ページの先頭へ

最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

慢性骨髄増殖性腫瘍の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-04-07
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Adult Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、慢性骨髄増殖性腫瘍の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

慢性骨髄増殖性腫瘍

慢性骨髄増殖性腫瘍についての一般的な情報

骨髄増殖性腫瘍とは、骨髄において赤血球、白血球、または血小板が過剰に作られるようになる疾患群のことです。

正常な状態の骨髄では、いずれは成熟した血液細胞に成長する血液幹細胞(未熟な細胞)が作られます。



骨の解剖図:海面骨、赤色骨髄、黄色骨髄を示す図。骨の断面図は、緻密骨および骨髄中の血管を示す。また、赤血球、白血球、血小板、および血液幹細胞も示している。



骨の解剖図。骨は、緻密骨、海面骨、骨髄で構成されています。緻密骨は、骨の外層を形成しています。海面骨は、ほとんどが骨の末端にみられ、赤色骨髄を含んでいます。骨髄は、ほとんどの骨の中心に存在し、多くの血管が走っています。骨髄には、赤色骨髄と黄色骨髄の2種類があります。赤色骨髄には、白血球、赤血球、血小板になる能力を持つ血液幹細胞が含まれています。黄色骨髄は、大部分が脂肪でできています。



この血液幹細胞はまず骨髄幹細胞リンパ系幹細胞に成長します。リンパ系幹細胞は白血球になります。骨髄系幹細胞は以下の3種類の成熟血液細胞のいずれかになります:




血液細胞の成長:血液幹細胞が段階を経て赤血球、血小板、または白血球に成長する様子を示す。図には、骨髄系幹細胞が赤血球、血小板、骨髄芽球に成長し、さらに骨髄芽球が白血球に成長する様子が示されている。図にはさらに、リンパ幹細胞がリンパ芽球に成長し、これがさらに数種類の白血球のいずれかに成長する様子も示されている。



血液細胞の成長。血液幹細胞はいくつかの段階を経て赤血球、血小板、または白血球になります。



骨髄増殖性腫瘍では、過剰な数の血液幹細胞が1種類または複数の種類の血液細胞になります。この腫瘍は通常、過剰な血液細胞の数が増加するにつれて、ゆっくりと悪化していきます。

慢性骨髄増殖性腫瘍には6つの種類があります。

骨髄増殖性腫瘍の種類は、赤血球、白血球、血小板のうち、どの血液細胞が過剰に作られているかに基づいて分類されています。2種類以上の血液細胞が過剰に作られるようになる場合もありますが、1種類の血液細胞が他の種類よりも大きな影響を受けるのが通常です。慢性骨髄増殖性腫瘍には、以下の6種類があります:


以上の種類については本要約で説明されています。慢性骨髄増殖性腫瘍は、異常な白血球が過剰に作られる疾患である急性白血病に進展する場合があります。

慢性骨髄増殖性腫瘍の発見と診断には、血液と骨髄を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 全血球算定(CBC)と分画 :血液を採取して以下の項目について調べる検査法:
    • 赤血球と血小板の数。

    • 白血球の数と種類。

    • 赤血球内のヘモグロビン(酸素を運搬する蛋白)の量。

    • 血液サンプル中の赤血球が占める割合。



    全血球算定(CBC):左側の図には、注射器と注射針によって肘の静脈から血液が採取されている様子が示されており;右の図には、試験管中の血液が血漿、白血球、血小板、赤血球のそれぞれの層に分離された様子が示されている。
    
    


    全血球算定(CBC)。静脈内に針を挿入して注射器の中に血液を吸い込むことによって、血液を採取します。採取された血液は検査室に送られ、そこで赤血球と白血球と血小板の数が調べられます。CBCは様々な病態の診断やモニタリングのための検査法として用いられています。




  • 末梢血塗抹検査:血液を採取して以下の項目について調べる検査法:
    • 涙のしずくのような形をした赤血球の有無。

    • 白血球の数と種類。

    • 血小板の数。

    • 芽球細胞の有無。


  • 血液生化学検査 :採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。

  • 骨髄穿刺と骨髄生検 :腰骨または胸骨に中空の針を挿入して骨髄、血液、骨の小片などを採取する手技。採取された骨髄、血液、骨は、病理医によって顕微鏡で観察され、異常な細胞がないか調べられます。

    骨髄穿刺と骨髄生検:図は、台の上にうつ伏せになった患者さんの腰骨に骨髄穿刺針が挿入されている様子を示す。拡大図は、皮膚の上から腰骨の骨髄に挿入した骨髄穿刺針を示している。
    
    


    骨髄穿刺と骨髄生検。皮膚の小さな領域に麻酔を施してから、患者さんの腰骨に骨髄穿刺針を挿入します。そして顕微鏡での検査用に血液、骨、骨髄などのサンプルを採取します。




  • 細胞遺伝学的分析:血液または骨髄のサンプル中の細胞を顕微鏡で観察して、染色体に特定の変化がないかを調べる検査法。一部の疾患や障害については、特定の染色体変化の有無から診断あるいは除外できる場合があります。

  • 遺伝子 突然変異検査:骨髄または血液サンプルについて、 JAK2 MPL 、または CALR 遺伝子の突然変異の有無を調べる臨床検査JAK2遺伝子の突然変異は、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、または原発性骨髄線維症の患者さんに多くみられます。MPLまたはCALR遺伝子の突然変異は、本態性血小板血症または原発性骨髄線維症の患者さんにみられます。

 | 

慢性骨髄性白血病

慢性骨髄性白血病は、骨髄白血球が過剰に作られるようになる疾患です。この疾患の診断病期分類、治療法に関する情報については、PDQ慢性骨髄性白血病の治療に関する要約をご覧ください。

 | 

真性赤血球増加症

真性赤血球増加症は、骨髄において赤血球が過剰に作られるようになる疾患です。

真性赤血球増加症では、過剰な赤血球のために血液は粘稠な状態となります。白血球の数や血小板の数も増加する場合があります。こうした過剰な血液細胞脾臓に蓄積されると、脾臓の腫大が引き起こされます。血液中の赤血球や白血球、血小板の増加によって、出血に関係する問題が発生したり、血管内に血栓(凝血塊)が生じたりする可能性もあります。これにより、脳卒中や心臓発作のリスクが高まる場合があります。65歳を過ぎた患者さんまたは血栓の既往がある患者さんでは、脳卒中や心臓発作のリスクが高くなります。また、患者さんが急性骨髄性白血病または原発性骨髄線維症を発症するリスクも高まります。

真性赤血球増加症の症状には、頭痛や左側の肋骨の奥の膨満感があります。

真性赤血球増加症では、しばしば初期の徴候症状が現れないことがあります。通常の血液検査の際に発見されることもあります。血液細胞の増加に伴い、徴候や症状が現れることがあります。ただし、他の病態が原因で、同様の徴候や症状が生じてくる場合もあります。以下の問題がみられる場合は担当の医師にご相談ください:


  • 左側の肋骨の奥の圧迫感または膨満感。

  • 頭痛。

  • 物が二重に見える、視界が暗い、盲点が現れては消える。

  • 全身のかゆみ、特に入浴後。

  • 紅潮または日焼けしたように顔が赤くなる。

  • 衰弱。

  • めまい。

  • 原因不明の体重減少。

真性赤血球増加症の診断には、特殊な血液検査が用いられます。

真性赤血球増加症の診断には、全血球算定検査、骨髄穿刺と骨髄生検細胞遺伝学的分析に加えて、血清 エリスロポエチン検査が行われます。この検査では、血液のサンプルを調べて、エリスロポエチン(新たな赤血球の生産を促進するホルモン)の濃度を測定します。真性赤血球増加症では、体内で赤血球細胞をそれ以上作る必要がないので、エリスロポエチンの濃度が正常より低くなることがあります。

 | 

原発性骨髄線維症

原発性骨髄線維症は、骨髄の内部に異常な血液細胞や線維が蓄積する疾患です。

骨髄は、血液 細胞赤血球白血球血小板)を作る造血組織とその造血組織を支える網目状の線維から構成されています。原発性骨髄線維症(慢性特発性骨髄線維症とも呼ばれる)では、多数の血液幹細胞が正しく成熟できない血液細胞(芽球)になります。さらに骨髄内部の網目状の線維が(瘢痕組織のように)肥厚し、このことによって造血組織における血液細胞の産生能力が低下します。そのため、造血組織における血液細胞の生産量が次第に減少していきます。このような骨髄内における血液細胞の生産量の減少を補うために、肝臓脾臓でも血液細胞の生産が開始されます。

原発性骨髄線維症の症状に、左側の肋骨の奥の痛みとひどい疲労感があります。

原発性骨髄線維症では、しばしば初期の徴候症状が現れないことがあります。通常の血液検査の際に発見されることもあります。原発性骨髄線維症では以下のような徴候や症状がみられますが、これらは他の病態によって引き起こされることもあります。以下の問題がみられる場合は担当の医師にご相談ください:


  • 左側の肋骨の奥の痛みまたは膨満感。

  • 食事で通常よりも早く満腹になる。

  • ひどい疲労感。

  • 息切れ。

  • あざや出血が生じやすい。

  • 点状出血(出血によってできる皮膚の下にみられる平たく赤い非常に小さな点)。

  • 発熱

  • 寝汗。

  • 体重減少。

原発性骨髄線維症の予後(回復の見込み)と治療法の選択は、いくつかの特定の要因に左右されます。

予後回復の見込み)を左右する因子には以下のものがあります:


  • 患者さんの年齢。

  • 異常な赤血球および白血球の数。

  • 血液中の芽球の数。

  • 染色体における特定の変化の有無。

  • 発熱、寝汗、体重減少などの徴候の有無。

 | 

本態性血小板血症

本態性血小板血症は、骨髄において血小板が過剰に作られるようになる疾患です。

本態性血小板血症では、血液骨髄で作られる血小板の数が異常に増加します。

本態性血小板血症の患者さんでは、徴候や症状が何もみられない場合があります。

本態性血小板血症では、しばしば初期の徴候症状が現れないことがあります。通常の血液検査の際に発見されることもあります。本態性血小板血症では以下のような徴候や症状がみられますが、これらは他の病態によって引き起こされることもあります。以下の問題がみられる場合は担当の医師にご相談ください:


  • 頭痛。

  • 手や足の焼けるような痛みやヒリヒリとした感覚。

  • 手や足の発赤や熱感。

  • 視覚または聴覚の問題。

血小板は粘稠な物質です。血小板が過剰に存在すると、そうした血小板が凝集することによって、血液の循環に問題が生じる可能性があります。血管内に血栓(凝血塊)が形成されたり、さらに、出血の頻度が増加したりする可能性もあります。また、脳卒中や心臓発作など、重篤な健康上の問題を引き起こす可能性があります。

本態性血小板血症の予後(回復の見込み)と治療法の選択は、いくつかの特定の要因に左右されます。

予後回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


  • 患者さんの年齢。

  • 本態性血小板血症に関係する徴候や症状、またはその他の問題の有無。

 | 

慢性好中球性白血病

慢性好中球性白血病は、過剰な数の血液幹細胞好中球という種類の白血球になる疾患です。好中球とは、死んだ細胞や外来性の物質(細菌など)を取り囲んで破壊することによって感染防御を担う血液 細胞のことです。過剰に増加した好中球が原因となって脾臓肝臓が大きくなる場合があります。慢性好中球性白血病では、症状が変わらないままの場合もあれば、急速に急性白血病へと進行する場合もあります。

 | 

慢性好酸球性白血病

慢性好酸球性白血病は、骨髄において白血球(好酸球)が過剰に作られるようになる疾患です。

好酸球白血球の一種で、アレルゲン(アレルギー反応を引き起こす物質)に反応したり、特定の寄生虫による感染に対する防御を担ったりしています。慢性好酸球性白血病では、血液骨髄、その他の組織に過剰な数の好酸球が認められます。慢性好酸球性白血病では、長年にわたって同じ症状のまま経過する場合もあれば、急速に急性白血病へと進行する場合もあります。

慢性好酸球性白血病の徴候や症状に、発熱とひどい疲労感が挙げられます。

慢性好酸球性白血病では、初期の徴候症状が現れないこともあります。通常の血液検査の際に発見されることもあります。慢性好酸球性白血病では以下のような徴候や症状がみられますが、これらは他の病態によって引き起こされることもあります。以下の問題がみられる場合は担当の医師にご相談ください:


  • 発熱

  • ひどい疲労感。

  • 咳。

  • 眼や唇の周りの皮下、咽頭内、または手足の腫れ。

  • 筋肉痛。

  • かゆみ。

  • 下痢

 | 

慢性骨髄増殖性腫瘍の病期

慢性骨髄増殖性腫瘍には、標準的な病期分類システムがありません。

がんの拡がりの程度を調べていくためのプロセスは病期分類と呼ばれます。慢性骨髄増殖性腫瘍には、標準的な病期分類システムがありません。治療法は患者さんの骨髄増殖性腫瘍の種類に基づいて決定されます。治療計画を立てるためには、この種類を把握しておくことが重要です。

 | 

治療選択肢の概要

慢性骨髄増殖性腫瘍の患者さんには様々な治療法が存在します。

慢性骨髄増殖性腫瘍の患者さんは、様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

標準治療として以下の11種類が用いられています:
注意深い経過観察

注意深い経過観察とは、徴候症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く監視していくことです。

瀉血

瀉血とは、静脈から血液を抜き取る手技のことです。全血球算定(CBC)や血液生化学検査などの検査用に血液サンプルを採取することもあります。瀉血は治療法として用いられることもあり、過剰な赤血球を除去する目的で、患者さんから血液を抜き取ります。このように、瀉血は慢性骨髄増殖性腫瘍に対する治療法の1つとして用いられています。

血小板アフェレーシス

血小板 アフェレーシスは、特殊な装置を使用して血液から血小板を除去する治療法です。患者さんから血液を採取し、血液細胞の分離装置に通すことによって血小板を除去します。その後、残った血液を患者さんの体内に戻します。

輸血療法

輸血 療法輸血)は、疾患やがん治療によって破壊された血液細胞を補充するために赤血球、白血球、血小板などを投与する治療法です。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、もしくは腹腔などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

詳しい情報については、骨髄増殖性腫瘍に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

骨髄増殖性腫瘍に対する放射線療法は、脾臓に対して行われるのが通常です。

その他の薬物療法

プレドニゾンダナゾールは、原発性骨髄線維症の患者さんの貧血に対する治療に用いられる薬剤です。

アナグレリド療法は、血液中の血小板が過剰になった患者さんの血栓形成のリスクを軽減する目的で用いられます。低用量アスピリンが、血栓形成のリスクを軽減する目的で用いられることもあります。

サリドマイドレナリドミドポマリドミドは、腫瘍細胞が存在する領域への血管の成長を予防する薬です。

詳しい情報については、骨髄増殖性腫瘍に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

手術

脾臓が腫大している場合には、脾摘出術(脾臓を摘出する手術)を行うことがあります。

生物学的療法

生物学的療法は、患者さんの免疫系を利用してがんや他の疾患を撃退する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっている疾患に対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。この種の治療法は生物療法や免疫療法とも呼ばれます。インターフェロンαまたはPEGインターフェロンαは、一部の慢性骨髄増殖性腫瘍の治療によく用いられている生物学的薬剤です。

エリスロポエチン 増殖因子も生物学的薬剤です。これらは、骨髄を刺激して赤血球の生産を促進する目的で用いられます。

標的療法

標的療法とは、正常な細胞には害を及ぼすことなく特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。チロシンキナーゼ阻害薬は標的療法薬の一種で、腫瘍の増殖に必要となる指令を妨害します。

ルクソリチニブは、特定の骨髄線維症の治療に用いられるチロシンキナーゼ阻害薬です。

詳しい情報については、骨髄増殖性腫瘍に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

臨床試験で他の種類の標的療法に対する検証が行われています。

幹細胞移植を伴う大量化学療法

幹細胞移植を伴う大量化学療法は、高用量の化学療法を実現する手段で、このようながん治療によって破壊された造血細胞を外部から補充します。まず患者さん自身またはドナーから採取した血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、それを凍結保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍して、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。

幹細胞移植;(図1):図は患者またはドナーから幹細胞を採取しているところである。腕の静脈から採血し、幹細胞を採取する装置を通過させる。残りの血液は反対の腕の静脈に戻す。(図2):図は医療提供者が患者に対し造血細胞を殺傷する治療を施しているところである。胸部のカテーテルから化学療法薬が投与されている。(図3):図は患者の胸部に挿入されたカテーテルから幹細胞を注入しているところである。



幹細胞移植。(ステップ1):ドナーの腕の静脈から血液を採取します。患者さん自身がドナーになる場合も、他人がその役割を果たす場合もあります。血液は幹細胞を採取する装置内を流れます。その後、血液は反対側の腕の静脈からドナーの体内に戻されます。(ステップ2):患者さんは造血細胞を殺傷する化学療法を受けています。放射線療法が実施される場合もあります(図には示されていません)。(ステップ3):患者さんは胸部の血管に留置されたカテーテルから幹細胞の注入を受けています。



この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから入手することができます。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験一覧のものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

 | 

慢性骨髄増殖性腫瘍の治療選択肢

慢性骨髄性白血病

PDQ慢性骨髄性白血病の治療に関する要約をご覧ください。

真性赤血球増加症

真性赤血球増加症に対する治療の目的は、過剰な血液 細胞の数を減少させることにあります。真性赤血球増加症の治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、真性赤血球増加症の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

原発性骨髄線維症

徴候症状のない原発性骨髄線維症の患者さんに対する治療は、注意深い経過観察となるのが通常です。

原発性骨髄線維症の患者さんには貧血の徴候や症状が起こる場合があります。通常、貧血に対しては、症状を和らげ生活の質を高めるために、赤血球輸血が行われます。加えて、以下による貧血治療も行われます:


他の徴候や症状がみられる原発性骨髄線維症の患者さんに対する治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、原発性骨髄線維症の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

本態性血小板血症

徴候症状がなく血小板数が許容範囲内にある60歳未満の患者さんに対する本態性血小板血症の治療は、注意深い経過観察となるのが通常です。それ以外の患者さんに対する治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、本態性血小板血症の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

慢性好中球性白血病

慢性好中球性白血病の治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、慢性好中球性白血病の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

慢性好酸球性白血病

慢性好酸球性白血病の治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、慢性好酸球性白血病の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

 | 

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、慢性骨髄増殖性腫瘍の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board. PDQ Chronic Myeloproliferative Neoplasms Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/myeloproliferative/patient/chronic-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389435]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

 |