患者さん向け 小児肝がんの治療

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このPDQがん情報要約では、小児肝がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

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肝芽腫

肝芽腫は、肝臓の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。最も多くみられる種類の小児肝がんで、通常は3歳未満の小児に発生します。

肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓の多くの重要な機能のうち、主なものは以下の3つです:

肝臓の解剖図:図は肝臓の右葉と左葉を示す。さらに胆管、胆嚢、胃、脾臓、膵臓、小腸、結腸も示している。

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肝臓の解剖図。肝臓は、上腹部の胃、腸、胆嚢、膵臓の近くに位置しています。肝臓には右葉と左葉があります。各葉は2つの部分に分けられます(図には示されていません)。

肝芽腫では、組織型(顕微鏡で観察したときのがん細胞の外見)が、がんの治療法を左右します。肝芽腫の組織型は、以下のいずれかに分類されます:

肝芽腫の徴候と症状

腫瘍が大きくなると、徴候や症状がみられることが多くなります。ただし、別の病態が原因で同様の徴候や症状が現れてくる場合もあります。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:

肝芽腫の原因とリスク因子

病気になるリスクを増大させるものは、全てリスク因子と呼ばれます。これらのリスク因子の1つ以上を持つ小児がみな肝芽腫になるわけではありませんし、既知のリスク因子を持たない小児が胚芽腫になることもあります。お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。

肝芽腫のリスク因子には、以下の症候群や病態があります:

肝芽腫の発生リスクが高い小児には、症状が現れる前にがんの検査が実施されることがあります。小児が4歳になるまでは、3ヵ月ごとに腹部超音波検査を実施し、血液中のα-フェトプロテイン濃度を調べます。

肝芽腫の診断

肝芽腫を診断し転移の有無を確認するために、肝臓と血液を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:

肝芽腫の予後因子

肝芽腫の予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:

最初の治療後に再発した(再び現れた)肝芽腫の予後と治療選択肢は、以下の因子に左右されます:

肝芽腫は、腫瘍が小さくて手術によって完全に切除できる場合は、治癒も望めます。

肝芽腫の病期

肝芽腫の診断がついた後には、がん細胞の肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。がんの肝臓内での拡がりや、周辺の組織または臓器、もしくは他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。肝芽腫では、病期分類の代わりにPRETEXT分類とPOSTTEXT分類を用いて治療計画を立てます。がんの発見や診断、あるいは転移の有無を明らかにするための検査や手技の結果を用いて、PRETEXTとPOSTTEXTの分類を判定します。

肝芽腫では、次の2種類の分類体系を用いて、手術で腫瘍を切除できるかどうかを判定します:

肝臓は4つの区域に分けられます。PRETEXTとPOSTTEXTの分類は、肝臓のどの区分にがんが存在するかによって決まります。4つのPRETEXT分類とPOSTTEXT分類があります。

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類I

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT I;2種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左端の区域にがんがある。2番目の肝臓では、右端の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT I。肝臓の1つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。

分類Iでは、肝臓の1つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類II

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT II;5種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左側の2つの区域にがんがある。2番目の肝臓では、右側の2つの区域にがんがある。3番目の肝臓では、左端と右端の区域にがんがある。4番目の肝臓では、左から2番目の区域にがんがある。5番目の肝臓では、右から2番目の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT II。肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。

分類IIでは、肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類III

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT III;7種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左側の3つの区域にがんがある。2番目の肝臓では、左側の2つの区域と右端の区域にがんがある。3番目の肝臓では、左端の区域と右側の2つの区域にがんがある。4番目の肝臓では、右側の3つの区域にがんがある。5番目の肝臓では、中央の2つの区域にがんがある。6番目の肝臓では、左端の区域と右から2番目の区域にがんがある。7番目の肝臓では、右端の区域と左から2番目の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT III。がんが肝臓の3つの区域に認められ、かつ1つの区域にはがんが認められないか、またはがんが肝臓の2つの区域に認められ、かつそれらの2つの区域が隣り合っています。

分類IIIでは、以下の条件のいずれかが満たされます:

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類IV

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT IV;2種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、4つの区域全てにがんがある。2番目の肝臓では、左側の2つの区域にがんがあり、右側の2つの区域には塊状のがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT IV。肝臓の4つの区域の全てにがんが認められます。

分類IVでは、肝臓の4つの区域の全てにがんが認められます。

肝芽腫は治療後に増殖し続けたり再発したりすることがあります。

増殖や拡がり、または悪化が続くがんは進行性疾患です。進行性疾患のがんは、治療に反応しなくなった難治性のがんの可能性があります。

再発肝芽腫とは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は、肝臓内に起こることもあれば、体の他の部位に起こることもあります。転移がん(最初に発生した場所から他の部位に転移したがん)の詳細については、転移がん:がんが拡がる場合(英語)をご覧ください。

肝芽腫の治療法

肝芽腫のお子さんは、必ずこのまれな小児がんの治療に精通した医療提供者チームに治療計画を立ててもらってください。この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、肝芽腫の治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組みます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要であれば肝移植プログラムに患者さんを紹介できる小児外科医が治療に参加することが重要です。他にも以下のような専門家が治療に参加することがあります:

がんの子どもをもつことや対処方法、支援の探し方についての詳しい情報は、小児がん(英語)をご覧ください。

全員が下記の治療を全て受けるわけではありません。お子さんの治療を担当するチームは、保護者がお子さんの状況を考慮して治療の意思決定を下すことができるように支援します。肝芽腫の治療計画を決定する際に検討される要因については、肝芽腫の予後因子をご覧ください。

手術

可能な場合は、手術によるがんの摘出が行われます。施行できる手術には、以下の種類があります:

施行できる手術の種類に影響する因子には、以下のものがあります:

腫瘍を小さくして摘出しやすくするために、手術の前に化学療法を行うこともあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。

手術の際に確認できる全てのがんを切除した後に、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法や放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

注意深い経過観察

注意深い経過観察とは、徴候や症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く監視していくことです。肝芽腫では、この治療法は腫瘍が小さく手術で完全に切除できた場合にのみ用いられます。

化学療法

化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹部などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。

肝動脈(肝臓に血液を供給している主要な動脈)化学塞栓療法は局所化学療法の1つで、手術で切除できない小児肝がんの治療に用いられます。この方法では、カテーテル(細い管)を介して抗がん剤を肝動脈の中に注入します。その薬剤には動脈を詰まらせる物質が混ぜられていて、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。その結果、抗がん剤の大半が腫瘍の近くにとどまり、体内の他の部位に送られる抗がん剤の量が少なくなります。動脈を遮断するのに使用する物質の種類に応じて、動脈の閉塞は一時的なものにも永久的なものにもできます。腫瘍の増殖に必要な酸素や栄養素が腫瘍に供給されなくなります。一方で肝臓への血液供給は、胃や腸から肝臓に血液を運んでくる肝門脈によって維持されます。この療法は経動脈化学塞栓またはTACEとも呼ばれます。

化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類とPRETEXTまたはPOSTTEXTの分類に応じて異なります。

化学療法と副作用の詳しい情報については、化学療法:がんの患者さんへの支援(英語)をご覧ください。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類とPRETEXTまたはPOSTTEXTの分類に応じて異なります。

放射線療法には2種類のものがあります:

放射線療法と副作用に関する詳しい情報については、放射線療法によるがん治療(英語)放射線療法の副作用(英語)をご覧ください。

焼灼療法(アブレーション)

焼灼療法(アブレーション)は組織を除去したり破壊したりする治療法です。肝がんには様々な焼灼療法が用いられます:

標的療法

標的療法とは、特定のがん細胞を認識し攻撃する薬物や物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。治療後に再発した肝芽腫の治療のために標的療法が研究されています。

標的療法がどのようにがんに対抗するかや標的療法を受けると何が起きるか、あるいは標的療法の副作用についての詳細は、標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。

臨床試験

治療法の臨床試験とは、がん患者さんのために、既存の治療法の改善に役立てたり、新しい治療法に関する情報を得たりするための調査研究です。患者さんによっては、臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

臨床試験についての詳しい情報については、患者さんと介護者向けの臨床試験の情報(英語)をご覧ください。

治療の長期的な副作用

がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、長期的効果または晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:

晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに発生する可能性がある長期的影響について、担当の医師とよく相談することが大切です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。

フォローアップ検査

がんの診断や治療グループの特定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

新たに診断された肝芽腫の治療

新規診断時に手術で切除可能と判断された肝芽腫の治療選択肢には、以下のようなものがあります:

新たに診断され、手術で切除できないと判断された肝芽腫、または切除されない肝芽腫の治療選択肢には、以下のようなものがあります:

新たに診断された他の部位に転移している肝芽腫では、併用化学療法を用いて、肝臓内の腫瘍と他の部位に転移しているがんを小さくします。化学療法の後に、画像検査を行って、手術で腫瘍を切除できるかどうかを調べます。

治療選択肢には以下のようなものがあります:

新たに診断された肝芽腫の臨床試験では、以下の治療選択肢があります:

進行性または再発肝芽腫の治療

進行性または再発肝芽腫の治療法には、以下のようなものがあります:

小児肝細胞がん

小児肝細胞がんは肝細胞と呼ばれる肝臓の細胞に発生する、まれな種類のがんです。肝細胞は肝臓を構成する主な細胞で、肝臓のほとんどの機能を担っています。

肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓の多くの重要な機能のうち、主なものは以下の3つです:

肝臓の解剖図:図は肝臓の右葉と左葉を示す。さらに胆管、胆嚢、胃、脾臓、膵臓、小腸、結腸も示している。

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肝臓の解剖図。肝臓は、上腹部の胃、腸、胆嚢、膵臓の近くに位置しています。肝臓には右葉と左葉があります。各葉は2つの部分に分けられます(図には示されていません)。

小児肝細胞がんは通常、年長児や青年に発生します。米国内よりも、B型肝炎ウイルス感染率が高いアジアの地域で多くみられます。 

肝細胞がんは成人で非常によくみられる種類の肝がんです。小児のリスク因子、病期分類、治療法は成人と異なります。成人の肝細胞がんに関する詳しい情報については、肝がんはどのような病気か(英語)をご覧ください。 

小児肝細胞がんの徴候と症状

腫瘍が大きくなると、徴候や症状がみられることが多くなります。ただし、別の病態が原因で同様の徴候や症状が現れてくる場合もあります。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:

小児肝細胞がんの原因とリスク因子

病気になるリスクを増大させるものは、全てリスク因子と呼ばれます。これらのリスク因子の1つ以上を持つ小児がみな肝細胞がんになるわけではありませんし、既知のリスク因子を持たない小児が肝細胞がんになることもあります。お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。

小児肝細胞がんのリスク因子には、以下の症候群や病態があります:

基礎的な肝疾患のない小児に肝細胞がんが発生することもあります。

小児肝細胞がんの診断

小児肝細胞がんを診断し転移の有無を確認するために、肝臓と血液を調べる検査法が用いられます。 

以下のような検査法や手技が用いられます:

小児肝細胞がんの予後因子

小児肝細胞がんの予後(回復の見込み)と治療法は以下の要因によって異なります:

最初の治療後に再発した小児肝細胞がんの予後と治療選択肢は、以下の因子に左右されます:

小児肝がんは、腫瘍が小さくて手術によって完全に切除できる場合は、治癒も望めます。肝芽腫は、肝細胞がんよりも完全摘出が可能な場合が多くなります。

小児肝細胞がんの病期

小児肝細胞がんの診断がついた後には、がん細胞の肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。がんの肝臓内での拡がりや、周辺の組織または臓器、もしくは他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。小児肝細胞がんでは、病期分類の代わりにPRETEXT分類とPOSTTEXT分類を用いて治療計画を立てます。がんの発見や診断、あるいは転移の有無を明らかにするための検査や手技の結果を用いて、PRETEXTとPOSTTEXTの分類を判定します。

小児肝細胞がんでは、次の2種類の分類体系を用いて、手術で腫瘍を切除できるかどうかを判定します:

肝臓は4つの区域に分けられます。PRETEXTとPOSTTEXTの分類は、肝臓のどの区分にがんが存在するかによって決まります。

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類I

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT I;2種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左端の区域にがんがある。2番目の肝臓では、右端の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT I。肝臓の1つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。

分類Iでは、肝臓の1つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の3つの区域にはがんがありません。

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類II

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT II;5種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左側の2つの区域にがんがある。2番目の肝臓では、右側の2つの区域にがんがある。3番目の肝臓では、左端と右端の区域にがんがある。4番目の肝臓では、左から2番目の区域にがんがある。5番目の肝臓では、右から2番目の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT II。肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。

分類IIでは、肝臓の1つないし2つの区域にがんが認められます。そこと隣接している肝臓の2つの区域にはがんがありません。

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類III 

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT III;7種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、左側の3つの区域にがんがある。2番目の肝臓では、左側の2つの区域と右端の区域にがんがある。3番目の肝臓では、左端の区域と右側の2つの区域にがんがある。4番目の肝臓では、右側の3つの区域にがんがある。5番目の肝臓では、中央の2つの区域にがんがある。6番目の肝臓では、左端の区域と右から2番目の区域にがんがある。7番目の肝臓では、右端の区域と左から2番目の区域にがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT III。がんが肝臓の3つの区域に認められ、かつ1つの区域にはがんが認められないか、またはがんが肝臓の2つの区域に認められ、かつそれらの2つの区域が隣り合っています。

分類IIIでは、以下の条件のいずれかが満たされます:

PRETEXTまたはPOSTTEXTの分類IV

肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT IV;2種類の肝臓を示す。それぞれ、縦の点線で肝臓を4つの区画に分けて、ほぼ同じ大きさになるようにしている。1番目の肝臓では、4つの区域全てにがんがある。2番目の肝臓では、左側の2つの区域にがんがあり、右側の2つの区域には塊状のがんがある。

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肝のPRETEXTまたはPOSTTEXT IV。肝臓の4つの区域の全てにがんが認められます。

分類IVでは、肝臓の4つの区域の全てにがんが認められます。 

小児肝細胞がんは治療後に増殖し続けたり再発したりすることがあります。 

増殖や拡がり、または悪化が続くがんは進行性疾患です。進行性疾患のがんは、治療に反応しなくなった難治性のがんの可能性があります。

再発小児肝細胞がんとは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は、肝臓内に起こることもあれば、体の他の部位に起こることもあります。転移がん(最初に発生した場所から他の部位に転移したがん)の詳細については、転移がん:がんが拡がる場合(英語)をご覧ください。

小児肝細胞がんの治療法

肝細胞がんのお子さんは、必ずこのまれな小児がんの治療に精通した医療提供者チームに治療計画を立ててもらってください。この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、肝細胞がんの小児の治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組みます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要であれば肝移植プログラムに患者さんを紹介できる小児外科医が治療に参加することが重要です。他にも以下のような専門家が治療に参加することがあります:

がんの子どもをもつことや対処方法、支援の探し方についての詳しい情報は、小児がん(英語)をご覧ください。

全員が下記の治療を全て受けるわけではありません。お子さんの治療を担当するチームは、保護者がお子さんの状況を考慮して治療の意思決定を下すことができるように支援します。小児肝細胞がんの治療計画を決定する際に検討される要因については、小児肝細胞がんの予後因子をご覧ください。

手術 

可能な場合は、手術によるがんの摘出が行われます。施行できる手術には、以下の種類があります:

施行できる手術の種類に影響する因子には、以下のものがあります:

腫瘍を小さくして摘出しやすくするために、手術の前に化学療法を行うこともあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。

手術の際に確認できる全てのがんを切除した後に、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法や放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

化学療法

化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹部などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。

肝動脈(肝臓に血液を供給している主要な動脈)化学塞栓療法は局所化学療法の1つで、手術で切除できない小児肝がんの治療に用いられます。この方法では、カテーテル(細い管)を介して抗がん剤を肝動脈の中に注入します。その薬剤には動脈を詰まらせる物質が混ぜられていて、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。その結果、抗がん剤の大半が腫瘍の近くにとどまり、体内の他の部位に送られる抗がん剤の量が少なくなります。動脈を遮断するのに使用する物質の種類に応じて、動脈の閉塞は一時的なものにも永久的なものにもできます。腫瘍の増殖に必要となる酸素や栄養素が供給されなくなります。一方で肝臓への血液供給は、胃や腸から肝臓に血液を運んでくる肝門脈によって維持されます。この療法は経動脈化学塞栓またはTACEとも呼ばれます。

化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類とPRETEXTまたはPOSTTEXTの分類に応じて異なります。

化学療法と副作用の詳しい情報については、化学療法:がんの患者さんへの支援(英語)をご覧ください。

放射線療法 

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。

放射線療法と副作用に関する詳しい情報については、放射線療法によるがん治療(英語)放射線療法の副作用(英語)をご覧ください。

抗ウイルス治療

B型肝炎ウイルスに関連する肝細胞がんに対しては、抗ウイルス薬による治療が行われます。

標的療法

標的療法とは、特定のがん細胞を攻撃する薬物や物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。治療後に再発した肝細胞がんの治療のために標的療法が研究されています。 

標的療法がどのようにがんに対抗するかや標的療法を受けると何が起きるか、あるいは標的療法の副作用についての詳細は、標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。

臨床試験

治療法の臨床試験とは、がん患者さんのために、既存の治療法の改善に役立てたり、新しい治療法に関する情報を得たりするための調査研究です。患者さんによっては、臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

臨床試験についての詳しい情報については、患者さんと介護者向けの臨床試験の情報(英語)をご覧ください。

治療の長期的な副作用

がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、長期的効果または晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:

晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに発生する可能性がある長期的影響について、担当の医師とよく相談することが大切です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。

フォローアップ検査

がんの診断や治療グループの特定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

新たに診断された小児肝細胞がんの治療

新たに診断され、手術で切除可能と判断された肝細胞がんの治療選択肢には、以下のようなものがあります:

新たに診断され、手術で切除できないと判断された他の部位に転移していない肝細胞がんの治療選択肢には、以下のようなものがあります:

手術で腫瘍を完全に切除できない場合は、さらに以下のような治療が行われます:

新たに診断された他の部位に転移している肝細胞がんの治療法には以下のものがあります:

B型肝炎ウイルス(HBV)感染に関連する、新たに診断された肝細胞がんの治療法には、以下のようなものがあります:

新たに診断された肝細胞がんの臨床試験では、以下の治療選択肢があります:

進行性または再発小児肝細胞がんの治療

進行性または再発肝細胞がんの治療法には、以下のようなものがあります:

小児肝未分化胎児性肉腫

小児肝未分化胎児性肉腫は、肝臓の組織に発生するまれな種類のがんです。この種の肝がんは通常、5~10歳の小児に発生します。肝臓全体に拡がっていることが多く、肺に達することもあります。

肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓の多くの重要な機能のうち、主なものは以下の3つです:

肝臓の解剖図:図は肝臓の右葉と左葉を示す。さらに胆管、胆嚢、胃、脾臓、膵臓、小腸、結腸も示している。

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肝臓の解剖図。肝臓は、上腹部の胃、腸、胆嚢、膵臓の近くに位置しています。肝臓には右葉と左葉があります。各葉は2つの部分に分けられます(図には示されていません)。

小児肝未分化胎児性肉腫の徴候と症状

腫瘍が大きくなると、徴候や症状がみられることが多くなります。これらの徴候や症状などは、肝未分化胎児性肉腫や他の病態によって引き起こされます。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:

小児肝未分化胎児性肉腫の診断

小児肝未分化胎児性肉腫を診断し転移の有無を確認するために、肝臓と血液を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:

小児肝未分化胎児性肉腫の予後因子

予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:

最初の治療後に再発した小児肝未分化胎児性肉腫の予後と治療選択肢は、以下の因子に左右されます:

小児肝未分化胎児性肉腫の治療法

肝未分化胎児性肉腫のお子さんは、必ずこのまれな小児がんの治療に精通した医療提供者チームに治療計画を立ててもらってください。この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児肝未分化胎児性肉腫の治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組みます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要であれば肝移植プログラムに患者さんを紹介できる小児外科医が治療に参加することが重要です。他にも以下のような専門家が治療に参加することがあります:

がんの子どもをもつことや対処方法、支援の探し方についての詳しい情報は、小児がん(英語)をご覧ください。

全員が下記の治療を全て受けるわけではありません。お子さんの治療を担当するチームは、保護者がお子さんの状況を考慮して治療の意思決定を下すことができるように支援します。このがんの治療計画を決定する際に検討される要因については、小児肝未分化胎児性肉腫の予後因子をご覧ください。

手術

部分的肝切除術(がんが認められる部分の肝臓だけを切除する手術)が行われることがあります。がん周辺の少量の正常組織とともに、楔状の組織、全葉、または肝臓の大部分を切除する場合があります。手術後は肝臓に残った組織によって肝臓の機能が維持され、肝臓の組織が再生することもあります。

肝移植

肝移植では、肝臓全体を手術で切除して、ドナーから提供された健康な肝臓を移植します。肝移植は、がんの存在範囲が肝臓のみに限られ、なおかつ肝臓のドナーがみつかった場合に行われます。肝臓の提供を待たなければならない場合は、必要に応じて他の治療が実施されます。

化学療法

化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。

化学療法と副作用の詳しい情報については、化学療法:がんの患者さんへの支援(英語)をご覧ください。

標的療法

標的療法とは、特定のがん細胞を認識し攻撃する薬物や物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。治療後に再発した肝未分化胎児性肉腫の治療のために標的療法が研究されています。

標的療法がどのようにがんに対抗するかや標的療法を受けると何が起きるか、あるいは標的療法の副作用についての詳細は、標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。

臨床試験

治療法の臨床試験とは、がん患者さんのために、既存の治療法の改善に役立てたり、新しい治療法に関する情報を得たりするための調査研究です。患者さんによっては、臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

臨床試験についての詳しい情報については、患者さんと介護者向けの臨床試験の情報(英語)をご覧ください。

治療の長期的な副作用

がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、長期的効果または晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:

晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに発生する可能性がある長期的影響について、担当の医師とよく相談することが大切です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。

フォローアップ検査

がんの診断や治療グループの特定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

新たに診断された小児肝未分化胎児性肉腫の治療

新たに診断された小児肝未分化胎児性肉腫の治療法には、以下のようなものがあります:

進行性または再発した小児肝未分化胎児性肉腫の治療

小児肝未分化胎児性肉腫は治療後に増殖し続けたり再発したりすることがあります。

転移がん(最初に発生した場所から他の部位に転移したがん)の詳細については、転移がん:がんが拡がる場合(英語)をご覧ください。

再発した小児肝未分化胎児性肉腫の治療法には、以下のようなものがあります:

乳児性肝絨毛がん

乳児性肝絨毛がんは、極めてまれながんで、最初に胎盤で発生し、胎児へ拡がります。この腫瘍は、生後数ヵ月で発見されるのが普通です。

肝臓は体内で最も大きな臓器の1つです。2つの葉から構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓の多くの重要な機能のうち、主なものは以下の3つです:

肝臓の解剖図:図は肝臓の右葉と左葉を示す。さらに胆管、胆嚢、胃、脾臓、膵臓、小腸、結腸も示している。

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肝臓の解剖図。肝臓は、上腹部の胃、腸、胆嚢、膵臓の近くに位置しています。肝臓には右葉と左葉があります。各葉は2つの部分に分けられます(図には示されていません)。

患者さんの母親も絨毛がんと診断されることがあります。絨毛がんの治療に関する母親向けの情報については、妊娠性絨毛疾患の治療をご覧ください。

乳児性肝絨毛がんの徴候と症状

腫瘍が大きくなると、徴候や症状がみられることが多くなります。これらの徴候や症状などは、乳児性肝絨毛がんや他の病態によって引き起こされます。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:

乳児性肝絨毛がんの診断

乳児性肝絨毛がんを診断し転移の有無を確認するために、肝臓と血液を調べる検査法が用いられます。以下のような検査法や手技が用いられます:

乳児性肝絨毛がんの予後因子

乳児性肝絨毛がんの予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:

最初の治療後に再発した乳児性肝絨毛がんの予後と治療選択肢は、以下の因子に左右されます:

乳児性肝絨毛がんの治療法

乳児性肝絨毛がんのお子さんは、必ずこのまれな小児がんの治療に精通した医療提供者チームに治療計画を立ててもらってください。この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、乳児性肝絨毛がんの治療に精通し、特定の医療分野を専門とした他の医療提供者と協力しながら治療に取り組みます。特に、肝臓手術の経験が豊富で、必要であれば肝移植プログラムに患者さんを紹介できる小児外科医が治療に参加することが重要です。他にも以下のような専門家が治療に参加することがあります:

がんの子どもをもつことや対処方法、支援の探し方についての詳しい情報は、小児がん(英語)をご覧ください。

全員が下記の治療を全て受けるわけではありません。お子さんの治療を担当するチームは、保護者がお子さんの状況を考慮して治療の意思決定を下すことができるように支援します。このがんの治療計画を決定する際に検討される要因については、乳児性肝絨毛がんの予後因子をご覧ください。

手術

部分的肝切除術(がんが認められる部分の肝臓だけを切除する手術)が行われることがあります。がん周辺の少量の正常組織とともに、楔状の組織、全葉、または肝臓の大部分を切除する場合があります。手術後は肝臓に残った組織によって肝臓の機能が維持され、肝臓の組織が再生することもあります。

肝移植

肝移植では、肝臓全体を手術で切除して、ドナーから提供された健康な肝臓を移植します。肝移植は、がんの存在範囲が肝臓のみに限られ、なおかつ肝臓のドナーがみつかった場合に行われます。肝臓の提供を待たなければならない場合は、必要に応じて他の治療が実施されます。

化学療法

化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。化学療法と副作用の詳しい情報については、化学療法:がんの患者さんへの支援(英語)をご覧ください。

標的療法

標的療法とは、特定のがん細胞を認識し攻撃する薬物や物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。治療後に再発した乳児性肝絨毛がんの治療のために標的療法が研究されています。

標的療法がどのようにがんに対抗するかや標的療法を受けると何が起きるか、あるいは標的療法の副作用についての詳細は、標的療法によるがん治療(英語)をご覧ください。

臨床試験

治療法の臨床試験とは、がん患者さんのために、既存の治療法の改善に役立てたり、新しい治療法に関する情報を得たりするための調査研究です。患者さんによっては、臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

臨床試験についての詳しい情報については、患者さんと介護者向けの臨床試験の情報(英語)をご覧ください。

治療の長期的な副作用

がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、長期的効果または晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。がん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:

晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がん治療によってお子さんに発生する可能性がある長期的影響について、担当の医師とよく相談することが大切です。詳細については、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)をご覧ください。

フォローアップ検査

がんの診断や治療グループの特定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

新たに診断された乳児性肝絨毛がんの治療法

新たに診断された乳児性肝絨毛がんの治療法には、以下のようなものがあります:

進行性または再発した乳児性肝絨毛がんの治療

乳児性肝絨毛がんは治療後に増殖し続けたり再発したりすることがあります。

転移がん(最初に発生した場所から他の部位に転移したがん)の詳細については、転移がん:がんが拡がる場合(英語)をご覧ください。

進行性または再発した乳児性肝絨毛がんの治療法には、以下のようなものがあります: