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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

小児脳腫瘍および脊髄腫瘍の治療の概要(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2015-09-17
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Pediatric Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、小児の脳腫瘍および脊髄腫瘍の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

小児脳腫瘍

小児脳腫瘍および脊髄腫瘍についての一般的な情報

小児脳腫瘍または脊髄腫瘍は脳や脊髄の組織に異常な細胞が形成される病気です。

小児の脳腫瘍および脊髄腫瘍には多くの種類があります。これらの腫瘍は、細胞異常な増殖により形成され、脳や脊髄の様々な領域から発生することがあります。

この腫瘍は、良性のがんではない)場合もあれば、悪性の(がんである)場合もあります。良性の脳腫瘍は増殖し、周辺の脳を圧迫します。まれですが、他の組織の中まで拡がることもあります。悪性の脳腫瘍は、増殖が速く、他の脳組織の中まで拡がる傾向がみられます。腫瘍が脳内で増殖したり、脳を圧迫したりすると、その部分の脳が果たすべき機能が阻害される場合があります。脳腫瘍が良性でも悪性でも、徴候症状が現れ、治療が必要になることがあります。

脳と脊髄は共に中枢神経系(CNS)を構成します。

脳は多くの重要な身体機能を制御します。

脳には次のような3つの主要部分があります:


  • 大脳は脳の中で最も大きな部分です。頭部の最上部に位置しています。大脳は、思考、学習、問題解決、感情、会話、読み書き、随意運動などの制御を行います。

  • 小脳は、脳の後方下部(後頭部の中央付近)に位置しています。そして、動作、平衡感覚、姿勢を制御しています。

  • 脳幹は脳と脊髄を接続しています。脳の最下部(首の後ろの真上)に位置します。脳幹は呼吸や心拍を制御するとともに、見る、聞く、歩く、話す、食べるといった動作に用いられる神経と筋肉の制御を行います。



脳の解剖図:右図はテント上領域(脳の上部)と後頭蓋窩/テント下領域(脳の下部後方)を示している。テント上領域には、大脳、側脳室、第3脳室、脈絡叢、視床下部、松果体、下垂体、視神経が含まれる。後頭蓋窩/テント下領域には、小脳、視蓋、第4脳室、脳幹(脳橋と髄質)が含まれる。テントと脊髄も示されている。左図は、大脳、脳室(液体で満たされた空間)、髄膜、頭蓋、小脳、脳幹(脳橋と髄質)、脊髄を示している。



脳の解剖図。テント上領域(脳の上部)には、大脳、側脳室、第3脳室(青色は脳脊髄液)、脈絡叢、視床下部、松果体、下垂体、視神経が含まれます。後頭蓋窩/テント下領域(脳の下部後方)には、小脳、視蓋、第4脳室、脳幹(脳橋と髄質)が含まれます。テントにより、テント上とテント下が区切られています(右図)。頭蓋と髄膜は脳と脊髄を保護しています(左図)。



脊髄は脳と体のほとんどの部分の神経を接続します。

脊髄は柱状の神経組織で、脳幹から始まり、背中の中心を下っています。脊髄は3層の「」と呼ばれる薄い組織で覆われています。これらの膜は脊柱(背骨)に包まれています。脊髄の神経は、筋肉を動作させる脳からのメッセージや皮膚からの触覚を脳に伝えるメッセージなど、脳と体の他の部位との間でメッセージを伝達します。

脳腫瘍と脊髄腫瘍は、頻繁にみられる種類の小児がんです。

お子さんのがんはまれですが、小児がんの中で白血病リンパ腫に次いで3番目に多くみられるがんが脳腫瘍と脊髄腫瘍です。脳腫瘍は小児と成人のいずれにも発生する可能性があります。小児に対する治療は通常、成人に対する治療とは異なります。(成人向けの治療法に関する詳しい情報については、PDQ成人中枢神経系腫瘍の治療に関する要約をご覧ください。)

本要約では、原発性の脳腫瘍と脊髄腫瘍(脳と脊髄から発生する腫瘍)の治療法について説明しています。転移性の脳腫瘍と脊髄腫瘍の治療については、本要約では扱っておりません。転移性腫瘍は、体の他の部位に発生したがん細胞により形成され、脳や脊髄に拡がります。

ほとんどの小児脳腫瘍および脊髄腫瘍の原因は不明です。
小児脳腫瘍および脊髄腫瘍の徴候や症状は、全ての患者さんで同じとは限りません。

徴候や症状は、以下の因子に左右されます:


  • 脳または脊髄内での腫瘍の位置。

  • 腫瘍の大きさ。

  • 腫瘍が増殖する速度。

  • 小児の年齢と発育状況。

徴候や症状は小児脳腫脹や脊髄腫瘍により引き起こされることもあれば、脳に転移したがんなど、他の病態によって引き起こされることもあります。お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:

脳腫瘍の徴候と症状
  • 朝方に起こる頭痛や嘔吐すると治まる頭痛。

  • 頻繁に起きる吐き気や嘔吐。

  • 視覚、聴覚、発話機能の問題。

  • 平衡感覚の喪失と歩行困難。

  • 異常な眠気や活動水準の変化。

  • 性格や行動の異常な変化。

  • 痙攣発作

  • 頭部の大きさの増大(乳児)。

脊髄腫瘍の徴候と症状
  • 背中の痛み、または背中から腕や脚にかけて拡がる痛み。

  • 排便習慣の変化や排尿困難。

  • 脚の筋力低下。

  • 歩行困難。

脳腫瘍と脊髄腫瘍のこれらの徴候や症状に加えて、小児によっては座る、歩く、文を発話するといった特定の成長と発達のマイルストーンに到達できないことがあります。

小児脳腫瘍および脊髄腫瘍を発見するには、脳と脊髄を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 神経学的検査 :脳と脊髄および神経の機能を調べる目的で行われる一連の問診と検査のこと。この検査のチェック項目には、患者さんの精神状態、協調運動、歩行能力、それに筋肉や感覚、反射がどの程度機能しているかなどが含まれます。この検査は神経検査や神経学的診察と呼ばれることもあります。

  • ガドリニウムを使用する MRI (磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、脳と脊髄の精細な連続画像を作成する検査法。まずガドリニウムと呼ばれる物質を静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

  • 血清腫瘍マーカー試験 :採取した血液を調べて、臓器や組織、腫瘍細胞などから血液中に放出された特定の物質の量を測定する検査法。特定の物質の血中濃度が上昇している場合には、その物質と関連性のある特定の種類のがんの存在が疑われます。このような物質は腫瘍マーカーと呼ばれます。

ほとんどの小児脳腫瘍の診断は手術の際になされ、そのまま摘出まで行われます。

医師は脳腫瘍の可能性があると考えた場合、生検を行って組織のサンプルを採取します。脳にできた腫瘍に対する生検は、頭蓋骨に開けた穴から針を挿入し組織のサンプルを採取するという手技によって行われます。切除された組織を病理医顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。ここでがん細胞が発見された場合には、そのまま手術が継続され、安全を確保できる範囲内で可能な限りの腫瘍の摘出が行われます。病理医はがん細胞を調べて脳腫瘍の種類と悪性度を判別します。腫瘍の悪性度は、がん細胞を顕微鏡で観察したときの異常の度合いと、腫瘍の増殖や拡がりの速さに基づいています。



開頭術の図:頭皮の一部を切り取り、頭蓋骨片を切除し、脳を覆う硬膜を切開して脳を露出させている。頭皮の下の筋層も示されている。



開頭術:頭蓋骨に開口部を設け、頭蓋骨片を切除して脳の一部を露出させる手技。



切除された組織のサンプルに対して、以下の検査が行われることがあります:


  • 免疫組織化学検査 抗体を利用して、組織のサンプルに含まれる特定の抗原を調べる臨床検査。この抗体には通常、放射性物質または色素が結合されており、その作用によって顕微鏡で観察したときに組織が明るく見えます。この種の検査法は、様々な種類のがんを判別するのに用いられることがあります。

一部の小児脳腫瘍と脊髄腫瘍は画像検査により診断されます。

脳内または脊髄内での腫瘍の位置によっては、生検や手術が安全に実施できない場合があります。これらの腫瘍は画像検査やその他の方法の結果に基づいて診断されます。

特定の要因が予後(回復の見込み)に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)を左右する因子には以下のものがあります:


  • 手術後にがん細胞が残っているかどうか。

  • 腫瘍の種類。

  • 体内での腫瘍の位置。

  • 小児の年齢。

  • 新たに診断された腫瘍か、再発した(再び現れた)腫瘍か。

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小児脳腫瘍および脊髄腫瘍の病期分類

小児脳腫瘍と脊髄腫瘍では、治療の選択肢は複数の要因によって決定されます。

病期分類とは、どれほど大きながんが存在しているのかということや、がんが脳内や脊髄内、または体内の他の部位に転移しているかどうかを調べるために行うプロセスのことです。がんの治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。

小児の脳腫瘍と脊髄腫瘍には、標準的な病期分類システムがありません。その代わり、以下のようにがんの治療計画を左右するいくつかの要因があります:


  • 腫瘍の種類と発生した脳内の場所。

  • 新しく診断された腫瘍か、再発した腫瘍か。新しく診断された脳腫瘍または脊髄腫瘍とは、まだ治療が行われていない腫瘍です。再発小児脳腫瘍または脊髄腫瘍とは、治療後に再発した(再び現れた)腫瘍のことをいいます。小児脳腫瘍と脊髄腫瘍は、脳の同じ部位または他の部位に再発する場合や脊髄に再発する場合があります。時には、体の他の部位に再発します。最初の治療の後、何年も経ってから腫瘍が再発することもあります。腫瘍を診断するため、または腫瘍の病期を調べるために行われた生検などの検査法や手技は、腫瘍の再発を調べるためにも実施されます。

  • 腫瘍の悪性度。腫瘍の悪性度は、がん細胞顕微鏡で観察したときの異常の度合いと、腫瘍の増殖や拡がりの速さに基づいています。治療計画を立てるためには、腫瘍の悪性度や、手術後にがん細胞が残っているかどうかを把握しておくことが重要です。腫瘍の悪性度は、全ての種類の脳腫瘍や脊髄腫瘍に対する治療を計画する際に考慮されるとは限りません。

  • 腫瘍のリスク群。リスク群には平均リスクとプアリスクという区分と、低リスク、中間リスク、高リスクという区分があります。リスク群は、手術後に残っている腫瘍の量、脳内や脊髄内または体の他の部位への転移、腫瘍が形成されている場所、小児の年齢などに基づいて決定されます。リスク群は、全ての種類の脳腫瘍と脊髄腫瘍の治療を計画する際に用いられるとは限りません。

小児脳腫瘍や脊髄腫瘍を検出(発見)する検査や手技から得られた情報は、腫瘍のリスク群を判別するために用いられます。

手術で腫瘍を摘出した後、小児脳腫瘍と脊髄腫瘍の発見に用いられた検査の一部が、腫瘍のリスク群を特定するために再び実施されます(一般的な情報のセクションをご覧ください)。この検査では手術後に残っている腫瘍の量を調べます。

その他にも、がんが拡がっているかどうかを調べるために以下のような検査や手技が用いられます:


  • 腰椎穿刺 脊柱内から脳脊髄液(CSF)を採取する際に用いられる手技。脊椎内の2本の骨の間から脊柱内に針を刺し、脊髄周囲を流れるCSFに到達させ、CSFを採取します。CSFのサンプルを顕微鏡で検査し、腫瘍がCSFに拡がっている徴候の有無を調べます。そのサンプルに含まれる蛋白の量を調べることもあります。正常量以上の蛋白や正常量以下の糖は腫瘍の徴候かもしれません。この手技はLPまたは脊椎穿刺とも呼ばれます。通常、腰椎穿刺は小児の脊髄腫瘍の病期を調べるためには用いられません。

    腰椎穿刺:図は、台の上に身を丸めて横たわる患者さんの腰に穿刺針(細長い針)が挿入されるところを示している。右側の拡大図には、脊柱下部の脳脊髄液(CSF)の中に脊椎穿刺針が挿入されている様子が示されている。
    
    


    腰椎穿刺。まず患者さんに背中を曲げた姿勢で台の上に横たわってもらいます。腰の狭い範囲に麻酔をかけた後、穿刺針(細長い針)を脊柱下部に挿入し、脳脊髄液(CSF、青色で示されている)を採取します。採取された液体は、検査のために検査室に送られることもあります。




  • 骨スキャン :骨の内部に活発に分裂している細胞(がん細胞など)が存在していないかを調べる検査法。まずごく少量の放射性物質を静脈内に注入し、血液に乗せて全身に巡らせます。この放射性物質には骨に集まっていく性質があるため、これをスキャナを用いて検出します。

  • 骨髄穿刺と骨髄生検:腰骨または胸骨に中空針を挿入し、骨髄血液、骨の小片などを採取する手技。採取された骨髄、血液、骨が病理医によって顕微鏡で観察され、がんの徴候がないか調べられます。

    骨髄穿刺と骨髄生検:図は、台の上にうつ伏せになった患者さんの腰骨に骨髄穿刺針が挿入されている様子を示す。拡大図は、皮膚の上から腰骨の骨髄に挿入した骨髄穿刺針を示している。
    
    


    骨髄穿刺と骨髄生検。皮膚の小さな領域に麻酔を施してから、患者さんの腰骨に骨髄穿刺針を挿入します。そして顕微鏡での検査用に血液、骨、骨髄などのサンプルを採取します。




小児脳腫瘍および脊髄腫瘍は、治療後に再発する(再び現れる)ことがあります。

再発小児脳腫瘍または脊髄腫瘍とは、治療後に再発した(再び現れた)腫瘍のことをいいます。小児脳腫瘍と脊髄腫瘍は、脳の同じ部位または他の部位に再発する場合があります。時には、体の他の部位に再発します。最初の治療の後、何年も経ってから腫瘍が再発することもあります。診断や病期分類の検査と手技(生検など)を実施して、腫瘍が再発したかどうかを確認する場合があります。

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治療選択肢の概要

小児脳腫瘍と脊髄腫瘍の患者さんには様々な種類の治療法があります。

小児脳腫瘍と脊髄腫瘍のお子さんに対しては、様々な治療法を使用することができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験は、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。

小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討すべきです。臨床試験は米国各地で行われています。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

小児脳腫瘍または脊髄腫瘍の患者さんには、小児の脳腫瘍と脊髄腫瘍の治療を専門とする医療提供者で構成されるチームによって治療計画が立てられるべきです。

この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児の脳腫瘍の治療に精通し、特定の医療分野を専門とする他の医療提供者と協力しながら治療に取り組んでいきます。具体的には以下のような専門家が挙げられます:


小児脳腫瘍および脊髄腫瘍では、徴候や症状ががんの診断前に現れて、数ヵ月または数年間も続くことがあります。

小児の脳腫瘍と脊髄腫瘍では、徴候症状が数ヵ月または数年間にわたって続く場合があります。腫瘍により引き起こされる徴候や症状が、診断の前にみられることもあります。治療により引き起こされる徴候や症状は、治療中または治療直後によくみられます。

がんの治療のなかには、治療が終わってから何ヵ月または何年もたって副作用が現れるものがあります。

これらは晩期障害と呼ばれます。がん治療の晩期障害には以下のようなものがあります:


  • 身体的問題。

  • 気分、感情、思考、学習、記憶における変化。

  • 二次がん(新しい種類のがん)。

晩期障害には治療や制御することが可能なものもあります。がんの治療によってお子さんに生じうる影響について担当医とよく相談することが重要です。(詳しい情報については、PDQ小児がん治療の晩期障害に関する要約をご覧ください。)

標準治療として以下の3種類が用いられています:
手術

小児脳腫瘍および脊髄腫瘍の診断や治療を行うために、手術が使用されることがあります。本要約の一般的な情報をご覧ください。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

化学療法

化学療法は、薬剤を用いて細胞を殺傷したり、その細胞分裂を停止させたりすることによって、がん細胞の増殖を阻止するがん治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬物は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹部などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

脳や脊髄の腫瘍に対する治療として経口または静脈内注射で抗がん剤を投与しても、その薬は血液脳関門を通過できず、脳と脊髄の周囲を満たしている体液の中まで浸透することができません。そこで、この部分に存在するがん細胞を死滅させるために、液体で満たされたこの空間内に抗がん剤を注入します。この治療法は髄腔内化学療法と呼ばれます。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

幹細胞移植を伴う大量化学療法

幹細胞移植を伴う大量化学療法とは、高用量の化学療法を実現する手法で、このようながん治療によって破壊された造細胞を外部から補充します。まず患者さん自身またはドナーから採取した血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、それを凍結保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍して、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、お子さんの状態の変化やがんの再発の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

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新規診断および再発小児脳腫瘍の治療

脳は、様々な種類の細胞から構成されています。小児脳腫瘍は、がんを構成している細胞の種類と、腫瘍が最初にCNSに発生した場所に基づいて、分類され治療されます。腫瘍の種類によっては、顕微鏡で腫瘍を観察した結果に基づいて、いくつかの亜型に細分する場合もあります。腫瘍の種類と病期分類の一覧、ならびに新規診断および再発小児脳腫瘍の治療情報については、表1をご覧ください。

表1.新規診断または再発時の腫瘍型とそれに関連するPDQ治療要約

腫瘍型 腫瘍亜型 関連するPDQ治療要約
星細胞腫およびその他の膠細胞由来の腫瘍    
低悪性度星細胞腫 びまん性原線維性星細胞腫 低悪性度星細胞腫に関する情報については、小児星細胞腫の治療をご覧ください。
肥胖細胞性星細胞腫
乏突起星細胞腫
乏突起膠腫
毛様細胞性星細胞腫
毛様類粘液性星細胞腫
多形黄色星細胞腫
原形質性星細胞腫
上衣下巨細胞星細胞腫
高悪性度星細胞腫 退形成性星細胞腫 高悪性度星細胞腫に関する情報については、小児星細胞腫の治療をご覧ください。
退形成性乏突起星細胞腫
退形成性乏突起膠腫
巨細胞膠芽腫
膠芽腫
大脳グリオーマ症
神経膠肉腫
 
脳幹グリオーマ    
  びまん性内在性橋グリオーマ 小児脳幹グリオーマの治療をご覧ください。
限局性または低悪性度脳幹グリオーマ
 
中枢神経系胚芽腫    
髄芽腫 退形成性 髄芽腫、中枢神経系原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、松果体腫瘍に関する情報については、小児中枢神経系胚芽腫の治療をご覧ください。
古典的
線維形成性/結節性
大細胞性
広範な小結節形成を伴う髄芽腫
中枢神経系原始神経外胚葉性腫瘍(PNET) 中枢神経系神経節芽細胞腫
中枢神経系神経芽腫
上衣芽腫
髄上皮腫
松果体腫瘍 松果体芽腫
松果体細胞腫
中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍   小児中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍の治療をご覧ください。
 
中枢神経系胚細胞腫瘍    
胚細胞腫    
奇形腫 未熟奇形腫
成熟奇形腫
悪性転換を伴う奇形腫
胚芽腫以外の胚細胞腫瘍 絨毛がん
胎児性がん
混合型胚細胞腫瘍
卵黄嚢腫瘍
 
頭蓋咽頭腫   小児頭蓋咽頭腫の治療をご覧ください。
 
上衣腫 上衣下腫(WHO分類の悪性度I) 小児上衣腫の治療をご覧ください。
粘液乳頭状上衣腫(WHO分類の悪性度I)
上衣腫(WHO分類の悪性度II)
退形成性上衣腫(WHO分類の悪性度III)
 
脈絡叢腫瘍    


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新規診断および再発小児脊髄腫瘍の治療

脊髄では、様々な種類の細胞から腫瘍が発生します。低悪性度の脊髄腫瘍は、通常は拡がりません。高悪性度の脊髄腫瘍は、脊髄や脳の他の部位へと拡がることがあります。新規診断および再発小児脊髄腫瘍の病期分類と治療に関する詳しい情報については、以下のPDQ要約をご覧ください。


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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、小児の脳腫瘍および脊髄腫瘍の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board. PDQ Childhood Brain and Spinal Cord Tumors Treatment Overview. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/brain/patient/child-brain-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389351]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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