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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

小児急性リンパ芽球性白血病の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-06-09
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Pediatric Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、小児急性リンパ芽球性白血病の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

小児急性リンパ芽球性白血病 T細胞小児急性リンパ芽球性白血病 フィラデルフィア染色体陽性小児急性リンパ芽球性白血病

小児急性リンパ芽球性白血病についての一般的な情報

小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、骨髄で成熟していないリンパ球(白血球の一種)が過剰に多く作られるようになるがんです。

小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、血液骨髄がんの一種で、急性リンパ性白血病とも呼ばれます。通常この種のがんは、治療が行われなければ急速に悪化します。



骨の解剖図:海面骨、赤色骨髄、黄色骨髄を示す図。骨の断面図は、緻密骨および骨髄中の血管を示す。また、赤血球、白血球、血小板、および血液幹細胞も示している。



骨の解剖図。骨は、緻密骨、海面骨、骨髄で構成されています。緻密骨は、骨の外層を形成しています。海面骨は、ほとんどが骨の末端にみられ、赤色骨髄を含んでいます。骨髄は、ほとんどの骨の中心に存在し、多くの血管が走っています。骨髄には、赤色骨髄と黄色骨髄の2種類があります。赤色骨髄には、白血球、赤血球、血小板になる能力を持つ血液幹細胞が含まれています。黄色骨髄は、大部分が脂肪でできています。



小児に最も多くみられるがんがALLです。

白血病は、赤血球、白血球、血小板に影響を及ぼす可能性があります。

健康なお子さんでは、骨髄で血液幹細胞(未熟な細胞)が作られており、いずれは成熟した血液細胞になります。この血液幹細胞はまず骨髄系の幹細胞か、リンパ系幹細胞になります。

骨髄系幹細胞は以下の3種類の成熟血液細胞のいずれかになります:


リンパ系幹細胞はまずリンパ芽球という細胞になった後、さらに以下の3種類のリンパ球(白血球の一種)のいずれかになります:




血液細胞の成長:血液幹細胞が段階を経て赤血球、血小板、または白血球に成長する様子を示す。骨髄系幹細胞は赤血球、血小板、または骨髄芽球になり、骨髄芽球はさらに顆粒球(好酸球、好塩基球、好中球という種類がある)になる。リンパ系幹細胞はまずリンパ芽球になり、それからBリンパ球、Tリンパ球、またはナチュラルキラー細胞になる。



血液細胞の成長。血液幹細胞はいくつかの段階を経て赤血球、血小板、または白血球になります。



ALLのお子さんの場合、リンパ芽球、Bリンパ球、またはTリンパ球になる幹細胞が過剰に多くなります。このような細胞が、がん(白血病)細胞です。こうした白血病細胞は、正常なリンパ球のような働きをせず、感染に対してほとんど戦うことはできません。また、血液や骨髄の中に白血病細胞の数が増えるため、正常な白血球、赤血球、血小板が存在するスペースが少なくなります。このことにより、感染症や貧血が起こったり、出血が起きやすくなったりします。

本要約は、小児や青年、若年成人にみられる急性リンパ芽球性白血病について書かれたものです。他の種類の白血病に関する情報については、以下のPDQの要約をご覧ください:


がんの治療歴と特定の遺伝的状態は、小児ALLの発生リスクに影響を及ぼすことがあります。

病気になるリスクを増大させるものは、全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。

ALLのリスク因子としては、以下のものが考えられます:


小児ALLの徴候には、発熱やあざなどがあります。

これらに加え、別の徴候症状が小児ALLにより引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:


  • 発熱

  • あざや出血が生じやすい。

  • 点状出血(皮下の出血によって生じる暗赤色の平坦で点状の斑点)。

  • 骨または関節の痛み。

  • 頸部、わきの下、鼠径部の痛みを伴わないしこり。

  • 肋骨下の痛みや膨満感。

  • 脱力感、疲労感、または顔面蒼白。

  • 食欲の減退。

小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の発見と診断には、血液と骨髄を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技を用いて、小児ALLの診断を行い、脳や精巣、またはその他の部位へ白血病細胞が拡がっていないかどうかを調べることがあります:


  • 身体診察と病歴 聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 全血球算定(CBC)と白血球分画 :血液を採取して以下の項目について調べる検査法:
    • 赤血球と血小板の数。

    • 白血球の数と種類。

    • 赤血球内のヘモグロビン(酸素を運搬する蛋白)の量。

    • 血液サンプル中の赤血球が占める割合。



    全血球算定(CBC):左側の図には、注射器と注射針によって肘の静脈から血液が採取されている様子が示されており;右の図には、試験管中の血液が血漿、白血球、血小板、赤血球のそれぞれの層に分離された様子が示されている。
    
    


    全血球算定(CBC)。静脈内に針を挿入して注射器の中に血液を吸い込むことによって、血液を採取します。採取された血液は検査室に送られ、そこで赤血球と白血球と血小板の数が調べられます。CBCは様々な病態の診断やモニタリングのための検査法として用いられています。




  • 血液生化学検査 :採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。

  • 骨髄穿刺と骨髄生検 :腰骨または胸骨に中空の針を挿入して骨髄や骨の小片などを採取する手技。採取された骨髄や骨は、病理医によって顕微鏡で観察され、がんの徴候がないかどうかが調べられます。

    骨髄穿刺と骨髄生検:図は、台の上にうつぶせになった小児の右の腰骨に骨髄穿刺針を挿入しているところを示している。拡大図は、皮膚の上から腰骨の骨髄に挿入した骨髄穿刺針を示している。
    
    


    骨髄穿刺と骨髄生検。皮膚の小さな領域に麻酔を施してから、小児の腰骨に骨髄穿刺針を挿入します。そして顕微鏡での検査用に血液、骨、骨髄などのサンプルを採取します。



     切除された組織に対して、以下の検査が行われることがあります:


    • 細胞遺伝学的分析 :血液または骨髄サンプル中の細胞を顕微鏡で観察して、リンパ球の染色体に特定の変化がないかどうかを調べる臨床検査。例えば、フィラデルフィア染色体陽性のALLでは、ある染色体の一部が別の染色体に移動しています。この移動した部分が、フィラデルフィア染色体と呼ばれています。

      フィラデルフィア染色体:3つの図に、9番染色体の断片と22番染色体の断片が入れ替わって、フィラデルフィア染色体と呼ばれる異常な22番染色体が形成されている様子が示されている。左の図には、abl遺伝子を有する正常な9番染色体と、bcr遺伝子を有する正常な22番染色体が示されている。中央の図には、abl遺伝子の部分で分断された9番染色体と、bcr遺伝子の下方で分断された22番染色体が示されている。右の図には、22番染色体の断片が結合した9番染色体と、abl遺伝子の一部を含む9番染色体の断片が結合した22番染色体が示されている。bcr-abl遺伝子を伴った異常な22番染色体はフィラデルフィア染色体と呼ばれる。
      
      


      フィラデルフィア染色体。9番染色体の断片と22番染色体の断片が互いに入れ替わります。9番染色体の断片が22番染色体上に結合した部分には、bcr-abl遺伝子が形成されます。このような変化を起こした22番染色体はフィラデルフィア染色体と呼ばれます。




    • 免疫表現型検査 :血球や骨髄細胞の表面上にみられる抗原やマーカーを調べて、リンパ球か骨髄系細胞かを判定する臨床検査。細胞が悪性のリンパ球(がん)であれば、Bリンパ球かTリンパ球かを調べます。


  • 腰椎穿刺 脊柱内から脳脊髄液(CSF)のサンプルを採取する際に用いられる手技。脊椎内の2本の骨の間から脊柱内に針を刺し、脊髄周囲を流れるCSFに到達させ、CSFを採取します。CSFのサンプルを採取して、白血病細胞が脳や脊髄に転移している徴候がないか顕微鏡で確認します。この手技はLPまたは脊椎穿刺とも呼ばれます。

    腰椎穿刺:台の上で背中を曲げた姿勢で横たわっている患者さんと、腰の部分に脊椎穿刺針(長くて細い針)が挿入されている様子を示す。右側の拡大図には、脊柱下部の脳脊髄液(CSF)の中に脊椎穿刺針が挿入されている様子が示されている。
    
    


    腰椎穿刺。まず患者さんに背中を曲げた姿勢で台の上に横たわってもらいます。腰の小さな領域に麻酔を施してから、腰椎穿刺針(長くて細い針)を脊柱の下部に挿入して、脳脊髄液(CSF、青色で示されている)を採取します。採取された液体は、検査のために検査室に送られることもあります。



     この手技は、白血病と診断された後に実施され、白血病細胞が脳や脊髄へ拡がっていないかどうかが調べられます。髄腔内化学療法は、髄液のサンプルを採取した後に、脳や脊髄への拡がっている可能性のある白血病細胞を治療するために行われます。


  • 胸部X線検査:胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。白血病細胞が胸の中央に腫瘤を形成していないかどうかを調べるために、胸部X線検査が行われます。

  • 精巣生検 :精巣から細胞や組織を採取する手技で、採取されたサンプルは病理医によって顕微鏡で観察され、がんの徴候がないかどうかが調べられます。この手技は、身体診察の際に精巣に何らかの異常が疑われた場合にのみ行われます。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)は、以下の因子に左右されます:


  • 診断時の年齢、性別、人種。

  • 診断時における血液中の白血球数。

  • 白血病細胞がBリンパ球とTリンパ球のどちらに由来しているか。

  • がんのリンパ球の染色体や遺伝子に特定の変化がないかどうか。

  • ダウン症候群の有無。

  • 脳脊髄液に白血病細胞が認められるかどうか。

  • 診断時と治療中の体重。

  • 治療の最初と2番目の段階が完了した後に、白血病細胞の数が減少する速さと程度。

治療選択肢は、以下の因子に左右されます:


  • 白血病細胞がBリンパ球とTリンパ球のどちらに由来しているか。

  • お子さんのALLが標準リスクか高リスクか。

  • 診断時のお子さんの年齢。

  • リンパ球の染色体にフィラデルフィア染色体などの特定の変化が認められるかどうか。

  • 最初の治療の実施後に白血病細胞の数が減少する速さと程度。

最初の治療後に再発した白血病では、予後と治療選択肢が以下の因子にある程度左右されます:


  • 診断時点から初回治療後に白血病が再発するまでの期間。

  • 白血病の再発が骨髄内か、体の他の部位か。

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小児急性リンパ芽球性白血病のリスク群

小児ALLでは、治療計画を立てるためにリスク群が用いられます。

小児ALLには、2つのリスク群があります。このリスク群は、以下のように定義されています:


  • 標準(低)リスク群:診断時に、年齢が1歳以上10歳未満で、かつ白血球数が50,000/µL未満の小児。

  • 高リスク群:診断時における年齢が10歳以上の小児や白血球数が50,000/µL以上の小児など。

リスク群に影響を及ぼす因子として、他に次のものがあります:


治療計画を立てるためにはリスク群を把握しておくことが重要です。高リスクALLのお子さんでは、通常、抗がんの種類や用量が標準リスクALLのお子さんよりも多くなります。

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再発小児急性リンパ芽球性白血病

再発小児ALLとは、治療後に再発したがんのことをいいます。この場合の白血病は、血液骨髄、脳、脊髄精巣など、体の様々な部位で再発することがあります。

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治療選択肢の概要

小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の患者さんには様々な治療法が存在します。

急性リンパ芽球性白血病(ALL)の患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。

小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討すべきです。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療では、小児白血病の治療に精通した医師で構成されるチームによって治療計画が作成されるべきです。

この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児白血病の治療に精通し、特定の医療分野を専門とする他の小児医療従事者と協力しながら治療に取り組んでいきます。具体的には以下のような専門家が挙げられます:


急性リンパ芽球性白血病に対する治療を受けた小児または青年の患者さんでは、治療開始から数ヵ月ないし数年後に治療に関連する副作用が生じる場合があります。

定期的なフォローアップ検査が非常に重要です。治療が終了して長期間経過した後に、治療による副作用が現れることがあります。こうした副作用は晩期障害と呼ばれます。

がん治療の晩期障害には以下のようなものがあります:


一部の晩期障害は治療したり、抑制したりすることができます。治療によってお子さんに生じうる晩期障害について担当の医師とよく相談することが重要です。小児がん治療の晩期障害に関するPDQの要約をご覧ください。

通常、小児ALLの治療には3つの段階があります。

小児ALLの治療は以下の段階に分けられます:


  • 寛解導入療法:治療の第1段階。寛解導入療法の目的は、血液中および骨髄中の白血病細胞を死滅させることにあります。これにより白血病は寛解状態に入ります。

  • 地固め/強化療法:治療の第2段階。白血病が寛解期に入ると、この治療が開始されます。地固め/強化療法の目的は、体内に残存し、再発を引き起こす可能性のある白血病細胞を死滅させることにあります。

  • 維持療法:治療の第3段階。維持療法の目的は、再び増殖を開始して再燃する可能性のある残存した白血病細胞を死滅させることにあります。この段階でのがん治療は多くの場合、寛解導入療法や地固め/強化療法の場合よりも少ない用量の薬が使用されます。維持療法で医師の指示通りに薬を服用しないと、がん再発の可能性が高くなります。これは寛解維持療法期とも呼ばれます。

標準治療としては、以下の4種類が用いられています:
化学療法

化学療法は、薬物を用いてがん細胞を殺傷したり分裂を阻害したりすることで、がんの増殖を阻止するがん治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内(髄腔内化学療法)、臓器内、あるいは腹部などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。併用化学療法は複数の抗がん剤を使用する治療法です。

化学療法の実施方法は、お子さんのリスク群によって異なります。高リスクALLのお子さんでは、抗がん剤の種類や用量が標準リスクALLのお子さんよりも多くなります。脳や脊髄への拡がりが確認または推測される小児ALLの治療に、髄腔内化学療法が用いられることがあります。

詳しい情報については、急性リンパ芽球性白血病に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。

脳や脊髄、精巣への拡がりが確認または推測される小児ALLの治療には、外照射療法が用いられることがあります。

幹細胞移植を伴う化学療法

幹細胞移植は、高用量の化学療法を実現する手段で、ときに全身照射を併用することもあり、このようながん治療によって破壊された造血細胞を外部から補充します。幹細胞(成熟前の血液細胞)は、ドナーから採取した血液または骨髄から取り出されます。治療を実施した後に、ドナーの幹細胞が点滴で患者さんに投与されます。こうして再注入された幹細胞が患者さん自身の血液細胞として成長して、造血機能が回復します。幹細胞のドナーは、患者さんと血縁関係があるとは限りません。

ALLの小児と青年では、まれに初回治療として幹細胞移植が使用されることがあります。ALLが再発した(治療後に再び現れた)場合は、治療の一環として幹細胞移植がより多く使用されています。

詳しい情報については、急性リンパ芽球性白血病に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。



幹細胞移植;(図1):図は患者またはドナーから幹細胞を採取しているところである。腕の静脈から採血し、幹細胞を採取する装置を通過させる。残りの血液は反対の腕の静脈に戻す。(図2):図は医療提供者が患者に対し造血細胞を殺傷する治療を施しているところである。胸部のカテーテルから化学療法薬が投与されている。(図3):図は患者の胸部に挿入されたカテーテルから幹細胞を注入しているところである。



幹細胞移植。(ステップ1):ドナーの腕の静脈から血液を採取します。血液は幹細胞を採取する装置内を流れます。その後、血液は反対側の腕の静脈からドナーの体内に戻されます。(ステップ2):患者さんは造血細胞を殺傷する化学療法を受けています。放射線療法が実施される場合もあります(図には示されていません)。(ステップ3):患者さんは胸部の血管に留置されたカテーテルから幹細胞の注入を受けています。



標的療法

標的療法は、正常な細胞を傷つけないで、特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。

チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)は、幹細胞を体に必要な量より多くの白血球または芽球に変化させるチロシンキナーゼという酵素の作用を阻害する標的療法の薬です。メシル酸イマチニブは、フィラデルフィア染色体陽性の小児ALLに対する治療に用いられるTKIです。

小児ALLの治療では、新しい種類の標的療法も研究されています。

詳しい情報については、急性リンパ芽球性白血病に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

脳、脊髄、または精巣への拡がりが確認されたか疑われる白血病細胞を死滅させるために、治療を実施します。

白血病細胞を死滅させたり、白血病細胞の脳や脊髄への拡がりを防止したりする治療をCNS向け療法と呼びます。脳や脊髄への拡がりが確認されたか疑われる白血病細胞を治療するために、化学療法が用いられることがあります。標準用量の化学療法ではCNS(脳や脊髄)中の白血病細胞に効果が及ばないことがあるため、白血病細胞はCNS内に隠れることができます。高用量で実施する全身化学療法または髄腔内化学療法(脳脊髄液中に投与)により、CNS内の白血病細胞に効果を及ぼすことができます。ときには脳に対する外照射療法が実施されることもあります。



髄腔内化学療法:脳および脊髄内部の脳脊髄液(CSF)とオンマイヤーレザバー(手術によって頭皮の下に設置されるドーム状の容器で、細い管を通して脳内へと薬剤を流し込むことができる)を示す。図の上の方には、注射器と針を用いてオンマイヤーレザバーに抗がん剤を注入している様子が示されている。図の下の方には、注射器と針を用いて脊柱の下部から脳脊髄液中に直接抗がん剤を注入している様子が示されている。



髄腔内化学療法。脳脊髄液(CSF、青色で示されている)で満たされた空洞である脊髄腔の中に抗がん剤が注入されます。2種類の方法があります。1つめはこの図の上の方に示されているもので、オンマイヤーレザバー(手術によって頭皮の下に設置されるドーム状の容器で、細い管を通して脳内へと薬剤を投与することができる)に薬剤を注入するという方法です。もう1つは図の下の方に示されているもので、腰の小さな領域に麻酔を施してから、脊柱の下部より直接CSF内に薬剤を注入するという方法です。



これらの治療は、体内の別の場所に存在する白血病細胞を殺傷するために使用する治療に加えて実施します。ALLのお子さんは全て、導入療法や地固め/強化療法の一部として、また、場合によっては維持療法中にもCNS向け療法を受けます。

白血病細胞が精巣に拡がった場合の治療には、高用量の全身化学療法があり、場合によっては放射線療法を行います。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから入手することができます。

キメラ抗原受容体(CAR)T細胞療法

CAR T細胞療法は、患者さんのT細胞免疫系細胞の一種)を改変して、がん細胞表面にある特定の蛋白を攻撃させる免疫療法の一種です。患者さんからT細胞を採取し、実験室でその表面に特殊な受容体を付加します。こうして改変した細胞は、キメラ 抗原受容体(CAR)T細胞と呼ばれます。実験室でCAR T細胞を増やし、点滴で患者さんに投与します。投与されたCAR T細胞は患者さんの血液内で増加し、がん細胞を攻撃します。CAR T細胞療法は2度目に再燃した(再び現れた)小児ALLの治療法として研究されています。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。これらは、NCIの臨床試験リストから検索されたものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、お子さんの状態の変化やがんの再発の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

治療がどの程度効いているかを確認するため、全ての治療段階を通じて骨髄穿刺骨髄生検が実施されます。

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小児急性リンパ芽球性白血病の治療選択肢

新たに診断された小児急性リンパ芽球性白血病(標準リスク)

標準リスクの小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療では、寛解導入療法地固め療法/強化療法、および維持療法の段階で、常に併用化学療法が含まれています。寛解導入療法の後でお子さんが寛解に達した場合は、ドナー幹細胞を用いた幹細胞移植を実施する場合もあります。寛解導入療法後もお子さんが寛解に至らない場合、通常は引き続き同じ治療が高リスクALLの小児に施行されます。

髄腔内化学療法を実施して、白血病 細胞が脳や脊髄へ拡がらないようにします。

臨床試験で標準リスクALLを対象に研究されている治療法としては、新しい化学療法レジメンがあります。

NCI支援のがん臨床試験リストから、未治療の小児急性リンパ芽球性白血病の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。お子さんに適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

新たに診断された小児急性リンパ芽球性白血病(高リスク)

高リスクの小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療では、寛解導入療法地固め療法/強化療法、および維持療法の段階で、常に併用化学療法が含まれています。高リスク群ALLのお子さんでは、特に地固め/強化療法の段階で投与される抗がんの種類や用量が標準リスク群のお子さんよりも多くなります。

髄腔内化学療法全身化学療法を実施して、白血病 細胞の脳や脊髄への転移を予防または治療します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。

高リスクALLに関する臨床試験では、新しい化学療法 レジメンと、場合によって標的療法幹細胞移植を行う治療法などが研究されています。

新たに診断された小児急性リンパ芽球性白血病(特殊な病型)

T細胞小児急性リンパ芽球性白血病

T細胞小児急性リンパ芽球性白血病 (ALL)の治療では、寛解導入療法地固め療法/強化療法、および維持療法の段階で、常に併用化学療法が含まれています。T細胞ALLのお子さんでは、抗がんの種類や用量が標準リスク群のB細胞ALLのお子さんよりも多くなります。

髄腔内化学療法全身化学療法を実施して、白血病 細胞の脳や脊髄への転移を予防します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。

T細胞ALLに関する臨床試験では、新しい抗がん剤が検討されているほか、場合により標的療法を伴う化学療法 レジメンなどの治療法が研究されています。

ALLの乳児

ALLの乳児の治療では、寛解導入療法地固め療法/強化療法、および維持療法の段階で、常に併用化学療法が含まれています。ALLの乳児では、抗がんの種類や用量が標準リスク群の1歳以上のお子さんよりも多くなります。第一寛解期の幹細胞移植で生存期間が延長するかどうかは、明らかではありません。

髄腔内化学療法全身化学療法を実施して、白血病 細胞の脳や脊髄への転移を予防します。

臨床試験でALLの乳児を対象に研究されている治療法としては、以下のものがあります:


  • 特定の遺伝子変化が認められる乳児を対象に、化学療法とその後にドナー幹細胞移植を行う臨床試験への参加。

ALLを患っている10歳以上の小児と青年

小児と青年(10歳以上)のALLの治療では、寛解導入療法地固め療法/強化療法維持療法のどの段階にも、併用化学療法が含まれます。ALLを患う10歳以上の小児と青年では、抗がんの種類や用量が標準リスク群の小児よりも多くなります。

髄腔内化学療法全身化学療法を実施して、白血病 細胞の脳や脊髄への転移を予防します。ときには、脳に対して放射線療法を実施することもあります。

10歳以上のALLの小児と青年を対象とする臨床試験では、新しい抗がん剤が検討されているほか、場合により標的療法を伴う化学療法 レジメンなどの治療法が研究されています。

フィラデルフィア染色体陽性ALL

フィラデルフィア染色体陽性の小児ALLの治療では、寛解導入療法地固め療法/強化療法、および維持療法の段階で、以下の治療法が含まれる場合があります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、T細胞小児急性リンパ芽球性白血病フィラデルフィア染色体陽性の小児急性前駆リンパ芽球性白血病の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。お子さんに適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

再発小児急性リンパ芽球性白血病

再発小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)で、骨髄に再発した場合の標準治療としては、以下のようなものがあります:


再発小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)で、骨髄以外に再発した場合の標準治療としては、以下のようなものがあります:


臨床試験で再発小児ALLを対象に研究されている治療法としては、以下のものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、再発小児急性リンパ芽球性白血病の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。お子さんに適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、小児急性リンパ芽球性白血病の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board. PDQ Childhood Acute Lymphoblastic Leukemia Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/leukemia/patient/child-all-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389385]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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