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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

形質細胞腫瘍(多発性骨髄腫を含む)の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2015-10-01
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Adult Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、形質細胞腫瘍(多発性骨髄腫を含む)の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

多発性骨髄腫とその他の形質細胞腫瘍

形質細胞腫瘍についての一般的な情報

形質細胞腫瘍は、体内で形質細胞が過剰に作られるようになる疾患です。

形質細胞は、骨髄で作られる白血球の一種であるBリンパ球(B細胞)が成熟することによってできる細胞です。正常な状態では、細菌ウイルスが体内に侵入すると、一部のB細胞が形質細胞に変化します。形質細胞は細菌やウイルスを撃退する抗体を作り出し、感染や疾患の発生を阻止します。

多発性骨髄腫;図は、正常な形質細胞、多発性骨髄腫細胞(異常な形質細胞)、抗体を示している。さらに形質細胞が作られる場である骨内の赤色骨髄も示されている。



多発性骨髄腫。多発性骨髄腫細胞は、骨髄で増殖し体の多くの骨で腫瘍を形成する異常な形質細胞(白血球の一種)です。正常な形質細胞は、体が感染や疾患に抵抗するための抗体を産生します。多発性骨髄腫細胞の数が増加すると、より多くの抗体が作られます。これにより血液が濃くなり、骨髄は正常な血液細胞を作れなくなります。さらに多発性骨髄腫細胞は、骨に損傷を与えて脆くします。



形質細胞腫瘍は、異常な形質細胞や骨髄腫 細胞が体内の骨や軟部組織腫瘍を形成する疾患です。この異常な形質細胞もM蛋白と呼ばれる抗体蛋白を生産しますが、これは体にとって不要な物質で、感染に対する防御には役立ちません。こうした抗体蛋白は骨髄内に蓄積され、血液の粘り気を高めたり、腎臓に損傷を与えたりする可能性があります。

形質細胞腫瘍には良性の(がんではない)ものと、悪性(がん)のものがあります。

意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)はがんではありませんが、がんになることがあります。以下の種類の形質細胞腫瘍はがんです:


形質細胞腫瘍にはいくつかの種類があります。

形質細胞腫瘍には以下のものが含まれます:

意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)

この種の形質細胞 腫瘍では、骨髄の10%未満が異常な形質細胞で構成されるものの、がんは一切認められません。異常な形質細胞からM蛋白が作り出されるため、通常の血液検査尿検査でこの蛋白が発見されることがあります。ほとんどの患者さんでは、このM蛋白の量は一定の範囲内に留まり、徴候症状、または健康問題が生じることはありません。

しかし、一部の患者さんでは、MGUSが後にアミロイドーシスなどのより重篤な病態に変化したり、腎臓、心臓、神経の問題を引き起こしたりする場合があります。また、MGUSは多発性骨髄腫リンパ形質細胞性リンパ腫慢性リンパ性白血病などのがんになる場合もあります。

形質細胞腫

この種の形質細胞 腫瘍では、異常な形質細胞(骨髄腫 細胞)が1ヵ所で形質細胞腫と呼ばれる単一の腫瘍を形成します。形質細胞腫は、治癒が可能です。形質細胞腫には2種類のものがあります。


  • 骨の孤立性形質細胞腫では、骨に形質細胞腫瘍が1つ存在し、骨髄に占める形質細胞の割合が10%未満で、それ以外にがん徴候はみられません。骨の形質細胞腫はしばしば多発性骨髄腫に進行します。

  • 髄外性の形質細胞腫では、軟部組織に形質細胞腫瘍が1つ認められますが、骨や骨髄には認められません。髄外性の形質細胞腫は、一般に咽頭扁桃副鼻腔組織に発生します。

徴候や症状は、腫瘍の部位に応じて異なります。


  • 骨にできた形質細胞腫は、骨の痛みや骨折の原因になります。

  • 軟部組織にできた腫瘍は、周辺の組織を圧迫することによって痛みやその他の症状の原因になります。例えば、咽頭の形質細胞腫では、ものを飲み込む動作が困難になることがあります。

多発性骨髄腫

多発性骨髄腫では、異常な 形質細胞骨髄腫 細胞)が骨髄内に蓄積して、多数の骨の中に腫瘍が形成されます。このような腫瘍が形成されると、骨髄において正常な血液細胞が十分に作られなくなります。正常な状態の骨髄では、以下の3種類の成熟血液細胞に成長する幹細胞(未熟な細胞)が作られます:


骨髄腫細胞の数が増えるにつれて、新たに作られる赤血球、白血球、血小板の数は減少していきます。骨髄腫細胞はまた、骨に損傷を与えて脆くしたりもします。

多発性骨髄腫ではときに、徴候症状が全くみられないことがあります。別の病態に対して実施された血液検査尿検査で発見されることもあります。徴候や症状が多発性骨髄腫により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります。以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:


  • 骨の痛み(特に背骨や肋骨)。

  • 骨折しやすくなる。

  • 原因不明の発熱や、頻繁な感染。

  • あざや出血が生じやすい。

  • 呼吸障害。

  • 腕や脚の筋力の低下。

  • ひどい疲労感。

腫瘍によって骨が損傷を受けると、高カルシウム血症(血液中のカルシウム量の過剰)が引き起こされます。この状態は、腎臓神経、心臓、筋肉、消化管など多くの臓器に悪影響を及ぼして、深刻な健康障害の原因になります。

高カルシウム血症では、以下のような徴候や症状がみられることがあります:


  • 食欲の低下。

  • 吐き気嘔吐

  • 喉の渇き。

  • 頻尿(排尿回数が多くなること)。

  • 便秘

  • ひどい疲労感。

  • 筋力の低下。

  • 落ち着きがなくなる。

  • 錯乱または思考の障害。

多発性骨髄腫とその他の形質細胞腫瘍は、アミロイドーシスと呼ばれる病態を引き起こすことがあります。

まれに、多発性骨髄腫から末梢神経(脳や脊髄以外を走っている神経)障害や臓器不全に至ることもあります。これはアミロイドーシスと呼ばれる病態が原因と考えられます。この病態では、抗体蛋白が互いに結合し、末梢神経や腎臓や心臓などの臓器に蓄積します。こうなるとその神経や臓器は硬くなり、本来の機能を果たせなくなる可能性があります。

アミロイドーシスでは、以下のような徴候や症状がみられることがあります:


  • ひどい疲労感。

  • 皮膚の紫色の斑点。

  • 舌の肥大。

  • 下痢

  • 体の組織の水分により生じる腫れ。

  • 脚や足のチクチクとした痛みやしびれ。

形質細胞腫瘍のリスクに影響を及ぼす要因に年齢があります。

疾患が発生する危険性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。

形質細胞腫瘍は中年以上の人に最も多くみられます。多発性骨髄腫と形質細胞腫のリスク因子としては、この他にも以下のものがあります:


  • 黒人であること。

  • 男性であること。

  • MGUSまたは形質細胞腫の個人歴があること。

  • 放射線に被曝したことや、特定の化学物質にさらされた経験があること。

多発性骨髄腫とその他の形質細胞腫瘍の発見と診断には、血液、骨髄、尿を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 血中および尿中免疫グロブリン検査:血液または尿のサンプルを調べて、特定の抗体(免疫グロブリン)の量を測定する検査法。多発性骨髄腫の検査では、β-2-ミクログロブリン、M蛋白、遊離軽鎖など、骨髄腫細胞によって産生される蛋白の量が測定されます。これらの物質の量が正常値より高いということは、疾患の徴候である可能性があります。

  • 骨髄穿刺と骨髄生検 :腰骨または胸骨に中空の針を挿入して、骨髄、血液、骨の小片などを採取する手技。採取された骨髄、血液、骨は、病理医によって顕微鏡で観察され、異常な細胞がないか調べられます。

    骨髄穿刺と骨髄生検:図は、台の上にうつ伏せになった患者さんの腰骨に骨髄穿刺針が挿入されている様子を示す。拡大図は、皮膚の上から腰骨の骨髄に挿入した骨髄穿刺針を示している。
    
    


    骨髄穿刺と骨髄生検。皮膚の小さな領域に麻酔を施してから、患者さんの腰骨に骨髄穿刺針を挿入します。そして顕微鏡での検査用に血液、骨、骨髄などのサンプルを採取します。



    骨髄穿刺と骨髄生検で採取された組織サンプルに対して、次の検査が行われることがあります:
    • 細胞遺伝学的分析:骨髄サンプル中の細胞を顕微鏡で観察して、染色体に特定の変化がないかを調べる検査法。染色体に特定の変化がないかを調べるために、その他の蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)などの検査が実施されることもあります。


  • 全骨格検査:全身の骨のX線写真が撮影されます。X線検査は骨の損傷部分を探すのに用いられます。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • 全血球算定(CBC)と分画 :血液を採取して以下の項目について調べる検査法:
    • 赤血球と血小板の数。

    • 白血球の数と種類。

    • 赤血球内のヘモグロビン酸素を運搬する蛋白)の量。

    • 血液サンプル中の赤血球が占める割合。


  • 血液生化学検査 :採取した血液を調べて、体内の臓器組織から血液中に放出される特定の物質(カルシウムアルブミンなど)の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。

  • 24時間尿検査:24時間分の尿を溜めておき、その中に含まれる特定の物質の量を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、その物質を作り出している臓器や組織における疾患の徴候である可能性があります。蛋白量が正常値より高く出ることは、多発性骨髄腫の徴候である可能性があります。

  • MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。脊椎のMRIは骨の損傷部分を探すのに用いられます。

  • CTスキャン(CATスキャン):脊椎などの体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

  • PET-CTスキャン :陽電子放射断層撮影(PET)スキャンとコンピュータ断層撮影(CT)から得られた画像を組み合わせた検査法。PETスキャンとCTスキャンが同時に同じ機器で実行されます。これらのスキャンを併用することで、それぞれを単独で実施するよりも詳細に脊椎などの体内領域の画像が得られます。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)を左右する因子には以下のものがあります:


治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


  • 形質細胞腫瘍の種類。

  • 患者さんの年齢と健康状態。

  • この疾患と関係する徴候や症状または健康問題(腎不全や感染症など)の有無。

  • 初回治療が奏効するか、再発するか。

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形質細胞腫瘍の病期

意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)、マクログロブリン血症、形質細胞腫に対する標準的な病期分類システムはありません。
多発性骨髄腫の診断がついた後には、体内のがんの量を明らかにするためにさらに検査が行われます。

体内のがん細胞の量を調べるプロセスは病期分類と呼ばれます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 全骨格検査:全骨格検査では、全身の骨のX線写真が撮影されます。X線検査は骨の損傷部分を探すのに用いられます。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、骨髄などの体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

  • 骨密度測定:特殊なX線を用いて骨密度を測定する検査法。

多発性骨髄腫の病期はβ-2-ミクログロブリンとアルブミンの血中濃度に基づいて分類されます。

β-2-ミクログロブリンアルブミンは、血液中に検出されます。β-2-ミクログロブリンは、形質細胞上に存在する蛋白です。アルブミンは、血漿中に最も多く含まれる蛋白です。血管からの水分の漏出を防ぐ働きがあります。さらに、組織栄養素を運ぶ、あるいはホルモンビタミン、その他の物質(カルシウムなど)を全身に行き渡らせる、などの機能があります。多発性骨髄腫の患者さんの血液中では、β-2-ミクログロブリンの量が増加し、アルブミンの量が減少しています。

多発性骨髄腫では以下のような病期が用いられます:
I期の多発性骨髄腫

I期の多発性骨髄腫では、血液検査の値は以下のようになります:


II期の多発性骨髄腫

II期の多発性骨髄腫では、血液検査の値は以下のようになります:


III期の多発性骨髄腫

III期多発性骨髄腫では、血液検査でのβ-2-ミクログロブリン値は5.5mg/L以上です。

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難治性形質細胞腫瘍

治療を行っても形質細胞の数が増え続ける形質細胞腫瘍は、難治性と呼ばれます。

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治療選択肢の概要

形質細胞腫瘍の患者さんには様々な治療法が存在します。

形質細胞 腫瘍の患者さんは、様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

以下の8種類の治療法が用いられています:
化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、もしくは腔などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

詳しい情報については、多発性骨髄腫とその他の形質細胞腫瘍に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

その他の薬物療法

副腎皮質ステロイドは、多発性骨髄腫に対して抗腫瘍効果を有するステロイド薬です。

標的療法

標的療法とは、正常な細胞には害を及ぼすことなく特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。多発性骨髄腫とその他の形質細胞腫瘍の治療では、数種類の標的療法が用いられます。

プロテアソーム阻害薬 療法は標的療法の一種であり、がん細胞中に存在するプロテアソームの作用を阻害することで、腫瘍の増殖を阻止する働きがあります。ボルテゾミブカルフィルゾミブは、多発性骨髄腫とその他の形質細胞腫瘍の治療に用いられるプロテアソーム阻害薬です。ポナチニブチロシンキナーゼ阻害薬の一種、かつ血管新生阻害薬の一種であり、ボルテゾミブ(薬剤詳細へ)と併用されることがあります。

ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬療法は標的療法の一種であり、細胞分裂に必要な酵素の作用を阻害することで、がん細胞の増殖を阻止できる可能性があります。

詳しい情報については、多発性骨髄腫とその他の形質細胞腫瘍に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

幹細胞移植を伴う大量化学療法

この治療法は、高用量の化学療法を実現する手段で、このようながん治療によって破壊された造細胞を外部から補充します。まず、自家移植の場合は患者さん自身から、同種移植の場合はドナーから血液や骨髄を採取し、そこから幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して凍結保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍して、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。

幹細胞移植;(図1):図は患者またはドナーから幹細胞を採取しているところである。腕の静脈から採血し、幹細胞を採取する装置を通過させる。残りの血液は反対の腕の静脈に戻す。(図2):図は医療提供者が患者に対し造血細胞を殺傷する治療を施しているところである。胸部のカテーテルから化学療法薬が投与されている。(図3):図は患者の胸部に挿入されたカテーテルから幹細胞を注入しているところである。



幹細胞移植。(ステップ1):ドナーの腕の静脈から血液を採取します。患者さん自身がドナーになる場合も、他人がその役割を果たす場合もあります。血液は幹細胞を採取する装置内を流れます。その後、血液は反対側の腕の静脈からドナーの体内に戻されます。(ステップ2):患者さんは造血細胞を殺傷する化学療法を受けています。放射線療法が実施される場合もあります(図には示されていません)。(ステップ3):患者さんは胸部の血管に留置されたカテーテルから幹細胞の注入を受けています。



生物学的療法

生物学的療法は、患者さんの免疫系の機能を利用してがんを撃退する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は生物療法や免疫療法とも呼ばれます。

免疫調節剤は、生物学的療法の一種です。サリドマイドレナリドミド、およびポマリドミドは、多発性骨髄腫とその他の形質細胞腫瘍の治療に用いられる免疫調節剤です。

インターフェロンは生物学的療法に用いられる物質の一種です。がん細胞の分裂に影響し、腫瘍の増殖を遅らせることができます。

詳しい情報については、多発性骨髄腫とその他の形質細胞腫瘍に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

手術

腫瘍の摘出手術が実施されることがあり、その場合、通常は術後に放射線療法が行われます。がんの再発のリスクを低下させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

注意深い経過観察

注意深い経過観察とは、徴候症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く監視していくことです。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

治療法の新しい組み合わせ

生物学的療法、化学療法、ステロイド治療、薬物療法などを様々に組み合わせた治療法が現在、臨床試験において研究されています。サリドマイド(薬剤詳細へ)やレナリドミド(薬剤詳細へ)を用いる新しい治療レジメンも現在研究中です。

支持療法とは、疾患や治療が原因で生じた問題を軽減するために行われる治療です。

この療法は、疾患または治療による問題や副作用をコントロールし、生活の質を改善します。支持療法は、多発性骨髄腫やその他の形質細胞 腫瘍が原因で生じる問題を治療するために行われます。

以下のような支持療法が実施されます:


  • 血漿交換:過剰な抗体蛋白により血液の粘度が増し、循環が損なわれている場合は、血液中の余分な血漿と抗体蛋白を除去するために血漿交換を実施します。この療法では、患者さんの体内から抜き出した血液を専用の機械に通して、血液細胞と血漿(血液の液体部分)を分離します。患者さんの血漿中には不要な抗体が含まれていますので、このような抗体は体内に戻さないようにします。正常な血液細胞は、補充用の血漿製剤や置換液と一緒に患者さんの血流に戻します。ただし、血漿交換療法では新たな抗体の生成を防ぐことはできません。

  • 幹細胞移植を伴う大量化学療法アミロイドーシスが発生した場合の治療法としては、患者さん自身の幹細胞を使用する幹細胞移植を伴う大量化学療法が考えられます。

  • 生物学的療法:アミロイドーシスの治療に、サリドマイドレナリドミド、またはポマリドミドを用いた生物学的療法が行われます。

  • 標的療法:アミロイドーシスの治療に、プロテアソーム阻害薬を用いた標的療法が行われます。

  • 放射線療法脊椎病巣に対して実施します。

  • 化学療法:骨粗鬆症や脊椎の圧迫骨折による背中の痛みを軽減するために実施します。

  • ビスフォスフォネート療法:骨喪失を遅くし骨痛を軽減するために実施します。ビスフォスフォネートとそれらの使用に関連する問題の詳細については以下のPDQの要約をご覧ください:

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験一覧のものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

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形質細胞腫瘍に対する治療法の選択肢

意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症

意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)の治療法は、通常であれば注意深い経過観察です。血液中のM蛋白の量を測定する血液検査と、がん徴候症状を調べる身体診察が定期的に実施されます。

NCI支援のがん臨床試験リストから、意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

骨の孤立性形質細胞腫

骨の孤立性形質細胞腫の治療法は、通常であれば骨病変に対する放射線療法です。

NCI支援のがん臨床試験リストから、骨の孤立性形質細胞腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

髄外性形質細胞腫

髄外性形質細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、髄外性形質細胞腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

多発性骨髄腫

徴候症状がみられない患者さんでは、治療が必要ない場合もあります。徴候や症状が現れた場合には、以下のような段階を踏んだ多発性骨髄腫の治療を実施することが考えられます:


NCI支援のがん臨床試験リストから、多発性骨髄腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

難治性多発性骨髄腫

難治性 多発性骨髄腫の治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、難治性多発性骨髄腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、形質細胞腫瘍(多発性骨髄腫を含む)の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board. PDQ Plasma Cell Neoplasms (Including Multiple Myeloma) Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/myeloma/patient/myeloma-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389437]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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