患者さん向け 男性乳がんの治療(PDQ®)

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このPDQがん情報要約では、男性乳がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

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男性乳がんについての一般的な情報

男性乳がんは、乳房の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

乳がんは男性にも発生します。乳がんはあらゆる年齢の男性に発生しますが、通常は60~70歳の男性に生じます。男性乳がんの症例数は乳がん症例全体の1%にも及びません。

男性に発生する乳がんとしては以下の種類のものが挙げられます:

女性の乳がんには非浸潤性小葉がんという乳腺区域の1つに異常な細胞が発生する疾患)という種類もありますが、これが男性に発生したという報告は未だありません。

男性の乳房の解剖図:図はリンパ節、乳頭、乳輪、胸壁、肋骨、筋肉、脂肪組織、乳管を示している。

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男性の乳房の解剖図。乳頭と乳輪は乳房の外表面に示されています。リンパ節、脂肪組織、乳管、その他の乳房内の各部も示されています。

乳がんの家族歴などの要因が、男性の乳がんのリスクを高める可能性があります。

疾患が発生する危険性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。男性における乳がんのリスク因子には以下のものがあります:

男性乳がんの一部には、遺伝によって親から受け継がれた変異遺伝子がその原因となっているものも含まれます。

細胞内に存在する遺伝子には、両親から受け継がれた遺伝情報が保持されています。乳がん全体の約5~10%は遺伝性の乳がんが占めています。乳がんと関係のある変異遺伝子には、BRCA2などのように、特定の民族集団に多く認められるものがあります。 遺伝子に乳がんに関係する突然変異がある男性では、乳がんのリスクが高くなります。

突然変異遺伝子を検出(発見)できる検査がいくつかあります。このような遺伝子検査は、がんの発生リスクが高い家系の人に対して時折実施されています。詳しい情報については以下のPDQの要約をご覧ください:

乳がんの男性では、触って分かるほどのしこりができるのが通常です。

しこりなどの徴候は、男性乳がんやその他の病態により引き起こされます。以下の問題がみられる場合は担当の医師にご相談ください:

男性における乳がんの診断には、乳房を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:

ここでがんが発見された場合は、検査を行ってがん細胞が調べられます。

最善の治療法は、これらの検査結果に基づいて決定されます。これらの検査から以下の情報が得られます:

検査には以下のものがあります:

乳がんの男性の生存率は、乳がんの女性の生存率とほぼ同等です。

診断時の病期が同じであれば、乳がんの男性の生存率は、乳がんの女性の生存率とほぼ同等です。しかしながら男性の乳がんでは、診断時にすでに進行している場合が多くなっています。診断時の病期が進行しているほど、治癒の可能性はより低くなってきます。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:

男性乳がんの病期

乳がんの診断がついた後には、がん細胞の乳房内での拡がりや体の他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

乳がん診断がついた後には、がん細胞乳房内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。こうした検査の過程は病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。男性の乳がんの病期分類は、女性の乳がんの場合と同じです。乳房からリンパ節や体内の他の部位へのがんの拡がり方についても、男性の場合と女性の場合で違いはありません。

病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、乳がんが骨に転移した場合、骨にできたがん細胞は、実際は乳がんの細胞です。このような疾患は、転移性乳がんであって、骨がんではありません。

乳がんの病期は、原発腫瘍の大きさと位置、周辺リンパ節や他の部位への転移、腫瘍の悪性度、特定のバイオマーカーの有無に基づいて決定されます。

最適な治療計画を立て、予後を理解するには、乳がんの病期について知ることが重要です。

乳がんの病期グループには以下の3種類があります:

TNMシステムは、原発腫瘍の大きさと周辺リンパ節や他の部位へのがんの拡がりを表現するために使用されます。

乳がんの場合は、TNMシステムで腫瘍が以下のように表されます:

腫瘍(T)。腫瘍の大きさと位置。

図は身近なものの大きさをミリメートル(mm)単位で示している:とがった鉛筆の先(1mm)、新しいクレヨン(2mm)、鉛筆の後ろについている消しゴム(5mm)、豆(10mm)、ピーナッツ(20mm)、ライム(50mm)。10mmが1cmであることを示す2センチメートル(cm)の目盛りも示されている。

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腫瘍の大きさは、ミリメートル(mm)やセンチメートルで表されることがよくあります。腫瘍の大きさをmm単位で表すために用いられる身近なもの:とがった鉛筆の先(1mm)、新しいクレヨンの先(2mm)、鉛筆の後ろについている消しゴム(5mm)、豆(10mm)、ピーナッツ(20mm)、ライム(50mm)。

リンパ節(N)。がんが転移したリンパ節の大きさと位置。

手術で切除されたリンパ節を病理医が顕微鏡で検査して、病理学的にリンパ節の病期を分類します。リンパ節の病理学的な病期分類は以下のように表されます。

乳腺X線撮影または超音波検査でリンパ節を調べた場合の病期分類は、臨床病期分類と呼ばれます。リンパ節の臨床病期分類についての説明は、ここでは省略します。

転移(M)。他の部位へのがんの拡がり。

悪性度分類法は、乳房腫瘍が増殖または拡がる速さの見込みを表すために用いられます。

悪性度分類法では、顕微鏡でがん細胞と組織がどのくらい異常に見えるか、およびそのがん細胞がどのくらい速く増殖または拡がりそうかという点に基づいて腫瘍を表現します。高悪性度のがん細胞に比べて、低悪性度のがん細胞は外観が正常な細胞に似ており、増殖や拡がりも緩やかに進む傾向があります。がん細胞と組織の異常度を表すために、病理医は以下の3つの特徴について評価を行います:

病理医はそれぞれの特徴に対して1~3のスコアを割り当てます。スコア「1」は細胞や腫瘍組織の外観が正常な細胞や組織に近い場合を表し、スコア「3」は細胞や組織の外観が著しく異常である場合を示します。特徴ごとのスコアを足し合わせると、合計でスコアは3~9になります。

次の3種類の悪性度に分けられます:

乳がん細胞が特定の受容体を持っているかどうかを明らかにするために、バイオマーカー検査が行われます。

健康な乳腺細胞や一部の乳がん細胞は、エストロゲンプロゲステロンというホルモンに結合する受容体(バイオマーカー)を持っています。これらのホルモンは健康な細胞や一部の乳がん細胞が増殖または分裂するために必要です。これらのバイオマーカーの検査を行うには、生検や手術により、乳がん細胞が含まれる組織のサンプルを採取します。このサンプルは検査室で調べられ、乳がん細胞にエストロゲン受容体プロゲステロン受容体が存在するかどうかが調べられます。

また、全ての乳がん細胞の表面には、HER2と呼ばれる別の種類の受容体(バイオマーカー)が存在します。HER2受容体は乳がん細胞の増殖や分裂に必要になります。

乳がんで用いられるバイオマーカー検査には以下のものがあります:

乳がん細胞は、トリプルネガティブまたはトリプルポジティブと呼ばれることがあります。

エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2受容体の状態を把握することは、最適な治療の選択に重要です。いくつかの薬物は、エストロゲンやプロゲステロンなどのホルモンと受容体との結合を遮断して、がんの増殖を阻止できる可能性があります。また、乳がん細胞の表面に存在するHER2受容体を遮断してがんの増殖を阻止する別の薬物が使用されることもあります。

TNMシステム、悪性度分類法、バイオマーカーの状態を組み合わせて、乳がんの病期を分類します。

以下では乳がんに対する最初の治療として手術を受けた女性の3例を取り上げ、TNMシステム、悪性度分類法、バイオマーカーの状態を組み合わせて、乳がんの病理学的予後病期を判定します:

腫瘍の大きさが30mm(T2)で、周辺リンパ節に転移しておらず(N0)、体内で遠隔部位に転移しておらず(M0)、さらに以下の状態である場合:

この乳がんはIIA期です。

腫瘍の大きさが53mm(T3)で、4~9個の腋窩リンパ節に転移しており(N2)、体内で遠隔部位に転移しておらず(M0)、さらに以下の状態である場合:

この腫瘍はIIIA期です。

腫瘍の大きさが65mm(T3)で、3個の腋窩リンパ節に転移しており(N1a)、肺に転移しており(M1)、さらに以下の状態である場合:

この乳がんはIV期です。(転移性乳がん)

乳がんがどの病期に該当し、それを踏まえてどのように最適な治療を計画するのかを担当医と話し合ってください。

患者さんの担当医が手術後に受け取る病理報告には、原発腫瘍の大きさと位置、周辺リンパ節へのがんの転移、腫瘍の悪性度、特定のバイオマーカーの有無が記されています。病理報告や他の検査結果を参照して、乳がんの病期が判定されます。

患者さんが多くの疑問を持つことは珍しくありません。担当医に質問し、最適ながんの治療法を決定するうえで病期の情報をどのように使用するのか、またご自身に適しているかもしれない臨床試験があるかどうかについて説明を受けてください。

男性の乳がんの治療法は、病期によってある程度決まります。

I期、II期、IIIA期、および手術可能なIIIC期の乳がんの治療法については、早期/限局性/手術可能な男性乳がんの治療をご覧ください。

最初に発生した部位の付近に再発した(再び現れた)がんの治療法については、局所領域再発男性乳がんの治療をご覧ください。

IV期(転移性)乳がんまたは体の他の部位で再発した乳がんの治療法については、転移性男性乳がんの治療をご覧ください。

男性の炎症性乳がん

炎症性乳がんでは、がん乳房の皮膚まで拡がっていて、乳房が赤く腫れあがり、熱感を生じます。この赤みと熱感は、がん細胞により皮膚中のリンパ管が塞がれることによって生じます。また、乳房の皮膚に、橙皮状皮膚(オレンジの皮のような皮膚)と呼ばれるくぼみが認められることもあります。乳房に触知できるしこりが1つも存在しない場合もあります。炎症性乳がんの病期は、IIIB期、IIIC期、IV期のいずれかです。

治療選択肢の概要

男性乳がんの患者さんには様々な治療法が存在します。

男性乳がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形です。

男性の乳がんの治療では、標準治療として以下の5種類が用いられています:

手術

男性の乳がんに対する手術は、非定型的根治的乳房切除術乳房、わきの下のリンパ節多数、胸部の筋肉の表面を覆う組織を切除し、場合により胸壁の筋肉も切除する手術)となるのが通常です。

非定型的根治的乳房切除術。左図は、乳房、わきの下のリンパ節の大半または全部、胸筋を覆う膜、胸壁の筋肉の一部(場合による)の切除範囲を示している。右図は乳房の断面図で、胸壁(肋骨と筋肉)、脂肪組織、腫瘍を示している。

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非定型的根治的乳房切除術。破線は、乳房全体と切除されるリンパ節を含む範囲を示しています。胸壁の筋肉の一部を併せて切除する場合もあります。

がんを摘出しつつ乳房を残しておく手術法は乳房温存手術と呼ばれ、乳がんの男性に適用される場合もあります。乳腺腫瘤摘出術では、腫瘍(腫瘤)とともにその周囲の正常組織を少量だけ切除します。放射線療法は、手術後に残存しているがん細胞を殺傷するために実施されます。

乳房温存手術:図は腫瘍および腋窩リンパ節の切除範囲を示す。

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乳房温存手術。点線で示された部分は、切除対象の腫瘍と切除が検討される複数のリンパ節を含みます。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。

詳しい情報については、乳がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

ホルモン療法

ホルモン療法は、ホルモンを体内から除去したりその働きを阻害したりすることによって、がん細胞の増殖を阻止する治療法です。ホルモンとは、体内の内分泌腺で作られて血流内を循環する物質のことです。ホルモンの中には一部のがんを増殖させるものがあります。がん細胞内にホルモンが結合する分子(受容体)が存在するということが検査によって判明した場合は、薬物投与や手術、放射線療法などの手段を用いて、そのホルモンの分泌を抑制したり、作用を阻害したりする治療を行います。

タモキシフェンを使用するホルモン療法は、エストロゲン受容体陽性およびプロゲステロン受容体陽性の乳がんの患者さんによく使用されるほか、転移性乳がん(体の他の部位に転移したがん)の患者さんにも用いられます。

アロマターゼ阻害薬を使用するホルモン療法は、転移性乳がんの男性の一部に対して行われます。アロマターゼ阻害薬は体内において、アンドロゲンエストロゲンに変換するアロマターゼと呼ばれる酵素の働きを阻害することで、体内のエストロゲンの量を減らします。アナストロゾールレトロゾールエキセメスタンはいずれもアロマターゼ阻害薬です。

黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)アゴニストを使用するホルモン療法は、転移性乳がんの男性の一部に対して行われます。LHRHアゴニストは、精巣で作られるテストステロンの量を調節する下垂体に働きかけます。LHRHアゴニストを摂取している男性では、下垂体から精巣にテストステロンの分泌を抑える指令が送られます。リュープロリドゴセレリンはどちらもLHRHアゴニストです。

他のホルモン療法には酢酸メゲストロールを使用するものや、フルベストラントなどの抗エストロゲン療法があります。

詳しい情報については、乳がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんのある領域に放射線を照射する方法です。

標的療法

標的療法とは、特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。男性の乳がんの治療で使用される標的療法には、モノクローナル抗体療法チロシンキナーゼ阻害薬療法、サイクリン依存性キナーゼ阻害薬療法、哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)阻害薬療法などがあります。

モノクローナル抗体療法:モノクローナル抗体は製造ラボで作られ、がんなどの様々な疾患に対する治療に用いられる免疫系蛋白です。がんの治療薬として、これらの抗体は、がん細胞や他の細胞上に存在してがん細胞の増殖に関与する特定の標的に結合する性質をもちます。これにより、抗体はがん細胞の死滅、増殖の阻止、転移の抑止などの効果を発揮できるようになります。モノクローナル抗体は点滴によって投与されます。単独で使用されることもありますが、薬や毒素、放射性物質などをがん細胞に直接送り届けるという用途でも用いられます。

モノクローナル抗体療法には以下の種類があります:

チロシンキナーゼ阻害薬は、腫瘍の増殖に必要となる指令を妨害する標的療法薬の一種です。ラパチニブは、転移性乳がんの男性の治療に用いられることのあるチロシンキナーゼ阻害薬です。

サイクリン依存性キナーゼ阻害薬は、がん細胞の増殖を引き起こすサイクリン依存性キナーゼという蛋白の作用を阻害する標的療法薬の一種です。パルボシクリブは、転移性乳がんの男性の治療に用いられるサイクリン依存性キナーゼ阻害薬です。

哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)阻害薬は、mTORという蛋白の働きを阻害することで、がん細胞の増殖を防ぎ、腫瘍の増殖に必要な新しい血管の成長を妨げます。

詳しい情報については、乳がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

男性乳がんの治療は副作用を引き起こすことがあります。

がんの治療によって引き起こされる副作用に関する詳しい情報については、副作用(英語)のページをご覧ください。

早期/限局性/手術可能な男性乳がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

早期/限局性/手術可能な乳がんの治療法には以下のようなものがあります:

初回手術

乳がんと診断された男性に対する治療法は、非定型的根治的乳房切除術となるのが通常です。

場合によっては、乳房温存手術乳腺腫瘤摘出術、その後に放射線療法が行われる場合があります。

術後補助療法

手術の実施後にもはやがん細胞が認められなくなった時点で行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。たとえ医師が手術の際に確認できるがんを全て切除したとしても、患者さんによっては、手術後に残存している可能性のあるがん細胞を全て死滅させるために、放射線療法化学療法ホルモン療法標的療法などを実施する場合があります。

こうした治療にはその対象が男性の場合でも、女性の場合と同等の生存率の向上が見込まれます。患者さんのホルモン療法に対する反応(ホルモン療法の効き目)は、腫瘍組織の中にホルモン受容体蛋白の一種)が存在しているかどうかに左右されます。男性の乳がんの大半にはこのホルモン受容体が存在しています。そのため男性乳がんの患者さんにはホルモン療法が勧められるのが通常ですが、この治療法にはほてり勃起不全勃起を達成または維持できず性交が不可能になった状態)などの数多くの副作用のリスクがあります。

局所領域再発男性乳がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

局所再発(治療後に限られた領域のみにがんが再び現れること)を起こした男性に対する治療法には以下のようなものがあります:

転移性男性乳がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

転移性乳がん(体内の遠隔部位に拡がったがん)の治療選択肢には以下のようなものがあります:

ホルモン療法

ホルモン受容体陽性またはホルモン受容体の状態が不明な転移性乳がんと診断された男性の治療法には、以下のようなものがあります:

ホルモン受容体陽性の腫瘍またはホルモン受容体の状態が不明な腫瘍を有し、骨または軟部組織にのみ転移がみられ、すでにタモキシフェンによる治療を受けた男性には、以下のような治療が行われます:

標的療法

ホルモン受容体陽性で他の治療に反応しなかった転移性乳がんの男性には、標的療法を含む以下のような治療法が用いられます:

HER2/neu陽性の転移性乳がんの男性には、以下のような治療法が用いられます:

化学療法

ホルモン受容体陰性の転移性乳がんで、ホルモン療法に反応せず、他の臓器に転移しているか症状がみられる男性には、以下のような治療法が用いられます:

手術

放射線療法

他の治療選択肢

転移性乳がんに対する他の治療選択肢には以下のようなものがあります:

男性の乳がんについてさらに学ぶために

米国国立がん研究所が提供している男性の乳がんに関する詳しい情報については、以下をご覧ください:

米国国立がん研究所が提供している一般的ながん情報とその他の資源については、以下をご覧ください:

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、男性乳がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Male Breast Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/breast/patient/male-breast-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389417]

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PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

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