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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

男性乳がんの治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-02-25
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Adult Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、男性乳がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

男性の乳がん

男性乳がんについての一般的な情報

男性乳がんは、乳房の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

乳がんは男性にも発生します。乳がんはあらゆる年齢の男性に発生しますが、通常は60~70歳の男性に発見されます。男性乳がんの症例数は乳がん症例全体の1%にも及びません。

男性に発生する乳がんとしては以下の種類のものが挙げられます:


女性の乳がんには非浸潤性小葉がんという乳腺区域の1つに異常な細胞が発生する疾患)という種類もありますが、これが男性に発生したという報告は未だありません。



男性の乳房の解剖図:乳頭、乳輪、脂肪組織、乳管、周辺のリンパ節、肋骨、筋肉を示す。



男性の乳房の解剖図:乳頭、乳輪、脂肪組織、乳管を示す解剖図。周辺のリンパ節、肋骨、筋肉も示されています。



男性の乳がんのリスクを高める要因に、放射線への曝露や体内のエストロゲン(薬剤詳細へ)量の増大、乳がんの家族歴などがあります。

疾患が発生する危険性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。男性における乳がんのリスク因子には以下のものがあります:


男性乳がんの一部には、遺伝によって親から受け継がれた変異遺伝子がその原因となっているものも含まれます。

細胞の内部には遺伝子が格納されていますが、そこには両親から受け継いだ遺伝情報が保持されています。乳がん全体の約5~10%は遺伝性の乳がんが占めています。乳がんと関係のある突然変異遺伝子には、特定の民族集団に多く認められるものもあります。 遺伝子に乳がんに関係する突然変異がある男性では、乳がんのリスクが高くなります。

突然変異遺伝子を検出(発見)できる検査がいくつかあります。このような遺伝子検査は、がんの発生リスクが高い家系の人に対して時折実施されています。詳しい情報については以下のPDQの要約をご覧ください:


乳がんの男性では、触って分かるほどのしこりができるのが通常です。

しこりなどの徴候は、男性乳がんやその他の病態により引き起こされます。乳房に変化がみられる場合は、医師の診察を受けてください。

男性における乳がんの発見と診断には、乳房を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 臨床的乳房検査(CBE):医師またはその他の医療専門家が実施する乳房の検査法。医師が乳房とわきの下の触診を入念に行って、しこりなどの異常がないかを調べます。

  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。

  • MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

  • 血液生化学検査 :採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。

  • 生検 :細胞や組織を採取する手技のことで、採取されたサンプルは病理医によって顕微鏡で観察され、がんの徴候がないか調べられます。生検方法には以下のものがあります:
    • 穿刺吸引生検 (FNA生検):細い針を用いて組織または体液を採取する。

    • コア生検 :太い針を用いて組織を採取する。

    • 摘出生検 :しこりの組織全体を摘出する。


ここでがんが発見された場合は、検査を行ってがん細胞が調べられます。

最善の治療法は、これらの検査結果に基づいて決定されます。これらの検査から以下の情報が得られます:


  • がんが増殖する場合の速さ。

  • がんが体全体に拡がる可能性。

  • 特定の治療法の有効性。

  • がんが再発する(再び現れる)可能性。

検査には以下のものがあります:


  • エストロゲン受容体検査とプロゲステロン受容体検査 :がん組織の中に含まれる、エストロゲン(薬剤詳細へ)プロゲステロン(それぞれホルモンの一種)に対する受容体の量を測定する検査法。乳房内にがんが発見されると、腫瘍から採取した組織を検査室で調べて、エストロゲン(薬剤詳細へ)やプロゲステロンによってがんの増殖に変化が起きるかどうかを明らかにします。この検査の結果から、ホルモン療法でがんの増殖を阻止できるかどうかが判断できます。

  • HER2検査:がん組織中のHER2の量を測定する検査法。HER2とは増殖因子という蛋白の一種で、細胞に増殖の指令を伝えるという働きを担っています。 がんができると、その細胞はこの蛋白を過剰に生産するようになり、それによってさらに多くのがん細胞が増殖していきます。乳房にがんが発見されると、腫瘍から採取した組織を検査室で調べて、細胞中にこのHER2が過剰に存在していないかを明らかにします。この検査の結果から、モノクローナル抗体 療法でがんの増殖を阻止できるかどうかが判断できます。

乳がんの男性の生存率は、乳がんの女性の生存率とほぼ同等です。

診断時の病期が同じであれば、乳がんの男性の生存率は、乳がんの女性の生存率とほぼ同等です。しかしながら男性の乳がんでは、診断時にすでに進行している場合が多くなっています。診断時の病期が進行しているほど、治癒の可能性はより低くなってきます。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


  • がんの病期(がんに侵されているのは乳房だけか、あるいは体内の他の部位にも転移しているか)。

  • 乳がんの種類。

  • 腫瘍組織中に存在するエストロゲン(薬剤詳細へ)受容体とプロゲステロン受容体の量。

  • もう一方の乳房にもがんが存在しているかどうか。

  • 患者さんの年齢と健康状態。

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男性乳がんの病期

乳がんの診断がついた後には、がん細胞の乳房内での拡がりや体の他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

乳がん診断がついた後には、がん 細胞乳房内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。こうした検査の過程は病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。男性の乳がんの病期分類は、女性の乳がんの場合と同じです。乳房からリンパ節や体内の他の部位へのがんの拡がり方についても、男性の場合と女性の場合で違いはありません。

病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:


  • センチネルリンパ節生検 手術中にセンチネルリンパ節を採取する手技。センチネルリンパ節とは、腫瘍からのリンパ節ドレナージが最初に流れる込むリンパ節のことです。腫瘍中のがん細胞が最初に転移する可能性の高いリンパ節がセンチネルリンパ節です。まず、放射性物質や青色の色素が腫瘍の付近に注入されます。注入された放射性物質や色素は、リンパを通ってリンパ節へと流れ込みます。そうして、放射性物質や色素が最初に到達したリンパ節が切除されます。採取された組織病理医顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。そこでがん細胞が発見されなければ、それ以上のリンパ節の切除が不要になる場合もあります。

  • 胸部X線検査 :胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

  • 骨スキャン :骨の内部に活発に分裂している細胞(がん細胞など)が存在していないかを調べる検査法。まず、ごく少量の放射性物質を静脈内に注入し、血液に乗せて全身に巡らせます。この放射性物質には骨に集まっていく性質があるため、これをスキャナを用いて検出します。

  • PETスキャン(陽電子放射断層撮影):体内の悪性の 腫瘍細胞を検出するための検査法。まず、放射性のあるブドウ糖の溶液を少量だけ静脈内に注射します。その後、周囲を回転しながら体の内部を調べていくPETスキャナという装置を用いて、ブドウ糖が消費されている体内の領域を示す画像を作成していきます。悪性腫瘍細胞は、正常な細胞よりも活発でブドウ糖をより多く取り込む性質があるため、画像ではより明るく映し出されます。

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:


  • 組織。がんは発生した場所から隣接する領域に拡がります。

  • リンパ系。がんは発生した場所からリンパ系に侵入して拡がります。がんはリンパ管を介して体内の他の部位へ移動します。

  • 血液。がんは発生した場所から血液に侵入して拡がります。がんは血管を介して体内の他の部位へ移動します。

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。


  • リンパ系。がんがリンパ系に侵入し、リンパ管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍転移性腫瘍)を形成します。

  • 血液。がんが血液中に侵入し、血管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍(転移性腫瘍)を形成します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類の腫瘍です。例えば、乳がんが骨に転移した場合、骨にできたがん細胞は、実際は乳がんの細胞です。このような疾患は、転移性乳がんであって、骨がんではありません。

男性の乳がんでは、以下の病期が用いられています:

本セクションでは、乳がんの病期分類について説明しています。乳がんの病期分類は、手術やその他の検査時に摘出した腫瘍やリンパ節について実施した検査結果に基づいて行われます。

0期(非浸潤性がん)

非浸潤性乳がんには以下の3種類があります:




腫瘍の大きさを日常の身近な物と比べた図:様々な腫瘍の大きさと豆、ピーナッツ、クルミ、ライムとを比較している。



豆、ピーナッツ、クルミ、ライムと比較して、腫瘍の大きさを表しています。



I期

I期では、すでにがんが形成されています。I期は、IA期とIB期に分けられます。


  • IA期では、腫瘍の大きさが2cm以下です。がんは乳房の外には拡がっていません。

  • IB期では、乳がん 細胞の小さな塊(0.2mmを超えるが2mm以下)がリンパ節に認められ、かつ以下のいずれかに該当します:
    • 乳房腫瘍が認められない;または

    • 腫瘍の大きさが2cm以下。


II期

II期は、IIA期とIIB期に分けられます。


  • IIA期では、以下の条件が満たされます:

  • IIB期では、腫瘍について以下の条件が満たされます:
    • 大きさが2cmを超えるが5cm以下。乳がん 細胞の小さな塊(0.2mmを超えるが2mm以下)がリンパ節に認められる;または

    • 大きさが2cmを超えるが5cm以下。がんが1~3ヵ所の腋窩リンパ節に認められるか、または胸骨の近くの(センチネルリンパ節生検時に発見された)リンパ節に認められる;または

    • 大きさが5cmを超える。がんがリンパ節に転移していない。


IIIA期

IIIA期では、以下の条件が満たされます:


  • 乳房腫瘍が認められないか、腫瘍の大きさは問わない。がんが4~9ヵ所の腋窩リンパ節に認められるか、または胸骨の近くの(画像検査または身体診察時に発見された)リンパ節に認められる;または

  • 腫瘍の大きさが5cmを超える。乳がん 細胞の小さな塊(0.2mmを超えるが2mm以下)がリンパ節に認められる;または

  • 腫瘍の大きさが5cmを超える。がんが1~3ヵ所の腋窩リンパ節に認められるか、または胸骨の近くの(センチネルリンパ節生検時に発見された)リンパ節に認められる。

IIIB期

IIIB期では、腫瘍の大きさは問わず、がん胸壁乳房の皮膚まで拡がっており、腫脹または潰瘍が認められます。さらに、がんが以下の部位へ拡がっている場合もあります:


乳房の皮膚に拡がったがんは、炎症性乳がんである可能性もあります。詳しい情報については、男性の炎症性乳がんのセクションをご覧ください。

IIIC期

IIIC期では、腫瘍乳房に認められないか、腫瘍の大きさは問いません。がんが乳房の皮膚に拡がって腫脹または潰瘍が認められることがあり、さらに胸壁に拡がっている場合もあります。さらに、がんが以下の部位へ拡がっています:


乳房の皮膚に拡がったがんは、炎症性乳がんである可能性もあります。詳しい情報については、男性の炎症性乳がんのセクションをご覧ください。

治療を目的として、IIIC期の乳がんは、さらに手術可能なIIIC期と手術不能のIIIC期に分けられます。

IV期

IV期では、がんが体の他の臓器(最もよくみられるのは、骨、肝臓、脳)に転移しています。

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男性の炎症性乳がん

炎症性乳がんでは、がん乳房の皮膚に拡がっていて、乳房が赤く腫れあがって熱感が生じます。発赤と熱感が生じるのは、がん細胞によって皮膚内のリンパ管が塞がれるためです。また、乳房の皮膚が、橙皮状皮膚(オレンジの皮のような皮膚)と呼ばれるくぼみ状の外観を呈してくる場合もあります。さらに、乳房に触知できるしこりが1つも存在しない場合もあります。炎症性乳がんの場合の病期は、IIIB期IIIC期IV期のいずれかです。

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再発男性乳がん

再発 乳がんとは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は、乳房内や胸壁内部に生じることもあれば、体の他の部位に発生することもあります。

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治療選択肢の概要

男性乳がんの患者さんには様々な治療法が存在します。

男性乳がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形です。

男性の乳がんの治療では、標準治療として以下の5種類が用いられています:
手術

男性の乳がんに対する手術は、非定型的根治的乳房切除術乳房、わきの下のリンパ節多数、胸部の筋肉の表面を覆う組織を切除し、場合により胸壁の筋肉も切除する手術)となるのが通常です。

非定型的根治的乳房切除術。左図は、乳房、わきの下のリンパ節の大半または全部、胸筋を覆う膜、胸壁の筋肉の一部(場合による)の切除範囲を示している。右図は乳房の断面図で、胸壁(肋骨と筋肉)、脂肪組織、腫瘍を示している。



非定型的根治的乳房切除術。破線は、乳房全体と切除されるリンパ節を含む範囲を示しています。胸壁の筋肉の一部を併せて切除する場合もあります。



がんを摘出しつつ乳房を残しておく手術法は乳房温存手術と呼ばれ、乳がんの男性に適用される場合もあります。乳腺腫瘤摘出術では、腫瘍(腫瘤)とともにその周囲の正常組織を少量だけ切除します。放射線療法は、手術後に残存しているがん細胞を殺傷するために実施されます。

乳房温存手術:図は腫瘍および腋窩リンパ節の切除範囲を示す。



乳房温存手術。点線で示された部分は、切除対象の腫瘍と切除が検討される複数のリンパ節を含みます。



化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹部などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

詳しい情報については、乳がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

ホルモン療法

ホルモン療法は、ホルモンを体内から除去したりその働きを阻害したりすることによって、がん細胞の増殖を阻止する治療法です。ホルモンとは、体内の内分泌腺で作られて血流内を循環する物質のことです。ホルモンのなかには一部のがんを増殖させるものがあります。がん細胞内にホルモンが結合する分子(受容体)が存在するということが検査によって判明した場合は、薬物投与や手術、放射線療法などの手段を用いて、そのホルモンの分泌を抑制したり、作用を阻害したりする治療を行います。

詳しい情報については、乳がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

標的療法

標的療法とは、正常な細胞には害を及ぼすことなく、特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。モノクローナル抗体 療法は、男性乳がんを治療するために用いられる標的療法の一種です。

モノクローナル抗体療法は、製造ラボにおいて1種類の免疫系細胞から作り出した抗体を使用する治療法です。これらの抗体は、がん細胞の表面上に存在する物質や、がん細胞の増殖を促進する物質を特定することができます。こうした抗体がそれぞれの標的物質に結合することにより、がん細胞の死滅、増殖の阻止、転移の抑止などといった効果が得られます。モノクローナル抗体は点滴によって投与されます。単独でモノクローナル抗体を使用することもありますが、薬や毒素、放射性物質などをがん細胞に直接送り届けるという用途でも用いられます。モノクローナル抗体は、補助療法(手術後にがんが再発するリスクを減らすために行われる治療)として、化学療法と共に用いられることもあります。

トラスツズマブはモノクローナル抗体で、HER2と呼ばれる成長因子 蛋白の作用を阻止します。

詳しい情報については、乳がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

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男性乳がんの治療選択肢

男性の乳がんには女性の乳がんと同様の治療が行われます。(詳しい情報については、PDQ乳がんの治療に関する要約をご覧ください。)

初回手術

乳がん診断された男性に対する治療法は、非定型的根治的乳房切除術となるのが通常です。場合によっては、乳房温存手術乳腺腫瘤摘出術が実施される場合もあります。

術後補助療法

手術の実施後にもはやがん 細胞が認められなくなった時点で行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。たとえ医師が手術の際に確認できるがんを全て切除したとしても、患者さんによっては、手術後に残存している可能性のあるがん細胞を全て死滅させるために、放射線療法化学療法ホルモン療法標的療法などを実施する場合があります。


こうした治療には、その対象が男性の場合でも、女性の場合と同等の生存率の向上が見込まれます。患者さんのホルモン療法に対する反応(ホルモン療法の効き目)は、腫瘍組織の中にホルモン 受容体蛋白の一種)が存在しているかどうかに左右されます。男性の乳がんの大半にはこのホルモン受容体が存在しています。そのため男性乳がんの患者さんにはホルモン療法が勧められるのが通常ですが、この治療法にはほてり勃起不全勃起を達成または維持できず性交が不可能になった状態)などの数多くの副作用のリスクがあります。

遠隔転移

遠隔転移がんが体の他の部位に拡がること)を起こした男性に対する治療法は、ホルモン療法化学療法、もしくはその両方です。ホルモン療法には以下のものがあります:


ホルモン療法は、それぞれを切り替えながら連続で実施していく場合もあります。ホルモン療法がうまくいかない場合は、標準的な化学療法レジメンが用いられることがあります。その治療に対する反応(治療の効き目)は、その対象が男性であっても乳がんの女性の場合と同様のものとなるのが通常です。

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再発男性乳がんの治療選択肢

局所 再発(治療後に限られた領域のみにがんが再び現れること)を起こした男性に対する治療法は、通常次のどちらかです:


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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、男性乳がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board. PDQ Male Breast Cancer Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/breast/patient/male-breast-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389417]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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