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CONTENTS
- 肝芽腫
-
肝芽腫は、肝臓の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。最も多くみられる種類の小児肝がんで、通常は3歳未満の小児に発生します。
肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓の多くの重要な機能のうち、主なものは以下の3つです:
肝芽腫では、組織型(顕微鏡で観察したときのがん細胞の外見)が、がんの治療法を左右します。肝芽腫の組織型は、以下のいずれかに分類されます:
肝芽腫の徴候と症状
腫瘍が大きくなると、徴候や症状がみられることが多くなります。ただし、別の病態が原因で同様の徴候や症状が現れてくる場合もあります。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:
肝芽腫の原因とリスク因子
病気になるリスクを増大させるものは、全てリスク因子と呼ばれます。これらのリスク因子の1つ以上を持つ小児がみな肝芽腫になるわけではありませんし、既知のリスク因子を持たない小児が胚芽腫になることもあります。お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。
肝芽腫のリスク因子には、以下の症候群や病態があります:
肝芽腫の発生リスクが高い小児には、症状が現れる前にがんの検査が実施されることがあります。小児が4歳になるまでは、3ヵ月ごとに腹部超音波検査を実施し、血液中のα-フェトプロテイン濃度を調べます。
肝芽腫の診断
肝芽腫を診断し転移の有無を確認するために、肝臓と血液を調べる検査法が用いられます。
以下のような検査法や手技が用いられます:
肝芽腫の予後因子
肝芽腫の予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
- PRETEXT分類
- 腫瘍の大きさ
- 肝芽腫が高分化胎児型(純胎児型)か未分化小細胞型か
- がんが横隔膜、肺、特定の大血管などの他の部位に転移しているかどうか
- 肝臓に腫瘍が2ヵ所以上あるかどうか
- 腫瘍の外層が破れて開口しているかどうか
- 化学療法に対するがんの反応
- 手術によってがんを完全に摘出できるかどうか
- 患者さんが肝移植を受けられるかどうか
- 治療後にAFPの血中濃度が低下するかどうか
- 小児の年齢
- 新たに診断されたがんか、再発したがんか
最初の治療後に再発した(再び現れた)肝芽腫の予後と治療選択肢は、以下の因子に左右されます:
- 腫瘍が再発した部位
- 最初のがんの治療に用いた治療法
肝芽腫は、腫瘍が小さくて手術によって完全に切除できる場合は、治癒も望めます。
肝芽腫の病期
肝芽腫の診断がついた後には、がん細胞の肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。がんの肝臓内での拡がりや、周辺の組織または臓器、もしくは他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。肝芽腫では、病期分類の代わりにPRETEXT分類とPOSTTEXT分類を用いて治療計画を立てます。がんの発見や診断、あるいは転移の有無を明らかにするための検査や手技の結果を用いて、PRETEXTとPOSTTEXTの分類を判定します。
肝芽腫では、次の2種類の分類体系を用いて、手術で腫瘍を切除できるかどうかを判定します:
- PRETEXT分類は、患者さんが治療を受ける前の腫瘍について表します。
- POSTTEXT分類は、患者さんが術前補助化学療法などの治療を受けた後の腫瘍について表します。
肝臓は4つの区域に分けられます。PRETEXTとPOSTTEXTの分類は、肝臓のどの区分にがんが存在するかによって決まります。4つのPRETEXT分類とPOSTTEXT分類があります。
PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類I
分類Iでは、肝臓の1つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。
PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類II
分類IIでは、肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。
PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類III
分類IIIでは、以下の条件のいずれかが満たされます:
- がんが肝臓の3つの区域に認められ、1つの区域にはがんが認められない。
- がんが肝臓の2つの区域に認められ、かつそれらの2つの区域が隣り合っている。
PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類IV
分類IVでは、肝臓の4つの区域の全てにがんが認められます。
肝芽腫は治療後に増殖し続けたり再発したりすることがあります。
増殖や拡がり、または悪化が続くがんは進行性疾患です。進行性疾患のがんは、治療に反応しなくなった難治性のがんの可能性があります。
再発肝芽腫とは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は、肝臓内に起こることもあれば、体の他の部位に起こることもあります。転移がん(最初に発生した場所から他の部位に転移したがん)の詳細については、転移がん:がんが拡がる場合(英語)をご覧ください。
肝芽腫の治療法
肝芽腫のお子さんは、必ずこのまれな小児がんの治療に精通した医療提供者チームに治療計画を立ててもらってください。この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、肝芽腫の治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組みます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要であれば肝移植プログラムに患者さんを紹介できる小児外科医が治療に参加することが重要です。他にも以下のような専門家が治療に参加することがあります:
- 小児科医
- 放射線腫瘍医
- 小児専門看護師
- リハビリテーション専門家
- 心理士
- ソーシャルワーカー
- 栄養士
がんの子どもをもつことや対処方法、支援の探し方についての詳しい情報は、小児がん(英語)をご覧ください。
全員が下記の治療を全て受けるわけではありません。お子さんの治療を担当するチームは、保護者がお子さんの状況を考慮して治療の意思決定を下すことができるように支援します。肝芽腫の治療計画を決定する際に検討される要因については、肝芽腫の予後因子をご覧ください。
手術
可能な場合は、手術によるがんの摘出が行われます。施行できる手術には、以下の種類があります:
- 部分的肝切除術:がんが認められる肝臓の部分だけを手術で切除します。切除範囲は、がん周辺の少量の正常組織を含めて、楔状の組織、全葉、または肝臓の大部分とする場合があります。
- 全肝切除術と肝移植:手術で肝臓を完全に切除して、ドナーの健康な肝臓と取り換えます。肝移植は、がんが肝臓の外部には拡がっておらず、なおかつ肝臓のドナーがみつかった場合に行われます。肝臓の提供を待たなければならない場合は、必要に応じて他の治療が実施されます。
- 転移巣切除:肝臓の外部(周辺組織や肺、脳など)に転移したがんを切除する手術。
施行できる手術の種類に影響する因子には、以下のものがあります:
- PRETEXT分類とPOSTTEXT分類
- 原発腫瘍の大きさ
- 肝臓に腫瘍が2ヵ所以上あるかどうか
- がんが周辺の大血管まで拡がっているかどうか
- 血液中のAFP(α-フェトプロテイン)の値
- 腫瘍を手術で切除できる大きさに、化学療法で小さくできるかどうか
- 肝移植が必要かどうか
腫瘍を小さくして摘出しやすくするために、手術の前に化学療法を行うこともあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。
手術の際に確認できる全てのがんを切除した後に、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法や放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
注意深い経過観察
注意深い経過観察とは、徴候や症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く監視していくことです。肝芽腫では、この治療法は腫瘍が小さく手術で完全に切除できた場合にのみ用いられます。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹部などの体腔内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。
肝動脈(肝臓に血液を供給している主要な動脈)化学塞栓療法は局所化学療法の1つで、手術で切除できない小児肝がんの治療に用いられます。この方法では、カテーテル(細い管)を介して抗がん剤を肝動脈の中に注入します。その薬剤には動脈を詰まらせる物質が混ぜられていて、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。その結果、抗がん剤の大半が腫瘍の近くにとどまり、体内の他の部位に送られる抗がん剤の量が少なくなります。動脈を遮断するのに使用する物質の種類に応じて、動脈の閉塞は一時的なものにも永久的なものにもできます。腫瘍の増殖に必要な酸素や栄養素が腫瘍に供給されなくなります。一方で肝臓への血液供給は、胃や腸から肝臓に血液を運んでくる肝門脈によって維持されます。この療法は経動脈化学塞栓またはTACEとも呼ばれます。
化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類とPRETEXTまたはPOSTTEXTの分類に応じて異なります。
化学療法と副作用の詳しい情報については、化学療法:がんの患者さんへの支援(英語)をご覧ください。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類とPRETEXTまたはPOSTTEXTの分類に応じて異なります。
放射線療法には2種類のものがあります:
- 外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんのある領域に放射線を照射する方法です。外照射療法は、手術で切除できない、または他の部位に転移した肝芽腫の治療に用いられます。
- 内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。
放射線塞栓術は肝芽腫の治療に用いられる内照射療法です。この方法では、ごく少量の放射性物質を微小なビーズに結合させ、カテーテル(細い管)を介して肝動脈(肝臓に血液を供給する主要な動脈)に注入します。そのビーズには動脈を詰まらせる物質が混ぜられていて、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。放射線の大半が腫瘍付近にとどまり、がん細胞を殺傷します。この方法は、肝芽腫の小児に対して、症状を和らげ生活の質を改善するために行われます。
放射線療法と副作用に関する詳しい情報については、放射線療法によるがん治療(英語)と放射線療法の副作用(英語)をご覧ください。
焼灼療法(アブレーション)
焼灼療法(アブレーション)は組織を除去したり破壊したりする治療法です。肝がんには様々な焼灼療法が用いられます:
- ラジオ波焼灼術:皮膚から直接、または腹部の切開口から特殊な針を挿入し、腫瘍に到達させます。高エネルギーのラジオ波で針と腫瘍を熱し、がん細胞を殺傷します。ラジオ波焼灼術は再発肝芽腫の治療に用いられています。
- 経皮的エタノール注入:小さな針を用いて腫瘍の内部に直接エタノール(純アルコール)を注入することにより、がん細胞を死滅させます。数回の注入が必要になることがあります。経皮的エタノール注入は再発肝芽腫の治療に用いられています。
標的療法
標的療法とは、特定のがん細胞を認識し攻撃する薬物や物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。治療後に再発した肝芽腫の治療のために標的療法が研究されています。
標的療法がどのようにがんに対抗するかや標的療法を受けると何が起きるか、あるいは標的療法の副作用についての詳細は、標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。
臨床試験
治療法の臨床試験とは、がん患者さんのために、既存の治療法の改善に役立てたり、新しい治療法に関する情報を得たりするための調査研究です。患者さんによっては、臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
臨床試験についての詳しい情報については、患者さんと介護者向けの臨床試験の情報(英語)をご覧ください。
治療の長期的な副作用
がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、長期的効果または晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:
- 身体的問題
- 気分、感情、思考、学習、記憶における変化
- 二次がん(新しい種類のがん)
晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに発生する可能性がある長期的影響について、担当の医師とよく相談することが大切です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。
フォローアップ検査
がんの診断や治療グループの特定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。
治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。
新たに診断された肝芽腫の治療
新規診断時に手術で切除可能と判断された肝芽腫の治療選択肢には、以下のようなものがあります:
- 高分化胎児型でない肝芽腫では腫瘍を切除する手術とその後の併用化学療法、または未分化小細胞型の肝芽腫では積極的な化学療法
- 高分化胎児型の肝芽腫では、腫瘍を切除する手術と、その後の注意深い経過観察または化学療法
新たに診断され、手術で切除できないと判断された肝芽腫、または切除されない肝芽腫の治療選択肢には、以下のようなものがあります:
- 腫瘍を縮小する併用化学療法と、その後の腫瘍を切除する手術
- 併用化学療法とその後の肝移植
- 肝動脈の化学塞栓により腫瘍を小さくした後に、腫瘍を切除する手術
- 手術で肝臓の腫瘍を切除できず、他の部位にがんの徴候が認められない場合は、ときに肝移植
新たに診断された他の部位に転移している肝芽腫では、併用化学療法を用いて、肝臓内の腫瘍と他の部位に転移しているがんを小さくします。化学療法の後に、画像検査を行って、手術で腫瘍を切除できるかどうかを調べます。
治療選択肢には以下のようなものがあります:
- 肝臓や他の部位の腫瘍(通常は肺の結節)を切除できる場合は、手術で腫瘍を切除し、その後、残存している可能性のあるがん細胞を死滅させる化学療法を行います。
- 他の部位の腫瘍を切除できない場合、または肝移植が不可能な場合の治療法には、化学療法、肝動脈の化学塞栓、放射線療法があります。
- 肝臓以外の部位に生じた腫瘍を手術で切除できない場合や、患者さんが手術を希望しない場合は、ラジオ波焼灼術が行われることがあります。
新たに診断された肝芽腫の臨床試験では、以下の治療選択肢があります:
- 化学療法と手術の臨床試験への参加
進行性または再発肝芽腫の治療
進行性または再発肝芽腫の治療法には、以下のようなものがあります:
- 孤立した(単独で離れて存在する)転移性腫瘍を切除する手術と、場合により化学療法
- ラジオ波焼灼術
- 併用化学療法
- 肝移植
- 症状を緩和し生活の質を向上させる緩和療法としての焼灼療法(ラジオ波焼灼術または経皮的エタノール注入)
- 患者さんに適用される標的療法の種類を決定するために、腫瘍のサンプルを検査し、遺伝子に特定の変化がないかを調べる臨床試験への参加
- 小児肝細胞がん
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小児肝細胞がんは肝細胞と呼ばれる肝臓の細胞に発生する、まれな種類のがんです。肝細胞は肝臓を構成する主な細胞で、肝臓のほとんどの機能を担っています。
肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓の多くの重要な機能のうち、主なものは以下の3つです:
- 食物中の脂肪の消化を助ける胆汁を分泌する
- 身体がエネルギーを得るために使用するグリコーゲン(糖質)を貯蔵する
- 血液をろ過して有害物質を取り除き、それを便や尿として体外に排泄できるようにする
小児肝細胞がんは通常、年長児や青年に発生します。米国内よりも、B型肝炎ウイルス感染率が高いアジアの地域で多くみられます。
肝細胞がんは成人で非常によくみられる種類の肝がんです。小児のリスク因子、病期分類、治療法は成人と異なります。成人の肝細胞がんに関する詳しい情報については、肝がんはどのような病気か(英語)をご覧ください。
小児肝細胞がんの徴候と症状
腫瘍が大きくなると、徴候や症状がみられることが多くなります。ただし、別の病態が原因で同様の徴候や症状が現れてくる場合もあります。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:
- 痛みを伴うことのある腹部のしこり
- 腹部の腫れ
- 原因不明の体重減少
- 食欲の減退
- 吐き気と嘔吐
小児肝細胞がんの原因とリスク因子
病気になるリスクを増大させるものは、全てリスク因子と呼ばれます。これらのリスク因子の1つ以上を持つ小児がみな肝細胞がんになるわけではありませんし、既知のリスク因子を持たない小児が肝細胞がんになることもあります。お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。
小児肝細胞がんのリスク因子には、以下の症候群や病態があります:
- アラジール症候群。
- 糖原病。
- 出生時に母親からB型肝炎ウイルスに感染したこと。
- 進行性家族性肝内胆汁うっ滞。
- チロシン血症:チロシン血症の患者さんは肝移植を受けた後に、がんの徴候や症状がみられないまま、肝細胞がんと診断されることがあります。
基礎的な肝疾患のない小児に肝細胞がんが発生することもあります。
小児肝細胞がんの診断
小児肝細胞がんを診断し転移の有無を確認するために、肝臓と血液を調べる検査法が用いられます。
以下のような検査法や手技が用いられます:
- 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。
- 血清腫瘍マーカー試験:採取した血液を調べて、臓器や組織、腫瘍細胞などから血液中に放出された特定の物質の量を測定する検査法。特定の物質の血中濃度が上昇している場合には、その物質と関連性のある特定の種類のがんの存在が疑われます。このような物質は腫瘍マーカーと呼ばれます。肝がんのお子さんでは、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)というホルモンの血中濃度またはα-フェトプロテイン(AFP)という蛋白の血中濃度が上昇することがあります。ただしAFPの値は、他の種類のがんや良性肝腫瘍、がん以外の特定の病態(肝硬変や肝炎など)でも上昇することがあります。
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全血球算定(CBC):血液を採取して以下の項目について調べる検査法:
- 肝機能検査:この血液検査は、肝臓から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定します。ここで、ある物質の値が正常値よりも高く出るということは、肝臓の損傷または肝がんの徴候である可能性があります。
- 血液生化学検査:この血液検査は、採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出されるビリルビンまたは乳酸脱水素酵素(LDH)などの特定の物質の濃度を測定します。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。
- エプスタイン-バーウイルス(EBV)検査:この血液検査は、EBVに対する抗体とEBVのDNAマーカーを調べます。これらは、EBVに感染している患者さんの血液中に認められます。
- 肝炎検査:この血液検査では、血液中に肝炎ウイルスの断片がないか調べます。
- ガドリニウムを使用する磁気共鳴画像法(MRI):磁気、電波、コンピュータを用いて、肝臓内の精細な連続画像を作成する検査法。まずガドリニウムと呼ばれる物質を静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。
- CTスキャン(CATスキャン):この検査法は、コンピュータと連結したX線装置を使用して、体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成します。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。小児肝がんでは通常、胸部と腹部に対するCTスキャンが実施されます。
- 超音波検査:この検査法は、高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用します。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。小児肝がんでは通常、大血管を調べるために腹部超音波検査が実施されます。
- 腹部X線検査:腹部の臓器のX線検査が行われることがあります。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。
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生検:生検では、医師が細胞や組織のサンプルを採取します。病理医が顕微鏡で細胞や組織を観察し、がん細胞の有無を調べて、がんの種類を特定します。医師は1回の生検手技で、安全を確保したうえでできるだけ多くの腫瘍を切除することがあります。
採取された組織サンプルについて、以下の検査を実施する場合があります:
小児肝細胞がんの予後因子
小児肝細胞がんの予後(回復の見込み)と治療法は以下の要因によって異なります:
- PRETEXT分類
- がんが肺などの他の部位に転移しているかどうか
- 手術によってがんを完全に摘出できるかどうか
- 化学療法に対するがんの反応
- 小児がB型肝炎ウイルスに感染しているかどうか
- 新たに診断されたがんか、再発したがんか
最初の治療後に再発した小児肝細胞がんの予後と治療選択肢は、以下の因子に左右されます:
- 腫瘍が再発した部位
- 最初のがんの治療に用いた治療法
小児肝がんは、腫瘍が小さくて手術によって完全に切除できる場合は、治癒も望めます。肝芽腫は、肝細胞がんよりも完全摘出が可能な場合が多くなります。
小児肝細胞がんの病期
小児肝細胞がんの診断がついた後には、がん細胞の肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。がんの肝臓内での拡がりや、周辺の組織または臓器、もしくは他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。小児肝細胞がんでは、病期分類の代わりにPRETEXT分類とPOSTTEXT分類を用いて治療計画を立てます。がんの発見や診断、あるいは転移の有無を明らかにするための検査や手技の結果を用いて、PRETEXTとPOSTTEXTの分類を判定します。
小児肝細胞がんでは、次の2種類の分類体系を用いて、手術で腫瘍を切除できるかどうかを判定します:
- PRETEXT分類は、患者さんが治療を受ける腫瘍について表します。
- POSTTEXT分類は、患者さんが術前補助化学療法などの治療を受けた腫瘍について表します。
肝臓は4つの区域に分けられます。PRETEXTとPOSTTEXTの分類は、肝臓のどの区分にがんが存在するかによって決まります。
PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類I
分類Iでは、肝臓の1つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。
PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類II
分類IIでは、肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。
PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類III
分類IIIでは、以下の条件のいずれかが満たされます:
- がんが肝臓の3つの区域に認められ、1つの区域にはがんが認められない。
- がんが肝臓の2つの区域に認められ、かつそれらの2つの区域が隣り合っている。
PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類IV
分類IVでは、肝臓の4つの区域の全てにがんが認められます。
小児肝細胞がんは治療後に増殖し続けたり再発したりすることがあります。
増殖や拡がり、または悪化が続くがんは進行性疾患です。進行性疾患のがんは、治療に反応しなくなった難治性のがんの可能性があります。
再発小児肝細胞がんとは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は、肝臓内に起こることもあれば、体の他の部位に起こることもあります。転移がん(最初に発生した場所から他の部位に転移したがん)の詳細については、転移がん:がんが拡がる場合(英語)をご覧ください。
小児肝細胞がんの治療法
肝細胞がんのお子さんは、必ずこのまれな小児がんの治療に精通した医療提供者チームに治療計画を立ててもらってください。この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、肝細胞がんの小児の治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組みます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要であれば肝移植プログラムに患者さんを紹介できる小児外科医が治療に参加することが重要です。他にも以下のような専門家が治療に参加することがあります:
- 小児科医
- 放射線腫瘍医
- 小児専門看護師
- リハビリテーション専門家
- 心理士
- ソーシャルワーカー
- 栄養士
がんの子どもをもつことや対処方法、支援の探し方についての詳しい情報は、小児がん(英語)をご覧ください。
全員が下記の治療を全て受けるわけではありません。お子さんの治療を担当するチームは、保護者がお子さんの状況を考慮して治療の意思決定を下すことができるように支援します。小児肝細胞がんの治療計画を決定する際に検討される要因については、小児肝細胞がんの予後因子をご覧ください。
手術
可能な場合は、手術によるがんの摘出が行われます。施行できる手術には、以下の種類があります:
- 部分的肝切除術:がんが認められる肝臓の部分だけを手術で切除します。切除範囲は、がん周辺の少量の正常組織を含めて、楔状の組織、全葉、または肝臓の大部分とする場合があります。
- 全肝切除術と肝移植:手術で肝臓を完全に切除して、ドナーの健康な肝臓と取り換えます。肝移植は、がんが肝臓の外部には拡がっておらず、なおかつ肝臓のドナーがみつかった場合に行われます。肝臓の提供を待たなければならない場合は、必要に応じて他の治療が実施されます。
- 転移巣切除:肝臓の外部(周辺組織や肺、脳など)に転移したがんを切除する手術。
施行できる手術の種類に影響する因子には、以下のものがあります:
- PRETEXT分類とPOSTTEXT分類
- 原発腫瘍の大きさ
- 肝臓に腫瘍が2ヵ所以上あるかどうか
- がんが周辺の大血管まで拡がっているかどうか
- 血液中のAFP(α-フェトプロテイン)の値
- 腫瘍を手術で切除できる大きさに、化学療法で小さくできるかどうか
- 肝移植が必要かどうか
腫瘍を小さくして摘出しやすくするために、手術の前に化学療法を行うこともあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。
手術の際に確認できる全てのがんを切除した後に、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法や放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹部などの体腔内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。
肝動脈(肝臓に血液を供給している主要な動脈)化学塞栓療法は局所化学療法の1つで、手術で切除できない小児肝がんの治療に用いられます。この方法では、カテーテル(細い管)を介して抗がん剤を肝動脈の中に注入します。その薬剤には動脈を詰まらせる物質が混ぜられていて、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。その結果、抗がん剤の大半が腫瘍の近くにとどまり、体内の他の部位に送られる抗がん剤の量が少なくなります。動脈を遮断するのに使用する物質の種類に応じて、動脈の閉塞は一時的なものにも永久的なものにもできます。腫瘍の増殖に必要となる酸素や栄養素が供給されなくなります。一方で肝臓への血液供給は、胃や腸から肝臓に血液を運んでくる肝門脈によって維持されます。この療法は経動脈化学塞栓またはTACEとも呼ばれます。
化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類とPRETEXTまたはPOSTTEXTの分類に応じて異なります。
化学療法と副作用の詳しい情報については、化学療法:がんの患者さんへの支援(英語)をご覧ください。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。
- 放射線塞栓術は肝細胞がんの治療に用いられる内照射療法です。この方法では、ごく少量の放射性物質を微小なビーズに結合させ、カテーテル(細い管)を介して肝動脈(肝臓に血液を供給する主要な動脈)に注入します。そのビーズには動脈を詰まらせる物質が混ぜられていて、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。放射線の大半が腫瘍付近にとどまり、がん細胞を殺傷します。この方法は、肝細胞がんの小児に対して、症状を和らげ生活の質を改善するために行われます。
放射線療法と副作用に関する詳しい情報については、放射線療法によるがん治療(英語)と放射線療法の副作用(英語)をご覧ください。
抗ウイルス治療
B型肝炎ウイルスに関連する肝細胞がんに対しては、抗ウイルス薬による治療が行われます。
標的療法
標的療法とは、特定のがん細胞を攻撃する薬物や物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。治療後に再発した肝細胞がんの治療のために標的療法が研究されています。
標的療法がどのようにがんに対抗するかや標的療法を受けると何が起きるか、あるいは標的療法の副作用についての詳細は、標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。
臨床試験
治療法の臨床試験とは、がん患者さんのために、既存の治療法の改善に役立てたり、新しい治療法に関する情報を得たりするための調査研究です。患者さんによっては、臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
臨床試験についての詳しい情報については、患者さんと介護者向けの臨床試験の情報(英語)をご覧ください。
治療の長期的な副作用
がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、長期的効果または晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:
- 身体的問題
- 気分、感情、思考、学習、記憶における変化
- 二次がん(新しい種類のがん)
晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに発生する可能性がある長期的影響について、担当の医師とよく相談することが大切です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。
フォローアップ検査
がんの診断や治療グループの特定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。
治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。
新たに診断された小児肝細胞がんの治療
新たに診断され、手術で切除可能と判断された肝細胞がんの治療選択肢には、以下のようなものがあります:
- 腫瘍の切除手術単独
- 腫瘍を切除する手術と、その後の シスプラチン および ドキソルビシンによる化学療法
- 併用化学療法と、その後に腫瘍を切除する手術
新たに診断され、手術で切除できないと判断された他の部位に転移していない肝細胞がんの治療選択肢には、以下のようなものがあります:
- 腫瘍を縮小する化学療法と、その後の腫瘍を完全に切除する手術
- 腫瘍を小さくする化学療法
手術で腫瘍を完全に切除できない場合は、さらに以下のような治療が行われます:
- 肝移植
- 肝動脈の化学塞栓により腫瘍を小さくした後に、腫瘍を切除する手術または肝移植
- 肝動脈の化学塞栓単独
- 化学塞栓とその後の肝移植
- 症状を軽減し生活の質を改善する緩和療法としての肝動脈の放射線塞栓術
新たに診断された他の部位に転移している肝細胞がんの治療法には以下のものがあります:
- 腫瘍を縮小する併用化学療法と、その後に肝臓または転移した部位の腫瘍を可能な限り切除する手術。この治療法の効果は研究で実証されていないものの、一部の患者さんで多少の有益性が得られる可能性があります。
B型肝炎ウイルス(HBV)感染に関連する、新たに診断された肝細胞がんの治療法には、以下のようなものがあります:
- 腫瘍を切除する手術
- B型肝炎ウイルスによる感染症を治療する抗ウイルス薬
新たに診断された肝細胞がんの臨床試験では、以下の治療選択肢があります:
- 化学療法と手術の臨床試験への参加
進行性または再発小児肝細胞がんの治療
進行性または再発肝細胞がんの治療法には、以下のようなものがあります:
- 肝移植前に腫瘍を小さくする、肝動脈の化学塞栓
- 肝移植
- 標的療法(ソラフェニブまたはパゾパニブ)の臨床試験への参加
- 適用される標的療法の種類を決定するために、腫瘍のサンプルを検査し、遺伝子に特定の変化がないかを調べる臨床試験への参加
- 小児肝未分化胎児性肉腫
-
小児肝未分化胎児性肉腫は、肝臓の組織に発生するまれな種類のがんです。この種の肝がんは通常、5~10歳の小児に発生します。肝臓全体に拡がっていることが多く、肺に達することもあります。
肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓の多くの重要な機能のうち、主なものは以下の3つです:
- 食物中の脂肪の消化を助ける胆汁を分泌する
- 身体がエネルギーを得るために使用するグリコーゲン(糖質)を貯蔵する
- 血液をろ過して有害物質を取り除き、それを便や尿として体外に排泄できるようにする
小児肝未分化胎児性肉腫の徴候と症状
腫瘍が大きくなると、徴候や症状がみられることが多くなります。これらの徴候や症状などは、肝未分化胎児性肉腫や他の病態によって引き起こされます。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:
- 痛みを伴うことのある腹部のしこり
- 腹部の腫れ
小児肝未分化胎児性肉腫の診断
小児肝未分化胎児性肉腫を診断し転移の有無を確認するために、肝臓と血液を調べる検査法が用いられます。
以下のような検査法や手技が用いられます:
- 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。
-
全血球算定(CBC):血液を採取して以下の項目について調べる検査法:
- 肝機能検査:この血液検査は、肝臓から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定します。ここで、ある物質の値が正常値よりも高く出るということは、肝臓の損傷または肝がんの徴候である可能性があります。
- 血液生化学検査:この血液検査は、採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出されるビリルビンまたは乳酸脱水素酵素(LDH)などの特定の物質の濃度を測定します。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。
- ガドリニウムを使用する磁気共鳴画像法(MRI):磁気、電波、コンピュータを用いて、肝臓内の精細な連続画像を作成する検査法。まずガドリニウムと呼ばれる物質を静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。
- CTスキャン(CATスキャン):この検査法は、コンピュータと連結したX線装置を使用して、体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成します。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。小児肝がんでは通常、胸部と腹部に対するCTスキャンが実施されます。
- 超音波検査:この検査法は、高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用します。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。小児肝がんでは通常、大血管を調べるために腹部超音波検査が実施されます。
- 腹部X線検査:腹部の臓器のX線検査が行われることがあります。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。
-
生検:生検では、医師が細胞や組織のサンプルを採取します。病理医が顕微鏡で細胞や組織を観察し、がん細胞の有無を調べて、がんの種類を特定します。医師は1回の生検手技で、安全を確保したうえでできるだけ多くの腫瘍を切除することがあります。
採取された組織サンプルについて、以下の検査を実施する場合があります:
小児肝未分化胎児性肉腫の予後因子
予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
- 腫瘍の大きさ
- 患者さんの健康状態
- 化学療法に対するがんの反応
- 手術によってがんを完全に摘出できるかどうか
- 患者さんが肝移植を受けられるかどうか
- 新たに診断されたがんか、再発したがんか
最初の治療後に再発した小児肝未分化胎児性肉腫の予後と治療選択肢は、以下の因子に左右されます:
- 腫瘍が再発した部位
- 最初のがんの治療に用いた治療法
小児肝未分化胎児性肉腫の治療法
肝未分化胎児性肉腫のお子さんは、必ずこのまれな小児がんの治療に精通した医療提供者チームに治療計画を立ててもらってください。この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児肝未分化胎児性肉腫の治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組みます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要であれば肝移植プログラムに患者さんを紹介できる小児外科医が治療に参加することが重要です。他にも以下のような専門家が治療に参加することがあります:
- 小児科医
- 放射線腫瘍医
- 小児専門看護師
- リハビリテーション専門家
- 心理士
- ソーシャルワーカー
- 栄養士
がんの子どもをもつことや対処方法、支援の探し方についての詳しい情報は、小児がん(英語)をご覧ください。
全員が下記の治療を全て受けるわけではありません。お子さんの治療を担当するチームは、保護者がお子さんの状況を考慮して治療の意思決定を下すことができるように支援します。このがんの治療計画を決定する際に検討される要因については、小児肝未分化胎児性肉腫の予後因子をご覧ください。
手術
部分的肝切除術(がんが認められる部分の肝臓だけを切除する手術)が行われることがあります。がん周辺の少量の正常組織とともに、楔状の組織、全葉、または肝臓の大部分を切除する場合があります。手術後は肝臓に残った組織によって肝臓の機能が維持され、肝臓の組織が再生することもあります。
肝移植
肝移植では、肝臓全体を手術で切除して、ドナーから提供された健康な肝臓を移植します。肝移植は、がんの存在範囲が肝臓のみに限られ、なおかつ肝臓のドナーがみつかった場合に行われます。肝臓の提供を待たなければならない場合は、必要に応じて他の治療が実施されます。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。
化学療法と副作用の詳しい情報については、化学療法:がんの患者さんへの支援(英語)をご覧ください。
標的療法
標的療法とは、特定のがん細胞を認識し攻撃する薬物や物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。治療後に再発した肝未分化胎児性肉腫の治療のために標的療法が研究されています。
標的療法がどのようにがんに対抗するかや標的療法を受けると何が起きるか、あるいは標的療法の副作用についての詳細は、標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。
臨床試験
治療法の臨床試験とは、がん患者さんのために、既存の治療法の改善に役立てたり、新しい治療法に関する情報を得たりするための調査研究です。患者さんによっては、臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
臨床試験についての詳しい情報については、患者さんと介護者向けの臨床試験の情報(英語)をご覧ください。
治療の長期的な副作用
がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、長期的効果または晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:
- 身体的問題
- 気分、感情、思考、学習、記憶における変化
- 二次がん(新しい種類のがん)
晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに発生する可能性がある長期的影響について、担当の医師とよく相談することが大切です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。
フォローアップ検査
がんの診断や治療グループの特定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。
治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。
新たに診断された小児肝未分化胎児性肉腫の治療
新たに診断された小児肝未分化胎児性肉腫の治療法には、以下のようなものがあります:
- 併用化学療法を行って腫瘍を小さくした後に、手術で腫瘍を可能な限り摘出する場合があります。腫瘍を切除する手術の後に化学療法が行われる場合もあります。
- 腫瘍を手術で切除し、その後に化学療法を行う場合があります。2回目の手術を行って残存している腫瘍を切除した後に、さらに化学療法を続けることもあります。
- 腫瘍が手術で切除できない場合は、肝移植が行われる場合があります。
進行性または再発した小児肝未分化胎児性肉腫の治療
小児肝未分化胎児性肉腫は治療後に増殖し続けたり再発したりすることがあります。
- 増殖や拡がり、または悪化が続くがんは進行性疾患です。進行性疾患のがんは、治療に反応しなくなった難治性のがんの可能性があります。
- 再発小児肝未分化胎児性肉腫とは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は、肝臓内に起こることもあれば、体の他の部位に起こることもあります。
転移がん(最初に発生した場所から他の部位に転移したがん)の詳細については、転移がん:がんが拡がる場合(英語)をご覧ください。
再発した小児肝未分化胎児性肉腫の治療法には、以下のようなものがあります:
- 適用される標的療法の種類を決定するために、腫瘍のサンプルを検査し、遺伝子に特定の変化がないかを調べる臨床試験への参加
- 乳児性肝絨毛がん
-
乳児性肝絨毛がんは、極めてまれながんで、最初に胎盤で発生し、胎児へ拡がります。この腫瘍は、生後数ヵ月で発見されるのが普通です。
肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓の多くの重要な機能のうち、主なものは以下の3つです:
- 食物中の脂肪の消化を助ける胆汁を分泌する
- 身体がエネルギーを得るために使用するグリコーゲン(糖質)を貯蔵する
- 血液をろ過して有害物質を取り除き、それを便や尿として体外に排泄できるようにする
患者さんの母親も絨毛がんと診断されることがあります。絨毛がんの治療に関する母親向けの情報については、妊娠性絨毛疾患の治療をご覧ください。
乳児性肝絨毛がんの徴候と症状
腫瘍が大きくなると、徴候や症状がみられることが多くなります。これらの徴候や症状などは、乳児性肝絨毛がんや他の病態によって引き起こされます。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:
- 腹部のしこり
- 腹部の腫れ
- 出血
乳児性肝絨毛がんの診断
乳児性肝絨毛がんを診断し転移の有無を確認するために、肝臓と血液を調べる検査法が用いられます。以下のような検査法や手技が用いられます:
- 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。
- 血清腫瘍マーカー試験:この血液検査は、臓器や組織、腫瘍細胞などから血液中に放出された特定の物質の量を測定します。特定の物質の血中濃度が上昇している場合には、その物質と関連性のある特定の種類のがんの存在が疑われます。このような物質は腫瘍マーカーと呼ばれます。肝がんの小児では、β-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)というホルモンの血中濃度またはα-フェトプロテイン(AFP)という蛋白の血中濃度が上昇することがあります。ただしAFPの値は、他の種類のがんや良性肝腫瘍、がん以外の特定の病態(肝硬変や肝炎など)でも上昇することがあります。
-
全血球算定(CBC):血液を採取して以下の項目について調べる検査法:
- 肝機能検査:この血液検査は、肝臓から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定します。ここで、ある物質の値が正常値よりも高く出るということは、肝臓の損傷または肝がんの徴候である可能性があります。
- 血液生化学検査:この血液検査は、採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出されるビリルビンまたは乳酸脱水素酵素(LDH)などの特定の物質の濃度を測定します。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。
- ガドリニウムを使用する磁気共鳴画像法(MRI):磁気、電波、コンピュータを用いて、肝臓内の精細な連続画像を作成する検査法。まずガドリニウムと呼ばれる物質を静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。
- CTスキャン(CATスキャン):この検査法は、コンピュータと連結したX線装置を使用して、体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成します。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。小児肝がんでは通常、胸部と腹部に対するCTスキャンが実施されます。
- 超音波検査:この検査法は、高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用します。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。小児肝がんでは通常、大血管を調べるために腹部超音波検査が実施されます。
- 腹部X線検査:腹部の臓器のX線検査が行われることがあります。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。
-
生検:生検では、医師が細胞や組織のサンプルを採取します。病理医が顕微鏡で細胞や組織を観察し、がん細胞の有無を調べて、がんの種類を特定します。がん細胞が見つかったら、医師がそのときの生検手技の中で、安全な範囲でなるべく多くの腫瘍を切除することもあります。
採取された組織サンプルについて、以下の検査を実施する場合があります:
乳児性肝絨毛がんの予後因子
乳児性肝絨毛がんの予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
- 腫瘍の大きさ
- 患者さんの健康状態
- 化学療法に対するがんの反応
- 手術によってがんを完全に摘出できるかどうか
- 患者さんが肝移植を受けられるかどうか
- 新たに診断されたがんか、再発したがんか
最初の治療後に再発した乳児性肝絨毛がんの予後と治療選択肢は、以下の因子に左右されます:
- 腫瘍が再発した部位
- 最初のがんの治療に用いた治療法
乳児性肝絨毛がんの治療法
乳児性肝絨毛がんのお子さんは、必ずこのまれな小児がんの治療に精通した医療提供者チームに治療計画を立ててもらってください。この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、乳児性肝絨毛がんの治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組みます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要であれば肝移植プログラムに患者さんを紹介できる小児外科医が治療に参加することが重要です。他にも以下のような専門家が治療に参加することがあります:
- 小児科医
- 放射線腫瘍医
- 小児専門看護師
- リハビリテーション専門家
- 心理士
- ソーシャルワーカー
- 栄養士
がんの子どもをもつことや対処方法、支援の探し方についての詳しい情報は、小児がん(英語)をご覧ください。
全員が下記の治療を全て受けるわけではありません。お子さんの治療を担当するチームは、保護者がお子さんの状況を考慮して治療の意思決定を下すことができるように支援します。このがんの治療計画を決定する際に検討される要因については、乳児性肝絨毛がんの予後因子をご覧ください。
手術
部分的肝切除術(がんが認められる部分の肝臓だけを切除する手術)が行われることがあります。がん周辺の少量の正常組織とともに、楔状の組織、全葉、または肝臓の大部分を切除する場合があります。手術後は肝臓に残った組織によって肝臓の機能が維持され、肝臓の組織が再生することもあります。
肝移植
肝移植では、肝臓全体を手術で切除して、ドナーから提供された健康な肝臓を移植します。肝移植は、がんの存在範囲が肝臓のみに限られ、なおかつ肝臓のドナーがみつかった場合に行われます。肝臓の提供を待たなければならない場合は、必要に応じて他の治療が実施されます。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。化学療法と副作用の詳しい情報については、化学療法:がんの患者さんへの支援(英語)をご覧ください。
標的療法
標的療法とは、特定のがん細胞を認識し攻撃する薬物や物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。治療後に再発した乳児性肝絨毛がんの治療のために標的療法が研究されています。
標的療法がどのようにがんに対抗するかや標的療法を受けると何が起きるか、あるいは標的療法の副作用についての詳細は、標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。
臨床試験
治療法の臨床試験とは、がん患者さんのために、既存の治療法の改善に役立てたり、新しい治療法に関する情報を得たりするための調査研究です。患者さんによっては、臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
臨床試験についての詳しい情報については、患者さんと介護者向けの臨床試験の情報(英語)をご覧ください。
治療の長期的な副作用
がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、長期的効果または晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:
- 身体的問題
- 気分、感情、思考、学習、記憶における変化
- 二次がん(新しい種類のがん)
晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに発生する可能性がある長期的影響について、担当の医師とよく相談することが大切です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。
フォローアップ検査
がんの診断や治療グループの特定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。
治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。
新たに診断された乳児性肝絨毛がんの治療法
新たに診断された乳児性肝絨毛がんの治療法には、以下のようなものがあります:
- 腫瘍を切除する手術
- 腫瘍を縮小する併用化学療法と、その後の腫瘍を切除する手術
- 化学療法による腫瘍の治療と、その後の肝移植
進行性または再発した乳児性肝絨毛がんの治療
乳児性肝絨毛がんは治療後に増殖し続けたり再発したりすることがあります。
- 増殖や拡がり、または悪化が続くがんは進行性疾患です。進行性疾患のがんは、治療に反応しなくなった難治性のがんの可能性があります。
- 再発乳児性肝絨毛がんとは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は、肝臓内に起こることもあれば、体の他の部位に起こることもあります。
転移がん(最初に発生した場所から他の部位に転移したがん)の詳細については、転移がん:がんが拡がる場合(英語)をご覧ください。
進行性または再発した乳児性肝絨毛がんの治療法には、以下のようなものがあります:
- 適用される標的療法の種類を決定するために、腫瘍のサンプルを検査し、遺伝子に特定の変化がないかを調べる臨床試験への参加