ページの先頭へ

最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

卵巣胚細胞腫瘍の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2015-09-10
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Adult Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、卵巣胚細胞腫瘍の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

卵巣胚細胞腫瘍

卵巣胚細胞腫瘍についての一般的な情報

卵巣胚細胞腫瘍は、卵巣の胚細胞(卵細胞)から悪性(がん)細胞ができる疾患です。

胚細胞腫瘍は体内の生殖細胞(卵子または精子)から発生します。卵巣胚細胞腫瘍は通常十代または若年の女性に発生し、ほとんどの場合片方の卵巣のみに発見されます。

卵巣は女性の生殖系に属する左右一対の臓器です。この臓器は骨盤の内部に位置していて、子宮胎児の成長の場となる、洋ナシのような形をした中空の臓器)の左右に1つずつ存在しています。卵巣の大きさはアーモンドと同じくらいで、その形状も似ています。卵巣は卵子の産生と女性ホルモンの分泌を行っています。

女性生殖系の解剖図:図は、子宮、子宮筋層(子宮の外側の筋層)、子宮内膜(子宮内腔を覆う膜)、卵巣、卵管、子宮頸部、膣を示している。



女性生殖系の解剖図。女性生殖系の臓器には、子宮、卵巣、卵管、子宮頸部、膣などが含まれます。子宮には、子宮筋層と呼ばれる筋肉の外層と子宮内膜と呼ばれる内膜があります。



卵巣胚細胞腫瘍とは、いくつかの異なる種類のがんを総称する用語です。卵巣胚細胞腫瘍のなかで最も多くみられるのは未分化胚細胞腫と呼ばれるものです。他の種類の卵巣腫瘍に関する情報については以下のPDQの要約をご覧ください:


卵巣胚細胞腫瘍の徴候に、腹部の腫れと閉経後の膣出血があります。

卵巣胚細胞腫瘍では、早期の診断(発見)が困難となる場合があります。早の段階では症状が全く現れてこない場合も多くありますが、婦人科の定期診察(検診)で腫瘍が発見される場合もあります。以下のいずれかがみられる場合は、担当の医師にご相談ください:


  • 腹部が膨張し、体の他の部位では体重増加がみられない状態。

  • 閉経期(以後は月経が起こらなくなる時期)以降のからの出血。

卵巣胚細胞腫瘍の発見と診断には、卵巣、骨盤領域、血液、卵巣組織を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 内診 :膣、子宮頸部、子宮、卵管、卵巣、直腸を調べる診察法。膣鏡を膣内に挿入して、医師や看護師が膣や子宮頸部にがんの徴候がないかを調べます。通常はここで、子宮頸部のパパニコロウ試験が行われます。さらに医師または看護師は、手袋をはめて潤滑剤を塗った片方の手の指を1~2本膣内に挿入し、もう片方の手を下腹部に置いて、子宮と卵巣の大きさ、形、位置などを手と指の感触で調べます。さらに医師または看護師は、手袋をはめて潤滑剤を塗った指を直腸内にも挿入し、しこりや異常な部分がないかを指の感触で調べていきます。

    内診:図は、内診時の女性生殖器を側面から見た解剖図を示す。子宮、左卵管、左卵巣、子宮頸部、膣、膀胱、直腸が示されている。医師または看護師が手袋をはめて、片手の2本の指を膣内に挿入し、もう一方の手で上から下腹部を押している様子が示されている。左上の図では、ドレープで覆われた女性が診察台の上で足を足置きに乗せて両脚を開いている。
    
    


    内診。医師または看護師が、手袋をはめて潤滑剤を塗った片手の指を1~2本膣内に挿入し、もう一方の手で上から下腹部を押しています。この診察は、子宮と卵巣の大きさ、形状、位置を触って調べるために行われます。膣、子宮頸部、卵管、直腸も調べられます。




  • 開腹 術:壁を切開して、腹腔内に疾患の徴候がないかを確かめる外科的手技。切開創の大きさは、開腹手術の目的により異なります。ときには臓器を摘出したり組織を採取したりすることもあり、切除された組織は顕微鏡で観察され、疾患の徴候がないか調べられます。

  • CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

  • 血清腫瘍マーカー試験 :採取した血液を調べて、臓器や組織、腫瘍細胞などから血液中に放出された特定の物質の量を測定する検査法。特定の物質の血中濃度が上昇している場合には、その物質と関連性のある特定の種類のがんの存在が疑われます。このような物質は腫瘍マーカーと呼ばれます。α-フェトプロテイン(AFP)やヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)の血中濃度の上昇は、卵巣胚細胞腫瘍の徴候である場合があります。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


  • がんの種類。

  • 腫瘍の大きさ。

  • がんの病期(がんの存在範囲は卵巣の一部か卵巣全体か、あるいは体の他の部位まで達しているか)。

  • がん細胞を顕微鏡で観察した際の外見。

  • 患者さんの健康状態。

一般に卵巣胚細胞腫瘍は、早期に発見し治療すれば治癒します。

 | 

卵巣胚細胞腫瘍の病期

卵巣胚細胞腫瘍の診断がついた後には、がん細胞の卵巣内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がん卵巣内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。卵巣から他の部位にがんが転移していることが確定できない場合は、がんの転移の有無を確かめるために開腹手術が実施されます。その場合、腹部を切開して、対象となる全ての臓器にがんが含まれていないか入念に調べる必要があります。医師が組織の小片を切除し、顕微鏡でがんの徴候がないか確認します。 内に液体を流して洗浄し、その洗浄液中にがん細胞が含まれていないか顕微鏡で調べる場合もあります。通常は、この開腹術の実施中に、がんやがんが存在する他の臓器も摘出されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。

卵巣胚細胞腫瘍診断に用いられる検査法の多くは、病期分類にも用いられます。病期分類には、以下のような検査法や手技も用いられます:


  • PETスキャン(陽電子放射断層撮影):体内の悪性 腫瘍細胞を検出するための検査法。まず放射性のあるブドウ糖の溶液を少量だけ静脈内に注射します。その後、周囲を回転しながら体の内部を調べていくPETスキャナという装置を用いて、ブドウ糖が消費されている体内の領域を示す画像を作成していきます。悪性腫瘍細胞は、正常な細胞よりも活発でブドウ糖をより多く取り込む性質があるため、画像ではより明るく映し出されます。

  • MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

  • 経膣的超音波検査子宮卵管膀胱を調べるのに用いられる検査法。まず、超音波振動子(プローブ)を膣内に挿入し、高エネルギーの音波(超音波)を発生させ内部の組織や臓器に反射させることにより、エコーを生じさせます。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。医師はこのソノグラムを見ることによって腫瘍を発見することができます。

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:


  • 組織。がんは発生した場所から隣接する領域に拡がります。

  • リンパ系。がんは発生した場所からリンパ系に侵入して拡がります。がんはリンパ管を介して体内の他の部位へ移動します。

  • 血液。がんは発生した場所から血液に侵入して拡がります。がんは血管を介して体内の他の部位へ移動します。

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。


  • リンパ系。がんがリンパ系に侵入し、リンパ管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍転移性腫瘍)を形成します。

  • 血液。がんが血液中に侵入し、血管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍(転移性腫瘍)を形成します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類の腫瘍です。例えば、卵巣胚細胞腫瘍が肝臓に転移した場合、肝臓にできた腫瘍細胞は、実際はがん化した卵巣胚細胞です。この疾患は転移性卵巣胚細胞腫瘍であり、肝がんではありません。

卵巣胚細胞腫瘍では以下のような病期が用いられます:
I期


IA、IB、IC期を示す3枚の図:左図(IA期)では片側の卵巣内にがんが見られる。中央の図(IB期)は両側の卵巣内に存在するがんを示している。右図(IC期)では両側の卵巣内にがんが存在し、片方の卵巣は被膜が破裂している。拡大図は、骨盤腹膜内のがん細胞を示している。卵管、子宮、子宮頸部、膣も示されている。



IA期では、がんは片側の卵巣または卵管内にのみ認められます。IB期では、両側の卵巣または卵管内にがんが認められます。IC期では、がんが片側または両側の卵巣または卵管に認められ、さらに以下の条件のいずれかを満たします:(a)卵巣被膜(外層)が破裂している、(b)がんが片側または両側の卵巣または卵管の外表面上にも認められる、または(c)がん細胞が骨盤腹膜に認められる。



I期では、がんが片側または両側の卵巣に認められます。I期はさらにIA期、IB期、IC期に分けられます。


  • IA期:がんが片側の卵巣内にのみ認められる。

  • IB期:がんが両側の卵巣内に認められる。

  • IC期:がんが片側または両側の卵巣内に認められ、さらに以下の条件のいずれかに該当する:
    • 片側または両側の卵巣の表面にがんが認められる;または

    • がんが認められる卵巣の被膜(外層)が破綻(破れて開口)している;または

    • 腹腔腹部 臓器の大半を収納している体)に溜まった体液中または腹膜(腹腔を覆っている組織)の洗浄液の中に、がん細胞が認められる。


II期


IIA期、IIB期、およびII期原発性腹膜がんを示す3枚の図:左図(IIA期)では両卵巣内のがんが子宮と卵管に拡がっている。中央の図(IIB期)では両卵巣内のがんが結腸に拡がっている。右図(II期原発性腹膜がん)ではがんが骨盤腹膜に存在している。子宮頸部と膣も示されている。



IIA期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められ、さらに子宮、卵管、卵巣のうち1つ以上に拡がっています。IIB期では、がんが片側または両側の卵巣または卵管に認められ、さらに結腸に拡がっています。原発性腹膜がんでは、がんが骨盤腹膜に存在し、他の部位から転移してきたものではありません。



II期では、がんが片側または両側の卵巣に認められ、さらに骨盤内の他の部位に拡がっています。II期はさらにIIA期、IIB期、IIC期に分けられます。


  • IIA期:がんが子宮または卵管(卵子が卵巣から子宮へと移動する際に通る細長い管)もしくはその両方に拡がっている。

  • IIB期:がんが骨盤内の他の組織に拡がっている。

  • IIC期:がんが片側または両側の卵巣に認められ、子宮または卵管もしくはその両方に拡がっているか、骨盤内の他の組織に拡がっている。さらに以下の条件のいずれかを満たしています:
    • 片側または両側の卵巣の表面にがんが認められる;または

    • がんが認められる卵巣の被膜(外層)が破綻(破れて開口)している;または

    • 腹腔腹部 臓器の大半を収納している体)に溜まった体液中または腹膜(腹腔を覆っている組織)の洗浄液の中に、がん細胞が認められる。




腫瘍の大きさを日常の身近な物と比べた図:様々な腫瘍の大きさと豆、ピーナッツ、クルミ、ライムとを比較している。



豆、ピーナッツ、クルミ、ライムによって腫瘍の大きさを示しています。



III期

III期では、がんは片側または両側の卵巣に認められ、骨盤の範囲を越えて、腹部の他の部位または周辺リンパ節もしくはその両方に転移しています。III期はさらにIIIA期、IIIB期、IIIC期に分けられます。


  • IIIA期腫瘍骨盤内にしか認められないが、顕微鏡下でのみ確認できるがん 細胞が、腹膜壁の内側と大半の腹部臓器の表面を覆っている組織)の表面、小腸、または小腸と腹壁をつなぐ組織のいずれかに拡がっている。

    IIIA期の図では、両側の卵巣内にがんが存在し、(a)腹膜後方のリンパ節に転移している。さらに(b)顕微鏡的に確認できるがん細胞が大網に拡がっている。小腸、結腸、卵管、子宮、膀胱も示されている。
    
    


    IIIA期では、がんが片側または両側の卵巣または卵管に認められ、(a)腹膜外または腹膜後方の領域のリンパ節にのみ転移しているか、または(b)顕微鏡でのみ確認できるがん細胞が大網に拡がっています。周辺リンパ節への転移がみられる場合もあります。




  • IIIB期:がんが腹膜に拡がっていて、腹膜内のがんの大きさが2cm以内である。

    IIIB期の図では、がんが両側の卵巣内に存在し、大網に拡がっている。大網のがんは2cm以下である。拡大図は、2cmがピーナッツ程度の大きさであることを示している。さらに小腸、結腸、卵管、子宮、膀胱、腹膜後方のリンパ節も示されている。
    
    


    IIIB期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められ、大網に拡がり、大網のがんは2cm以下です。がんが腹膜後方のリンパ節に転移している場合もあります。




  • IIIC期:がんが腹膜に拡がっていてその大きさが2cmを超えているか、またはがんが腹部リンパ節にも拡がっている、もしくはその両方を満たしている。

    IIIC期の図では、がんが両側の卵巣内に存在し、大網に拡がっている。大網のがんは2cmを超える。拡大図は、2cmがピーナッツ程度の大きさであることを示している。さらに小腸、結腸、卵管、子宮、膀胱、腹膜後方のリンパ節も示されている。
    
    


    IIIC期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められ、大網に拡がり、大網のがんは2cmを超えます。がんが腹膜後方のリンパ節、または肝臓あるいは脾臓の表面に転移している場合もあります。




がんが肝臓の表面に拡がっている場合もIII期卵巣がんに分類されます。

IV期


IV期の図は、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんが転移しうる肺、肝臓、骨、鼠径部のリンパ節などの体内の部位を示している。上の拡大図は肺周囲の過剰な体液を示している。下の拡大図は、がん細胞が血液やリンパ節を介して身体の別の部位に移動し、転移がんを形成する様子を示している。



IV期では、がんは腹部を越えて他の臓器に転移しています。IVA期では、肺の周囲に貯留した過剰な体液中にがん細胞が認められます。IVB期では、がんは肺、肝臓、骨、鼠径部のリンパ節など、腹部外の臓器や組織に拡がっています。



IV期では、がん腹部の範囲を越えて、肝臓内の組織など、他の部位に拡がっています。

肺の周囲の液体にがん細胞が認められる場合も、IV期卵巣がんとされます。

 | 

再発卵巣胚細胞腫瘍

再発 卵巣胚細胞腫瘍とは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は、もう一方の卵巣に起こることもあれば、体の他の部位に起こることもあります。

 | 

治療選択肢の概要

卵巣胚細胞腫瘍の患者さんには様々な治療法が存在します。

卵巣胚細胞腫瘍の患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

標準治療として以下の4種類が用いられています:
手術

手術は卵巣胚細胞腫瘍で最も多く用いられている治療法です。以下の手術法のいずれかによってがんが切除されます。


  • 片側付属器切除術:片側の卵巣と片側の卵管を切除する手術法。

  • 子宮全摘出術子宮頸部を含めて子宮全体を摘出する手術法。なかでも、を介して子宮と子宮頸部を摘出する場合は式子宮摘出術と呼ばれます。腹部を大きく切開してそこから子宮と子宮頸部を摘出する場合は、式子宮全摘出術と呼ばれます。腹部を小さく切開してそこから腹腔鏡を用いて子宮と子宮頸部を摘出する場合は、腹腔鏡下子宮全摘術と呼ばれます。

    子宮摘出術:図は、卵巣、子宮、膣、卵管、子宮頸部などの女性生殖器の解剖図を示す。点線で示された部分は、子宮全摘出術、卵管卵巣摘除術を伴う子宮全摘出術、および広汎性子宮全摘術で切除される臓器と組織を示している。小さな図は、腹部で実施される2つの切開方法の位置を示す:下部横切開は恥骨のすぐ上で行い、縦切開は臍(へそ)と恥骨部分の間を切開する。
    
    


    子宮摘出術。子宮を単独でまたは他の臓器や組織と共に手術により切除します。子宮全摘出術では、子宮と子宮頸部が摘出されます。卵管卵巣摘除術を伴う子宮全摘出術では、(a)子宮と一方(片側)の卵巣および卵管が切除されるか、または(b)子宮と両方(両側)の卵巣および卵管が切除されます。広汎性子宮全摘術では、子宮、子宮頸部、両方の卵巣、両方の卵管、および周辺の組織が摘出されます。これらの手技は、下部横切開または縦切開を使用して実施されます。




  • 両側付属器切除術:両側の卵巣と両側の卵管を切除する手術法。

  • 腫瘍減量術腫瘍を可能な限り多く切除する手術法。腫瘍を完全に切除することが不可能な場合もあります。

たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法や放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

卵巣胚細胞腫瘍に対する化学療法後に、セカンドルック 開腹術が行われることがあります。これは、がんの病期を判定するために行われる開腹術と同様の手術です。セカンドルック開腹術は、初回治療後に腫瘍細胞が残存していないかを確認する外科的手技です。この手技では、がんが残っていないかどうかを確かめるために、腹部のリンパ節とその他の組織のサンプルが採取されます。未分化胚細胞腫の場合、この手技は実施されません。

経過観察

経過観察では、徴候症状の出現や変化があるまで治療を一切行わずに、患者さんの状態を入念に監視します。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、もしくは腹腔などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、薬はその領域にあるがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

詳しい情報については、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

骨髄移植を伴う大量化学療法

骨髄移植を伴う大量化学療法とは、非常に高用量の化学療法を行うとともに、このがん治療によって破壊された造細胞を外部から補充するという治療法です。まず患者さん自身もしくはドナー骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、これを凍結保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍して、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。

新しい治療法

併用化学療法(2種類以上の化学療法薬を使用するもの)が臨床試験で検証中です。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験一覧のものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

 | 

病期ごとの治療選択肢

I期の卵巣胚細胞腫瘍

治療法は、腫瘍未分化胚細胞腫か他の種類の卵巣胚細胞腫瘍かによって異なります。

未分化胚細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:


他の種類の卵巣胚細胞腫瘍の治療法は次のどちらかです:


  • 片側付属器切除術とその後の注意深い経過観察。

  • 片側付属器切除術と、場合によりその後の併用化学療法

NCI支援のがん臨床試験リストから、I期卵巣胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

II期の卵巣胚細胞腫瘍

治療法は、腫瘍未分化胚細胞腫か他の種類の卵巣胚細胞腫瘍かによって異なります。

未分化胚細胞腫の治療法は次のどちらかです:


その他の卵巣胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、II期卵巣胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

III期の卵巣胚細胞腫瘍

治療法は、腫瘍未分化胚細胞腫か他の種類の卵巣胚細胞腫瘍かによって異なります。

未分化胚細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:


その他の卵巣胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:


  • 骨盤内と腹腔内のがんを可能な限り切除する手術を伴う腹式子宮全摘出術と両側付属器切除術。さらに手術の前後に化学療法が実施されるでしょう。

  • 片側付属器切除術とその後の化学療法。

  • セカンドルック 開腹術(初回治療の後に腫瘍 細胞が残っていないかどうかを確かめる目的で行われる手術)。

  • 新しい治療法の臨床試験への参加。

NCI支援のがん臨床試験リストから、III期卵巣胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

IV期の卵巣胚細胞腫瘍

治療法は、腫瘍未分化胚細胞腫か他の種類の卵巣胚細胞腫瘍かによって異なります。

未分化胚細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:


その他の卵巣胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:


  • 骨盤内と腹腔内のがんを可能な限り切除する手術を伴う腹式子宮全摘出術と両側付属器切除術。さらに手術の前後に化学療法が実施されるでしょう。

  • 片側付属器切除術とその後の化学療法。

  • セカンドルック 開腹術(初回治療の後に腫瘍 細胞が残っていないかどうかを確かめる目的で行われる手術)。

  • 新しい治療法の臨床試験への参加。

NCI支援のがん臨床試験リストから、IV期卵巣胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

 | 

再発卵巣胚細胞腫瘍の治療選択肢

治療法は、腫瘍未分化胚細胞腫か他の種類の卵巣胚細胞腫瘍かによって異なります。

未分化胚細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:


その他の卵巣胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、再発卵巣胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

 | 

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、卵巣胚細胞腫瘍の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board. PDQ Ovarian Germ Cell Tumors Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/ovarian/patient/ovarian-germ-cell-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389363]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

 |