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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

悪性中皮腫の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2015-09-04
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Adult Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、悪性中皮腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

悪性中皮腫

悪性中皮腫についての一般的な情報

悪性中皮腫は、胸部または腹部の内側を覆う組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

悪性中皮腫は、胸膜(胸の表面を覆っている薄い組織層)または腹膜腹部の内側と大半の腹部臓器の外側を覆っている薄い組織層)から悪性がん細胞が発生してくる疾患です。悪性中皮腫は心臓や精巣にも形成されますが、まれです。

悪性中皮腫;図は、肺、心臓、胸膜、腹腔、精巣など、悪性中皮腫が発生しうる部位を示している。



悪性中皮腫は、肺、胸壁、腹部、心臓、精巣を覆う薄い組織層に生じます。



悪性中皮腫のリスクを高める要因にアスベストへの曝露があります。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。

悪性中皮腫を発症する人の大半は、アスベスト吸入したり飲み込んだりすることの多い環境で勤務または生活していた経験をもっています。しかし、アスベストに曝された後も、実際に悪性中皮腫を発症するまでには通常長い潜伏期間があります。アスベストの存在する環境で働いている人と暮らしていることも、悪性中皮腫のリスク因子です。

悪性中皮腫の徴候や症状には、息切れと肋骨の奥の痛みがあります。

このがんの患者さんは、胸部や腹部に液体が溜まることがあります。徴候症状は、この液体の貯留や悪性中皮腫が原因で起こることもあれば、別の病態が原因で起こることもあります。以下の問題がみられる場合は担当の医師にご相談ください:


  • 呼吸障害。

  • 咳。

  • 肋骨の奥の方の痛み。

  • 腹部の痛みや腫れ。

  • 腹部のしこり。

  • 便秘

  • 血栓による問題(本来起きるべきでない血液凝固)。

  • 原因不明の体重減少。

  • ひどい疲労感。

悪性中皮腫の発見と診断には、胸腔と腹腔の内部を調べる検査法が用いられます。

胸部の悪性中皮腫は肺がんとの鑑別が難しいことがあります。

胸部や腹膜の悪性中皮腫を診断するために、以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、アスベストへの曝露の有無、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 胸部X線 検査:胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

    胸部X線検査:図は患者さんがX線装置に背中を向けて立っている様子を示す。この検査では、X線を利用して胸部の臓器と骨の画像を撮影します。X線は患者さんの体内を通過してからフィルム上に到達します。
    
    


    胸部X線検査。この検査では、X線を利用して胸部の臓器と骨の画像を撮影します。X線は患者さんの体内を通過してからフィルム上に到達します。




  • CTスキャン(CATスキャン):胸部や腹部を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

  • 生検 :胸膜または腹膜から細胞や組織を採取して、それを病理医顕微鏡で観察して、がんの徴候がないか調べる検査法。

     細胞や組織の採取方法としては以下のものがあります:


    • 肺の穿刺吸引生検(FNA生検):細い針を用いて組織や体液を採取する手技。肺内部の異常組織や体液が存在する場所を特定するために、何らかの画像検査法が用いられます。通常は皮膚上を小さく切開して、そこから生検用の針を異常組織や体液のある場所まで挿入します。

      肺の穿刺吸引生検:図には、CT(コンピュータ断層撮影)装置の中を水平に移動する台の上に横になった患者さんと肺の断面のX線画像を映したモニターが示されている。この図にはまた、X線画像を参考にして(胸壁から肺の異常組織のある領域へと)生検用の針を挿入する位置を決定している医師の姿も描かれている。右側の小さな図には、生検針が異常組織のある領域に挿入された状態の胸腔および肺の側面像が示されている。
      
      


      肺の穿刺吸引生検。患者さんにはCT(コンピュータ断層撮影)装置の中を水平に移動する台の上に横になってもらい、この装置によって体の内部のX線写真を撮影します。このX線画像は、肺のどこに異常組織が存在するのかを特定するのに役立ちます。続いて生検針を胸壁から肺の異常組織のある領域まで挿入します。この針を通して少量の組織を採取し、これを顕微鏡で観察して、がんの徴候がないかを調べます。




    • 胸腔鏡検査 :隣り合う2本の肋骨の間を切開して、そこから胸腔鏡(観察用のライトとレンズを備えた細いチューブ状の器具)を胸腔内まで挿入する。

    • 開胸術 :隣り合う2本の肋骨の間を切開して胸腔内における疾患の徴候の有無を確かめる。

    • 腹腔鏡検査壁を小さく切開し、そこから腹腔鏡(観察用のライトとレンズを備えた細いチューブ状の器具)を腹腔内まで挿入する。

    • 開腹術:腹壁を切開して腹腔内における疾患の徴候の有無を確かめる。

    • 切開生検 :疾患の徴候を調べるために、皮膚を切開して組織を露出させ、切除する手技。

     採取された細胞や組織のサンプルに、以下のような検査を行います:


    • 細胞診 :細胞を顕微鏡で観察して異常の有無を調べる検査法。中皮腫の場合は、胸部や腹部に溜まった液体が採取されます。病理医がこの液体を観察して、がんの徴候を調べます。

    • 免疫組織化学検査 抗体を利用して、組織のサンプルに含まれる特定の抗原を調べる検査。この抗体には通常、放射性物質または色素が結合されており、その作用によって顕微鏡で観察したときに組織が明るく見えます。この種の検査法は、様々な種類のがんを判別するのに用いられます。

    • 電子顕微鏡 検査:組織サンプル中の細胞を高性能の顕微鏡で観察して、細胞に特定の変化がみられないかを調べる臨床検査。電子顕微鏡は、他の種類の顕微鏡よりも微小な対象を詳細に観察できます。


特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


  • がんの病期

  • 腫瘍の大きさ。

  • 手術によって腫瘍を完全に摘出できるかどうか。

  • 胸腔内または腹腔内に溜まった液体の量。

  • 患者さんの年齢。

  • 患者さんの活動水準。

  • 患者さんの健康状態(なかでも肺と心臓の状態)。

  • 中皮腫細胞の種類と顕微鏡で観察したときの外観。

  • 血液中の白血球数とヘモグロビンの量。

  • 患者さんの性別。

  • 新たに診断されたがんか、再発した(再び現れた)がんか。

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悪性中皮腫の病期

悪性中皮腫の診断がついた後には、がん細胞が体の他の部位に転移していないかを明らかにするために、さらに検査が行われます。

胸膜外または腹膜外へのがんの転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるには、がんの転移の有無を把握することが重要です。

病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:


  • CTスキャン(CATスキャン):胸部や腹部を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

  • PETスキャン(陽電子放射断層撮影):体内の悪性の 腫瘍 細胞を検出するための検査法。まず放射性のあるブドウ糖の溶液を少量だけ静脈内に注射します。その後、周囲を回転しながら体の内部を調べていくPETスキャナという装置を用いて、ブドウ糖が消費されている体内の領域を表す画像を作成していきます。悪性腫瘍細胞は、正常な細胞よりも活発でブドウ糖をより多く取り込む性質があるため、画像ではより明るく映し出されます。

  • 内視鏡超音波検査(EUS)内視鏡を体内に挿入して行われる検査法。内視鏡とは、観察用のライトとレンズを備えた細いチューブ状の器具のことです。内視鏡の末端部にはプローブが付いていて、これを用いて高エネルギーの音波(超音波)を体内の組織や臓器に反響させ、エコーを作り出します。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この検査法は内視鏡下超音波検査とも呼ばれます。EUSは、リンパ節またはその他の領域の穿刺吸引生検(FNA生検)の際の誘導法としても用いられます。

    超音波内視鏡下の穿刺吸引生検:超音波プローブと生検針を備えた内視鏡が口から食道内部へと挿入されている様子を示す。図にはまた、食道の周囲に存在するリンパ節と片方の肺に存在するがんも示されている。拡大図には、超音波プローブによってがんの転移したリンパ節の位置が特定され、食道付近のリンパ節の1つから生検針によって組織が採取されている様子が示されている。
    
    


    超音波内視鏡下の穿刺吸引生検。超音波プローブと生検針を備えた内視鏡が口から食道の内部へと挿入されています。プローブから出た音波が体の組織で反響することによってエコーが発生し、この情報を基にして食道付近のリンパ節のソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。このソノグラムは、リンパ節から組織を採取するために生検針を挿入する位置を決定するのに役立ちます。切除された組織は顕微鏡で観察され、がんの徴候がないか調べられます。




  • 肺機能検査(PFT):肺の機能を確認する検査。肺活量や肺に空気を出し入れする速さを測定します。また、呼吸時の酸素の消費量や二酸化炭素の排気量なども計測します。この検査は呼吸機能検査とも呼ばれます。

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:


  • 組織。がんは発生した場所から隣接する領域に拡がります。

  • リンパ系。がんは発生した場所からリンパ系に侵入して拡がります。がんはリンパ管を介して体内の他の部位へ移動します。

  • 血液。がんは発生した場所から血液に侵入して拡がります。がんは血管を介して体内の他の部位へ移動します。

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。


  • リンパ系。がんがリンパ系に侵入し、リンパ管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍転移性腫瘍)を形成します。

  • 血液。がんが血液中に侵入し、血管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍(転移性腫瘍)を形成します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類の腫瘍です。例えば、悪性中皮腫が脳に転移した場合、脳にできたがん細胞は、実際は悪性中皮腫の細胞です。この疾患は転移性悪性中皮腫であり、脳腫瘍ではありません。

悪性中皮腫では、以下のような病期が用いられます:
I期(限局期)

I期は、以下のようにIA期とIB期に分けられます:


  • IA期では、がんは胸部片側において胸壁の内側を覆っている胸膜に認められ、さらに両間の胸を取り囲んでいる胸膜または横隔膜の表面、もしくはその両方に認められる場合もあります。肺を覆う胸膜には拡がっていません。

  • IB期では、がんは胸部片側において胸壁の内側を覆っている胸膜とを覆っている胸膜に認められます。さらに、がんが両肺間の胸を取り囲んでいる胸膜または横隔膜の表面、もしくはその両方に認められる場合もあります。

II期(進行期)

II期では、がんは胸部片側において胸壁の内側を覆っている胸膜に認められ、さらに両間の胸を取り囲んでいる胸膜、横隔膜の表面、肺を覆っている胸膜にも認められます。さらに、がんは以下の部位のいずれかまたは両方に拡がっています:


III期(進行期)

III期のがんは、以下の条件のいずれかに該当します:

がんは胸部片側において胸壁の内側を覆っている胸膜に認められます。がんは以下の部位に拡がっている場合があります:


  • 間の胸を取り囲んでいる胸膜。

  • 横隔膜の表面。

  • 肺を覆っている胸膜。

  • 組織

  • 横隔膜。

がんは気管支が肺に入る箇所や気管食道に沿った領域のリンパ節、または肺と横隔膜の間や気管下方に位置するリンパ節に転移しています。

または

がんは胸部片側において胸壁の内側を覆っている胸膜に認められ、さらに両肺間の胸腔を取り囲んでいる胸膜、横隔膜の表面、肺を覆っている胸膜にも認められます。さらに、がんは以下の部位の1つ以上に拡がっています:


  • 肋骨と胸壁の胸膜の間にある組織

  • 両肺間の領域の脂肪。

  • 胸壁の軟部組織

  • 心嚢(心臓を覆う袋)。

また、がんは気管支が肺に入る箇所や気管と食道に沿った領域のリンパ節、または肺と横隔膜の間や気管下方に位置するリンパ節に転移している場合があります。

IV期(進行期)

IV期では、がんは体の片側または両側に認められ、手術では切除できません。胸部のあらゆる部位もしくは鎖骨の上方に位置するリンパ節にがんが転移している場合があります。さらに、がんは以下の1つ以上の状況で転移しています:


  • 横隔膜を貫通し腹膜腹部の内側と大半の腹部臓器の外側を覆っている薄い組織層)に達している。

  • 腫瘍と反対側の胸膜の組織に拡がっている。

  • 胸壁に拡がっているほか、肋骨に認められる場合もある。

  • 中央の臓器に転移している。

  • 脊椎に転移している。

  • 心嚢(心臓を包む袋)または心筋に転移している。

  • 脳、脊椎、甲状腺前立腺など遠隔部位に転移している。

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再発悪性中皮腫

再発 悪性中皮腫とは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は、胸部や腹部に起こることもあれば、体の他の部位に起こることもあります。

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治療選択肢の概要

悪性中皮腫の患者さんには様々な治療法が存在します。

悪性中皮腫の患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

標準治療として以下の3種類が用いられています:
手術

胸部の悪性中皮腫の治療には、以下のような手術法が用いられます:


  • 広範囲局所切除術:がん全体と周囲の正常組織の一部を切除する手術法。

  • 胸膜切除術と肺剥皮術:の表面を覆う組織と胸壁の表面を覆う組織の一部と、肺の外表面の一部を切除する手術法。

  • 胸膜肺全摘出術:片方の肺全体、胸壁の表面を覆う組織、横隔膜、および心嚢(心臓を包む袋状の組織)の表面組織を切除する手術法。

  • 胸膜癒着術化学薬品薬物を用いて2枚の胸膜(肺を覆う胸膜と胸壁を覆う胸膜)を互いに癒着させることによってその間の空間を埋める外科的手技。まず、この空間に溜まっている体液カテーテルを用いて体外に排出させ、次にこの空間の中に化学薬品か薬剤を注入していきます。このようにして胸膜間を癒着させることにより、胸腔内での体液の貯留を予防できます。

たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。

放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

化学療法

化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、もしくは胸腔や腹膜腔などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、薬はその領域にあるがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。併用化学療法は複数の抗がん剤を使用する治療法です。

腹腔内 温熱化学療法は、腹膜(腹部の内側と大半の腹部臓器の外側を覆っている組織)に拡がった中皮腫の治療に用いられています。外科医が確認できるがんを全て切除した後、抗がん剤を含む溶液を温めて、ポンプで腹腔の中から外へ循環させることで、残存したがんを死滅させます。抗がん剤を温めることで、より多くのがん細胞が死滅する可能性があります。

化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

詳しい情報については、悪性中皮腫に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

生物学的療法

生物学的療法は、患者さんの免疫系を利用してがんを撃退する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は生物療法や免疫療法とも呼ばれます。

標的療法

標的療法とは、特定のがん細胞を攻撃する薬物や物質を用いる治療法です。標的療法は一般に、化学療法や放射線療法に比べ、正常な細胞に及ぼす有害性が小さい療法です。モノクローナル抗体キナーゼ阻害剤は、悪性中皮腫の治療薬として研究されています。

モノクローナル抗体療法は、製造ラボにおいて1種類の免疫系細胞から作り出した抗体を使用するがん治療法です。これらの抗体は、がん細胞の表面上に存在する物質や、がん細胞の増殖を促進する物質を特定することができます。こうした抗体がそれぞれの標的物質に結合することにより、がん細胞の死滅、増殖の阻止、転移の抑止といった効果が得られます。モノクローナル抗体は点滴によって投与されます。単独で使用されることもありますが、薬や毒素、放射性物質などをがん細胞に直接送り届けるという用途でも用いられます。

キナーゼ阻害剤は、腫瘍の増殖に必要となる指令を妨害する標的療法薬の一種です。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験一覧のものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

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悪性中皮腫の治療選択肢

限局期の悪性中皮腫(I期)

悪性中皮腫が胸膜の1ヵ所にのみ存在する場合、以下の治療法が考えられます:


胸腔内の数ヵ所を侵している限局性の悪性中皮腫では、以下のいずれかの治療が行われます:


悪性中皮腫腹膜に存在する場合、以下の治療法が考えられます:


NCI支援のがん臨床試験リストから、限局期悪性中皮腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

進行期の悪性中皮腫(II期、III期、IV期)

進行期悪性中皮腫が胸部に存在する場合は、以下のいずれかの治療が行われます:


進行期悪性中皮腫腹膜に存在する場合は、以下のいずれかの治療が行われます:


  • 腫瘍を切除する手術と、その後の腹腔内 温熱化学療法

  • 腫瘍を縮小して液体の貯留を防ぐために腹膜内に直接抗がん剤を注入する化学療法。

NCI支援のがん臨床試験リストから、進行期悪性中皮腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

再発悪性中皮腫

再発 悪性中皮腫の治療では、以下のいずれかが行われます:


NCI支援のがん臨床試験リストから、再発悪性中皮腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、悪性中皮腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board. PDQ Malignant Mesothelioma Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/mesothelioma/patient/mesothelioma-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389166]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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