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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

肺がんのスクリーニング(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2012-02-24
    翻訳更新日 : 2013-01-07

スクリーニングとは

スクリーニングとは、症状が現れてくる前にがんを発見しようとする試みのことです。実際にがんの早発見に役立つ場合もあります。異常 組織やがんも、早期に発見されれば治療が容易になる場合があります。症状が現れる頃には、がんが増殖し拡がり始めていることもあります。

ある種類のがんにかかりやすいのはどのような人々なのか、こうした疑問をより深く解明しようとする努力が科学者たちによって続けられています。さらに、がんの原因となりうる生活習慣や環境についても研究が重ねられています。こうして得られた情報は、がんのスクリーニング対象者の条件やスクリーニング検査の種類、それにその検査を受ける頻度について、医師が患者さんに助言をしていく際に役立てられています。

担当の医師からスクリーニング検査を勧められたとしても、必ずしもがんの存在を疑ってそうしているわけではないということを覚えておくことが重要です。スクリーニング検査はがんの症状が現れる前に実施されるものなのです。

スクリーニング検査の結果が異常であれば、がんの存在を確認するために、さらなる検査が必要になる場合もあります。こうした検査は診断検査と呼ばれます。

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肺がんについての一般的な情報

肺がんは、肺の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

は、胸部に位置する円錐形をした左右一対の呼吸器官です。肺の主な役割は、息を吸い込んだときに酸素を体内に取り込み、息を吐き出すときに二酸化炭素を体外に排出することです。左右の肺はそれぞれいくつかの部分に分かれていて、それらのことを肺と呼びます。左側の肺は2つの肺葉で構成されています。右側の肺には3つの肺葉があり、全体としては左側の肺よりも若干大きくなっています。肺の周りは胸膜と呼ばれる薄いで覆われています。また肺には気管支と呼ばれる管が1本ずつ入り込んでいますが、これらは気管から伸びています。肺がんはときにこの気管支も侵します。肺の内部は、細気管支と呼ばれる小さな管と、肺胞と呼ばれる空気の入った微小な袋から構成されています。

呼吸器系の解剖図:右肺の上葉、中葉、下葉;左肺の上葉と下葉;気管、気管支、リンパ節、横隔膜を示す。拡大図には細気管支、肺胞、動脈、静脈が示されている。



呼吸器系の解剖図:気管、左右の肺とそれぞれの肺葉、気道を示しています。リンパ節と横隔膜も示されています。肺に吸い込まれた酸素は、肺胞の薄い膜を通過して血液中に取り込まれます(拡大図を参照)。



肺がんは小細胞肺がん非小細胞肺がんの2種類に分けられます。

肺がんに関する詳しい情報については以下のPDQの要約をご覧ください:


肺がんは、米国におけるがんによる死亡原因の第1位となっています。

肺がんは、米国においてがんによる死亡原因の第1位です。男女合わせて、皮膚がんの次に多く発生しているがんです。

肺がんのリスク因子としては喫煙が最も重大です。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。肺がんの主な発生原因は喫煙(紙巻タバコや葉巻、パイプなどのタバコ製品の使用)であり、現在の習慣だけでなく過去の習慣も含まれます。

肺がんのリスク因子はこの他にも存在しますが、それらが肺がんを引き起こす危険性は、たとえそれらを全て合わせたとしても、喫煙よりはるかに軽微なものです。具体的には以下のものがあります:


  • 他人が吸ったタバコの煙に曝されること(間接喫煙)。

  • アスベストヒ素、クロム、ニッケルなど、職場に存在する特定の化学物質に曝されること。

  • ラドン(職場だけでなく家庭内にも存在することがある)に曝されること。

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肺がんのスクリーニング

様々な種類のがんを発見するために複数の検査法が用いられます。

スクリーニング検査のなかには、がんの早期発見に有効で、なおかつそのがんによる死亡の可能性を低減できるということが明らかとなっているために、実施されているものもあります。一方で、一部の人々の間でがんを発見できたことから実施されている検査法もありますが、こうした検査法にがんによる死亡リスクを低下させる効果があるのかどうかについては、臨床試験での証明が得られていません。

最もリスクが少なく最も有益な方法を発見すべく、科学者によりスクリーニング検査の研究が行われています。また、がんスクリーニングの臨床試験を行う目的には、早期発見(症状が現れる前にがんを発見すること)によってがんによる死亡リスクが低減できるかどうかを明らかにすることも含まれています。一部の種類のがんでは、早のうちに発見し治療することで、回復の見込みが高まる場合があります。

がんのスクリーニング方法を研究するための臨床試験が米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。

肺がんによる死亡のリスクを低減するかどうかについて、3つのスクリーニング検査に対する研究が行われました。

肺がんによる死亡のリスクを低減するかどうかについて、以下のスクリーニング検査に対する研究が行われました:


  • 胸部X線検査:胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • 喀痰細胞診(咳によってから排出される粘液)のサンプルを顕微鏡で観察することによってがん細胞の有無を調べる検査法。

  • 線量 スパイラルCTスキャン(LDCTスキャン):低線量の放射線を用いて、体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。らせん状の軌道に沿って動くX線装置によって、体のスキャンが行われます。画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。この検査法は低線量ヘリカルCTスキャンとも呼ばれます。

低線量スパイラルCTスキャンによるスクリーニングは、重度喫煙者の肺がんによる死亡のリスクを低減することが示されています。

30年以上にわたって紙巻タバコを1日1箱以上吸っている、55~74歳までの人を対象に、肺がんのスクリーニングの臨床試験が実施されました。また、元は重度喫煙者で過去15年以内に禁煙した人についても、試験が行われました。この試験では、胸部X線または低線量スパイラルCTスキャン(LDCT)を実施して、肺がんの徴候が調べられました。

LDCTスキャンは、胸部X線検査よりも肺がんの早期発見に有効でした。LDCTを使用したスクリーニングは肺がんによる死亡リスクも低下させました。

スクリーニングの臨床試験は米国各地で行われています。米国国立がん研究所(NCI)による肺がんスクリーニングの臨床試験については、National Lung Screening Trial(NLST)のホームページで情報を入手することができます。その他の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。

胸部X線検査または喀痰細胞診によるスクリーニングは、肺がんによる死亡リスクを低下させません。

胸部X線検査と喀痰細胞診は、いずれも肺がんの徴候を調べるために用いられているスクリーニング検査です。胸部X線検査または喀痰細胞診、もしくはその両方によるスクリーニングは、肺がんによる死亡リスクを低下させません。

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肺がんのスクリーニングのリスク

スクリーニング検査にはリスクが伴います。

スクリーニング検査に関する判断は難しくなる場合があります。全てのスクリーニング検査が役に立つわけではなく、ほとんどはリスクを伴います。スクリーニング検査を受けようとする場合は、その前に検査について担当の医師とよく話し合っておくのがよいでしょう。検査に伴うリスクを把握し、さらにがん死亡のリスク低減という効果が実際に証明されているのかを知っておくことが重要です。

肺がんのスクリーニング検査に伴うリスクとしては以下のものがあります:
肺がんが発見されても健康状態の改善や余命の延長につながらない場合もあります。

肺がんが他の部位に転移している場合は、スクリーニングを受けたとしても健康状態の改善や余命の延長はあまり望めないでしょう。

がんのなかには、何の症状も引き起こさず命を脅かす心配がないものも存在しますが、スクリーニング検査で見つかれば、そのようながんにも治療が行われることがあります。このようながんに対する治療に無治療の場合よりも余命を長くする効果があるのかどうかは不明ですし、その治療によって逆に重篤な副作用がもたらされる可能性もあります。重度または長期の喫煙による医学的問題がみられる患者さんには、治療の弊害がより頻繁に生じます。

偽陰性の検査結果が出る可能性もあります。

実際には肺がんが存在しているのにもかかわらず、スクリーニング検査の結果が正常と出る場合もあります。偽陰性の検査結果(実際にはがんが存在しているのに存在しないと判定された検査結果)を受けた人では、たとえ症状が現れていても、医師の診察を受けるのが遅くなる場合があります。

偽陽性の検査結果が出る可能性もあります。

実際にはがんが存在していないにもかかわらず、スクリーニング検査の結果が異常となる場合もあります。偽陽性の検査結果(実際にはがんは存在しないのに存在すると判定された検査結果)は不安の原因となることもあり、さらに、その後も検査(生検など)が引き続き実施されていくのが通常で、そうした検査によるリスクも生じてきます。肺がんを診断するための生検が原因での一部に虚脱(しぼんで戻らなくなること)が起きる場合もあります。場合によっては、肺を再び膨らませるために手術が必要になることもあります。重度または長期の喫煙による医学的問題がみられる患者さんには、診断検査の害がより頻繁に生じます。

胸部X線検査では胸部が放射線に曝されます。

胸部X線検査を受けた人では、胸部に放射線を浴びることになるため、特定のがん(乳がんなど)の発生リスクが高まることがあります。

ご自身に関する肺がんのリスクやスクリーニング検査の必要性については、担当の医師にご相談ください。
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