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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

小児肝がんの治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2012-04-12
    翻訳更新日 : 2013-01-07

小児肝がんについての一般的な情報

小児肝がんは、肝臓の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

肝臓は体内で最も大きな臓器のひとつです。4つのから構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓は数多くの重要な機能を果たしており、具体的には以下のものがあります:


  • 血液をろ過して有害物質を取り除き、それを便尿として体外に排泄できるようにする。

  • 食物中の脂肪の消化を助ける胆汁を分泌する。

  • 身体がエネルギーを消費するのに必要となるグリコーゲン(糖質)を貯蔵する。



肝臓の解剖図:図は、肝臓前面の右葉と左葉、胆管、胆嚢、胃、脾臓、膵臓、結腸、小腸を示す。肝臓の後面にある2つの葉は示されていない。



肝臓の解剖図。肝臓は、上腹部の胃、腸、胆嚢、膵臓の近くに位置しています。肝臓には4つの葉が存在します。肝臓の前面に2つの葉があり、後面に2つの小さな葉(示されていない)があります。



10代まで(19歳まで)の子供さんに肝がんが発生するのはまれです。小児肝がんの代表的なものには次の2種類があります:


  • 肝芽腫:通常は肝臓の外に拡がることはない種類の肝がんです。この種類の肝がんは、3歳未満の小児に発生するのが普通です。

  • 肝細胞がん:体の他の部分まで拡がることが多い種類の肝がんです。この種類の肝がんは、14歳を過ぎた子供さんに発生するのが普通です。

あまり一般的ではない以下の2種類の小児肝がんに対する治療法も、本要約で扱っています:


  • 未分化 胎児性 肉腫(UESL):小児および青年において3番目に多い肝がんです。肝未分化胎児性肉腫は5~10歳の子供さんに発生するのが普通です。

  • 乳児性肝絨毛がん:極めてまれな腫瘍で、最初に胎盤に発生し、胎児へ拡がると考えられます。この腫瘍は、生後数ヵ月で発見されるのが普通です。

類上皮型血管内皮腫は、まれな血管がんで、肝臓やその他の臓器に発生します。(詳しい情報については、小児軟部肉腫の治療に関するPDQ要約の血管内皮腫をご覧ください)。

本要約は、原発性肝がん(肝臓に発生したがん)の治療法について記載されています。転移性肝がん(他の部位から発生したがん細胞が肝臓に転移してできたがん)の治療法については、本要約では扱われていません。原発性肝がんは成人にも小児にも発生します。しかし、小児の場合の治療法は成人の場合のものとは異なります。(詳しい情報については、成人原発性肝がんの治療に関するPDQ要約をご覧ください。)

特定の疾患や障害をもつ小児では、小児肝がんの発生リスクが高くなります。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクが高いと思う人は、そのことについて担当の医師と話し合ってください。肝芽腫のリスク因子には以下のものがあります:


肝細胞がんのリスク因子には以下のものがあります:


  • 男性であること。

  • B型肝炎C型肝炎にかかっていること。このリスクは、これらのウイルスが母親から子供へ感染した場合に最も大きくなります。

  • 胆汁性 肝硬変やチロシン血症などの特定の疾患によって肝臓に損傷を受けていること。

小児肝がんの徴候として考えられるものに、腹部のしこりと痛みがあります。

腫瘍が大きくなるほど症状が多くみられるようになります。ただし、別の病態が原因で同様の症状が現れてくる場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:


  • 痛みを伴わない腹部のしこり。

  • 腹部の腫れや痛み。

  • 原因不明の体重減少。

  • 食欲の減退。

  • 男児における思春期の早発。

  • 吐き気嘔吐

小児肝がんの発見と診断には、肝臓と血液を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察病歴聴取:しこりや異常と思われる変化などの疾患の徴候に注意しながら、健康の一般的徴候をチェックする身体の診察。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 血清腫瘍マーカー試験:採取した血液を調べて、臓器や組織、腫瘍細胞などから血液中に放出された特定の物質の量を測定する検査法。特定の物質の血中濃度が上昇している場合には、その物質と関連性のある特定の種類のがんの存在が疑われます。このような物質は腫瘍マーカーと呼ばれます。肝がんの小児では、α-フェトプロテイン(AFP)という蛋白の血中濃度かβ-ヒト絨毛性ゴナドトロピン(β-hCG)というホルモンの血中濃度が上昇することがあります。ただし、AFPの値については、他の種類のがんやがん以外の一部の病態(肝硬変肝炎など)でも上昇することがあります。

  • 全血球算定(CBC):血液を採取して以下の項目について調べる検査法:

  • 肝機能検査:採取した血液を調べて、肝臓から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法。ここである物質の値が正常値よりも高く出るということは、肝がんの徴候である可能性があります。

  • 腹部 X線検査:腹部の臓器のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。

  • CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。小児肝がんでは通常、胸部と腹部に対するCTスキャンが実施されます。

  • MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

  • 生検細胞や組織を採取する手技のことで、採取されたサンプルは顕微鏡で観察され、がんの徴候がないか調べられます。腫瘍を切除または観察するための手術の際に組織サンプルの採取が行われることがあります。採取されたサンプルは、病理医が顕微鏡で観察して、それにより肝がんの種類が特定されます。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


  • がんの病期(腫瘍の大きさ、腫瘍の存在範囲は肝臓の一部かその全域か、もしくはなどの他の部位に拡がっているか)。

  • 手術によって腫瘍を完全に摘出できるかどうか。

  • 肝がんの種類。

  • 新たに診断されたがんか、再発したがんか。

予後を左右する因子には以下のようなものもあります:


  • がん細胞の特徴(顕微鏡で観察したときの外観)。

  • 化学療法の開始後にAFPの血中濃度が低下するかどうか。

小児肝がんは、腫瘍が小さくて手術によって完全に切除できる場合は、治癒も望めます。肝芽腫では、肝細胞がんと比べて、完全摘出が可能な場合が多くなります。

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小児肝がんの病期

小児肝がんの診断がついた後には、がん細胞の肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がん肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。

病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:


  • CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

  • MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。

  • 手術腫瘍を調べたり、切除したりするために行われる外科処置。手術の際に摘出された組織は病理医によって検査されます。

小児肝がんには、2つの病期分類システムがあります。

小児肝がんでは、以下の2つの病期分類システムが使用されています:


  • 術前(手術する前の)病期分類:この病期分類は、MRIやCTなどの画像検査法により、肝臓の4つの部分(区域)のどこまで腫瘍が拡がっているかを基に判定します。この病期分類システムは、PRETEXTと呼ばれています。

  • 術後(手術した後の)病期分類:この病期分類は、腫瘍を調べたり、切除したりする手術を患者さんが受けた後に、体内に残存している腫瘍の量を基に判定します。

手術前には、以下の病期分類が用いられます:

肝臓を縦の線で4つの区域に分けています。

PRETEXT 1


肝のPRETEXT 1;2種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左端の区域にがんがある。2番目の肝臓では、右端の区域にがんがある。



PRETEXT 1.肝臓の1つの区域のみにがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。



PRETEXT 1では、肝臓の1つの区域のみにがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。

PRETEXT 2


肝のPRETEXT 2;5種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左側の2つの区域にがんがある。2番目の肝臓では、右側の2つの区域にがんがある。3番目の肝臓では、左端と右端の区域にがんがある。4番目の肝臓では、左から2番目の区域にがんがある。5番目の肝臓では、右から2番目の区域にがんがある。



PRETEXT 2.肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。



PRETEXT 2では、肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。

PRETEXT 3


肝のPRETEXT 3;7種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左側の3つの区域にがんがある。2番目の肝臓では、左側の2つの区域と右端の区域にがんがある。3番目の肝臓では、左端の区域と右側の2つの区域にがんがある。4番目の肝臓では、右側の3つの区域にがんがある。5番目の肝臓では、中央の2つの区域にがんがある。6番目の肝臓では、左端の区域と右から2番目の区域にがんがある。7番目の肝臓では、右端の区域と左から2番目の区域にがんがある。



PRETEXT 3.肝臓の3つの区域にがんが認められ、1つの区域にはがんが認められません。あるいは、肝臓の2つの区域にがんが認められ、そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんが認められません。



PRETEXT 3では、以下の条件のいずれかが満たされます:


  • がん肝臓の3つの区域に認められ、1つの区域にはがんが認められない。

  • がんが肝臓の2つの区域に認められ、そこと隣接する肝臓の2つの区域にはがんが認められない。

PRETEXT 4


肝のPRETEXT 4;2種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、4つの区域すべてにがんがある。2番目の肝臓では、左側の2つの区域にがんがあり、右側の2つの区域には塊状のがんがある。



PRETEXT 4.4つの区域のすべてにがんが認められます。



PRETEXT 4では、肝臓の4つの区域のすべてにがんが認められます。

手術後には以下の病期分類が用いられます:
I期

I期では、腫瘍肝臓にしか認められず、がんのすべてが手術によって摘出されています。

II期

II期では、腫瘍肝臓にしか認められず、顕微鏡でなくても確認できるがんのすべてが手術によって摘出されています。少量のがんが肝臓内に残存していますが、顕微鏡でないと確認できないくらいか、その腫瘍細胞が、手術前ないし手術中に腹部に漏れ出していた可能性があります。

III期

III期では以下の条件が満たされます:


  • 手術による腫瘍の摘出が不可能である;または

  • 手術後に顕微鏡なしで確認できるがんが残存している;または

  • 付近のリンパ節にがんの転移がみられる。

IV期

IV期では、がんが体の他の部位に転移しています。

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

体内でのがんの拡がり方には以下の3種類があります:


  • 組織を介するもの。がんが周辺の正常組織に浸潤していきます。

  • リンパ系を介するもの。がんがリンパ系に侵入した後、リンパ管を通って体内の他の部位へと移動します。

  • 血液を介するもの。がんが静脈毛細血管に侵入した後、血液を介して体内の他の部位へと移動します。

がん細胞原発腫瘍(最初にできた腫瘍)を離れ、リンパ液や血液を介して体内の他の部位に移動すると、新たな腫瘍(続発性腫瘍)が形成されることがあります。このプロセスは転移と呼ばれます。続発性(転移性)腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、乳がんが骨に転移する場合、その骨のがん細胞は、実際は乳がんの細胞です。この疾患は転移性乳がんであり、骨がんではありません。

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再発小児肝がん

再発小児肝がんとは、治療後に再発(再び現れること)したがんのことをいいます。再発は、肝臓内に起こることもあれば、体の他の部位に起こることもあります。

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治療選択肢の概要

小児肝がんの患者さんには様々な治療法が存在します。

小児肝がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、がん患者さんのために、既存の治療法の改善に役立てたり、新しい治療法に関する情報を得たりするための調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。

小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討すべきです。ただし臨床試験のなかには、まだ治療を開始していない患者さんだけを対象としたものもあります。

肝がんの子供さんは、必ずこのまれな小児がんの治療に精通した医療提供者チームに治療計画を立ててもらってください。

この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児肝がんの治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組んでいきます。さらに、肝臓 手術の経験豊富な小児外科医が治療に参加することが特に重要です。他にも以下のような専門家が治療に参加することがあります:


がんの治療のなかには、治療が終ってから何ヵ月または何年もたって副作用が現れるものがあります。

がん治療による副作用のうち、がんの治療中または治療後に初めて認められ、数ヵ月ないし数年間続くものは、晩期障害と呼ばれます。がん治療の晩期障害には以下のものがあります:


  • 身体的問題。

  • 気分、感情、思考、学習、記憶における変化。

  • 二次がん(新しい種類のがん)。

晩期障害には治療や制御することが可能なものもあります。がん治療によって子供さんに発生する可能性がある晩期障害について、担当の医師とよく相談することが大切です。(詳しい情報については、PDQ小児がん治療の晩期障害に関する要約をご覧ください)。

標準治療としては、以下の5種類が用いられています:
手術

可能な場合は、手術によるがんの摘出が行われます。


  • 凍結手術上皮内がんなどの異常な 組織を凍結し、破壊する器具を用いた治療法。この種の治療法は、凍結療法とも呼ばれています。医師は器具を治療箇所まで導くために超音波を用いることがあります。

  • 部分的肝切除術:がんが認められる部分の肝臓だけを切除する手術。切除範囲は、がん周辺の少量の正常組織を含めて、楔状の組織、全、または肝臓の大部分とする場合があります。

  • 全肝切除術と肝移植:肝臓を完全に切除して、ドナーの健康な肝臓と取り換えます。肝移植は、がんが肝臓の外部には拡がっておらず、なおかつ肝臓のドナーがみつかった場合に行われます。肝臓の提供を待たなければならない場合は、必要に応じて他の治療が実施されます。

  • 転移切除:肝臓の外部(周辺組織や、脳など)に転移したがんを切除する手術。

採用する手術の種類に影響するいくつかの因子として、以下のものがあります:


  • PRETEXT 病期(手術前のがんの進行度)。

  • 原発腫瘍の大きさ。

  • 肝臓に腫瘍が2箇所以上あるかどうか。

  • がんが血管まで拡がっているかどうか。

  • 血液中のα-フェトプロテインの値。

  • 腫瘍を手術で切除できる大きさまで、化学療法により小さくできるかどうか。

  • 肝移植が必要かどうか。

腫瘍を小さくして摘出しやすくするために、手術の前に化学療法を行うこともあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。手術の際に医師が確認できるがんをすべて切除した場合でも、残っているがん細胞をすべて死滅させるために、手術後に化学療法または放射線療法を受ける患者さんもおられます。がんが再発するリスクを抑えるために手術の後に行う治療は、術後補助療法と呼ばれます。

注意深い経過観察

注意深い経過観察とは、症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く監視していくことです。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹部などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。

肝動脈(肝臓に血液を供給している主要な動脈化学塞栓療法は局所化学療法のひとつで、小児肝がんの治療に用いられます。この方法では、カテーテル(細い管)を介して抗がん剤を肝動脈の中に注入します。その薬剤には動脈を詰まらせる物質が混ぜられていて、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。その結果、抗がん剤の大半が腫瘍の近くにとどまり、体内の他の部位に送られる抗がん剤の量が少なくなります。動脈を遮断するのに使用する物質の種類に応じて、動脈の閉塞は一時的なものにも永久的なものにもできます。腫瘍の増殖に必要となる酸素栄養素が供給されないようになります。一方で肝臓への血液供給は、から血液を運んでくる肝門脈によって維持されます。

複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

経皮的エタノール注入

経皮的エタノール注入は、がん治療法のひとつで、がん細胞を殺傷するために、細い針を用いてエタノール(アルコール)を腫瘍内に直接注入します。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。

標的療法

標的療法とは、正常な細胞には害を及ぼすことなく、特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。血管新生阻害薬は標的療法の一種で、小児肝がん治療の分野で研究されています。血管新生阻害薬は、新たな血管の成長を阻止する物質です。がん治療における血管新生阻害薬は、腫瘍の増殖に必要となる新たな血管の成長を妨げます。

患者さんは臨床試験への参加を考えてもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験一覧のものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。これはときに再病期分類と呼ばれます。

治療が終ってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

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小児肝がんの治療選択肢

それぞれの治療のセクションには現在実施中の臨床試験の一覧へのリンクが張られています。がんの種類や病期によっては、臨床試験の掲載が1件もない場合もあります。ここに掲載されていない臨床試験でご自身に適したものがないかは、担当の医師にご確認ください。

肝芽腫

I期とII期の肝芽腫に対しては、以下の治療法が考えられます:


III期の肝芽腫に対しては、以下の治療法が考えられます:


  • 併用化学療法を行って腫瘍を縮小した後に、手術で腫瘍を可能な限り摘出。

  • 腫瘍が手術で切除できない場合は、併用化学療法を行った後に肝臓 移植

  • 肝動脈化学塞栓(その後に手術で腫瘍を可能な限り摘出する場合もあります)。

  • 手術ないし生検、化学療法、肝臓移植などを新しく組み合わせた臨床試験への参加。

IV期の肝芽腫に対しては、以下の治療法が考えられます:


  • 併用化学療法を行って腫瘍を小さくした後に、手術によって、などの体の他の部分まで拡がってしまったがんを含めて、がんを可能な限り摘出。この手術でがんが完全に摘出できた場合には、残存している可能性のあるがん細胞を完全に根絶するために、さらに化学療法を行います。

  • 腫瘍が手術で切除できない場合は、化学療法の後に肝臓移植

  • 体の他の部分まで拡がってしまった腫瘍が化学療法を行った後の手術でも完全には切除できない場合は、さらに以下のような治療法が考えられます:

  • 化学療法、腫瘍を切除する手術、肝臓移植などを新しく組み合わせた臨床試験への参加。

肝細胞がん

I期とII期の肝細胞がんに対しては、以下の治療法が考えられます:


III期の肝細胞がんとPRETEXT 4期の肝細胞がんに対しては、以下の治療法が考えられます:


手術後の病期がIV期の肝細胞がんに対しては、併用化学療法を行って腫瘍を小さくした後に、手術で腫瘍を可能な限り摘出する治療法が考えられます。

肝未分化胎児性肉腫

未分化 胎児性 肉腫に対しては、以下の治療法が考えられます:


  • 併用化学療法を行って腫瘍を小さくした後に、手術で腫瘍を可能な限り摘出し、その後、さらに化学療法

  • 手術で腫瘍を摘出した後に、化学療法。2回目の手術を行って残存している腫瘍を切除した後に、さらに化学療法を続けることもあります。

  • 腫瘍が手術で切除できない場合は、肝臓 移植

  • 手術前または手術後に化学療法を行い、場合によっては放射線療法を併用する臨床試験への参加。

乳児性肝絨毛がん

乳児性肝絨毛がんに対しては、併用化学療法を行って腫瘍を小さくした後に、手術で腫瘍を可能な限り摘出する治療法が考えられます。

再発小児肝がん

再発肝芽腫に対しては、以下の治療法が考えられます:


再発肝細胞がんに対しては、以下の治療法が考えられます:


臨床試験における治療選択肢

NCIのがん臨床試験リストから、小児肝がんの現在患者さんを受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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