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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

神経芽腫の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-01-20
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Pediatric Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、神経芽腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

神経芽腫

神経芽腫についての一般的な情報

神経芽腫は、副腎や頸部、胸部、脊髄などの神経組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

神経芽腫は多くの場合、副腎神経 組織から発生します。副腎は体内に2つあり、上腹部の背側に位置する左右の腎臓の上部に1つずつ存在しています。副腎では、心拍数や血圧血糖ストレスに対する反応などの調節で重要な働きをする数種類のホルモンが作られています。神経芽腫はこの他にも腹部、胸部、頸周辺の神経組織、脊髄内などからも発生することがあります。

図は神経芽腫が発見される傍脊椎神経組織および副腎などの体内の部位を示している。他に、脊椎と左右の腎臓も示している。



神経芽腫は、副腎や首から骨盤にかけての傍脊椎神経組織に認められます。



神経芽腫は、幼児期に発生することが最も多く、通常は5歳未満のお子さんにみられます。腫瘍が増殖を開始し、徴候症状が現れ始めてから発見されます。ときには、出生前に発生し、胎児 超音波検査で発見される場合もあります。

患者さんが神経芽腫と診断されるまでに、通常はがんが他の部位に転移しています。神経芽腫は、リンパ節、骨、骨髄肝臓に転移することが最も多く、乳児では皮膚にも転移します。

詳しい情報については、PDQ神経芽腫のスクリーニングに関する要約をご覧ください。

神経芽腫では、ある遺伝子の突然変異(変化)が親から子へと受け継がれることが原因である場合が時折みられます。

神経芽腫のリスクを高める遺伝子 突然変異は、遺伝する(親から子へと受け継がれる)ことがあります。この遺伝子突然変異を有する患者さんでは、神経芽腫が若年で発生することが多く、副腎髄質に複数の腫瘍がみられる場合があります。

神経芽腫の徴候や症状には、骨の痛みや腹部、頸部、胸部のしこりなどがあります。

神経芽腫で最もよくみられる徴候や症状には、増殖した腫瘍によって周囲の組織が圧迫されることで引き起こされるものや、がんが骨に転移することで引き起こされるものがあります。これらに加え、別の徴候や症状が神経芽腫により引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります。

お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:


  • 腹部、頸部、または胸部のしこり。

  • 眼球の突出。

  • 眼の周囲の黒ずみ(あざのようにも見える)。

  • 骨の痛み。

  • の腫れと呼吸障害(乳児の場合)。

  • 皮膚下の痛みを伴わない青みがかったしこり(乳児の場合)。

  • 筋力の低下や麻痺(体の一部を動かせない状態)。

神経芽腫では、あまり多くはありませんが、以下のような徴候や症状もみられます:


  • 発熱

  • 息切れ。

  • 疲労感。

  • あざや出血が生じやすい。

  • 点状出血(皮下の出血によって生じる平坦で小さな斑点)。

  • 高血圧

  • 重度の水様の下痢

  • 筋肉の動きがぎくしゃくする。

  • 眼を思い通りに動かせない。

神経芽腫の発見と診断には、体の様々な組織と体液を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察と病歴 聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 神経学的検査 :脳と脊髄および神経の機能を調べる目的で行われる一連の問診と検査のこと。この検査のチェック項目には、精神状態、協調運動、歩行能力、それに筋肉や感覚、反射がどの程度機能しているかなどが含まれます。この検査は神経検査や神経学的診察と呼ばれることもあります。

  • 尿中カテコールアミン検査:カテコールアミンが分解されて尿中に排泄されたバニリルマンデル酸(VMA)およびホモバニリン酸(HVA)という特定の物質の量を測定する検査法。VMAやHVAの量が正常より高くなることは、神経芽腫の徴候である可能性があります。

  • 血液生化学検査 :採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。

  • ホルモン検査:採取した血液を調べて、副腎髄質から血液中に放出されるホルモンの量を測定する検査法。ドパミンとノルエピネフリンというホルモンの検査値が正常より高くなることは、神経芽腫の徴候である可能性があります。

  • mIBG(メタヨードベンジルグアニジン)スキャン :神経芽腫や褐色細胞腫などの神経内分泌腫瘍を検出するために用いられる検査法。まずごく少量の放射性mIBGと呼ばれる物質を静脈内に注入し、血流に乗せて全身に巡らせます。神経内分泌腫瘍の細胞は、放射性mIBGを取り込むため、スキャナで検知されます。スキャンを実施するまでに、1~3日かかる場合があります。mIBGが甲状腺で大量に吸収されてしまわないように、検査前または検査中にヨウ素溶液が投与されることがあります。この検査は、治療に対する腫瘍の反応を調べる場合にも使用されます。神経芽腫の治療では、mIBGが高用量で使用されます。

  • 骨髄穿刺と骨髄生検 :腰骨または胸骨に中空の針を挿入して、骨髄、血液、骨の小片などを採取する手技。採取された骨髄、血液、骨は、病理医によって顕微鏡で観察され、がんの徴候がないか調べられます。

    骨髄穿刺と骨髄生検:図は、台の上にうつぶせになった小児の右の腰骨に骨髄穿刺針を挿入しているところを示している。拡大図は、皮膚の上から腰骨の骨髄に挿入した骨髄穿刺針を示している。
    
    


    骨髄穿刺と骨髄生検。皮膚の小さな領域に麻酔を施してから、小児の腰骨に骨髄穿刺針を挿入します。そして顕微鏡での検査用に血液、骨、骨髄などのサンプルを採取します。




  • X線 検査:X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

    腹部のコンピュータ断層撮影(CTスキャン):図のように小児は台の上に横たわり、この台がCT装置内を水平に移動するうちに腹部のX線写真が撮影される。
    
    


    腹部のコンピュータ断層撮影(CTスキャン)。小児の患者さんは台の上に横たわり、この台がCTスキャナ内を水平に移動するうちに腹部のX線写真が撮影されます。




  • ガドリニウムを使用するMRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。まずガドリニウムと呼ばれる物質を患者さんの静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

    腹部の磁気共鳴画像法(MRI):小児は図のように台に横たわり、この台がMRIスキャナ内を水平に移動するうちに体内の画像が撮影される。小児の腹部に置かれたパッドは画像をより鮮明にするためのもの。
    
    


    腹部の磁気共鳴画像法(MRI)。小児の患者さんは台の上に横たわり、この台がMRIスキャナ内を水平に移動するうちに体内の画像が撮影されます。小児の腹部に置かれたパッドは画像をより鮮明にするためのものです。




  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。

    腹部超音波検査:診察台の上に横たわり腹部超音波検査を受けている小児の様子が示されている。技師は、小児の腹部表面に振動子(音波を発生させ、体内の組織で反射させる装置)をあてている。コンピュータの画面にはソノグラム(画像)が描画されている。
    
    


    腹部超音波検査。コンピュータに接続された超音波振動子を腹部の皮膚に押しあてます。振動子から出た音波は体内の臓器および組織で反射してエコーを生じ、そのエコーからソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。




神経芽腫の診断を行うために生検が実施されます。

生検で細胞や組織を採取した後、病理医がそれらを顕微鏡で観察して、がんの徴候がないかどうかを調べます。生検の実施方法は、体内での腫瘍の位置により異なります。ときには、生検を実施すると同時に、腫瘍を全て切除することもあります。

切除された組織に対して、以下の検査が行われることがあります:


  • 細胞遺伝学的分析:組織のサンプル中の細胞を顕微鏡で観察して、染色体に特定の変化がないか確認する臨床検査

  • 光学・電子顕微鏡検査:組織サンプル中の細胞を通常の顕微鏡および高解像度顕微鏡で観察して、細胞に特定の変化がみられないかを調べる臨床検査。

  • 免疫組織化学検査 抗体を利用して、組織のサンプルに含まれる特定の抗原を調べる臨床検査。この抗体には通常、放射性物質または色素が結合されており、その作用によって顕微鏡で観察したときに組織が明るく見えます。この種の検査法は、様々な種類のがんを判別するのに用いられることがあります。

  • MYC-N増幅検査:腫瘍または骨髄細胞でMYC-Nの量を調べる基礎研究。MYC-Nは、細胞の成長に重要です。MYC-Nの量が多くなる(遺伝子コピー数が10を超える)ことをMYC-N増幅と呼びます。神経芽腫でMYC-N増幅がみられると、体内に拡がる可能性が高く、治療で効果が得られる可能性が低くなります。

生後6ヵ月以下の乳児では、治療を行わなくても腫瘍が消失する可能性があるため、腫瘍を切除する生検や手術の必要はありません。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


  • 診断時のお子さんの年齢。

  • がんの病期

  • 最初に腫瘍が発生した部位。

  • 腫瘍の組織型(腫瘍細胞の形状、機能、構造など)。

  • 原発がんと同じ側の半身にあるリンパ節にがんがあるかどうか、または反対側の半身にあるリンパ節にがんがあるかどうか。

  • 治療に対する腫瘍の反応性。

  • 染色体における特定の変化の有無。

  • がんの診断から再発までの経過時間(再発がんの場合)。

神経芽腫の予後や治療選択肢は、以下のような腫瘍の生物学的特徴による影響も受けます:


  • 腫瘍細胞の外観。

  • 正常細胞との相違の程度。

  • 腫瘍細胞の増殖のペース。

  • 腫瘍にMYC-N増幅がみられるかどうか。

この腫瘍は、これらの要因を基準にして、生物学的に予後良好型と予後不良型に分類されます。予後良好型と判定されるということは、回復の可能性がより高いということを意味します。

生後6ヵ月以下の乳児では、治療を行わなくても神経芽腫が消失することがあります。このような乳児では、神経芽腫の徴候や症状を注意深く観察していきます。徴候や症状が現れた場合は、治療が必要と考えられます。

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神経芽腫の病期

神経芽腫の診断がついた後には、発生部位から他の部位へのがんの拡がりの有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がんの存在範囲や拡がりの程度を調べていく過程は、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。神経芽腫では、病期は治療計画の際に参考にされる因子の1つです。神経芽腫の診断に用いられた検査法や手技で得られた結果が病期分類に利用されることもあります。これらの検査法や手技の説明については、一般的な情報のセクションを参照してください。

病期の判定には、以下のような検査法や手技が用いられることもあります:


  • 腰椎穿刺 脊柱内から脳脊髄液(CSF)を採取する際に用いられる手技。脊椎内の2本の骨の間から脊柱内に針を刺し、脊髄周囲を流れるCSFに到達させ、CSFを採取します。CSFのサンプルは顕微鏡で観察し、脳や脊髄に転移したがんの徴候を調べます。この手技は、LPまたは脊椎穿刺とも呼ばれます。

  • リンパ節 生検 :リンパ節の全体または一部を切除する手技。採取された組織病理医が顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。実施される生検には以下のような種類があります:
    • 摘出生検 :リンパ節の全体を摘出する。

    • 切開生検 :リンパ節の一部を採取する。

    • コア生検 :太い針を用いてリンパ節から組織を採取する。

    • 穿刺吸引生検 (FNA生検):細い針を用いてリンパ節から組織または液体を採取する。


  • 胸部、骨、腹部のX線検査:X線とは放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • 骨スキャン :骨の内部に活発に分裂している細胞(がん細胞など)が存在していないかを調べる検査法。まずごく少量の放射性物質を静脈内に注入し、血流に乗せて全身に巡らせます。この放射性物質はがんが生じている骨に集まっていく性質があるため、これを特殊な装置(スキャナ)を用いて検出します。

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:


  • 組織。がんは発生した場所から隣接する領域に拡がります。

  • リンパ系。がんは発生した場所からリンパ系に侵入して拡がります。がんはリンパ管を介して体内の他の部位へ移動します。

  • 血液。がんは発生した場所から血液に侵入して拡がります。がんは血管を介して体内の他の部位へ移動します。

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。


  • リンパ系。がんがリンパ系に侵入し、リンパ管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍転移性腫瘍)を形成します。

  • 血液。がんが血液中に侵入し、血管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍(転移性腫瘍)を形成します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類の腫瘍です。例えば、神経芽腫が肝臓に転移した場合、肝臓にできたがん細胞は、実際は神経芽腫の細胞です。この疾患は転移性神経芽腫であり、肝がんではありません。

神経芽腫では以下のような病期が用いられます:
1期

1期では、腫瘍が1つの領域内にしか存在せず、肉眼で確認できる全ての腫瘍が手術で完全に摘出されます。

2期

2期は、さらに2A期と2B期に分けられます。


  • 2A期腫瘍は1つの領域内にしか認められず、手術では肉眼で確認できる腫瘍を完全に摘出することができない。

  • 2B期腫瘍は1つの領域内にしか認められず、手術では肉眼で確認できる腫瘍を完全に摘出できる可能性がある。さらに、腫瘍付近のリンパ節にもがん 細胞が認められる。

3期

3期では以下の条件のいずれかが満たされます:


  • 手術では腫瘍を完全に摘出することができず、腫瘍が体の正中線を越えて反対側まで拡がっており、さらに、付近のリンパ節に転移している場合もある;または

  • 腫瘍は体の片側の1領域内にしか認められないが、体の正中線を越えた反対側のリンパ節にがんの転移が認められる;または

  • 腫瘍が体の正中部に存在し、体の左右両側の組織またはリンパ節に拡がっており、手術では腫瘍の摘出が不可能である。

4期

4期は、さらに4期と4S期に分けられます。


  • 4期では、遠くのリンパ節または体内の他の部位に腫瘍が拡がっています。

  • 4S期では、以下の条件が満たされます:
    • 生後12ヵ月未満である;なおかつ

    • がんが皮膚、肝臓骨髄に拡がっている;なおかつ

    • 腫瘍は1つの領域内にしか認められず、手術では肉眼で確認できる腫瘍を完全に摘出できる可能性がある;および/または

    • 腫瘍付近のリンパ節にがん細胞が認められる場合もある。


神経芽腫の治療法はリスク分類に基づいて決定されます。

多くの種類のがんでは、治療計画を立てる際には病期が参考にされます。しかし、神経芽腫では、リスク群に基づいて治療法が決定されます。神経芽腫の病期は、このリスク群を判定する際に参考にされる因子の1つです。その他の因子は患者さんの年齢、腫瘍の組織型、そして腫瘍の腫瘍生物学特徴です。

低リスク、中リスク、高リスクという3つのリスク群に分けられます。


  • 低リスクおよび中リスクの神経芽腫では治癒の可能性が高くなる。

  • 高リスクの神経芽腫では、治癒が難しいことがある。

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再発神経芽腫

再発 神経芽腫とは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は、同じ部位に起こることもあれば、他の部位に起こることもあります。

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治療選択肢の概要

神経芽腫の患者さんには様々な治療法が存在します。

神経芽腫の患者さんは、様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。

小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討すべきです。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

神経芽腫の小児の治療では、小児がん(特に神経芽腫)の治療に精通した医師で構成されるチームによって治療計画が作成されるべきです。

この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児神経芽腫の治療に精通し、特定の医療分野を専門とする他の小児 医療提供者と協力しながら治療に取り組んでいきます。具体的には以下のような専門家が挙げられます:


神経芽腫の治療を受けている小児では、二次がんのリスクが高くなることがあります。

がんの治療のなかには、終了後も副作用が継続するものや、数年経ってから副作用が出現してくるものもあります。こうした副作用は晩期障害と呼ばれます。がん治療の晩期障害には以下のようなものがあります:


  • 身体的問題。

  • 気分、感情、思考、学習、記憶における変化。

  • 二次がん(新しい種類のがん)。

晩期障害には治療や制御することが可能なものもあります。神経芽腫の治療を受けている小児の親には、特定の治療法で生じる晩期障害のリスクを把握しておくことが重要です。詳しい情報については、PDQ小児がん治療の晩期障害に関する要約をご覧ください。

標準治療として以下の5種類が用いられています:
経過観察

経過観察とは、徴候症状の出現や変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く監視していくことです。

手術

神経芽腫が体内の他の部位へ転移していない限り、治療として手術を行います。腫瘍の位置にもよりますが、安全に手術できる範囲で、できるだけ多くの腫瘍を切除します。がんの摘出が不可能な場合には、代わりに生検が実施されます。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。

放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。神経芽腫の治療には、外照射療法が用いられます。

最初の治療後に再発した高リスク神経芽腫では、ときにmIBGを用いた治療(放射性ヨウ素 療法)が行われることがあります。放射性ヨウ素は、静脈内(IV)ラインを通して投与され、血流に入って、腫瘍細胞に放射線を直接届けます。放射性ヨウ素は、神経芽腫細胞に集まる性質があり、そこから照射される放射線により腫瘍細胞を殺傷します。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、もしくは腔などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

2種類以上の抗がん剤を使用するものは、併用化学療法と呼ばれます。

詳しい情報については、神経芽腫に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

幹細胞救援を伴う大量化学療法と放射線療法

幹細胞救援を伴う大量化学療法と放射線療法は、高用量の化学療法と放射線療法を実現する手段で、高リスク神経芽腫に対するこのようながん治療によって破壊された造細胞を外部から補充します。まず患者さんから採取した血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、それを凍結保存しておきます。そして化学療法と放射線療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍して、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。

幹細胞救援を伴う大量化学療法と放射線療法の後に維持療法を行い、再増殖して腫瘍の再発を引き起こす可能性のあるがん細胞が残っていれば、それを殺傷します。維持療法は6ヵ月間にわたり行い、以下の治療を含みます:


  • イソトレチノインビタミンに類似した薬で、がん細胞の増殖速度を鈍らせ、がん細胞の外観や挙動に変化をもたらします。この薬は、経口で服用します。

  • 抗GD2抗体 ch14.18:モノクローナル抗体療法の一種で、製造ラボにおいて単一の免疫系細胞から作り出した抗体(ch14.18)を使用します。ch14.18は、神経芽腫細胞の表面にあるGD2と呼ばれる物質を識別し、結合します。ch14.18がGD2に結合すると、外来性物質が発見されたので殺傷する必要があるという信号が免疫系に送られます。このようにして、体内の免疫系により神経芽腫細胞が殺傷されます。この薬は、点滴で投与されます。

  • 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF):サイトカインの1つで、がん細胞に結合して殺傷することができる免疫系細胞、特に顆粒球マクロファージ白血球)の産生を促します。

  • インターロイキン-2(IL-2):生物学的療法の一種で、多くの免疫細胞、特にリンパ球(白血球の一種)の増殖を促し、活性を高めます。リンパ球は、がん細胞を攻撃し、殺傷することができます。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから入手することができます。

標的療法

標的療法とは、正常な細胞には害を及ぼすことなく特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)療法は、標的療法の一種で、神経芽腫の治療に研究されています。

TKI療法は、腫瘍の成長に必要な信号を遮断します。TKIは、体に必要な量より多くの白血球(顆粒球または芽球)に幹細胞を変化させるチロシンキナーゼという酵素を阻害します。クリゾチニブはTKIの1つで、治療後に再発した神経芽腫の治療に研究されています。TKIは、補助療法(がんの再発可能性を低減させるために、最初の治療後に実施する治療)として、他の抗がん剤と併用して使用される場合があります。

ワクチン療法

ワクチン療法は、生物学的療法の一種です。生物学的療法は、患者さんの免疫系を利用してがんを撃退する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は生物療法や免疫療法とも呼ばれます。

その他の薬物療法

レナリドミドは、血管新生阻害薬の一種です。腫瘍の成長に必要となる新たな血管の成長を妨げます。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験一覧のものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、お子さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

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神経芽腫の治療選択肢

低リスクの神経芽腫

低リスクの神経芽腫の治療法には以下のようなものがあります:


  • 手術とその後の経過観察

  • 一部の患者さんに対しては、化学療法の単独実施または手術との併用。

  • 神経芽腫の徴候症状がみられない乳児に対しては、経過観察のみ。これを標準治療とみなすには、さらに研究が必要です。

  • 治療に対する腫瘍反応と腫瘍細胞に特定の変化がみられるかどうかにより治療法を決定する臨床試験への参加。

中リスクの神経芽腫

中リスクの神経芽腫の治療法には以下のようなものがあります:


  • 化学療法の単独実施または手術との併用。

  • 乳児に対しては、手術のみ。

  • 特定の乳児に対しては、経過観察のみ。

  • 腫瘍によって深刻な健康上の問題が生じていて、化学療法または手術にすぐに反応を示さない場合には、放射線療法

  • 他の治療に反応を示さない腫瘍には、放射線療法。

  • 治療に対する腫瘍反応と腫瘍細胞に特定の変化がみられるかどうかにより治療法を決定する臨床試験への参加。

高リスクの神経芽腫

高リスクの神経芽腫の治療法には以下のようなものがあります:


4S期の神経芽腫

4S期神経芽腫に対する標準治療はありませんが、以下の治療選択肢があります:


再発神経芽腫

再発前は低リスクの神経芽腫として治療を受けていた患者さん

腫瘍が体内の1つの領域のみに存在する場合の再発 神経芽腫の治療法には以下のようなものがあります:


体内の他の部位に転移している場合の再発神経芽腫の治療法には以下のようなものがあります:


  • 特定の乳児に対しては、経過観察。

  • 化学療法。

  • 手術とその後の化学療法。

  • 併用化学療法

再発前は中リスクの神経芽腫として治療を受けていた患者さん

腫瘍が体内の1つの領域のみに存在する場合の再発 神経芽腫の治療法には以下のようなものがあります:


体内の他の部位に転移した再発神経芽腫に対する治療法は、新たに診断された高リスク神経芽腫と同じです。

再発前は高リスクの神経芽腫として治療を受けていた患者さん

再発 神経芽腫の治療法には以下のようなものがあります:


高リスクの神経芽腫に対する治療を受けた患者さんにおける再発神経芽腫に対する標準治療は存在しないため、臨床試験の検討が必要になる場合があります。臨床試験に関する情報については、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトをご覧ください。

再発CNS神経芽腫患者

中枢神経系(CNS;脳や脊髄)に再発した神経芽腫の治療法には以下のようなものがあります:


進行性/再発神経芽腫に対する臨床試験で行われる治療

再発(再び現れた)または進行(増殖、転移、または治療に対する反応がみられない)を示す神経芽腫に対して臨床試験で研究されている治療法のいくつかを以下に示します:


NCI支援のがん臨床試験リストから、神経芽腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。お子さんに適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、神経芽腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board. PDQ Neuroblastoma Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/neuroblastoma/patient/neuroblastoma-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389278]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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