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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-01-28
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Adult Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

卵管がん 上皮性卵巣がん 原発性腹膜がん

上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんについての一般的な情報

上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんは、卵巣を覆う組織や、卵管や腹膜の内側を覆う組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

卵巣は、女性の生殖系に属する左右一対の臓器です。この臓器は骨盤の内部に存在し、子宮胎児の成長の場となる、洋ナシのような形をした中空の臓器)の左右に1つずつ存在しています。卵巣の大きさはアーモンドと同じくらいで、その形状も似ています。卵巣は卵子の生産と女性ホルモン(特定の細胞や臓器の機能を制御する化学物質)の分泌を行っています。

卵管は子宮の左右両側に1本ずつ存在する、1対の細長い管です。卵巣から出た卵子は、卵管を通って子宮に移動します。がんが卵管の卵巣側の終端部で発生し、卵巣に拡がることもあります。

腹膜は、壁の内側と腹部の臓器表面を覆う組織です。原発性腹膜がんは腹膜にできるがんで、他の部位から転移してきたものではありません。がんは腹膜で発生した後、卵巣に拡がることがあります。

女性生殖系の解剖図:図は、子宮、子宮筋層(子宮の外側の筋層)、子宮内膜(子宮内腔を覆う膜)、卵巣、卵管、子宮頸部、膣を示している。



女性生殖系の解剖図。女性生殖系の臓器には、子宮、卵巣、卵管、子宮頸部、膣などが含まれます。子宮には、子宮筋層と呼ばれる筋肉の外層と子宮内膜と呼ばれる内膜があります。



上皮性卵巣がんは卵巣にできるがんの一種です。他の種類の卵巣腫瘍に関する情報については、以下のPDQの治療に関する要約をご覧ください:


上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの治療は同じ方法で行われます。
卵巣がんの家族歴がある女性では、卵巣がんのリスクが高くなります。

疾患が発生する危険性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。

卵巣がんの病歴がある第一度近親者(母、娘、姉妹)が1人いる女性は、卵巣がんの発生リスクが高くなります。第一度近親者と第二度近親者(祖母、おば)に卵巣がんの病歴を持つ人が1人ずついる女性では、そのリスクはさらに高くなります。第一度近親者に卵巣がんの病歴を持つ人が2人以上いる女性の場合は、そのリスクはよりいっそう高くなります。

卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんのなかには、突然変異が起きた(変化した)遺伝子を親から受け継いだことが原因で発生するものもあります。

細胞内に存在する遺伝子には、両親から受け継がれた遺伝情報が保持されています。遺伝性の卵巣がんは卵巣がん全体の約5~10%を占めています。遺伝のパターンとしては、卵巣がんのみ、卵巣がんと乳がん、卵巣がんと結腸がんという3種類が確認されています。

卵管がんと腹膜がんも特定の遺伝子突然変異遺伝することで発生する場合があります。

現在では、突然変異を起こした遺伝子を検出できる検査法が開発されています。このような遺伝子検査は、がんの発生リスクが高い家系の人に対して時折実施されています。詳しい情報については、以下のPDQの要約をご覧ください:


卵巣がんのリスクが高い女性では、リスクを小さくするための手術が検討されることがあります。

卵巣がんのリスクが高い女性では、リスク低減のための卵巣摘除術(健康な卵巣を摘出しておくことによって卵巣でのがんの増殖を不可能にする手法)が行われることがあります。リスクの高い女性では、この方法によって卵巣がんのリスクを大きく低減できることが示されています。(詳しい情報については、PDQの卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの予防に関する要約をご覧ください。)

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんの徴候あるいは症状には、腹部の痛みや腫れなどがあります。

早期の卵巣がん、卵管がん、腹膜がんでは、徴候症状が現れない場合があります。そのため徴候や症状が出現する頃には、すでにがんが進行している場合が少なくありません。以下のような徴候と症状がみられます:


  • 腹部または骨盤の痛み、腫れ、圧迫感。

  • 閉経期によくみられる激しい、または不規則な出血。

  • 透明か白色、または血液で色が付いた膣分泌物

  • 骨盤部のしこり。

  • ガス、膨満便秘などの消化管の問題。

卵巣がん、卵管がん、腹膜がん以外の病態が原因となってこれらの徴候や症状が生じる場合もあります。こうした徴候や症状が悪化していく場合や自然に治らない場合には、医師の診察を受け、できるだけ早く問題の診断と治療を受けることが重要です。

卵巣がんの女性は、臨床試験への参加を検討すべきです。現在進行中の臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんの発見と診断には、卵巣と骨盤領域を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 内診 子宮頸部、子宮、卵管、卵巣、直腸を調べる診察法。膣鏡を膣内に挿入して、医師や看護師が膣や子宮頸部に疾患の徴候がないかを調べます。通常はここで、子宮頸部のパパニコロウ試験が行われます。医師または看護師は、手袋をはめて潤滑剤を塗った片方の手の指を1~2本膣内に挿入し、もう片方の手を下腹部に置いて、子宮と卵巣の大きさ、形、位置を手と指の感触で調べます。さらに、医師または看護師は手袋をはめて潤滑剤を塗った指を直腸内にも挿入し、しこりや異常な部分がないかを指の感触で調べていきます。

    内診:図は、内診時の女性生殖器を側面から見た解剖図を示す。子宮、左卵管、左卵巣、子宮頸部、膣、膀胱、直腸が示されている。医師または看護師が手袋をはめて、片手の2本の指を膣内に挿入し、もう一方の手で上から下腹部を押している様子が示されている。左上の図では、ドレープで覆われた女性が診察台の上で足を足置きに乗せて両脚を開いている。
    
    


    内診。医師または看護師が、手袋をはめて潤滑剤を塗った片手の指を1~2本膣内に挿入し、もう一方の手で上から下腹部を押しています。この診察は、子宮と卵巣の大きさ、形状、位置を触って調べるために行われます。膣、子宮頸部、卵管、直腸も調べられます。




  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を腹部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。

    腹部超音波検査:診察台の上で腹部超音波検査を受けている女性の様子が示されている。超音波検査士(超音波検査を実施するための訓練を受けた技師)は、患者の腹部表面で振動子(音波を発生させ、体内の組織で反射させる装置)を動かしている。コンピュータの画面にはソノグラム(コンピュータによる画像)が描画されている。
    
    


    腹部超音波検査。コンピュータに接続された超音波振動子を腹部表面で移動させます。超音波振動子から出た音波は体内の臓器および組織で反射してエコーを生じ、そのエコーからソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。



    経膣的超音波検査が行われることもあります。

    経膣的超音波検査:図は、経膣的超音波検査中の女性生殖器を側面から見た解剖図を示す。超音波プローブ(体内の組織に音波を反響させる装置)を膣内に挿入している様子が示されている。膀胱、子宮、右卵管、右卵巣も示されている。右上の図は、超音波検査士(超音波検査を実施するための訓練を受けた技師)が台の上で女性に検査を実施し、コンピュータの画面に患者の体内の組織が表示されているところである。
    
    


    経膣的超音波検査。コンピュータに接続された超音波プローブを膣内に挿入し穏やかに動かすことで、様々な臓器が表示されます。プローブから出た音波は体内の臓器や組織で反射してエコーを生じ、そのエコーからソノグラム(コンピュータ画像)が作成されます。




  • CA125 測定 :血液中のCA125の濃度を測定する検査法。CA125は、細胞によって血流中に放出される物質の1つです。CA125値の上昇は、がんのほか、子宮内膜症などの病態の徴候として時折みられます。

  • CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

  • PETスキャン(陽電子放射断層撮影):体内の悪性腫瘍細胞を検出するための検査法。まず放射性のあるブドウ糖の溶液を少量だけ静脈内に注射します。その後、周囲を回転しながら体の内部を調べていくPETスキャナという装置を用いて、ブドウ糖が消費されている体内の領域を示す画像を作成していきます。悪性腫瘍細胞は、正常な細胞よりも活発でブドウ糖をより多く取り込む性質があるため、画像ではより明るく映し出されます。

  • MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

  • 胸部X線検査:胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • 生検 :細胞や組織を採取する手技のことで、採取されたサンプルは病理医によって顕微鏡で観察され、がんの徴候がないか調べられます。通常、組織のサンプルは、腫瘍を摘出する手術中に採取されます。

特定の要因が治療法の選択肢や予後(回復の見込み)に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


  • がんの病期悪性度

  • 腫瘍の種類と大きさ。

  • 手術によって腫瘍を完全に摘出できるかどうか。

  • 腹部の腫れがみられるかどうか。

  • 患者さんの年齢と健康状態。

  • 新たに診断されたがんか、再発した(再び現れた)がんか。

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上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの病期

卵巣がん、卵管がん、腹膜がんの診断がついた後には、がん細胞の卵巣内での拡がりや他の部分への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がん臓器内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。がんの診断に用いられた検査の結果が、そのまま病期分類に使用されることもよくあります。(一般的な情報のセクションをご覧ください。)

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:


  • 組織。がんは発生した場所から隣接する領域に拡がります。

  • リンパ系。がんは発生した場所からリンパ系に侵入して拡がります。がんはリンパ管を介して体内の他の部位へ移動します。

  • 血液。がんは発生した場所から血液に侵入して拡がります。がんは血管を介して体内の他の部位へ移動します。

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。


  • リンパ系。がんがリンパ系に侵入し、リンパ管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍転移性腫瘍)を形成します。

  • 血液。がんが血液中に侵入し、血管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍(転移性腫瘍)を形成します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類の腫瘍です。例えば、上皮性卵巣がんに転移した場合、肺にできたがん細胞は、実際は上皮性卵巣がんの細胞です。この疾患は転移性上皮性卵巣がんであり、肺がんではありません。

上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんでは、以下のような病期が用いられます:
I期


IA期、IB期、IC期を示す3枚の図:左図(IA期)では片側の卵巣内にがんが見られる。中央の図(IB期)は両側の卵巣内に存在するがんを示している。右図(IC期)では両側の卵巣内にがんが存在し、片方の卵巣は被膜が破裂している。拡大図は、骨盤腹膜内のがん細胞を示している。卵管、子宮、子宮頸部、膣も示されている。



IA期では、がんは片側の卵巣または卵管内にのみ認められます。IB期では、両側の卵巣または卵管内にがんが認められます。IC期では、がんが片側または両側の卵巣または卵管に認められ、さらに以下の条件のいずれかを満たします:(a)卵巣被膜(外層)が破裂している、(b)がんが片側または両側の卵巣または卵管の外表面上にも認められる、または(c)がん細胞が骨盤腹膜に認められる。



I期では、がんが片側または両側の卵巣または卵管に認められます。I期はさらにIA期、IB期、IC期に分けられます。


  • IA期:がんが片側の卵巣または卵管内にのみ認められる。

  • IB期:がんが両側の卵巣または卵管内に認められる。

  • IC期:がんが片側または両側の卵巣または卵管内に認められ、さらに以下の条件のいずれかに該当する:
    • 片側または両側の卵巣または卵管の表面にがんが認められる;または

    • 手術前または手術中にがんが認められる卵巣の被膜(外層)が破綻(破れて開口)している;または

    • 腹腔腹部 臓器の大半を収納している体)に溜まった体液中または腹膜(腹腔を覆っている組織)の洗浄液の中に、がん細胞が認められる。


II期


IIA期、IIB期、およびII期原発性腹膜がんを示す3枚の図:左図(IIA期)では両卵巣内のがんが子宮と卵管に拡がっている。中央の図(IIB期)では両卵巣内のがんが結腸に拡がっている。右図(II期原発性腹膜がん)ではがんが骨盤腹膜に存在している。子宮頸部と膣も示されている。



IIA期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められ、さらに子宮、卵管、卵巣のうち1つ以上に拡がっています。IIB期では、がんが片側または両側の卵巣または卵管に認められ、さらに結腸に拡がっています。原発性腹膜がんでは、がんが骨盤腹膜に存在し、他の部位から転移してきたものではありません。



II期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められ骨盤の他の部位にも拡がっているか、骨盤内に原発性腹膜がんが認められます。II期の上皮性卵巣がんと卵管がんは、さらにIIA期とIIB期に分けられます。




腫瘍の大きさを日常の身近な物と比べた図:様々な腫瘍の大きさと豆、ピーナッツ、クルミ、ライムとを比較している。



豆、ピーナッツ、クルミ、ライムによって腫瘍の大きさを示しています。



III期

III期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められるか、または原発性腹膜がんであり、骨盤の範囲を越えて、腹部の他の部位または周辺リンパ節もしくはその両方に転移しています。III期はさらにIIIA期、IIIB期、IIIC期に分けられます。


  • IIIA期のがんは、以下の条件のいずれかを満たしています:


    IIIA期の図では、両側の卵巣内にがんが存在し、(a)腹膜後方のリンパ節に転移している。さらに(b)顕微鏡的に確認できるがん細胞が大網に拡がっている。小腸、結腸、卵管、子宮、膀胱も示されている。
    
    


    IIIA期では、がんが片側または両側の卵巣または卵管に認められ、(a)腹膜外または腹膜後方の領域のリンパ節にのみ転移しているか、または(b)顕微鏡でのみ確認できるがん細胞が大網に拡がっています。周辺リンパ節への転移がみられる場合もあります。




  • IIIB期:がんが骨盤外の腹膜に拡がっていて、腹膜内のがんの大きさが2cm以内である。がんが腹膜後方部のリンパ節に拡がっていることもあります。

    IIIB期の図では、がんが両側の卵巣内に存在し、大網に拡がっている。大網のがんは2cm以下である。拡大図は、2cmがピーナッツ程度の大きさであることを示している。さらに小腸、結腸、卵管、子宮、膀胱、腹膜後方のリンパ節も示されている。
    
    


    IIIB期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められ、大網に拡がり、大網のがんは2cm以下です。がんが腹膜後方のリンパ節に転移している場合もあります。




  • IIIC期:がんが骨盤外の腹膜に拡がっており、腹膜のがんが2cmを超えている。がんが腹膜後方部のリンパ節または肝臓もしくは脾臓の表面に転移していることもある。

    IIIC期の図では、がんが両側の卵巣内に存在し、大網に拡がっている。大網のがんの大きさは2cmを超える。拡大図は、2cmがピーナッツ程度の大きさであることを示している。さらに小腸、結腸、卵管、子宮、膀胱、腹膜後方のリンパ節も示されている。
    
    


    IIIC期では、がんは片側または両側の卵巣または卵管に認められ、大網に拡がり、大網のがんは2cmを上回ります。がんが腹膜後方のリンパ節または肝臓または脾臓の表面に転移している場合もあります。




IV期


IV期の図は、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんが転移しうる肺、肝臓、骨、鼠径部のリンパ節などの体内の部位を示している。上の拡大図は肺周囲の過剰な体液を示している。下の拡大図は、がん細胞が血液やリンパ節を介して身体の別の部位に移動し、転移がんを形成する様子を示している。



IV期では、がんは腹部を越えて他の臓器に転移しています。IVA期では、肺の周囲に貯留した過剰な体液中にがん細胞が認められます。IVB期では、がんは肺、肝臓、骨、鼠径部のリンパ節など、腹部外の臓器や組織に拡がっています。



IV期では、がん腹部の範囲を越えて、体の他の部位に拡がっています。IV期はさらにIVA期とIVB期に分けられます。


上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんは、治療上、早期がんと進行がんに分類されます。

I期の上皮性卵巣がんと卵管がんは早期がんとして治療されます。

II期、III期、IV期の上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんは進行がんとして治療されます。

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再発性または難治性の上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん

再発 上皮性卵巣がん卵管がん原発性腹膜がんとは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。難治性がんとは、治療を行っても治らないがんのことをいいます。

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治療選択肢の概要

上皮性卵巣がんの患者さんには様々な治療法が存在します。

上皮性卵巣がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

標準治療として4種類のものが用いられています。
手術

患者さんの大半は、腫瘍をできる限り切除する手術を受けます。以下のように様々な手術法があります:


  • 子宮摘出術子宮を摘出し、場合によっては子宮頸部も切除する手術法。子宮のみを摘出する場合は、子宮部分摘出術と呼ばれます。子宮と子宮頸部の両方を摘出する場合は、子宮全摘出術と呼ばれます。なかでも、を介して子宮と子宮頸部を摘出する場合は膣式子宮摘出術と呼ばれます。腹部を大きく切開してそこから子宮と子宮頸部を摘出する場合は、式子宮全摘出術と呼ばれます。腹部を小さく切開してそこから腹腔鏡を用いて子宮と子宮頸部を摘出する場合は、腹腔鏡下子宮全摘術と呼ばれます。

    子宮摘出術:図は、卵巣、子宮、膣、卵管、子宮頸部などの女性生殖器の解剖図を示す。点線で示された部分は、子宮全摘出術、卵管卵巣摘除術を伴う子宮全摘出術、および広汎性子宮全摘術で切除される臓器と組織を示している。小さな図は、腹部で実施される2つの切開方法の位置を示す:下部横切開は恥骨のすぐ上で行い、縦切開は臍(へそ)と恥骨部分の間を切開する。
    
    


    子宮摘出術。子宮を単独でまたは他の臓器や組織と共に手術により切除します。子宮全摘出術では、子宮と子宮頸部が摘出されます。卵管卵巣摘除術を伴う子宮全摘出術では、(a)子宮と一方(片側)の卵巣および卵管が切除されるか、または(b)子宮と両方(両側)の卵巣および卵管が切除されます。広汎性子宮全摘術では、子宮、子宮頸部、両方の卵巣、両方の卵管、および周辺の組織が摘出されます。これらの手技は、下部横切開または縦切開を使用して実施されます。




  • 片側付属器切除術:片側の卵巣と片側の卵管を切除する手術法。

  • 両側付属器切除術:両側の卵巣と両側の卵管を切除する手術法。

  • 大網切除術大網血管神経リンパ管リンパ節を含む腹膜組織)を切除する外科的手技。

  • リンパ節生検:リンパ節の全体または一部を切除する手技。切除された組織は病理医顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

患者さんによっては腹腔内放射線照射療法と呼ばれる治療が実施される場合がありますが、これは、放射性物質を含んだ溶液をカテーテルを通して腹部の中に直接注入するものです。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、もしくは腹腔などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、薬はその領域にあるがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。

卵巣がんの治療に用いられる局所化学療法は腹腔内化学療法です。腹腔内化学療法では、細い管を通して抗がん剤を腹腔(腹部臓器を収納している空間)内に直接送り込みます。

複数の抗がん剤を使用する治療法は併用化学療法と呼ばれます。

化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

詳しい情報については、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

標的療法

標的療法とは、正常な細胞には害を及ぼすことなく特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。

モノクローナル抗体 療法は、製造ラボにおいて1種類の免疫系細胞から作り出した抗体を使用する標的療法の一種です。これらの抗体は、がん細胞の表面上に存在する物質や、がん細胞の増殖を促進する物質を特定することができます。こうした抗体がそれぞれの標的物質に結合することにより、がん細胞の死滅、増殖の阻止、転移の抑止などといった効果が得られます。モノクローナル抗体は点滴によって投与されます。単独で使用されることもありますが、薬や毒素、放射性物質などをがん細胞に直接送り届けるという用途でも用いられます。

ベバシズマブは、再発した(再び現れた)上皮性卵巣がん卵管がん原発性腹膜がんの治療で化学療法とともに用いられるモノクローナル抗体です。

ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ阻害薬(PARP阻害薬)は、DNA修復を阻害する標的療法薬で、がん細胞を殺傷できる可能性があります。オラパリブは、BRCA1またはBRCA2遺伝子の変異(変化)が原因で生じた進行卵巣がんの治療に用いられるPARP阻害薬です。

詳しい情報については、卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本項では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

生物学的療法

生物学的療法は、患者さんの免疫系を利用してがんを撃退する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は、生物療法や免疫療法とも呼ばれます。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験一覧のものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

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病期ごとの治療選択肢

早期の上皮性卵巣がんと卵管がん

早期の上皮性卵巣がんまたは卵管がんの治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、I期上皮性卵巣がん卵管がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

進行した上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がん

進行した上皮性卵巣がん卵管がん原発性腹膜がんの治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、II期上皮性卵巣がんIII期上皮性卵巣がんIV期上皮性卵巣がん卵管がん原発性腹膜がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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再発性または難治性の上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの治療選択肢

再発した上皮性卵巣がん卵管がん原発性腹膜がんの治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、再発上皮性卵巣がん卵管がん原発性腹膜がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board. PDQ Ovarian Epithelial, Fallopian Tube, and Primary Peritoneal Cancer Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/ovarian/patient/ovarian-epithelial-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389163]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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