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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

小児軟部肉腫の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-07-06
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Pediatric Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、小児軟部肉腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

小児軟部肉腫 小児胞巣状軟部肉腫 小児血管肉腫 小児線維形成性小円形細胞腫瘍 小児線維肉腫 小児平滑筋肉腫 小児脂肪肉腫 小児神経線維肉腫 小児滑膜肉腫 隆起性皮膚線維肉腫

小児軟部肉腫についての一般的な情報

小児軟部肉腫は、軟部組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

身体を構成する軟部組織は、その他の組織や臓器をつなぎ、支え、包み囲むという役割を果たしています。軟部組織としては以下のものがあります:


軟部肉腫は体内のあらゆる部位に発生します。小児の場合、腫瘍の発生部位としては腕、脚、体幹(胸部および腹部)が最も多くなっています。

軟部肉腫;図は、軟部肉腫が発生する様々な組織として、リンパ管、血管、脂肪、筋肉、腱、靱帯、軟骨、神経を示している。



軟部肉腫は、筋肉、腱、脂肪、血管、リンパ管、神経、関節周囲の組織などの軟部組織に発生します。



軟部肉腫は小児にも成人にも発生します。

小児の軟部肉腫は、治療に対する反応が様々で、成人の軟部肉腫と比べて予後が良好な場合もあります。(成人の治療に関する詳しい情報については、PDQの成人軟部肉腫の治療に関する要約をご覧ください。)

特定の疾患や遺伝性障害があると、小児軟部肉腫のリスクが高くなる可能性があります。

病気になるリスクを増大させるものは、全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。

小児軟部肉腫のリスク因子となる遺伝性の 障害として、以下のものがあります:


この他にも以下のようなリスク因子があります:


小児軟部肉腫の徴候として最もよくみられるのは、軟部組織における痛みを伴わないしこりや腫れです。

肉腫は痛みを伴わない皮膚の下のしこりとして出現することがあり、多くは腕、脚、または体幹に発生します。初期の段階ではそれ以外の徴候症状は現れない可能性があります。肉腫が大きくなって周辺の臓器、神経、筋肉、血管などを圧迫するようになると、痛みや筋力低下のような徴候や症状が現れる場合があります。

ただし、他の病態が原因で同様の徴候や症状が生じる場合もあります。これらの問題がお子さんに1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください。

小児軟部肉腫の発見および診断では、診断検査が行われます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • X線 検査:X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、胸部、腹部、腕、脚などの体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

    腹部の磁気共鳴画像法(MRI):小児は図のように台に横たわり、この台がMRI装置内を水平に移動するうちに体内の画像が撮影される。小児の腹部に置かれたパッドは画像をより鮮明にするためのもの。
    
    


    腹部の磁気共鳴画像法(MRI)。小児の患者さんは台に横たわり、この台がMRI装置内を水平に移動するうちに体内の画像が撮影されます。小児の腹部に置かれたパッドは画像をより鮮明にするためのものです。




  • CTスキャン(CATスキャン):胸部や腹部などの体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像は、X線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

    腹部のコンピュータ断層撮影(CTスキャン):図のように小児は台の上に横たわり、この台がCT装置内を水平に移動するうちに腹部のX線写真が撮影される。
    
    


    腹部のコンピュータ断層撮影(CTスキャン)。小児の患者さんは台の上に横たわり、この台がCTスキャナ内を水平に移動するうちに腹部のX線写真が撮影されます。




  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。

検査で軟部肉腫が存在する可能性が示された場合には、生検が行われます。

生検は以下のいずれかの方法によって行われます:


  • コア針生検 :太い針を用いて組織を採取する。この処置では、組織へ針を進めるために超音波、CTスキャン、またはMRIが用いられる場合があります。

  • 切開生検 :しこりの組織の一部を採取する。

  • 摘出生検 :しこりの組織全体または正常にみえない組織の領域を摘出する。切除された組織は病理医顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。摘出生検は、皮膚の表面付近にある比較的小さな腫瘍を完全に摘出するという目的で実施されることもあります。生検後にがん細胞が残存することがあるため、この種の生検が使用されるのはまれです。がん細胞が残存していると、がんが再発したり、体の他の部位に転移したりする可能性があります。

     摘出生検に先立って腫瘍のMRIを行います。これにより原発腫瘍の位置を明らかにするほか、その後に行われる手術や放射線療法のガイドとして利用する場合もあります。


生検で針を刺したり切開したりすることが、後に腫瘍を切除する手術の成否に影響する可能性があります。なるべく、腫瘍の切除を担当する外科医が、生検の計画段階から関与するべきです。

最善の治療を計画するために、生検時に採取する組織サンプルの大きさは、軟部肉腫の種類の判別と他の臨床検査の実施が十分可能な大きさでなければなりません。原発腫瘍リンパ節、または他の腫瘍が存在しうる領域から、組織のサンプルを採取します。切除された組織を病理医が顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べ、 腫瘍の種類と悪性度を判定します。腫瘍の悪性度は、顕微鏡で観察したときのがん細胞の外観の異常さと、細胞分裂の速さに基づいて判定されます。通常、高悪性度と中悪性度の腫瘍は、低悪性度の腫瘍より速く増殖して拡がります。

軟部肉腫の診断は困難な場合があるため、軟部肉腫の診断に熟練した病理医が組織サンプルを診る必要があります。

組織のサンプルの臨床検査では、以下のうち1つ以上が実施されることがあります:


  • 分子検査 :組織や血液、その他の体液のサンプルに含まれる特定の遺伝子や蛋白などの分子を調べる臨床検査。分子検査は生検などの他の検査とともに実施されることもあり、一部のがんの診断に利用されます。分子検査では、一部の軟部肉腫で生じる特定の遺伝子や染色体の変化を調べます。

  • 逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査:特殊な化学物質を用いて組織サンプル中の細胞を調べ、特定の遺伝子の発現に変化がないかを確認する臨床検査。遺伝子の発現によって、体の組織や臓器の構造、機能、監視に必要な特定の蛋白が作られます。この検査は、腫瘍の種類を特定するために行われます。

  • 細胞遺伝学的分析骨髄や血液、羊水、腫瘍などの組織のサンプルに含まれる細胞を顕微鏡で観察し、染色体に変化があるかどうかを調べる臨床検査。蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)は細胞遺伝学的分析の一種です。

  • 免疫細胞化学検査抗体を利用して、細胞のサンプルに含まれる特定の抗原(マーカー)を調べる臨床検査。この抗体には通常、酵素または蛍光色素が結合されており、その作用によって対象のマーカーを持つ細胞が顕微鏡で観察できるようになります。この種の検査法は、様々な種類の軟部肉腫を判別するのに用いられることがあります。

軟部肉腫には様々な種類があります。

肉腫は種類ごとに、細胞を顕微鏡で観察したときの外観が異なります。軟部組織の腫瘍は、最初の発生源となった軟部組織細胞の種類に応じて分類されています。

本要約は、以下の種類の軟部肉腫について書かれたものです:

脂肪組織腫瘍

  • 脂肪肉腫 。これは脂肪細胞のまれながんです。通常、脂肪肉腫は皮膚のすぐ下の脂肪層で発生します。小児と青年における脂肪肉腫は、ほとんどが低悪性度です(ゆっくり増殖して拡がる傾向があります)。

     脂肪肉腫には、いくつかの異なった種類があります。粘液型脂肪肉腫は通常、低悪性度で治療によく反応します。粘液型脂肪肉腫の細胞には、一般に転座(1つの染色体の一部が別の染色体の一部と入れ替わる変化)と呼ばれる特定の遺伝子変異がみられます。粘液型脂肪肉腫の診断を下すために、この遺伝子変異がないか、腫瘍細胞を調べます。多形性脂肪肉腫は、通常は高悪性度(増殖して拡がるのが速い)で、治療に対する反応がよくない傾向があります。


骨軟骨腫瘍

骨軟骨腫瘍には骨細胞と軟骨細胞が混在しています。骨軟骨腫瘍には、以下の種類があります:


  • 骨外性間葉性軟骨肉腫。この種の骨軟骨腫瘍は、若年成人にみられることが多く、頭頸部に発生します。

  • 骨外性骨肉腫。この種の骨軟骨腫瘍は、小児や青年では非常にまれです。治療後に再発しやすく、に転移することがあります。

線維(結合)組織腫瘍

線維(結合)組織腫瘍には、以下の種類があります:


  • デスモイド型線維腫症類腱腫または侵襲性線維腫症とも呼ばれます)。この線維組織腫瘍は、低悪性度(増殖がゆっくりしている傾向がある)です。周辺組織で再発することがありますが、通常は体の遠隔部位に転移することはありません。まれに、治療を行わなくとも腫瘍が消失することもあります。

      大腸腺腫性ポリポーシスAPC)遺伝子に変異がある小児では、ときに類腱腫がみられることがあります。この遺伝子の変異は、家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)を引き起こします。FAPは、遺伝性疾患の1つで、多くのポリープ粘膜にできる腫瘍)が結腸直腸の内壁にできます。遺伝カウンセリング(遺伝性疾患や遺伝子検査が必要となる可能性について、訓練を受けた専門家との話し合い)が必要な場合があります。


  • 隆起性皮膚線維肉腫 。これは皮膚の深層に発生するまれな腫瘍で、小児と成人のいずれにもみられます。この腫瘍細胞には、転座(1つの染色体の一部が別の染色体の一部と入れ替わる変化)と呼ばれる特定の遺伝子変異がみられます。隆起性皮膚線維肉腫の診断を下すために、この遺伝子変異がないか、腫瘍細胞を調べます。

  • 線維肉腫

     小児や青年では、2種類の線維肉腫がみられます:


    • 乳児線維肉腫(先天性線維肉腫とも呼ばれます)。この種の線維肉腫は、4歳以下のお子さんにみられます。特に乳児に生じることが多く、出生前の超音波検査で発見されることもあります。この腫瘍は、しばしば大きくなり、急速に成長しますが、体の遠隔部に転移することはまれです。この腫瘍細胞には、一般に転座(1つの染色体の一部が別の染色体の一部と入れ替わる変化)と呼ばれる特定の遺伝子変異がみられます。乳児線維肉腫の診断を下すために、この遺伝子変異がないか、腫瘍細胞を調べます。

    • 成人型線維肉腫。これは、成人にみられるものと同じ種類の線維肉腫です。この腫瘍細胞には、乳児線維肉腫にみられる遺伝子変異がありません。詳しい情報については、PDQ成人軟部肉腫の治療に関する要約をご覧ください。


  • 炎症性筋線維芽細胞性腫瘍。これは、小児と青年のいずれにもみられる線維性組織腫瘍です。治療後に再発しやすく、まれに体の遠隔部位に転移することがあります。これらの腫瘍の約半数で特定の遺伝子変異が確認されています。

  • 低悪性線維粘液性肉腫。これは増殖の遅い腫瘍で、若年成人や中年の成人に発生します。この腫瘍細胞には、一般に転座(1つの染色体の一部が別の染色体の一部と入れ替わる変化)と呼ばれる特定の遺伝子変異がみられます。低悪性線維粘液性肉腫の診断を下すために、この遺伝子変異がないか、腫瘍細胞を調べます。この腫瘍は、治療後何年も経過してから再発することがあり、肺や胸壁の表面に転移する場合があります。生涯にわたって経過観察を受ける必要があります。

  • 粘液線維肉腫。これは、小児にみられる頻度が成人より少ないまれな線維性組織腫瘍です。

  • 硬化性類上皮線維肉腫。これはまれな線維性組織腫瘍で、治療後数年してから、再発し他の部位に転移することがあります。長期間の経過観察が必要です。

骨格筋腫瘍

骨格筋は、骨に付着しており、体の動きを助けています。


  • 横紋筋肉腫 。横紋筋肉腫は、14歳以下の小児に最も多くみられる小児軟部肉腫です。詳しい情報については、PDQの小児横紋筋肉腫の治療に関する要約をご覧ください。

平滑筋腫瘍

平滑筋は、血管のほか、膀胱、および子宮のような中空の内蔵の内側を覆っています。


  • 平滑筋肉腫 。この平滑筋腫瘍は、HIVに感染したかAIDSを発症した小児患者さんにみられるエプスタイン-バーウイルスと関係があります。遺伝性網膜芽細胞腫生存者では、網膜芽細胞腫の初回治療から何年か経過している場合でも、二次がんとして平滑筋肉腫が発生することもあります。

いわゆる線維組織球性腫瘍

  • 叢状線維組織球腫瘍 。これは、まれな腫瘍で、通常は小児や若年成人に発生します。通常、この腫瘍は、腕、手、または手首の皮膚の表面または直下に痛みを伴わない腫瘍として現れます。まれに、周辺のリンパ節または肺に転移することがあります。

末梢神経系腫瘍

末梢神経系腫瘍には以下の種類があります:


  • 外胚葉性間葉腫 。これは、神経鞘(脳や脊髄以外の神経を保護している被覆)に発生する増殖の速いまれな腫瘍です。外胚葉性間葉腫は頭頸部、腹部、会陰陰嚢、腕、脚に発生することがあります。

  • 悪性末梢神経鞘腫瘍 。これは神経鞘にできる腫瘍です。悪性末梢神経鞘腫瘍のお子さんでは、神経線維腫症1型(NF1)と呼ばれるまれな遺伝性疾患がみられることもあります。この腫瘍は、低悪性度である場合も高悪性度である場合もあります。

  • 悪性トリトン腫瘍。これらのは非常にまれな増殖の速い腫瘍で、ほとんどがNF1を患っている小児の患者さんにみられます。

周皮細胞(血管周囲)腫瘍

周皮細胞腫瘍は血管を取り囲む細胞に発生します。


  • 筋周皮腫。乳児血管周皮腫は筋周皮腫の一種です。診断時に1歳未満の小児では、良好な予後が得られる場合があります。1歳を超える患者さんでは、乳児血管周皮腫がリンパ節や肺などの他の部位に転移している可能性が高くなります。

起源不明の腫瘍

起源不明の腫瘍(最初に腫瘍が発生した部位が不明のもの)には、以下の種類があります:


  • 胞巣状軟部肉腫 。これは、臓器や他の組織を接続して取り囲む軟部支持組織から発生するまれな腫瘍です。増殖が遅い腫瘍もありますが、診断時に他の部位へ転移していることもあります。胞巣状軟部肉腫では、腫瘍の大きさが5cm以下の場合、または手術により腫瘍が完全に切除される場合、予後はより良好となる可能性があります。この腫瘍細胞には、一般に転座(1つの染色体の一部が別の染色体の一部と入れ替わる変化)と呼ばれる特定の遺伝子変異がみられます。胞巣状軟部肉腫の診断を下すために、この遺伝子変異がないか、腫瘍細胞を調べます。

  • 軟部組織明細胞肉腫 。これは、腱(筋肉を骨または体の他の部位とつないでいる丈夫な線維性の索状組織)に発生する増殖の遅い軟部組織腫瘍です。明細胞肉腫が最も多くみられるのは、足、かかと、足首の深部組織です。この腫瘍は周辺のリンパ節に拡がることがあります。この腫瘍細胞には、一般に転座(1つの染色体の一部が別の染色体の一部と入れ替わる変化)と呼ばれる特定の遺伝子変異がみられます。軟部組織明細胞肉腫の診断を下すために、この遺伝子変異がないか、腫瘍細胞を調べます。

  • 線維形成性小円形細胞腫瘍 。この腫瘍は男児に最も多くみられ、腹部や骨盤のほか、精巣の周辺組織に発生します。線維形成性小円形細胞腫瘍は、肺や体の他の部位に転移することもあります。この腫瘍細胞には、一般に転座(1つの染色体の一部が別の染色体の一部と入れ替わる変化)と呼ばれる特定の遺伝子変異がみられます。線維形成性小円形細胞腫の診断を下すために、この遺伝子変異がないか、腫瘍細胞を調べます。

  • 類上皮肉腫。まれな肉腫で、通常は増殖がゆっくりした硬いしこりとして軟部組織の深部に発生し、リンパ節に転移することもあります。

  • 腎外性(頭蓋外)ラブドイド腫瘍肝臓腹膜のような軟部組織にみられる増殖が速いまれな腫瘍です。通常は、新生児を含む低年齢小児にみられますが、年長の小児や成人にみられることもあります。ラブドイド腫瘍SMARCB1と呼ばれる腫瘍抑制遺伝子に起こる変異に関連している可能性があります。この種の遺伝子は細胞増殖の制御に関与する蛋白を作ります。SMARCB1遺伝子の変異は遺伝する(親から子に受け継がれる)ことがあります。遺伝カウンセリング(遺伝性疾患や遺伝子検査が必要となる可能性について、訓練を受けた専門家との話し合い)が必要な場合があります。

  • 骨外性粘液型軟骨肉腫。まれな軟部肉腫で、小児や青年にみられることがあります。時間とともに、リンパ節や肺などの体の他の部位に転移する傾向があります。この腫瘍細胞には、多くの場合に転座(1つの染色体の一部が別の染色体の一部と入れ替わる変化)と呼ばれる遺伝子変異がみられます。骨外性粘液型軟骨肉腫の診断を下すために、この遺伝子変異がないか、腫瘍細胞を調べます。この腫瘍は、治療後、何年もしてから再発することがあります。

  • 血管周囲類上皮細胞腫瘍(PEComas)良性の(がんではない)PEComasは、結節性硬化症と呼ばれる遺伝性疾患の小児にみられることがあります。この腫瘍は胃、腸、肺、女性生殖器、泌尿生殖器系の臓器に発生します。

  • 原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)/骨外性ユーイング腫瘍。詳しい情報については、PDQのユーイング肉腫の治療の要約をご覧ください。

  • 滑膜肉腫 。滑膜肉腫は、小児や青年によくみられる種類の軟部肉腫です。通常は、腕や脚の関節部周辺の組織に滑膜肉腫がみられますが、体幹、頭部、または頸部に発生することもあります。この腫瘍細胞には、一般に転座(1つの染色体の一部が別の染色体の一部と入れ替わる変化)と呼ばれる特定の遺伝子変異がみられます。腫瘍が大きいほど、肺などの体の他の部位に転移するリスクが高くなります。10歳未満のお子さんや腫瘍の大きさが5cm以下の患者さんでは、予後が良好です。

  • 未分化または分類不能の肉腫。これらの腫瘍は通常、骨に付着して体の動きを助けている筋肉に発生します。
    • 未分化多形肉腫/悪性線維性組織球腫(高悪性度)。この種の軟部組織腫瘍は、過去に受けた放射線療法の照射部位に発生したり、網膜芽細胞腫の小児における二次がんとして発生したりすることがあります。通常、この腫瘍は腕や脚にみられ、体の他の部位へ転移することもあります。骨悪性線維性組織球腫に関する詳しい情報については、PDQの骨肉腫および骨悪性線維性組織球腫の治療に関する要約をご覧ください。


血管腫瘍

血管腫瘍には、以下の種類があります:


  • 軟部組織の血管肉腫 。軟部組織の血管肉腫は、体の各部で血管やリンパ管に発生する増殖の速い腫瘍です。ほとんどの血管肉腫は、皮膚内または皮膚のすぐ下に存在します。より深部の軟部組織では、肝臓や脾臓、肺に生じることがあります。小児では非常にまれであり、ときに皮膚または肝臓に複数の腫瘍がみられることもあります。ごくたまに、乳児血管腫が軟部組織の血管肉腫になることがあります。(詳しい情報については、PDQの小児脈管腫瘍の治療の要約をご覧ください。)

  • 類上皮血管内皮腫。類上皮血管内皮腫は小児に発生することがありますが、最もよくみられるのは30~50歳の成人においてです。多くの場合は、肝臓、肺、骨に生じます。増殖が速い場合も遅い場合もあります。3分の1の症例では、腫瘍が体の他の部位に非常に速く拡がります。(詳しい情報については、PDQの小児脈管腫瘍の治療の要約をご覧ください。)

この要約に含まれていない種類の軟部肉腫に関する情報については、以下のPDQ要約をご覧ください:


特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後(回復の見込み)と治療選択肢は、以下により左右されます:


  • 軟部肉腫の種類。

  • 腫瘍の悪性度と大きさ、腫瘍が最初に発生した身体部位、腫瘍が存在する皮膚下の深さ、腫瘍が他の部位に転移しているかどうか。

  • 切除術の後に残存している腫瘍の量。

  • 腫瘍の治療に放射線療法が用いられたかどうか。

  • 患者さんの年齢と性別。

  • 新たに診断されたがんか、再発した(再び現れた)がんか。

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小児軟部肉腫の病期

小児軟部肉腫の診断がついた後には、他の部位へのがん細胞の転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がん軟部組織内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。小児軟部肉腫の病期分類には2つの方法が用いられます(下記を参照)。

治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。

病期分類の過程では、以下のような手技が用いられることがあります:


  • センチネルリンパ節生検 :センチネルリンパ節生検は、がんがリンパ節に転移しているかどうかを調べるために実施されます。センチネルリンパ節とは、腫瘍からのリンパ液の流れを最初に受けるリンパ節のことです。これは、腫瘍中のがん細胞が最初に転移する可能性の高いリンパ節です。ごく少量の放射性物質や青色の色素が腫瘍の付近に注入されます。すると、この放射性物質や色素は、リンパ を通ってリンパ節に流れ込みます。そうして、放射性物質や色素が最初に到達したリンパ節が切除されます。切除された組織病理医顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。そこでがん細胞が発見されなければ、それ以上のリンパ節の切除が不要になる場合もあります。この手技は、類上皮肉腫および明細胞肉腫に用いられます。

  • PETスキャン:PETスキャンは体内の悪性腫瘍細胞を検出するための検査法です。まず、放射性ブドウ糖(グルコース)の溶液を少量だけ静脈内に注射します。その後、周囲を回転しながら体の内部を調べていくPETスキャナという装置を用いて、ブドウ糖が消費されている体内の領域を示す画像を作成していきます。悪性腫瘍細胞は、正常な細胞よりも活発でブドウ糖をより多く取り込む性質があるため、画像ではより明るく映し出されます。この検査法は陽電子放射断層撮影(PET)スキャンとも呼ばれます。

  • PET-CTスキャン:PETスキャンによる画像とコンピュータ断層撮影(CT)による画像を組み合わせる手法。PETスキャンとCTスキャンが同じ機械で同時に行われます。この2つのスキャン画像を組み合わせて、それぞれ単独の検査を実施した場合より鮮明な画像を作り出します。

軟部肉腫の病期を明らかにするために、これらの検査法や手技と初回手術の結果が使用されます。

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:


  • 組織。がんは発生した場所から隣接する領域に拡がります。

  • リンパ系。がんは発生した場所からリンパ系に侵入して拡がります。がんはリンパ管を介して体内の他の部位へ移動します。

  • 血液。がんは発生した場所から血液に侵入して拡がります。がんは血管を介して体内の他の部位へ移動します。

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。


  • リンパ系。がんがリンパ系に侵入し、リンパ管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍転移性腫瘍)を形成します。

  • 血液。がんが血液中に侵入し、血管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍(転移性腫瘍)を形成します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、軟部肉腫がに転移した場合、肺にできたがん細胞は、実際は軟部肉腫の細胞です。この疾患は転移性軟部肉腫であり、肺がんではありません。

小児軟部肉腫の病期分類に用いられる1つの方法は、摘出手術後のがんの残存量とがんの転移の有無に基づいた分類法です。
非転移性小児軟部肉腫

非転移性の小児軟部肉腫では、手術によってがんが部分的または完全に除去されていて、他の部位への転移もありません。


  • グループI:手術によって腫瘍が完全に取り除かれている。

  • グループII:腫瘍の摘出手術後に、顕微鏡でなければ確認できないがん細胞のみが残存している。

  • グループIII:手術または生検後に、転移はしていないが、肉眼で見ることのできる腫瘍が残存している。

転移性小児軟部肉腫

  • グループIV:がん転移している(最初に発生した部位から他の部位へ拡がっている)。

小児軟部肉腫の病期分類に用いられるもう1つの方法は、腫瘍の大きさとリンパ節や他の部位への転移の有無に基づいた分類法です。

この病期分類システムは、以下の項目に基づいています:


  • 腫瘍の大きさ。

  • リンパ節への転移の有無。

  • 腫瘍の他の部位への転移の有無。

  • 腫瘍の悪性度



腫瘍の大きさを日常の身近な物と比べた図:様々な腫瘍の大きさと豆、ピーナッツ、クルミ、ライムとを比較している。



豆、ピーナッツ、クルミ、ライムによって腫瘍の大きさを示しています。



I期

I期は、次のようにIA期とIB期に分けられます:


  • IA期は、腫瘍低悪性度(増殖して拡がるのがゆっくりしている傾向がある)で、5cm以下の大きさです。

  • IB期では、腫瘍低悪性度(増殖して拡がるのがゆっくりしている傾向がある)で、5cmを超える大きさです。

II期

II期は、次のようにIIA期とIIB期に分けられます:


  • IIA期では、腫瘍が中悪性度(増殖して拡がるのがやや速い傾向がある)か、高悪性度(増殖して拡がるのが速い傾向がある)で、5cm以下の大きさです。

  • IIB期では、腫瘍が中悪性度(増殖して拡がるのがやや速い傾向がある)で、5cmを超える大きさです。

III期

III期では、腫瘍が以下のいずれかに該当します:


  • 高悪性度(増殖して拡がるのが速い傾向がある)で、大きさが5cmを超える。

  • 腫瘍の悪性度や大きさにかかわらず、周辺のリンパ節まで拡がっている。

IV期

IV期では、がんなどの体の遠隔部まで拡がっています。腫瘍悪性度や大きさにかかわらず、周辺のリンパ節まで拡がっていることもあります。

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再発性および進行性の小児軟部肉腫

再発小児軟部肉腫とは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は、同じ部位に起こることもあれば、他の部位に起こることもあります。

進行性小児軟部肉腫は、治療に反応しなかったがんのことです。

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治療選択肢の概要

小児軟部肉腫の患者さんには様々な治療法が存在します。

小児軟部肉腫の患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。

小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討すべきです。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

軟部肉腫の小児の治療では、小児がんの治療に精通した医療提供者で構成されるチームによって治療計画が作成されるべきです。

この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児軟部肉腫の治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組んでいきます。そのチームには、軟部肉腫の摘出手術について専門の訓練を積んだ小児外科医が参加することもあります。さらに、以下のような専門家も参加することがあります:


がんの治療のなかには、治療が終わってから何ヵ月または何年もたって副作用が現れるものがあります。

がんの治療の副作用のうち、治療中またはその後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、晩期障害と呼ばれます。がん治療の晩期障害には以下のようなものがあります:


  • 身体的問題。

  • 気分、感情、思考、学習、記憶における変化。

  • 二次がん(新しい種類のがん)。

晩期障害には治療や制御することが可能なものもあります。がんの治療によってお子さんに生じうる影響について担当医とよく相談することが重要です。(詳しい情報については、PDQ小児がん治療の晩期障害に関する要約をご覧ください。)

標準治療として以下の8種類が用いられています:
手術

可能であれば、軟部肉腫を完全に摘出する手術が行われます。腫瘍が非常に大きい場合には、腫瘍を小さくして手術時に切除する組織の量を減らしておくために、まず放射線療法化学療法が実施されます。これは術前補助療法と呼ばれます。

以下のような手術法が用いられます:


  • 広範囲局所切除術:腫瘍とその周囲の正常組織の一部を併せて切除する手術法。

  • 切断術:がんがある四肢や付属肢(腕や手など)の一部または全体を切り取る手術法。

  • リンパ節郭清術:がんに侵されているリンパ節を切除する手術。

  • モース術:皮膚のがんの治療に用いられる外科的手技。がん組織を1層ずつ切除して、その都度顕微鏡で確認し、がん組織が全て取り除かれるまで続けます。この種の手術は隆起性皮膚線維肉腫の治療に用いられます。モース顕微鏡手術とも呼ばれます。

  • 肝切除術肝臓の全部または一部を切除する手術。

以下を目的として、セカンドルック手術が必要となる場合があります:


  • 残存するがん細胞を除去するため。

  • 腫瘍が切除された個所の周辺の領域にがん細胞が存在していないことを確認し、存在していれば、必要に応じてさらに組織を除去するため。

がんが肝臓に転移している場合は、肝切除術と肝移植を実施することがあります(肝臓を切除し、ドナーから提供された健康な肝臓と置き換えます)。

たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に放射線療法や化学療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。一般に、放射線療法は、腫瘍が手術で完全に切除できなかった場合、または増殖や拡がり方が速い可能性がある場合に実施されます。

放射線療法には2種類のものがあります:


定位放射線療法は外照射療法の一種です。毎回の治療で放射線を同じ位置に照射できるよう、専用の装置を用いて患者さんの姿勢を固定します。数日にわたり、1日1回、放射線照射装置で腫瘍に対して直接、通常より高い線量の放射線を照射します。毎回、患者さんに同じ姿勢をとってもらうことで、周辺の正常な組織に対する損傷を抑えます。こういった手法は、定位体外照射療法や定位放射線療法とも呼ばれます。

放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類に応じて異なります。小児軟部肉腫の治療には、外照射療法と内照射療法が用いられます。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹部などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。併用化学療法は複数の抗がん剤を使用する治療法です。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類に応じて異なります。

ほとんどの種類の軟部肉腫は、化学療法による治療に反応を示しません。

詳しい情報については、軟部肉腫に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

経過観察

経過観察とは、徴候症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く監視していくことです。以下の場合に、経過観察が実施されることがあります:


  • 腫瘍の完全切除が不可能な場合。

  • 他に治療法がない場合。

  • 腫瘍がバイタル臓器を損傷する可能性が低い場合。

ホルモン療法

ホルモン療法は、ホルモンを体内から除去したりその働きを阻害したりすることによって、がん細胞の増殖を阻止する治療法です。ホルモンとは、体内の内分泌で作られて血流内を循環する物質のことです。ホルモンのなかには一部のがんを増殖させるものがあります。がん細胞内にホルモンが結合する分子(受容体)が存在するということが検査によって判明した場合は、薬物投与や手術、放射線療法などの手段を用いて、そのホルモンの分泌を抑制したり作用を阻害したりする治療を行います。デスモイド型線維腫症の治療では、抗エストロゲン薬タモキシフェンなどのエストロゲンの作用を阻害する薬)が使用されることがあります。

非ステロイド性抗炎症薬

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)は、発熱や腫れ、痛み、発赤などを鎮めるのによく用いられる薬です(アスピリンイブプロフェンナプロキセンなど)。デスモイド型線維腫症の治療では、がん細胞の増殖を阻止する効果を狙って、スリンダクと呼ばれるNSAIDが使用されることがあります。

標的療法

標的療法とは、がん細胞を攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。標的療法は一般に、化学療法や放射線療法に比べ、正常な細胞に及ぼす有害性が小さい療法です。

チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は、腫瘍の増殖に必要となる指令を妨害する標的療法薬の一種です。


その他に以下の標的療法薬が臨床試験で研究されています:


  • mTOR阻害薬は細胞の分裂と生存に関与する蛋白の働きを阻害する標的療法の一種です。mTOR阻害薬は、血管周囲類上皮細胞腫瘍(PEComas)と類上皮血管内皮腫の治療薬として研究されています。シロリムスはmTOR阻害薬の一種です。

  • 血管新生阻害薬は、腫瘍の増殖に必要となる新たな血管の成長を防止する標的療法薬の一種です。セジラニブスニチニブサリドマイドなどの血管新生阻害薬は、胞巣状軟部肉腫と類上皮血管内皮腫の治療薬として研究されています。ベバシズマブは血管腫瘍の治療に関して研究されています。

  • ヒストンメチルトランスフェラーゼ(HMT)阻害薬はがん細胞内部で作用する標的療法薬で、腫瘍の増殖に必要な指令を阻害する働きがあります。HMT阻害薬は類上皮肉腫の治療薬として研究されています。

  • 熱ショック蛋白阻害薬は、腫瘍細胞を保護して増殖を助ける蛋白の作用を阻害します。ガネテスピブは熱ショック蛋白阻害薬の一種であり、手術で切除できない悪性末梢神経鞘腫瘍に対するmTOR阻害薬シロリムスとの併用法が研究されています。

詳しい情報については、軟部肉腫に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

免疫療法

免疫療法とは、患者さん自身の免疫系を利用して疾患と闘う治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっている疾患に対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。

インターフェロンは類上皮血管内皮腫の治療に用いられる免疫療法薬の一種です。腫瘍細胞の分裂を阻害し、腫瘍の増殖を遅らせることができます。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから入手することができます。

遺伝子治療

遺伝子治療は、再発または転移した、もしくは手術で切除できない小児滑膜肉腫に関して研究されています。患者さんのT細胞白血球の一種)を採取し、細胞内の遺伝子を実験室で改変(遺伝子操作)して、特定のがん細胞に対する攻撃性を持たせます。その後、点滴で患者さんの体内にT細胞を戻し入れます。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験一覧のものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、お子さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

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小児軟部肉腫の治療選択肢

新たに診断された小児軟部肉腫

脂肪組織腫瘍

脂肪肉腫

脂肪肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


  • 腫瘍を完全に摘出する手術がんが完全に切除できない場合は、再手術を行うこともあります。

  • 腫瘍を縮小させる化学療法と、その後の手術。

  • 手術の前または後の放射線療法

  • 標的療法、放射線療法、手術を行い、場合により化学療法を行う臨床試験への参加。

骨軟骨腫瘍

骨外性間葉性軟骨肉腫

骨外性間葉性軟骨肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


  • 腫瘍を完全に摘出する手術。手術の前または後、もしくは前後ともに、放射線療法を行うことがあります。

  • 化学療法とその後の手術。手術後に化学療法を施行し、場合により放射線療法も行います。

  • 標的療法、放射線療法、手術を行い、場合により化学療法を行う臨床試験への参加。

骨外性骨肉腫

骨外性骨肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


詳しい情報については、PDQ骨肉腫および骨悪性線維性組織球腫の治療に関する要約をご覧ください。

線維(結合)組織腫瘍

デスモイド型線維腫症

デスモイド型線維腫症の治療法には以下のようなものがあります:


再発したデスモイド型線維腫症の治療法には以下のようなものがあります:


  • 経過観察と可能であれば後日の手術。

  • 化学療法。

隆起性皮膚線維肉腫

隆起性皮膚線維肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


線維肉腫

乳児線維肉腫

乳児線維肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


成人型線維肉腫

成人型線維肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


  • 可能であれば、手術による腫瘍の完全切除。

詳しい情報については、PDQ成人軟部肉腫の治療に関する要約をご覧ください。

炎症性筋線維芽細胞性腫瘍

炎症性筋線維芽細胞性腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:


低悪性線維粘液性肉腫

低悪性線維粘液性肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


粘液線維肉腫

粘液線維肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


硬化性類上皮線維肉腫

硬化性類上皮線維肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


骨格筋腫瘍

横紋筋肉腫

PDQ小児横紋筋肉腫の治療の要約をご覧ください。

平滑筋腫瘍

平滑筋肉腫

平滑筋肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


いわゆる線維組織球性腫瘍

叢状線維組織球腫瘍

叢状線維組織球腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:


末梢神経系腫瘍

外胚葉性間葉腫

外胚葉性間葉腫の治療法には以下のようなものがあります:


悪性末梢神経鞘腫瘍

悪性末梢神経鞘腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:


  • 可能であれば、手術による腫瘍の完全切除。

  • 手術の前または後の放射線療法

  • 手術で腫瘍が切除できない場合は、化学療法

  • 標的療法、放射線療法、手術を行い、場合により化学療法を行う臨床試験への参加。

  • 手術で腫瘍が切除できない場合は、標的療法の臨床試験への参加。

手術後の放射線療法または化学療法により、腫瘍の治療に対する反応が改善するかどうかは明らかではありません。

悪性トリトン腫瘍

悪性トリトン腫瘍に対しては、横紋筋肉腫と同じく、手術化学療法、または放射線療法による治療が行われます。標的療法、放射線療法、手術を行い、場合により化学療法を行うレジメンは、現在研究段階です。

周皮細胞(血管周囲)腫瘍

乳児血管周皮腫

乳児血管周皮腫の治療法には以下のようなものがあります:


起源不明の腫瘍(最初に腫瘍が発生した部位が不明のもの)

胞巣状軟部肉腫

胞巣状軟部肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


軟部組織明細胞肉腫

軟部組織明細胞肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


線維形成性小円形細胞腫瘍

線維形成性小円形細胞腫瘍に対する標準治療は存在しません。治療法には以下のようなものがあります:


類上皮肉腫

類上皮肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


腎外性(頭蓋外)ラブドイド腫瘍

腎外性(頭蓋外)ラブドイド腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:


骨外性粘液型軟骨肉腫

骨外性粘液型軟骨肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


血管周囲類上皮細胞腫瘍(PEComas)

血管周囲類上皮細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:


原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)/骨外性ユーイング腫瘍

PDQユーイング肉腫の治療の要約をご覧ください。

滑膜肉腫

滑膜肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


未分化または分類不能の肉腫

こうした腫瘍には未分化多形肉腫/悪性線維性組織球腫高悪性度)などがあります。これらの腫瘍に対する標準治療は存在しません。治療法には以下のようなものがあります:


骨悪性線維性組織球腫の治療に関する詳しい情報については、PDQ骨肉腫および骨悪性線維性組織球腫の治療に関する要約をご覧ください。

血管腫瘍

軟部組織の血管肉腫

血管肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


類上皮血管内皮腫

類上皮血管内皮腫の治療法には以下のようなものがあります:


転移性小児軟部肉腫

診断時に他の部位に転移している小児軟部肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


特定の種類の腫瘍に対する治療法については、小児軟部肉腫の治療選択肢のセクションをご覧ください。

NCI支援のがん臨床試験リストから、非転移性小児軟部肉腫および転移性小児軟部肉腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。お子さんに適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

再発性および進行性の小児軟部肉腫

再発性または進行性の小児軟部肉腫の治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、再発小児軟部肉腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。お子さんに適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、小児軟部肉腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

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PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board. PDQ Childhood Soft Tissue Sarcoma Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/soft-tissue-sarcoma/patient/child-soft-tissue-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389342]

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