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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

がん医療における栄養(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-01-08
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、がんの治療前、治療中、治療後に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

栄養療法

がん医療における栄養の概要

がんの患者さんにとって、良好な栄養は重要です。

栄養とは、食物を摂取し、それを使用して体の成長や、健康の維持、さらには組織の入れ替えを行う過程のことです。良好な栄養は、健康を維持するために重要です。がんの治療前、治療中、治療後に正しい種類の食事を摂ることができれば、患者さんはより快適かつ活動的に生活できるようになります。健康な食事とは、体が必要とする重要な栄養素ビタミンミネラル蛋白質、炭水化物、脂肪、水)を含む食べ物と飲み物を十分に摂取できる食事のことです。

健康の維持に必要な栄養素を摂取しない、または吸収できないと、栄養失調または栄養不良と呼ばれる状態になります。

本要約は、成人がん患者さんの栄養について書かれたものです。

がん治療中に健康な食事習慣を保つことは重要です。

栄養療法は、がんの患者さんが体重や体力を維持し、組織の健康を保ち、感染に抵抗するために必要な栄養素の摂取を補助する目的で実施されます。がんの患者さんに適した食事習慣は、通常の健康的な食事に関するガイドラインとはかなり異なる場合があります。

健康的な食事習慣を確保し適切な栄養を摂取することで、患者さんはがんの影響や治療に対処しやすくなります。がんの治療のなかには、患者さんの栄養状態が良好で食事によりカロリーと蛋白質を十分に摂取できている場合に、高い効果が得られるものもあります。また、栄養状態が十分な患者さんでは、予後回復の見込み)と生活の質の向上が見込まれます。

がんの出現によって体内における食物の利用に変化が生じる場合があります。

腫瘍のなかには、体内における特定の栄養素の利用方法に変化を及ぼす化学物質を作り出すものも存在します。影響を受ける栄養素としては蛋白質、炭水化物、脂肪があり、特にに発生した腫瘍では大きな影響が生じます。患者さんが十分な量を食べているように見えても、食べ物に含まれる栄養素の一部しか吸収できていない場合もあります。

がん自体やがん治療が原因で、栄養面に悪影響が及ぶ場合があります。

多くの患者さんは、がんやがん治療の影響のために十分な量の食べ物を摂取することができません。以下の種類のがん治療は、栄養に影響を及ぼします:


頭部、頸部、食道、胃、腸などががん治療の影響を受けた場合、健康を保つのに十分な栄養素を摂取することは非常に難しくなります。

摂食に影響を及ぼすがんの症状やがん治療の副作用には、以下のようなものがあります:


がんおよびがん治療は、味覚や嗅覚、食欲、十分な量の食物を摂取する能力、さらには摂取物から栄養素を吸収する能力に影響を及ぼします。そのため栄養失調(主要な栄養素の欠如により生じる病態)を引き起こすことがあります。栄養失調により、患者さんは衰弱、疲弊するほか、感染への抵抗力が低下したり、がん治療を続けられなくなったりするかもしれません。がんの増殖や転移に伴い、栄養失調も悪化することがあります。がんの患者さんにとって、蛋白質やカロリーの摂取不足は非常に一般的な問題です。十分な蛋白質とカロリーの摂取は、治癒の促進、感染への抵抗、エネルギーの供給に重要な要素です。

がんの患者さんでは、食欲不振と悪液質が栄養失調の一般的な原因です。

食欲不振(食欲が低下した状態)はがんの患者さんではよくみられる症状です。食欲不振は、がんの早期の段階で発生する場合もあれば、腫瘍が増殖または転移してから発生する場合もあります。患者さんによっては、がんと診断された時点ですでに食欲不振がみられる場合もあります。進行がんの患者さんでは、ほぼ全員が食欲不振になります。食欲不振は、がんの患者さんにみられる栄養失調の原因のなかで最も多くを占めています。

悪液質とは、食欲の減退、体重の減少、筋力の低下、全身の脱力を特徴とする病態です。膵臓、上部消化管の腫瘍を患っている患者さんによくみられます。悪液質は解消が困難であるため、がん治療の早期から悪液質に対する監視と対応を行うことが重要です。

がんの患者さんでは、食欲不振と悪液質が同時に起こることもあります。体重の減少は、カロリー摂取量の減少かカロリー消費量の増大、もしくはその両方が原因で起こります。

がんとその治療が原因で発生した体重の減少に対処することが重要です。

摂食に影響を及ぼし、体重減少の原因となるがんの症状や副作用を早期に治療することが重要です。栄養療法薬物投与は、どちらも健康な体重を維持するのに役立ちます。薬物は以下のような目的で使用されます:


  • 食欲増進。

  • 食物の消化促進。

  • 胃腸の筋肉の収縮を助ける(食物の流動性を保つ)。

  • 吐き気や嘔吐の予防と治療。

  • 下痢の予防と治療。

  • 便秘の予防と治療。

  • 口腔内の問題の予防と治療(ドライマウス、感染、疼痛、口内炎)。

  • 疼痛の予防と治療。

詳しい情報については、がん医療における栄養療法症状の治療のセクションをご覧ください。

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がん医療における栄養療法

がん治療の開始前にスクリーニングと評価を実施し、さらに治療中も評価を継続して行います。

スクリーニングは、症状がみられない患者さんの栄養リスクを調べるために実施されます。これにより患者さんが栄養不良になる可能性を調べ、そうなりそうな場合は予防策を講じることができます。

評価は、患者さんの栄養面での健全性を調べて、栄養療法を実施して問題を解消する必要があるかどうかを検討するためのデータを提供します。

スクリーニングと評価では以下のような点が検討されます:


  • 最近1年間の体重の変化。

  • 健康時と比べた食事の量や食べる物の種類の変化。

  • 食欲の低下、吐き気嘔吐下痢便秘、口内炎、ドライマウス、味覚や嗅覚の変化、痛みなど、摂食に影響を及ぼす症状の有無。

  • 歩行や日常生活活動(着替え、就寝と起床、着席と起立、入浴やシャワー、トイレの利用)を行う能力。

全身の健康と疾患の徴候を調べる身体診察も実施されます。医師は体重や体脂肪、筋肉量が減少していないか、あるいは体内に過剰に水分が溜まっていないかどうかについても調べます。

栄養面の問題を早期に発見し治療すれば、患者さんの予後(回復の見込み)を改善できる可能性があります。

早期の栄養スクリーニングと栄養評価は、患者さんががん治療の影響に対処するうえでの身体的な問題を特定するために有益です。体重が軽すぎる患者さんや栄養失調の患者さんは、栄養状態が良好な患者さんと同様の治療を遂行できないことがあります。早期に栄養上の問題を特定して治療しておけば、患者さんの体重を増加させる、あるいは減少を防ぐことが可能になるほか、治療による問題を軽減し、回復を促すことにもつながります。

栄養の専門知識を持った医療チームが、栄養面の問題を継続して監視します。

がんの治療中と回復期には、栄養サポートのチームが患者さんの栄養面での健康を確認します。このチームは以下の専門家から構成されます:


宗教的理由で特定の食べ物が食べられない患者さんは、がんの治療中と回復期にはその制限を免除してもらうように宗教上の指導者と話し合う必要があるでしょう。

治療中および回復期のがんの患者さんに対する栄養療法には、3つの主な目標があります。

治療中および回復期のがんの患者さんに対する栄養療法の主な目標は、不足した栄養を補い、良好な栄養状態を維持し、問題を予防することです。医療チームは栄養療法を通じて以下の内容を実施します:


  • 筋肉や骨の減少など、栄養上の問題を予防または治療する。

  • がん治療の副作用や栄養に影響を及ぼす問題を軽減する。

  • 患者さんの体力や活力を維持する。

  • 免疫系感染に抵抗する働きを補助する。

  • 体の回復と治癒を促す。

  • 患者さんの生活の質(QOL)を維持または向上させる。

がんの寛解期にある患者さんや治癒した患者さんにとっても、栄養状態を良好に保つことは重要です。

進行がんの患者さんに対する栄養療法の目標は、生活の質に寄与することです。

進行がんの患者さんに対する栄養療法の目標は以下の通りです:


  • 副作用を管理する。

  • 感染のリスクを減らす。

  • 体力や活力を維持する。

  • 生活の質を改善または維持する。

詳細については、進行がんにおける栄養のセクションをご覧ください。

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栄養ケアの種類

栄養サポートは、普通に食べ物を食べられない、または消化できない患者さんに栄養を供給するためのケアです。

できるだけ口から食物を食べることが理想です。しかし、がんやがん治療により発生した障害のため、口からは十分に食物を摂取できない患者さんもいます。食欲を増進させる薬物が用いられることがあります。

食べることができない患者さんに対する栄養サポートには、複数の方法があります。

口から十分に食物を摂取できない患者さんは、経腸栄養法に挿入したチューブを使用する)か非経腸栄養法(血流中に直接栄養を注入する)を受けます。栄養素は調整された液体、つまり水分、蛋白質、脂肪、炭水化物ビタミンミネラルなどを含有した液体の形で供給されます。

がん治療中に栄養サポートを行えば、がんの患者さんの生活の質を改善することができますが、栄養サポートの実施を決定する前にその害について検討を行うべきです。患者さんと医療提供者は、各種栄養サポートの有害性と有益性について話しあうべきです。(栄養サポートを行うかどうかの決定に関する詳しい情報については、下記の進行がんにおける栄養のセクションをご覧ください。)

経腸栄養法
経腸栄養法は経管栄養法とも呼ばれます。

経腸栄養法では、胃や小腸に留置したチューブから液体状の栄養素(栄養剤)を注入します。以下のような栄養チューブが用いられます:


  • 経鼻胃管は、鼻と咽頭から胃または小腸まで挿入します。この種類のチューブは、経腸栄養が数週間だけ必要な場合に用いられます。

  • 胃瘻管腹部の体表に作られた開口部から胃の中に挿入し、空腸瘻管は同様の開口部から小腸の中に挿入します。この種類のチューブは、経腸栄養が長期間にわたって実施される場合や、患者さんの鼻や咽頭にチューブを挿入できない場合などに用いられます。

栄養剤の種類は、患者さんに固有の必要性に基づいて決定されます。糖尿病など、特定の疾患を患っている患者さん用の栄養剤も存在します。栄養剤はチューブを介して持続点滴(継続注入)されることもあれば、1~2カップの栄養剤を1日に3~6回投与(ボーラス注入)されることもあります。

経腸栄養法は、少量なら口から食べられるものの、健康を保つのに十分な量は食べられない患者さんにも用いられます。チューブから注入される栄養によって、必要なカロリーと栄養素を補給します。

経腸栄養法は退院後も継続することができます。

経腸栄養法が退院後の患者さんのケアの一部となる場合は、患者さんと介護者に、自宅で栄養サポートケアを実施するための訓練を受けてもらいます。

非経腸栄養法
非経腸栄養法では、血流内に直接栄養が注入されます。

非経腸栄養法は、患者さんが口から食べ物を摂取できず、なおかつ経腸栄養法も行えない場合に用いられます。非経腸栄養法では、胃や腸での食べ物の消化は行われません。この方法では、静脈内に挿入されたカテーテル(細いチューブ)から栄養液が直接血液中に注入されます。この栄養液には、蛋白質、脂肪、ビタミン、ミネラルなどが含まれています。

非経腸栄養法は、5日間以上にわたる栄養サポートが必要な患者さんにのみ実施されます。

カテーテルは胸部か腕の静脈に留置されます。

中心静脈カテーテルは皮膚の下から上胸部の大きな静脈の中に留置されます。外科医が適切な場所にカテーテルを配置します。この種類のカテーテルは非経腸栄養法を長期間実施する場合に用いられます。

末梢静脈カテーテルは腕の静脈の中に留置されます。訓練を受けた医療スタッフが適切な場所に末梢静脈カテーテルを配置します。この種類のカテーテルは非経腸栄養法を短期間実施する場合に用いられます。

カテーテルが体内に入る部位に感染や出血がないか頻繁なチェックが行われます。

非経腸栄養サポートは退院後も継続することができます。

非経腸栄養法が退院後の患者さんのケアの一部となる場合は、患者さんと介護者に、自宅で栄養サポートケアを実施するための訓練を受けてもらいます。

非経腸栄養サポートの終了は、医師の監督下で実施するべきです。

非経腸栄養サポートを終了する際には、医療チームの監督の下でゆっくりと終了させるべきです。経腸栄養法や経口での食事に切り替える場合には、時間をかけて少しずつ非経腸栄養を減らし、終了させます。

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がんの治療が栄養に与える影響

手術と栄養
手術を行うと、体はより多くの栄養素とエネルギーを必要とするようになります。

手術の治癒や感染に対する防衛、手術からの回復などのために、通常よりも多くのエネルギーと栄養素が必要です。手術前に患者さんに栄養失調がみられる場合には、術後に傷の治りが遅れたり、感染症にかかったりするなどの問題が生じる可能性があります。こうした患者さんには、栄養療法を手術前に開始することもあります。

頭頸部、食道、胃、腸に対する手術は、栄養に影響を及ぼす可能性があります。

ほとんどのがん患者さんが手術を受けます。手術では、何らかの臓器の全てまたは一部を摘出する場合があり、これにより食べ物の摂取や消化に影響が生じることがあります。次の栄養上の問題は、特定の手術によって引き起こされます:


  • 頭頸部に対する手術で問題が発生しうる動作:
    • 咀嚼(噛むこと)。

    • 嚥下(飲み込むこと)。

    • 食べ物を味わうまたは匂いを嗅ぐこと。

    • 唾液の分泌。

    • 見ること。


  • 食道に対する手術の影響で、これらの臓器が本来果たす機能である食物の消化や栄養素の吸収が妨げられることがあります。

これらの手術はいずれも、正常に物を食べる能力に影響する可能性があります。手術自体に対する感情面でのストレスも、食欲に影響を与えることがあります。

栄養療法は手術により生じる栄養面での問題を軽減することができます。

栄養療法を用いれば、手術の副作用を緩和または軽減することができ、がんの患者さんが必要な栄養素を摂取しやすくなります。栄養療法には以下のものがあります:


手術後の患者さんには痛み、疲労、食欲低下などがよくみられます。これらの症状のために、患者さんによっては一時的に通常の食事を摂ることができなくなります。食物についてのアドバイスが役に立つかもしれません。以下のものがあります:


  • 炭酸飲料(ソーダなど)やガスを発生しやすい以下の食物を避ける:
    • マメ。

    • エンドウマメ。

    • ブロッコリー。

    • キャベツ。

    • 芽キャベツ。

    • ピーマン。

    • ダイコン。

    • キュウリ。


  • 揚げものにしたり、肉汁やマヨネーズ、サラダドレッシングを使ったりすればカロリーを増やすことができる。高カロリー・高蛋白の補助食品も利用できる。

  • 活力を与え、傷の治りをよくするために高蛋白で高カロリーの食べ物を選ぶ。この面で適しているのは以下の食物です:
    • 卵。

    • チーズ。

    • 全乳。

    • アイスクリーム。

    • ナッツ。

    • ピーナツバター。

    • 肉。

    • 鶏肉。

    • 魚。


  • 便秘が問題になっている場合は、繊維の摂取量を少しずつ増やし、十分な量の水を飲む。繊維の摂取に適した食べ物には以下のものがあります:
    • 全粒シリアル(オートミール、ブランなど)。

    • マメ。

    • 野菜。

    • 果物。

    • 全粒パン。

    詳細については、便秘のセクションをご覧ください。

化学療法と栄養
化学療法は全身の細胞に影響を及ぼします。

化学療法は増殖の速い細胞に作用し、がん細胞は急速に増殖および分裂するため、がんの治療に利用されます。しかし、もともと活発に増殖および分裂する性質を持つ正常な細胞も殺傷してしまいます。そういった細胞は口腔や消化管毛包に存在します。

化学療法は栄養に影響を及ぼす可能性があります。

化学療法の副作用として、摂食と消化の問題が発生する場合があります。複数の抗がんが投与された場合は、より多くの、またはより重度の副作用が発生するかもしれません。よくみられる副作用には以下のものがあります:


  • 食欲の減退。

  • 口腔内の炎症やただれ。

  • 味覚の変化。

  • 少量の食物を摂っただけで感じる満腹感。

  • 吐き気

  • 嘔吐

  • 下痢

  • 便秘。(詳細については、便秘のセクションをご覧ください。)

栄養療法は化学療法により生じる栄養面での問題を軽減することができます。

化学療法の副作用がみられる患者さんは、治療の間、通常どおりに物を食べることができず、正常な血球数を回復するのに必要な栄養素を摂取できません。栄養療法は、これらの副作用を治療し、化学療法からの回復を支援できるほか、治療の遅れや体重の減少を予防し、健康状態を維持することにも貢献します。栄養療法には以下のものがあります:


  • 食間に栄養補助ドリンクを飲む。

  • 経腸栄養法(経管栄養法)。

  • 1日を通して少量ずつ食べるなど食事方法の変更。

放射線療法と栄養
放射線療法では、治療対象となる部位のがん細胞と正常な細胞の両方に影響が及ぶ可能性があります。

放射線療法は、治療対象となる部位のがん細胞と正常な細胞の両方を殺傷します。損傷の程度は以下の要因に左右されます:


放射線療法は栄養に影響を及ぼす可能性があります。

消化器系に対する放射線療法では、栄養面の問題を引き起こす副作用がよく発生します。ほとんどの副作用は、放射線療法の開始から数週間後に発生し、放射線療法の終了後、数週間で消失します。しかし、副作用によっては、治療の終了後、数ヵ月または数年にわたって継続するものもあります。

よくみられる副作用の例は以下の通りです:


  • 頭頸部への放射線療法
    • 食欲の減退。

    • 味覚の変化。

    • 嚥下(ものを飲み込む動作)時の痛み。

    • ドライマウスまたは唾液の粘度増加。

    • 口内炎と歯ぐきの炎症。

    • 食道上部の狭窄と、それにより引き起こされる窒息、呼吸障害、嚥下障害。


  • 胸部への放射線療法
    • 食道の感染。

    • 嚥下障害(物を飲み込む動作の問題)。

    • 食道逆流(胃の内容物が食道に逆流すること)。


  • 腹部または骨盤への放射線療法
    • 下痢。

    • 吐き気。

    • 嘔吐。

    • 腸または直腸炎症

    • 腸に吸収される栄養素の量の減少。


放射線療法が原因で疲労が生じ、その結果として食欲の減退が起きる場合もあります。

栄養療法は放射線療法により生じる栄養面での問題を軽減することができます。

放射線療法中の栄養療法は、治療の間、体重の減少を予防し、創傷や皮膚の治癒を促し、健康状態を維持するために十分な蛋白質とカロリーの摂取を補助します。栄養療法には以下のものがあります:


  • 食間に栄養補助ドリンクを飲む。

  • 経腸栄養法(経管栄養法)。

  • 1日を通して少量ずつ食べるなど食事方法の変更。

骨髄移植の前処置として高線量放射線 療法を受ける患者さんは、栄養面の問題が多数生じる可能性があるため、栄養士による栄養サポートを受けるべきです。

詳細については、幹細胞移植と栄養のセクションをご覧ください。

生物学的療法と栄養
生物学的療法は栄養に影響を及ぼす可能性があります。

生物学的療法の副作用は、患者さん毎、生物医薬ごとに異なります。よくみられる栄養面での問題には以下のものがあります:


  • 発熱

  • 吐き気。

  • 嘔吐。

  • 下痢。

  • 食欲の減退。

  • 疲労。

  • 体重の増加。

栄養療法は生物学的療法により生じる栄養面での問題を軽減することができます。

生物学的療法の副作用に対して治療を行わないと、体重減少や栄養失調に陥る可能性があります。栄養療法は、生物学的療法を受けている患者さんが、治療に耐え、体重の減少を予防し、健康状態を維持するために必要な栄養を摂取する補助を行います。

幹細胞移植と栄養。
幹細胞移植を受ける患者さんには特別な栄養管理が必要です。

化学療法や放射線療法あるいは幹細胞移植に使用される医薬品の副作用が生じ、普段どおりの食事や消化ができなくなることがあります。よくみられる副作用には以下のものがあります:


  • 味覚の変化。

  • ドライマウスまたは唾液の粘度増加。

  • 口内炎や咽頭炎。

  • 吐き気。

  • 嘔吐。

  • 下痢。

  • 便秘。

  • 体重の減少と食欲不振。

  • 体重の増加。

栄養療法は幹細胞移植を行う患者さんにとって非常に重要です。

移植を受ける患者さんの感染のリスクは非常に高くなります。高用量化学療法や高線量の放射線療法を行うと、感染防御を担う白血球の数が減少してしまいます。移植を受けた患者さんは、特に感染を予防することが重要です。

移植を受けた患者さんの体が治療に耐えて回復し、体重を減少させずに感染症に抵抗して全身の健康状態を維持するには、十分な量の蛋白質とカロリーが必要です。また、食べ物に付着した細菌による感染を防ぐことも重要です。移植治療中の栄養療法には以下の内容が含まれます:


  • 生の野菜や果物には有害な細菌が付着している可能性があるため、調理加工済みの食べ物のみを摂取する。

  • 安全な食べ物の取り扱いについて指導を行う。

  • 移植の種類やがんの部位に対応した特別な食事を提供する。

  • 移植直後の数週間は、回復に必要なカロリー、蛋白質、ビタミンミネラル水分を患者さんが確実に摂取できるよう、非経腸栄養法(血流中に栄養を入れる)を実施する。

詳細については、白血球数の低下と感染のセクションをご覧ください。

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症状の治療

がんやがん治療による副作用の影響で普通に食事ができない場合は、患者さんが必要な栄養を摂取できるように変更を行うことがあります。場合により、食欲を増進させる薬物が用いられます。通常は、カロリー蛋白質、ビタミンミネラルを多く含む食べ物を摂取することが理想的です。しかしながら食事計画は、必要な栄養素と食べ物の好みを考慮して立てるべきです。以下では、がんやがん治療が原因で生じる一般的な症状をいくつか取り上げ、それらに対する治療法や管理法を示します。

食欲不振

食欲不振(食欲が低下した状態)は、がんの患者さんで最も多くみられる問題の1つです。落ち着いた快適な場所で食事をとり、定期的に運動をすることは食欲の向上につながります。食欲が低下したがんの患者さんには、以下のような対策を実施します:


  • 1日3回の食事の代わりに高蛋白で高カロリーの食べ物を少量ずつ1~2時間おきに食べる。以下のような高カロリー・高蛋白の食べ物が選択されます:
    • チーズとクラッカー。

    • マフィン。

    • プリン。

    • 栄養補助食品

    • ミルクセーキ。

    • ヨーグルト。

    • アイスクリーム。

    • プリンやミルクセーキなど牛乳を使う料理に粉ミルクを追加する。

    • デビルドエッグ(黄身に味付けしたゆで卵料理)や、クラッカーにデビルドハム(ペースト状でスパイス風味のハム)をのせたもの、クラッカーまたはセロリにクリームチーズやピーナツバターをのせたものなど、つまんで食べられる軽食。

    • チョコレート。


  • バター、脱脂粉乳、はちみつ、ブラウンシュガーなどで、食べ物にさらにカロリーと蛋白質を追加する。

  • 固形食の摂取が困難な場合は、液体の補助食品(栄養素を含んだ特別な飲み物)、スープ、牛乳、ジュース、ミルクセーキ、スムージーなどを飲む。

  • 1日に必要な量の3分の1のカロリーと蛋白質を朝食で摂取する。

  • カロリーや蛋白質を豊富に含む軽食を食べる。

  • 香りの良い食べ物を食べる。以下の方法で、強い匂いの発生を避ける:
    • ボイル用の袋や電子レンジ用スチーマーを使用する。

    • 焼き網を使って屋外で調理する。

    • 調理中に換気扇を回す。

    • 熱い食べ物ではなく、冷たい食べ物を選ぶ(湯気の中に匂いが立ちこめるため)。

    • 患者さんの部屋に入る前にふたを取って匂いをとばす。

    • 小さな扇風機を用いて食べ物の匂いを患者さんから遠ざける。

    • 持ち帰り用の食べ物を注文する。


  • 新しい食べ物やレシピ、味付け、スパイス、口当たりや厚さが異なる食物を試してみる。日によって食べ物の好き嫌いが変化する場合もある。

  • 事前にメニューを計画しておき、食事の準備を手伝ってもらう。

  • 空腹になったときにすぐに食べられるように、好きな食べ物を小分けにして保存しておく。

無乳糖ダブルチョコレートプリン、バナナミルクセーキ、フルーツアンドクリームなどの調理法については、NCIのウェブサイトに掲載されているがんの患者さんのための食事に関するヒント:治療前、治療中、治療後(英語)をご覧ください。この冊子の無料コピーについては、Cancer Information Service(1-800-422-6237:米国)に連絡してください。

味覚の変化

味覚の変化は、放射線療法、歯の問題、口内炎、感染、一部の薬剤などが原因となって生じます。化学療法を受けているがん患者さんの多くは、苦味やその他の味覚の変化を訴えます。特定の食べ物を突然嫌いになる場合もあります。そこから、食欲の減退や体重の減少、生活の質の低下が発生する可能性があります。部分的または完全に元の味覚が戻ることもありますが、治療が終了してから正常に戻るまでに1年かかる場合もあります。がんの患者さんの味覚の変化には以下の対策が役立ちます:


  • 1日に数回、少量の食事や健康に良い間食を摂る。

  • 決められた時間よりも空腹時に食事をする。

  • 好きな物を食べ、気分が最も良いときに新しい料理を試す。

  • 赤身の肉の代わりに、鶏肉、魚、卵とチーズを用いる。

  • 口内炎がなければ、柑橘系の食べ物(オレンジ、タンジェリン、レモン、グレープフルーツ)を試す。

  • 料理にスパイスやソースを加える。

  • 肉は、クランベリーソース、ゼリー、アップルソースなど甘いものと一緒に食べる。

  • 菜食主義者用の本や中華料理の本で肉を含まない高蛋白のレシピを探す。

  • 口腔内に金属味や苦味を感じるときは、砂糖を含まないレモン汁、ガム、ミントを使う。

  • 食べる前に水で口をすすぐ。

  • 家族や友人と一緒に食事をする。

  • 食事の準備は他の人にやってもらう。

  • 食べ物に金属味を感じる場合は、プラスチックの食器を用いる。

頭頸部に対して放射線療法を行っている間は、硫酸亜鉛の錠剤を内服すると、治療後、比較的早く味覚が回復します。

ドライマウス

ドライマウスは、しばしば頭頸部に対する放射線療法や特定の薬剤が原因で発生します。ドライマウスは、発声、味覚、嚥下能力、入れ歯や歯列矯正器具の使用に影響を及ぼします。また、歯や歯ぐきを洗浄する唾液の産生量が減ると、虫歯や歯肉疾患になるリスクが増大します。

ドライマウスの主な治療法は、十分な量の水分を摂取することです。ドライマウスを軽減する方法は、他にも以下のものがあります:


  • 口を湿らすため、水をいつも携帯する。

  • ソース、肉汁、バター、またはマーガリンを豊富に使用した汁気の多い食べ物を食べる。

  • 甘みまたは酸味の強い飲食品を取る(唾液の分泌促進のため)。

  • 氷片や冷菓(フローズングレープやアイスポップなど)を食べる。

  • ジュースの代わりにフルーツネクターを飲む。

  • ハードキャンディーをなめるか、ガムをかむ。

  • 飲み物はストローで飲む。

  • 少なくとも1日4回(毎食後と就寝前)は、歯(入れ歯も含む)を磨き、口をゆすぐ。 アルコールの入った口腔洗浄剤は使わないようにする。

詳しい情報については、PDQ化学療法と頭頸部放射線療法の口腔合併症に関する要約のドライマウスのセクションをご覧ください。

口内炎と口腔内の感染症

化学療法や放射線療法では、口内炎が生じる場合があります。これらの治療は、がん細胞のような急速に増殖する細胞に影響を及ぼします。口腔内の正常な細胞も急速に成長するため、これらのがん治療によって損傷を受ける可能性があります。口内炎は痛みがあり、感染や出血を起こして、飲食が困難になる場合があります。しかし、食べ物を適切に選び正しい口腔ケアを行っていけば、通常は容易に口から食べられるようになります。口内炎や感染がみられる患者さんには、以下のような対策が実施されます:


  • 以下のような咀嚼および嚥下しやすい軟らかい食べ物を食べる:
    • バナナ、リンゴソース、スイカなどの軟らかい果物。

    • モモ、洋ナシ、およびアプリコットのネクター。

    • カッテージチーズ。

    • マッシュポテト。

    • マカロニチーズ。

    • カスタードやプリン。

    • ゼラチン。

    • ミルクセーキ。

    • スクランブルエッグ。

    • オートミールなどの調理済みシリアル。


  • 以下の食べ物は避けるようにする:
    • 柑橘系の果物やジュース(オレンジ、タンジェリン、レモン、グレープフルーツなど)。

    • スパイスや塩味の効いた食べ物。

    • 生野菜、グラノーラ、トースト、クラッカーなどの粗くざらざらしたまたは乾燥した食べ物。


  • 野菜(ジャガイモ、エンドウマメ、ニンジンなど)や肉は滑らかになるまでミキサーにかける。

  • 食べ物に肉汁、だし、またはソースを加える。

  • 高カロリー・高蛋白の飲み物を飲んで、食事内容を補う。

  • 食べ物が軟らかく、噛みやすくなるまで調理する。

  • 料理は冷めてからまたは室温のものを食べる。熱いまたは暖かい食べ物は、敏感になっている口腔内を刺激する場合がある。

  • 食べ物を小さく切る。

  • 飲み物はストローで飲む。

  • 食べる前に氷片または風味のついたアイスポップで口を麻痺させる。

  • 少なくとも1日4回(毎食後と就寝前)は、歯(入れ歯も含む)を磨き、口をゆすぐ。

口内炎と口腔内の感染症に関する詳しい情報については、化学療法と頭頸部放射線療法の口腔合併症に関するPDQの要約の口腔粘膜炎感染症のセクションをご覧ください。

吐き気

がんの治療が原因で発生する吐き気は、患者さんの食事の量と内容に影響を及ぼすことがあります。がんの患者さんの吐き気に対処するには以下の対策が役立ちます:


  • がん治療の前に食べる。

  • 食事の前後に口をゆすぐ。

  • 胃にもたれる食べ物より、あっさりしていて軟らかく、消化の良い食べ物を食べる。 1日に数回、軽食を摂る。

  • 1日を通してクラッカー、スティックパン、トーストなどの乾燥した食べ物を食べる。

  • 1日を通して水分を少しずつゆっくり飲む。

  • 口の中に不快な味を感じたら、ペパーミントやレモンドロップなどのキャンディーをなめる。

  • 吐き気を引き起こしやすい食べ物を避ける。一部の患者さんでは、スパイスの効いた食べ物、脂肪分の多い料理、においの強い料理などが吐き気を引き起こすことがある。

  • 食後1時間は座るか上半身を起こして横になる。

  • 調理のにおいが届くまたは暖かすぎる部屋での食事は避ける。居住空間を適温に保ち、十分な換気を行う。

詳しい情報については、PDQの吐き気と嘔吐に関する要約をご覧ください。

下痢

下痢は、手術などのがん治療や精神的ストレスによって引き起こされます。下痢が長期間続くと、脱水(体内の水分が少ない)状態になったり体に必要なミネラルである塩分やカリウムが不足したりします。

がんの患者さんの下痢に対処するには以下の対策が役立ちます:


  • 下痢によって失われた塩分やカリウムを補うために、ブロス、スープ、バナナ、缶詰の果物などを食べる。 スポーツドリンクも有用です。

  • 1日を通して十分な量の水分を摂取する。熱い飲み物や冷たい飲み物よりも室温程度の飲み物の方が下痢を起こしにくくなる。

  • ゆるい排便がある度に1カップ以上の水分を摂取する。

  • 以下の食べ物は避けるようにする:
    • 脂肪分の多い料理、熱いまたは冷たい飲み物、カフェイン

    • 繊維を多く含む食べ物、特に乾燥マメやアブラナ科の野菜(ブロッコリー、カリフラワー、キャベツなど)。

    • 下痢の原因が特定されるまでの間、牛乳と乳製品。

    • ガスを生じる食べ物や飲み物(エンドウマメ、レンズマメ、アブラナ科の野菜、チューインガム、ソーダなど)。

    • ソルビトール(糖アルコール)を使用して作られた砂糖を含まないキャンディーやガム。


詳細については、脱水(水分不足)のセクションをご覧ください。

白血球数の低下と感染

白血球 の低下は、放射線療法や化学療法、もしくはがん自体が原因で発生する可能性があります。白血球数が低下している患者さんでは、感染のリスクが高くなります。がんの患者さんで白血球数が低下している場合の感染症予防には以下の対策が役立ちます:


  • 以下の食べ物は避けるようにする:
    • 生卵や生魚。

    • 古い、カビの生えたまたは傷んだ果物や野菜。

    • ふたの開いたビンや容器で売られている食物。

    • サラダバーやビュッフェ(外食時)。


  • 頻繁に手を洗い、細菌の繁殖を防ぐ。

  • 食べ物の解凍は冷蔵庫か電子レンジで行う。決して室温で解凍してはいけません。解凍後はすぐに食べ物を調理するようにする。

  • 熱い食べ物は冷めないように、冷たい食べ物は温度が上がらないようにする。

  • 肉、鶏肉、魚にはよく火を通す。

  • 残った食べ物は全て調理後2時間以内に冷蔵し、24時間以内に食べきる。

  • 食べ残しをしないように個別包装された食べ物を購入する。

  • 期限切れの食品を購入したり食べたりしない。

  • 缶詰食品で膨張したもの、へこんだもの、損傷のあるものは購入したり食べたりしない。

脱水(水分不足)

失われていく水分を補うために、体は毎日多くの水分摂取を必要とします。吐き気、嘔吐、痛みなどが長期間続くと、必要量の水分を摂取できるだけの十分な飲食が困難になることがあります。下痢が長期に及ぶと、体内の水分が不足します。脱水(体内の水分が足りない)状態の徴候として最初に現れるものの1つは、極度の疲労感です。がんの患者さんが脱水を予防するには以下の対策が役立ちます:


  • 1日に8~12カップの水分を摂取する。水やジュース、牛乳などを飲むか、アイスポップ、風味の付いた氷菓、ゼリーなどの水分を豊富に含む食品を食べるとよいでしょう。

  • ソーダ、コーヒー、お茶(熱いものと冷たいものの両方)などカフェインを含む飲み物を避ける。

  • 外出する際は水筒を携行する。喉が渇いてなくても水分を補給することが重要です。

  • 食間に多く水分をとる。

  • 吐き気や嘔吐の予防と治療に役立つ薬を使う。

便秘

がんの患者さんでは、便秘(週に排便が3回未満しかない状態)が非常によくみられます。便秘は以下のような原因により発生します:


  • 水分や繊維をほとんど含まない食事

  • 体を動かさずにいること。

  • 化学療法などのがん治療。

  • 吐き気や痛みなど、化学療法の副作用を治療するための特定の薬剤。

便秘の予防と治療はがんのケアの一部といえます。

便秘を予防するには、以下の対策を実施します:


  • 繊維を多く含む食べ物を食べる。一日に25~35グラムの繊維を摂取するのが理想です。食品のラベルに一食あたりの繊維の量が表示されています(下記に繊維を含む食品をいくつか記載しています)。腸内の各所に繊維が行き渡るように、毎日少しずつ繊維の摂取量を増やし、同時に十分な水分を摂取するようにします。

  • 毎日8~12カップの水分を摂取する。水、プルーンジュース、温かいジュース、レモネード、カフェインを含まないお茶は、非常に有用です。

  • 散歩や運動を定期的に行う。運動用の靴を履きましょう。

便秘を治療するには、以下の対策を実施します:


  • 繊維を多く含む食べ物を継続して摂取し、十分量の水分を摂取する。食事にふすまを加えてみる;最初の3日間は1日大さじ山盛り2杯とし、その後便秘が軽減されるまで毎日大さじ1杯ずつ増やしていきます。1日大さじ6杯までにしてください。

  • よく体を動かす。

  • 必要に応じて、市販の便秘薬を使用する。以下のものがあります:
    • 膨張性下剤(Citrucel、Metamucil、Fiberall、Fiber-Laxなど)。

    • 刺激性下剤(DulcolaxやSenokotなど)。

    • 便剤(ColaceやSurfakなど)。

    • 浸透圧性緩下剤(マグネシアミルクなど)。


  • 綿実油による浣腸や噴霧式の浣腸も役立つ。鉱物油などの潤滑剤は、体内での重要な栄養素の使用を妨げるため使用しないでください。

繊維の摂取に適した食べ物には以下のものがあります:


  • マメ(レンズマメなどの豆類)。

  • 野菜。

  • 冷たいシリアル(全粒またはブラン)。

  • 温かいシリアル。

  • 果物。

  • 全粒パン。

詳しい情報については、PDQの消化管の合併症に関する要約の便秘のセクションをご覧ください。

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進行がんにおける栄養

緩和ケアは、患者さんを悩ます症状を軽減し、生活の質を改善する手助けをします。

緩和ケアの目標は、重篤な疾患や生命を脅かす疾患のある患者さんの生活の質(QOL)を改善することにあります。緩和ケアでは、症状副作用の予防または治療、さらに疾患やその治療によって引き起こされる心理的、社会的、精神的な問題の予防または治療を行います。

進行がんの患者さんに対する緩和ケアには、栄養療法症状の治療セクションをご覧ください)や薬物療法が含まれます。

必要な栄養は進行がんの患者さんによって異なります。

一般的に進行がんの患者さんは食べ物を欲しがりません。患者さんは通常、軟食や透明の飲み物を好みます。嚥下障害がある患者さんには、薄い飲み物よりも濃い飲み物のほうが良いでしょう。患者さんはしばしば空腹感を全く感じなくなり、非常に少量しか食べ物を摂取しなくなる場合もあります。

進行がんの患者さんの場合、食べ物の制限はあまりありません。この段階では、十分な栄養摂取よりも、食事によって得られる喜びが重要です。食べ物によって問題が発生するほど、飲食できないからです。しかしながら、一部の患者さんでは特別な食事法が必要になります。例えば、腹部に影響するがんの患者さんでは、が塞がってしまわないように軟食をとるべきです。

栄養サポートの有益性と有害性は患者さんごとに異なります。

栄養サポートを実施するかどうかを決定する際、以下の質問に沿って検討することができます:


  • 患者さんとご家族の希望とニーズはどういったものか。

  • 患者さんの生活の質は改善されるか。

  • 見込まれる有益性がリスクと費用を上回っているか。

  • 事前指示書があるか。事前指示書は、患者さんが医学的な意思決定を実行できない状態になった場合に治療やケアを受けるかどうかについて、患者さん自身の希望を記載した法的書類です。事前指示書の1つにリビングウィルがあります。

がんの患者さんとその介護者には、十分な説明を受けた上で決断する権利があります。医療チームと登録栄養士は、進行がんの患者さんに栄養サポートを実施する有益性とリスクを説明することができます。ほとんどの場合、有益性よりも有害性のほうが大きく、特に非経腸栄養サポートではそれが顕著です。しかしながら、生活の質が良い状態を維持している患者さんでも、口から十分な量の食べ物や水分を摂れない場合は、経腸栄養法が適当となることがあります。進行がんで経腸栄養法を実施する有益性と有害性には以下のものがあります:

有益性
  • 患者さんの意識がより明確に保たれる。

  • 家族に安らぎをもたらす可能性がある。

  • 吐き気が軽減される可能性がある。

  • 患者さんが希望を抱くことができる。

有害性
  • 腹部にチューブを留置するための手術が必要になる。

  • 口内や咽頭唾液量が増加する場合がある。これにより、窒息や肺炎が発生することもあります。

  • 下痢便秘を引き起こす可能性がある。

  • 吐き気が生じる可能性がある。

  • 感染症の恐れがある。

  • 介護者の負担が増える。

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食べ物と薬物の相互作用

食べ物のなかには、一部の薬と一緒に摂取すると危険なものもあります。

がんの患者さんは、多くのを投与される場合があります。特定の食べ物と薬を一緒に摂取すると、薬の効果が低下または変化したり、生命を脅かす副作用が生じたりする恐れがあります。特定の抗がん剤で起こりうる食物との薬物相互作用の一部を以下の表に示します:

薬物と食べ物の相互作用

商品名 一般名 食べ物との相互作用
Targretin ベキサロテン グレープフルーツジュースが薬の作用を増強する可能性がある。
Folex メトトレキサート アルコールによって障害が起こる可能性がある。
Rheumatrex
Mithracin プリカマイシン カルシウムビタミンDを含む栄養補助食品が薬の作用を低下させる可能性がある。
Matulane プロカルバジン アルコールが頭痛、呼吸障害、皮膚の潮紅、吐き気嘔吐を引き起こす可能性があり、カフェイン血圧を上げる可能性がある。
Temodar テモゾロミド 食べ物によって薬の作用が遅延または低下する可能性がある。


食物と薬物の相互作用が起こる可能性については、担当の医師にご相談ください。

ハーブサプリメントのなかには、一部の薬や食べ物と一緒に摂取すると悪影響を及ぼすものがあります。

特定の食べ物や薬とハーブサプリメントを一緒に摂取すると、がん治療の効果が変化したり、生命を脅かす副作用が生じたりする恐れがあります。ハーブサプリメントががん治療に及ぼす影響については、担当の医師にご相談ください。

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がん生存者の栄養と生活習慣

がん生存者の方には特別な栄養管理が必要です。

全ての人にとって、健康な食事と運動は、健康を維持し、病気を予防するために欠かせない要素です。特にがん 生存者の方は晩期障害が起こるリスクやがんが再発するリスクがあるため、特別な健康管理が必要になります。いくつかの研究で、健康的な食事が肥満、心臓疾患、メタボリックシンドロームなどの晩期障害の予防に有用であることが示されています。さらに複数の研究者は、がん生存者における特定の食習慣と運動習慣が、がんの再発と新しいがんの発生を阻止するかどうかについて研究しています。

健康的な食習慣と生活習慣はがん生存者の生活の質を改善する場合があります。

複数の調査によると、多くのがん生存者の方はがん予防のための指針に従っておらず、日常生活の中で晩期障害のリスクを高める行動や晩期障害を悪化させる行動をとっています。健康を保つために行動を変える方法について指導する教育プログラムは、がん生存者の人々に有用となるでしょう。食事や運動、ストレス管理を対象とするプログラムは、がん生存者が変化を長続きさせる上で役立つことがよくあります。

がんに対する食事と生活習慣の影響については現在も研究が続けられています。

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がん予防における栄養

特定の食事に関する指針に従うことは、がんの予防に有用な場合があります。

American Cancer SocietyとAmerican Institute for Cancer Researchの両協会は、がんの予防に寄与する食事の指針を作成しています。両者の指針は類似しており、次のような内容を提示しています:


  • 植物由来の食事をとり、様々な果物や野菜を摂取すること。

  • 脂肪分の少ない食べ物を選ぶこと。

  • 塩分の少ない食べ物を選ぶこと。

  • 健康的な体重に調整し、維持すること。

  • 週の大半の日に、1日30分間の運動を行うこと。

  • アルコール飲料はほとんど、または全く飲まないようにすること。

  • 食べ物は安全に調理、保存すること。

  • あらゆる形態のタバコを使用しないこと。

乳がんや乳がんの予防に対する大豆の効果は現在研究中です。

以下のような研究結果が示されています:


  • 複数の研究では、大豆の摂取によって乳がんになるリスクが低下する可能性が示されています。

  • 大豆栄養補助食品の粉末や錠剤の摂取が、乳がんを予防する効果は示されていません。

  • 乳がんと診断された後、食事に大豆食品を取り入れることで、乳がんの再発が防止されるという結果は示されていません。

大豆には、体内でエストロゲンと似た作用を示す物質が含まれています。複数の研究では、増殖にエストロゲンを必要とする腫瘍を有する患者さんの乳がんに対する大豆の影響が調査されました。数件の研究により、大豆食品は健康的な食事の一部として適量を摂取するのであれば、乳がんの女性にも安全であることが示されています。

乳がんの生存者の方は、食事に大豆を取り入れるか否かを決める際に最新の情報を確認するようにしてください。

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栄養とがん医療についてさらに学ぶために

米国国立がん研究所

米国国立がん研究所 (NCI)が提供している栄養がん治療に関する情報については、がんへの対処法:身体的影響の管理(英語)をご覧ください。

栄養とがん予防に関するNCIの情報については、以下のPDQ要約を参照してください:


機関

栄養についての一般的な情報とその他の資源については、以下をご覧ください:



  • Academy of Nutrition and Dietetics(AND:米国栄養士会)

  • American Botanical Council(ABC:米国植物協議会)

  • American Cancer Society(ACS:米国がん協会)

  • American Institute for Cancer Research(AICR:米国がん研究協会)

  • American Society for Parenteral and Enteral Nutrition(ASPEN:米国静脈経腸栄養学会)

  • National Center for Complementary and Integrative Health(NCCIH:米国国立補完統合衛生センター)
      888-644-6226(NCCAM Clearinghouse)
      866-464-3615 (toll free TTY)
      nccih.nih.gov

  • Office of Dietary Supplements(ODS:栄養補助食品事務局)

書籍


  • American Cancer Society's Healthy Eating Cookbook: a Celebration of Food, Friends, and Healthy Living.3rd ed. Atlanta, GA: The American Cancer Society, 2005.

  • Bloch A, Cassileth BR, Holmes MD, Thomson CA, eds.: Eating Well, Staying Well During and After Cancer. Atlanta, GA: American Cancer Society, 2004.

  • Ghosh K, Carson L, and Cohen E: Betty Crocker's Living With Cancer Cookbook: Easy Recipes and Tips Through Treatment and Beyond. New York, NY: Hungry Minds, 2002.

  • Weihofen DL, Robbins J, Sullivan PA: Easy-to-Swallow, Easy-to-Chew Cookbook: over 150 Tasty and Nutritious Recipes for People Who Have Difficulty Swallowing. New York, NY: John Wiley & Sons, Inc., 2002.

  • Wilson JR: I-Can't-Chew Cookbook: Delicious Soft-Diet Recipes for People With Chewing, Swallowing, or Dry-Mouth Disorders. Alameda, Calif: Hunter House Inc., 2003.

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最新の臨床試験

NCI支援のがん臨床試験リストから、現在患者さんを受け入れている米国内の栄養失調栄養支援栄養療法についての支持療法と緩和ケアの試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、がんの治療前、治療中、治療後に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Supportive and Palliative Care Editorial Board. PDQ Nutrition in Cancer Care. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/appetite-loss/nutrition-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389440]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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