長を補助するゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アゴニスト療法が行われることがあります。

     脳に高線量の放射線療法を受けた小児がん生存者は、ときに黄体形成ホルモンまたは卵胞刺激ホルモンの濃度が低くなります。この病態を、性ホルモン補充療法で治療することがあります。用量は小児の年齢と思春期に達しているかどうかによって異なります。


  • 中枢性尿崩症 :下垂体の前部で作られ血液中に放出される数種のホルモンがいずれも減少または欠乏することで、中枢性尿崩症になる場合があります。視床下部や下垂体に対する手術を受けた小児がん生存者が、この病態を患うことがあります。中枢性尿崩症の徴候や症状には、以下のものがあります:
    • 大量の尿が出る、または異常におむつが湿る。

    • 激しい喉の渇き。

    • 頭痛。

    • 視覚の問題。

    • 成長と発達の遅れ。

    • 原因不明の体重減少。

     治療法には、体で作られる尿の量を調節するホルモンのバソプレシンを用いるホルモン補充療法などがあります。


神経内分泌系における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、甲状腺の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 血液生化学検査 :採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出されるグルコースなどの特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。

  • 血液ホルモン検査:採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定のホルモンの濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、その物質を作り出している臓器や組織における疾患の徴候である可能性があります。採取した血液で、卵胞刺激ホルモン、黄体形成ホルモン、エストラジオールテストステロンコルチゾール、または遊離型チロキシン(T4)の値が異常ではないか調べることもあります。

  • 脂質組成検査:採取した血液を調べて、血液中のトリグリセリド、コレステロール、低比重および高比重リポ蛋白コレステロールの量を測定する検査法。

お子さんに神経内分泌系の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

精巣と卵巣

精巣卵巣における晩期障害に関する情報については、本要約の生殖系をご覧ください。

メタボリックシンドローム
特定の小児がんに対する治療を受けると、メタボリックシンドロームが現れやすくなります。

メタボリックシンドロームは、腹部周辺の脂肪が過剰なことに加えて、以下のうちの少なくとも2つを含む一群の症状です:


  • 高血圧

  • 血中のトリグリセリド高値および高密度リポ蛋白(HDL)コレステロール低値。

  • 血中のグルコース(ブドウ糖)高値。

次に示す小児がんなどでは、その治療が後年になってメタボリックシンドロームを引き起こす原因となる場合があります:


  • 急性リンパ芽球性白血病(ALL)。

  • 幹細胞移植を実施したがん。

  • ウィルムス腫瘍や神経芽腫など、腹部に対する放射線療法で治療したがん。

放射線療法はメタボリックシンドロームのリスクを高めます。

次のいずれかの治療を受けた小児がん生存者では、メタボリックシンドロームのリスクが高くなる可能性があります:


  • 脳または腹部に対する放射線療法。

  • 幹細胞移植の一部として実施した全身照射(TBI)。

メタボリックシンドロームの検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、メタボリックシンドロームの検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 血液生化学検査:採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出されるグルコースなどの特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。

  • 脂質組成検査:採取した血液を調べて、血液中のトリグリセリド、コレステロール、低密度および高密度リポ蛋白コレステロールの量を測定する検査法。

お子さんのメタボリックシンドロームの徴候を調べるために、検査や処置が必要かどうかは、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

メタボリックシンドロームは、心臓または血管の病気や糖尿病を引き起こすことがあります。

メタボリックシンドロームは、心臓病や血管の病気、もしくは糖尿病のリスク増大に関連しています。これらのリスクを低下させる健康習慣には、以下のものがあります:


  • 健康的な体重を維持する。

  • 心臓の健康に配慮した食事を摂る。

  • 定期的に運動をする。

  • 禁煙する。

肥満と体脂肪
肥満は、特定の小児がんに対する治療を受けると現れやすい晩期障害です。

次に示す小児がんなどでは、その治療が肥満を引き起こす原因となる場合があります:


  • 急性リンパ芽球性白血病(ALL)。

  • 脳腫瘍、特に頭蓋咽頭腫

  • 幹細胞移植の一部として実施した全身照射(TBI)など、脳への放射線照射による治療を行ったがん。

脳に対する放射線療法を受けると、肥満のリスクが高くなります。

次の治療を受けると、肥満のリスクが高くなります:


  • 脳に対する放射線療法。

  • 視床下部または下垂体を損傷する手術。

次の場合も、肥満のリスクが高くなることがあります:


  • がんと診断された年齢が5~9歳。

  • 女性であること。

  • 成長ホルモン欠乏症、またはレプチンというホルモンの低値。

  • 身体運動が不十分で健康的な体重を維持できない。

  • 塩酸パロキセチンと呼ばれる抗うつ薬を服用している。

十分な運動を行っており、不安の程度が正常な小児がん生存者は肥満のリスクが低くなります。

肥満の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、肥満の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 血液生化学検査:採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出されるグルコースなどの特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。

  • 脂質組成検査:採取した血液を調べて、血液中のトリグリセリド、コレステロール、低密度および高密度リポ蛋白コレステロールの量を測定する検査法。

肥満は、体重、肥満指数、体脂肪率、または腹周りの寸法(おなかの脂肪)によって測定されることがあります。

お子さんに肥満の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

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免疫系

脾臓を摘出する手術を受けると、免疫系の晩期障害のリスクが高くなります。

以下の治療を受けると、免疫系に影響を及ぼす健康障害のリスクが高くなります:


免疫系に影響を及ぼす晩期障害は、感染を引き起こす可能性があります。

免疫系に影響を及ぼす晩期障害があると、極めて重度の細菌 感染のリスクが高くなることがあります。低年齢の小児では、このリスクが高年齢の小児より高い上に、脾臓が機能を停止したり、手術で脾臓を切除したりしてから数年後に、リスクが高くなることがあります。以下のような徴候症状が感染により引き起こされることがあります:


  • 体の部分的な発赤、腫れ、熱感。

  • 眼、耳、またはなど、体の部分的な痛み。

  • 発熱

感染が他の症状を引き起こすことがあり、その症状は感染した体の場所によって異なります。例えば、の感染によって、咳や呼吸困難が生じることがあります。

脾臓を摘出した小児では、感染リスクの軽減に抗生物質の服用が必要になる場合があります。

5歳未満の小児で、脾臓が機能していない場合または手術で脾臓を摘出してから1年以上経過している場合は、毎日の抗生物質の服用が処方されることがあります。特定の高リスクの患者さんでは、小児期から成人期まで抗生物質を毎日服用するように処方されることがあります。

さらに、感染リスクの高いお子さんは、青年期を通した治療計画を策定し、以下の感染に対する予防接種を受けるべきです:


  • 肺炎球菌による感染症。

  • 髄膜炎菌による感染症。

  • B型インフルエンザ菌(Hib)による感染症。

  • ジフテリア-破傷風-百日咳(DTaP)。

  • B型肝炎

がん治療を受ける前に、別の小児向け予防接種を繰り返し受ける必要があるかどうかについては、担当の小児科の医師にご相談ください。

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筋骨格系

骨と関節
特定の小児がんに対する治療を受けると、骨や関節の晩期障害が現れやすくなります。

次に示す小児がんなどでは、その治療が骨や関節の晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


栄養不良と運動不足も骨の晩期障害を引き起こすことがあります。

手術、化学療法、放射線療法、およびその他の治療を受けると、骨や関節の晩期障害のリスクが高くなります。
放射線療法

放射線療法を受けると、骨の成長が停止したり、遅くなったりすることがあります。骨や関節の晩期障害の種類は、体のどこに放射線療法を受けたかによって異なります。放射線療法は、次のいずれかの症状を引き起こすことがあります:


  • 特に5歳未満で治療を受けた場合、または高線量放射線が照射された場合の顔や頭蓋の形状の変化。

  • 身長(通常より背が低い)。

  • 脊柱側弯症脊椎が側方へ曲がる)または脊柱後弯症(脊椎が前後方向に丸くなる)。

  • 片側の腕または脚がもう一方より短い。

  • 骨粗鬆症(骨が弱くなったり、薄くなったりして、骨折しやすくなる)。

  • 骨壊死(血液の流れが途絶えて顎骨の一部が壊死すること)。

  • 骨軟骨腫(骨の良性腫瘍)。

手術

がんの摘出や再発防止のための切断術または四肢温存手術が晩期障害の原因となることがありますが、腫瘍の位置、患者さんの年齢、手術の種類などによって異なります。切断術または四肢温存手術を受けた後には、以下の健康障害が考えられます:


  • 日常生活活動に支障がある。

  • 通常行っていたような活動ができない。

  • 慢性疼痛または感染

  • 義肢の適合性またはその機能性に問題がある。

  • 骨折。

  • 手術後に骨が十分治癒しない。

  • 片側の腕または脚がもう一方より短い。

小児がん生存者を対象に、切断術を受けた患者さんと四肢温存手術を受けた患者さんにおける生活の質(QOL)を比較した研究では、違いが認められませんでした。

化学療法などの薬物療法

メトトレキサート、またはデキサメタゾンなどの副腎皮質ステロイドグルココルチコイド)を含む抗がん治療を受けた小児がん生存者では、リスクが高くなる可能性があります。薬物療法は、以下のいずれかを引き起こす原因となる場合があります:


  • 骨粗鬆症(骨が弱くなったり、薄くなったりして、骨折しやすくなる)。

  • 骨壊死(血流が途絶えて骨の1ヵ所以上の部分が壊死すること)、特に腰または膝。

幹細胞移植

幹細胞移植は、以下に示す様々な形で、骨や関節に影響を与えることがあります:


  • 幹細胞移植の一部として実施した全身照射(TBI)は、骨が成長ホルモンを産生する能力に影響を及ぼし、低身長(通常より背が低くなる)を引き起こすことがあります。骨粗鬆症(骨が弱くなったり、薄くなったりして、骨折しやすくなる)の原因にもなります。

  • 骨軟骨腫(腕や脚などの長骨にできる良性腫瘍)が生じることもあります。

  • 幹細胞移植後に慢性 移植片対宿主病を発症し、関節拘縮(筋肉拘縮により関節が縮み非常に固くなる)が現れることもあります。骨壊死(血流が途絶えて骨の1ヵ所以上の部分が壊死すること)の原因にもなります。

骨や関節の晩期障害で考えられる徴候や症状には、骨の腫れまたは骨痛や関節痛などがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候症状が骨や関節の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 体内の骨または骨性部分の腫れ。

  • 骨または関節の痛み。

  • 骨または関節の発赤や熱感。

  • 関節硬直または通常の動作ができない。

  • 原因不明の骨折、または容易に骨折する。

  • 低身長(通常より背が低い)。

  • 体の片側がもう一方より高くみえる、または体が片側に傾く。

  • 座っているときや立っているときに常に前かがみの姿勢、または猫背。

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

骨や関節における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、骨や関節の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。専門家による骨と筋肉の検査が行われることもあります。

  • 骨密度スキャン :エネルギーの異なる2種類のX線を骨に透過させることにより、骨密度(一定体積の骨に含まれる骨ミネラルの量)を測定できる画像検査。骨粗鬆症(骨が弱くなったり、薄くなったりして、骨折しやすくなる)の診断に用いられます。BMDスキャン、DEXA、DEXAスキャン、二重エネルギーX線吸収測定法、二重X線吸収測定法、DXAなどと呼ばれることもあります。

  • X線:X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に骨などの体内の画像が映し出されます。

お子さんに骨や関節の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

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生殖系

精巣
特定の小児がんに対する治療を受けると、精巣の晩期障害が現れやすくなります。

次に示す小児がんなどでは、その治療が精巣晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


手術、放射線療法、特定の化学療法を受けると、精巣に影響を及ぼす晩期障害のリスクが高くなります。

次の治療をいずれか1つでも受けると、精巣に影響を及ぼす健康障害のリスクが高くなります:


精巣に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

精巣の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


化学療法または放射線療法による治療後、時間とともに体が精子を作る能力が回復する可能性があります。

卵巣
特定の小児がんに対する治療を受けると、卵巣の晩期障害が現れやすくなります。

次に示す小児がんなどでは、その治療が卵巣の晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


  • 急性リンパ芽球性白血病(ALL)。

  • 胚細胞腫瘍。

  • ホジキンリンパ腫。

  • 卵巣がん

  • ウィルムス腫瘍

  • 幹細胞移植の前に全身照射(TBI)を行ったがん。

腹部に対する放射線療法や特定の化学療法を受けると、卵巣の晩期障害のリスクが高くなります。

次のいずれかの治療を受けると、卵巣の晩期障害のリスクが高くなる場合があります:


  • 片側または両側の卵巣を摘出する手術。

  • シクロホスファミド(薬剤詳細へ)メクロレタミン、イホスファミド(薬剤詳細へ)ロムスチンブスルファンのほか、特にプロカルバジン(薬剤詳細へ)などのアルキル化剤やシスプラチンによる化学療法。

  • 腹部や骨盤、腰に対する放射線療法。腹部に対して放射線療法を受けた生存者における卵巣の損傷程度は、放射線の線量、治療時の年齢、および放射線を照射した腹部領域が一部か全体かによって異なります。

  • 腹部や骨盤に対する放射線療法とアルキル化剤との併用療法。

  • 脳の視床下部周辺への放射線療法。

  • 幹細胞移植の前の全身照射(TBI)。

卵巣に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

卵巣の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


  • 早発閉経(特に、卵巣を摘出した女性、またはアルキル化剤による治療と腹部に対する放射線療法を両方受けた女性)。

  • 月経周期の変化。

  • 不妊症(子を宿すことができない)。

  • 思春期が訪れない。

化学療法後、卵巣は時間をかけて機能し始めることがあります。

卵巣の晩期障害で考えられる徴候や症状には、月経不順や無月経、ほてりなどがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候症状が卵巣の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 月経不順や無月経。

  • ほてり

  • 寝汗。

  • 睡眠障害。

  • 気分の変化。

  • 性欲減退。

  • 膣の乾燥。

  • 不妊。

  • 思春期になっても、腕、陰部、脚などに毛が生える、または乳房が膨らむといった性徴がみられない。

  • 骨粗鬆症(骨が弱くなったり、薄くなったりして、骨折しやすくなる)。

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

受胎能と生殖能
小児がん生存者では、がんに対する治療により不妊症になることがあります。

次の治療を受けると、不妊症のリスクが高くなります:


  • 男児における精巣に対する放射線療法による治療。

  • 女児における卵巣や子宮を含む、骨盤に対する放射線療法による治療。

  • 脳の視床下部や腰の周辺に対する放射線療法。

  • 幹細胞移植の前の全身照射(TBI)。

  • シクロホスファミド(薬剤詳細へ)、ブスルファン(薬剤詳細へ)、プロカルバジン(薬剤詳細へ)などのアルキル化剤による化学療法。

  • 精巣、卵巣、または腹部のリンパ節を摘出するような手術。

小児がん生存者では、妊娠に影響を及ぼす晩期障害が現れることがあります。

妊娠に影響を及ぼす晩期障害には、次のリスクが高くなることも含まれます:


  • 高血圧

  • 流産または死産。

  • 低出生体重児。

  • 早産。

  • 帝王切開による分娩。

  • 胎児が出産に適さない位置になる(例えば、足や殿部が頭より先に出てくる逆子)。

小児がん生存者が子供をもうけるために有用な方法があります。

小児がん生存者が子供をもうけることができるように、次の方法を使用することがあります:


  • 思春期に達した患者さんでは、がん治療前に卵子や精子を凍結保存する。

  • 精巣内精子採取法(精巣から精子を含む組織を少量採取する方法)。

  • 卵細胞内精子注入法(体外の卵子に1個の精子を注入して受精させる方法)。

  • 体外受精(IVF)(同じ容器に卵子と精子を入れて、卵子が受精する可能性を高める方法)。

小児がん生存者がもうけた子供には、親が過去に受けたがん治療による影響はありません。

小児がん生存者がもうけた子供の先天異常、遺伝性疾患、がんのリスクは高くないようです。

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呼吸器系

特定の小児がんに対する治療を受けると、肺の晩期障害が現れやすくなります。

次に示す小児がんなどでは、その治療が晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


特定の化学療法および肺に対する放射線療法を受けると、肺の晩期障害のリスクが高くなります。

次の治療を受けると、肺に影響を及ぼす健康障害のリスクが高くなります:


肺の晩期障害のリスクは、小児がん生存者が手術、化学療法、放射線療法のいくつかを組み合わせた併用療法を受けた場合に、より高くなります。また、以下の病歴を持つ生存者でも、リスクが高まります:


肺に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

肺の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


肺の晩期障害で考えられる徴候や症状には、呼吸困難や咳などがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候症状が肺の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 特に運動中の呼吸困難(息切れ)。

  • 喘鳴(ぜんめい)。

  • 発熱

  • 痰を伴わない咳。

  • うっ滞感(肺の中に過剰な粘液が充満した感覚)。

  • 疲労感。

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

小児がん生存者における肺の晩期障害は、時間とともにゆっくりと進行する場合や症状が現れない場合があります。ときには、肺の損傷が画像検査または肺機能検査を行って初めて検出されることがあります。肺の晩期障害は時間とともに改善することもあります。

肺における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、肺の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 胸部X線検査:胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • 肺機能検査(PFT):肺の機能を測定する検査法。肺活量や肺に空気を出し入れする速さを測定します。また、呼吸時の酸素の消費量や二酸化炭素の排気量なども計測します。

お子さんに肺の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

小児がん生存者にとって、肺の健全性を高める健康習慣が重要です。

肺の晩期障害がある小児がん生存者は、以下の点に注意して、健康を保つようにすべきです:


  • 禁煙する。

  • インフルエンザや肺炎球菌に対するワクチンを接種する。

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感覚系

聴覚
聴覚障害は、特定の小児がんに対する治療を受けると現れやすくなる晩期障害です。

次に示す小児がんなどでは、その治療が聴覚の晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


脳に対する放射線療法や特定の化学療法を受けると、難聴のリスクが高くなります。

次のいずれかの治療を受けた小児がん生存者では、難聴のリスクが高くなります:


治療時の年齢が低かった(年齢が低いほどリスクが高い)、脳腫瘍の治療を受けた、または脳に対する放射線療法と化学療法を同時に受けた小児がん生存者では、難聴のリスクが高くなります。

難聴は、聴覚の晩期障害で最も多くみられる徴候です。

これらに加え、以下のような別の徴候症状が聴覚の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 難聴。

  • 耳鳴り。

  • めまい。

  • 過剰に固くなった耳あか。

難聴は、治療中または治療後すぐに起こる場合や、治療後数ヵ月から数年経ってから現れる場合などがあり、時間とともに進行します。お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

耳や聴覚における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、聴覚の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 耳鏡検査:耳を調べる検査法。耳鏡を用いて外耳道や鼓膜を観察し、感染や難聴の徴候がないか調べます。ときには、プラスチック製のバルブが付いた耳鏡に用い、そのバルブを押して外耳道に少量の空気を吐き出します。正常な耳であれば、鼓膜が動きます。鼓膜の裏側に液体があると、鼓膜は動きません。

  • 聴覚検査:お子さんの年齢に応じて様々な方法で聴覚検査を行うことができます。聴覚検査を行って、お子さんが柔らかくて大きな音、および低い音や高い音を聞き分けることができるか調べます。両耳を別々に検査します。耳の裏または額の上に置いた音叉の甲高い音を聞き分けることができるか、お子さんに対して尋ねることもあります。

お子さんに聴覚の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

視覚
眼や視覚の障害は、特定の小児がんに対する治療を受けると現れやすくなる晩期障害です。

次に示す小児がんなどでは、その治療が眼や視覚の晩期障害を引き起こす原因となる場合があります:


脳や頭部への放射線療法を受けると、眼の障害や視力低下のリスクが高くなります。

次のいずれかの治療を受けた小児がん生存者では、眼の障害や視力低下のリスクが高くなる可能性があります:


眼に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

眼の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


  • 眼窩が小さく、成長とともに小児の顔の形に影響が現れる。

  • 視力低下。

  • 白内障緑内障などの視覚の問題。

  • 涙がでない。

  • 視神経や網膜の損傷。

  • 眼瞼腫瘍。

眼や視覚の晩期障害で考えられる徴候や症状には、視力変化やドライアイなどがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候や症状が眼や視覚の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 次のような視力変化:
    • 近くにある物が見えない(遠視)。

    • 遠くにある物が見えない(近視)。

    • 物が二重に見える(複視)。

    • 目のかすみ(霧視)。

    • 物が色あせて見える。

    • 光がまぶしい、または夜間の視覚障害。

    • 夜間の光がまぶしい、または周りに光輪が見える。


  • ドライアイ(かゆみ、ヒリヒリ感、腫れを伴ったり、異物が眼に入ったように感じることがある)。

  • 眼の痛み。

  • 眼の赤み。

  • まぶたのできもの。

  • 上まぶたの垂れ下がり。

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

眼や視覚における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、眼や視覚の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 瞳孔 拡張検査:眼の検査法の1つで、水晶体と瞳孔の奥にある網膜を観察しやすくするために点眼薬によって瞳孔を拡張させてから行う検査法。幅を細く絞った光線を出す器具を用いて眼球の内部(網膜や視神経など)を調べます。細隙灯検査と呼ばれることもあります。腫瘍が存在する場合、医師は長期間にわたって写真を撮り続け、腫瘍の大きさの変化や増殖の速さを記録することがあります。

  • 倒像眼底検査 :小型の拡大鏡とライトを用いて眼球内の後方部分を調べる検査法。

お子さんに眼や視覚の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

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泌尿器系

腎臓
特定の種類の化学療法は、腎臓の晩期障害のリスクを高めます。

以下の治療を受けると、腎臓に影響を及ぼす健康障害のリスクが高くなります:


腎臓の晩期障害のリスクは、小児がん 生存者が手術、化学療法、放射線療法のいくつかを組み合わせた併用療法を受けた場合に、より高くなります。

以下に該当する場合にも、腎臓の晩期障害のリスクが高くなる可能性があります:


腎臓に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

腎臓の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


腎臓の晩期障害で考えられる徴候や症状には、排尿の問題や手足の腫れなどがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候症状が腎臓の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 尿意があるのに排尿できない。

  • 尿(特に夜間)。

  • 排尿困難。

  • ひどい疲労感。

  • 脚や足首、または手足の腫れ。

  • 皮膚の痒み。

  • 吐き気または嘔吐

  • 口内の金属のような味覚または口臭。

  • 頭痛。

であれば、徴候や症状がみられない場合もあります。腎臓に対する損傷が長期に及ぶにつれて、徴候や症状が現れてくるかもしれません。お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

腎臓における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、腎臓の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 血液生化学検査 :採取した血液を調べて、体内の臓器組織から血液中に放出されるマグネシウム、カルシウム、カリウムなどの特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、腎臓疾患の徴候である可能性があります。

  • 尿検査 :尿の色と尿に含まれる成分(糖、蛋白赤血球白血球など)を調べる検査法。

  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や腎臓などの臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。

お子さんに腎臓の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

小児がん生存者にとって、腎臓の健全性を高める健康習慣が重要です。

腎臓の一部または全部を摘出した小児がん生存者は、以下の点について医師と相談すべきです:


  • フットボールやホッケーなど、激しい接触や衝撃のリスクが高いスポーツを行っても安全かどうか。

  • 自転車の安全性を確保し、ハンドルによる傷害を避けること。

  • シートベルトは胴ではなく腰の周りに装着すること。

膀胱
骨盤領域に対する手術や特定の化学療法を受けると、膀胱の晩期障害のリスクが高くなります。

以下の治療を受けると、膀胱に影響を及ぼす健康障害のリスクが高くなります:


膀胱に影響を及ぼす晩期障害が、特定の健康障害を引き起こすことがあります。

膀胱の晩期障害、ならびに関連する健康障害には次のものがあります:


膀胱の晩期障害で考えられる徴候や症状には、排尿の変化や手足の腫れなどがあります。

これらに加え、以下のような別の徴候や症状が膀胱の晩期障害により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります:


  • 尿意があるのに排尿できない。

  • 頻尿(特に夜間)。

  • 排尿困難。

  • 排尿後の残尿感。

  • 脚や足首、または手足の腫れ。

  • 排尿の調節がほとんどできない、または全くできない。

  • 血尿。

お子さんに上に述べた症状が1つでもあれば、担当の医師にご相談ください。

膀胱における健康障害の検出(発見)や診断には、特定の検査や処置が行われます。

以下に示す検査や処置などが、膀胱の晩期障害の検出や診断に使用されることがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴などの病歴も聴取されます。

  • 血液生化学検査:採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出されるマグネシウム、カルシウム、カリウムなどの特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、膀胱疾患の徴候である可能性があります。

  • 尿検査:尿の色と尿に含まれる成分(糖、蛋白、赤血球、白血球など)を調べる検査法。

  • 尿培養 :感染の症状がみられる場合に、尿中の細菌酵母などの微生物を調べる検査。尿培養は感染を引き起こしている微生物の種類を特定するために行われることがあります。感染の治療法は、原因となっている微生物の種類によって異なります。

  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や膀胱などの臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。

お子さんに膀胱の晩期障害の徴候がないかチェックするために、検査や処置を受ける必要があるかどうかについては、担当の医師にご相談ください。検査が必要であれば、どれくらいの頻度で受けるべきか確認してください。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、小児がん治療の晩期障害に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board. PDQ Late Effects of Treatment for Childhood Cancer. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/childhood-cancers/late-effects-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389365]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

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